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【発明の名称】 電磁弁
【発明者】 【氏名】山田 昇市

【氏名】内藤 正博

【要約】 【課題】間隔部材を別途に取り付けることなく、金属弁体における残留磁気の発生を抑え、電磁弁の動作上の高速応答性を確保すること。

【解決手段】電磁弁11は金属弁体26、弁座25aを含む弁本体部14と、弁体26を弁座25aに接離させるためのソレノイド15とを備える。ソレノイド15は、金属弁体26を吸引するための吸引面30aを含む磁気フレーム30を有する。弁本体部14に接合されるソレノイド15の底部には、非磁性材料よりなり可撓性を有する底部材43が設けられる。底部材43の底面43eと反対側には磁気フレーム30の基部をシールするためのガスケット44が設けられる。磁気フレーム30の吸引面30aは底部材43の底面43eと同一平面をなすように配置される。吸引面30aに吸引される金属弁体26の被吸引面は凹凸に形成され、その凸面26bが底面43eに接触したときに、その凹面26aが吸引面30aに非接触となるようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、前記金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、前記磁気フレームの吸引面に対する前記金属弁体の吸引を制御することにより、前記金属弁体を前記弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、前記弁本体部に対して接合される前記ソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、前記吸引面を前記底部材の底面に配置し、前記金属弁体の被吸引面と前記底部材の底面とを互いに接触可能に形成し、前記被吸引面と前記底面とが互いに接触したときに前記被吸引面と前記吸引面とが互いに非接触となるように形成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】 金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、前記金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、前記磁気フレームの吸引面に対する前記金属弁体の吸引を制御することにより、前記金属弁体を前記弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、前記弁本体部に対して接合される前記ソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、前記吸引面を前記底部材の底面と同一平面をなすように配置し、前記金属弁体の被吸引面側を凹凸に形成し、その凸面を前記底面に接触可能とし、前記凸面が前記底面に接触したときに凹面を前記吸引面に非接触としたことを特徴とする電磁弁。
【請求項3】 金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、前記金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、前記磁気フレームの吸引面に対する前記金属弁体の吸引を制御することにより、前記金属弁体を前記弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、前記弁本体部に対して接合される前記ソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、前記吸引面を前記底部材の底面に配置すると共に、前記底面の一部を前記吸引面よりも凸に形成し、前記底面の凸面を前記金属弁体の被吸引面に接触可能とし、前記被吸引面が前記凸面に接触したときに前記被吸引面を前記吸引面に非接触としたことを特徴とする電磁弁。
【請求項4】 請求項1乃至請求項3の一つに記載した電磁弁において、前記底部材を可撓性を有する材料により形成したことを特徴とする電磁弁。
【請求項5】 請求項4に記載した電磁弁において前記底部材の底面と反対側の内面に、弾性部材を設けたことを特徴とする電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ソレノイドを作動させて弁体を弁座に当接又は離間させるようにした電磁弁に係る。詳しくは、圧力流体を制御するのに好適で、高速応答性と高頻度の動作に対する耐久性が要求される電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ソレノイドを作動させて弁体を弁座に当接又は離間させるようにした電磁弁がある。この種の電磁弁では、弁座に対する弁体の移動ストロークの大きさが、電磁弁から出力される流体の流量を決定することになる。
【0003】圧力流体の流れを短い時間間隔で頻繁に制御するために、高速応答性と高頻度の動作に対する耐久性とを考慮して設計された電磁弁がある。この種の電磁弁は、平板状の弁体(金属弁体)そのものを可動鉄心としてソレノイドの固定鉄心及び磁気フレーム等の吸引面に吸引・吸着させたり、その吸着を停止させたりすることにより、弁体を弁座に対して当接又は離間させるようにしている。固定鉄心等の吸引面に対する金属弁体の吸着やその吸着の停止は、ソレノイドを励磁・消磁させて金属弁体を磁化・消磁させることにより行うことになる。
【0004】しかしながら、上記の電磁弁では、固定鉄心等の吸引面に金属弁体を短い間隔で高頻度に吸着・停止させるために、ソレノイドを短い間隔で高頻度に励磁・消磁させていたことから、その消磁の際に、一旦磁化された金属弁体に磁気が残留する傾向があり、その残留磁気が固定鉄心等の吸引面からの金属弁体の離間を遅らせる傾向にあった。この結果、弁座に対する金属弁体の当接(復帰)が遅れ、電磁弁としての動作の高速応答性が阻害されるおそれがあった。
【0005】そこで、上記のような不具合を解消するために、固定鉄心等の吸引面又は金属弁体の被吸引面(被吸着面)に非磁性体よりなる間隔部材(緩衝部材を含む)を介在させることにより、その吸引面に金属弁体を直接当接させないようにすることが考えられる。
【0006】例えば、実公平5−26389号公報は、上記のような電磁弁の一つを開示する。図20に示すように、この電磁弁は、ソレノイド51のコイル52を通電により励磁させることにより、可動鉄心53を含む弁体54を固定鉄心55の吸引面55aに吸引させて弁座56を開放させるようにしている。弁体54は可動鉄心53と、その鉄心53のほぼ全表面を覆う緩衝部材57とから構成される。そして、可動鉄心53の被吸引面側を緩衝部材57を介して固定鉄心55の吸引面55aに接触させるようにしている。
【0007】一方、上記の従来技術とは異なり、固定鉄心等の側に緩衝部材を取り付けた電磁弁がある。この電磁弁では、固定鉄心等の吸引面と緩衝部材とにより可動鉄心(弁体)を受けるために、緩衝部材が固定鉄心等の吸引面と同一平面をなすように取り付けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記前者の電磁弁では、可動鉄心53の被吸引面側に緩衝部材57が設けられる分だけ、可動鉄心53に対する磁気ストローク、即ち、磁気の及ぶ範囲が大幅に犠牲にされる傾向があった。つまり、弁座56に対する弁体54の移動ストロークを所定値に設定したときに、その移動ストロークに相当する分よりも大きい磁力をコイル52で発生させなければならず、磁力ロスが大きくなる傾向にあった。このことは、コイル52の巻き数を増やし、或いは、吸引面55aと弁座56との間隔を拡大させることになり、電磁弁の大形化を招来することにもなる。
【0009】一方、上記後者の電磁弁では、固定鉄心等に緩衝部材を別途に取り付ける際に、緩衝部材を吸引面と同一平面にするのに高い精度が要求され、部品毎の寸法精度が厳しくなり、それらの部品の取付作業が面倒なものとなる傾向にあった。
【0010】この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、間隔部材を別途に取り付けることなく、金属弁体における残留磁気の発生を抑え、もって動作上の高速応答性を確保することを可能にした電磁弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、磁気フレームの吸引面に対する金属弁体の吸引を制御することにより、金属弁体を弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、弁本体部に対して接合されるソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、吸引面を底部材の底面に配置し、金属弁体の被吸引面と底部材の底面とを互いに接触可能に形成し、被吸引面と底面とが互いに接触したときに被吸引面と吸引面とが互いに非接触となるように形成したことを趣旨とする。
【0012】上記の構成によれば、金属弁体の被吸引面と非磁性材料よりなる底部材の底面とを互いに接触可能に形成し、被吸引面と底面とが互いに接触したときに被吸引面と磁気フレームの吸引面とが互いに非接触となるように形成している。このため、ソレノイドが励磁されたときには、金属弁体の被吸引面が磁気フレームの吸引面に吸引されるが、その被吸引面は底部材の底面に接触するだけで、磁気フレームの吸引面に接触することはない。その後、ソレノイドが消磁されることにより、吸引面に対する金属弁体の吸引が解除され、金属弁体が底部材から離れようとする。このとき、金属弁体の被吸引面と磁気フレームの吸引面とが互いに接触していないことから、金属弁体からの磁気の消失が容易となり、金属弁体が永久磁化され難い。更に、金属弁体を永久磁化され難くするために、金属弁体と底部材との間に特別な間隔部材を介在させる必要がない。
【0013】上記の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、磁気フレームの吸引面に対する金属弁体の吸引を制御することにより、金属弁体を弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、弁本体部に対して接合されるソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、吸引面を底部材の底面と同一平面をなすように配置し、金属弁体の被吸引面側を凹凸に形成し、その凸面を底面に接触可能とし、凸面が底面に接触したときに凹面を吸引面に非接触としたことを趣旨とする。
【0014】上記の構成によれば、磁気フレームの吸引面を非磁性材料よりなる底部材の底面と同一平面に配置し、金属弁体の被吸引面側を凹凸に形成している。そして、金属弁体の被吸引面側の凸面を底部材の底面に接触可能とし、その凸面が底面に接触したときに金属弁体の凹面が磁気フレームの吸引面に対して非接触となるようにしている。このため、ソレノイドが励磁されたときには、金属弁体の被吸引面が磁気フレームの吸引面に吸引されるが、その被吸引面の凸面が底部材の底面に接触するだけで、その被吸引面の凹面が磁気フレームの吸引面に接触することはない。その後、ソレノイドが消磁されることにより、吸引面に対する金属弁体の吸引が解除され、金属弁体が底部材から離れようとする。このとき、金属弁体の被吸引面の凹面と磁気フレームの吸引面とが互いに接触していないことから、金属弁体からの磁気の消失が容易となり、金属弁体が永久磁化され難い。更に、金属弁体を永久磁化され難くするために、金属弁体と底部材との間に特別な間隔部材を介在させる必要がない。
【0015】上記の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、金属弁体及び弁座を有する弁本体部と、金属弁体を吸引するための磁気フレームを有するソレノイドとを備え、磁気フレームの吸引面に対する金属弁体の吸引を制御することにより、金属弁体を弁座に対して当接又は離間させるようにした電磁弁であって、弁本体部に対して接合されるソレノイドの底部材を非磁性材料により形成し、吸引面を底部材の底面に配置すると共に、底面の一部を吸引面よりも凸に形成し、底面の凸面を金属弁体の被吸引面に接触可能とし、被吸引面が凸面に接触したときに被吸引面を吸引面に非接触としたことを趣旨とする。
【0016】上記の構成によれば、磁気フレームの吸引面を非磁性材料よりなる底部材の底面に配置し、その底面の一部を吸引面よりも凸に形成し、その凸面を金属弁体の被吸引面に接触可能とし、被吸引面が凸面に接触したときに被吸引面が吸引面に対して非接触となるようにしている。このため、ソレノイドが励磁されたときには、金属弁体の被吸引面が磁気フレームの吸引面に吸引されるが、その被吸引面が底部材の底面の凸面に接触するだけで、その被吸引面が磁気フレームの吸引面に接触することはない。その後、ソレノイドが消磁されることにより、吸引面に対する金属弁体の吸引が解除され、金属弁体が底部材から離れようとする。このとき、金属弁体の被吸引面と磁気フレームの吸引面とが互いに接触していないことから、金属弁体からの磁気の消失が容易となり、金属弁体が永久磁化され難い。更に、金属弁体を永久磁化され難くするために、金属弁体と底部材との間に特別な間隔部材を介在させる必要がない。
【0017】上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の一つの発明の構成において、底部材を可撓性を有する材料により形成している。
【0018】上記の構成によれば、請求項1乃至請求項3の一つの発明の作用に加え、底部材が可撓性を有することから、金属弁体が吸引面に吸引されてその被吸引面の一部が底部材の底面に接触(衝突)したときには、その底部材が撓んで衝突時のエネルギーが緩和される。一方、吸引面に対する吸引が解除されて金属弁体が底部材から離れるときには、底部材の撓みの反発力が金属弁体に作用し、金属弁体が底部材から離れ易くなる。
【0019】上記の目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明の構成において、底部材の底面と反対側の内面に、弾性部材を設けたことを趣旨とする。
【0020】上記の構成によれば、請求項4の発明の作用に加え、弾性部材が底部材の底面と反対側の内面に設けられることから、金属弁体の被吸引面の一部が底部材の底面に接触(衝突)したときに、その底部材の撓みと弾性部材の弾性とが相俟って衝突時のエネルギーが緩和される。一方、吸引面に対する吸引が解除されて金属弁体が底部材から離れるときには、底部材の撓みの反発力と弾性部材の弾性の反発力とが相俟って金属弁体に作用し、金属弁体が底部材から更に離れ易くなる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁弁を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明を具体化した電磁弁11と、それに付随したマニホールド12の設備状態を示す。この電磁弁11は、マニホールド12に対してボルト13で固定される。
【0023】ここで、本実施の形態の電磁弁11は、圧縮されたエアをノズル(図示しない)から吐出させたり、その吐出を遮断したりするために作動するものであり、高速応答に対応した電磁弁である。この電磁弁11として、例えば、穀物中に含まれる石や泥、不良穀物等の異物を選別して除去するための選別装置に適用されるものがある。この選別装置において、電磁弁11は、センサによって識別された異物のみを、ノズルから吐出されるエアで吹き飛ばすために、コントローラにより制御される。
【0024】電磁弁11は、弁体(後述する)を内蔵する弁本体部14と、その弁体を駆動するために励磁されるソレノイド15とを備える。弁本体14は保持ブロック41を有する。ソレノイド15はエポキシ樹脂よりなる絶縁封止部材16により覆われる。絶縁封止部材16は、給電部17を含む蓋部材18と、その蓋部材18と一体的に接合される本体部材19とを含む。
【0025】マニホールド12は、一対の集中給気ポート20と、各ポート20から電磁弁11に通じる給気通路21と、同電磁弁11に通じる出力通路22とを有する。各集中給気ポート20には、コンプレッサ等のエア源から圧縮エアが供給される。
【0026】図2は、電磁弁11の断面を示す。図3は図2の3−3線に沿った断面を示す。図4は、図2の4−4線における保持ブロック41の上面を示す。図5は図2の5−5線におけるソレノイド15の底面を示す。弁本体部14及びソレノイド15は、ボルト孔15a,41aに挿通されたボルト13により互いに組み付けられる。
【0027】図2,3に示すように、ソレノイド15は、蓋部材18及び本体部材19により覆われたコイル27と、そのコイル27へ給電するための一対のコイル端子28と、ソレノイド15の底面側に設けられた底部材43とを備える。両コイル端子28は、給電部17において、蓋部材18を上方へ貫通して外部へ突出される。コイル27はボビン29に巻かれ、ボビン29は磁気フレーム30に支持される。磁気フレーム30は底部材43に組み付けられる。ボビン29の中心には、磁性体である固定鉄心40が設けられる。これらボビン29、磁気フレーム30及び固定鉄心40は一体的に磁化される。磁気フレーム30は、その基部が底部材43を貫通し、その底部材43の底面43eに露出する。各コイル端子28は、ボビン29に設けられた一対の側板31の上端から上方へ突設される。各コイル端子28の基部には、コイル27から延びるコイル線27aの端が巻き付けられて半田により固定される。
【0028】図2,3に示すように、蓋部材18は、樹脂より成形される。蓋部材18は、底部18aと、裾部18bと、底部18aから下方へ突設された一対のピン18c及び一対の突部18dとを有する。これら突部18dは、蓋部材18の中央において、その幅方向に沿って配列される。これらの突部18dは、蓋部材18をコイル27に対して位置決めするためのものである。磁気フレーム30及びコイル27等、並びにコイル端子28の基部は、それぞれ本体部材19により覆われる。各コイル端子28の基部を覆った本体部材19の部位は、蓋部材18に内包される。蓋部材18から突設されたコイル端子28には、給電部17に装着されるコネクタ(図示しない)が電気的に接続される。
【0029】図2,3に示すように、弁本体部14は、その保持ブロック41の中央に設けられた雌ねじ孔23及び一対の給気孔24を有する。図4に示すように、両給気孔24は、雌ねじ孔23を挟んで配置され、弁室42を介して雌ねじ孔23に連通する。各給気孔24は、前述したマニホールド12の各給気通路21に接続される。雌ねじ孔23は、その内周の下側半分に雌ねじ23aを有する。
【0030】図2,3に示すように、雌ねじ孔23には、弁座筒25が装着されて固定される。この弁座筒25は、その上端に弁座25aを有し、その外周の中間部に雄ねじ25bを有する。弁室42には、弁座25aに対応する金属弁体26が、弁座25aに接離可能に、即ち垂直方向に移動可能に配置される。
【0031】図6は金属弁体26の上面を、図7はその側面を、図8は図7の8−8線に沿った断面をそれぞれ示す。この金属弁体26はステンレス鋼板により形成される。図2〜8に示すように、金属弁体26の上面は底部材43の底面43e側に吸引される被吸引面であり凹凸に形成される。この被吸引面は、両脇の凹面26aと、両凹面26aの間に位置する凸面26bとを含む。この金属弁体26の移動方向と、前述したボビン29の中心軸線とは互いに直交する。
【0032】図9は底部材43の上面を、図10はその断面を、図11はその底面43eをそれぞれ示す。図2,3,5,9〜11に示すように、この底部材43は、保持ブロック41に対して接合されるものである。底部材43は、両給気孔24に対応する位置に、一対の凹部43aを有し、弁室42に対応する位置には、両凹部43aを互いに連通させる複数の導入溝43bを有する。底部材43は、導入溝43bを挟む位置に、一対の嵌め込み孔43cを有する。これら嵌め込み孔43cには、前述した磁気フレーム30の基部が嵌め込まれる。この磁気フレーム30の基端面は、ソレノイド15の磁力に基づく吸引力を金属弁体26に対して発揮させるための吸引面30aを構成する。これら磁気フレーム30は、その吸引面30aが底部材43の底面43eと同一平面をなすように、底部材43に対して一体的に成形されるものである。
【0033】図2〜11に示すように、金属弁体26の被吸引面の内、凹面26aは両嵌め込み孔43cに相対し、吸引面30aにより吸引力を受ける。金属弁体26の被吸引面の内、凸面26bが二つの嵌め込み孔43cの間に相対し、底部材43の底面43eと接触可能をなす。底面43eと吸引面30aは同一平面をなすことから、凸面26bが底面43eと接触したときに、凹面26aと吸引面30aは互いに非接触となる。即ち、上記のような構成により、金属弁体26の被吸引面と底部材43の底面43eとを互いに接触可能に形成し、金属弁体26の被吸引面と底部材43の底面43eとが互いに接触したときにその被吸引面と磁気フレーム30の吸引面30aとが互いに非接触となるように形成している。各導入溝43bは、底部材43の底面43eであって金属弁体26の凸面26bとの接触面に対応する位置に配置される。これら導入溝43bは、金属弁体26を底面43eから引き離すために、凹部43aにおける圧縮エアを導入するためのものである。底部材43は、更に、その両端にボルト13に対応したボルト孔43dを有する。
【0034】上記の形状を有する底部材43は、機械的強度と耐金属磨耗性に優れ、更に可撓性を有する樹脂材料により形成される。この実施の形態では、樹脂材料として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が適用される。このPPSは、強化用の炭素繊維と、充填用のフッ素樹脂とを含み、それらが所定の割合で混合されるものである。
【0035】図10に示す底部材43の底面43eと反対側の内面、即ち底部材43の上面のくぼみ43fには、図3に示すように、本発明の弾性部材としての磁気フレーム30と底部材43の間をシールするためのゴム製のガスケット44が設けられる。図12はガスケット44の上面を、図13は図12の13−13線に沿った断面を、図14は図12の14−14線に沿った断面をそれぞれ示す。ガスケット44の孔44aは、底部材43の嵌め込み孔43cと整合するように形成され、磁気フレーム30の基部が貫通する。
【0036】次に、上記のように構成された電磁弁11の動作を説明する。図2,3は、コイル端子28への給電が停止され、コイル27が消磁されて、金属弁体26が弁座25aに当接した状態、即ち電磁弁11が閉弁した状態を示す。その閉弁状態における金属弁体26の付近の様子を図15に拡大して示す。この状態において、金属弁体26の凸面26bと底部材43の底面43e(接触面)との間には、所定の隙間G1が形成される。この隙間G1は、金属弁体26が弁座25aから最大限移動することのできる距離に相当し、弁座25aに対する弁体26の移動ストロークを意味する。この状態において、給気孔24に供給されるエアは、底部材43の両凹部43aから弁室42の隙間G1を通じて弁体26の上面に作用する。これにより、弁体26が下方へ付勢されて弁座25aに当接し、電磁弁11が閉弁されてノズルからの圧縮エアの吐出が遮断される。
【0037】図16には、開弁状態における金属弁体26の付近の様子を拡大して示す。上記の閉弁状態から、両コイル端子28に電力を供給すると、コイル27が励磁される。この励磁により、コイル27、固定鉄心40、磁気フレーム30及び弁体26の間に磁界が形成され、金属弁体26がその上方の磁気フレーム30の吸引面30aに吸引される。この吸引力は、金属弁体26を弁座25aへ付勢するエアの圧力よりも大きいことから、金属弁体26は上方へ移動する。このとき、図16に示すように、金属弁体26の凸面26bは底部材43の底面43eに接触するが、両凹面26aは吸引面30aに接触することはない。これにより、金属弁体26が弁座25aから離れて電磁弁11が開弁される。この状態においては、集中給気ポート20に供給される圧縮エアが、給気通路21、弁座筒25及び出力通路22を通り、所定のノズルから吐出される。この結果、選別装置においては、穀物中の異物がエアで吹き飛ばされて除去される。
【0038】ここで、選別装置においては、大量の穀物の中から多数の異物を吹き飛ばすために、電磁弁11を高速で高頻度に開閉させる必要がある。そのため、ソレノイド15を短い間隔で高頻度に励磁・消磁させるようにしている。この実施の形態では、金属弁体26の凸面26bが底部材43の底面43eに接触するだけで、金属弁体26の凹面26aと磁気フレーム30の吸引面30aとは互いに接触しない。このことから、ソレノイド15を消磁させたときに、金属弁体26からの磁気の消失が容易となり、金属弁体26が永久磁化され難くなる。
【0039】又、金属弁体26を永久磁化され難くするために、金属弁体26と底部材43との間に特別な間隔部材を介在させる必要がなく、部品点数を増加させたり、取付作業を面倒なものにすることが無い。この結果、特別な間隔部材を別途に取り付けることなく、金属弁体26における残留磁気の発生を抑えることができ、もって金属弁体26の復帰動作、即ち、電磁弁11の動作上の高速応答性を確保することができるようになる。
【0040】更に、底部材43を機械的強度と耐金属磨耗性に優れ、更に可撓性を有する樹脂材料により形成したことから、金属弁体26が底部材43の底面43eに衝突したとき、その底部材43が撓み、衝突時のエネルギーが緩和される。一方、金属弁体26の磁気フレーム30に対する吸引が解除され、金属弁体26が底部材43から離れるときには、底部材43の撓みの反発力が金属弁体26に作用し、金属弁体26が底部材43から離れ易くなる。この意味で、金属弁体26の復帰動作、即ち、電磁弁11の動作上の高速応答性を高めることができる。
【0041】更に、この実施の形態では、底部材43の上面にゴム製のガスケット44を設けたことから、磁気フレーム30と底部材43との間がガスケット44によりシールされる。従って、シール部分でのエアの漏れが抑えられ、電磁弁11からの出力損失が抑えられる。又、ガスケット44が底部材43の底面43eと反対側の内面に位置していることから、金属弁体26が底部材43の底面43eに衝突したとき、底部材43の撓みとガスケット44の弾性とが相俟って、衝突時のエネルギーが緩和される。一方、金属弁体26の磁気フレーム30に対する吸引が解除され、金属弁体26が底部材43から離れるときには、底部材43の撓みの反発力とガスケット44の弾性の反発力とが相俟って金属弁体26に作用し、金属弁体26が底部材43から更に離れ易くなる。この意味で、金属弁体26の復帰動作、即ち、電磁弁11の動作上の高速応答性を更に高めることができる。
【0042】この実施の形態の電磁弁11につき、励磁後短時間に消磁を行った場合の吐出圧力の応答性に付いて、従来の平板状の金属弁体を用いた場合と比較した結果を図17のタイムチャートに示す。図17(a)はソレノイド15のオン・オフ動作を、図17(b)は電磁弁の吐出圧力の変化をそれぞれ示す。図17において、横軸1目盛りが0.5msに相当する。時刻T1において、ソレノイド15に通電し、励磁することにより電磁弁11を開弁し、時刻T1より1.0ms後の時刻T2において、ソレノイド15を消磁して、電磁弁11を閉弁した。図17において、曲線Aは本実施の形態の、凹凸のある金属弁体26を使用した電磁弁11の圧力変化を示す。曲線Bは、対照のために平板状の金属弁体を用いた電磁弁の圧力変化を示す。金属弁体の形状以外に、二つの電磁弁は互いに同じ構造を備える。図17に示すように、曲線Aにおいては、時刻T3(時刻T2より0.7ms後)をピークに吐出圧力が下降しているのに対し、曲線Bにおいては、時刻T4(時刻T2より1.0ms後)までピークが遅れることになり、吐出圧力が相対的に増大し、従って、ピークからの圧力下降が相対的に遅れていることが分かる。このことから、金属弁体26の被吸引面を凹凸にして、その被吸引面を磁気フレーム30の吸引面30aに接触させないようにすることにより、電磁弁11の応答性が向上することが明らかになった。
【0043】尚、この発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で以下のように適宜に変更して実施することもできる。
【0044】(1)前記実施の形態では、金属弁体26の被吸引面を凹凸に形成し、その凸面26bを底部材43の底面43eに接触可能とし、凸面26bが底面43eに接触したときに凹面26aを磁気フレーム30の吸引面30aに非接触とした。これに対し、図18,19に示すように、金属弁体26の被吸引面を平坦状とし、底部材43の嵌め込み孔43cの間の底面43eのみを磁気フレーム30の吸引面30aよりも凸に形成する。そして、底面43eの凸面を金属弁体26の被吸引面に接触可能とし、その被吸引面が底面43eの凸面に接触したときに被吸引面を吸引面30aに非接触となるようにしてもよい。ここで、図18は電磁弁11の開弁状態を示す。この状態では、金属弁体26は弁座25aに当接しており、底部材43からは離れている。図19は電磁弁11の閉弁状態を示す。この状態では、金属弁体26の被吸引面は底部材43の凸部分の底面43e(凸面)に接触するが、磁気フレーム30の吸引面30aには接触していない。従って、この場合にも、前記実施の形態と同様に、特別な間隔部材を別途に取り付けることなく、金属弁体における残留磁気の発生を抑えることができ、もって電磁弁11の動作上の高速応答性を確保することができる。
【0045】(2)前記実施の形態では、底部材43を可撓性のある材料により形成し、底部材43と磁気フレーム30との間に弾性部材としてのゴム製のガスケット44を設けたが、それら可撓性材料により形成したこと、及び弾性部材(ガスケット44)を設けたことの少なくとも一方を省略してもよい。即ち、底部材43の撓みの反発力、弾性部材(ガスケット44)の弾性の反発力を利用して金属弁体26を復帰させる構成を省略し、金属弁体26における残留磁気の発生を抑える構成のみを採用してもよい。この場合でも、金属弁体26の復帰の応答性を確保して、電磁弁の動作上の高速応答性を確保することができる。
【0046】(3)前記実施の形態では、本発明の電磁弁を選別装置に適用される電磁弁11に具体化したが、これに限られるものではなく、それ以外の用途の電磁弁に具体化することもできる。
【0047】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の構成によれば、金属弁体の被吸引面と非磁性材料よりなる底部材の底面とを互いに接触可能に形成し、それらが互いに接触したときに被吸引面と磁気フレームの吸引面とが互いに非接触となるように形成している。従って、金属弁体の被吸引面と磁気フレームの吸引面とが接触しないことから、ソレノイドが消磁されたときには、金属弁体からの磁気の消失が容易となり、金属弁体が永久磁化され難くなり、そのために金属弁体と底部材との間に間隔部材を介在させる必要がない。この結果、間隔部材を別途に取り付けることなく、金属弁体における残留磁気の発生を抑えることができ、もって電磁弁の動作上の高速応答性を確保することができるという効果を発揮する。
【0048】請求項2に記載の発明の構成によれば、磁気フレームの吸引面を非磁性材料よりなる底部材の底面と同一平面に配置し、金属弁体の被吸引面側を凹凸に形成してその凸面を底部材の底面に接触可能とし、その凹面を吸引面に非接触としている。従って、この発明の構成によっても請求項1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0049】請求項3に記載の発明の構成によれば、磁気フレームの吸引面を非磁性材料よりなる底部材の底面に配置し、その底面の一部を吸引面よりも凸に形成し、その凸面を金属弁体の被吸引面に接触可能とし、被吸引面が凸面に接触したときに被吸引面が吸引面に非接触となるようにしている。従って、この発明の構成によっても請求項1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0050】請求項4に記載の発明の構成によれば、請求項1乃至請求項3の一つの発明の構成において、底部材が可撓性を有することから、金属弁体が吸引面に吸引されて底部材の底面に接触(衝突)したときに、その衝突時のエネルギーが底部材の撓みにより緩和される。一方、被吸引面に対する吸引が解除されて金属弁体が底部材から離れるときには、底部材の撓みの反発力が金属弁体に作用して、金属弁体が底部材から離れ易くなる。この結果、請求項1乃至請求項3の一つの発明の効果に加えて、電磁弁の動作上の高速応答性を向上させることができるという効果を発揮する。
【0051】請求項5に記載の発明の構成によれば、請求項4の発明の構成において、金属弁体の被吸引面の一部が底部材の底面に接触(衝突)したときには、その底部材の撓みと弾性部材の弾性とが相俟って衝突時のエネルギーが緩和され、被吸引面に対する吸引が解除されて金属弁体が底部材から離れるときには、底部材の撓みの反発力と弾性部材の弾性の反発力とが相俟って金属弁体に作用し、金属弁体が底部材から更に離れ易くなる。この結果、請求項4の発明の効果に加えて、電磁弁の動作上の高速応答性を更に向上させることができるという効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000106760
【氏名又は名称】シーケーディ株式会社
【出願日】 平成10年7月24日(1998.7.24)
【代理人】 【識別番号】100097009
【弁理士】
【氏名又は名称】富澤 孝 (外2名)
【公開番号】 特開2000−46223(P2000−46223A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−209291