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【発明の名称】 バタフライ弁のシートリング
【発明者】 【氏名】小林 浩

【要約】 【課題】耐食性を有した剛性材料からなる板状部の両端に折曲部をフランジ状に形成した補強材を、シートリングの全表面から露出しないように内包させて、従来のシートリング補強構造に見られた問題を解決するようにしたことを課題とする。

【解決手段】バタフライ弁の弁本体内に、補強材を内部に配設したエラストマからなるシートリングを挿着したバタフライ弁において、耐食性を有する剛性材料の板材をリング状に形成し、板状部の両端部にフランジ状の折曲部を形成すると共に、貫通する開口を形成した補強材を、シートリングの表面から露出しないように内包させ、補強材の内外面に位置するエラストマを開口を介して連結したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】バタフライ弁の弁本体内に、補強材を内部に配設したエラストマからなるシートリングを挿着したバタフライ弁において、耐食性を有する剛性材料の板材をリング状に形成し、板状部の両端部にフランジ状の折曲部を形成すると共に、貫通する開口を形成した補強材を、シートリングの表面から露出しないように内包させ、補強材の内外面に位置するエラストマを開口を介して連結したことを特徴とするバタフライ弁のシートリング。
【請求項2】板状部の少なくとも一面に凹凸部を形成し、補強材とエラストマとの密着性を向上させたことを特徴とする請求項1記載のシートリング。
【請求項3】凹凸部が、断面山形であることを特徴とする請求項2記載のシートリング。
【請求項4】凹凸部が、断面方形であることを特徴とする請求項2記載のシートリング。
【請求項5】シートリングの弁棒挿通部に、パッキンを収納し得る耐食性のケースを挿着し、該ケースに弁棒に沿って延び弁棒ガイドとなる円筒部を形成したことを特徴とする請求項1記載のシートリング。
【請求項6】ケースが複数の部材の組み合わせからなり、その組合体を補強材に固着したことを特徴とする請求項5記載のシートリング。
【請求項7】補強材両端部の折曲部が、内径方向に延びていることを特徴とする請求項1記載のシートリング。
【請求項8】補強材両端部の折曲部が、外径方向に延びていることを特徴とする請求項1記載のシートリング。
【請求項9】補強材両端部の折曲部が、内外径両方向に延びていることを特徴とする請求項1記載のシートリング。
【請求項10】シートリングの両端部内径部から縮小勾配を形成したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のシートリング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】この発明は、ウェハー形バタフライ弁のシートリングに関し、さらに詳しくは中心形ウェハー形バタフライ弁の補強材を内包したシートリングに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、中心形ウェハー形バタフライ弁のシートリングには、ゴム等のエラストマからなる嵌め込み式のシートリングが多用されている。かかる嵌め込み式のシートリングは、弁本体の両側面において配管フランジで挟着されて、流体の漏洩が防止されている。従って、シートリングは配管フランジの挟着に耐えると共に、使用流体圧力等によって振動、隆起或いは脱落等が発生しないことが要求される。単にゴム等のエラストマのみからなるシートリングでは、剛性が不充分となるおそれがあった。そこで、エラストマからなるシートリングを補強する構造が、たとえば特開昭52−98231号公報に提案されている。
【0003】この特開昭52−98231号公報には、フェノール樹脂製の補強材で補強する構造及び円筒形状の補強部材を内包させた構造が、従来の構造として開示されており、かかる従来の構造について、フェノール樹脂製の補強材で補強したものは、補強材の製造工程において多くの機械加工、工程を必要とし、ゴム部材の成形時に補強材に歪みが生じ易く、そのため後加工が必要となり、コストアップの原因となっていると教示している。又、円筒形状の補強部材を内包させたものでは、補強部材の製作は容易であるが、射出成型により補強部材をゴム部材に内包する際、補強部材の位置ズレや歪みを防止することが困難であり、又補強部材によりゴム部材が内周面と外周面とに分断されるため、ゴム部材の剛性及び密着性に問題が生じ、所期の性能を発揮することが困難となると教示している。そこで、特開昭52−98231号発明は円筒形状の補強部材の上端に外方に向かって延びる舌状片をフランジ状に間隔をおいて形成し、この舌状片の先端をシートリングの外周面に露出させるようにした構造を提案している。
【0004】しかしながら、特開昭52−98231号で提案された構造では、補強部材が薄肉のためにフランジに挟着したとき、フランジとの密着強度が低く、漏洩の危険性があり、使用流体等が腐食性流体であると弁軸部から漏洩した流体が補強部材を腐食する問題がある。又、フランジに挟着される場合、設計上の問題として、フランジ内径寸法はパイプ外径寸法より若干大きくなっており、フランジ内径寸法とシートリングの補強部材寸法とを略一致させてフランジ部の密着強度を高めているが、補強部材が薄いと一致させることが出来ない問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、耐食性を有した剛性材料からなる板状部の両端に折曲部をフランジ状に形成した補強材を、シートリングの全表面から露出しないように内包させて、従来のシートリング補強構造に見られた問題を解決するようにしたことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、バタフライ弁の弁本体内に、補強材を内部に配設したエラストマからなるシートリングを挿着したバタフライ弁において、耐食性を有する剛性材料の板材をリング状に形成し、板状部の両端部にフランジ状の折曲部を形成すると共に、貫通する開口を形成した補強材を、シートリングの表面から露出しないように内包させ、補強材の内外面に位置するエラストマを開口を介して連結したことを特徴とする。
【0007】又、板状部の少なくとも一面に凹凸部を形成し、補強材とエラストマとの密着性を向上させたことを特徴とする。凹凸部は、断面山形或いは断面方形であることを特徴とする。
【0008】さらに、シートリングの弁棒挿通部に、パッキンを収納し得る耐食性のケースを挿着し、該ケースに弁棒に沿って延び弁棒ガイドとなる円筒部を形成したことを特徴とする。ケースは、複数の部材の組み合わせからなり、その組合体を補強材に固着したことを特徴とする。
【0009】さらに、補強材両端部の折曲部が、内径方向、或いは外径方向若しくは内外径両方向に延びていることを特徴とする。
【0010】さらに、シートリングの両端部内径部から縮小勾配を形成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。図において(1)は、この発明にかかるウェハー形中心形バタフライ弁の弁本体であり、内周面に補強材(5)を内包したシーリング(4)が装着される。シートリング(4)の内周面には、弁棒(3)で軸支された円板状の弁体(2)が回動自在に配置され、弁体(2)の外周面とシートリング(4)の内周面との接離により、バタフライ弁を通る流路が開閉される。弁棒(3)は、弁本体外に延び出して所望のアクチュエータが連結される駆動側弁棒(3a)と、遊動側弁棒(3b)とに分割されており、駆動側弁棒(3a)は弁体(2)に固着されている。遊動側弁棒(3b)は、パッキンを介して底蓋(6)に六角ボルトで締め付け固定されている。しかしながら、弁棒(3)は二分割のものに限られるものではなく、駆動側と遊動側を一本にした弁棒を用いても良いことは勿論である。
【0012】配管フランジへの配設前の自由状態において、シートリング(4)が弁本体(1)の両端部よりαだけ突出した状態にあり、図2に示すように配管フランジ(7)で挟着したとき、突出分αが締め付けられてガスケットの役割を果たすようになっている。バタフライ弁は、左右の配管フランジ(7)の間に挟着され、ロングボルトにより締め付けられる。配管フランジ(7)の内径は、配管パイプ(8)の外径より若干大きく形成され、図2に示すようにパイプ(8)をフランジ(7)内に挿入後、溶接して一体的に固着される。パイプ(8)の外径はJIS規格により各サイズ毎にそれぞれ寸法が規定されている。この発明は、これらの寸法に基づいて、シートリング(4)の両端内径部に縮小勾配(9)を設けたことを一つの特徴とする。縮小勾配(9)は、シートリング(4)の両端部内径部から両端部にかけて形成されており、これによって配管フランジの内径又はパイプの外径と合致させることが出来、配管フランジ(7)に挟着したときにシートリングの弾性体が内径方向に変形するのを防止し、無駄なエラストマが排除されると共に、流体抵抗の増大を防止することが出来る。
【0013】縮小勾配(9)より外方が、配管フランジ面に当接、圧縮される部分であるが、該部の圧縮強さの大小により、流体が外部に漏洩するか否かが決定される。すなわち、配管フランジ(7)は剛性材料であり、シートリング(4)は弾性を有するエラストマであるため、当接するシートリング(4)の内部の補強材(5)の形状や、シートリングの当接部の形状、特にエラストマの厚みにより該部からの流体の漏洩防止を計ることができる。この発明は、配管フランジ(7)に当接するシートリング(4)の圧縮強さを最適なものとするために、シートリング(4)の内部に効果的な形状を有し、且つ当接部のエラストマの厚みを好適なものとし得る補強材を内包させたことを第二の特徴とする。補強材(5)は、剛性材料、たとえば炭素鋼、不銹鋼等の板体をリング状に形成した構造を有し、シートリング(4)の全厚みの約30%程度の厚みを有している。補強材(5)は、シートリング(4)の内部に若干外周方向に位置づけられるような径に形成され、エラストマ注入時にシートリング(4)に内包される。
【0014】図2〜4に示すように、補強材(5)の板状部(5a)には、上下に貫通する複数列の開口(10)が形成され、該開口(10)を通るエラスマが板状部(5a)の内外に位置するエラストマをアンカー状に連結しエラストマの剥離が効果的に防止される。尚、開口(10)の内外の開口縁は、エラストマの成形注入時における抵抗緩和のために、面取りされている。開口(10)の形状は、円形若しくは方形とするのが好ましいが、これらに限られるものではない。開口(10)の個数、位置、形状及び間隙等は、バルブ口径及びエラストマ注入時の製造方法に応じて、適宜選択される。補強材(5)の板状部(5a)の両端部には、フランジ状の折曲部(5b)が一体に形成される。該フランジ状の折曲部(5b)は、内径方向、外径方向のいずれの方向に設けても良く、或いは両方向に設けても良い。板状部(5a)の内外両面、少なくともいずれか一面に、断面山形状の凹凸部(11)(図5)、或いは断面角形の凹凸部(11)(図6)を形成して、エラストマとの一体化をより強固にするのが好ましい。補強材(5)の各角部は、エラストマの注入時における抵抗緩和のために、面取り等により切除しておくことが望ましい。
【0015】シートリング(4)の弁棒挿通部には、Oリングケース(13)に収納されたOリング(12)が潤滑剤と共に挿着され、二次シールの作用を達成している。Oリングケース(13)は、互いに組み合わせて一体化した複数の部材で構成され、補強材(5)に固着される。Oリングケース(13)の各部材は弁棒に沿って延び、弁棒の回動をガイドする円筒部(14)を有しており、弁棒(3)の回動のガイド作用を果たすと共に、回動の円滑化が図られる。弁棒ガイドとなる円筒部(14)により、閉弁時において、流体圧力で弁体(2)が押圧されても、弁棒挿通部の変形が防止されると共に、弁棒挿通部からの流体漏洩が防止される。Oリングケース(13)及び弁棒ガイドとなる円筒部(14)は、展延性、耐食性、加工性の点より、不銹鋼、青銅系の材料で形成するのが好ましい。
【0016】
【発明の効果】この発明によれば、シートリングに内包した補強材の両端部をフランジ状に折曲してあるので、配設時に配管フランジ面との当接が確実で且強力となり、シートリング内径方向への変形を防止することが出来る。補強材の板状部に形成した複数の開口により、板状部の内外面に位置するエラストマを互いに連結して補強材とエラストマとの密着性を増大させ、過酷な流体条件に対応させることが出来る。又、板状部の内外面に凹凸部を形成することにより、エラストマの密着性をさらに向上させることが可能となる。シートリングの弁棒挿通部に弁棒ガイドをなる円筒部を有したOリングケースを挿着してあるので、弁棒の円滑な回動を図ると共に弁棒挿通部の変形を防止し、流体の漏洩を防止することが出来る。シートリングの両端部内径部に縮小勾配を形成して、配管フランジの内径又はパイプ外径と合致するようにしてあるので、配設時にシートリングの弾性部が内径方向に変形するのを防止することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000153580
【氏名又は名称】株式会社巴技術研究所
【出願日】 平成10年7月29日(1998.7.29)
【代理人】 【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
【公開番号】 特開2000−46201(P2000−46201A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−214640