| 【発明の名称】 |
土砂侵入防止用ラビリンスシール |
| 【発明者】 |
【氏名】米谷 行雄
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| 【要約】 |
【課題】侵入した土砂を内部に貯留することなく、外部に排出することができる土砂侵入防止用ラビリンスシールを提供すること。
【解決手段】ハウジングケース2とハブ9との相対向する壁面間に形成され、内側の摺動部分への土砂、泥水などの異物の侵入を防止するラビリンスシールにおいて、ハブ9側のラビリンス壁は、ハウジングケース2側に向かうに従って拡開する円環状の傾斜面18aを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定部(2)と回転部(9)との相対向する壁面間に形成され、内側の摺動部分への土砂、泥水などの異物の侵入を防止するラビリンスシールにおいて、上記回転部(9)側のラビリンス壁は、上記固定部(2)側に向かって拡開する円環状の傾斜面(18a)を有することを特徴とする土砂侵入防止用ラビリンスシール。 【請求項2】 固定部(2)と回転部(9)との相対向する壁面間に形成され、内側の摺動部分への土砂、泥水などの異物の侵入を防止するラビリンスシールにおいて、上記固定部(2)と上記回転部(9)のいずれか一方側のラビリンス壁に、対向する壁面に向かって突出する突出部(21)を形成し、上記回転部(9)の回転に伴う上記突出部(21)の相対的な移動によって侵入した異物を外側へ押し出すように構成したことを特徴とする土砂侵入防止用ラビリンスシール。 【請求項3】 上記突出部(21)は、当該突出部(21)の相対的移動方向に対して傾斜する押出面(22)(23)を有し、この押出面(22)(23)は、上記相対的移動方向後方側が外側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項2の土砂侵入防止用ラビリンスシール。 【請求項4】 上記回転部(9)の軸線(L1)は略水平方向に設定されており、上記固定部(2)の上側の外周縁に、上記回転部(9)の外周縁角部近傍を覆うカバー部(25)を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの土砂侵入防止用ラビリンスシール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、パワーショベル等の建設機械の終減速装置などのように固定部と回転部とが連結して成る機構部であって、特に建設現場のように土砂や泥水などの異物が大量に存在する劣悪な環境で使用される機構部に好適に実施される土砂侵入防止用ラビリンスシールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】図10は、従来のラビリンスシール45を適用した終減速装置の構成例を示す断面図である。建設機械の下部フレーム31には、ハウジングケース32がボルト33によって固定されている。ハウジングケース32の内側には油圧モータ34が配置されると共に、この油圧モータ34の回転軸34aには遊星歯車減速部35が接続されている。回転軸34aの軸線L11は、略水平方向に設定されている。遊星歯車減速部35は、油圧モータ34から内側のサンギヤ36に伝達された回転を減速して外側のリングギヤ37から出力する。リングギヤ37は、油圧モータ34の軸線L11と同軸上に設定されている。 【0003】リングギヤ37の油圧モータ34側の側部にはボルト38によって円環状のハブ39が固定されており、このハブ39はハウジングケース32の外周部に取り付けられた起動軸ベアリング40によって回転自在に支持されている。ハブ39の外周部にはスプロケット41が装着されており、このスプロケット41は履帯42のリンク43に噛み合っている。従って、リングギヤ37の回転はハブ39及びスプロケット41を介して履帯42に伝達され、履帯42が回転することによって建設機械が走行する。 【0004】また、固定部であるハウジングケース32と回転部であるハブ39との間には、フローティングシール44が装着されている。フローティングシール44は、起動軸ベアリング40を含む終減速装置内のオイルを封入すると共に、起動軸ベアリング40を通して内部にゴミ等の異物が侵入するのを防止している。しかし、フローティングシール44は土砂と接触して損傷するとシール機能を損なうので、フローティングシール44の外側にラビリンスシール45を形成して土砂が内側へ侵入するのを防止している。 【0005】ラビリンスシールとは、回転部と固定部との相対向する壁面間の隙間を狭くし、かつ外側から内側に向かう経路を直線状ではなく例えば折線状にするなどして複雑にしたシール構造である(実開平3−29774号、実開平5−90051号、実開平5−60991号、実開平6−51082号等参照)。 【0006】図11は、ラビリンスシール45付近を拡大して示す断面図である。ラビリンスシール45は、回転軸線L11に対して垂直な2つの垂直部46、47と、回転軸線L11に対して平行な1つの平行部48とから成り、内側の垂直部46はフローティングシール44の摺動部分44a近傍から外側に延びて形成される一方、外側の垂直部47は内側の垂直部46よりも回転側(ハブ39側)にずれた位置から内側に延びて形成され、そして外側の垂直部47と内側の垂直部46とが平行部48によって連結されている。 【0007】図12は、他のラビリンスシール49の形状を示す拡大断面図である。このラビリンスシール49は、上記図11のラビリンスシール45と同様に2つの垂直部46、47と1つの平行部48とから成るが、外側の垂直部47が内側の垂直部46よりも固定側(ハウジングケース32側)にずれた位置から内側に延びて形成されている点が異なる。このようなラビリンスシール45、49は、例えば実開平5−90051号公報に開示されている。 【0008】また、土砂の侵入防止効果を高めるために、平行部を2つ以上形成して外側から内側に向かう経路をより複雑にした多重ラビリンスシールも使用されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上述したように従来のラビリンスシール45、49では、土砂の侵入を防止することを主目的として様々な形状の工夫がなされているが、侵入した土砂を外側に排出するための工夫は何ら施されていない。そのため、ラビリンスシール45、49内に侵入した土砂は外部に排出されにくく、特に内側の垂直部46と平行部48とが連結された角部では土砂が詰まりやすい。そして、土質によっては詰まった土砂が乾燥、硬化していわゆる土砂パッキングを引き起こし、外部への排出がさらに困難になるという問題がある。また、土砂パッキングが存在することによって、フローティングシール44の耐久性が低下するといった様々な不具合が生ずるという問題もある。 【0010】この発明は上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、侵入した土砂を内部に貯留することなく、外部に排出することができる土砂侵入防止用ラビリンスシールを提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段及び効果】そこで請求項1の土砂侵入防止用ラビリンスシールは、固定部2と回転部9との相対向する壁面間に形成され、内側の摺動部分への土砂、泥水などの異物の侵入を防止するラビリンスシールにおいて、上記回転部9側のラビリンス壁は、上記固定部2側に向かって拡開する円環状の傾斜面18aを有することを特徴としている。 【0012】上記請求項1の土砂侵入防止用ラビリンスシールでは、回転部9の回転によって侵入した土砂に遠心力が作用すると、土砂は傾斜面18aに沿って外側に移動する。従って、侵入した土砂を外部に排出しやすくなり、土砂の排出性が向上し、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。また、回転部9の軸線L1に垂直な面16aの外周縁から傾斜面18aを形成することによって、角部が鈍角となり、角部で土砂が詰まるのが防止される。これによって、土砂の排出性が向上すると共に、土砂パッキングの発生が防止できる。さらに、角部での土砂パッキングの発生が防止できるので、フローティングシールを使用した際に耐久性が低下することはなく、良好な封入状態を維持することが可能となる。 【0013】また請求項2の土砂侵入防止用ラビリンスシールは、固定部2と回転部9との相対向する壁面間に形成され、内側の摺動部分への土砂、泥水などの異物の侵入を防止するラビリンスシールにおいて、上記固定部2と上記回転部9のいずれか一方側のラビリンス壁に、対向する壁面に向かって突出する突出部21を形成し、上記回転部9の回転に伴う上記突出部21の相対的な移動によって侵入した異物を外側へ押し出すように構成したことを特徴としている。 【0014】上記請求項2の土砂侵入防止用ラビリンスシールでは、侵入した土砂は突出部21によって外側に押し出される。例えば、回転部9側のラビリンス壁に突出部21を形成した場合は、回転部9の回転に伴って突出部21も回転方向に移動し、これによって突出部21が侵入した土砂に衝突して土砂を外側に押し出す。また、固定部2側のラビリンス壁に突出部21を形成した場合は、回転部9の回転に伴って土砂も回転方向に移動し、これによって土砂が突出部21に衝突して外側に押し出される。このように積極的に土砂を外部に排出するようにしたので、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。また、内部に土砂が貯留するのが防止されるので、土砂パッキングの発生を防止できる。さらに、土砂パッキングの発生を防止できるので、フローティングシールを使用した際に耐久性が低下することなく、良好な封入状態を維持することができる。 【0015】請求項3の土砂侵入防止用ラビリンスシールは、上記突出部21は、当該突出部21の相対的移動方向に対して傾斜する押出面22、23を有し、この押出面22、23は、上記相対的移動方向後方側が外側に位置するように形成されていることを特徴としている。 【0016】上記請求項3の土砂侵入防止用ラビリンスシールでは、スムーズに土砂を外側に押し出すことができるので、土砂の排出性が向上する。 【0017】請求項4の土砂侵入防止用ラビリンスシールは、上記回転部9の軸線L1は略水平方向に設定されており、上記固定部2の上側の外周縁に、上記回転部9の外周縁角部近傍を覆うカバー部25を形成したことを特徴としている。 【0018】上記請求項4の土砂侵入防止用ラビリンスシールでは、カバー部25を形成したことによって外側の開口部が回転部9の軸線L1方向に向いて開口することになるので、開口部が半径方向に開口している場合に比べて土砂が侵入しにくくなり、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。これは、建設機械の走行部に適用した場合に、特に有効である。 【0019】 【発明の実施の形態】次にこの発明の土砂侵入防止用ラビリンスシールの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態を示す拡大断面図であり、図2は本発明が適用された建設機械の終減速装置の構成例を示す断面図である。 【0020】まず、図2を参照しながら終減速装置の概略を説明する。建設機械の下部フレーム1には、ハウジングケース2がボルト3によって固定されている。ハウジングケース2の内側には油圧モータ4が配置されると共に、この油圧モータ4の回転軸4aには遊星歯車減速部5が接続されている。回転軸4aの軸線L1は、略水平方向に設定されている。遊星歯車減速部5は、油圧モータ4から内側のサンギヤ6に伝達された回転を減速して外側のリングギヤ7から出力する。リングギヤ7は、油圧モータ4の軸線L1と同軸上に設定されている。 【0021】リングギヤ7の油圧モータ4側の側部にはボルト8によって円環状のハブ9が固定されており、このハブ9はハウジングケース2の外周部に取り付けられた起動軸ベアリング10によって回転自在に支持されている。ハブ9の外周部にはスプロケット11が装着されており、このスプロケット11は履帯12のリンク13に噛み合っている。従って、リングギヤ7の回転はハブ9及びスプロケット11を介して履帯12に伝達され、履帯12が回転することによって建設機械が走行する。 【0022】また、固定部であるハウジングケース2と回転部であるハブ9との間には、フローティングシール14が装着されている。フローティングシール14は、起動軸ベアリング10を含む終減速装置内のオイルを封入すると共に、起動軸ベアリング10を通して内部にゴミ等の異物が侵入するのを防止している。しかし、フローティングシール14は土砂と接触して損傷するとシール機能を損なうので、フローティングシール14の外側にラビリンスシール15を形成して土砂が内側へ侵入するのを防止している。 【0023】次に、図1を参照しながらラビリンスシール15の具体的な形状を説明する。ラビリンスシール15は、回転部であるハブ9と固定部であるハウジングケース2との相対向する壁面で構成され、ハブ9の軸線L1に対して垂直な2つの垂直部16、17と、軸線L1に対して角度θだけ傾斜した傾斜部18とから成る。角度θは、5°〜45°の範囲で設定される。内側の垂直部16はフローティングシール14の摺動部分14aの近傍から外側に延びて形成される一方、外側の垂直部17は内側の垂直部16よりも固定部であるハウジングケース2側にずれた位置から内側に延びて形成され、そして外側の垂直部17と内側の垂直部16とが傾斜部18によって連結されている。 【0024】壁面の形状を詳細に説明すると、回転側のラビリンス壁は、フローティングシール14の回転側の摺接位置近傍から半径方向外方に延びて形成された円環状の内側垂直面16aと、この内側垂直面16aの外周縁から延設されると共に固定側に向かうに従って拡開する円環状の傾斜面18aと、この傾斜面18aの外周縁から半径方向外方に延びて形成された円環状の外側垂直面17aとから成る。一方、固定側のラビリンス壁は、回転側のラビリンス壁に対して所定の間隔をあけて平行に形成されており、具体的には、フローティングシール14の固定側の摺接位置近傍から半径方向外方に延びて形成された円環状の内側垂直面16bと、この内側垂直面16bの外周縁から延設されると共に回転側から離反するに従って拡開する円環状の傾斜面18bと、この傾斜面18bの外周縁から半径方向外方に延びて形成された円環状の外側垂直面17bとから成る。固定側と回転側との間隔は、垂直部16、17では1.5〜3mm、傾斜部18では0.7〜2mmの範囲で設定される。 【0025】このように、ラビリンスシール15は、回転側と固定側の相対向する壁面間の隙間を狭くし、かつ外側から内側に向かう経路を直線状ではなく折線状にして複雑にしたシール構造である。従って、壁面間の隙間よりも粒径の大きい土砂の侵入を阻止できることはもちろんであるが、粒径の小さい土砂が侵入した場合でも内側に向かう経路が直線ではないため、簡単には経路を通過することはできず、フローティングシール14への土砂の侵入を防止することができる。 【0026】また、本実施形態のラビリンスシール15においては、回転側のラビリンス壁が固定側に向かうに従って拡開する円環状の傾斜面18aを有しているので、回転部であるハブ9の回転によって侵入した土砂に遠心力が作用すると、土砂は傾斜面18aに沿って外側に移動する。従って、内側の垂直部16まで土砂が侵入した場合でも、土砂は遠心力によって外側に移動した後、傾斜部18を通って外側の垂直部17まで送り出されてくるので、容易に外部に排出される。これによって、土砂の排出性が向上し、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。このような土砂の排出作用は、遠心力と重力が概ね同じ方向となる下方側で特に有効に機能する。 【0027】さらに、内側の垂直部16を形成する垂直面16aの外周縁から傾斜面18aを形成しているので、角部が鈍角となり、角部で土砂が詰まるのが防止される。これによって、土砂の排出性が向上すると共に、土砂パッキングの発生を防止できる。また、角部での土砂パッキングの発生を防止できるので、フローティングシール14の耐久性が低下することはなく、良好な封入状態を維持することが可能となる。 【0028】尚、固定側の傾斜面18bは、本実施形態では回転側の傾斜面18aに平行に形成したけれども、傾斜面18aとは異なる傾斜角度で形成してもよいし、あるいは傾斜させることなく軸線L1に平行に形成してもよい。また、傾斜部18は、本実施形態では1つだけ形成したけれども、2つ以上形成してもよいことはもちろんである。 【0029】図3は、本発明の第2実施形態を示す構成図であり、(a)は部分拡大断面図であり、(b)は(a)の矢印A1方向から見た部分拡大平面図である。第2実施形態は、上述の第1実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0030】第2実施形態の特徴は、回転側の傾斜面18aに、対向する固定側の傾斜面18bに向かって突出する突出部21を形成したことである。従って、回転部であるハブ9が回転すると突出部21も回転方向に移動し、突出部21が侵入した土砂に衝突して土砂が外側に押し出される。 【0031】突出部21は、平面形状が略2等辺三角形となる微小高さの三角柱であり、その三角形の頂部21aが外側に位置すると共に、底辺部21bがハブ9の回転方向F、Rと平行になるように形成される。回転方向Fは正転方向であり、回転方向Rは逆転方向である。従って、突出部21において頂部21aを挟んで位置する2つの側部22、23がそれぞれ押出面となる。 【0032】正転方向Fの前方側に位置する押出面22は、正転方向Fに対して傾斜し、かつ正転方向Fの後方側が外側に位置するように形成されており、従ってハブ9が正転方向Fに回転するときは傾斜した押出面22によって土砂が外側にスムーズに押し出される。また、逆転方向Rの前方側に位置する押出面23は、逆転方向Rに対して傾斜し、かつ逆転方向Rの後方側が外側に位置するように形成されており、従ってハブ9が逆転方向Rに回転するときは傾斜した押出面23によって土砂が外側にスムーズに押し出される。押出面22、23は、回転方向F、Rに対して60°程度傾斜しているのが最も好ましい。 【0033】尚、突出部21は、本実施形態では1個だけ形成したけれども、軸線L1回りに等間隔に複数個形成するようにしてもよい。また、ハブ9が正逆転可能である場合は2つの押出面22、23を形成する必要があるけれども、回転方向が一方向にのみ限定されている場合は1つの押出面だけでよい。さらに、突出部21は、回転方向F、Rに対して傾斜し、かつ回転方向F、Rの後方側が外側に位置するような押出面22、23を有していれば、その外形は三角柱に限らず、いかなる立体形状であってもよいことはもちろんである。また、押出面22、23は、本実施形態のように直線的に形成してもよいし、曲線的に形成してもよい。 【0034】第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、突出部21を利用して積極的に土砂を外部に排出するようにしたので、土砂の排出性が向上し、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。さらに、ラビリンスシール15内に土砂が貯留するのが防止されるので、角部以外の部分での土砂パッキングの発生も防止できる。 【0035】図4は、本発明の第3実施形態を示す構成図であり、(a)は部分拡大断面図であり、(b)は(a)の矢印A2方向から見た部分拡大平面図である。第3実施形態は、上述の第2実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0036】第3実施形態の特徴は、固定側の傾斜面18bに、対向する回転側の傾斜面18aに向かって突出するように突出部21を形成したことである。この場合は、回転部であるハブ9が回転すると、それに伴って土砂も回転方向に移動し、これによって土砂が突出部21に衝突して外側に押し出される。この現象は、回転側であるハブ9を静止させて、固定側を逆方向に回転させることと等価なものである。従って、押出面22、23の役割は、第2実施形態とは逆になる。 【0037】即ち、回転側を正転方向Fに回転させる場合は、正転方向Fの後端側(固定側の相対移動方向前方側に相当する)に位置する押出面23によって土砂が押出される。押出面23は、正転方向Fに対して傾斜し、かつ相対移動方向(逆転方向R)の後方側が外側に位置しているからである。一方、回転側を逆転方向Rに回転させる場合は、逆転方向Rの後端側(固定側の相対移動方向前方側に相当する)に位置する押出面22によって土砂が押出される。押出面22は、逆転方向Rに対して傾斜し、かつ相対移動方向(正転方向F)の後方側が外側に位置しているからである。 【0038】第3実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。 【0039】図5は、本発明の第4実施形態を示す構成図であり、(a)は部分拡大断面図であり、(b)は(a)の矢印A3から見た部分拡大平面図である。第4実施形態は、上述の第2実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0040】第4実施形態の特徴は、傾斜部18に代えて平行部24を形成し、さらに回転側の平行面24aに、対向する固定側の平行面24bに向かって突出するように突出部21を形成したことである。第4実施形態においては、土砂に作用するのは遠心力と突出部21による押出作用だけであり、傾斜面18aによる排出作用は得られないけれども、上記各実施形態と同様に土砂の排出性を向上すると共に、土砂の侵入防止効果を向上させることができる。また、土砂パッキングの発生も防止できる。 【0041】図6は、本発明の第5実施形態を示す構成図であり、(a)は部分拡大断面図であり、(b)は(a)の矢印A4から見た部分拡大平面図である。第5実施形態は、上述の第4実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0042】第5実施形態の特徴は、固定側の平行面24bに、対向する固定側の平行面24aに向かって突出するように突出部21を形成したことである。第5実施形態においても、土砂に作用するのは遠心力と突出部21による押出作用だけであり、傾斜面18aによる排出作用は得られないけれども、第4実施形態と同様の効果が得られることはもちろんである。 【0043】図7は、本発明の第6実施形態を示す断面図であり、図8は固定部であるハウジングケース2を軸線L1方向から見た正面図である。第6実施形態は、上述の第1実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0044】第6実施形態の特徴は、第1実施形態の構成に加えて、ハウジングケース2の上方側の外周半径をハブ9の外周半径よりも大きくなるように形成すると共に、この上方側にハブ9側に延びるカバー部25を形成してハブ9の外周縁角部9a近傍を覆い、さらに、ハブ9の外周縁にハウジングケース2に向かうに従って拡開する円環状の傾斜面9bを形成したことである。これによって、ハブ9の外周縁である傾斜面9bと、これに対向するカバー部25の内周面25aとを含んでラビリンスシール15が構成され、外側の開口部がハブ9の軸線L1方向に向いて開口することになる。 【0045】第6実施形態においては、最も土砂が侵入しやすい上方側にカバー部25を形成したので外側の開口部が水平方向に向いて開口し、ラビリンスシール15内に土砂が侵入しにくくなる。また、カバー部25の内側に土砂が侵入した場合でも、ハブ9の傾斜面9bを乗り越えなければ土砂は外側の垂直部17に侵入できないので、土砂の内側への侵入を抑えることができる。さらに、内側に土砂が侵入した場合でも、第1実施形態で述べたように回転側の傾斜面18aによって、土砂を外部に排出することができる。 【0046】このように第6実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果が得られることはもちろんであるが、土砂の排出性の向上だけでなく、土砂の侵入自体を低減することができるので、ラビリンスシール15の土砂の侵入防止効果を向上させることができる。 【0047】カバー部25は、図8に示すように垂直上方に延びる基準線L2を中心として、軸線L1回りにそれぞれ90°の範囲で全体として180°の範囲に形成したけれども、さらに広い範囲に形成してもよい。ただし、あまり広範囲に形成すると、土砂の排出作用を阻外してしまうおそれがあるので、全体として最大270°(基準線L2を中心として軸線L1回りにそれぞれ135°)程度の範囲に形成するのが好ましい。 【0048】図9は、本発明の第7実施形態を示す側断面図である。第7実施形態は、上述の第6実施形態と類似しており、同一の構成には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。 【0049】第7実施形態の特徴は、第6実施形態の構成に加えて、回転側の傾斜面18aに突出部21を形成したことである。第7実施形態においても、第6実施形態と同様の効果が得られることはもちろんであるが、突出部21を形成したことによって、土砂の排出性をさらに向上させることができる。尚、突出部21は固定側の傾斜面18bに形成してもよい。 【0050】また、図5に示した第4実施形態及び図6に示した第5実施形態に対して、カバー部25及びハブ9の傾斜面9bを形成してもよいことは、もちろんである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所
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| 【出願日】 |
平成11年6月9日(1999.6.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084629 【弁理士】 【氏名又は名称】西森 正博
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| 【公開番号】 |
特開2000−346205(P2000−346205A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−162312 |
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