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【発明の名称】 四方切換弁及びその製造方法
【発明者】 【氏名】伊藤 達也

【要約】 【課題】本発明は、四方切換弁及びその製造方法に関し、コスト増を招くことなく主回路となる管の圧力損失の増加を防止可能とした四方切換弁及びその製造方法を実現することを目的とする。

【解決手段】流体の流れる主回路となる管60にパイロットバルブの給排管61が開口し、該パイロットバルブにより流体の流路を切換える四方切換弁において、前記パイロットバルブの吸排気管61を前記主回路となる管60に、その内面より突出しないように設け、該主回路となる管60に圧力損失が生じないように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体の流れる主回路となる管(60)にパイロットバルブの給排管(61)が開口し、該パイロットバルブにより流体の流路を切換える四方切換弁において、前記パイロットバルブの吸排気管(61)を前記主回路となる管(60)に、その内面より突出しないように設け、該主回路となる管(60)に圧力損失が生じないようにしたことを特徴とする四方切換弁。
【請求項2】 上記主回路となる管(60)のパイロットバルブの給排気管(61)を接合する部分に、外部に突出し且つ該給排気管(61)を取り巻く形で形成したつば出し加工部(60a)を設けたことを特徴とする請求項1記載の四方切換弁。
【請求項3】 流体の流れる主回路となる管(60)にパイロットバルブの給排管(61)が開口し、該パイロットバルブにより流体の流路を切換える四方切換弁において、前記パイロットバルブの給排管(61)を前記主回路となる管(60)内に突出させて接合した後、該突出部(61a)を切断除去することを特徴とした四方切換弁の製造方法。
【請求項4】 前記流体の流れる主回路となる管(60)の内面に突出した突出部(61a)を切断除去する手段は、カッター加工、リーマー加工、ドリル加工、ホールカッター加工の何ずれかであることを特徴とする請求項3記載の四方切換弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は四方切換弁に関する。詳しくは、ヒートポンプシステムに用いられ、冷房又は暖房に切り換えるためにパイロットバルブにより冷媒の流れる方向を切り換える四方切換弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のヒートポンプシステムを用いた冷暖房装置を図8に示す。この冷暖房装置は(a)図の如く冷房時には、圧縮機で圧縮されて高圧高温となった冷媒が室外機によって放熱されて液化し、液化された冷媒は室内機で気化し、その際の気化熱を室内の空気から奪って冷却し、室内を冷房する。気化した冷媒は再び圧縮機で圧縮され前記の動作を繰り返す。
【0003】また、暖房時には(b)図の如く、圧縮機で圧縮されて高圧高温となった冷媒が室内機に送られてここで放熱し室内空気を加熱し、自身は低温となる。低温となった冷媒は室外機で外気の熱量を吸収し、再び圧縮機で圧縮される。上記の冷暖房装置において、冷房と暖房を切り換えるには圧縮機で圧縮された冷媒の行く先を室外機か室内機かに切り換える必要があり、そのために四方切換弁が用いられている。
【0004】従来の冷暖房装置に用いられる四方切換弁には、三方向型パイロット搭載四方切換弁と四方向型パイロット搭載四方切換弁とがある。三方向型パイロット搭載四方切換弁は、図9に示すように、四方切換弁1及びパイロットバルブ2を有し、四方切換弁1が圧縮機3、コンデンサ4、膨張弁5および蒸発器6によって構成される冷媒回路に介在され、四方切換弁1によって冷媒回路を流れる冷媒の方向が切り換えられて、冷房回路と暖房回路との切り換えが行われれる。
【0005】四方切換弁1は、円筒状の弁箱7を有し、この弁箱7の中間部に圧縮機3の出口に連通される高圧管8、圧縮機3の入口に連通される低圧管9、コンデンサ4に連通される導管10および蒸発器6に連通される導管11が接続されている。低圧管9および一対の導管10,11は弁箱7内に配設される弁座12に接続されるとともに、低圧管9を中心として弁箱7の軸方向の両側に一対の導管10,11が配設されている。
【0006】弁箱7内の両端には連結軸13で一体に連結された一対のピストン14,15が弁箱7の軸方向に沿って一体に摺動可能に配置され、連結軸13には弁座12に摺動可能とする弁体16が固着されている。弁体16は、ピストン14,15の移動に対応して、高圧管8を一対の導管10,11のうちの一方に連通させ且つ低圧管9を一対の導管10,11のうちの他方に連通させる。
【0007】またパイロットバルブ2は円筒状のパイロットバルブ本体17を有し、このパイロットバルブ本体17には低圧管9に連通される低圧細管18が接続され、この低圧細管18を中心としてパイロットバルブ本体17の軸方向の両側には弁箱7の両端に連通される一対の細管19,20が接続され、パイロットバルブ本体内には低圧細管18と細管19,20とを連通する弁座21,22が形成されている。
【0008】パイロットバルブ本体17内の一端には弁座21を開閉するニードル23が軸方向に移動可能に配設されているとともに、ニードル23を弁座21に向けて付勢するスプリング24が配設されている。
【0009】パイロットバルブ本体17の他端にはソレノイド25が配設されている。このソレノイド25は、円筒状のチューブ26を有し、このチューブ26の一端がパイロットバルブ本体17の他端に固着され、チューブ26の他端に固定鉄心27が固着され、チューブ26内に弁座22を開閉する可動鉄心28がチューブ26の軸方向に移動可能に配設されている。固定鉄心27と可動鉄心28の他端に形成される凹部29との間には可動鉄心28を弁座22に向けて付勢するスプリング30が配設され、チューブ26の外周には可動鉄心28を固定鉄心27に吸引する磁束を発生するコイル31およびこのコイル31を保持するコイルケース32が配設されている。
【0010】そして、コイル31の非通電状態では、スプリング30の付勢力で可動鉄心28およびニードル23が左方向に押圧されて移動し、弁座21が開くとともに弁座22が閉じ、低圧細管18と細管19とが連通されている。この状態で、弁箱7内の左端とピストン14とで形成される空間に低圧管18が連通され、ピストン14,15とともに弁体16を左方向に移動し、高圧管8と導管10とが連通されるとともに、低圧管9と導管11とが連通され、冷房回路が形成される。
【0011】この冷房回路が形成されている状態で、ソレノイド25のコイル31に通電すると、可動鉄心28が固定鉄心27に吸引されて右方向に移動するとともに、ニードル23がスプリング24の付勢力によって右方向に移動し、弁座21が閉じるとともに弁座22が開き、低圧細管18と細管20とが連通される。これにより、弁箱7内の右端面とピストン15とで形成される空間に低圧管18が連通されてその空間が低圧となり、ピストン14,15とともに弁体16が右方向に移動し、高圧管8と導管11とが連通されるとともに低圧管9と導管10とが連通され、暖房回路が形成される。
【0012】この暖房回路が形成されている状態で、ソレノイド25のコイル31への通電を切ると、可動鉄心28およびニードル23がスプリング30の付勢力で左方向に移動し、前述した冷房回路が形成される。
【0013】また、四方向型パイロット搭載四方切換弁は図10に示す如くである。この弁装置のパイロットバルブ部Pは磁界を発生する電磁コイル33とその磁界により駆動される可動体、即ちプランジャー34及び磁界が消失した場合に該プランジャー34を元の位置に復帰させるためのスプリング35とから構成されている。
【0014】上記のパイロットバルブ部Pを使用した四方切換弁の作動を図10に従って説明する。即ち図10は上述したパイロットバルブ装置と四方切換弁装置とを一体化した構造であり、初期の状態に於いてはパイロットバルブ部Pでは、プランジャー34が左側に寄っていて弁部36はポート37を開放し高圧流体ポート38と導通しているがポート39と低圧側ポート40とは該弁36により導通している。従って、四方切換弁41に於いては右側の弁室42が高圧となり弁体43はピストン44と45と共に左端に移動してパイプ46とパイプ47とを導通すると共に高圧管48とパイプ50とを導通して冷房回路を形成する。
【0015】次に該コイル33に通電すると、プランジャー34が矢印A方向にスプリング35に抗して吸引され、弁部36がポート39を開放し高圧流体ポート38と導通させると共に、ポート37と低圧側ポート40とを導通させる。すると、四方切換弁41の右側の弁室42の高圧流体はポート37及び低圧側ポート40を通って低圧管47から流出して低圧となり、一方のポート39がポート38と導通するため高圧流体は左側弁室49内に流入して高圧部を形成するので弁体43はピストン44,45と共に右端に移動してパイプ50と低圧管47とを導通すると共に高圧管48とパイプ46とを導通して暖房回路を形成することになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の三方向型パイロット搭載四方切換弁または四方向型パイロット搭載四方切換弁では、パイロットバルブの作動に高圧流体と低圧流体との差圧を利用している。このため、図9の三方向型パイロット搭載四方切換弁には低圧管9に低圧細管18が接続され、図10の四方向型パイロット搭載四方切換弁には高圧管61に細管33が、低圧管59に細管34がそれぞれ接続されている。
【0017】これらの細管を高圧管または低圧管に接続するには、気密に且つ導通を妨げないように接合する必要がある。気密に接合するためにはロー付けが最適であるが、ロー付け時に細管の毛細管現象によるロー材の吸い込みを防ぐ必要がある。このため、従来は、図11に示すように、溶けたロー材53が固まるまで細管(給排気管52)の入口に接触しないように且つ細管を高圧管または低圧管(主回路となる管51)内に突出させて接合していた。
【0018】主回路となる管51内に給排気管52が突出していると、この突出部52aが冷媒の流路を狭め、圧力損失の増加を招き、ひいてはシステム全体の効率を低下させることになる。なお、主回路となる高圧管または低圧管の大径化や四方弁の大型化などは圧力損失は低減されるがコスト増を招くことになる。
【0019】本発明は上記従来の問題点に鑑み、コスト増を招くことなく主回路となる管の圧力損失の増加を防止可能とした四方切換弁及びその製造方法を実現することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の四方切換弁は、流体の流れる主回路となる管60にパイロットバルブの給排管61が開口し、該パイロットバルブにより流体の流路を切換える四方切換弁において、前記パイロットバルブの吸排気管61を前記主回路となる管60に、その内面より突出しないように設け、該主回路となる管60に圧力損失が生じないようにしたことを特徴とする。また、請求項2は、上記主回路となる管60のパイロットバルブの給排気管61を接合する部分に、外部に突出し且つ該給排気管61を取り巻く形で形成したつば出し加工部60aを設けたことを特徴とする。
【0021】また、請求項3の四方切換弁の製造方法は、流体の流れる主回路となる管60にパイロットバルブの給排管61が開口し、該パイロットバルブにより流体の流路を切換える四方切換弁において、前記パイロットバルブの給排管61を前記主回路となる管60内に突出させて接合した後、該突出部61aを切断除去することを特徴とする。また、請求項4は、前記流体の流れる主回路となる管60の内面に突出した突出部61aを切断除去する手段は、カッター加工、リーマー加工、ドリル加工、ホールカッター加工の何ずれかであることを特徴とする。
【0022】この構成を採ることにより、コスト増を招くことなく主回路となる管の圧力損失の増加を防止可能とした四方切換弁及びその製造方法が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の四方切換弁の第1の実施の形態を示す図である。本実施の形態は図9及び図10で説明した四方切換弁とほぼ同様であり、異なるところは、図1に示すように、主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61が接続された状態である。即ち、本実施の形態ではパイロットバルブの吸排気管61が主回路となる管60の内面から突出しないようにしてロー材62により結合されていることである。
【0024】このように構成された本実施の形態は、四方切換弁の主回路となる管60とパイロットバルブの吸排気管61の接続部において、主回路となる管60の内面にパイロットバルブの吸排気管61が突出していないため、主回路となる管60を流れる流体の圧力損失が図11に示した従来例に比し減少する。
【0025】図2は本発明の四方切換弁の第2の実施の形態を示す図である。本実施の形態は主回路となる管60の内面にパイロットバルブの吸排気管61が突出していないことは第1の実施の形態と同様であり、異なるところは、主回路となる管60のパイロットバルブの吸排気管61が接続される部分の管壁に、図に示すように外側に突出し、且つパイロットバルブの吸排気管を取り巻く形にバーリング加工して形成したつば出し加工部60aを設け、該つば出し加工部60aにパイロットバルブの吸排気管61をロー材62により結合したものである。このように構成された本実施の形態は第1の実施の形態と同様に流体の圧力損失が減少する上、主回路となる管60とパイロットバルブの吸排気管61との間のロー付け面積が増加するため結合強度が上昇する。
【0026】図3は本発明の四方切換弁の製造方法の第1の実施の形態を説明するための図である。本方法は先ず(a)図の如く主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61が挿通する孔を設け、該孔にパイロットバルブの吸排気管61を挿入し、その先端が主回路となる管60の内面から突出するようにしてロー材62によりロー付けする。
【0027】次に(b)図の如く、主回路となる管60の内径にほぼ等しい外径の丸棒の先端を鋭角にして切刃63aを形成したカッター63を、(c)図の如く主回路となる管60の内壁をガイドにして押し込み、パイロットバルブの吸排気管61の突出している部分61aを切断除去するのである。
【0028】図4は本発明の四方切換弁の製造方法の第2の実施の形態を説明するための図である。本方法は先ず(a)図の如く主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61をロー付けすることは前実施の形態と同様であり、次に(b)図の如く主回路となる管60の内径にほぼ等しい外径の丸棒の先端に内向きに切刃64aを形成したカッター64を、(c)図の如く主回路となる管60の中に挿入し、切刃64aを、パイロットバルブの吸排気管61の突出部に当接させて引き抜くことによりパイロットバルブの吸排気管61の突出している部分61aを切断除去するのである。
【0029】図5は本発明の四方切換弁の製造方法の第3の実施の形態を説明するための図である。本方法は先ず(a)図の如く主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61をロー付けすることは前実施の形態と同様であり、次に(b)図の如く主回路となる管60の内径にほぼ等しい外径の丸棒の先端外周部にその軸方向に平行な切刃65aを形成したリーマー65を、切刃65aが吸排気管61の突出部61aに当接するようにして(c)図の如く主回路となる管60の中に挿入し、ついで(d)図の如くリーマー65を矢印方向に回転することによりパイロットバルブの吸排気管61の突出している部分61aを切断除去するのである。
【0030】図6は本発明の四方切換弁の製造方法の第4の実施の形態を説明するための図である。本方法は先ず(a)図の如く主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61をロー付けすることは前実施の形態と同様であり、次に(b)図の如く主回路となる管60の内径にほぼ等しい外径を有するドリル66を回転しながら主回路となる管60に挿入しパイロットバルブの吸排気管61の突出している部分61aを切削除去するのである。
【0031】図7は本発明の四方切換弁の製造方法の第5の実施の形態を説明するための図である。本方法は先ず(a)図の如く主回路となる管60にパイロットバルブの吸排気管61をロー付けすることは前実施の形態と同様であり、次に(b)図の如く主回路となる管60の内径にほぼ等しい外径を有する円筒の先端に鋸歯67aを有するホールカッター67を用い、(c)図の如く主回路となる管60に挿入し回転させることによりパイロットバルブの吸排気管61の突出している部分61aを切削除去するのである。
【0032】以上の本発明の四方切換弁の製造方法の第1乃至第5の実施の形態によれば、主回路となる管60の内面にパイロットバルブの吸排気管61の先端部が突出しない接続構造が得られる。
【0033】
【発明の効果】本発明の四方切換弁に依れば、主回路となる管とパイロットバルブの吸排気管との接続部において、主回路となる管の内面にパイロットバルブの吸排気管の先端が突出しない構造が得られるため、主回路となる管を流れる流体に抵抗を与えず、圧力損失を少なくすることが可能となる。またこのため主回路となる管を大型化する必要がないため、コスト増を招くこともない。
【0034】また、本発明の四方切換弁の製造方法に依れば、従来の、気密性能、歩留りの点で実績のある、主回路となる管にパイロットバルブの吸排気管を突出させてロー付けする手法をそのまま生かし、さらに突出部を削除することにより主回路となる管の圧力損失を少なくすることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000230412
【氏名又は名称】日本ランコ株式会社
【出願日】 平成10年10月20日(1998.10.20)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
【公開番号】 特開2000−120892(P2000−120892A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−298460