| 【発明の名称】 |
スプール弁型電磁弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 直樹
【氏名】宮川 浩
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| 【要約】 |
【課題】スプールの固着を解除するため、リニアソレノイドへの通電制御によってリニアソレノイドの最大出力よりも遥かに大きな力をスプールに加えることができるようにする。
【解決手段】リニアソレノイド20のプランジャー22を復帰させるスプリング29を設置し、リニアソレノイド20の非通電時はプランジャー22とスプール16の対向端間に隙間δを発生させる。リニアソレノイド20の通電制御中にスプール16が固着したときは、リニアソレノイド20の通電を中断した後、リニアソレノイド20を一時的に最大電流を通電してプランジャー22を加速シスプール16に衝突させ、その衝撃力でスプール16の固着を解除する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダボアとこのシリンダボアにそれぞれ開口する圧油の入口、出口および排出口を設けたバルブボデーの前記シリンダ内に、前記入口から前記出口へ流れる圧油の通路面積および前記出口から前記排出口へ流れる圧油の通路面積をそれらの増減が反対となるようにそれぞれ可変させるスプールを摺動自在に設置し、このスプールには少なくともリニアソレノイドの出力と第1スプリングの力を互いに対抗するように加えるとともに前記第1スプリングの力による前記スプールの一方向へのストローク端を限定するストッパーを設置し、更に、前記リニアソレノイドの出力がゼロの場合に前記リニアソレノイドのプランジャーを所定の復帰位置まで復帰させて前記プランジャーと前記スプールの対向端部間に所定量以上の隙間を生じさせる第2スプリングを設置したことを特徴とするスプール弁型電磁弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この出願の発明は、流量制御弁や圧力制御弁に適用するスプール弁型電磁弁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のスプール型電磁弁においては、一般的に、圧油の入口、出口および排出口を有するバルブボデーの内部に摺動自在に設置したスプールにリニアソレノイドの出力とスプリングの力とを互いに対抗するように加えるか、或いはリニアソレノイドの出力と出口油圧(またはリニアソレノイドの出力および出口油圧とスプリングの力)とを互いに対抗するように加えてスプールを駆動する。この場合、リニアソレノイドのプランジャーとスプールとは常に一体的に動き、リニアソレノイドによってスプールに加えることができる力はリニアソレノイドの最大出力である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のスプール型電磁弁の問題点として、リニアソレノイドの出力およびスプリングの力を小さくした場合に作動油に混入した異物の噛み込み等によってスプールの固着が発生し易く、スプールの固着が発生したときにはスプールの固着を解除することができないために油圧システムが機能しなくなると言うことが挙げられる。 【0004】そのようなスプールの固着を抑制する方法として、リニアソレノイドの出力およびスプリングの力を大きくすることが挙げられるが、リニアソレノイドの出力を大きくするとその発熱が増大し、耐熱性確保のためにリニアソレノイドを大型化せざるを得ず、インダクタンスが大きくなって応答性が悪化する。 【0005】この出願の発明は、スプールの固着を解除するために、リニアソレノイドへの通電制御によってリニアソレノイドの最大出力よりも遥かに大きな力をスプールに加えることができるようにしたスプール型電磁弁を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】この出願の請求項1の発明は、シリンダボアとこのシリンダボアにそれぞれ開口する圧油の入口、出口および排出口を設けたバルブボデーの前記シリンダ内に、前記入口から前記出口へ流れる圧油の通路面積および前記出口から前記排出口へ流れる圧油の通路面積をそれらの増減が反対となるようにそれぞれ可変させるスプールを摺動自在に設置し、このスプールには少なくともリニアソレノイドの出力と第1スプリングの力を互いに対抗するように加えるとともに前記第1スプリングの力による前記スプールの一方向へのストローク端を限定するストッパーを設置し、更に、前記リニアソレノイドの出力がゼロの場合に前記リニアソレノイドのプランジャーを所定の復帰位置まで復帰させてこのプランジャーと前記スプールの対向端部間に所定量以上の隙間を生じさせる第2スプリングを設置したことを特徴とするスプール弁型電磁弁である。 【0007】このようなスプール弁型電磁弁においては、リニアソレノイドへの通電中にスプールが固着した場合(スプールの固着の検出は、例えば、この電磁弁により作動油を給排されるアクチュエータの動作とリニアソレノイドに流す電流値の変化との間の対応関係を監視することで検出できる)、リニアソレノイドへの通電を中断し、第2スプリングによりリニアソレノイドのプランジャーを所定の復帰位置まで復帰させてプランジャーとスプールの対向端間に所定量以上の隙間(固着したスプールに位置に応じて変わる)を発生させ、その後リニアソレノイドに対し、例えばその最大出力に対応する電流値を一時的に流してプランジャーを加速しスプールに衝突させ、リニアソレノイドの最大出力よりも遥かに大きな力をスプールに加える。プランジャーをスプールに衝突させることによってスプールに加えることができる力は、リニアソレノイドの最大出力の10倍〜100倍であり、このような大きな力はリニアソレノイドの通電制御により繰り返し加えることができ、従ってスプールの固着を解除することができる。 【0008】尚、プランジャーとスプールは、できるだけ固い材料で製作すると共に両者の固さを同等にすることが望ましい。 【0009】また、スプールが固着していない場合は、リニアソレノイドへの通電開始当初の電流増加率を小さくしてプランジャーのスプールへの衝突を防止すればよい。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は、この出願の発明に係る流量制御用のスプール弁型電磁弁の構成を示す略図である。図1に示すように、スプール弁型電磁弁10は、シリンダボア12とこのシリンダボア12にそれぞれ開口する圧油の入口13、出口14および排出口15を設けたバルブボデー11と、ランド17、18および19を有し、シリンダボア12内に摺動自在に嵌挿したスプール16と、バルブボデー11に固定された固定のコア21、可動のプランジャー22、ヨーク23およびコイル24を有し、スプール16を図1で左方向へ付勢する出力を発生するリニアソレノイド20と、スプール16を図1で右方向へ付勢する力を発生するコイルスプリング25および26と、スプール16のスプリングリテーナ27が当接、離間するようにリニアソレノイド20のコア21に設けられたストッパ28と、プランジャー22を図1で右方向へ付勢するコイルスプリング29とからなる。 【0011】コイルスプリング25および29の力はコイルスプリング22の力に比べて遥かに小さいものであり、リニアソレノイドの出力と実質的に対抗する力はコイルスプリング22により発生される。 【0012】入口13は所定圧力範囲の圧油を蓄積するアキュームレーター30と接続され、出口14は油圧作動のアクチュエーター31と接続され、排出口15はリザーバー32と接続される。 【0013】コイルスプリング25、26および29は線形特性を有するものである。また、リニアソレノイド20はそのコイル24に流れる電流値に対応した出力を発生するものである。リニアソレノイド20のコイル24に電流を流さない場合、コイルスプリング22および23がスプール16を、図1に示すようにリテーナ27がストッパー28に当接した所定の初期位置に位置決めする。また、リニアソレノイド20のコイル24に電流を流さない場合、プランジャー22がコイルスプリング29によって図1に示す所定の復帰位置に復帰させられる。図1においては、プランジャー22とスプール16の対向端間には所定量の隙間δが存在する。コイルスプリング29に抗してプランジャー22をスプール16側へ摺動させるためにコイル24に流さなければならない電流値は、スプール16をコイルスプリング22に抗して摺動させるためにコイル24にながさなければならない電流値に比べて遥かに小さいものである。従って、スプール16は、実質的にコイルスプリング22の力とリニアソレノイド20の出力とがバランスする位置へ摺動するので、スプール16の初期位置からのストローク量はリニアソレノイド20への電流値によって制御できる。 【0014】図1の状態では、入口13から出口14への圧油の通路が完全に遮断されると共に出口14から排出口15への圧油の通路が最大に開かれる。リニアソレノイド20に電流を流しかつその電流値を所定の最大値に向けて逐次増大させていくと、プランジャー22が図1で左方向に摺動してスプール16に当接し、その後はプランジャー22とスプール16とが一体的に左方向へ摺動する。スプール16の左方向への摺動に伴い、出口14から排出口15への圧油の通路面積が逐次減少し、出口14が入口13および排出口15の両方から遮断された状態に至り、更には入口13から出口14への圧油の通路が開かれかつその通路面積が逐次増大し、最後には入口13から出口14への圧油の通路面積が最大となる。従って、リニアソレノイド20への通電制御によって、アクチュエータ31の可動部材の位置および移動速度を制御することができる。 【0015】ところで、リニアソレノイド20に通電してアクチュエータ31の作動を制御している最中に作動油中に混入している異物の噛み込みなどによりスプール16が固着すると、アクチュエータ31の可動部材の位置が固定化し、油圧システムが機能しなくなる。この出願の発明に係るスプール弁型電磁弁10は、図1に示されるように、リニアソレノイド20に通電しない状態では、プランジャー22とスプール16の対向端間に少なくとも所定量δの隙間が存在する。従って、図1の状態においてリニアソレノイド20にその最大出力に対応する電流値を一時的(パルス的)に流すと、プランジャー22が左方向に最大に加速されてスプール16に衝突し、スプール16に左方向の大きな力が加わる。このようにしてスプール16に大きな力を加えることによってスプール16の固着を解除することができる。 【0016】プランジャー22をスプール16に衝突させることによってスプール16に加えることができる力をシミュレーションによって求めた際のシミュレーションモデルを図2に、またプランジャーのストローク量に対するプランジャーの運動エネルギーの関係を図3に、更にプランジャーのストローク量に対する衝突力(スプールが受ける力)の関係を図4にそれぞれ示す。図2において、Kpはコイルスプリング22のばね定数(Kgf/mm)、Cpはスプール16の摺動部の摩擦などによる減衰係数(N s/mm)、Mpはプランジャー22の質量(g)、Vpはプランジャー22の速度(mm/sec)、Fpはリニアソレノイド出力(N)、Xpはプランジャー22のストローク量(mm)、Kはプランジャー22およびスプール16の表面剛性で決まるばね定数、Xsはばね定数Kによる撓み量である。使用したプランジャーの運動方程式は次の通りである。 【0017】Mp・d2Xp /dt2 =Fp−Cp・dXp /dt−Kp・Xpまた、プランジャー22の運動エネルギーEpは、次の式で表わされる。 【0018】Ep=1/2・Mp・Vp2更に、衝突力(スプール16が受ける力)Fsは、次の式で表わされる。 【0019】Fs=k・XsMpを30(g)、Kpを0.2(kgf/mm)、kを1.18e8(N/m)、Cpを0.06(N s/mm)、Fpを16(N)とした場合のEp、Fsが図3、図4にそれぞれ示される。図4に示されるように、プランジャー22のストローク量が約3.5mmに達するまでの範囲ではリニアソレノイド20の出力16(N)の10倍を超える衝突力が得られるので、スプール16の固着を容易に解除することができる。 【0020】尚、図1には流量制御用のスプール弁型電磁弁を示したが、この出願の発明は圧力制御用のスプール弁型電磁弁にも適用できるものである。 【0021】 【発明の効果】以上に説明したように、この出願の請求項1のスプール弁型電磁弁は、リニアソレノイドへの通電制御によってリニアソレノイドの最大出力よりも遥かに大きな力をスプールに加えることができるようにしたので、スプールの固着が発生してもリニアソレノイドの通電制御によって容易に固着を解除することができ、油圧システムの機能を回復させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000011 【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月19日(1998.10.19) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−120909(P2000−120909A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−296674 |
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