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【発明の名称】 液体を制御するための弁
【発明者】 【氏名】フリードリッヒ ベッキング

【要約】 【課題】圧力室が液体損失による不都合を受けないようにする。

【解決手段】ハイドロリック式の変換器25に設けられた圧力室26が、2つのピストン28,29と、両ピストンに後置された2つのダイヤフラム34,35とによってシールされていて、変換器25への圧力作用によって生じる液体損失を補償するために、ピストンの背後でかつダイヤフラムの手前に制御室32,33が形成されており、該制御室が絞り孔36,37を介して漏れオイル孔40に接続されており、絞り孔36,37が制御室のための放圧方向では角張った移行部38を有していて、制御室のための充填方向では丸みを付けられた移行部39を有しており、これにより圧力室26を再充填するための最小圧が常時提供されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を制御するための弁であって、ハイドロリック式の変換器(25)を介して操作可能な弁部材(22)が設けられていて、該弁部材(22)が、圧縮ばね(23)によって閉鎖方向で弁座(20)に向かって負荷されており、ハイドロリック式の変換器(25)が圧力室(26)を有しており、該圧力室(26)が、一方ではピエゾアクチュエータ(24)のピストン(28)によって仕切られていて、該ピストン(28)の運動によって圧力室(26)内に圧力変化が生じるようになっており、該圧力変化が、弁部材(22)に設けられた、同じく圧力室(26)を仕切るピストン(29)に作用するようになっており、該ピストン(29)により弁部材(22)が圧縮ばね(23)の力に抗して開放方向に移動可能である形式のものにおいて、両ピストンのうちの少なくとも一方のピストン(28;29)の裏側に制御室(32;33)が形成されており、該制御室(32;33)が、アクチュエータ側および/または弁側でダイヤフラム(34;35)によって密に閉鎖されていて、圧力室(26)からの漏れオイルで充填されており、さらに制御室(32;33)に絞り孔(36;37)が開口していて、該絞り孔(36;37)が低圧源に接続されていることを特徴とする、液体を制御するための弁。
【請求項2】 絞り孔(36;37)が、放圧方向では角張った移行部(38)を有していて、充填方向では丸みを付けられた移行部(39)を有している、請求項1記載の弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を制御するための弁であって、ハイドロリック式の変換器を介して操作可能な弁部材が設けられていて、該弁部材が、圧縮ばねによって閉鎖方向で弁座に向かって負荷されており、ハイドロリック式の変換器が圧力室を有しており、該圧力室が、一方ではピエゾアクチュエータのピストンによって仕切られていて、該ピストンの運動によって圧力室内に圧力変化が生じるようになっており、該圧力変化が、他方では、弁部材に設けられた、同じく圧力室を仕切るピストンに作用するようになっており、該ピストンにより弁部材が圧縮ばねの力に抗して開放方向に移動可能である形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】このような形式の弁は、ヨーロッパ特許出願公開第0477400号明細書により公知である。この公知の弁では、弁部材の操作ピストンが、段付き孔の、直径の小さい方の部分に密に摺動可能に配置されている。これに対して、段付き孔の直径の大きい方の部分には、ピエゾアクチュエータによって運動させられる、相応してより大きな直径を有するピストンが配置されている。両ピストンの間にはハイドロリック的な、つまり液圧的な室が緊定されており、しかもこの場合、大きい方のピストンがアクチュエータによって規定の移動距離だけ運動させられると、弁部材の操作ピストンが、段付き孔直径の変換比分だけ増大された行程を実施するようになっている。弁部材、操作ピストン、直径の大きい方のピストンおよびピエゾアクチュエータは、共通の軸線に沿って相前後して配置されている。
【0003】このような弁では、ピエゾアクチュエータ、弁または弁ケーシングの長さ変化をハイドロリック的な連結室(以下、単純に「圧力室」と呼ぶ)によって補償するという問題が生じる。ピエゾアクチュエータは弁を開くために圧力室内に圧力を形成するので、この圧力は圧力室内の液体の損失をも招く。ポンプ作用によって圧力室が空になることを阻止するためには、圧力室の再充填が必要である。この問題を解決するための装置は、たしかに既に知られているが、しかし再充填もしくは後充填を監視するための弁は設けられておらず、しかも貯蔵媒体が補給可能であるのかどうかも言及されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冒頭で述べた形式の液体を制御するための弁を改良して、圧力室内の液体損失が確実に補償され、装置全体の長さ変化が回避され、しかも信頼性の良いシールが提供されるような、単純な構造の弁を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明の構成では、両ピストンのうちの少なくとも一方のピストンの裏側に制御室が形成されており、該制御室が、アクチュエータ側および/または弁側でダイヤフラムによって密に閉鎖されていて、圧力室からの漏れオイルで充填されており、さらに制御室に絞り孔が開口していて、該絞り孔が低圧源に接続されているようにした。
【0006】
【発明の効果】本発明による弁には、従来のものに比べて、圧力室が液体損失による不都合を受けないという利点を有している。これにより、ピエゾアクチュエータ、弁またはケーシングがたとえば加熱時にその長さを変化させた場合でも、装置全体の不都合な長さ変化は回避される。さらに、この装置全体は単純な構造を有しており、確実でかつ信頼性の良いシールが提供されている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳細に説明する。
【0008】本発明による弁は、図1に断面図で示した主要部分を有する燃料噴射弁において使用される。この燃料噴射弁は弁ケーシング1を有しており、この弁ケーシング1では長手方向孔2内に弁ニードル3が案内されている。弁ニードル3はその一方の端部に、円錐状のシール面4を備えており、このシール面4は弁ケーシング1の、燃焼室内に突入した先端部5で弁座と協働する。この弁座からは複数の噴射口が導出されている。これらの噴射口は燃料噴射弁の内部に、つまりこの場合には弁ニードル3を取り囲みかつ、噴射圧力下にある燃料で充填された環状室7に通じて、この環状室7を燃焼室に接続する。こうして、弁ニードル3がその弁座から持ち上げられると、燃料の噴射が行われる。環状室7は別の圧力室8に接続されており、この圧力室8は圧力管路10に常時接続されている。この圧力管路10を介して燃料噴射弁には、燃料高圧アキュムレータ(図示しない)から噴射圧力下の燃料が供給される。この高い燃料圧力は圧力室8内にも形成されて、受圧肩部11に作用する。この受圧肩部11を介して公知の形式で弁ニードル3を適当な条件のもとで弁座から持ち上げることができる。
【0009】弁ニードル3の他方の端部はシリンダ孔12内に案内されていて、このシリンダ孔12内で弁ニードル3の端面14は制御圧力室15を取り囲んでいる。制御圧力室15は絞り接続部16を介して常時、環状室17に接続されている。環状室17は、圧力室8と同様に常時、燃料高圧アキュムレータに連通している。制御圧力室15からは軸方向で絞り孔19が導出されており、この絞り孔19は制御弁21の弁座20に通じている。弁座20は制御弁21の弁部材22と協働する。弁部材22は弁座20から引き離された状態で、制御圧力室15とばね室18との間の接続を形成する。ばね室18は常時、放圧室に接続されている。ばね室18内には、弁部材22を閉鎖方向で負荷する圧縮ばね23が配置されている。この圧縮ばね23は弁部材22を弁座20に向かって負荷するので、制御弁21の標準位置では制御圧力室15とばね室18との間の接続は閉鎖されている。制御圧力室15には、圧力室8内に形成される燃料圧力と同じ燃料圧力が形成されるが、しかし制御圧力室15の範囲に位置する、弁ニードル3の端面側の面が、受圧肩部11の面よりも大きく形成されているので、制御圧力室15内の燃料圧力によって弁ニードル3は閉じられた位置に保持される。しかし弁部材22が弁座20から引き離されると、絞り接続部16を介して接続されている制御圧力室15内の圧力は放圧される。閉鎖力が消滅するので弁ニードル3は急速に開きく。他方では、弁部材22が再び閉鎖位置に戻るやいなや、弁ニードル3を閉鎖位置にもたらすことができる。この時点から、制御圧力室15には、絞り接続部16を介して再び最初の高い燃料圧力が迅速に形成される。
【0010】図2から判るように、本発明の弁は作動装置としてピエゾアクチュエータ24を有している。ピエゾアクチュエータ24はハイドロリック的な、つまり液圧的な圧力室26を有するハイドロリック式の変換器25を介して弁部材22の軸部27に作用する。圧力室26は、一方ではピエゾアクチュエータ24のピストン28によって仕切られ、他方では可動壁として働くピストン29を有しており、このピストン29は弁部材22の軸部27と結合している。
【0011】圧力室26から見て、各々のピストン28;29の裏側30;31には制御室32;33が形成されている。この制御室32;33はアクチュエータ側もしくは弁側でダイヤフラム34;35によって密に閉鎖されている。圧力室26は燃料噴射弁の作業時では高い圧力下にあり、この高い圧力は両ピストン28,29のピストン案内部を介して両制御室32,33に流入する少量の漏れオイル流を生ぜしめる。これにより、これらの制御室32,33は漏れオイルで充填されているが、しかしこの漏れオイルは、ハイドロリック式の変換器25を一定の長さに保持するために再び圧力室26に供給されなければならない。
【0012】各々の制御室32;33には、絞り孔36;37が接続されており、この絞り孔36;37の他方の端部はボールによって閉鎖されている。絞り孔36,37は漏れオイル孔40を介して低圧源(図示しない)に接続されている。各々の絞り孔36;37は放圧方向では角張った移行部38、つまり稜角を有する移行部を有していて、充填方向では丸みを付けられた移行部39を有している。この手段により、入口側で角張った移行部38に衝突する液体流が、丸みを付けられた移行部39を介して戻り流の形で流れる液体流よりも強力に絞られることが達成される。このことは、制御室32,33からの流出が、圧力室26の再充填のために役立つ流入よりも大きく妨げられることを意味する。
【0013】次に、本発明による弁の作用形式について説明する。
【0014】両制御室32,33では、ピストン28,29の行程時にダイヤフラム34,35の残留面を介して対圧が形成される。燃料噴射弁の開放時では制御室32が作用し、燃料噴射弁の閉鎖時では制御室33が作用する。それと同時に逆の作業形式で制御室32,33が絞り孔36,37を通して再び充填される。すなわち、燃料噴射弁の開放時では制御室33が充填され、燃料噴射弁の閉鎖時では制御室32が充填される。絞り孔36,37の内径と、角張った移行部38もしくは丸みを付けられた移行部39の相応の設計とにより、制御室32,33には適正な圧力が調節され得る。この圧力は、その都度、圧力室26の再充填のために十分な最小圧力が提供されることを保証する。これにより、圧力室26内の一定の容積が確保されており、ひいては、たとえば加熱によって生じる長さ変化が補償されることも保証されている。図4の(a)〜(d)には一連の線図が示されており、横座標に沿ってそれぞれ時間が描かれている。そしてこれらの時間値は、図4の(a)〜(d)の全体を通じて一点鎖線により比較して示されている。
【0015】図4の(a)に示す線図では、縦座標に沿ってピエゾアクチュエータ24および弁ピストン29の行程が描かれている。ピエゾアクチュエータ24の行程はピストン29の行程よりも小さく、圧力変換比、つまり増圧比に関連して、より大きな弁行程を生ぜしめる。
【0016】図4の(b)は、圧力曲線41につき、制御室32内の初期の大きな圧力を示している。この初期の大きな圧力はピエゾ行程と共に開始し、次いで弁ピストン29の運動と共に低下する。ピエゾアクチュエータが遮断され、ひいては戻り行程を可能にすると、谷部42で示したように圧力降下が生じ、この圧力降下は弁ピストン29がピエゾアクチュエータ24に追従するまで続く。この圧力変化によって、制御室32の再充填が行われる。
【0017】この場合、制御室33内には、図4の(c)に示す線図から明らかなように、逆の特性が生ぜしめられる。制御室33では圧力曲線43がまず谷部44を描いており、この谷部44では制御室33の充填が行われる。引き続き、弁行程の終了時に圧力ピークが続く。最終的に、圧力曲線43は漏れオイル圧レベルを描いている。
【0018】さらに図4の(c)に示す線図には、ハイドロリック式の圧力変換器25の圧力変換比が示されている。圧力変換比は大きな行程では高いレベルにあり、弁の切換動作の後には、より低いレベルに達している。
【0019】図示の実施例では2つの絞り孔36,37および2つの制御室32,33が記載されているが、当該装置を圧力室26の片側にのみ設けることも考えられる。
【出願人】 【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【出願日】 平成11年3月26日(1999.3.26)
【代理人】 【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄 (外3名)
【公開番号】 特開2000−46220(P2000−46220A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平11−84387