トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 マスタバルブ
【発明者】 【氏名】中島 博美

【要約】 【課題】従来の電磁弁のようなコイルの発熱による弁室の内圧変化がないとともに、従来のマスタバルブのような弾性パッキンの変形による弁室の内圧変化もなく、僅かな内圧変化も無視できない高精度のリークテスタ等に適用するのに好適なマスタバルブを提供する。

【解決手段】ポペット弁体9とピストン10とを分離するとともに、弁室5とピストン室6とを隔壁7で隔離し、弁室5にはポペット弁体9、ピストン6室にはピストン10をそれぞれ別々に摺動自在に嵌装してこれらをマグネット11・12の磁力により磁気的に結合し、ポペット弁体9をピストン10に従動させて弁口8の開閉を行う構造とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】インポートとアウトポートとパイロットポートとを有する弁本体内に、弁室とピストン室とを隔壁で互いに隔離して形成し、弁室内には、インポートとアウトポートとの間の弁口を開閉するポペット弁体を摺動自在に配置するとともに、ピストン室には、パイロットポートからのパイロット圧により押動されるピストンを配置し、これらポペット弁体とピストンとをマグネットで磁気的に結合し、ポペット弁体を磁力でピストンに従動させて弁口の開閉を行う構造としたことを特徴とするマスタバルブ。
【請求項2】隔壁を円筒形としてその内部を弁室、その外周と弁本体との間を円筒形のピストン室とし、このピストン室に、円筒形のピストンを摺動自在に配置したことを特徴とする請求項1記載のマスタバルブ。
【請求項3】ピストンとポペット弁体のそれぞれにマグネットを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のマスタバルブ。
【請求項4】マグネットにヨークを付設したことを特徴とする請求項3記載のマスタバルブ。
【請求項5】ピストンをパイロット圧供給側とは反対側に付勢するスプリングをピストン室内に配置したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のマスタバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、差圧式のリークテスタ等に用いられるマスタバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、差圧式のリークテスタ等に用いられる2位置弁としては、直動式の電磁弁、又は、ピストンをパイロット圧で押動することによりポペット弁体の開閉動作を行うマスタバルブが用いられてきた。
【0003】図10及び図11は直動式の電磁弁の概要を示し、図10はノーマルクローズタイプ、図11はノーマルオープンタイプである。
【0004】直動式の電磁弁は、弁室を密封できて漏れ防止効果が高いことから、リークテスタ等には多用されているが、より高精度のリークテスタ等では、弁内部での内圧の変化が問題になる場合があり、電磁弁ではコイルからの発熱により、密封された弁室の内圧が変化する問題があった。
【0005】図12、13及び図14、15は、ピストンとポペット弁体が一体的構造の従来のマスタバルブを示し、図12、13はノーマルクローズタイプ、図14、15はノーマルオープンタイプである。
【0006】図12、13のノーマルクローズタイプのマスタバルブは、弁本体50の内部に、ピストン室51と弁室52とが連続して形成され、ピストン室51内にはピストン53、弁室52内にはポペット弁体54がそれぞれ摺動自在に嵌装されている。ピストン53とポペット弁体54とは弁軸55により連結されて一体に摺動する。ピストン室51と弁室52とは連続形成されているため、それらの間には弁軸55に摺接する弾性パッキン56が配設されている。
【0007】このノーマルクローズタイプのマスタバルブは、通常は、スプリング57によりポペット弁体54が下方へ押されて弁座58のシール材59に圧接し、インポート60とアウトポート61との間の弁口62を閉じる。パイロットポート63からパイロット圧を供給すると、ピストン53が上方へ押動されるため、これと一体にポペット弁体54が押し上げられて弁口62を開く。
【0008】図14、15のノーマルオープンタイプのマスタバルブは、上記ノーマルクローズタイプのマスタバルブに対し、ポペット弁体54と弁座58の位置関係が上下逆になっており、通常は、スプリング57によりポペット弁体54が下方へ押されて弁座58から離れているが、パイロットポート60からパイロット圧を供給すると、ピストン53が上方へ押動されてポペット弁体54が押し上げられ、弁座58のシール材59に圧接して弁口62を閉じる。この場合も、ピストン室51と弁室52とは連続形成されているため、それらの間には弁軸55に摺接する弾性パッキン56が配設されている。
【0009】上記のように、ノーマルクローズ及びノーマルオープンのいずれのタイプのマスタバルブでも、従来は、ピストン室51と弁室52とは連続形成され、またピストン53とポペット弁体54とは弁軸55にて一体的に連結されているため、ピストン室51と弁室52との間で、弁軸55に摺接してシールする弾性パッキン56を配設する必要があった。ところが、この弾性パッキン56が内圧で弾性変形すると、その変形で容積が変化し、これが弁室52の内圧変化をもたらし、高精度としたいリークテスタ等では、弾性パッキン56の変形による僅かな内圧変化でも無視できない問題であった。
【0010】そこで、本発明の目的は、上述したような従来の問題点に鑑み、従来の電磁弁のようなコイルの発熱による弁室の内圧変化がないとともに、従来のマスタバルブのような弾性パッキンの変形による弁室の内圧変化もなく、僅かな内圧変化も無視できない高精度のリークテスタ等に適用するのに好適なマスタバルブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるマスタバルブは、図1にその基本構成を示すように、インポート1とアウトポート2とパイロットポート3とを有する弁本体4内に、弁室5とピストン室6とを隔壁7で互いに隔離して形成し、弁室5内には、インポート1とアウトポート2との間の弁口8を開閉するポペット弁体9を摺動自在に配置するとともに、ピストン室6には、パイロットポート3からのパイロット圧により押動されるピストン10を配置し、これらポペット弁体9とピストン10とをマグネット11・12で磁気的に結合し、ポペット弁体9を磁力でピストン10に従動させて弁口の開閉を行う構造としたものである。
【0012】隔壁7を円筒形としてその内部を弁室5、その外周と弁本体4との間を円筒形のピストン室6とし、このピストン室6に、円筒形のピストン10を摺動自在に配置した構造が良い。
【0013】ポペット弁体9とピストン10との磁気的結合を強固にするには、それぞれにマグネット11・12を設け、更にマグネットにヨークを付設すると良い。
【0014】ピストン10をパイロット圧供給側とは反対側に付勢するスプリング13をピストン室6内に配置すれば、ピストン10の復帰をスプリング13で行える。この場合、スプリング13によるピストン10の付勢方向をポペット弁体9が閉じる方向とすれば、図1のようにノーマルクローズタイプのマスタバルブとなり、逆にポペット弁体9が開く方向とすれば、ノーマルオープンタイプのマスタバルブとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0016】図2〜図5は、ノーマルクローズタイプの2位置弁とした本発明の実施例である。弁本体4はベース14とハウジング15とで構成され、ベース14の下面にはインポート1とアウトポート2、ハウジング15にはパイロットポート3とブレザーポート16がそれぞれ設けられている。
【0017】ハウジング15内の中央には円筒形の隔壁7が設置されている。隔壁7の上端部は、これに螺合させたカバー17でハウジング15内の上端部に固定され、下端部は、ベース14の凸部14aに螺合させて固定されている。隔壁7の内部は弁室5、隔壁7の外周とハウジング15の内周との間は、隔壁7にて弁室5と隔離された円筒形のピストン室6となっている。
【0018】ベース14の凸部14aの中央部は少し隆起して弁座18となっている。この弁座18に形成された弁口8は、弁室5の下面中央に臨んでいて、この弁口8から真っ直ぐ延びた縦孔19によりアウトポート2へと連通している。また、インポート1は、斜めの縦孔20により弁口8から少し離れたところで弁室5に連通している。一方、パイロットポート3は、ピストン室6の下端部でこれと連通し、またブレザーポート16は、ピストン室6の下端部でこれと連通している。
【0019】弁室5内にはポペット弁体9が上下摺動自在に嵌装され、ピストン室6には円筒形のピストン10が上下摺動自在に嵌装されている。
【0020】ポペット弁体9は、ボルトを逆さにしたような形状のコア21に、リング状の下側スライダ22、下側ヨーク23、マグネット11、上側ヨーク24、上側スライダ25を下から順に嵌合させてナット26で緊締したものである。このポペット弁体9は、上下のスライダ25・22の外周面が円筒形の隔壁7の内周面に摺接して上下動するが、これらスライダ25・22は、硬質合成樹脂や非磁性の金属で作られており、パッキンのような弾性変形するようなものではない。すなわち、ポペット弁体9は、弁室5がピストン室6と隔離されていて、パイロットポート3からのパイロット圧を直接には受けないため、弾性パッキンは備えていない。ただ、弁座18をシールする必要はあるため、コア21の下面中央の凹部に弾性シール材27を嵌め込んでいる。
【0021】ピストン10は、上下の円筒部材10a・10bのネジ部を互いに螺合させて組み合わせ、これら円筒部材10a・10bの内周の段部により、リング状の下側ヨーク28、マグネット12及び上側ヨーク29を重ね合わせて挟持するとともに、円筒形の隔壁7の外周面に摺接するリング状のスライダ30を固定したものである。このピストン10は、パイロットポート3からのパイロット圧を受けて摺動するため、円筒形の隔壁7の外周面との間及びハウジング15の内周面との間をシールする弾性パッキン31・32を備えている。そして、ピストン10は、図2の例では、ポペット弁体9をノーマルクローズとするため、ピストン室6内に配置されたスプリング13により下方へ付勢されている。
【0022】図2において、ポペット弁体9側のマグネット11とピストン10側のマグネット12とは、互いのN極とS極とを対向させてあるため、ポペット弁体9とピストン10とは、機械的には分離しているが磁力により磁気的に結合された状態となっている。ヨーク23・24・28・29はその磁力を強める作用をしている。
【0023】従って、通常では、図2に示すようにピストン10が、スプリング13により下端のストロークエンドまで下方へ押動されるため、ポペット弁体9もピストン10に従動して下方へ推進され、弾性シール材27が弁座18に圧接して弁口8を閉じている。
【0024】この状態でパイロットポート3からパイロット圧をピストン室6内に供給すると、ピストン10がスプリング13に抗して上方へ押動されるので、これに従動してポペット弁体9も上方へ推進されて弁口8を開く。
【0025】図6及び図7は、ノーマルオープンタイプの2位置弁とした本発明の実施例である。この場合、ポペット弁体9は図2の場合と全く同じ構造であるが、ピストン10は図2の場合とは上下逆にした構造で、しかもスプリング13により図2の場合とは逆に上方へ付勢され、またパイロットポート6とブレザーポート16との上下の位置関係も図2の場合とは逆になっている。
【0026】図6の場合には、通常では、ピストン10が、スプリング13により上端のストロークエンドまで上方へ押動されるため、ポペット弁体9もピストン10に従動して上方へ推進され、弾性シール材27が弁座18から離れて弁口8を開いている。
【0027】この状態でパイロットポート3からパイロット圧をピストン室6内に供給すると、ピストン10がスプリング13に抗して下方へ押動されるので、これに従動してポペット弁体9も下方へ推進され、弾性シール材27が弁座18に圧接して弁口8を閉じる。
【0028】図2の構造をJIS記号で表すと図8、図6の構造をJIS記号で表すと図9のようになる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ポペット弁体とピストンとを分離するとともに、弁室とピストン室とを隔壁で隔離し、弁室にはポペット弁体、ピストン室にはピストンをそれぞれ別々に摺動自在に嵌装してこれらをマグネットの磁力により磁気的に結合し、ポペット弁体をピストンに従動させて弁口の開閉を行う構造にしたので、ポペット弁体には、弁室内壁面との間をシールする弾性パッキンが不要になるため、弾性パッキンの弾性変形により弁室の内圧が変動するようなことがなくなる。従って、僅かな内圧変動でも問題となる高精度のリークテスタ等に適用するのに好適である。
【0030】請求項2に係る発明によれば、隔壁を円筒形としてその内部を弁室、その外周と弁本体との間を円筒形のピストン室とし、このピストン室に、円筒形のピストンを摺動自在に配置したので、小型化できる。
【0031】請求項3に係る発明によれば、ピストンとポペット弁体のそれぞれにマグネットを設けたので、ピストンとポペット弁体との磁気的結合を強固にでき、また請求項4に係る発明によれば、マグネットにヨークを付設したので、磁気的結合を一層強固にできる。
【0032】請求項5に係る発明によれば、ノーマルクローズタイプとするかノーマルオープンタイプするかを簡単に選択できる。
【出願人】 【識別番号】000204240
【氏名又は名称】太陽鉄工株式会社
【出願日】 平成10年7月27日(1998.7.27)
【代理人】 【識別番号】100062476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 信市
【公開番号】 特開2000−46232(P2000−46232A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−211355