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【発明の名称】 ボール弁
【発明者】 【氏名】五味 知佳士

【氏名】田草川 勝

【要約】 【課題】騒音の発生領域での流体の流れを閉止して流水音等による騒音を所望の程度まで低減させるボール弁を提供し、更には、流体の乱流や渦流の発生を極力防止して騒音の低減を図ったボール弁を提供することにある。

【解決手段】ボール12に流路開口を形成し、このボール12を一対の環状シート13a、13bに圧接させてボール弁内に回転自在に設けることにより、流路の開閉を行うボール弁において、一方の環状シート13bとボール12の開口の形状が、流路閉の境界を略平行にして初期の開口量を大きくし、他方の環状シート13aとボール12の開口の形状は常時開となるようにしたボール弁である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ボールに流路開口を形成し、このボールを一対の環状シートに圧接させてボール弁内に回転自在に設けることにより、流路の開閉を行うボール弁において、一方の環状シートとボール開口の形状が、流路閉の境界を略平行にして初期の開口量を大きくし、他方の環状シートとボール開口の形状は常時開となるようにしたボール弁。
【請求項2】 ボールの開口を貫通孔とし、一側端に円弧状の突出部を設けると共に、他側端を周方向に切り欠いた切欠き部を設けた請求項1に記載のボール弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボール弁に関し、特に、ボール弁を通過する冷温水、ガス等の流体が発生する騒音を低減させるためのボール弁に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のボール弁は、ボデーの内部に円柱状の貫通孔を形成したボールを一対のボールシートで支受し、このボールに接合したステムを回動操作することによりボールを回転させて開閉したり、又は中間開度により流量を制御する構造である。
【0003】このボールを全閉時から中間開度へ回転させたり、又は中間開度から閉止状態へ回転させる際に、一方のボールシートが囲む貫通孔の流入口と他方のボールシートが囲む貫通孔の流出口とが微小開度になると、流過面積が小さい状態で開口されるため、流水の流速が高くなり、その結果、流水音によって発生する騒音が大きくなるという問題を有していた。
【0004】この問題点に対応する措置として、従来より各種の対応技術が提案されている(実開平4−56981号、特開平8−145205号公報参照)。
【0005】まず、実開平4−56981号公報は、ボール弁の貫通孔1を形成する両側壁2、3のうち、一方の側壁2の一部を切除して切除部4を形成したり(図10及び図11参照)、又は、側壁2の全部を切除することにより、流水音の低減を図かる技術である。また、特開平8−145205号公報は、ボール弁の貫通孔をボール回動方向に偏心する偏心円穴又は偏心長円穴で形成することにより流水音の低減を図かる技術である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のこれらの改良技術は、流水音によって発生する騒音の一部を低減するものであるため、所期のレベルまで騒音を低減させるまでには至っていないのが実情である。
【0007】即ち、前者の公報による技術は、貫通孔1の流入口5側で発生する騒音を低減させることは可能であるが、流出口6側における微小開度では、依然として流過面積が小さく流水音による騒音の発生の大きな原因ともなっていた。
【0008】また、後者の公報による技術は、上記とは異なって流入側の微小開度による流体流量が却って絞られるため、この部分の流過面積が小さくなって流水音による騒音を低減させることが難しかった。
【0009】このように、ボール弁の開度が、例えば0〜30°の範囲では、図9に示すように、微小開度のため、流過面積が多くとれず、流出入口は流速が高くなり、騒音が発生する可能性を有していた。
【0010】本発明は、上記の実情に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、騒音の発生領域での流体の流れを閉止して流水音等による騒音を所望の程度まで低減させるボール弁を提供し、更には、流体の乱流や渦流の発生を極力防止して騒音の低減を図ったボール弁を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、ボールに流路開口を形成し、このボールを一対の環状シートに圧接させてボール弁内に回転自在に設けることにより、流路の開閉を行うボール弁において、一方の環状シートとボール開口の形状が、流路閉の境界を略平行にして初期の開口量を大きくし、他方の環状シートとボール開口の形状は常時開となるようにしたボール弁である。
【0012】この場合、ボールの開口を貫通孔とし、一側端に円弧状の突出部を設けると共に、他側端を周方向に切り欠いた切欠き部を設けるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明におけるボール弁の好ましい一実施形態を図面に従って詳述する。配管接続部10a、10bを有するボデー10の弁室11内にボール12を設け、このボール12を一対の環状シート13a、13bで支受し、このボール12は、ボール12の接合溝12aに接合したステムの手動又は自動の回動操作により回転自在に設けられている。
【0014】また、図1及び図2に示すように、ボール12に円柱形状の貫通孔14を形成し、この貫通孔14の両側には、側壁15、16が設けられ、側壁15、16の何れか一方側に切欠き部17を形成する。本例においては、ボール12の一次側である流入口18側の側壁15を周方向に切り欠いて切欠き部17を形成して一次側を常時開となるようにしているので、流体の流れを整流化すると共に、流過面積を常時大きくして騒音の発生を防止している。この切欠き部17は、側壁15、16の何れか一方側を全部切除するようにしても良く、環状シート13a又は13bとボール12の貫通孔14を常時開にするようにしている。
【0015】また、図6及び図7に示すように、二次側の流出口19に円弧状の突出部20を設けており、この突出部20は、環状シート13bと流出口19の開口の形状が流路閉の境界で略平行状態を呈する形態を有し、微小開度(本例においては、0°〜30°程度)までの流れを防止して前記の略平行のときの流過面積が大きくなる領域で流れ始める構造としている。
【0016】更に、図5及び図7に示すように、ボール12の側壁16の外周の一部を切り欠いて切欠連通部21を形成し、この環状シート13bとの間に連通部分を設けて二次側の開口量を増大させて、二次側の渦流や乱流を防止することにより、騒音の発生を減少させることが可能となった。
【0017】図8は、本発明における他の実施例を示したもので、環状シート22の一部に円弧状の突出部23を形成し、ボール12の流出入口18、19は、円形状の開口部(貫通孔)を有し、上記の例と同様に、微小開度(0°〜30°程度)の領域で流れを防止して騒音の発生を低減するようにしても良い。この場合は、環状シート22がみだりに回動しないように環状シート22又はボデー内に回り止め部24を設けるのが好ましい。
【0018】次に、上記の実施形態の作用を説明する。図1において、ボール12が閉止している場合、流入口18は、開口しており、流体圧によりボール12の側壁16が環状シート13bに圧接されて全閉状態にある。
【0019】次いで、図4に示すように、ボール12を反時計回り方向に30°回転させると、円弧状の突出部20により流体の流れは全閉状態であるが、この時点から更に回転を始めると、環状シート13bとボール12の流出口19の形状が略平行状態に開口し、このとき急激に流過面積が大きくなり、この流過面積が大きくなる領域で、流体が流れ始めるので、図9に示すように、騒音の発生が低減した時点で流体が流れ、それ以降は流量調節されながら流出することになり、流出音による騒音は極力防止することができる。更に、ボール12の側壁16に切欠連通部21を形成すると、開口量の増大と、流体の渦流や乱流を防止することができ、流体による騒音をより減少させることができる。なお、上記の例は、微小開度を30°としたが、これに限定されることなく、その角度は、実施に応じて適宜に設定できるものである。
【0020】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明によると、騒音の発生領域での流体の流出を閉止して、流過面積が大きくなった時点で流体を流出させることにより流水音等による騒音の発生を所望の程度まで低減させ、従来のボール弁に比して騒音の発生を極力低減させたボール弁を得ることができると共に、流体の乱流や渦流の発生を極力防止して騒音の低減を図ることができる優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
【出願日】 平成10年7月24日(1998.7.24)
【代理人】 【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
【公開番号】 特開2000−46209(P2000−46209A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−209369