| 【発明の名称】 |
可変容量型圧縮機用制御弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】久米 義之
【氏名】今井 正幸
【氏名】風早 幸生
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| 【要約】 |
【課題】制御弁の弁体に作用する冷媒ガス圧力による悪影響をなくして、弁開閉精度を向上させる可変容量型圧縮機用制御弁を提供する。
【解決手段】中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の一側に配置した制御弁本体と、他側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁であって、前記制御弁本体は、底面に弁孔を有する弁室と、該弁室内に配置され前記ソレノイド励磁部のプランジャにより開閉作動する棒状体の弁体と、前記弁室の上方に配置した圧力室とを備え、前記ソレノイド励磁部のプランジャ室と前記圧力室とを連通し、前記弁体は、その上部端を前記圧力室に挿入するとともに下部端をプランジャ室に挿入してなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の一側に配置した制御弁本体と、他側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、前記制御弁本体は、底面に弁孔を有する弁室と、該弁室内に配置され前記ソレノイド励磁部のプランジャにより開閉作動する棒状体の弁体と、前記弁室の上方に配置した圧力室とを備え、前記ソレノイド励磁部のプランジャ室と前記圧力室とを連通し、前記弁体は、その上部端を前記圧力室に挿入するとともに下部端をプランジャ室に挿入したことを特徴とする可変容量型圧縮機用制御弁。 【請求項2】 前記制御弁本体は、前記弁室に連通する吐出冷媒ポートと、前記弁孔に連通するクランク室冷媒ポートと、前記プランジャ室に連通する吸入冷媒ポートとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。 【請求項3】 前記圧力室は、前記弁室の上部に配置したストッパ内に形成し、前記弁体は、上部、拡大弁体部、細径部、及び下部からなる棒状体で、前記拡大弁体部を前記弁室内に、前記細径部を前記弁孔内に配置し、前記上部を前記ストッパに嵌合支持し、前記下部を前記制御弁本体に嵌合支持したことを特徴とする請求項1又は2に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。 【請求項4】 前記弁体の上部、下部及び前記弁孔は、その断面積を等しくしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。 【請求項5】 前記圧力室内には、前記弁体を前記弁室側に付勢する閉弁ばねが配置され、前記圧力室と前記プランジャ室とは、前記制御弁本体に穿設したキャンセル孔を介して連通していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可変容量型圧縮機用制御弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の空調装置に使用される可変容量型圧縮機用の制御弁に係り、特に、必要に応じて吐出圧領域からクランク室内における冷媒ガスの供給を制御する可変容量型圧縮機用制御弁に関する。 【0002】 【従来の技術】従来からシリンダ、ピストン、斜板等を備えた可変容量型圧縮機は、例えば、自動車用の空気調和装置の冷媒ガスを圧縮して吐出するために用いられており、該可変容量型圧縮機は、吐出圧領域とクランク室とを連通する冷媒ガス通路を備え、前記クランク室内の圧力を調整することにより、斜板の傾斜角度を変更して、吐出容量を変更するように構成されたものが知られている。クランク室内の圧力調整は、冷媒ガス通路の途中に設けられた制御弁の開度調整により、前記吐出圧領域から前記クランク室に高圧の圧縮冷媒ガスを供給することで行われる。 【0003】このような制御弁としては、例えば、図6及び図7に示すような可変容量型圧縮機用の制御弁100′(以下「制御弁」という。)がある(特開平9−268973号公報参照)。該制御弁100′は、可変容量型圧縮機200のリヤハウジング210側に設けられるものであって、可変容量型圧縮機200のシリンダブロック220に連接されているフロントハウジング230内のクランク室231の圧力調整を行うものである。 【0004】クランク室231内部には、カムプレートたる斜板240が駆動シャフト250の軸線方向にスライド、かつ斜動可能に支持され、斜板240のガイドピン241が回転支持体251の支持アーム252にスライド自在に支持される。また、斜板240は、該斜板240の一対のシュー242を介してシリンダボア221内に摺動自在に配設されるピストン260に連結されている。 【0005】シリンダボア221内の吸入圧力Psとクランク室231内のクランク室圧力Pcとの差に応じて、前記斜板240は、矢印方向に回動し、傾斜角度を変更する。該傾斜角度に基いてピストン260のシリンダボア221内における前後動のストローク幅が決定される。そして、斜板240の矢印方向の回動に伴って、斜板240の中腹部に当接する遮断体270が収容孔222内を前後動する。 【0006】リヤハウジング210には、吸入圧領域を構成する吸入室211a,211b及び吐出圧領域を構成する吐出室212a,212bが区画形成され、前記斜板240の回転に基いてピストン260が前後動することによって、吸入室211a内の冷媒ガスが、吸入ポート213からシリンダボア221内に吸入され、所定の圧力に圧縮された後、吐出ポート214から吐出室212aに吐出される。 【0007】さらに、リヤハウジング210の中心部分に形成される吸入通路215は、前記収容孔222に連通するとともに、通孔216を介して前記吸入室211bに連通する。ここで、斜板240が遮断体270側に移動すると、該遮断体270は、前記吸入通路215側に移動し、通孔216を閉鎖する。吸入通路215と制御弁100′の上部側は、制御弁100′内に吸入圧力Psを導く検圧通路217によって連通され、また、吐出室212bとクランク室231は、制御弁100′の給気通路218,219を介して連通され、該給気通路218,219は、制御弁100′の弁体106′によって開閉される。 【0008】吐出室212bの吐出圧力Pdは、給気通路218を介して弁室ポート113′に、クランク室内圧力Pcは、弁孔ポート114′を通って給気通路219に導かれ、吸入圧力Psは、検圧通路217を介して吸入圧導入ポート115′に導かれる。空調装置の作動スイッチ280がオンの場合、例えば、室内センサ281の検出温度が室温設定器282の設定温度以上であるときには、制御コンピュータ283は制御弁100′のソレノイド101′の励磁を指令し、駆動回路284を介して所定の電流がソレノイド101′に供給され、該ソレノイド101′の吸引力及びばね103′の付勢力によって、可動鉄心102′が固定鉄心104′側に引き寄せられる。 【0009】可動鉄心102′の移動に伴い、ソレノイドロッド105′に取り付けられている弁体106′は、強制開放ばね107′の付勢力に抗しつつ弁孔108′の開度を減少する側に移動する。この移動に伴い、弁体106′と一体の感圧ロッド109′も上昇し、感圧ロッド受け部110′を介して、接離自在に連結されているベローズ111′が押し付けられる。 【0010】該ベローズ111′は、検圧通路217を介して感圧部112′内に導入される吸入圧力Psの変動に応じて変位するものであり、前記感圧ロッド109′に対して負荷を与える。すなわち、制御弁100′は、前記ソレノイド101′による吸引力、前記ベローズ111′の付勢力及び前記強制開放ばね107′の付勢力等とのバランスによって、弁体106′による弁孔108′の弁開度を決定する。 【0011】室内センサ281の検出温度と室温設定器282の設定温度との差が上述のように大きい(冷房負荷が大きい)ときには、電流値の増加によって可動鉄心102′が固定鉄心104′により吸引され、弁体106′の弁孔108′の開度を減少させる力が増し、制御弁100′は、より低い吸入圧力Psを保持するように作動し、この圧力にて前記弁体106′の開閉が行われる。 【0012】弁開度が小さくなると、吐出室212bから給気通路218,219を介してクランク室231に流れる冷媒ガス量が少なくなり、同時にクランク室231のガスは吸入室211a,211bに流出するので、クランク室内圧力Pcが低くなる。そして、冷房負荷が大きいときには、前記シリンダボア221内の吸入圧力Psが高く、該吸入圧力Psと前記クランク室内圧力Pcとに差を生じ、前記斜板240の傾斜角度が大きくなることで、前記遮断体270が前記吸入通路215側から離れて通路216を開く。 【0013】さらに、前記制御弁100′は、冷凍サイクルにおける凝縮器の熱交換容量が著しく低下した場合(例えば、真夏の渋滞時等)に、圧縮機の最大吐出容量運転が行われるときには、吐出圧力Pdが非常に高くなるとともに、クランク室内圧力Pcが吸入圧力Psに近い値となり、これら吐出圧力Pdとクランク室内圧力Pcとの圧力差によって弁体106′が弁座に強く押しつけられ、給気通路の開放が困難になること等を防ぐため、弁体106′の上下端にソレノイドロッド105′と感圧ロッド109′とを備え、ソレノイドロッド105′の径を弁孔108′の径と等しくし、弁体106′が弁孔108′を閉じたときに弁体106′の可動方向両側の受圧面積がほぼ等しくなるようにして、クランク室内圧力Pcが、給気通路219及びポート114′を介して弁孔108′に導入され、かつ、この圧力Pcが小室118′、連通孔119′及び連通溝120′等を介してソレノイド室117′内に導かれ、該ソレノイド室117′の圧力と前記弁孔108′の圧力とが同じになるようにするとともに、感圧ロッド109′自体の断面積を小さくすることによって感圧ロッド小径部110′の影響を可及的に少なくし、感圧ロッド109′の断面積を弁孔108′の開口面積よりも小さくすることによって、ソレノイドロッド105′、弁体106′及び感圧ロッド109′に作用する圧力の影響の低減を図り、弁体106′の可動方向両側に生ずる圧力が等しくなるようにしている。また、前記ソレノイドロッド105′、弁体106′及び感圧ロッド109′を一体に形成し、上述のキャンセル機構を構成している。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の制御弁100′では、図6及び図7に示したように、制御弁本体の中央に弁室116′を設け、その上側に感圧部を、弁室の下側にソレノイド室117′を設けており、キャンセル機構として、弁室116′の上下端に設けられた弁孔108′及びソレノイド室117′に中圧のクランク室内圧力Pcが導かれる一方で、弁室ポート113′に、給気通路218を介して高圧の吐出圧力Pdが導かれている。弁体106′の可動方向上側でクランク室内圧力Pcを受ける受圧面積については、弁孔108′とソレノイドロッド105′の各々の受圧面積が圧力影響を受けない様に調整しているが、吸入圧力Psとクランク室内圧力Pcが常に同じ圧力状態ではないため、そのキャンセル割合は一定しないこととなり、完全にキャンセルされているとはいえない。 【0015】また、クランク室内の圧力は、圧縮機の運転による圧力変動差が大きいので、この圧力変動が生じると弁体106′に作用する力も変動し、弁体106′の開閉精度に悪影響を与えるとの問題が生じる。本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、制御弁の弁体に作用する冷媒ガス圧力による悪影響をなくして、弁開閉精度を向上させる可変容量型圧縮機用制御弁を提供することである。 【0016】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、中央部に配置したソレノイド励磁部と、該ソレノイド励磁部の一側に配置した制御弁本体と、他側に配置した感圧部と、を備えた可変容量型圧縮機用制御弁において、前記制御弁本体は、底面に弁孔を有する弁室と、該弁室内に配置され前記ソレノイド励磁部のプランジャにより開閉作動する棒状体の弁体と、前記弁室の上方に配置した圧力室とを備え、前記ソレノイド励磁部のプランジャ室と前記圧力室とを連通し、前記弁体は、その上部端を前記圧力室に挿入するとともに下部端をプランジャ室に挿入したことを特徴としている。 【0017】また、前記制御弁本体は、前記弁室に連通する吐出冷媒ポートと、前記弁孔に連通するクランク室冷媒ポートと、前記プランジャ室に連通する吸入冷媒ポートとを備えたことを特徴としている。さらに、前記圧力室は、前記弁室の上部に配置したストッパ内に形成し、前記弁体は、上部、拡大弁体部、細径部、及び下部からなる棒状体で、前記拡大弁体部を前記弁室内に、前記細径部を前記弁孔内に配置し、前記上部を前記ストッパに嵌合支持し、前記下部を前記制御弁本体に嵌合支持したことを特徴としている。 【0018】さらにまた、前記弁体の上部、下部及び前記弁孔は、その断面積を等しくしたことを特徴とし、前記圧力室内には、前記弁体を前記弁室側に付勢する閉弁ばねが配置され、前記圧力室と前記プランジャ室とは、前記制御弁本体に穿設したキャンセル孔を介して連通していることを特徴としている。前記の如く構成された本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、プランジャ室内の吸入圧力Psの冷媒ガスが、キャンセル孔を介して圧力室に導かれるので、弁体は、その上下部の両側から前記吸入圧力Psを受けることになり、かつ、前記弁体の上下部が同じ断面積とされていることから、前記弁体が前記吐出圧力Pdの影響を受けなくなり、弁体上下において常にバランスを保つことができ、弁の開閉精度を向上させることができる。また、本発明に係る制御弁のキャンセル機構は、ストッパ、空隙部及びキャンセル孔等からなり、制御弁本体内に配置されているので、従来に比して構成が容易になり、部品点数の削減及び製造コストの低減を図ることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁の一実施形態について説明する。 図1及び図2は、本実施形態の制御弁100を備えた可変容量型圧縮機1を示しており、図1は、該可変容量型圧縮機1の吐出通路が開いた状態を示す縦断面図、図2は、吐出通路が閉じた状態を示す縦断面図である。可変容量型圧縮機1のシリンダブロック2の一端面には、バルブプレート2aを介してリヤハウジング3が、他端面には、フロントハウジング4がそれぞれ固定される。シリンダブロック2には、シャフト(回転軸)5を中心に周方向の所定間隔おきに複数のシリンダボア6が配設される。該シリンダボア6内には、それぞれピストン7が摺動可能に収容される。 【0020】フロントハウジング4内には、クランク室8が形成され、該クランク室8内には、斜板10が収納される。該斜板10の摺動面10aには、コネクティングロッド11の球体状の一端部11aを相対転動可能に支持するシュー50がリテーナ53で保持される。リテーナ53は、ラジアル軸受55を介して斜板10のボス部10bに装着され、斜板10に対して相対回転可能である。ラジアル軸受55は、ねじ45で固定されたストッパ54によってボス部10bに抜け止めされている。コネクティングロッド11の他端部11bはピストン7に固定されている。 【0021】シュー50は、コネクティングロッド11の一端部11aの先端面を相対転動可能に支持するシュー本体51と、コネクティングロッド11の一端部11aの後端面を相対転動可能に支持するワッシャ52とで構成されている。リヤハウジング3には、吐出室12と吸入室13とが形成される。該吸入室13は、吐出室12を包囲するように配置されている。前記リヤハウジング3には、エバポレータ(図示省略)の出口に通じる吸入口(図示省略)が設けられている。 図1は、吐出通路39が開いた状態を示し、図2は該吐出通路39が閉じた状態を示している。前記吐出室12と吐出口1aとを連通する吐出通路39の途中には、スプール弁(吐出制御弁)31が設けられており、吐出通路39は、リヤハウジング3に形成された通路39aと、バルブプレート2aに形成された通路39bとで構成され、該通路39bは、シリンダブロック2に形成された吐出口1aに通じている。 【0022】有底筒状のスプール弁31内には、ばね(付勢部材)32が収容され、前記リヤハウジング3にキャップ59で固定されたストッパ56には、ばね32の一端が当接し、該ばね32の他端は、スプール弁31の底面に当接している。該スプール弁31の内部空間33は、通路34を介してクランク室8に連通している。前記スプール弁31の一方(上側)には、ばね32の付勢力とクランク室8の圧力が閉弁方向(弁開度が小さくなる方向)に作用する。一方、前記スプール弁31の開弁時には吐出口1aと吐出室12は、吐出通路39を介して連通しているため(図1参照)、このときのスプール弁31の他方(下側)には、吐出口1aの圧力及び吐出室12の圧力が開弁方向(弁開度が大きくなる方向)に作用する。但し、クランク室8と吐出口1aの圧力差が所定値以下になったときには、スプール弁31が閉弁方向に移動して吐出通路39を遮断し、スプール弁31の下側には、吐出室12の圧力だけが開弁方向に作用する。すなわち、スプール弁31の下側には、吐出口1aの圧力が作用しなくなる。 【0023】吐出室12とクランク室8とは、第二の通路57を介して連通する。該通路57の途中には、詳細を後述する本実施形態の制御弁100が設けられている。第二の通路57は、熱負荷が大きいときには、制御弁100のソレノイド131Aの通電により弁体132が着座することによって遮断され、熱負荷が小さいときには、ソレノイド131Aへの通電停止により弁体132が弁座125aから離れることによって解放される。前記制御弁100の作動はコンピュータ(図示省略)によって制御される。 【0024】前記吸入室13とクランク室8とは、第一の通路58を介して連通する。該通路58は、バルブプレート2aに形成されたオリフィス(第二のオリフィス)58aと、シリンダブロック2に形成された通路58bと、シャフト5に固定されたリング(環状体)9に形成された孔58cとで構成される。吸入室13とクランク室8とは第三の通路60を介して連通している。該通路60は、フロントハウジング4に形成された通路60aと、フロント側軸受収容空間60bと、シャフト5に形成された通路60cと、シリンダブロック2に形成されたリヤ側軸受収容空間60dと、シリンダブロック2の通路58bと、バルブプレート2aのオリフィス58aとで構成される。よって、前記シリンダブロック2の通路58bと前記バルブプレート2aのオリフィス58aは、第一の通路58の一部を構成するとともに、第三の通路60の一部をも構成する。 【0025】前記通路60cのリヤ側端部の内周面には、雌ねじ61が形成され、該雌ねじ61には、スクリュー62がねじ込まれている。該スクリュー62には、オリフィス(第一のオリフィス)62aが形成され、該オリフィス62aの通路面積は、前記第一の通路58の一部を構成するバルブプレート2aにおける第二のオリフィス58aの通路面積よりも小さい。従って、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cをほぼ塞ぎ、第一の通路58の通路断面積が大幅に減少した場合にのみ、第三の通路60を通じてクランク室8の冷媒が吸入室13に導かれる。前記バルブプレート2aには、圧縮室82と吐出室12とを連通させる吐出ポート16と、圧縮室82と吸入室13とを連通させる吸入ポート15とが、それぞれ周方向に所定間隔おきに設けられている。吐出ポート16は、吐出弁17により開閉され、該吐出弁17は、バルブプレート2aのリヤハウジング側端面に弁押さえ18とともにボルト19、ナット20により固定される。一方、吸入ポート15は吸入弁21により開閉され、該吸入弁21は、バルブプレート2aとシリンダブロック2との間に配設される。 【0026】シャフト5のリヤ側端部は、シリンダブロック2のリヤ側軸受収納空間60dに収納されたラジアル軸受(リヤ側軸受)24及びスラスト軸受(リヤ側軸受)25によって回転可能に支持され、シャフト5のフロント側端部は、フロントハウジング4のフロント側軸受収容空間60bに収容されたラジアル軸受(フロント側軸受)26によって回転可能に支持される。フロント側の軸受収納空間60bには、ラジアル軸受26の他にシャフトシール46が収容されている。シリンダブロック2の中央部には、雌ねじ1bが設けられ、この雌ねじ1bには、アジャストナット83が螺合する。該アジャストナット83を締め込むことによって、スラスト軸受25を介してシャフト5にプレロードを与える。また、シャフト5のフロント側端部にはプーリ(図示省略)が固定される。 【0027】シャフト5には、該シャフト5の回転を斜板10に伝達するスラストフランジ40が固定され、該スラストフランジ40は、スラスト軸受33を介してフロントハウジング4の内壁面に支持されている。スラストフランジ40と斜板10とは、ヒンジ機構41を介して連結され、斜板10は、シャフト5と直角な仮想面に対して傾斜可能である。斜板10は、シャフト5に摺動かつ傾斜可能に装着されている。 【0028】ヒンジ機構41は、斜板10のフロント面10cに設けられたブラケット10eと、該ブラケット10eに設けられた直線状ガイド溝10fと、スラストフランジ40の斜板側側面40aに螺合されたロッド43とで、構成されている。ガイド溝10fの長手軸は、斜板10のフロント面10cに対して所定角度傾いている。ロッド43の球状部43aは、前記ガイド溝10fに相対摺動可能に嵌合している。 【0029】次に、本実施形態の可変容量型圧縮機用制御弁(以下「制御弁」という。)100について詳細に説明する。図3は、制御弁100を可変容量型圧縮機1に組み込んだ状態を示す縦断面図、図4は、図3の制御弁の詳細を示す縦断面図、図5は、図4の制御弁を90°回転させた縦断面図である。図3に示す制御弁100は、図1及び図2の可変容量型圧縮機1のリヤハウジング3側に設けられ、該リヤハウジング3の空間84,85内に、Oリング121a,121b,131bを介して気密性を保った状態で配設される。 【0030】図4に示すように、制御弁100は、制御弁本体120と、ソレノイド励磁部130と、感圧部145とで形成されており、前記ソレノイド励磁部130は、中央部に配置され、該ソレノイド励磁部130の両側には、前記制御弁本体120と前記感圧部145とが配置されている。前記ソレノイド励磁部130は、その外周にソレノイドハウジング131を備え、該ソレノイドハウジング131の内部には、ソレノイド131Aと、該ソレノイド131Aの励磁によって上下方向に移動するプランジャ133と、吸引子141とを備え、前記プランジャ133を配置したプランジャ室130aは、前記制御弁本体120に備えられた吸入冷媒ポート129と連通している。前記感圧部145は、ソレノイドハウジング131の下側に配置され、その内部に感圧室145aを備え、該感圧室145aは、ステム138等を介して前記プランジャ133を作動するベローズ146とばね159とを配設している。 【0031】前記制御弁本体120は、弁室123を備え、該弁室123内には前記プランジャ133によって開閉作動する弁体132が配置されており、弁室123には、高圧の吐出圧力Pdの冷媒ガスが、通路81、吐出冷媒ポート126を介して導かれている。弁室123の底面には、クランク室冷媒ポート128に連通する弁孔125が穿設されているとともに、弁室123の上部の空間はストッパ124により閉鎖されている。該ストッパ124は、その中心部に、弁孔125と対向して該弁孔125と等しい断面積の有底縦孔の圧力室151が穿設されており、該有底縦孔の圧力室151は、ばね収納室151aとしても形成され、その底部には弁体132を弁室123の底面側に付勢する閉弁ばね127が配置されている。 【0032】前記弁体132は、上部132a、拡大弁体部132b、細径部132c及び下部132dからなる棒状体で、上部132aと下部132dとが前記弁孔125と等しい断面積とされており、前記上部132aが圧力室151を有するストッパ124に嵌合支持され、前記拡大弁体部132bが弁室123内に配置され、前記細径部132cが前記弁孔内においてクランク室(クランク室圧力Pc)に連通するクランク室冷媒ポート128と対向し、前記下部132dは制御弁本体120に嵌合支持し、その端部が吸入圧力Psの冷媒ガスが導かれるプランジャ室130aに挿入されて前記プランジャ133に接触している。該プランジャ133が上下動することで、前記弁体132が上下動し、該弁体132の拡大弁体部132bが、弁孔125の上面の弁座125aとの間の間隙を調整する。 【0033】図5に示すように、前記ストッパ124には、前記圧力室151に連通する横孔153が設けられ、該横孔153は、ストッパ124と制御弁本体120とによって形成される空隙部139と前記圧力室151とを連通している。他方、制御弁本体120には、前記空隙部139と吸入圧力Psの冷媒ガスが流入するプランジャ室130aとを連通するキャンセル孔155が穿設されている。従って、前記プランジャ室130a内の吸入圧力Psの冷媒ガスは、前記キャンセル孔155を介して前記圧力室151に導かれることになり、前記弁体132は、その上下部132a,132dの両側から前記吸入圧力Psを受けることになり、かつ、前記弁体132の上下部132a,132dが同じ断面積とされていることから、前記上下部132a,132dの両側から受ける吸入圧力Psはバランスして相殺され、前記弁体132が実質的に前記吐出圧力Pdの影響を受けないこととなる。また、前記弁体132は、クランク室内圧力Pcを有するクランク室8に連通するクランク室冷媒ポート128付近が細径部132cとされているので、前記弁体132の弁体部132bが弁座125aに着座した状態では、クランク室内の圧力Pcを受けても、その上下方向の力がバランスして、弁体132に無用の力が作用しない。 【0034】そして、プランジャ室130aに導かれた低温の吸入圧力Psは、後述する感圧部145内に導かれるとともに、前記リヤハウジング3とソレノイドハウジング131間の吸入圧力導入空間85にも導かれる(図3)。該吸入圧力導入空間85は、ソレノイドハウジング131の側部に設けられる突部131aのOリング131bを介して密閉されており、前記吸入室13側からの低温の冷媒ガスによってソレノイドハウジング131の側面全体の冷却を図っている。 【0035】ソレノイドハウジング131内部には、図4に示すように、前記弁体132を連結固定するプランジャ133が配設され、該プランジャ133は、前記制御弁本体120の端部にOリング134aを介して密接状態に接するパイプ136に摺動自在に支持されている。プランジャ133の後端部に形成される収容孔137には、ステム138の上端部138aが挿通固定されるとともに、前記ステム138の下端部138bは、吸引子141の前端部収容孔142側から後端部収容孔143側に突き出す状態で、吸引子141に対し摺動自在に支持されている。前記プランジャ133と前記吸引子141の前端部収容孔142との間には、プランジャ133を吸引子141側から離す方向に付勢する開弁ばね144が設けられている。 【0036】また、ステム138の下端部138bには、感圧室145a内に配設されるベローズ146内部の一対のストッパ147,148のうち、ストッパ147側が接離自在に装着され、該ストッパ147のフランジ149と前記吸引子141側の後端部収容孔143との間には、ストッパ147を吸引子141側から離す方向に付勢するばね150が設けられている。感圧室145a内の吸入圧力Psが高くなり、ベローズ146の収縮により一対のストッパ147,148同士が当接することにより、ベローズ146の変位位置が規制され、この最大変位量は、前記ステム138の下端部138bとベローズ146のストッパ147との最大嵌合量よりも小さくなるように設定される。なお、前記ソレノイド131Aには、制御コンピュータ(図示省略)によって制御される励磁電流を供給できるコード158が接続されている(図3)。 【0037】次に、本実施形態の可変容量型圧縮機1と制御弁100との作動について説明する。車載エンジンの回転動力は、ベルト(図示省略)を介してプーリ(図示省略)から前記シャフト5に常時伝達され、シャフト5の回転力は、スラストフランジ40、ヒンジ機構41を経て斜板10に伝達され、該斜板10を回転させる。 【0038】斜板10の回転によりシュー50が斜板10の摺動面10a上を相対回転し、ピストン7の直線往復運動に変換され、その結果シリンダボア6内の圧縮室82の容積が変化し、この容積変化によって冷媒ガスの吸入、圧縮及び吐出が順次行われ、斜板10の傾斜角度に応じた容量の冷媒ガスが吐出される。まず、熱負荷が大きくなる場合には、吐出室12からクランク室8に冷媒ガスの流入が阻止され、クランク室8の圧力は低く、圧縮行程中のピストン7のリヤ面に生じる力は小さくなり、ピストン7のリヤ面に生じる力の総和が、ピストン7のフロント面(トップ面)に生じる力の総和を下回ることによって、斜板10の傾斜角度が大きくなる。 【0039】ここで、吐出室12の圧力が高くなって、吐出室12とクランク室8との圧力差が所定値以上になり、スプール弁31の下側に作用する吐出室12の冷媒ガスの圧力が、スプール弁31の上側に作用するクランク室8の冷媒ガスの圧力とばね32の付勢力の合力に打ち勝つ場合には、スプール弁31が開弁方向に移動して吐出通路39が開き(図1)、吐出室12の冷媒ガスが、吐出口1aからコンデンサ88に流出する。なお、斜板10の傾斜角度が最小から最大になるときには、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cから離れ、第一の通路58が全開になり、クランク室8の冷媒ガスが第一の通路58を介して吸入室に流れるため、クランク室8の圧力低下が起こる。また、第一の通路58の通路面積が最大になると、第三の通路60から吸入室13には冷媒ガスがほとんど流れない。 【0040】このように、熱負荷が大きくなり、制御弁100のソレノイド131Aが励磁される場合には、プランジャ133が、吸引子141側に引き込まれ、プランジャ133に連結されている弁体132が弁孔125を閉じる方向に移動し、クランク室8の流入は阻止される。一方、低温の冷媒ガスは、吸入室13に連通する通路80側から制御弁本体120の吸入冷媒ポート129及びプランジャ室130aを介して感圧部145に導かれ、感圧部145のベローズ146は、吸入室13の吸入圧力Psである前記冷媒ガスの圧力に基いて変位し、該変位が前記ステム138、前記プランジャ133を介して前記弁体132に伝達される。すなわち、前記弁体132の前記弁孔125に対する開度位置は、前記ソレノイド131Aによる吸引力と、前記ベローズ146の付勢力と、前記閉弁ばね127及び開弁ばね144の付勢力とによって決定される。 【0041】そして、前記感圧室145a内の圧力(吸入圧力Ps)が高くなると、前記ベローズ146が収縮し、これが前記ソレノイド131Aによる前記プランジャ133の吸引方向と一致するため、ベローズ146の変位に前記弁体132の移動が追従し、前記弁孔125の開度が減少する。これにより、吐出室12から弁室123内に導かれる高圧の冷媒ガスの量は減少(クランク室圧力Pcが低下)し、斜板10の傾斜角度が増加する(図1)。また、前記感圧室145a内の圧力が低くなると、前記ベローズ146は、ばね159とベローズ146自身の復元力により伸長し、弁体132が弁孔125の開度を増加する方向に移動して、弁室123内に導かれる高圧の冷媒ガスの量が増大(クランク室圧力Pcが増加)し、図1の状態における斜板10の傾斜角度は減少する。 【0042】これに対し、熱負荷が小さくなる場合には、高圧の冷媒ガスが吐出室12からクランク室8に流出し、該クランク室8の圧力が高くなる。そして、圧縮行程中のピストン7のリヤ面に生じる力が大きくなり、ピストン7のリヤ面に生じる力の総和が、ピストン7のフロント面に生じる力の総和を上回ることによって斜板10の傾斜角度が小さくなる。 【0043】ここで、前記吐出室12とクランク室8との圧力差が所定値以下になり、スプール弁31の上側に作用するクランク室8の圧力とばね32の付勢力との合力が、スプール弁31の下側に作用する吐出室12の冷媒ガスの圧力に打ち勝つ場合には、スプール弁31が閉弁方向に移動して吐出通路39を遮断し(図2)、吐出口1aからコンデンサ88への冷媒ガスの流出が阻止される。なお、斜板10の傾斜角度が最大から最小となるときには、斜板10のボス部10bがリング9の孔58cをほぼ塞ぎ、第一の通路58の通路断面積を大幅に減少させるが、クランク室8内の冷媒ガスは第三の通路60を通じて吸入室13に流れるため、クランク室8内の過度の圧力上昇は抑制され、圧縮機1内における冷媒ガスの循環が可能になる。すなわち、この場合に冷媒ガスは、吸入室13、圧縮室82、吐出室12、第二の通路57、クランク室8及び第三の通路60を経て再び吸入室13に戻る。本実施形態では、吐出制御弁としてのスプール弁31の一方に、クランク室8の圧力を作用させ、スプール弁31の他方に吐出室12の圧力を作用させる構造を採用し、スプール弁31として閉弁方向に付勢する比較的小さなばね力を有するばね32を用いており、熱負荷が小さくなって吐出室12の圧力が次第に低下したときには最小ピストンストローク(極低負荷)になり、斜板10が第一の通路58の通路面積を減少させるまで、スプール弁31は開いた状態に保たれる。 【0044】このように、熱負荷が小さくなり、前記ソレノイド131Aが消磁される場合には、プランジャ133に対する吸引が消失され、前記開弁ばね144の付勢力により、前記プランジャ133が前記吸引子141側から離れる方向に移動し、弁体132が、制御弁本体120の弁孔125を開放する方向に移動し、クランク室8への流入が促進される。ここで、前記感圧部145内の圧力が上昇すると、前記ベローズ146が収縮し、弁体132の開度が減少するが、前記ステム138の下端部138bは、前記ベローズ146のストッパ147に対して接離自在に装着されているため、前記ベローズ146の変位が弁体132に対して影響を与えることはない。 【0045】以上のように本実施形態の制御弁100は、中央部に、ソレノイド131Aの励磁によって上下方向に移動するプランジャ133を備えたソレノイド励磁部130と、該ソレノイド励磁部130の下側にステム138等を介してプランジャ133と連動するベローズ146を配設した感圧部145と、前記ソレノイドハウジング131の上側にプランジャ133と連動する弁体132等を配設した弁室123を有する制御弁本体120とによって形成されているため、感圧室145aとソレノイド131Aとが接近配設され、ソレノイド131Aの吸引による作用点とベローズ146による作用点とが近づき、作動杆を構成する弁体132及びステム138の閉弁方向への移動時におけるガタ付きを必要最小限に抑えることができる。 【0046】ストッパ124は、弁孔125と同じ断面積の有底縦孔の圧力室151を有し、該圧力室151と空隙部139とは横孔153によって連通するとともに、前記空隙部139とプランジャ室130aとはキャンセル孔155によって連通しているため、制御弁本体120のプランジャ室130aの圧力と圧力室151の圧力が、ともに吸入圧力Psとなり、弁体132の可動方向の上下端部における圧力は常に等しくなる。よって、前記従来例の弁体上下をクランク室圧力Pcとする場合のように、クランク室圧力Pcの増減により、弁体に作用する力が変化して弁体上下のバランスが変わるのに対して、本実施形態では、弁体132上下において常にバランスを保つことができる。また、圧縮機1の最大吐出容量運転が行われる場合にも、吐出圧力Pdによって弁体132が弁座125aに強く押しつけられて、圧縮機1の第二の通路57への冷媒ガスの供給が困難になることを防ぐことができる。このため、同じ電流値に対して弁孔125の開度を同じに制御することができる。 【0047】 【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明に係る可変容量型圧縮機用制御弁は、棒状体の弁体の上下両端に冷媒ガスの吸入圧力を作用させてバランスした構成としたので、冷媒ガスの圧力変化に基く弁体の作動の悪影響をなくして弁体の開閉精度を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391002166 【氏名又は名称】株式会社不二工機 【識別番号】000003333 【氏名又は名称】株式会社ゼクセル
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| 【出願日】 |
平成10年10月16日(1998.10.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−120912(P2000−120912A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−295492 |
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