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【発明の名称】 電磁切換弁
【発明者】 【氏名】増田 健二

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カートリッジ4の外側にある永久磁石と直流コイルとを囲んで2つの吸着面を有して磁気的に一体である一連の磁路部材つまり対向する2つの固定鉄心6、7と継鉄群と、上記2つの固定鉄心6、7と上記カートリッジ4とに囲まれた可動鉄心室1に収まる油浸可動鉄心5とからなる往復動電磁要素によって、ロッドと連結手段とを介して流体を切り換えるためのスプールを切り換え操作する電磁切換弁。
【請求項2】 請求項1に記載の電磁切換弁において、磁石力に対抗するばねとばね受けとによって確実に中立位置となすスプリングセンタ、3位置形の電磁切換弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、流体を制御するための電磁切換弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電磁切換弁として、例えば図3に示すごときもの(実公昭52−36246号公報)が知られている。この電磁切換弁は、油浸可動鉄心、ドライコイルダブル形の電磁石を備えた3位置型の電磁切換弁であって、電磁石部50と弁本体部51とより成り、上記電磁石部50は、中間継鉄52を挟んで並列する直流コイル53、53′と、これらコイル53、53′の内側において上記コイル53、53′に跨がる非磁性材のカートリッジ54と、上記カートリッジ54内で軸芯方向に移動可能に内装する可動鉄心55と、上記可動鉄心55の一端面と対面して上記カートリッジ54の内面左端にろう付けなどで気密一体の一側の固定鉄心56と、上記可動鉄心55の他端面と対面して上記カートリッジ54の内面右端に隙間嵌合して後述のウエーブばね84で押さえられる鍔のある他側の固定鉄心57と、上記固定鉄心56の一端部であって端板継鉄58を貫通して外方に突出するねじ部59に螺合するナット60と、外筒継鉄61と、上記カートリッジ54の外周右端にろう付けなどで気密一体の取付部材継鉄62と、上記可動鉄心55の盲穴63に挿嵌する後述のロッド82を上記可動鉄心55に連結するピン64とより成る。また上記弁本体部51は、スプール70を摺動自在に嵌合する穴71と上記取付部材継鉄62のための凹孔部72とを持つ磁性材本体73と、上記穴71の各溝74、75、76に通じる流路つまり流入路77と2つの制御路78、78′と戻り路79と、上記スプール70を挟んでその位置を決めるためのばね受け80、80′とセンタリングばね81、81′と、上記固定鉄心57の穴を貫通して上記スプール70と一体の非磁性材のロッド82と、上記凹孔部72にある取り付け溝に嵌まり上記取付部材継鉄62の背面肩部に当たるスナップリング83と、上記凹孔部72の底に収まるウエーブばね84と、Oリング85とより成る。上記構成の電磁切換弁の動作について次に述べる。コイル53、53′を付勢しないときは、電磁力を0として、ばね81、81′とばね受け80、80′とによってスプール70は図示のごとくノーマル位置つまり中立位置に確実にあり、各流路は互いに遮断される。一方のコイル例えば右側のコイル53′を直流励磁すると、中立位置において可動鉄心55は電磁力を得て、ロッド82を押してスプール70とばね受け80′とばね81′とを右方向に動かし、このとき固定鉄心57と可動鉄心55との間の磁気ギャップつまり吸引ギャップを縮めて、流入路77を一方の制御路78′につなぎ、同時に他方の制御路78を戻り路79につないで、一側の切り換え位置となる。コイル53′を消磁すると、ばね81′によってスプール70はこの切り換え位置から再び確実に中立位置に戻り各流路の流れを遮断する。他方、左側のコイル53を励磁すると、可動鉄心55は今度はロッド82を引っ張ってスプール70を左方向に動かし、他側の切り換え位置となって制御路78、78′の流れ方を逆にする。コイル53を消磁すると、ばね81によってスプール70はこの他側の切り換え位置から再び先の中立位置に戻る。つまりスプリングセンタ、3位置、4方向、オールポートブロック形の電磁式の切り換え機能を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の電磁切換弁は、吸引ギャップの大きいノーマル位置において所定の電磁力を確保するのにコイルの巻数が比較的多く、インダクタンスつまり電気的時定数が大きく、励磁時の切り換え応答時間が長く、またその応答時間にバラツキがあり、加えて電磁力(この電磁力は吸引ギャップの二乗に反比例する)と、インダクタンス(このインダクタンスは吸引ギャップに反比例する)とを吸引ギャップの小さくなる吸着時において過度に大きくして、吸着時の磁路にある蓄積電磁エネルギーを大として、消磁時における瞬時の放電を困難とする欠点があった。そこで、本発明の目的は、巻数の多くない直流コイルと共働する永久磁石を用いて、線形な電磁力特性にしてまた可動鉄心の変位に無関係で定数となるインダクタンスにして、同時に電流の励磁方向によって往復動とする電磁要素であって、これによって切り換えスプールを操作するごとくして、励磁時の応答が過大電流とせずに高速で、しかもバラツキが小さく、また消磁時の瞬時の放電が容易で、なお応答時間を可変に電流制御できる電磁切換弁を提供することにある。また、ばねとばね受けとを付加して、磁石力に抗してスプリングセンタ、3位置形となし、その中立位置で各種のスプール形式の得られる電磁切換弁を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の電磁切換弁は基本的に図1に例示するように、カートリッジ4の外側にある永久磁石と直流コイルとを囲んで2つの吸着面を有して磁気的に一体である一連の磁路部材つまり対向する2つの固定鉄心6、7と継鉄群と、上記2つの固定鉄心6、7と上記カートリッジ4とに囲まれた可動鉄心室1に収まる油浸可動鉄心5とからなる往復動電磁要素によって、ロッドと連結手段とを介して流体を切り換えるためのスプールを切り換え操作することを特徴とする。また、本発明の電磁切換弁は図1に例示するように、磁石力に対抗するばねとばね受けとによって確実に中立位置となすスプリングセンタ、3位置形としてもよい。
【0005】
【作用】上記構成において、コイルを所定の方向に励磁すると、2つの吸引ギャップを貫いて所定の方向に貫流する電流による磁束が可動鉄心5に生じ、永久磁石からの磁束による磁石力を打ち消して可動鉄心5に所定の操作力をもたらし、これが連結手段を介してロッドを押してスプールを左方向に駆動すると同時に固定鉄心6と可動鉄心5との間の吸引ギャップを縮めて、固定鉄心7と可動鉄心5との間の吸引ギャップを開いて、一方向の切り換え動作を終了して一方向の切換位置となる。この状態からコイルを消磁すると図示しない適切な手段によって放電が生じ電流による磁束は0となる。今度はコイルを上記の所定の方向とは逆の方向に励磁すると、上記とは反対方向である同様の電磁気作用が可動鉄心5に生じ、ロッドを引っ張って連結手段を介してスプールを一方向の切換位置から右方向に駆動し、他方向の切り換え動作を終了して他方向の切換位置となる。ここで、巻数の多くない直流コイルと共働する永久磁石を用いて、線形な電磁力特性にしてまた可動鉄心の変位に無関係で定数となるインダクタンスにして、同時に電流の励磁方向によって往復動する電磁要素であって、これによって切り換えスプールを操作するごとくしたので、励磁時の応答が過大電流とせずに高速で、しかもバラツキが小さく、また消磁時の瞬時の放電が容易で、なお応答時間を可変に電流制御できるのである。また、磁石力に対抗するばねとばね受けとによって非励磁時にスプールを確実に中立位置とすることで、スプリングセンタ、3位置形として機能し、流体回路の要求に合わてその中立位置における各流路の連通遮断を決めるスプール形式を設定できる。
【0006】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。図1は電磁切換弁の基本的実施例を示しており、この電磁切換弁は、電磁要素Sと弁本体部Vとより成り、上記電磁要素Sは、永久磁石2を挟んで並列する直流コイル3、3′と、これらコイル3、3′の内側において上記コイル3、3′に跨がる非磁性材のカートリッジ4と、上記カートリッジ4内で軸芯方向に移動可能に内装する可動鉄心5と、上記可動鉄心5の一端面と対面して上記カートリッジ4の内面左端にろう付けなどで気密一体の一側の固定鉄心6と、上記固定鉄心6にある貫通穴6′′′と、上記可動鉄心5の他端面と対面して上記カートリッジ4の内面右端にろう付けなどで気密一体の他側の固定鉄心7と、上記可動鉄心5を収めるとともに上記貫通穴6′′′を通る作動流体で満たす可動鉄心室1と、上記固定鉄心6の一端部であって後述の本体11に螺合するねじ付きかつ凹孔端付き取付部6′′と続く鍔6′と、上記固定鉄心7の一端部であって端板継鉄58を貫通して外方に突出するねじ部59に螺合するナット60と、上記鍔6′を包んで後述の本体11に接する前方継鉄10と、外筒継鉄61と、上記可動鉄心5の盲穴9に圧入する後述のロッド13と上記可動鉄心5とを連結補強するピン8、8′とより成る。また上記弁本体部Vは、オールポートブロック形のスプール12を摺動自在に嵌合する穴14と上記取付部6′′のためのねじ穴とを持つ本体11と、上記穴14の各溝15、16、17に通じる流路つまり流入路Pと2つの制御路A、Bと戻り路Rと、上記スプール12を挟んでその位置を決めるための二つ割ばね受け19a、19bとばね受け19′とセンタリングばね18、18′と、上記貫通穴6′′′を運動自在に貫通して上記スプール12のU字形溝に緩く嵌まる連結用鍔部のある非磁性材ロッド13と、プラグ21と、Oリング20、20′とより成る。なお以上の構成部材の内、部材58、59、60、61は図3で述べた従来のものと同一なので説明を省略する。上記構成の電磁切換弁の動作について次に述べる。コイル3、3′を付勢しないときは、ばね18、18′とばね受け19a、19b、19′とは、永久磁石2からの磁束による磁石力に抗してスプール12を図示のごとくノーマル位置つまり中立位置に確実に保持して、各流路P、A、B、Rを互いに遮断(オールポートブロック)する。このとき可動鉄心5の両端にある吸引ギャップは各々実質等しくなる。コイル3、3′を所定の方向に励磁すると、各吸引ギャップを貫いて所定の方向に貫流する電流による磁束が可動鉄心5に生じ、永久磁石2からの磁束による磁石力を打ち消して可動鉄心5に所定の操作力をもたらし、これがロッド13を押してスプール12を中立位置から左方向に駆動さし、ばね受け19′を介してばね18′を押圧しつつ、スプール12のオーバラップを外して流路をP→A、B→Rに切り換え、この一方向での切り換え動作を終了して一方向の切換位置となる。このとき固定鉄心6と可動鉄心5との間の吸引ギャップは縮まると同時に固定鉄心7と可動鉄心5との間の吸引ギャップは開く。この状態からコイル3、3′を消磁すると図示しない適切な手段によって放電が生じ電流による磁束は0となり、ばね18′は磁石力に抗してスプール12と可動鉄心5とを戻して、中立位置とし、再び各流路を遮断する。今度はコイル3、3′を上記の所定の方向とは逆の方向に励磁すると、反対方向である同様の電磁気作用が可動鉄心5に生じ、ロッド13を引っ張ってスプール12のU字形溝に嵌まるロッド13の鍔部でスプール12を中立位置から右方向に駆動し、ばね受け19a、19bを介してばね18を押圧して、流路を逆にP→B、A→Rとして、他方向での切り換え動作を終了して他方向の切換位置となる。以上要するにスプリングセンタ、3位置、4方向、オールポートブロック形の電流式の切り換え機能を発揮する。なお、ばね18、18′とばね受け19a、19b、19′とはなくても良く、この場合は2位置弁として機能する。ここに、巻数の多くない直流コイルと共働する永久磁石を用いて、線形な電磁力特性にしてまた可動鉄心の変位に無関係で定数となるインダクタンスにして、同時に電流の励磁方向によって往復動する電磁要素であって、これによって切り換えスプールを操作するごとくしたので、励磁時の応答が過大電流とせずに高速で、しかもバラツキが小さく、また消磁時の瞬時の放電が容易で、なお応答時間を可変に電流制御できるようになる。また、磁石力に対抗するばねとばね受けとによって非励磁時にスプールを確実に中立位置としたので、スプリングセンタ、3位置形として機能し、流体回路の要求に合わてその中立位置における各流路の連通遮断を決めるスプール形式を設定できる。また、カートリッジ4は中央部を熱処理などで磁性化して永久磁石からの磁束が通り易いカートリッジ4′としても良い。また、可動鉄心5とピン8、8′とロッド13とは互いに緩んでいても良い。また、ロッド13とスプール12との連結は図示しない適切な方法でロッドがスプールを貫通するごとくして結合していても良い。また、図示しないが、鍔部の無いピン8、8′を用いないロッドをスプールと可動鉄心5とに単に当接して、スプールと可動鉄心5とが離れないように押し合うばね手段にて連結する連結手段であっても良い。また、図2は本発明の電磁切換弁の他の実施例で、電磁要素S′、つまり磁性材と非磁性材とを交互に配置してなるカートリッジ4′′と、コイル3′′と、永久磁石2′、2′′と、ウエーブばね22と、継鉄23、23′と、前方継鉄10′と、端板継鉄58′とが図1の実施例と異なる。磁気的な相違点つまり中立位置でスプール12が何らかの原因で固着して可動鉄心5が動かない状態でコイル3′′を付勢すると永久磁石2′、2′′の何れか一方に加算する減磁界の生ずる点を除いて、図1と実質同様の作用をし、従って図1の場合と同様の効果を奏するものである。
【0007】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の電磁切換弁は、その電磁要素として巻数の多くない直流コイルと共働する永久磁石を用いて、線形な電磁力特性にしてまた可動鉄心の変位に無関係で定数となるインダクタンスにして、同時に電流の励磁方向によって往復動のできるごとくして、これによって切り換えスプールを操作するごとくしたので、励磁時の応答が過大電流とせずに高速で、しかもバラツキが小さく、また消磁時の瞬時の放電が容易で、なお応答時間を可変に電流制御できる効果がある。また、磁石力に抗するばねとばね受けとを付加して、スプリングセンタ、3位置形となし、その中立位置で各種のスプール形式の得られる効果がある。
【出願人】 【識別番号】595074875
【氏名又は名称】増田 健二
【出願日】 平成10年12月2日(1998.12.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−170944(P2000−170944A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−376453