トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 非接触形メカニカルシール
【発明者】 【氏名】岩本 康孝

【氏名】古谷 勝昭

【氏名】池原 正親

【要約】 【課題】油分等の異物を含有するガスについても、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持しうる静圧形のガスシールを提供する。

【解決手段】シールケース2と回転軸12との間に、複数の環状溝71とこれに突入する複数の環状板72とからなるラビリンスシール7が設けられている。このラビリンスシール7により、シールケース2内における密封端面31,41の外径側領域Cを機内領域Aとが区画されている。シールケース2には、環状溝71…の底部に連通し且つ機内領域Aに開口する返戻通路8と、外径側領域Cに機内領域Aより高圧のパージガスを供給するパージガス供給路と、外径側領域Cに開口すると共に該領域Cと同圧に保持された異物回収タンク103に連通する異物回収路101とが設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた水平状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧を発生させる静圧発生機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、シールケースと回転軸との間に、シールケースの一端部の内周部に軸線方向に並列状に設けた複数の環状溝と回転軸の外周部に軸線方向に並列し且つ各環状溝に突入する状態で設けた複数の環状板とで構成されるラビリンスシールを設けて、このラビリンスシールによりシールケース内における密封端面の外径側領域を機内領域と区画するように構成したことを特徴とする非接触形メカニカルシール。
【請求項2】 シールケースに、前記環状溝の底部に連通し且つ機内領域に開口する返戻通路を設けると共に、返戻通路の下面が、その機内領域への開口部に向かって下り傾斜するテーパ面に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載する非接触形メカニカルシール。
【請求項3】 シールケースに、前記外径側領域に機内領域より高圧のパージガスを供給するパージガス供給路を設けたことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載する非接触形メカニカルシール。
【請求項4】 シールケースに前記外径側領域に開口する異物回収路を設けると共に、この異物回収路に当該外径側領域と同圧に保持された異物回収タンクを接続したことを特徴とする、請求項3に記載する非接触形メカニカルシール。
【請求項5】 回転軸が水平である場合において、前記返戻通路が当該回転軸の下方に配置されていると共に、前記異物回収路が当該回転軸の直下位置において前記外径側領域に開口していることを特徴とする、請求項4に記載する非接触形メカニカルシール。
【請求項6】 液状又は固体状の異物を含有するガスを扱う回転機器に装備されるものであることを特徴とする、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載する非接触形メカニカルシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状又は固体状の異物(油分,水分,スラッジ等)を含有するガスを扱う湿式コンプレッサ,ミキサ,ポンプ等の回転機器に軸封装置として装備される非接触形メカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】非接触形メカニカルシールとしては、回転軸側の回転密封環とシールケース側の静止密封環とを、両密封環の対向端面たる密封端面間に静圧を発生させることにより、非接触状態に保持させつつ、回転機器の内部領域たる機内領域と外部領域たる大気領域とをシールするように構成されたものが公知である。かかる非接触形メカニカルシールは、密封端面が相対回転摺接する端面接触形のメカニカルシールと異なって、ドライな条件下においても密封端面が焼き付く等の問題を生じることがなく、ガスを扱う回転機器の軸封装置として好適に使用されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シールすべきガスが油分等の液状異物やスラッジ等の固体状異物を含有する場合には、かかる異物が非接触状態にある密封端面間に侵入したり、密封端面に付着,堆積したりする虞れがある。そして、このような事態が発生すると、密封端面間の静圧を適正にコントロールすることができなくなり、シール機能が低下,喪失する。
【0004】本発明は、このような異物含有ガスを扱う回転機器においても、上記した問題を生じることなく、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持しうる非接触形メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた水平状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧を発生させる静圧発生機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、機シールケースと回転軸との間に、シールケースの一端部の内周部に軸線方向に並列状に設けた複数の環状溝と回転軸の外周部に軸線方向に並列し且つ各環状溝に突入する状態で設けた複数の環状板とで構成されるラビリンスシールを設けて、このラビリンスシールによりシールケース内における密封端面の外径側領域を機内領域と区画するように構成しておくことを提案する。
【0006】かかる非接触形メカニカルシールにあっては、シールケースに、前記環状溝の底部に連通し且つ機内領域に開口する返戻通路を設けると共に、返戻通路の下面を、その機内領域への開口部に向かって下り傾斜するテーパ面に構成しておくことが好ましい。また、シールケースには、前記外径側領域に機内領域より高圧のパージガスを供給するパージガス供給路を設けておくことが好ましい。また、シールケースに前記外径側領域に開口する異物回収路を設けると共に、この異物回収路に当該外径側領域と同圧に保持された異物回収タンクを接続しておくことが好ましい。また、回転軸が水平である場合においては、前記返戻通路を当該回転軸の下方に配置すると共に、前記異物回収路を当該回転軸の直下位置において前記外径側領域に開口させておくことが好ましい。本発明の非接触形メカニカルシールは、特に、液状又は固体状の異物(油分,水分,スラッジ等)を含有するガスを扱う湿式コンプレッサ,ミキサ,ポンプ等の回転機器に軸封装置として好適するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて具体的に説明する。
【0008】図1〜図4に示した非接触形メカニカルシールは、液状異物(水分,油分等)又は固体状異物(スラッジ等)を含有するガス(以下「機内ガス」という)を扱う湿式コンプレッサ等の回転機器1の軸封部11に装着されて、回転機器1の内部領域たる機内領域Aと回転機器1の外部たる機外領域(大気領域)Bとを遮蔽シールする静圧形のガスシールであり、シールケース2と静止密封環3と回転密封環4と附勢部材5と静圧発生機構6とラビリンスシール7と返戻通路8とパージガス供給機構9と異物回収機構10とを具備する。回転機器1の回転軸12は、機外領域Bに設置された駆動装置(図示せず)から軸封部11を洞貫して機内領域Aへと水平に延びるものである。なお、以下の説明において、前,後というときは図1又は図2における左,右を意味する。
【0009】シールケース2は、回転機器1の軸封部11に水平に取り付けられた筒状のものである。すなわち、シールケース2は、図1及び図2に示す如く、軸封部11の前端面に衝合取着された円筒状の本体部21と、その後端部に一体形成されており、軸封部11の内周面にOリング26を介して嵌合取着された円筒状の取付部22と、本体部21の前端部に固着された円筒状の第一保持部23と、その前端部に固着された環状の第二保持部24と、その内周部から後方に突出形成された円筒状の第三保持部25とからなる。シールケース2の内部は、その一端部(後端部)を構成する取付部22において機内領域Aに開口している。なお、この例では、取付部22の内周部22aを円筒状の別部材で構成してある。また、回転軸12はシールケース2を同心状に洞貫しており、シールケース2内に位置する回転軸部分の外周部12aは円筒状の別部材(スリーブ)によって構成されている。
【0010】静止密封環3は、回転軸12に同心状に遊嵌された状態で、シールケース2の他端部(前端部)を構成する保持部23,24,25に相対回転不能且つ軸線方向に移動自在に保持されている。すなわち、静止密封環3は、図1及び図2に示す如く、その外周面を所定間隔を隔てて並列する前後一対の第一Oリング27,27を介在させた二次シール状態で、第一保持部23の内周面に保持させると共に、その内周面を第二Oリング28を介在させた二次シール状態で第三保持部25の外周面に保持させることにより、シールケース2に軸線方向に移動自在に保持されている。また静止密封環3は、図2に示す如く、その前端部に穿設した係合凹部32に第二保持部24に植設した回り止めピン29を係合させることによって、一定範囲での前後移動が許容された状態で、シールケース2に対する相対回転が阻止されている。なお、静止密封環3の第一保持部23による保持形態は、図1及び図2に示す如く、当該静止密封環3の外周面における密封端面側(後端縁部側)の極く僅かな部分のみが後述するパージガス領域Cに露出するように工夫されている。
【0011】回転密封環4は、図1及び図2に示す如く、静止密封環3より機内領域A側(後方側)に配して、回転軸12に固定されている。すなわち、回転密封環4は、シールケース2の本体部21内に配して、静止密封環3と直対向した状態で回転軸12の外周部12aに嵌合固定されている。両密封環3,4の対向端面たる密封端面31,41(以下、静止密封環3の密封端面31を「静止密封端面」という)は、軸線に直交する平滑面とされている。
【0012】附勢部材5は、図1に示す如く、静止密封環3と第二保持部24との間に介挿された一又は複数のコイルスプリングで構成されていて、静止密封環3を回転密封環4へと押圧附勢するものであり、密封端面31,41を閉じる方向に作用する閉力を発生させるものである。
【0013】静圧発生機構6は、図1に示す如く、静止密封端面31に形成された静圧発生溝61と、静圧発生溝61にシールガス62を供給する一連のシールガス供給路63,64,65と、シールガス供給路63,64,65の適所に設けた絞り器66とを具備して、シールガス62を静圧発生溝61に供給させることにより、密封端面31,41間にこれを開く方向に作用する静圧(開力)を発生させるようになっている。
【0014】静圧発生溝61は、静止密封端面31と同心状の環状をなして連続又は断続する浅い凹溝であり、この例では後者を採用している。すなわち、静圧発生溝61は、図4に示す如く、静止密封端面31と同心環状をなして並列する複数の円弧状凹溝61a…で構成されている。
【0015】シールガス供給路は、図1に示す如く、シールケース2及び静止密封環3に形成された一連のものであり、静止密封環3の外周面と第一保持部23の内周面との間に形成される環状空間であって第一Oリング27,27によってシールされた連通空間64と、シールケース2の第一保持部23を貫通して連通空間64に至るケース側通路63と、静止密封環3を貫通して連通空間64から静圧発生溝61に至る密封環側通路65とからなる。密封環側通路65の下流端部は分岐されていて、その各分岐部を、図4に示す如く、静圧発生溝61を構成する各円弧状凹溝61aに開口65aさせてある。ケース側通路63には、所定のシールガス供給源(図示せず)から導かれたシールガス供給管が接続されていて、シールガス62をシールガス供給路63,64,65から静圧発生溝61に供給するようになっている。シールガス62としては、各領域A,Bに流出しても無害であり且つ機内ガスに悪影響を及ぼさない性状のものを、シール条件に応じて適宜に選定する。この例では、各種物質に対して不活性であり且つ人体に無害である清浄な窒素ガスが使用されている。なお、シールガス62は、回転機器1の運転中(回転軸12の駆動中)においてのみ供給され、運転停止後には供給を停止される。回転機器1の運転は、シールガス62の供給が開始された後であって、密封端面31,41間が適正な非接触状態に保持された後において開始され、シールガス62の供給停止は、当該回転機器1の運転停止後であって回転軸12が完全に停止した後に行なわれる。
【0016】絞り器66は、オリフィス,毛細管,多孔質部材等の絞り機能を有するものであり、図1に示す如く、密封環側通路65の適所(各円弧状凹溝61aへの分岐部分より上流側の部分)に配設されている。
【0017】而して、シールガス62をシールガス供給路63,64,65から静圧発生溝61に供給すると、静圧発生溝61に導入されたシールガス62により、密封端面31,41間にこれを開く方向に作用する開力が発生する。この開力は、密封端面31,41間に導入されたシールガス62によって発生する静圧によるものである。したがって、密封端面31,41は、この開力と密封端面31,41間を閉じる方向に作用するスプリング荷重による閉力とがバランスする非接触状態に保持される。すなわち、静圧発生溝61に導入されたシールガス62は密封端面31,41間に静圧の流体膜を形成し、この流体膜の存在によって、密封端面31,41の内外径側領域間が遮蔽シールされる。シールガス62の圧力及びスプリング5のバネ力(スプリング荷重)は、密封端面31,41間の隙間が適正(一般に、5〜15μmである)となるように、シール条件に応じて適宜に設定される。ところで、シールガス62は絞り器66で絞られた上で静圧発生溝61に導入されることから、密封端面31,41の隙間が変動した場合にも、その隙間が自動的に調整されて適正に保持される。すなわち、回転機器1の振動等により密封端面31,41の隙間が大きくなったときは、静圧発生溝61から密封端面31,41間に流出するシールガス量と絞り器66を通って静圧発生溝61に供給されるシールガス量とが不均衡となり、静圧発生溝61内の圧力が低下して、開力が閉力より小さくなるため、密封端面31,41間の隙間が小さくなるように変化して、その隙間が適正なものに調整される。逆に、密封端面31,41間の隙間が小さくなったときは、上記したと同様の絞り器66による絞り機能により静圧発生溝61内の圧力が上昇して、開力が閉力より大きくなり、密封端面31,41間の隙間が大きくなるように変化して、その隙間が適正なものに調整される。
【0018】ラビリンスシール7は、図1及び図2に示す如く、シールケース2の一端部である取付部22の内周部22aに軸線方向に並列状に形成された複数の環状溝71…と回転軸12の外周部12aに軸線方向に並列し且つ各環状溝71に突入する状態で一体形成された複数の環状板72…とからなり、取付部22と回転軸12との間に、シールケース2内における密封端面31,41の外径側領域(以下「パージガス領域」という)Cと機内領域Aとを連通する蛇行状通路73を形成するものである。なお、蛇行状通路73を構成する取付部22の内周部と回転軸12の外周部との隙間及び環状溝71内に形成される環状板72との隙間は、可及的に微小となるように工夫されている。
【0019】返戻通路8は、環状溝71…の底部に連通し且つ機内領域Aに開口するものである。この例では、返戻通路8は、図2及び図3に示す如く、回転軸12の下方位において水平に延びる円形断面をなすものであり、最前位の環状溝71aを除く全ての環状溝71…の底部側において蛇行状通路73に開口されている。
【0020】パージガス供給機構9は、図1に示す如く、シールケース2の本体部21を貫通してパ−ジガス領域Cに開口するパージガス供給路91と、その適所に設けたオリフィス92とを具備して、パージガス供給路91から機内領域Aより高圧のパージガス93をパージガス領域Cに供給,充満させるように構成されている。パージガス93は、オリフィス92を通過することにより、パージガス領域Cに噴出することなく緩慢に供給され、パージガス領域Cを機内領域Aより高圧のパージガス雰囲気に保持する。パージガス93の圧力は、一般に、機内領域Aの圧力つまり機内ガスの圧力より2bar程度高く設定され、シールガス62と同一又は略同一に設定されている。また、パージガス93の性状は、前記したシールガス62の選定基準と同一の基準で選定され、この例では、シールガス62と同一性状の窒素ガスを使用している。
【0021】異物排出機構10は、図1及び図2に示す如く、シールケース2に設けられた異物回収路101及び圧力保持路102と、シールケース2外に設置された密閉状の異物回収タンク103と、異物回収路101と異物回収タンク103とを連通接続する第1接続管104と、圧力保持路102と異物回収タンク103とを連通接続する第2接続管105と、コンプレッサ106と、コンプレッサ106の吐出口と異物回収タンク103とを連通接続する吐出管107と、異物回収タンク103に接続された異物排出管108とを具備する。
【0022】異物回収路101は、図2に示す如く、回転密封環4の直下位においてパージガス領域Cに開口101aされていて、第1接続管104に設けた第1開閉弁104aを開操作することにより、パージガス領域Cに侵入した異物を異物回収タンク103へと排出させるようになっている。なお、シールケース2の本体部21の内周面に、ラビリンスシール7側から異物回収路101の開口部101aへと拡径する(本体部21の内周面における下部側部分については開口部101aへと下り傾斜することになる)テーパ面21aを形成して、パージガス領域Cに侵入した異物の異物回収路101への排出が円滑に行なわれるように工夫してある。圧力保持路102は、図2に示す如く、シールケース2に設けられて、パージガス領域Cに開放されている。異物回収タンク103は、第2接続管105に設けた第2開閉弁105aを開操作することにより、圧力保持路102及び第2接続管105を介してパージガス領域Cに連通され、パージガス領域Cと同圧に保持されるようになっている。また、異物回収タンク103には、吐出管107に設けた第3開閉弁107aを開操作すると共にコンプレッサ106を作動させることにより、所定圧の加圧空気が供給されるようになっている。また、異物回収路101及び第1接続管104から異物回収タンク103に回収された異物は、異物排出管108に設けた第4開閉弁108aを開操作することにより、異物排出管108から適宜の異物処理部(図示せず)に排出されるようになっている。
【0023】以上のように構成された非接触形メカニカルシールにあっては、密封端面31,41の外径側領域であるパージガス領域Cがラビリンスシール7により機内領域Aと区画されており、且つパージガス領域Cには機内領域Aより高圧のパージガス93が充満されていることから、機内ガスのパージガス領域Cへの侵入が可及的に阻止されることになる。
【0024】また、機内ガスはラビリンスシール7の蛇行状通路73を通過する間において環状板72…の回転による遠心力の作用を受け、機内ガスに含まれる異物は環状溝71…の底部から返戻通路8へと排出され、返戻通路8から機内領域Aに排出されることになる。すなわち、機内領域Aとパージガス領域Cとの境界部分においては、機内ガスが蛇行状通路73と返戻通路8との間で循環され、機内ガスに含まれる異物が蛇行状通路73を通過してパージガス領域Cに侵入することが殆どない。
【0025】さらに、異物がラビリンスシール7を通過してパージガス領域Cに侵入した場合にも、その異物は、テーパ面21aによる開口部101aへの流下作用とも相俟って、異物排出機構10により、異物回収路101からパージガス領域C外に速やかに排出され、パージガス領域Cに異物が堆積して当該メカニカルシールの機能を損なうことがない。しかも、第1〜第4開閉弁104a,105a,107a,108aを開閉操作させるだけで、当該メカニカルシールの運転を停止することなく大量の異物処理を行なうことができる。
【0026】すなわち、当該メカニカルシールの運転時においては、第1及び第2開閉弁104a,105aを開放すると共に第3及び第4開閉弁107a,108aを閉塞して、異物回収タンク103をパージガス領域Cと同圧に保持しておく。この状態において、パージガス領域Cに異物が侵入すると、当該異物は異物回収路101及び第1接続管104から異物回収タンク103に回収される。このとき、パージガス領域Cと異物回収タンク103とが同圧であるから、異物の異物回収タンク103への排出が速やかに行なわれ、異物がパージガス領域Cに堆積して密封環3,4によるシール機能に悪影響を及ぼすようなことがない。そして、異物回収タンク103に所定量の異物が回収されると、第1及び第2開閉弁104a,105aを閉じた上、第3及び第4開閉弁107a,108aを開くと共にコンプレッサ106を作動させ、異物回収タンク103内の異物を異物排出管108から排出させる。このとき、第1及び第2開閉弁104a,105aを閉じることにより、パージガス領域Cの圧力は低下せず、パージガス領域Cないし機内領域Aの圧力は変動しないから、異物回収タンク103からの異物排出を当該メカニカルシールの運転を停止することなく行なうことができる。而して、異物回収タンク103内の異物が排出されると、第4開閉弁108aを閉じた上、コンプレッサ106からの加圧空気供給により異物回収タンク103の圧力がパージガス領域Cと同圧若しくは略同圧となった時点で、第3開閉弁107aを閉じると共にコンプレッサ106を停止する。しかる後、第1及び第2開閉弁104a,105aを開いて、異物回収タンク103をパージガス領域Cに連通させ、異物回収タンク103からの異物排出を行なう前の状態に復帰させる。このような操作を繰り返すことにより、パージガス領域Cへの異物侵入が大量である場合にも、パージガス領域Cからの異物排出を当該メカニカルシールの運転を継続した状態で良好に行なうことができる。
【0027】これらのことから、機内ガスに含まれる異物の密封端面31,41間への侵入が極めて効果的に防止され、冒頭で述べた如き問題を生じることなく、長期に亘って良好なシール機能が発揮,維持される。
【0028】なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。例えば、返戻通路8の設置数,形状等は、ラビリンスシール7による機能を損なわないことを条件として、任意である。特に、回転軸12の下方に配して設けられる返戻通路8にあっては、図5に示す如く、当該通路8内における異物の機内領域A方向への移動(流下)を促進させるべく、当該通路8の下面を開口部(機内領域Aへの開口部)に向かって下り傾斜するような形状としておくことができる。
【0029】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明によれば、機内ガスに含まれる異物の密封端面間への侵入を可及的に阻止することができ、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持しうる非接触形メカニカルシール(静圧形のガスシール)を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
【出願日】 平成11年5月21日(1999.5.21)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
【公開番号】 特開2000−329238(P2000−329238A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−140970