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【発明の名称】 弁の交換装置
【発明者】 【氏名】辻 達夫

【要約】 【課題】膨張体の下部に不活性ガスの層を形成するようにし、さらにこのガス層で膨張体をタンク内の低温ガスから保護するようにした弁の交換装置を提供する。

【解決手段】タンク1に取り付け管2を介して取り付けられた弁3の開放端に着脱可能に装着可能な気密チャンバー4と、この気密チャンバー4を貫通して設けられ先端部に気体で膨張可能な膨張体7a,7bを有し、気密チャンバー4を弁3に装着後先端部を取り付け管2内に挿入し膨張体7a,7bに気体を供給し膨張させて取り付け管2を封止する気体供給管本体5と、この気体供給管本体5に不活性ガスを供給するガス供給装置6と、を備えた弁の交換装置において、気体供給管本体5の先端には供給される不活性ガスを気体供給管本体5の軸方向に直交する方向に分散させる干渉物16が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タンクに取り付け管を介して取り付けられた弁の開放端に着脱可能に装着可能な気密チャンバーと、この気密チャンバーを貫通して設けられ先端部に気体で膨張可能な膨張体を有し、気密チャンバーを前記弁に装着後先端部を前記取り付け管内に挿入し膨張体に気体を供給し膨張させて取り付け管を封止する気体供給管本体と、この気体供給管本体に不活性ガスを供給するガス供給装置と、を備えた弁の交換装置において、前記気体供給管本体の先端には供給される不活性ガスを気体供給管本体の軸方向に直交する方向に分散させる干渉物が設けられていることを特徴とする弁の交換装置。
【請求項2】 前記気体供給管本体の先端を延長した延長材の先端に温度センサを設け、この温度センサの計測値が前記膨張体の許容温度以下にならないよう前記ガス供給装置より供給する不活性ガスの流量を設定するようにしたことを特徴とする請求項1記載の弁の交換装置。
【請求項3】 前記延長材に可撓材で構成された円板を延長材に直交するように取り付けたことを特徴とする請求項2記載の弁の交換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LNG,LPGなどの液化ガスを貯蔵するタンクに設けられた弁の交換や修理等をタンクを稼働状態で行う弁の交換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LNG,LPGなどの液化ガスを貯蔵するタンクに設けられた弁の交換や修理等をタンクを稼働状態で行う弁の交換装置について、本出願人は特願平7ー235813を出願している。以下本装置の基本的構成を図5、6を用いて説明する。図5において、(A)はタンク1に取り付け管2が設けられ、弁3が取り付けられている状態を示す。弁3は開としたとき、内部をものが通過できるような構造を有するバタフライ弁やゲート弁とする。
【0003】(B)は弁3に気密チャンバー4を取り付けた状態を示す。気密チャンバー4のシールを維持した状態で気体供給管本体5が貫通している。気体供給管本体5の先端部にはゴムなどで製作され気体を入れると風船のように膨張する膨張体7が設けられている。また内部には膨張体7にガスを供給するガス供給管8と先端よりガスを吹き出すガス供給管9が設けられている。ガス供給管8、9にはガス供給装置6からガスが供給される。ガス供給管9より不活性ガス(通常窒素ガス)を供給し、気密チャンバー4内をタンク1内の圧力と同じにする。
【0004】(C)は弁3を開とし、気体供給管本体5に取り付けられた膨張体7が取り付け管2内にくるよう下ろした状態を示す。(D)は膨張体7に窒素ガスを供給し、膨張させて取り付け管2をシールするとともに、ガス供給管9から窒素ガスを供給し取り付け管2内で膨張体7の下部に窒素ガスの層を形成する状態を示す。
【0005】図6において、(E)は気密チャンバー4を取り外し、さらに弁3を取り外した状態を示す。(F)は新しい弁3を取り付けた後、気密チャンバー5を取り付けた状態を示す。(G)はガス供給管9から窒素ガスを供給しつつ膨張体7を収縮して気密チャンバー4の内圧をできるだけタンク1内圧に近づけ、弁3を開とし、膨張体7が気密チャンバー4内に入るまで気体供給管本体5を引き上げた状態を示す。(H)は気密チャンバー4と気体供給管本体5を撤去し、弁交換作業が終了した状態を示す。このような手順により弁3の交換作業は行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図7(A)は取り付け管2を膨張体7でシールしている場合、取り付け管2内に窒素ガス層が形成され、タンク1内にはメタン層(タンク1に液化メタンが貯蔵されている場合)が形成されている。これにより弁3取り付け後、気密チャンバー4を取り付け、弁3を開としたときメタンガスが気密チャンバー4に侵入するのを少なくすることができる。しかし、ガス供給管9から供給するガス圧が高いと、供給される窒素ガスは(B)に示すように噴流となり、渦を発生しメタンと混合してしまい、窒素ガス層は形成されなくなる。この結果、図6(G)において弁3を開としたとき、メタンガスが気密チャンバー4に流入し、気密チャンバー4を取り外すとき外部に放出される。また、常温で供給された窒素ガスの代わりに低温のメタンガスがゴム製の膨張体7に接するとゴムを劣化させることになる。
【0007】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、膨張体の下部に不活性ガスの層を形成するようにし、さらにこのガス層で膨張体をタンク内の低温ガスから保護するようにした弁の交換装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明では、タンクに取り付け管を介して取り付けられた弁の開放端に着脱可能に装着可能な気密チャンバーと、この気密チャンバーを貫通して設けられ先端部に気体で膨張可能な膨張体を有し、気密チャンバーを前記弁に装着後先端部を前記取り付け管内に挿入し膨張体に気体を供給し膨張させて取り付け管を封止する気体供給管本体と、この気体供給管本体に不活性ガスを供給するガス供給装置と、を備えた弁の交換装置において、前記気体供給管本体の先端には供給される不活性ガスを気体供給管本体の軸方向に直交する方向に分散させる干渉物が設けられている。
【0009】この干渉物の働きにより、気体供給管本体から供給される不活性ガスは、気体供給管本体の軸方向に直交する方向に分散されるので、直接タンク内に入らず、不活性ガス層を形成する。これによりタンク内の貯蔵ガスが取り付け管内に侵入するのを少なくすることができ、また、膨張体が直接低温の貯蔵ガスに触れるのを防止することができる。
【0010】請求項2の発明では、前記気体供給管本体の先端を延長した延長材の先端に温度センサを設け、この温度センサの計測値が前記膨張体の許容温度以下にならないよう前記ガス供給装置より供給する不活性ガスの流量を設定するようにする。
【0011】気体供給管本体を取り付け管に入れ、膨張体を膨張させる位置まで下げたとき、温度センサが形成される不活性ガス層内にくるように、延長材の長さを決め、不活性ガス層の温度を計測できるようにする。この温度を計測し、この温度が膨張体の許容温度以下になる場合は、常温程度で供給される不活性ガスの流量を増加する。これにより膨張体の低温による劣化を防止することができる。
【0012】請求項3の発明では、前記延長材に可撓材で構成された円板を延長材に直交するように取り付ける。
【0013】可撓材で構成された円板は、弁開状態で弁を通過し、通過後、元の円板に復元する。この円板により円板と膨張した膨張材との間に不活性ガス層を確実に形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の弁の交換装置を構成する気体供給管本体の構成図である。気体供給管本体5には合成ゴム製の膨張体が2個設けられ、上方より第1膨張体7a、第2膨張体7bとする。気体供給管本体5内に配設された、第1ガス供給管11は第1膨張体7aに接続し、第2ガス供給管12は第1膨張体7bに接続し、第3ガス供給管13は第1膨張体7aと第2膨張体7bの間からガスを吐出する。第4ガス供給管14は気体供給管本体5の先端からこの気体供給管本体5の軸方向にガスを吐出する。なお、気密チャンバー4は図5、6に示すものと同じであり、弁3の交換手順も図5、6に示した手順と同じである。
【0015】気体供給管本体5の先端と間隔をおいて干渉物16が設けられ、支持材17で気体供給管本体5の先端に取り付けられている。またこの干渉物16を貫通して延長材18が取り付けられ、この先端には温度センサ19が取り付けられている。温度計測ライン15は温度センサ19からの信号を伝送する。
【0016】第1ガス供給管11、第2ガス供給管12、第3ガス供給管13、第4ガス供給管14、にはそれぞれカップリング11a,12a,13a,14a設けられ、温度計測ライン15には、接続端子15aが設けられている。ガス供給装置6には、第1ガス供給管11、第2ガス供給管12、第3ガス供給管13、第4ガス供給管14、に対応して第1接続管21、第2接続管22、第3接続管23、第4接続管24が設けられ、温度計測ライン15に対応して接続ライン25が設けられている。また、第1接続管21にはカップリング21aと流量調整弁21b、第2接続管22にはカップリング22aと流量調整弁22b、第3接続管23にはカップリング23aと流量調整弁23b、第4接続管24にはカップリング24aと流量調整弁24bが設けられ、接続ライン25には接続端子25aが設けられている。カップリング11a,12a,13a,14aは対応するカップリング21a,22a,23a,24aと着脱し、接続端子15aは、接続端子25aと着脱する。ガス供給装置6は常温の窒素ガスを供給するが、気体供給管本体5の先端にガスを吐出する第4ガス供給管14には、温度センサ19の計測値に応じて流量を制御して供給する。
【0017】図2は、図1のX−X断面を示す。第4ガス供給管14の先端より吐出された窒素ガスは、干渉物16に当たり気体供給管本体5の軸方向と直角方向に、かつ放射状に広がる。
【0018】図3は気体供給管本体5の膨張体7a,7bを取り付け管2内に挿入し、膨張体7a,7bを膨張させてシールしている状態を示す。この状態は図6の(E)に相当する。第1ガス供給管11と第2ガス供給管12で膨張体7a,7bをそれぞれ膨張する。第3ガス供給管13により両膨張体7a,7b間に窒素ガスを供給し、第4ガス供給管14により取り付け管2の付け根まで窒素ガスを供給する。温度センサ19の位置が干渉物16と取り付け管2の付け根の中間にくるように延長材18の長さを設定し、窒素ガス層の平均温度を計測するようにすることが望ましいが、少なくとも窒素ガス層内にあるようにすればよい。
【0019】干渉物16は第4ガス供給管14からの下方への流れを水平方向の流れに変え、第2膨張体7b側から順次不活性ガスに置き換えることになる。特にメタンガスのタンクでは、不活性ガスを窒素ガスとした場合、窒素ガス(分子量28)はメタン(分子量16)より重いため、メタンの上方への噴出を押さえることとなる。また、連続的に窒素ガスを供給することで取り付け管2内とこの近傍のタンク1内は窒素ガスに置き換わるようになる。
【0020】温度センサ19による窒素ガス層の温度計測を連続的に行い、温度が膨張体7a,7bの許容温度(例えば、シール風船として実績のあるNBRの場合、耐冷温度ー60℃)以下とならないよう常温の窒素ガスの供給量を制御する。
【0021】図3で示すように膨張体7a,7bでシール中は、第1膨張体7aからのタンク1内貯蔵ガスの漏洩を検出するため、ガス検知器26を設け、常時監視する。なお、万一、膨張体7a,7bのシール性が低下した場合、取り付け管2内のガスが漏れ出てくるが、この時の流出ガスは不活性ガスの窒素ガスであり、当面は問題ない。また状況に応じて、膨張体7a,7bのシールが破壊するまでに不活性ガスの供給量を増す等の処置で時間を稼ぎ、弁3の交換や補修を行うことも可能である。
【0022】次に他の実施形態を図4により説明する。本実施形態は図3に示す実施形態に対して、温度センサ19近傍の延長材18に可撓性の円板20を設けたものである。円板20はテフロンなどの可撓性のある材料で作られ、気体供給管本体5を弁3を開にして挿入するとき、撓んで通過し、通過後復元することができる。この円板20により、円板20と第2膨張体7bの間に窒素ガス層を確実に形成することができる。
【0023】以上述べた実施形態では不活性ガスとして窒素ガスを用いた場合を示したが、ヘリウムガスを用いてもよい。ヘリウムガスの場合、タンク1の貯蔵ガスよりも軽いので、取り付け管2内に確実にヘリウムガス層を形成することができる。また実施形態では膨張体7a,7bを2段としたが、図5、6に示したように1段でもよい。
【0024】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明は、気体供給管本体の先端に干渉物を設けることにより、取り付け管内に不活性ガス層を確実に形成させることができる。また不活性ガス層の温度を監視して常温の不活性ガス供給することにより、膨張体を低温による破壊から保護することができる。また、気体供給管本体の先端に可撓材の円板を取り付けることにより、不活性ガス層を更に確実に形成させることができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成10年10月9日(1998.10.9)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2000−120920(P2000−120920A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−287445