トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 ソレノイドバルブ
【発明者】 【氏名】比嘉 栄二

【要約】 【課題】応答性の向上を図ると共に制御特性の安定化を図ったソレノイドバルブを提供する。

【解決手段】流体収納可能領域R1内の流体を受けるための流体受け部としての領域R2を形成して、エア溜りとして機能させており、この領域R2は、シム8を嵌合させるために貫通孔の一部に形成する大径41a部分を軸方向に延長させることで、その容積を設定することができ、領域R2の容積を、流体収納可能領域R1の容積の略2倍に設定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】励磁手段が励磁状態の時にセンターポストに吸引されるプランジャと、励磁手段が非励磁状態の時に前記プランジャをセンターポストから離間させる方向に付勢する付勢手段と、前記センターポストに設けられた貫通孔内に往復動自在に配置されると共に、一端側が前記プランジャに固定されて、他端側でバルブの開閉を行うバルブ開閉手段が設けられたロッドと、を備えたソレノイドバルブにおいて、前記センターポストに設けられた貫通孔とロッドとの間にプランジャ側の流体を受ける流体受け部を設けると共に、該流体受け部の容積は、前記プランジャがセンターポストから最も離間した際の、プランジャとセンターポストとの間の流体収納可能容積の少なくとも同容積を備えることを特徴とするソレノイドバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば各種油、空圧機器等に用いられるソレノイドバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5を参照して従来技術に係るソレノイドバルブについて説明する。図5は従来技術に係るソレノイドバルブの概略構成一部破断断面図である。
【0003】図に示したソレノイドバルブ100は、いわゆるスプール弁タイプのソレノイドバルブである。
【0004】図中、101は通電されることにより励磁するコイルであり、102はコイル101の励磁によりセンターポスト103に吸引されるプランジャである。
【0005】また、104はロッドであり、センターポスト103の軸心を通るように形成された貫通孔に配置されて、一端がプランジャ102に固定されており、プランジャ102と共に、往復動することで、バルブ部105のバルブ(ポート)の開閉を行なわせるものである。
【0006】なお、より具体的には、ロッド104の他端側に設けられたスプール106がポートの開閉を行なう。
【0007】107は、コイル101が非励磁状態の際にスプール106およびロッド104を介してプランジャ102をセンターポスト103から離間する方向に移動させるためのスプリングである。
【0008】以上のような構成により、コイル101への通電・非通電のタイミング(例えばディザ信号による電流制御)によって、バルブ部105のバルブ開閉タイミングを調整して、流体の流量や圧力を制御するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。
【0010】以下、図4を参照して問題点について説明する。図4は図5中C2部分の拡大図である。
【0011】図4はコイル101の非通電時、すなわち、プランジャ102がスプリング107の付勢力によって、センターポスト103から最も離間した状態にある場合の様子を示している。
【0012】ここで、プランジャ102とセンターポスト103との間で形成された領域(流体収納可能領域R3(図中網線領域))内の流体は、プランジャ102がセンターポスト103に吸引された場合に、プランジャ102に押し出されて、センターポスト103の外周壁に形成された溝103aを通ってソレノイドバルブ100の外に流出される。
【0013】ところで、コイル101を通電状態から非通電状態に移行した場合に、プランジャ102をセンターポスト103から良好に離間させるために、非磁性体であるシム106をプランジャ102とセンターポスト103との間に介在させている。
【0014】このシム106は、上述したプランジャ102に形成した貫通孔の一部を大径にして嵌合させる構成としている。
【0015】ここで、貫通孔のうち大径にした部分の長さはシム106が嵌合される長さよりも長く設定しておき、流体を収納可能な領域(空間領域R4(図中××領域))を形成させている。
【0016】なお、シム106に溝や切欠き等を設けて流体の流路を確保している。
【0017】したがって、プランジャ102がセンターポスト103に吸引された場合には、流体収納可能領域R3の流体の一部は、空間領域R4に逃げ込むことも可能に構成されている。
【0018】しかしながら、作動初期状態においては、上述した流体収納可能領域R3にはエアーが滞留しており、プランジャ102が複数回往復移動しなければ、エアーが完全に抜けきらない。
【0019】したがって、作動初期状態では、エアーの一部は、溝103aあるいは空間領域R4に逃げ込むものの、エアーの一部は逃げることができずに、流体収納可能領域R3にエアーが残ったままプランジャ102が動作を続けるため、ダンピング現象(チャタリング)が発生してしまい、安定した制御(油圧制御)が得られなかった。
【0020】また、このようにエアーが逃げられないことで、応答性にも影響が出てしまい、応答遅れが生じていた。
【0021】特に、エアーが残ったままの状態がしばらく続いてしまい、制御が安定するまでに長時間要する場合もあった。
【0022】本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、応答性の向上を図ると共に制御特性の安定化を図ったソレノイドバルブを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、励磁手段が励磁状態の時にセンターポストに吸引されるプランジャと、励磁手段が非励磁状態の時に前記プランジャをセンターポストから離間させる方向に付勢する付勢手段と、前記センターポストに設けられた貫通孔内に往復動自在に配置されると共に、一端側が前記プランジャに固定されて、他端側でバルブの開閉を行うバルブ開閉手段が設けられたロッドと、を備えたソレノイドバルブにおいて、前記センターポストに設けられた貫通孔とロッドとの間にプランジャ側の流体を受ける流体受け部を設けると共に、該流体受け部の容積は、前記プランジャがセンターポストから最も離間した際の、プランジャとセンターポストとの間の流体収納可能容積の少なくとも同容積を備えることを特徴とする。
【0024】したがって、流体受け部を設けたのでプランジャとセンターポストとの間にある流体中にエアーが滞留した状態で、作動を開始させた場合でも、エアーは流体受け部の中に逃げ込むことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がないかぎりは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】まず、図1を参照して、ソレノイドバルブ1の全体の構成等について説明する。
【0027】図1は本発明の実施の形態に係るソレノイドバルブの概略構成図であり、図1(a)はソレノイドバルブ全体の一部破断断面図であり、図1(b)はソレノイドバルブを構成するセンターポストの平面図(図1(a)中右から左方向に見た平面図)であり、図1(c)は図1(b)中AB断面図である。
【0028】なお、図1(a)中のセンターポストは図1(b)中AC断面を示している。
【0029】また、図1(a)においては、説明簡単のため、破断部を所々変えた断面図としており、図中D1,D2,D3,D4部で破断部を変更している。
【0030】ソレノイドバルブ1は、大別して、ソレノイド部1aと、バルブ部1bとから構成される。
【0031】ソレノイド部1aには、ケース12内に励磁手段としてのコイル2がモールド内に一体成形された状態で配置されている。
【0032】このコイル2にコネクタ部10(10aは端子)を介して通電すると、磁性体である、プランジャ3,センターポスト4およびプレート9を通るように磁路が形成されて(励磁状態)、固定されたセンターポスト4に対して、可動に設けられたプランジャ3が吸引される。
【0033】また、センターポスト4には、その軸心を通るように貫通孔41が形成されており、この貫通孔41内にロッド5が往復動自在に配置されている。
【0034】そして、ロッド5の一端側はプランジャ3に固定(図示の例ではプランジャ3に設けた穴部にロッド5を差し込み固定)されており、プランジャ3の移動と共にロッド5は往復動を行う。
【0035】また、プランジャ3とセンターポスト4との離間性能を良くするために、これらの間に非磁性体であるシム8が設けられている。
【0036】このシム8は、上述した貫通孔41の一部を大径41a(図1(c)参照)として、シム8を嵌合している。
【0037】さらに、センターポスト4のシム8を嵌合した側と反対側には軸受け11が備えられてロッド5の位置決めを行っている。
【0038】一方、バルブ部1bには、ソレノイドバルブ1の外部と流体の流通を行うポートとして、入力ポートP1,コントロールポートP2,ドレインポートP3,P4が設けられている。
【0039】そして、上述したロッド5の他端側(バルブ部1b)には、バルブ開閉手段を構成するスプール6が固定されており、ロッド5の往復動に伴って往復移動する。
【0040】すなわち、コイル2に通電して励磁状態とすると、プランジャ3がセンターポスト4に吸引されて、図1(a)中左側に移動して、ロッド5を介してスプール6も左側に移動し、入力ポートP1とコントロールポートP2の流路を連通(開放)し、かつドレインポートP3を閉じた状態とし、また、コイル2へ非通電として非励磁状態とすると、付勢手段であるスプリング7の付勢力によりスプール6は図中右側に移動し、入力ポートP1を閉じ、かつコントロールポートP2とドレインポートP3の流路を連通(開放)した状態とする。
【0041】なお、非励磁状態とした場合には、スプリング7の付勢力によりスプール6が図中右側に移動するのに伴い、ロッド5を介してプランジャ3もセンターポスト4から離間する。
【0042】以上のように構成されたソレノイドバルブ1においては、コイル2への通電・非通電のタイミングを制御(例えばディザ信号による電流制御)することによって、各ポートの開閉タイミングを制御することで、流体の流量や圧力を制御(コントロールポートP2に出力する油圧制御)するものである。
【0043】また、図中O1〜O5は各部で流体の漏れを防止するOリングである。
【0044】また、図中Sで示した部分は段差部を示しており、すなわち、スプール6を構成するランド6aとランド6bの径の差異に対応して、内壁の径を異ならせるために段差が設けられている。
【0045】以下、図2を参照して、ランド6aとランド6bの径に差異を設けた理由を簡単に説明する。
【0046】図2はスプールと各ポート等の関係を模式化した模式図である。
【0047】ある電流を流した時のソレノイド推力(FK )に対して、釣合式FK =PS (油圧力)+FS (スプリング力)が成立する。
【0048】この時、スプール6は2次圧P2 (Aポート(図1におけるコントロールポートP2に相当)の圧力)を確保すべくPポート(図1における入力ポートP1に相当)を開き、バランスする。
【0049】なお、スプール6はソレノイドがディザ制御により作動しているため、微振動している。
【0050】ここで、スプール6に作用する軸方向の力(油圧力)は、ランド6aの径(A)とランド6bの径(B)との差により決定され、以下の式で表される。
【0051】PS =[(B2 −A2 )×π/4]×P2以上の理由からスプール6を構成するランド6aとランド6bの径に差異を設けている(径が等しいと上式よりPS =0となってしまう)。
【0052】次に、本実施の形態の特徴である、作動初期状態における残留エアーによる悪影響を防止する構成等について、特に、図3を参照して説明する。
【0053】図3は図1中C1部の拡大図である。
【0054】図3はコイル2の非通電時、すなわち、プランジャ3がスプリング7の付勢力によって、センターポスト4から最も離間した状態にある場合の様子を示している。
【0055】ここで、プランジャ3とセンターポスト4との間で形成された領域(流体収納可能領域R1(図中網線領域))内の流体は、プランジャ3がセンターポスト4に吸引された場合に、プランジャ3に押し出されて、センターポスト4の外周壁に形成された溝42(図1(b),(c)参照)を通って、ドレインポートP34を介してソレノイドバルブ1の外に流出される(図1(a)中矢印Y方向に流出される)。
【0056】ここで、本実施の形態においては、流体収納可能領域R1内の流体を受けるための流体受け部としての領域R2(図中××領域)を形成して、エア溜りとして機能させている。
【0057】この領域R2は、シム8を嵌合させるために貫通孔41の一部に形成する大径41a部分を軸方向に延長させることで、その容積を設定することができ、本形態例においては、領域R2の容積は、流体収納可能領域R1の容積の略2倍に設定している。
【0058】なお、シム8に溝や切欠き等を設けて流体の流路を確保している。
【0059】以上のように構成したことによって、流体収納可能領域R1内にエアーが滞留した状態で作動を開始して、プランジャ3がセンターポスト4に吸引された場合に、溝42から逃げられなかったエアーについても、領域R2の容積が流体収納可能領域R1の容積に比べて十分に大きいことで、エアーは領域R2に逃げ込むことができ、流体収納可能領域R1にエアーが残ったままの状態でプランジャ3が動作し続けることを防止でき、立ち上げ時の応答性を向上させると共に、ダンピング現象(チャタリング)の発生を防止して、安定した制御(油圧制御)を得ることが可能となる。
【0060】なお、上述の説明では、領域R2の容積を、流体収納可能領域R1の容積の略2倍に設定した場合について説明したが、理論上では、領域R2の容積は少なくとも流体収納可能領域R1の容積と同じだけあれば良いことになる。
【0061】ただし、実際には、この領域R2の容積の設定に関して、センターポスト4の長さ寸法・径寸法、ロッド5の径寸法を考慮し、流体中のエアーの状態に合わせて、流体受け部の容積(領域R2の容積)の設定を最適なものとすることによって、効率良くエアーを逃がすことができる。
【0062】その一例として、上述のように、流体収納可能領域R1の容積の略2倍に設定して実施した結果、充分な効果が得られた。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、プランジャとセンターポストとの間にある流体中にエアーが滞留した状態で作動を開始させた場合でも、エアーが滞留したままの状態でプランジャを動作し続けることを防止でき、応答性を向上させると共に制御特性を安定化させることができる。
【出願人】 【識別番号】000004385
【氏名又は名称】エヌオーケー株式会社
【出願日】 平成10年10月14日(1998.10.14)
【代理人】 【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
【公開番号】 特開2000−120911(P2000−120911A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−307912