| 【発明の名称】 |
密封装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】濱本 耕吉
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| 【要約】 |
【課題】密封対象側に負圧が発生した場合でも、密封性能を維持する信頼性に優れた密封装置を提供する。
【解決手段】シールリップ32の根元の位置から軸心に向かって延びて軸60の表面に摺接する固定リップ33を設け、この固定リップ33は、可撓性を有するシールリップ32の根元の位置であって、略撓み変形されなくなる部分から軸心に向かって延びるように形成させることによって、実質的に撓み変形することのないように構成し、また、固定リップ33の先端は、その内周の径が軸60の軸径と同程度あるいはやや小さく設定されており、軸60の表面に対して面接触しながら摺接するように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】密封対象側に向かって延びて軸表面に対して摺動自在に接触するシールリップであって、かつ、可撓性を有するシールリップを備えた密封装置において、前記シールリップの根元から軸心に向かって延びて軸の表面に摺接し、かつ、略撓み変形することのない固定リップを備えたことを特徴とする密封装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば自動車のパワーステアリング等の圧力が作用する軸封部に用いられる密封装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の密封装置としては、たとえば、図3や図4に示すものが知られている。 【0003】図3は従来技術に係る密封装置の使用状態を示す概略構成断面図であり、例えば、自動車のパワーステアリングのロッド用のオイルシールとして用いられる密封装置の一例を示している。 【0004】また、図4は従来技術に係る密封装置の使用状態を示す概略構成断面図であり、例えば、自動車のパワーステアリングのメインシャフト・ピニオンシャフト用のオイルシールとして用いられる密封装置の一例を示している。 【0005】まず、図3に示す密封装置について説明する。 【0006】密封装置100は、ハウジング150と軸160との間の環状隙間を密封するための装置であり、密封対象側(O)から大気側(A)へ密封対象物が漏れるのを防止するものである。 【0007】密封装置100には、密封対象側(O)に向かって延びるシールリップ101が設けられている。 【0008】このシールリップ101の先端リップ101aは、軸160の表面に対して摺動自在に密着し、密封装置100と軸160が相対的に移動(軸方向あるいは回転方向を問わない)した場合でも、密封性能を維持する。 【0009】更に、シールリップ101は可撓性を有しており、軸160が偏心した場合であっても、シールリップ101は軸160に追随するため、密封性能を維持する。 【0010】ここで、上述したように、密封装置100が、自動車のパワーステアリングのロッド用のオイルシールとして用いられる場合には、密封対象側(O)の圧力、すなわち、流体(オイル)圧力が70kgf/cm2程度になるため、これに耐えることのできる耐圧性を有していなければならない。 【0011】そこで、図に示す密封装置100には、シールリップ101の根元の位置に樹脂製のバックアップリング102が配置される。 【0012】これにより、シールリップ101の根元が支えられるため、密封対象側(O)から大気側(A)へ高い圧力が負荷された場合でも、シールリップ101が反転してしまうことが防止される。 【0013】従って、密封対象側(O)が高圧となる条件の下でも、好適に密封性能を維持することができる。 【0014】次に、図4に示す密封装置について説明する。 【0015】この密封装置200についても、基本的な構成は上述した図3に示す密封装置100と同様であるので、異なる構成等のみについて説明する。 【0016】密封装置200は、上記密封装置100に比べて比較的圧力の低い条件下で使用されるものであり、上述した自動車のパワーステアリングのメインシャフト・ピニオンシャフト用のオイルシールとして用いられる場合には、流体(オイル)圧力20〜30kgf/cm2程度に耐え得る耐圧性があれば良い。 【0017】従って、密封装置200には、上述したバックアップリングが用いられていない。 【0018】密封装置200は、シールリップ201が2段リップとなっていることに特徴がある。 【0019】すなわち、シールリップ201は、メインリップ201aと、メインリップ201aの根元付近に設けられる補助リップ201bと、を備えている。 【0020】これらメインリップ201aおよび補助リップ201bは、上述した密封装置100の先端リップ101aと同様に、軸160の表面に対して摺接し、かつ、軸160の偏心に対して追従自在である。 【0021】また、補助リップ201bは、メインリップ201aの反転を防止する機能をも有する。 【0022】このように、図3や図4に示す密封装置は、いずれも密封対象側の圧力が高くなる環境下でも好適に利用されるものである。 【0023】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。 【0024】上述した従来技術に係る密封装置の構成の場合には、密封対象側から大気側に向かって作用する力(圧力)に対しては、好適に密封性能を維持する構成となっているものの、反対方向へ力が作用する場合に対して密封性能を維持するようには考慮されてない構成となっていた。 【0025】すなわち、密封装置を、自動車のパワーステアリングのロッド用、あるいは、メインシャフト・ピニオンシャフト用のオイルシールとして用いる場合には、パワーステアリング作動中に、オイル側(密封対象側)に負圧(1kgf/cm2程度)が発生する場合がある。 【0026】従って、シールリップには、大気側から密封対象側に向かって力が作用することになる。 【0027】この場合、シールリップは、密封対象側に延びた構成であり、かつ、可撓性を有する構成であるために、比較的容易に密封対象側に向かって引っ張られてしまう。 【0028】これにより、リップの先端が軸の表面から浮き上がってしまい、オイルなどの密封流体が漏れてしまう原因となっていた。 【0029】本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、密封対象側に負圧が発生した場合でも、密封性能を維持する信頼性に優れた密封装置を提供することにある。 【0030】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、密封対象側に向かって延びて軸表面に対して摺動自在に接触するシールリップであって、かつ、可撓性を有するシールリップを備えた密封装置において、前記シールリップの根元から軸心に向かって延びて軸の表面に摺接し、かつ、略撓み変形することのない固定リップを備えたことを特徴とする。 【0031】従って、密封対象側に負圧が発生して、シールリップに対して密封対象側に向かう力が作用した場合であっても、略撓み変形することのない固定リップによって、シールリップの根元からその力に対して抵抗力が作用するため、シールリップの密封対象側に向かう変形が抑制される。 【0032】 【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。 【0033】(第1の実施の形態)図1を参照して、第1の実施の形態に係る密封装置について説明する。 【0034】図1は本発明の第1の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示す概略構成断面図であり、例えば、自動車のパワーステアリングのロッド用のオイルシールとして用いられる密封装置の一例を示している。 【0035】密封装置1は、ハウジング50と軸60との間の環状隙間を密封するための装置であり、密封対象側(O)から大気側(A)へ密封対象物が漏れるのを防止するものである。 【0036】密封装置1はハウジング50に設けられた孔の内周に嵌着され、また、この孔の内周に設けられた位置決め部材6によって位置決め支持される。 【0037】密封装置1は、概略、補強環2と、この補強環2に焼き付けあるいは一体成形されるゴム状弾性体3と、樹脂製のバックアップリング4と、から構成される。 【0038】補強環2は、断面L字形状であり、円筒部21と、この円筒部21の大気側(A)端部に設けられる内向きフランジ部22と、を有する。 【0039】また、ゴム状弾性体3は、円筒部21よりも外周側に設けられてハウジング50の孔の内周に密着する外周シール31と、密封対象側(O)に向かって延びるシールリップ32と、このシールリップ32の根元の位置から軸心に向かって延びて軸60の表面に摺接する固定リップ33と、を有する。 【0040】ここで、シールリップ32のリップの先端である先端リップ32aが軸60の表面に対して摺動自在に密着し、密封装置1と軸60が相対的に移動(軸方向あるいは回転方向を問わない)した場合でも、密封性能を維持するように構成されている。 【0041】なお、説明簡単のために、図ではシールリップ32が軸表面に密着する前の変形していない状態を示しており、実際に軸60を組み立てた場合には、軸60の表面よりも内部に侵入した部分が変形して軸60の表面に摺動自在に密着することになる。 【0042】また、シールリップ32は可撓性を有しており、軸60が偏心した場合であっても、シールリップ32は軸60に追随するため、密封性能を維持するように構成されている。 【0043】さらにシールリップ32の外周にはスプリング5が嵌め込まれており、先端リップ32aが軸60の表面に対して適正に密着するようになっている。 【0044】また、密封対象側(O)の圧力が高い場合でも、耐圧性を良くするために、バックアップリング4が設けられており、これにより、密封対象側(O)の圧力が高くなって、密封対象側(O)から大気側(A)に向かって力が作用した場合でも、シールリップ32の根元が支持されるので、シールリップ32が反転してしまうことはない。 【0045】そして、本発明の実施の形態においては、上述したように、シールリップ32の根元の位置から軸心に向かって延びて軸60の表面に摺接する固定リップ33が設けられている。 【0046】この固定リップ33は、可撓性を有するシールリップ32の根元の位置であって、略撓み変形されなくなる部分から軸心に向かって延びるように形成させることによって、実質的に撓み変形することのないように構成されている。 【0047】また、固定リップ33の先端は、その内周の径が軸60の軸径と同程度あるいはやや小さく設定されており、軸60の表面に対して面接触しながら摺接するように構成されている。 【0048】このように構成された固定リップ33を設けたことによって、例え密封対象側(O)に負圧が発生して、大気側(A)から密封対象側(O)に向かってシールリップ32に対して力が作用した場合であっても、固定リップ33が抵抗力となりシールリップ32の撓み変形が抑制される。 【0049】すなわち、シールリップ32に図中F方向に力が作用した場合には、撓み変形することのない固定リップ33が軸60の表面に支えられることで、シールリップ32には元に戻されるような方向に力が働き、シールリップ32の撓み変形が抑制される。 【0050】従って、先端リップ32aが軸60の表面から浮いてしまうことを防止でき、負圧が発生した場合であっても密封性能を維持することができる。 【0051】(第2の実施の形態)図2には、第2の実施の形態が示されている。 【0052】図2は本発明の第2の実施の形態に係る密封装置の使用状態を示す概略構成断面図であり、例えば、自動車のパワーステアリングのメインシャフト・ピニオンシャフト用のオイルシールとして用いられる密封装置の一例を示している。 【0053】図2に示す密封装置10についても、基本的な構成は上述した図1に示す密封装置1と同様であるので、異なる構成等のみについて詳しく説明する。 【0054】密封装置10は、上記密封装置1に比べて比較的圧力の低い条件下で使用されるものである。 【0055】従って、密封装置10には、上述したバックアップリングが用いられていない。 【0056】また、密封装置10は、シールリップ132が2段リップとなっている点で上述した密封装置1とは異なっている。 【0057】すなわち、シールリップ132は、メインリップ132aと、メインリップ132aの根元付近に設けられる補助リップ132bと、を備えている。 【0058】これらメインリップ132aおよび補助リップ132bは、上述した密封装置1の先端リップ32aと同様に、軸60の表面に対して摺接し、かつ、軸60の偏心に対して追従自在である。 【0059】そして、本実施の形態においては、シールリップ132の根元の位置から軸心に向かって延びて軸60の表面に摺接する固定リップ133が設けられている。 【0060】この固定リップ133も、上述した密封装置1における固定リップ33と同様に、可撓性を有するシールリップ132の根元の位置であって、略撓み変形されなくなる部分から軸心に向かって延びるように形成させることによって、実質的に撓み変形することのないように構成されている。 【0061】さらに、固定リップ133の先端は、その内周の径が軸60の軸径と同程度あるいはやや小さく設定されており、軸60の表面に対して面接触しながら摺接するように構成されている。 【0062】従って、上記第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。 【0063】 【発明の効果】以上説明したように、本発明は、固定リップを備えたことによって、密封対象側に負圧が発生した場合であっても、シールリップの密封対象側に向かう変形を抑制して密封性能を維持することができ、信頼性に優れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004385 【氏名又は名称】エヌオーケー株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月21日(1999.5.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085006 【弁理士】 【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−329237(P2000−329237A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−141715 |
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