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【発明の名称】 蒸気弁
【発明者】 【氏名】遠藤 壽彦

【要約】 【課題】弁座を弁ケーシングに組み込む際、その作業改善を図った蒸気弁を提供する。

【解決手段】本発明に係る蒸気弁は、予め冷し嵌め施工を行った弁座21を弁ケーシング22に組み込んだものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングに、予め冷し嵌め施工を行った弁座を組み込んだことを特徴とする蒸気弁。
【請求項2】 弁座の合わせ面に凹陥溝を形成するとともに、弁ケーシングの合わせ面に突き出し端面部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁。
【請求項3】 弁ケーシングの突き出し端面部に舌状片を設けるとともに、上記舌状片をコーキングして弁座に付着力を与えるコーキング溝を上記弁ケーシングに設けたことを特徴とする請求項2に記載の蒸気弁。
【請求項4】 弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングの合わせ面と上記弁座の合わせ面との間に弁座軸の方向に沿って嵌合溝部を形成するとともに、嵌合溝部に嵌入する固定部材を設けたことを特徴とする蒸気弁。
【請求項5】 固定部材は、リング片であることを特徴とする請求項4に記載の蒸気弁。
【請求項6】 固定部材は、止めねじ片であることを特徴とする請求項4に記載の蒸気弁。
【請求項7】 嵌合溝部に嵌入する固定部材に、ねじ部と突き出し片を設けるとともに、突き出し片を係合させる受け入れ溝部を弁ケーシングに形成したことを特徴とする請求項4に記載の蒸気弁。
【請求項8】 弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングの合わせ面と上記弁座の合わせ面との間に弁座軸に横断して固定部材を設けたことを特徴とする蒸気弁。
【請求項9】 固定部材はボルトであることを特徴とする請求項8に記載の蒸気弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気弁に係り、特に主弁体を当接させる弁座に改良を加えた蒸気弁に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、蒸気タービンプラントに適用される蒸気弁は、図8に示すように、弁ケーシング1の内部に弁室2を形成し、この弁室2内にストレーナ3、弁棒4で駆動させる副弁体5および主弁体6、主弁体6を水密的に当接させる弁座7を収容させた構成になっている。
【0003】弁ケーシング1は、蒸気入口8と蒸気出口9を備え、蒸気入口8から案内された蒸気(タービン駆動蒸気)を弁室2で蛇行させて蒸気出口9に流出させるようになっている。
【0004】また、弁室2は、頭部側に弁蓋10を備え、この弁蓋10をボルト11を介して弁ケーシング1に固設するとともに、中間部分に筒状のストレーナ3を収容している。この筒状のストレーナ3は、蒸気流れの下流側に流入口12を設け、蒸気入口8から案内された蒸気に含まれる酸化スケール等の異物を迂回させて流入口12に流し、異物を直接、弁室2に流入させないようになっている。
【0005】また、副弁体5および主弁体6を進退自在に駆動する弁棒4は、例えばサーボ弁(図示せず)から与えられた駆動力により駆動され、弁室2に設けた弁棒案内部(スリーブ)13を摺動するようになっている。
【0006】このような構成を備えた蒸気弁において、副弁体5および主弁体6を開弁させる場合、蒸気弁は、まず最初にサーボ弁の駆動により弁棒4を駆動させ、これに伴って副弁体5を移動させる。
【0007】副弁体5が移動すると、蒸気入口8からストレーナ3の流入口12を介して弁室2に案内された蒸気は主弁体6に設けた通路14を介して主弁体6の下流側の弁室2bに流れ、副弁体5の上流側の弁室2aと主弁体6の下流側の弁室2bとを互いに圧力バランスさせ、圧力バランスするとサーボ弁の駆動力を少なくさせ、副弁体5の移動をより一層早める。
【0008】副弁体5の移動中、弁棒4は、その肩部4aが主弁体6に当接すると、サーボ弁から与えられた駆動力により主弁体6を移動させて弁全開に至らしめる。
【0009】他方、副弁体5および主弁体6を閉弁させる場合、蒸気弁は、サーボ弁から弁棒4に与えられた駆動力により副弁体5を移動させて主弁体6に当接させ、副弁体5が主弁体6に当接すると、副弁体5および主弁体6を同時に移動させ、主弁体6を弁座7に当接させて閉弁させる。
【0010】このように、従来の蒸気弁は、弁室2内に収容した副弁体5および主弁体6を開弁させるとき、まず最初に副弁体5を開弁させ、副弁体5の開弁中、上流側の弁室2aと下流側の弁室2bとを互いに圧力バランスさせ、各室2a、2bが圧力バランスすると、サーボ弁から弁棒4に与えられていた駆動力を少なくさせた安定状態で主弁体6の開弁を行っていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】図8に示した従来の蒸気弁には、いくつかの問題点があり、その一つに弁座7の補修加工作業や弁ケーシング1への組み込み作業がある。
【0012】従来、弁座7は図9に示すように、弁ケーシング1に形成した階段状の段部15に組み込み、弁座7側の合わせ面16とケーシング1側の合わせ面17とを調整した後、図10に示すように、互いの合わせ面16、17の表面を溶接施工する際、弁座7側の熱逃し溝18と弁ケーシング1側の熱逃し溝19とに溶接熱を逃し、肉盛溶接部20を形成し、弁座7の抜け止め防止を図っていた。
【0013】しかし、弁座7側の合わせ面16とケーシング1側の合わせ面17との表面に肉盛溶接部20を形成し、弁座7の抜け止め防止を図っていたのでは、以下の問題点があった。
【0014】まず、第1に、蒸気弁は常に高温・高圧、例えば538℃、250kg/cm2 の蒸気にさらされ、過酷状態で使用されている。このため、弁座7は長年の使用の結果、弁シート(弁座7の表面の主弁体6との接触部分)に酸化腐食が発生し、閉弁時、主弁体6を水密的に維持させることができない不具合・不都合があった。
【0015】次に、第2に、弁座7は高温・高圧の蒸気にさらされていると、弁座7側の合わせ面16と弁ケーシング1側の合わせ面17との肉盛溶接部20に熱ひずみが発生し、長年の使用の結果、肉盛溶接部20に溶接割れが発生し、弁ケーシング1からの抜け止め防止を確実に確保することができなかった。
【0016】さらに、第3に、弁座7の弁シートに酸化腐食があったり、肉盛溶接部20に溶接割れがあった場合、弁座7は、交換作業を行わなければない。その際、弁ケーシング1側の合わせ面17や熱逃し溝19を再度、機械加工しなければならず、多くの労力と費用を費やす問題点があった。
【0017】このように、従来の蒸気弁には、弁座7の弁ケーシング1からの抜け止め防止作業を行う際、弁座7側の合わせ面16と弁ケーシング1側の合わせ面17との表面を溶接施行しているがゆえに、上述の問題が発生しており、何らかの改善策が必要とされていた。
【0018】本発明は、このような事情に照してなされたもので、弁座に発生する不具合・不都合な点をより少なくさせるとともに、弁座に不具合・不都合な点が発生しても簡易かつ迅速にして補修作業を行うことができる蒸気弁と提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項1に記載したように、弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングに、予め冷し嵌め施工を行った弁座を組み込んだものである。
【0020】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項2に記載したように、弁座の合わせ面に凹陥溝を形成するとともに、弁ケーシングの合わせ面に突き出し端面部を形成したものである。
【0021】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項3に記載したように、弁ケーシングの突き出し端面部に舌状片を設けるとともに、上記舌状片をコーキングして弁座に付着力を与えるコーキング溝を上記弁ケーシングに設けたものである。
【0022】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項4に記載したように、弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングの合わせ面と上記弁座の合わせ面との間に弁座軸の方向に沿って嵌合溝部を形成するとともに、嵌合溝部に嵌入する固定部材を設けたものである。
【0023】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項5に記載したように、固定部材は、リング片であることを特徴とするものである。
【0024】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項6に記載したように、固定部材は、止めねじ片であることを特徴とするものである。
【0025】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項7に記載したように、嵌合溝部に嵌入する固定部材に、ねじ部と突き出し片を設けるとともに、突き出し片を係合させる受け入れ溝部を弁ケーシングに形成したものである。
【0026】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項8に記載したように、弁ケーシングに弁座を組み込む際、弁ケーシングの合わせ面と弁座の合わせ面との表面に肉盛溶接部を備えた蒸気弁において、上記弁ケーシングの合わせ面と上記弁座の合わせ面との間に弁座軸に横断して固定部材を設けたものである。
【0027】また、本発明に係る蒸気弁は、上記目的を達成するために、請求項9に記載したように、固定部材はボルトであることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る蒸気弁の実施形態を図面および図中に付した符号を引用して説明する。
【0029】図1は、本発明に係る蒸気弁に適用される弁座の第1実施形態を示す概略断面図である。
【0030】本実施形態に係る蒸気弁は、弁座21を階段状に形成した弁ケーシング22の段部23に組み込む際、弁座21に予め冷し嵌め施工を行わせている。また、蒸気弁は冷し嵌め施工を行った弁座21をケーシング22の段部23に組み込む際、弁座21の押圧力(圧接力)をより一層高めるために、図2に示すように、弁座21に凹陥溝24を弁座軸方向に沿って長く形成するとともに、相手側の弁ケーシング22に突き出し端面部25を形成する。
【0031】また、蒸気弁は弁座21を弁ケーシング22の段部23に組み込む際、弁座21の冷し嵌め施工に基づく押圧力のほかに、付着力をより一層高めるため弁ケーシング22に舌状片26を形成し、コーキング溝27を利用して舌状片26をコーキングし、弁ケーシング22から弁座21に付着力を与える。
【0032】このように、本実施形態は、弁座21を弁ケーシング22に組み込む際、弁座21に予め冷し嵌め施工を行うとともに、弁座21を弁ケーシング22に組み込んだ後、弁ケーシング22の舌状片26をコーキングして弁ケーシング22から弁座21に付着力を与えたので、弁座21の抜け止めを確実に防止することができ、弁座21の補修加工の際、その作業を簡易かつ迅速に行うことができる。
【0033】図3は、本発明に係る蒸気弁に適用される弁座の第2実施形態を示す概略断面図である。
【0034】本実施形態に係る蒸気弁は、弁座21を階段状に形成した弁ケーシング22の段部23に組み込んだ後、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29との間に形成した嵌合溝部30にリング片31を螺着し、弁座21を弁ケーシング22に固設したものである。
【0035】嵌合溝部30は、図4に示すように、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29との間に弁座軸方向に沿って比較的長く形成するとともに、リング片31の突き出し片32を係合させる受け入れ溝部33を備えている。
【0036】また、リング片31は、弁ケーシング22側にねじ部34を備え、弁座21の端面の全周に沿って嵌合溝部30に螺着している。
【0037】このように、本実施形態は、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29との間に嵌合溝部30を形成し、嵌合溝部30にリング片31を螺着させるとともに、リング片31の突き出し片32を弁ケーシング22の受け入れ溝部33に係合させて弁座21を弁ケーシング22に固設したので、弁座21の抜け止めを確実に防止することができ、弁座21の弁ケーシング22への組み込み作業および交換作業を容易に行うことができる。
【0038】なお、本実施形態では、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29との間に形成した嵌合溝部30にリング片31を螺着させ、弁座21を弁ケーシング22に固設させたが、この実施形態に限らず、例えば、図5および図6に示すように、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29との間に嵌合溝部30を設け、嵌合溝部30に止めねじ片35を螺着させ、弁座21を弁ケーシング22に固設しても良い。
【0039】図7は、本発明に係る蒸気弁に適用される弁座の第3実施形態を示す概略断面図である。
【0040】本実施形態に係る蒸気弁は、弁座21を階段状に形成した弁ケーシング22の段部23に組み込んだ後、弁座軸の横断方向にボルト36を螺着させ、弁座21を弁ケーシング22に固設したものである。
【0041】本実施形態によれば、弁座軸の横断方向にボルト35を螺着させ、弁座21の合わせ面28と弁ケーシング22の合わせ面29とを互いに圧接させて固設したので、弁座21の弁ケーシング22への組み込み作業が従来よりも大幅に簡素化され、弁座21の酸化腐食等による交換作業を容易にすることができる。
【0042】
【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明に係る蒸気弁は、予め冷し嵌め施工を行った弁座を弁ケーシングに組み込んだ後、弁座の膨脹力を利用して弁ケーシングに固設させたので、弁座の抜け止めを確実に防止することができ、従来のように溶接作業や熱処理作業を行うこともなく、弁座の組み込み作業、交換作業を簡易かつ迅速に行うことができる。
【0043】また、本発明に係る蒸気弁は、弁座を弁ケーシングに固設するにあたり、弁座の合わせ面と弁ケーシングの合わせ面との間に弁座軸の軸方向または横断方向に固定手段を設けたので、その組み込み作業または交換作業上、従来よりも大幅な作業改善を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年7月27日(1998.7.27)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−46203(P2000−46203A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−211578