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【発明の名称】 圧力制御弁
【発明者】 【氏名】和田 篤志

【要約】 【課題】タンクへの戻り流路に設置されるオイルクーラ等の流体機器の上流側を所定の圧力において下流側にバイパスするパイパス流路に設けられる圧力制御弁において、流量が増加したときに流体機器の入口圧力が耐圧力より大きくなるのを防ぐために開弁圧力を低く設定しなければならない問題、さらに流体の温度が低いときに開弁圧力が高くなる問題等を除く。

【解決手段】圧力制御弁を、バイパス流路を開閉するロジック弁と、ロジック弁の開閉をパイロット圧で制御するロジック弁制御スプールで構成する。さらに、パイロット油路に温度補償オリフィスを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タンクへの戻り流路に設置される流体機器の上流側を所定の圧力において下流側にバイパスするバイパス流路に設けられる圧力制御弁において、該バイパス流路を開閉するロジック弁と、該ロジック弁の入口側の圧力に基づいて該ロジック弁の開閉を制御するロジック弁制御スプールとを備えている、ことを特徴とする圧力制御弁。
【請求項2】 該入口側圧力は、該バイパス流路の該ロジック弁入口側を分岐したパイロットラインにより該ロジック弁制御スプールに導かれる、請求項1記載の圧力制御弁。
【請求項3】 該パイロットラインは、オリフィスを介してドレンに接続されている、請求項2記載の圧力制御弁。
【請求項4】 該ロジック弁は、該バイパス流路を閉じる方向にスプリングにより付勢されたポペットを備え、該スプリングが設置されたスプリング室は該ロジック弁制御スプールによってドレンに開閉される、請求項1から3までのいずれかに記載の圧力制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力制御弁、さらに詳しくは、例えば建設機械に用いられ、タンクへの戻り流路のオイルクーラ、オイルフィルタ等の流体機器を保護するためのバイパス流路に設けられる圧力制御弁に関する。
【0002】
【従来の技術】建設機械の一般的な戻り油圧回路を示す図2を参照して説明すると、方向切換弁20からタンク22への戻り流路24に流体機器の一例であるオイルクーラ26が設置されている。オイルクーラ26にはオイルクーラ26の上流と下流とを結んでバイパス流路28が設けられている。バイパス流路28には圧力制御弁30が設けられている。圧力制御弁30は、下流方向への流れを許容するように設けられたチェック弁30aとチェック弁30aを閉じる方向に付勢するスプリング30bを備えている。圧力制御弁30は常時は閉じてバイパス流路28を閉じている。したがって、戻り流量はバイパス流路28には流れないでオイルクーラ26を通ってタンク22に流れる。圧力制御弁30の上流と下流の圧力差が所定の値になると、チェック弁30aはスプリング30bの力に抗して開口する。そして、戻り流量の一部はバイパス流路28に流れる。
【0003】圧力制御弁30の上流と下流の圧力差は、例えばオイルクーラ26を流れる流量の増加あるいはオイルクーラ26の目詰まり等によりオイルクーラ26における圧力損失が増加すると大きくなる。圧力制御弁30を開けて戻り流量の一部をバイパス流路28に分流させることにより、オイルクーラ26を流れる流量を減らして圧力損失を減らし、オイルクーラ26に負荷される圧力が大きくならないようにする。圧力制御弁30の開弁圧力はスプリング30bの力により設定される。この開弁圧力は、オイルクーラ26の耐圧力よりも低くなるように決められる。圧力制御弁30は、流れる流量が大きくなると、開口した後もスプリング30bをさらに圧縮して開口面積を大きくするように作動する。したがって、圧力制御弁30で規定される流体の圧力は開弁圧力よりも流量の増加に応じて上昇する。
【0004】特に、負荷を持ち上げている油圧シリンダを動かして負荷を降ろすとき、あるいは伸張している油圧シリンダを収縮させるとき、あるいはこれらを同時に行うとき等においては、戻り流路24の流量は増幅され、油圧ポンプの最大吐出流量よりも大きな流量になる。この大きな流量がオイルクーラ26に流れても圧力損失が急激に増加しないように、圧力制御弁30が開けられ、戻り流量の一部がバイパス流路28に流される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおりの形態の圧力制御弁を用いた戻り流路には、次のとおりの解決すべき問題があった。
【0006】(1)圧力制御弁が開きやすい:上述したように圧力制御弁30は、それを通過する流量が増加すると圧力も増加する。そのために、圧力制御弁30の開弁圧力は、戻り流量の増加を考慮して、低い圧力で開口するように設定される。したがって、圧力制御弁30は開きやすくなり、戻り流量はバイパス流路28に流れやすくなる。そして、オイルクーラ26へ流れる流量が少なくなることからオイルクーラ26による流体の冷却効率が低下する。流体機器が例えばオイルフィルタの場合には、オイルフィルタに流れる流量が少なくなり流体の濾過効率が低下する。
【0007】(2)流体が低温のときに圧力制御弁の開弁圧力が高くなる:さらに、戻り流路24を流れる流体の温度が低いときには、流体の粘度が高いことから、オイルクーラ26、圧力制御弁30、及び戻り流路24等の圧力損失が増大する。そして、圧力制御弁30の開弁圧力、また制御される圧力は高くなり、オイルクーラ26に加わる圧力がオイルクーラ26の耐圧力を超えてしまう。
【0008】本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、戻り流路のバイパスラインに設けられる圧力制御弁として、開弁圧力が流体の流量変動に影響されない、したがって開弁圧力を高く設定することができ、また流体が低温のときに開弁圧力が高くなるのを防止する、圧力制御弁を提供することである。
【0009】本発明においては、上記技術的課題を解決するために、圧力制御弁を、バイパス流路を開閉するロジック弁と、ロジック弁の開閉を制御するロジック弁制御スプールとで構成する。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれば、上記技術的課題を解決する圧力制御弁として、タンクへの戻り流路に設置される流体機器の上流側を所定の圧力において下流側にバイパスするバイパス流路に設けられる圧力制御弁において、該バイパス流路を開閉するロジック弁と、該ロジック弁の入口側の圧力に基づいて該ロジック弁の開閉を制御するロジック弁制御スプールとを備えている、ことを特徴とする圧力制御弁が提供される。
【0011】そして、ロジック弁をロジック弁制御スプールにより制御することによりバイパス流路の開閉を行う。ロジック弁は、大きい流量を小さい圧力損失で流すことができ、また制御スプールにより開閉することにより、開弁圧力、バイパス流量等を安定したものとすることができる。
【0012】好適実施形態においては、該入口側圧力は、該バイパス流路の該ロジック弁入口側を分岐したパイロットラインにより該ロジック弁制御スプールに導かれる。また、該パイロットラインは、オリフィスを介してドレンに接続されている。さらに、該ロジック弁は、該バイパス流路を閉じる方向にスプリングにより付勢されたポペットを備え、該スプリングが設置されたスプリング室は該ロジック弁制御スプールによってドレンに開閉される。
【0013】そして、パイロットラインで導かれたロジック弁の入口側圧力でロジック弁制御スプールを制御する。また、パイロットラインに設けた温度補償オリフィスにより流体の温度変化による影響が補償される。
【0014】なお、本発明における戻り流路に設置される流体機器とは、戻り流路に設けられるとともにバイパス流路が設けられる、オイルクーラ、オイルフィルタ等の機器を意味している。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従って構成された圧力制御弁の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0016】図1を参照して説明すると、全体を番号2で示す圧力制御弁は、方向切換弁4からタンク6への戻り流路8に設置される流体機器であるオイルクーラ10の上流側から下流側にバイパスするバイパス流路12に設けられている。圧力制御弁2は、バイパス流路12を開閉するロジック弁14と、ロジック弁14の開閉を制御するロジック弁制御スプール16を備えている。ロジック弁14の入口側圧力は、バイパス流路12のロジック弁14の入口側を分岐したパイロットライン17によりロジック弁制御スプール16に導かれている。
【0017】ロジック弁14は摺動自在に設けられたポペット14aを備えている。ポペット14aの一端側にはバイパス流路12を開閉するシート14dが形成され、他端側にはスプリング室14bが形成されている。スプリング室14bには圧縮スプリングであるスプリング14cが内蔵され、ポペット14aはスプリング14cによってシート14dを閉じる方向に付勢されている。スプリング室14bにはロジック弁14の入口側の圧力がパイロットライン17(パイロットライン17については後に詳述する)によって導かれている。また、スプリング室14bはタンク6にドレンライン18によりロジック弁制御スプール16(ロジック弁制御スプール16については後に詳述する)を介して接続されている。
【0018】ポペット14aのシート14d側のバイパス流路12上流側に連通する部分の受圧面積は、スプリング室14b側の受圧面積よりも小さく形成されている。そして、スプリング室14bにはバイパス流路12上流側の圧力がパイロットライン17により導かれるから、ポペット14aは受圧面積の差による流体圧力によってシート14dに押し付けられる。したがって、圧縮スプリング14cの力を比較的弱いものとすることができる。なお、ロジック弁14の開弁圧力はこのスプリング14cの力ではなく、後述するロジック弁制御スプール16を制御することにより決められる。
【0019】ロジック弁制御スプール16は、摺動自在に設けられ二位置のスプール弁を形成している。スプール16の一端側には圧縮スプリングであるスプリング16aが、他端側にはパイロットライン17が接続される受圧室16bが設けられている。ロジック弁制御スプール16は、受圧室16bのパイロット信号圧力がスプリング16aの力よりも小さいときにはスプリング16aにより付勢されて、ロジック弁14のスプリング室14bとタンク6とを結ぶドレンライン18の連通を断つ第1の位置(図1に示す位置)に位置付けられる。受圧室16bのパイロット信号圧力が上昇すると、ロジック弁制御スプール16は、スプリング16aの力に抗してパイロット信号圧力に応じて摺動し、ロジック弁14のスプリング室14bをタンク6に連通する第2の位置に位置付けられる。スプリング16aの力は調整可能になっている。スプリング16aの力を調整することによりロジック弁14のスプリング室14bをタンク6に断続するパイロット信号圧力、すなわちロジック弁14の開弁圧力が設定される。
【0020】パイロットライン17は、バイパス流路12のロジック弁14の入口側を分岐して入口側圧力をロジック弁14のスプリング室14bおよびロジック弁制御スプール16の受圧室16bに導いている。バイパス流路12を分岐したパイロットライン17aは、オリフィスCを介してロジック弁制御スプール16の受圧室16bに接続している。パイロットライン17aのオリフィスCと受圧室16bとの間を分岐したパイロットライン17bはオリフィスAを介してロジック弁14のスプリング室14bに接続されている。さらに、ロジック弁制御スプール16の受圧室16bはパイロットライン17cにより温度補償オリフィスであるオリフィスBを介してタンク6に接続されている。
【0021】図1を参照して上述したとおりの圧力制御弁2の作用を説明する。
【0022】(1)ロジック弁の入口側の圧力が開弁設定圧力より低い場合:ロジック弁制御スプール16の受圧室16bにパイロットライン17aにより導かれたロジック弁14の入口側の圧力が開弁設定圧力よりも低い場合には、ロジック弁制御スプール16は第1の位置(図1に示す位置)に位置付けられ、ロジック弁14のスプリング室14bはタンク6に連通されない。したがって、ロジック弁14は閉じた状態に維持され、バイパス流路12は閉じられ、方向切換弁4からの戻り流量は全流量オイルクーラ10に流れる。
【0023】(2)ロジック弁の入口側の圧力が開弁設定圧力を上回った場合:受圧室16bのパイロット信号圧力がスプリング16aの力を上回ると、ロジック弁制御スプール16は第2の位置に摺動し、ロジック弁14のスプリング室14bはロジック弁制御スプール16の絞り16cを介してドレーンライン18によりタンク6に連通され、ロジック弁14は摺動して開弁する。そして、バイパス流路12は開けられ、方向切換弁4からの戻り流量の一部がバイパス流路12に流れる。
【0024】(3)戻り流量が増量したとき:流量が増加してもロジック弁14を通過するときの圧力損失は小さいから、方向切換弁4からの戻り流量が変動し増加した場合においても、ロジック弁14の入口圧力、そしてオイルクーラ10に負荷される圧力の上昇は最小限に、適切に保持される。
【0025】(4)流体の温度が低いとき:流体の温度が低いときには、温度の高いときに比較して流体の粘度が大きいから、ロジック弁制御スプール16の受圧室16bに導かれる信号圧力は、ドレンタンク6への流れが温度補償オリフィスBの絞り効果により、温度の高いときに比較してロジック弁14の入口圧力が低い状態でロジック弁制御スプール16を作動させ、ロジック弁14を開口させる。したがって、流体の温度の低いときには圧力制御弁2は適切に開けられるから、その分オイルクーラ10に流れる流量が減らされ、流体の温度を速やかに上昇させることができる。
【0026】(5)このように、圧力制御弁2の開弁圧力は、ロジック弁制御スプール16のスプリング16aの力で設定され、バイパス流路12、ロジック弁14、戻り流路8等の圧力に影響されないから、安定した開弁圧力を設定することができる。また、ポペット14aを比較的力の弱いスプリング14cで取り付けることができ、さらにシート14dの開口面積を充分に大きくすることができるから、圧力制御弁2を通る流量が大きくなっても圧力損失を小さくすることができる。
【0027】(6)そして、圧力制御弁2の開弁圧力を適切に設定することができるから、従来のように開弁圧力を低く設定する必要がない。したがって、戻り流量がバイパス流路28に頻繁に流れるのが防止され、オイルクーラ26による流体の冷却効率の低下が防止される。また、流体機器がオイルフィルタの場合には、オイルフィルタに流れる流量が多くなり流体の濾過効率の低下も防止される。
【0028】
【発明の効果】本発明に従って構成された圧力制御弁によれば、開弁圧力が流体の流量変動に影響されない、したがって開弁圧力を高く設定することができ、また流体が低温のときに開弁圧力が高くなるのを防止する、圧力制御弁が提供される。
【出願人】 【識別番号】000190297
【氏名又は名称】新キャタピラー三菱株式会社
【出願日】 平成10年7月31日(1998.7.31)
【代理人】 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
【公開番号】 特開2000−46218(P2000−46218A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−216767