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【発明の名称】 消火ガス装置用バルブ
【発明者】 【氏名】吉田 仁

【要約】 【課題】簡単な構造で安価に製造できる消火ガス装置用バルブを提供する。

【解決手段】バルブ本体10を形成する第1半体11と第2半体12とを隔壁13を介して接続し、隔壁13の第1半体側に高圧の消火用ガス源と連通可能な開口11cを有する第1室11aを形成するとともに、隔壁13の第2半体12側に消火対象区画内へ向かう管路と連通可能な開口12cを有する第2室12aを形成し、該第2室12a内に、上記第2半体12を貫通して形成された刺通手段15を設け、該刺通手段によって上記隔壁13を刺通可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バルブ本体と、該バルブ本体内に形成され高圧の消火用ガス源と連通可能な第1室と、上記バルブ本体に形成され消火対象区画内へ向かう管路と連通可能な第2室と、これら第1室と第2室とを区画する隔壁と、上記バルブ本体に設けられ上記隔壁に向かって進退自在に設けられた刺通手段と、を有することを特徴とする消火ガス装置用バルブ。
【請求項2】 上記隔壁が、上記第1室から第2室に向かって突出する曲面状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の消火ガス装置用バルブ。
【請求項3】 バルブ本体を形成する第1半体と第2半体とを隔壁を介して接続し、隔壁の第1半体側に高圧の消火用ガス源と連通可能な開口を有する第1室を形成するとともに、隔壁の第2半体側に消火対象区画内へ向かう管路と連通可能な開口を有する第2室を形成し、該第2室内に、上記第2半体を貫通して形成された刺通手段を設け、該刺通手段によって上記隔壁を刺通可能にしたことを特徴とする消火ガス装置用バルブ。
【請求項4】 上記第1室の開口と第2室の開口とが、隔壁の両側に相対向して配置され、上記隔壁が上記第2室に突出する曲面形状を有し、上記刺通手段が上記第1室の開口と第2室の開口の中心を結ぶ線に対してほぼ直交する方向に進退するカッターナイフを有することを特徴とする請求項3記載の消火ガス装置用バルブ。
【請求項5】 上記刺通手段が、エアーシリンダ、油圧シリンダ、ソレノイドのいずれかにより駆動されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の消火ガス装置用バルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消火ガス装置に使用されるバルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】消火対象区域内、たとえば、1つの密閉された室内空間に消火ガスを噴出し、室内の消火ガス濃度を消炎濃度以上にすることによって消火する消火ガス装置が知られている。消火ガスとしては、従来、二酸化炭素やハロンガス等の不活性ガスが使用されていた。
【0003】これら二酸化炭素やハロンガス、アルゴン、窒素、およびこれらの混合ガスを使用する消火設備は、急速に火災を鎮火できること、火災現場において消火剤による汚染がほとんどないこと、電気の絶縁性を損なわないこと、消火剤がガスであり小さな隙間からでも浸透できるので、構造が複雑な場所でも確実な消火効果を得られること、消火ガスの経年変化がなく、長期間の保存に耐えられること、などの多くの利点から多様な場所で広く使用されている。
【0004】一方、最近になって、ハロンガスによるオゾンホールの問題が世界的な規模で論じられるようになり、ハロンガスは事実上使用不可能となった。ハロンガス以外で消火剤として有力なガスには、アルゴンや二酸化炭素、窒素およびこれらの混合ガスがある。
【0005】二酸化炭素を用いた消火設備については、次のような問題がある。第1に、消火時の二酸化炭素の濃度は、約35%に設計されているが、消火区域に人が存在していると、二酸化炭素の毒性によって、人命に係わる事態が発生するおそれがある。また、火災ではないのに消火装置の誤作動により消火ガスが噴出すると、室内にいる人達について、同様のおそれがある。
【0006】第2に、液化した二酸化炭素を使用すると、噴射ノズルから放出されたとき、周囲から気化熱を奪い、周囲の温度が下がって空気中の水分が結露し、霧がかかった状態となって、消火活動の障害になる。また、電気機器の絶縁不良を起こすおそれもある。
【0007】第3に、二酸化炭素は空気より重いので、火災現場の下方に滞留し、消火効果が低下してしまう。
【0008】このような問題から、各種の混合型の不活性消火ガスが使用されるようになってきた。そのような消火ガスの1例として、窒素ガス: 52体積%二酸化炭素: 8体積%アルゴン: 40体積%の不活性ガスがある。
【0009】この不活性ガスは、液化させると、上述したのと同様に霧の問題を生じるので、液化させず、高圧の状態で蓄えて置いて使用する。ただし、液化せずにガスを貯蔵すると、その体積は数倍になるので、ボンベの数が数倍に増えることになる。そして、各ボンベそれぞれに、バルブが必要である。
【0010】また、通常の消火設備では、一カ所に多数の消火ガスのボンベを設置し、ここから複数の部屋に消火ガスを供給できるように配管し、火災の起きた部屋に通じる配管に設けられたバルブを開けて、その部屋のみに消火ガスを放出するようにしている。したがって、各部屋ごとにバルブを備える必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように1つの消火設備には、従来以上の数の消火装置用のバルブが必要になってきたが、従来のバルブは構成が複雑で、かなり高価なものである。そのため、消火設備の製造コストを押し上げていた。本発明は、従来の装置の欠点を除去するように考えられたもので、簡単な構造で安価に製造できる消火ガス装置用バルブを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の消火ガス装置用バルブは、バルブ本体と、該バルブ本体内に形成され高圧の消火用ガス源と連通可能な第1室と、上記バルブ本体に形成され消火対象区画内へ向かう管路と連通可能な第2室と、これら第1室と第2室とを区画する隔壁と、上記バルブ本体に設けられ上記隔壁に向かって進退自在に設けられた刺通手段とから構成されている。
【0013】請求項2の消火ガス装置用バルブは、上記隔壁が、上記第1室から第2室に向かって突出する曲面状に形成されている。
【0014】請求項3の消火ガス装置用バルブは、バルブ本体を形成する第1半体と第2半体とを隔壁を介して接続し、隔壁の第1半体側に高圧の消火用ガス源と連通可能な開口を有する第1室を形成するとともに、隔壁の第2半体側に消火対象区画内へ向かう管路と連通可能な開口を有する第2室を形成し、該第2室内に、上記第2半体を貫通して形成された刺通手段を設け、該刺通手段によって上記隔壁を刺通可能にした構成である。
【0015】請求項4の消火ガス装置用バルブは、上記第1室の開口と第2室の開口とが、隔壁の両側に相対向して配置され、上記隔壁が上記第2室に突出する曲面形状を有し、上記刺通手段が上記第1室の開口と第2室の開口の中心を結ぶ線に対してほぼ直交する方向に進退するカッターナイフを有する構造である。
【0016】請求項5の消火ガス装置用バルブは、上記各請求項の刺通手段が、エアーシリンダ、油圧シリンダ、ソレノイドのいずれかにより駆動される構成である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面によって詳細に説明する。図1は本発明の消火ガス装置用バルブの断面図である。同図において、バルブ本体10は、下側の第1半体11と、上側の第2半体12とからなり、これらを各半体に形成されたフランジ11a,12aで図示しないボルト等によって締め付けて接続したものである。フランジ11a,12aの接続部には、金属製の薄板からなる隔壁13が挿入され、両側にゴム等で形成されたパッキン14,14を挟んで気密な状態に接続され、バルブ本体10内を隔壁13で分けられた第1室11bと第2室12bとに分割している。隔壁13は、金属製の薄板を曲面状に第2室12bの方へ突出するように湾曲させた形状であるが、この曲面としては、球面、楕円面、放物面など種々の面を採用することができる。
【0018】第1室11bの下方には高圧消火ガスの供給源と接続するための開口11cを有し、第2室の上方には、消火ノズル側への配管と接続する開口12cを有する。2つの開口11c,12cは、隔壁13を介して相互にほぼ向かい合う位置にある。
【0019】第2半体12のフランジ12a近くには、カッターナイフ15aと、このカッターナイフの駆動手段15bとからなる刺通手段15が設けられている。カッターナイフ15aは第2半体12の側面に形成された孔12d内に設置され、本体の外部から内部に貫通している。駆動手段15bとして、実施例ではエアーシリンダを使用しているが、油圧シリンダやソレノイド等を使用してもよい。また、手動とすることも可能である。駆動手段15bはカッターナイフ15aが設けられる孔12dを気密に封止するように構成されている。また、この実施例では、カッターナイフ15aは、開口11cの中心と、開口12cの中心とを結ぶ線とほぼ直交する方向に進行するように設けられている。
【0020】上記の消火ガス装置用バルブは、図1の下端の開口11cに高圧の消火ガスボンベからの管を接続し、図1の上端の開口12cに消火ノズルに至る管路を接続する。
【0021】複数の部屋のいずれかで火災が発生すると、この消火対象区画となる部屋に設置された消火ノズルに達する管路内にあるバルブの駆動手段15bが作動してカッターナイフ15aが隔壁13に向かって前進し、カッターナイフ15aが、その先端で隔壁13を突き破る。
【0022】カッターナイフ15aが隔壁13を突き破ると、丁度膨らんだゴム風船を針でつついたように、高圧の消火ガスがこの孔から噴出し、その勢いで隔壁13を破断して消火ガスが消火ノズルへと勢いよく流れ込み、火災を消火することになる。このとき、開口11c,12cが隔壁13を挟んで対向する位置にあると、消火ガスの流れがスムーズになる。
【0023】なお、消火ガスの高圧ボンベから複数の部屋のいずれかに達する管路には、このようなバルブが1つとは限らず、複数個が設置される場合もある。そのような場合は、まず、高圧のガスボンベに最も近いバルブが上記の要領で開放され、次のバルブの第1室が十分に高圧になってから刺通手段15で刺通して隔壁を破断することになる。
【0024】ところで、消火ガスは、その圧力が110〜203kg/cm2 程度あるので、隔壁13は、通常は、この高圧に十分耐えることができなければならない。また、火災発生時にあっては、隔壁は刺通手段15で刺通されたとき、消火ガスの圧力で一気に破断しなければならない。このような目的に合った金属材料としては、ステンレス304が適していが、これに限定されるものではなく、刺通手段15で刺通されたときに消火ガスの圧力で一気に破断する材質のものであれば良い。
【0025】また、刺通手段15を、エアーシリンダ、油圧シリンダ又はソレノイド等で駆動する構成とすれば、火災報知器と連動した自動消火装置として使用することも可能となる。
【0026】
【発明の効果】以上に説明したように本発明の消火ガス装置用バルブは、簡単な構成なので、作動が単純で確実であり、安価に製造でき、消火ガス装置の製造コストを引き下げることができる。
【出願人】 【識別番号】594151162
【氏名又は名称】株式会社吉田工場
【出願日】 平成10年10月20日(1998.10.20)
【代理人】 【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
【公開番号】 特開2000−120900(P2000−120900A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−298507