トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 圧力制御弁
【発明者】 【氏名】野沢 勇作

【氏名】西村 良純

【氏名】市来 伸彦

【氏名】東ケ崎 光久

【氏名】高橋 欣也

【要約】 【課題】姿勢によって慣性モーメントの大きさが変動する作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータ回路に設けられる圧力制御弁において、慣性モーメントの大小に係わらずスムーズな起動特性が得られ、かつ慣性体の回転力を低下させず良好な作業性を確保できるようにする。

【解決手段】第1制御ピストン機構37は、スリーブ50内に、バネ受け部36と一体でかつ内部に第1制御室52を形成した中空の第1制御ピストン51を摺動可能に嵌合してなり、第1制御ピストン機構37に、第1制御ピストンの中空部分に収容された第1ピストン部71、第1制御ピストンの端部と当接可能なフランジ部72、第1ピストン部の反対側の第2ピストン部73からなる第2制御ピストン70を有する第2制御ピストン機構69を直列に組み込み、第2ピストン部の第2制御室74に外部制御圧を導入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】弁体を閉じ位置に保持する弁バネと、この弁バネの反弁体側の端部を支持するバネ受け部及びこのバネ受け部を弁バネ圧縮方向に付勢する第1制御室を有し、前記弁体の入口側の圧力上昇時にその圧力を絞りを介して前記第1制御室に導くことにより前記バネ受け部を弁バネ圧縮方向に移動し、前記弁バネのセット荷重を増大させる第1制御ピストン機構とを備える圧力制御弁において、前記第1制御ピストン機構に直列に組み込まれ、外部信号に応じて前記バネ受け部の弁バネ弛緩方向における最大移動位置を調整し、弁バネのセット荷重の最小値を変更する第2制御ピストン機構を有することを特徴とする圧力制御弁。
【請求項2】請求項1記載の圧力制御弁において、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、前記バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンとを有し、前記第1制御ピストンの外周部にフランジ部を設け、前記スリーブの内周部に、前記フランジ部に当接可能であり前記第1制御ピストンの軸方向の移動を制限するストッパ部を設けたことを特徴とする圧力制御弁。
【請求項3】請求項1記載の圧力制御弁において、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンとを有し、前記第2制御ピストン機構は、前記第1制御ピストンの中空部分に摺動可能に収容され、前記第1制御室に臨む端部を有する第1ピストン部、この第1ピストン部と一体に設けられ、前記第1制御ピストンの端部と当接可能なフランジ部、前記第1ピストン部の反対側で前記フランジ部と一体に設けられた第2ピストン部を有する第2制御ピストンと、この第2制御ピストンの第2ピストン部を摺動可能に収容し、前記第2ピストン部の端部が臨む第2制御室を形成したシリンダ部とを有し、前記第2制御室に前記外部信号として外部制御圧を導入することを特徴とする圧力制御弁。
【請求項4】請求項1記載の圧力制御弁において、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンと、前記弁体の前記入口の反対側に設けられたボス部と、前記バネ受け部から前記弁体に向けて伸びたステム部と、一端側が前記ボス部に取り付けられ、他端側が前記ステム部に挿入され、かつ前記一端側に前記弁バネの弁体側の端部を支持するバネ受け部を形成した連結スリーブとを有し、前記弁体及びボス部とステム部に中心穴を形成し、この中心穴のそれぞれに前記絞りを設け、前記第1制御室を前記ボス部の中心穴及び絞り、前記連結スリーブ、前記ステム部の中心穴及び絞りを介して前記弁体の入口側に連通させたことを特徴とする圧力制御弁。
【請求項5】油圧ポンプから吐出された圧油により駆動され、作業姿勢の変わる作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータを有する油圧モータ回路に設けられ、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータを過負荷から防止する請求項1〜4のいずれか1項記載の圧力制御弁の制御装置において、前記作業機の姿勢を検出する姿勢検出手段と、この姿勢検出手段の検出値を入力し、前記作業機の姿勢が慣性モーメントを小さくする側に変化するに従って小さくなるよう前記外部信号を生成する信号生成手段とを備えることを特徴とする圧力制御弁の制御装置。
【請求項6】請求項5記載の圧力制御弁の制御装置において、前記油圧モータは油圧ショベルの旋回体を回転させる油圧モータであり、前記姿勢検出手段は油圧ショベルの旋回体に支持されたフロント作業機のブームの角度を検出する手段であり、前記信号生成手段は、前記ブームの角度が大きくなるに従って小さくなるよう前記外部信号を生成する手段であることを特徴とする圧力制御弁の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業姿勢によって慣性モーメントの大きさが大幅に変動する作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータ回路に設けられる圧力制御弁とその制御装置に係わり、特に小旋回機と称される油圧ショベルのフロント作業機を備えた旋回体を回転駆動する油圧モータ回路に設けられる圧力制御弁とその制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧回路の圧力上昇時に、その圧力を絞りを介して制御室に導くことにより弁バネのセット荷重を可変化し、オーバシュートによる過渡的なピーク圧の発生を抑え、ショックレスリリーフ機能を持たせた圧力制御弁として、特開昭57−161374号公報に記載のものがある。この圧力制御弁を図8及び図9を用いて説明する。
【0003】図9において、油圧ポンプ234から吐出された圧油は方向制御弁236を介して図示されない油圧アクチェエータヘ供給される。油圧ポンプ234と方向制御弁236を接続する導管235には導管235からの分岐導管を介して圧力制御弁201の接続口202が接続されている。圧力制御弁201の弁体222は弁バネ225,226で接続口202側に押し付けられている。この弁バネ225,226の反力を受ける支承部(バネ座)は制御ピストン212の一部で構成され、制御ピストン212は閉鎖部材205に摺動自在に嵌合している。制御ピストン212が移動することでバネ225,226のセット荷重が変化する。制御ピストン212のバネ力を受ける側と反対側の閉鎖部材205の中に制御室208が形成されており、制御室208は油通路223,221,215及び絞り216を介して接続口202と連通している。油通路223は弁体222に形成され、油通路221は連結部材218の中に形成され、油通路215及び絞り216は制御ピストン212に形成されている。弁体222と制御ピストン212はバネ225,226に対し相対運動をするから、連結部材218は弁体222と制御ピストン212に対し摺動自在に嵌合されている。制御室208は3ポート3位置切換弁237を介して液リザーバ238又は油圧ポンプ234に接続されるか、それらとの接続を遮断される。油圧ポンプ234は圧力制御機能を持った可変容量型が採用されている。
【0004】接続口202に面した弁体222の受圧面積と制御室208に面した制御ピストン212の受圧面積の関係は後者が前者より大になっている。
【0005】更に、閉鎖部材205に設けられた当接用鍔部214と制御ピストン212に設けられたフランジ213との関係から、制御ピストン212の移動量が制限され、当接用ねじ部228によりバネ225,226の初期セット荷重が設定される。
【0006】切換弁237の利用により、圧力制御弁201は図9に示すような3つの形態での動作が可能である。先ず、制御室208をリザーバ238に接続する位置では、制御室208には圧力が立たず、バネ225,226のセット荷重は初期値のままであるため、図9に示すb)の特性となり、アンロード弁の機能を持つ。
【0007】制御室208をリザーバ238及び油圧ポンプ234のいずれとも接続しない位置では図9に示すa)の機能が持たせられる。即ち、接続口202の圧力上昇時は、絞り216の作用で制御室208には直ぐに同じ圧力が立たず、バネ225,226のセット荷重は圧力上昇前の小さい値のままであるため、リリーフ最大圧PMAX以下のPMINでクラッキングする。時間が経つにつれ制御室208の圧力が高くなり、制御室208に面した制御ピストン212の受圧面積が大であるから、バネ225,226を撓ませ、リリーフ最大圧PMAXに至る。クラッキング圧PMINは当接用ネジ228の位置の上下で調節され、リリーフ最大圧PMAXは当接用鍔部214の位置の上下で調節され、PMINとPMAXの間の時間差toは絞り216の大小で調節される。
【0008】制御室208を油圧ポンプ234に接続する位置では、バネ225,226のセット荷重は常に最大となるため、クラッキング圧は最大リリーフ圧PMAXとなり、図9に示すc)の機能となる。
【0009】また、方向制御弁と、方向制御弁によって油圧ポンプからの供給流量が制御される旋回用油圧モータと、旋回用油圧モータの両側流路に圧力制御弁の一種であるリリーフ弁とを備えた油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械の油圧モータ回路として、特開平6−173299号公報に記載のものがある。これは、旋回用油圧モータにより回転駆動される旋回体に備えられるフロント作業機の姿勢を検出し、この検出値を上記リリーフ弁に誘導し、リリーフ弁のセット圧(クラッキング圧)を変える構成となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】作業姿勢によって慣性モーメントの大きさが大幅に変動する作業機を備えた慣性体として、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械に備えられる旋回体がある。例えば油圧ショベルの旋回体は、ブーム、アーム、バケットからなる多関節型のフロント作業機を備え、このフロント作業機の姿勢によって慣性モーメントの大きさが大幅に変動する。
【0011】このような油圧ショベルの旋回体は油圧モータにより回転駆動される。図10に旋回用油圧モータの油圧モータ回路を示す。図中、Jは慣性負荷である旋回体の慣性モーメントであり、油圧モータ回路は、慣性モーメントJを回転駆動する油圧モータ101と、油圧ポンプ103と、この油圧ポンプ103を過負荷から守るメインリリーフ弁105と、油圧モータ101の回転方向と速度を制御する方向制御弁104と、油圧モータ101を過負荷から守るオーバロードリリーフ弁102より構成されている。方向制御弁104は一方向の速度制御に関するメータイン絞り104−1とメータアウト絞り104−2のみを簡略化して示している。
【0012】旋回体の起動時、フロント作業機を前方に伸ばしたリーチの長い姿勢では、旋回体の慣性モーメントJは大きいため、旋回体の加速は穏やかである。しかし、旋回駆動圧の変化は急であり、旋回駆動圧はオーバロードリリーフ弁102のセット圧を超えて上昇し、オーバシュートによる過渡的なピーク圧を発生するなどの問題がある。
【0013】フロント作業機のリーチが短くなった旋回姿勢では慣性モーメントJは小さいため、圧力の急峻もなくオーバシュートの問題はない。しかし、オーバロードリリーフ弁102のセット圧が一定であると旋回体の角加速度は大となり、加速が急過ぎると運転者を巻き込んだ旋回ジャーキング(急発進、急停止の繰り返し)と称される、ギクシャクした旋回状態を招くことになる。
【0014】特開昭57−161374号公報に記載の圧力制御弁をオーバロードリリーフ弁として用いた場合は、ショックレスリリーフ機能により前者のオーバシュートの問題は解決できるが、後者の問題は解決できない。図11はこの特開昭57−161374号公報に記載の圧力制御弁をオーバロードリリーフ弁の位置に設けた場合の油圧モータ回路の回路図である。図中、符号102Aが特開昭57−161374号公報の圧力制御弁であり、圧力制御弁102Aはリリーフ弁用のバネ102−1のセット荷重が絞り102−2を介して誘導された圧力を利用して可変化されている。この油圧モータ回路では、フロント作業機のリーチが長く慣性モーメントJが大きい場合は図9に示すa)の特性が得られ、上記オーバシュートによる過渡的なピーク圧の発生は抑えられる(ショックレスリリーフ機能)。しかし、フロント作業機のリーチが短く慣性モーメントJが小さい場合には、圧力がそれ程高くならないためリリーフ弁はクラッキングせず、油圧モータ101は与えられた油量をほとんど消費して回転するため、急加速となり、上述した旋回ジャーキングが生じてしまう。そこで、慣性モーメントJが小の場合に合わせて、図9のPMINを設定すればよさそうであるが、この場合は慣性モーメントJが大きくなるとなかなか加速しない問題が生じる。
【0015】特開平6−173299号公報に記載の油圧モータ回路では、後者の問題は解決できるが、前者の問題は解決できない。
【0016】即ち、特開平6−173299号公報に記載の油圧モータ回路では、フロント作業機の姿勢を検出してリリーフ弁のセット圧(クラッキング圧)を変えるため、フロント作業機のリーチが短くなると、それに応じてリリーフ弁のセット圧が下がり、角加速度が小さくなって旋回ジャーキングを防止できる。しかし、このリリーフ弁は、油圧回路の圧力を利用して弁バネのセット荷重を可変化し、ショックレスリリーフ機能を持たせる構成となっておらず、従来の一般的なリリーフ弁と同様、旋回体の慣性モーメントJが大きいときはオーバシュートによる過渡的なピーク圧を発生してしまう。
【0017】また、特開平6−173299号公報に記載の油圧モータ回路では、後者の問題の解決に際しても、旋回ジャーキングを防止するのにリリーフ弁のセット圧自体を下げている。しかし、リリーフ弁のセット圧を下げることは最大リリーフ圧が下がることであり、リリーフ圧で得られる旋回力も低下する。このため、フロント作業機のリーチを短くした姿勢で旋回力を利用して行う作業(例えば側溝の側壁にバケットを押し付けて側壁を掘削する作業)では、大きな旋回力が得られず、旋回作業性が大幅に低下するという問題もある。
【0018】本発明の目的は、作業姿勢によって慣性モーメントの大きさが変動する作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータ回路に設けられる圧力制御弁において、慣性モーメントの大小に係わらずスムーズな起動特性が得られ、かつ慣性体の回転力を低下させず良好な作業性を確保できる圧力制御弁及びその制御装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、弁体を閉じ位置に保持する弁バネと、この弁バネの反弁体側の端部を支持するバネ受け部及びこのバネ受け部を弁バネ圧縮方向に付勢する第1制御室を有し、前記弁体の入口側の圧力上昇時にその圧力を絞りを介して前記第1制御室に導くことにより前記バネ受け部を弁バネ圧縮方向に移動し、前記弁バネのセット荷重を増大させる第1制御ピストン機構とを備える圧力制御弁において、前記第1制御ピストン機構に直列に組み込まれ、外部信号に応じて前記バネ受け部の弁バネ弛緩方向における最大移動位置を調整し、弁バネのセット荷重の最小値を変更する第2制御ピストン機構を有するものとする。
【0020】第1制御ピストン機構により従来と同様のショックレスリリーフ機能が得られ、慣性体として油圧ショベルの旋回体を回転駆動する油圧モータ回路において、旋回体の慣性モーメントが大きいときのオーバシュートの問題を解決できる。また、第1制御ピストン機構に加えて第2制御ピストン機構を直列に設け、外部信号で弁バネのセット荷重の最小値を変更できるようにすることにより、慣性体として油圧ショベルの旋回体を回転駆動する油圧モータ回路においては、外部信号を旋回体の慣性モーメントの大小に連動させることで、慣性モーメントが小さいときはクラッキング圧を下げ、圧力がそれ程高くならなくても圧力制御弁はリリーフし、旋回ジャーキングを防止できる。これにより、慣性モーメントの大小に係わらずオーバシュートによる過渡的なピーク圧の発生や旋回ジャーキングの発生を抑えてスムーズな起動特性が得られる。
【0021】また、第2制御ピストン機構は外部信号で弁バネのセット荷重の最小値を変更しクラッキング圧を変えるものであり、弁バネのセット荷重の最大値を変えるものではない。このため、クラッキング圧を変えてもリリーフ最高圧力は低下せず、大きな回転力(油圧ショベルの旋回体では旋回力)が得られ、良好な作業性を確保できる。
【0022】(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、前記バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンとを有し、前記第1制御ピストンの外周部にフランジ部を設け、前記スリーブの内周部に、前記フランジ部に当接可能であり前記第1制御ピストンの軸方向の移動を制限するストッパ部を設ける。
【0023】このようにフランジ部とストッパ部を設けることにより、フランジ部がストッパ部に当接する位置で弁バネセット荷重の最大値(リリーフ最高圧)が定まり、ストッパ部が設けられるスリーブの位置を調整することにより、リリーフ最高圧を所望の値に設定できる。また、第1制御ピストンの外周部にフランジ部を設け、スリーブの内周部にストッパ部を設けたので、ストッパ部があっても、第1スリーブを分割するなどの複雑な構造にすることなくスリーブ内に第1制御ピストンを挿入して組み立てることができ、簡単な構造でストッパ部を含めた第1制御ピストン機構の組み立てが可能となる。(図8に示す特開昭57−161374号公報の構造では、閉鎖部材205から当接用鍔部214を分離しないと、そのままでは組み立てることができない。)
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンとを有し、前記第2制御ピストン機構は、前記第1制御ピストンの中空部分に摺動可能に収容され、前記第1制御室に臨む端部を有する第1ピストン部、この第1ピストン部と一体に設けられ、前記第1制御ピストンの端部と当接可能なフランジ部、前記第1ピストン部の反対側で前記フランジ部と一体に設けられた第2ピストン部を有する第2制御ピストンと、この第2制御ピストンの第2ピストン部を摺動可能に収容し、前記第2ピストン部の端部が臨む第2制御室を形成したシリンダ部とを有し、前記第2制御室に前記外部信号として外部制御圧を導入する。
【0024】これにより、第1制御ピストン機構に直列に第2制御ピストンを組み込み、外部信号に応じてバネ受け部の弁バネ弛緩方向における最大移動位置を調整する上記(1)の構成が得られる。
【0025】(4)更に、上記(1)において、好ましくは、前記第1制御ピストン機構は、弁ケーシングに取り付けられたスリーブと、このスリーブ内に摺動可能に嵌合され、バネ受け部と一体でかつ内部に前記第1制御室を形成した中空の第1制御ピストンと、前記弁体の前記入口の反対側に設けられたボス部と、前記バネ受け部から前記弁体に向けて伸びたステム部と、一端側が前記ボス部に取り付けられ、他端側が前記ステム部に挿入され、かつ前記一端側に前記弁バネの弁体側の端部を支持するバネ受け部を形成した連結スリーブとを有し、前記弁体及びボス部とステム部に中心穴を形成し、この中心穴のそれぞれに前記絞りを設け、前記第1制御室を前記ボス部の中心穴及び絞り、前記連結スリーブ、前記ステム部の中心穴及び絞りを介して前記弁体の入口側に連通させる。
【0026】これにより弁体の入口側の圧力上昇時、当該圧力は弁体及びボス部の中心穴の絞りとステム部の中心穴の絞りの2つの絞りで二段階に絞られて第1制御室に伝わることとなり、クラッキング圧からリリーフ最高圧に至るまでの時間は2つの絞りを用いて調整でき、ショックレスリリーフ特性の設定の自由度が高くなる。
【0027】(5)また、上記目的を達成するために、本発明は、油圧ポンプから吐出された圧油により駆動され、作業姿勢の変わる作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータを有する油圧モータ回路に設けられ、前記油圧ポンプ又は前記油圧モータを過負荷から防止する上記(1)〜(4)の圧力制御弁の制御装置において、前記作業機の姿勢を検出する姿勢検出手段と、この姿勢検出手段の検出値を入力し、前記作業機の姿勢が慣性モーメントを小さくする側に変化するに従って小さくなるよう前記外部信号を生成する信号生成手段とを備えるものとする。
【0028】このように姿勢検出手段と信号生成手段を設けることにより、慣性体の慣性モーメントが小さくなると外部信号が小さくなるため、上記(1)で述べたように、慣性モーメントが小さいときは外部信号を小さくしてクラッキング圧を下げ、圧力がそれ程高くならなくても圧力制御弁をリリーフさせ、旋回ジャーキングを防止できる。
【0029】(6)また、上記(5)において、好ましくは、前記油圧モータは油圧ショベルの旋回体を回転させる油圧モータであり、前記姿勢検出手段は油圧ショベルの旋回体に支持されたフロント作業機のブームの角度を検出する手段であり、前記信号生成手段は、前記ブームの角度が大きくなるに従って小さくなるよう前記外部信号を生成する手段である。
【0030】これにより慣性体として油圧ショベルの旋回体を回転駆動する油圧モータ回路において、上記(1)で述べたように、慣性モーメントの大小に係わらずオーバシュートによる過渡的なピーク圧の発生や旋回ジャーキングの発生を抑えてスムーズな起動特性が得られ、更にクラッキング圧を変えてもリリーフ最高圧力は低下しないため、大きな旋回力が得られ、良好な旋回作業性を確保できる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0032】図1は本発明の一実施形態による圧力制御弁を備えた油圧モータ回路を示す図である。図1において、10は慣性モーメントJを有する慣性体であり、油圧モータ回路は、この慣性体10を回転駆動する油圧モータ11と、油圧ポンプ13と、この油圧ポンプ13を過負荷から守るメインリリーフ弁15と、油圧モータ11の回転方向と速度を制御する方向制御弁14と、油圧モータ11を過負荷から守るオーバロードリリーフ弁12とで構成されている。方向制御弁14は一方向の速度制御に関するメータイン絞り14−1とメータアウト絞り14−2のみを簡略化して示している。
【0033】油圧ポンプ13から吐出された圧油は方向制御弁14のメータイン絞り14−1を介して油圧モータ11に供給される。油圧モータ11からの戻り油は方向制御弁14のメータアウト絞り14−2を介して作動油タンク20に還流される。オーバロードリリーフ弁12はメータイン絞り14−1と油圧モータ11間のアクチュエータライン21から分岐して取り付けられ、このリリーフ弁12が本実施形態の圧力制御弁である。また、図示していないが、油圧モータ11と方向制御弁14のメータアウト絞り14−2との間のアクチュエータライン22から分岐した位置にも同様な圧力制御弁(オーバロードリリーフ弁)が取り付けられている。図示の例では、アクチュエータライン21から分岐した位置に取り付けられた圧力制御弁12が起動時に動作し、油圧モータ11の回転を停止するときに図示しないアクチュエータラインから分岐した位置に取り付けられた圧力制御弁が動作する。
【0034】圧力制御弁12の構造を説明する。
【0035】図1において、30は方向制御弁14のスプール等が位置する弁ブロックであり、この弁ケーシング30にはアクチュエータライン21から分岐した弁入口ポート31及びタンク20に接続される弁出口ポート32が形成され、これら両ポート31,32間を開閉するよう圧力制御弁12が設けられている。圧力制御弁12は、弁ブロック30のネジ穴30aにねじ込み固定された弁ケーシング33を有し、弁ケーシング33内に弁体34と、この弁体34を閉じ位置に保持する弁バネ35と、この弁バネ35の反弁体側の端部を支持するバネ受け部36を有する第1制御ピストン機構37とが配置されている。
【0036】弁ケーシング33の先端側には弁座部材40が嵌入され、弁体34はこの弁座部材40に離着座するよう配置されている。弁体34の弁入口ポート31の反対側にボス部41が設けられ、このボス部41には連結スリーブ42が取り付けられ、連結スリーブ42の基端側に弁バネ35の弁体側の端部を支持するバネ受け部43が形成されている。弁バネ35の反対側の端部を支持するバネ受け部36からは弁体34に向けてステム部44が伸び、連結スリーブ42の反弁体側の端部にステム部44が挿入されている。連結スリーブ42内のボス部41の端部とステム部44の端部の間には油室45が形成されている。
【0037】第1制御ピストン機構37は、弁ケーシング33に取り付けられた第1スリーブ50と、この第1スリーブ50内に摺動可能に嵌合され、上記バネ受け部36と一体の第1制御ピストン51とを有し、この第1制御ピストン51は中空形状をなし、第1制御ピストン51内にバネ受け部36を弁バネ圧縮方向に付勢する第1制御室52が形成されている。上記弁体34及びボス部41とステム部44には中心穴53,54が形成され、弁体34及びボス部41の中心穴53には絞り55が形成され、ステム部44の中心穴54には絞り56が形成され、連結スリーブ42内の油室45は絞り55を介して弁体34の入口側と連通し、第1制御室52は絞り56を介して油室45と連通し、結果として第1制御室52は絞り55,56及び油室45を介して弁体34の入口側に連通している。このような構成により第1制御ピストン機構37は、弁体34の入口側の圧力上昇時にその圧力を絞り55,56を介して第1制御室52に導いてバネ受け部36を弁バネ圧縮方向に移動し、弁バネ35のセット荷重を増大させるショックレスリリーフ機能を発揮する。
【0038】第1スリーブ50は弁ケーシング33にネジ締結されるネジ部65とスリーブ外端のナット部66を有し、ネジ部65には更にダブルナット67が嵌合し、ナット部66を工具で回転し第1スリーブ50の望ましい軸方向位置が決まると、ダブルナット67を締めてその位置を固定する。これにより弁バネ35の初期セット荷重(初期リリーフ最高圧)が設定される。
【0039】また、第1制御ピストン51の外周部には第1スリーブ50との嵌合部分よりも径を大きくしたフランジ部60が形成され、第1スリーブ50の内周部には第1制御ピストン51との嵌合部分に隣接して段差部を設け、この段差部にフランジ部60に当接可能で第1制御ピストン51の軸方向の移動を制限するストッパ部61が設けられている。
【0040】更に、第1制御ピストン機構33に直列に、外部信号に応じてバネ受け部36及び第1制御ピストン機構33の弁バネ弛緩方向における最大移動位置を調整し、弁バネ35のセット荷重の最小値を変更するクラッキング圧可変化用の第2制御ピストン機構69が配置されている。
【0041】第2制御ピストン機構69は、第2制御ピストン70を有し、この第2制御ピストン70は、第1制御ピストン51の中空部分に摺動可能に収容され、第1制御室52に臨む端部を有する第1ピストン部71と、この第1ピストン部71と一体に設けられ、第1制御ピストン51のチューブ状部分の端部と当接可能な拡径されたフランジ部72と、第1ピストン部71の反対側でフランジ部72と一体に設けられた第2ピストン部73とで構成されている。第2ピストン部73はシリンダ部75の第2制御室74に摺動可能に収容され、第2ピストン部73の端部が第2制御室74に臨んでいる。また、第2制御室74に外部信号として制御圧Pcが導入される。
【0042】シリンダ部75は、第1スリーブ50にネジ部76でネジ締結されかつスリーブ外端にナット部77を備えた第2スリーブとして構成され、ネジ部76には更にダブルナット78が嵌合し、ナット部77を工具で回転し第2スリーブ75の望ましい軸方向位置が決まると、ダブルナット78を締め付けてその位置を固定する。また、第2スリーブ75には第2制御室74に外部信号である制御圧Pcを導入するための信号ポート79が形成されている。
【0043】弁体34の弁入口ポート31に面した部分は受圧面積A1を有している。また、弁体34の反対側の油室45に面した端部の受圧面積をA2とすると、ステム部44の油室45に面した端部の受圧面積も同じA2である。更に、第1制御ピストン51と第2制御ピストン70は第1制御室52内で同一の圧力を受け、その受圧面積は共に同じA3-1である。そしてこれらの受圧面積はA3-1>A1>A2の関係にある。また、第2制御ピストン70の第2制御室74における受圧面積(第2ピストン部73の受圧面積)をA3-2とすると、A3-2=A3-1の関係にある。
【0044】図2に上記慣性体10の一例である旋回体を備えた小旋回型油圧ショベルの外観を示す。油圧ショベルは、下部走行体80と、この下部走行体80上を旋回する旋回体81とを有し、旋回体81は、ブーム82a、アーム82b、バケット82cからなる多関節型のフロント作業機82を備え、ブーム82a、アーム82b、バケット82cはそれぞれブームシリンダ83a、アームシリンダ83b、バケットシリンダ83cにより回動操作される。フロント作業機82はブーム82a、アーム82b、バケット82cの回動操作により姿勢が変わり、この姿勢の変化によって旋回体81の慣性モーメントJの大きさが大幅に変動する。例えばフロント作業機82を前方に伸ばしリーチを長くすると旋回体81の慣性モーメントJは大きくなり、逆にフロント作業機82のリーチを短くすると旋回体81の慣性モーメントは小さくなる。ブーム82aを後方に倒しアーム82bを巻き込んだ図示のいわゆる旋回姿勢では、フロント作業機82のリーチは最小となり、旋回体81の慣性モーメントも最小となる。
【0045】圧力制御弁12の機能と油圧モータ11及び慣性体10の関係を起動時について、定性的に見てみる。
【0046】方向制御弁14のメータイン絞り14−1を通じて油圧ポンプ13からQaの流量が容積Vのアクチュエータライン21に流れ込み、容量Dmの油圧モータ11が回転数ωで回転してDm×ωの油量が消費され、圧力制御弁12でQrのリリーフ量があったものとする。この場合、アクチュエータライン21での油圧バランス及び慣性モーメントJの慣性体10の運動方程式は次の関係で与えられる。
【0047】
(V/K)・(dp/dt)=Qa−Dm・ω−Qr …(1)
J・(dω/dt)+B・ω=Dm・P …(2)
ここで、Bは油圧モータ11や慣性体10の系に働く回転速度に比例した抵抗、Pはアクチュエータライン21内の圧力である。
【0048】(1)式及び(2)式の関係は図3のブロック線図で示されようである。このブロック線図を基に慣性体10の慣性モーメントJの影響をみてみる。
【0049】ある入力に対し、これを慣性モーメントJで割った値が角加速度dω/dtであるから、慣性モーメントJが大きくなると、角加速度が小さくなり、これを積分した値である角速度ωも小さくなる。この角速度ωに油圧モータ11の容量Dmを乗じた値が油圧モータ11の消費流量Qmとなるから、角速度ωが小さくなると流入流量Qaと消費流量Qmの差は大となり、この差にV/Kを乗じ、積分したものがアクチュエータライン21内の圧力Pとなるから、圧力Pは大きな値となる。
【0050】圧力制御弁12として従来の一般的なオーバロードリリーフ弁を用いた場合を想定すると、慣性体10の慣性モーメントJが大きい場合、角加速度、即ち角速度の変化は緩やかであるが、圧力Pの変化が急であるため、圧力Pはオーバロードリリーフ弁のセット圧を超えて上昇し、オーバシュートによる過渡的なピーク圧を発生する。また、起動後、供給油量Qaと消費油量Qmが等しくなると、加速圧力が必要なくなり、油圧モータ11の駆動圧力Pが低下しようとするが、このとき、加速時にアクチュエータライン21の配管系に貯えられていたエネルギーが放出され、角速度のオーバーシュートが生じ、このオーバーシュートが収まるまでに時間を要するという問題もある。このため、図8に示した図9のa)に示す様な特性を持ったショックレスタイプの圧力制御弁が用いられることになる。しかし、前述したように図8の圧力制御弁の場合、慣性モーメントJが小の場合は圧力の急峻もなく、従って、オーバーシュートの問題も無いのであるが、慣性モーメントJが小さい場合には圧力Pがそれ程高くならないため、圧力制御弁はクラッキングせず、油圧モータ11は与えられた油量をほとんど消費して回転するため、急加速となり、油圧ショベルの旋回体の場合、旋回ジャーキングを生じるおそれがある。そこで、慣性モーメントJが小の場合に合わせて、図9のPMINを設定すればよさそうであるが、この場合は慣性モーメントJが大きくなるとなかなか加速しない問題が生じる。
【0051】本実施形態の圧力制御弁12を備えた油圧モータ回路では、図3のPMINを外部の制御圧Pcに応じて可変化することによって、慣性モーメントJの大小に関らず、スムーズな起動特性が得られる。以下、この点を詳述する。
【0052】まず、圧力制御弁12の基本動作を説明する。
【0053】第2制御室74にはある制御圧Pcが導かれ、この制御圧Pcにより第1制御ピストン機構37の第1制御ピストン51及び第2制御ピストン機構69の第2制御ピストン70は弁バネ35を押して図示左方(弁バネ圧縮方向)に移動し、位置調整がなされている。
【0054】この状態でアクチュエータライン21の回路圧力が上昇すると、その圧力は中心穴53,54及び油室45を介して第1制御室52に伝わる。このとき、絞り55,56の作用で第1制御室52には直ぐに同じ圧力が立たず、弁バネ35のセット荷重は圧力上昇前の小さい値のままである。このため、弁体34は、そのときの弁バネ35のセット荷重できまる、リリーフ最大圧PMAX以下のPMINでクラッキングする。時間が経つにつれ油室45、更には第1制御室52の圧力が高くなり、弁体34の受圧面積A1より第1制御室52に面した第1制御ピストン51の受圧面積A3-1の方が大であるから、第1制御ピストン51は弁バネ35を撓ませながら、フランジ部60がストッパ部61に当たるまで図示左方に移動し、リリーフ最大圧PMAXに至る。クラッキング圧PMINは第2制御ピストン機構69の第2制御ピストン70の位置、即ち制御圧Pcによって決まり、リリーフ最大圧PMAXはストッパ部61の位置、即ち第1スリーブ50の位置で決まり、PMINとPMAXの間の時間差toは絞り55,56の大小で決まる。
【0055】以上により、基本的には図9のa)に示す様な特性のショックレスリリーフ機能が得られ、慣性モーメントJが大で圧力Pが急峻しても、オーバーシュートを生じないスムーズな起動が行える。
【0056】また、本発明では、制御圧Pcは慣性体10の慣性モーメントJの大小に連動させ、慣性モーメントJが大きいときは制御圧Pcを高くし、慣性モーメントJが小さくなるにしたがって制御圧Pcを低くする(後述)。これにより慣性モーメントJが小さいときはクラッキング圧PMINが下がり、圧力Pがそれ程高くならなくても圧力制御弁12がクラッキングし、旋回ジャーキングを防止できる。
【0057】即ち、慣性モーメントJが大でアクチュエータライン21の圧力の立ち方が急であると、弁体34の入口側の圧力が絞り55,56を介して油室45や第1制御室52に伝わる前に弁体34がクラッキングするため、クラッキング圧PMINは低くなる。しかし、慣性モーメントJが小さくアクチュエータライン21の圧力の立ち方が穏やかであると、その都度、弁体34の入口側の圧力が絞り55,56を介して油室45や第1制御室52に伝わるため、弁バネ35のセット荷重が増加しクラッキング圧PMINは高くなる。このため従来は圧力制御弁がクラッキングし難く、急加速となり、旋回ジャーキングを生じていた。
【0058】本実施形態では、慣性モーメントJが小さくなると制御圧Pcを下げ、クラッキング圧PMINを低下させるため、圧力Pがそれほど高くならなくても圧力制御弁12はクラッキングし、旋回ジャーキングを防止できる。
【0059】図4に圧力制御弁12の制御特性を示す。図中、PMINa及びPMINbは制御圧PcをPc=P1とした場合のクラッキング圧であり、PMINaは慣性モーメントJが小さいときのもの、PMINbは慣性モーメントJが大きいときのものであり、PMINc及びPMINdは制御圧PcをPc=P2(<P1)とした場合のクラッキング圧であり、PMINcは慣性モーメントJが小さいときのもの、PMINdはクラッキング圧が大きいときのものである。
【0060】慣性モーメントJが大きいときは制御圧PcをPc=P1とすると、クラッキング圧はPMINaとなるが、同じ制御圧Pc=P1で慣性モーメントJが小さくなると、クラッキング圧はPMINbと高くなり、上述した急加速が起こる。この場合は、制御圧PcをPc=P2(<P1)に下げると、クラッキング圧もPMINcと低下し、圧力Pが高くならなくても圧力制御弁12はクラッキングし、旋回ジャーキングを防止できる。もし、制御圧PcをPc=P2(<P1)に下げたまま、慣性モーメントJが大きくなると、クラッキング圧はPMINdと更に低下し、慣性モーメントJを素早く加速できなくなる。この場合は、制御圧PcをPc=P1に上げると、クラッキング圧は上記のPMINaとなり、慣性モーメントJが大きくても素早く加速できる。
【0061】次に、圧力制御弁12の動作を設定方法の観点から定量的に説明する。説明をより具体的にするために、モデルとして次のような数値を与える。
【0062】受圧面積A1の径:6.0mm受圧面積A2の径:4.5mm受圧面積A3-1及びA3-2の径:8.0mm(A3-1=A3-2=8.0mm;これらをA3で代表する)
弁バネ35のバネ定数:6.12Kg/mmPMAX=250barまず、圧力制御弁12の組み立て試験時のセットの仕方を説明する。
【0063】第1スリーブ50に対し第2スリーブ75をフランジ部60がストッパ部61に当接するまで締め込む。このときダブルナット78は自由にしておく。この状態で第1スリーブ50を弁ケーシング33に対し弁バネ35が上記PMAXに相当する撓みになるまで締め込む。この状態でダブルナット67を用いて第1スリーブ50を弁ケーシング33に固定する。
【0064】次に第2スリーブ75を第1スリーブ50から離し、弁バネ35のセット荷重がクラッキング圧PMINの下限値に相当する値となる位置まで、弁バネ35の撓みをゆるめ、ここでダブルナット78を用いて第2スリーブ75を第1スリーブ50に対して固定する。以上が組み立て試験時の作業手順となる。
【0065】まず、PMAXの設定方法について説明する。圧力制御弁12がリリーフ最大圧PMAXで動作している状態では、第1制御ピストン51と第2制御ピストン70との当接は解除されており、かつ第1制御ピストン51のフランジ部60は第1スリーブ50のストッパ部61に当接している。PMAXは過渡状態を経過した後の状態であるから、受圧面積A1,A2,A3の全てに250barの圧力が作用している。従って、弁体34と第1制御ピストン51には次のような力が作用している。
【0066】弁体34:右向き(A1−A2)・PMAX=0.785(0.62−0.452)×250=30.9(Kg)
第1制御ピストン51:左向き(A3−A2)・PMAX=0.785(0.82−0.452)×250=85.9(Kg)
第1制御ピストン51に働く力のうちで、85.9−30.9=55(Kg)の力はストッパ部61で受け持たれる。従って、弁体34に働く力を弁バネ35が受け持てばよい。弁バネ35の自由長からの撓みは、F/K=30.9/6.12=5.05(mm)
となる。即ち、第1スリーブ50と一体となった第1制御ピストン51で弁バネ34にこの撓みを与えればよい。
【0067】このようにPMAXを設定すると、組み立て試験では第2スリーブ75を移動させ、弁バネ35の撓みを緩めてPMINの下限値を設定する作業に移ることになる。PMINの設定はアクチュエータライン21内の圧力の油室45及び第1制御室52への伝わり方を考慮してなされる。即ち、アクチュエータライン21内の圧力の上昇時、油室45及び第1制御室52には絞り55,56を介して圧油が供給されており、かつこの供給油量は第1制御ピストン51の移動等に費やされるため、弁体34の入口側の圧力が直ちに油室45及び第1制御室52に伝達される訳ではない。そこで以下の検討では、アクチュエータライン21の圧力の立ち方が急で、油室45に圧力が伝わらない場合(慣性モーメント大)と、アクチュエータライン21の圧力の立ち方が緩やかで、その都度弁体34の入口側の圧力が油室45に伝わる場合(慣性モーメント小)を想定して説明する。今弁体34の入口側から油室45に圧力が伝わらない場合のクラッキング圧PMINの設定圧を50barとすると、弁バネ35の取付撓みは、 A1・PMIN/K=0.785×0.62×50/6.12 =2.31(mm)
となる。
【0068】また、この撓みで油室45に圧力が伝達される場合のクラッキング圧PMINは、 F/(A1−A2)=6.12×2.31/0.785(0.62−0.452
=114.3(bar)
とする。
【0069】以上の計算結果を図示すると、図5のようになる。図中、「a」点が油室45に圧力が伝わらない場合(慣性モーメント大)、「b」点が油室45に圧力が伝わる場合(慣性モーメント小)に相当する。また、「e」点はPMAXの設定点である。なお、「a」点は図4のPMINaに対応し、「b」点は図4のPMINbに対応する。
【0070】前述したように、慣性モーメント小で圧力が「b」まで上がらないとリリーフせず、急加速を招く。そこで、油室45に圧力が伝達されて、クラッキング圧PMINが50barとなる場合を考える。このときの弁バネ35の撓みは、0.785(0.62−0.452)×50/6.12=1.01(mm)
であり、図5の「c」点となる。この撓みで圧力が伝達されない場合(慣性モーメント大)のクラッキング圧PMINは21.9barであり、図5の「d」点となる。「c」点は図4のPMINcに対応し、「d」点は図4のPMINdに対応する。
【0071】慣性モーメント小の場合が「c」又は「d」で、慣性モーメント大の場合が「a」又は「b」が望ましいものとすると、PMAXを決めた「e」点の撓みを第2スリーブ75の移動で「e」から「c」へZ1だけ動かす。このZ1は図1のフランジ部60とストッパ部61間の距離に相当する。先に記した如く、このままでは慣性モーメント大の場合に不都合が生じるから、「c」点と「a」点の間のZ2の撓みは第2制御ピストン70の第2ピストン部73の受圧面積A3-2(=A3)へ外部からの制御圧Pcを作用させて制御する。
【0072】第2制御ピストン70に作用させる制御圧Pcは「c」点及び「a」点でそれぞれ次の値となる。
【0073】「c」点:6.12×1.01/0.785×0.82=12.3(bar)
「a」点:6.12×2.31/0.785×0.82=28.1(bar)
初期組み立て時に圧力制御弁12は「c」の状態にある。もし、制御圧Pc=28.1barが与えられると「a」点に移動する。第1制御ピストン51と第2制御ピストン70は当接している。第1制御室52の圧力が制御圧Pcに等しくなると、当接が解除されるが、第2制御ピストン70に作用する力の不連続は生じない。これは、第2制御ピストン70に第1制御室52の圧力が作用しており、第2制御ピストン70は両端に作用する力の差を第1制御ピストン51に及ぼしているからである。
【0074】以上のように構成した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0075】(1)第1制御ピストン機構37により従来と同様のショックレスリリーフ機能が得られ、慣性体として油圧ショベルの旋回体81を回転駆動する油圧モータ回路に適用した場合は、旋回体81の慣性モーメントJが大きいときのオーバシュートの問題を解決でき、スムーズな起動が可能となる。
【0076】(2)第1制御ピストン機構37に加えて第2制御ピストン機構69を直列に設け、外部の制御圧Pcで弁バネ35のセット荷重の最小値を変更しクラッキング圧を変えるようにしたので、慣性体として油圧ショベルの旋回体81を回転駆動する油圧モータ回路においては、制御圧Pcを旋回体81の慣性モーメントJの大小に連動させることで、慣性モーメントJが小さいときはクラッキング圧を下げ、圧力がそれ程高くならなくても圧力制御弁12はリリーフするようになり、旋回ジャーキングを防止できる。
【0077】(3)以上により慣性モーメントJの大小に係わらずオーバシュートの発生や旋回ジャーキングの発生を抑えてスムーズな起動特性が得られる。
【0078】(4)第2制御ピストン機構69は制御圧Pcで弁バネ35のセット荷重の最小値を変更しクラッキング圧を変えるものであり、弁バネ35のセット荷重の最大値を変えるものではない。このため、クラッキング圧を変えてもリリーフ最高圧力PMAXは一定であり、大きな旋回力が得られ、良好な作業性を確保できる。
【0079】(5)第1制御ピストン51の外周部にフランジ部60を設け、第1スリーブ50の内周部にストッパ部61を設けて弁バネ35のセット荷重の最大値(リリーフ最高圧)を設定するようにしたので、ストッパ部60があっても、第1スリーブ50を分割するなどの複雑な構成にすることなく第1スリーブ50内に第1制御ピストン51を挿入して組み立てることができ、簡単な構造でストッパ部60を含めた第1制御ピストン機構37の組み立てが可能となる。(図8に示す特開昭57−161374号公報の構造では、閉鎖部材205から当接用鍔部214を分離しないと、そのままでは組み立てることができない。)
(6)弁体34の入口側を第1制御室52に連通させる弁体34及びボス部41の中心穴52とステム部44の中心穴54の両方に絞り55,56を設けたので、弁体34の入口側の圧力上昇時、この圧力は2つの絞り55,56で二段階に絞られて第1制御室52に伝わることとなり、クラッキング圧PMINからリリーフ最高圧PMAXに至るまでの時間toは2つの絞り55,56を用いて調整でき、ショックレスリリーフ特性の設定の自由度が高くなる。
【0080】本発明の圧力制御弁の制御装置に関する実施形態を図6及び図7により説明する。図中、図1及び図2に示す部材と同等のものには同じ符号を付している。
【0081】図6において、圧力制御弁12の制御装置は、ブーム82aの角度θbを検出する角度センサ90と、この角度センサ90の検出信号を入力し、所定の演算処理を行うコントローラ91と、このコントローラ91からの電気信号により作動し、上記制御圧Pcを生成する電磁比例弁92とを有し、この制御圧Pcが圧力制御弁12の信号ポート79を介して第2制御室74に導入される。
【0082】コントローラ91には図7に示すようなブーム角度θbと目標制御圧Pcoの関係が記憶されており、コントローラ91は角度センサ90で検出したブーム角度θbからそれに対応した目標制御圧Pcoを計算し、この目標制御圧Pcoを得るための指令電流を比例電磁弁92に出力する。
【0083】ブーム角度θbはフロント作業機82の姿勢を検出するためのものであり、ブーム角度θbが増大するにしたがってフロント作業機82のリーチは短くなり、θbが90度を超えた図示の姿勢でフロント作業機82のリーチは最小となる。フロント作業機82のリーチが短くなるにしたがって旋回体81の慣性モーメントJは小さくなる。このため、コントローラ91には、図7に示すようにブーム角度θbが大きくなるにしたがって目標制御圧Pcoが小さくなるようθbとPcoの関係が設定されており、これに対応して電磁比例弁92で生成される制御圧Pcもブーム角度θbが大きくなるにしたがって小さくなる。即ち、電磁比例弁92は、フロント作業機の慣性モーメントJが小さくなるにしたがって小さくなるよう制御圧Pcを生成する。
【0084】このようにブーム角度θb(慣性モーメントJ)に連動して制御圧Pcを生成することにより、前述したように圧力制御弁12のPminは図4に示すように変化し、上述した(1)〜(4)の効果が得られる。
【0085】また、その結果、都市土木作業で欠くことのできない地位を占めた図2に示す如きフロント作業機82が抱き込めることが特徴である小旋回型油圧ショベルにおいて、フロント作業機82が抱き込めるが故に、旋回動作に不都合が生じがちであった問題を一気に解決し、小旋回型油圧ショベルの操作性を大幅に向上できる。
【0086】なお、図2に示すごとき小旋回型油圧ショベルでは、フロント作業機と運転席の干渉を避けるためにブームの回転角の角度センサとアームの回転角の角度センサを有しているのが一般的であり、これらセンサの情報を利用することで、慣性モーメントの大小を判断してもよい。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、作業姿勢によって慣性モーメントの大きさが変動する作業機を備えた慣性体を回転駆動する油圧モータ回路に設けられる圧力制御弁において、慣性モーメントの大小に係わらずオーバシュートの発生や旋回ジャーキングの発生を抑えてスムーズな起動特性が得られる。
【0088】また、クラッキング圧を変えてもリリーフ最高圧力は変わらないため、慣性体として油圧ショベルの旋回体を回転駆動する油圧モータ回路に適用した場合は、大きな旋回力が得られ、良好な旋回作業性を確保できる。
【0089】また、都市土木作業で欠くことのできない地位を占めたフロント作業機が抱き込めることが特徴である小旋回型油圧ショベルにおいて、フロント作業機が抱き込めるが故に、旋回動作に不都合が生じがちであった問題を一気に解決し、小旋回型油圧ショベルの操作性を大幅に向上できる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【出願日】 平成10年10月20日(1998.10.20)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
【公開番号】 特開2000−120899(P2000−120899A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−298365