| 【発明の名称】 |
シ−ル構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】加島 光博
【氏名】原 定昭
【氏名】満嶋 弘二
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| 【要約】 |
【課題】掻き出しによる油漏れを解消し、さらに摺動部が無潤滑状態となりフリクションが増大し、異常摩耗することを防止する。
【解決手段】摺動部材2と、摺動部材2を摺動可能に支持する支持部材1と、摺動部材2と支持部材1との間に介装されたシールリング5aとを備えたシール構造において、前記シールリング5aは支持部材1に設けられた収納凹部25に所定隙間40をもって収装され、前記隙間40にシールリング5aの外周側への変形を許容し、かつ吸収する弾性部材5bを配置した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】摺動部材と、摺動部材を摺動可能に支持する支持部材と、摺動部材と支持部材との間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングは支持部材に設けられた収納凹部に所定隙間をもって収装され、前記隙間にシールリングの外周側への変形を許容し、かつ吸収する弾性部材を配置したことを特徴とするシ−ル構造。 【請求項2】前記弾性部材と前記シールリングとの間、または前記弾性部材と前記支持部材との間の少なくとも一方に空隙を設けたことを特徴とする請求項1に記載のシール構造。【請求項3】前記弾性部材は、隙間部に隙間なく収装されることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油圧シリンダなどのシ−ル構造の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術とその課題】従来、油圧シリンダなどの軸受部のシ−ル構造としては、実開平4−138160号に記載されたものがある。これはシールリングの嵌め込み溝が内外径とも平行で、シールリングの軸方向の受圧面積は内外リップ径全面であり、よってヒール部の支持面積は前記受圧面積とほぼ同じとなっている。 【0003】このため高圧がリップ部に作用すると、これを受けてヒール部の面圧が高くなり、摺動面へのはみ出し変形及び摺動面に対する面圧勾配が大きいため、作動油膜の掻き取り性が大きく、作動条件によっては掻き出しによる油漏れが生じるという問題があった。 【0004】さらに、高圧になるほど、作動油膜の掻き取り性が強くなる構成となっているため、摺動部が無潤滑状態となりフリクションが増大し、摩擦熱が発生し、長時間の連続作動時に、摺動部の熱変質を引き起こし、異常摩耗するという問題も考えられる。 【0005】また特表平9‐504081号には、背面に隙間を有するシ−ルリングにおいて、内外周に隙間を設けた特殊形状シールに関する技術が開示されている。 【0006】これは圧力によるヒール部へのはみ出し防止の目的で、内外径の隙間を可能な限り(材料の変形応力の許容限界まで)大きく取り、特殊形状リングを追求したものと考えられ、単純なテーパ面に依る大容積隙間の付与では、変形応力的に適用圧力に限界があり、特にヒール部内径には高応力が集中し、耐久疲労性能の点から、その適用条件が制限されると考えられる。 【0007】さらに特公平6−100202号に記載のバッファリングとシールリングとを組み合わせた構成では、バッファリングは作動油膜を確保するため完全に密閉する構造となってはおらず、たとえば油圧シリンダの伸縮作動のいずれの場合でもロッド側油室が高圧となる流量再生回路においては、シールリングとバッファリング間の圧力が畜圧され、長時間にわたり負荷圧力が作動する状態では、シールリングへの高圧作用を防止できない。 【0008】本発明は、これらの問題を解決するシ−ル構造を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、摺動部材と、摺動部材を摺動可能に支持する支持部材と、摺動部材と支持部材との間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングは支持部材に設けられた収納凹部に所定隙間をもって収装され、前記隙間にシールリングの外周部への変形を許容し、かつ吸収する弾性部材を配置する。 【0010】第2の発明は、第1の発明において、前記弾性部材と前記シールリングとの間、または前記弾性部材と前記支持部材との間の少なくとも一方に空隙を設ける。 【0011】第3の発明は、第1の発明において、前記弾性部材は、隙間部に隙間なく収装する。 【0012】 【発明の作用および効果】第1から第3の発明では、シールリングはその本体と、その外周に設けられた弾性部材とから構成されており、弾性部材の形状、材料特性、隙間部容積等を考慮することで、リップ側に作用する圧力に比例して外周側への変形を許容し、かつこれを吸収することが可能となり、内径寸法の変化を略ゼロにすることができる。よってピストンロッドとの接触、噛みこみを防止し、フリクションの増大や油漏れといった問題を解消する。 【0013】さらに弾性部材はシールリングとは別部品であるので、形状や材料を自由に変化させてシールリングの変形を自由に制御することができる。 【0014】またシールリングと弾性部材に分割することで、それぞれの部品形状が単純化することができ、金型費用や作業効率の向上が期待できる。 【0015】シールリングの内径寸法変化を小さく抑えることにより、内径部に発生する応力を低減でき、シールの疲労強度が向上し、耐久性が向上する。 【0016】さらに弾性部材の内周側、外周側に所定の隙間を設けることによって、弾性部材の弾性特性と合わせて、シールリングの変形を制御することもできる。 【0017】 【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0018】図1と図2に示すように、液圧シリンダ20のピストンロッド2がシリンダヘッド1の摺動孔21を摺動自由に貫通し、この貫通部には軸受部30が形成される。この軸受部30には軸受4と、シールリング5が配置され、さらに最も外側に位置してダストシール9が備えられる。軸受4とダストシール9はそれぞれ溝24と29に圧入され、シールリング5は摺動孔21に形成した収納凹部25に収装される。 【0019】このシールリング5は、シールリング本体5aと、シールリング5本体5aの外周部に設けられたシールリング本体5aの変形を制御する制御リング5bとから構成され、液圧シリンダ20のロッド側油室3に直接的に開口する収納凹部25に装着される。シールリング本体5aは作動油の圧力を直接的に受けるリップ部10と、リップ部10と略同径の内外径を有し、リップ部10に作用する圧力をシリンダヘッド1の収納凹部25で受けるヒール部11とから構成される。 【0020】一方制御リング5bは、シールリング本体5aの外周側に取りつけられており、収納凹部25内に配置される。制御リング5bは、シールリング5の外周側への変形を許容、吸収できるようにその変形に対応する形状、材質から選択される。 【0021】さらにシールリング本体5aのリップ部10は内周リップ10aと外周リップ10bとからなり、またヒール部11はシールリング本体5aのヒール部11xと制御リング5bのヒール部11yとから形成される。 【0022】制御リング5bのヒール部11yはシールリング本体5aのヒール部11xと支持面11aを形成し、シールリング5を支持している。 【0023】このシールリング5を収納するシリンダヘッド1の収納凹部25も、シールリング5の外形に基本的には対応した溝断面を持ち、リップ部10の外周リップ10bの外周に接するロッド軸心と平行なリップ底壁25a、制御リング5bの傾斜外周面に接する傾斜壁部25b、ヒール部11の支持面11aに接するロッド軸心と直交するヒール壁25c及びヒール部11の外周部11yと所定の隙間40を画成するヒール底壁25dの壁からなり、リップ部10に作用する油圧力が直接的にヒール部11に作用しないように(すなわち作動油がヒール部11に漏れないように)、リップ部10の外周リップ10bの外周が収納凹部25のリップ底壁25aの内面に、また内周リップ10aがピストン2の外周に一定の締代を持って密着するようになっている。 【0024】換言するとリップ部10の受圧面積Amは、シールリング組み付け時のリップ部10の外周とピストンロッド2と摺動する内周との間の環状域となり、これに対してヒール部11の外周と内周との間の環状域がヒール部全体の支持面積Asとなり、これらの関係は、Am<Asとなる。 【0025】なお、図3に示すように、シールリング5の自由状態では、リップ部10の内周側のリップ10aがピストンロッド2に所定の圧力で接触するように内径側に締代分縮径して形成され、外周側の外周リップ10bの外周は外径側に締代分拡径して形成され、収納凹部25に内面密着する。 【0026】また収納凹部25のリップ底壁25aは連通穴15を介してロッド側油室3に直接連通しており、リップ底壁25aと連通穴15はほぼ同じ径を有している。 【0027】以上のように構成され、次に作用につき説明する。 【0028】図4に示す従来のものはシールリング50の嵌め込み溝が内外径とも平行であり、シールリング50のリップ部55の受圧面積Apが大きく、ヒール部56の支持面積Asとほぼ同じとなっている。よってリップ部55に作用する圧力に起因する推力は大きくなり、ヒール部56の面圧も大きくなる。従ってヒール部56はつぶされて変形しようとするが、外径側はシリンダヘッド1によって拘束されており、変形はピストンロッド2側へ集中することになる。これによって、ヒール部56の一部がピストンロッド2に強く接触し、フリクション増加等の問題を引き起こすことになる。よって従来、この問題を防止するためにシールリング5に作用する圧力を制限するためにバッファリングを用いていた。 【0029】これに対して本発明では、図5に示すように、リップ部10の受圧面積Amよりヒール部11の支持面積Asを大きくしたので、シールリング5に作用する推力を抑え、ヒール部11の面圧を低下することができる。これにより、シールリング5の変形を小さくすることが可能であり、ヒール部11のヒール部角部11xがピストンロッド2に向けてのはみ出しを極力防止できる。 【0030】さらにシールリング5はシール機能を有するリップ部10を備えるシールリング本体5aとシールリング本体5aの外側への変形を吸収制御する制御リング5bとから構成されている。 【0031】このような構成とすることでリップ部10に圧力が作用したときに、シールリング本体5aは内径方向への変形を実質的に阻止できることが、発明者等の解析によって明らかとなった。 【0032】すなわち、発明者らはシールリングの変形を環状円柱体の変形と見做し、下面を支持し、上面に一定の分布荷重を負荷した環状円柱状のモデルを作成し、内外周の支持条件を変化させて、モデルの変形を確認する解析を行った。 【0033】その結果、内外周をフリー状態にするとモデルは内外周ともに拡径し、内周をフリー状態、外周を拘束状態にすると、内周が縮径することがわかった。 【0034】この結果より、本発明のようにシールリング本体5aの外側への変形を吸収抑制する制御リング5bをシールリング本体5aの外周に設けて、シールリング本体5aの外径の拡径を制御することによって、内径の変形をゼロとすることができることを確認した。 【0035】このため、シールリングの効果を維持したままで、制御リング5bの形状、材料特性、容積等を考慮することで、作用する圧力に比例してシールリング本体5aの外周部の変形が生じるとともに、内径寸法の変化を略ゼロにすることができる。 【0036】よってピストンロッド2との接触、噛みこみを防止し、フリクションの増大や油漏れといった問題を解消する。 【0037】さらに制御リング5bはシールリング本体5aとは別部品であるので、その形状や材料を自由に変化させることでシールリング5の変形を自由に制御することができる。 【0038】またシールリング本体5aと制御リング5bにシールリング5を分割することで、それぞれの部品形状が単純化することができ、金型費用や作業効率の向上が期待できる。 【0039】シールリング5の内径寸法変化が小さくできることにより、内径部に発生する応力を低減でき、シールの疲労強度が向上し、耐久性が向上する。 【0040】シールリングの変形を制御するためにシールリング5が取りつけられる収納凹部25の溝形状を変化させることも極めて有効であり、またシールリング5の形状が決まった後でもその変形に合わせて、切削することができ、より精度よくシールリング5の変形を制御することができる。 【0041】図6に第2の実施形態を示し、これは制御リング5bとシールリング本体5aとの接合面の一部と、制御リング5bと収納凹部25の間にそれぞれ隙間40、41を設けたものである。なお制御リング5bのヒール部11yを支持する支持面11bはシールリング本体5aヒール部11xの支持面11aと同一平面ではなく、異なる角度を持って形成されている。 【0042】このように隙間部40、41と制御リング5bを配置することでシールリング5の半径方向にばね定数の異なるばねを直列の配置したことと同じとなり、シールリング本体5aの変形を制御するばね系の自由度を広げることができる。 【0043】図7に第3の実施形態を示す。これは制御リング5bと、シールリング本体5aおよび収納凹部25との間の隙間を設けないものである。このような構成することによってもシールリングの変形を吸収制御することができる。 【0044】図8に第4の実施形態を示す。これは制御リング5bにシールリング5の軸中心から放射状に孔42をあけ、この孔42の大きさや分布密度によって制御リング5bの弾性特性をシールリング本体5aの変形を吸収するのに最適に規定するものである。 【0045】なお本実施形態ではシールリング5の形状が、リップ部の受圧面積とヒール部の支持面積とが異なるシール形状で説明したが、この形状に特定されるものではない。 【0046】すなわち従来の受圧面積と支持面積とがほぼ同じシール構造にも適用可能であり、この場合について次に説明する。 【0047】図9に第5の実施形態を示す。これはシールリング本体5aのリップ部10の外径をヒール部11xの外径より大きくしたもので、このようにすることで、ヒール部11xと収納凹部25との間に隙間を作り、シールリング5の変形を拡径する方向に導き、その変形を隙間に設置した、たとえば材料特性の異なる材料を層状に積み重ねて形成された制御リング5bによって制御するものである。 【0048】制御リング5bを隙間に設置することによって、シールリング5の形状は環状円柱体となり、収納凹部25の加工を容易にすることができる。 【0049】また材料特性の異なる材料を層状に積み重ねて形成された制御リング5bを用いることで、材料特性の選択自由度を広げることができる。 【0050】図10に第6の実施形態を示す。これは制御リング5bをシールリング本体5aと収納凹部25の間に隙間がないように設けたものである。 【0051】図11に第7の実施形態を示す。これは制御リング5bとシールリング本体5aおよび収納凹部25とのそれぞれの境界の一部に隙間43を設けたものである。 【0052】図12に第8の実施形態を示す。これは制御リング5bとシールリング本体5aの境界の一部に隙間44を、収納凹部25との境界全周に渡って隙間45を設けたものである。 【0053】図13に第9の実施形態を示す。これは制御リング5bとシールリング本体5aの境界の一部に隙間46を設けたものである。 【0054】図14に第10の実施形態を示す。これは制御リング5bとシールリング本体5aの境界全周に渡って隙間47を設けたものである。 【0055】図15に第11の実施形態を示す。これはシールリング本体5aの外周部に径の異なる段部を設け、この段部に沿うように制御リング5bを形成し、シールリング本体5aの外周部の径の小さい側の一部に隙間48を設け、また制御リング5bと収納凹部25の境界全周に渡って隙間49を設けたものである。 【0056】これら第6から第11の実施形態によれば、シールリング本体5aの変形の形態や変形量に応じて対応することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000929 【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月7日(1999.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−346202(P2000−346202A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−159515 |
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