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【発明の名称】 バルブステムシール
【発明者】 【氏名】安斎 正弘

【氏名】西村 宣宏

【氏名】小林 貢

【氏名】新井 秀徳

【要約】 【課題】背圧リップの性能の向上を図るバルブステムシールを提供する。

【解決手段】バルブステム2の外周面に対して摺動自在に接触して、反油側Aへ漏れる油の漏れ量を調整するシールリップ6と、シールリップ6の反油側Aに配置され、シールリップ6へ反油側Aから圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、バルブステム2の外周面に摺動自在な背圧リップ7と、を備えたバルブステムシール1において、シールリップ6及び背圧リップ7とバルブステム2との間の環状隙間に、環状隙間に合わせた形状の樹脂製バックアップリング10を備え、樹脂製バックアップリング10の内周面に、外径方向への深さが反密封対象流体側へ向かう程浅くなる、断面楔状の軸方向溝10Aを設けたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記シールリップ及び前記背圧リップと前記往復動軸との間の環状隙間に、該環状隙間に合わせた形状の樹脂製バックアップリングを備え、該樹脂製バックアップリングの内周面に、外径方向への深さが反密封対象流体側へ向かう程浅くなる、断面楔状の軸方向溝を設けたことを特徴とするバルブステムシール。
【請求項2】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を有するシール本体と、内径方向に延びて、前記シール本体を取付けた内向きフランジ部を有する、前記往復同軸と同心的な筒状の補強環と、を備えたバルブステムシールにおいて、前記補強環の内向きフランジ部を、前記背圧リップの根元近傍までさらに曲げ延ばして設けたことを特徴とするバルブステムシール。
【請求項3】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップを、フッ素樹脂弾性体で設けたことを特徴とするバルブステムシール。
【請求項4】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップの摺動面に、複数平行に並んだ環状突起を設け、該環状突起間に、漏れた密封対象流体で膜を形成させることを特徴とするバルブステムシール。
【請求項5】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップの密封対象流体側面に、潤滑剤を溜めた溜め部を設け、前記背圧リップにかかる応力によって、前記溜め部から潤滑剤を前記背圧リップの摺動面に徐々に送り出すことを特徴とするバルブステムシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わるのを防止する背圧リップを備えたバルブステムシールに関し、たとえば、自動車・一般産業機械のエンジンの吸・排気機構のバルブステムなど、エンジン機構等の往復動軸の軸封部に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のバルブステムシールとしては、例えば図8に示すようなエンジン機構等の往復動軸の軸封部に用いられるものである。
【0003】バルブステムシール100は、往復動軸としてのバルブステム101の外周面を摺動自在に接触するシールリップ102と、このシールリップ102へ反密封対象流体側(反油側A)から背圧が加わるのを防止すべく背圧を受ける、バルブステム101の外周面に摺動自在な背圧リップ103と、を有する環状のシール本体104を備えたものである。
【0004】また、内径方向に延びる内向きフランジ部105Aを有する補強環105を備えており、その補強環105の内向きフランジ部105Aにシール本体104を取付けている。
【0005】そして、このバルブステムシール100は、シール本体104の反油側Aにバルブステム101が往復動自在に挿入される軸孔106Aを有するガイド部材106の外周に、ゴム状弾性体107を介して補強環105を嵌合することで取付けられる。
【0006】シールリップ102は断面楔状で、その外周部にバルブステム101に対して緊迫力を付与するためのスプリング108を設けている。
【0007】そして、バルブステム101の外周面側にガイド部材106を設けていることから、そのバルブステム101とガイド部材106の軸孔106Aの摺動部にて焼き付けを起こすことがある。その焼き付け防止のためには、シールリップ102によって密封対象流体側(油側O)の密封対象流体(油)を擦り抜けるように漏らして、摺動部へ適度に供給する必要がある。
【0008】そのため、摺動部へ適度の油を供給するように、シールリップ102の油側O面とバルブステム101の外周面との油面角やシールリップ102の反油側A面とバルブステム101の外周面との反油面角、或いはスプリング108の緊迫力などを設定して、シールリップ102の油の漏れ量が調整(コントロール)されている。
【0009】また、最近のエンジンの高性能化等に伴い、反油側Aから受ける背圧が高くなってきており、その背圧対策としてシール本体104に背圧リップ103を設けている。
【0010】即ち、背圧リップ103が背圧を遮断することによって、油の漏れ量をコントロールするシールリップ102に直接背圧が加わらないようにして、シールリップ102の油の漏れ量コントロールが不安定となることを防止している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来技術の場合には、下記のような問題が生じていた。背圧リップ103に極度に高い背圧Pが加わると、図9(a)に示すように背圧リップ103が相手側のバルブステム101にベタ当たりしてしまう。
【0012】そして、さらにバルブステム101が往復動を続けると、背圧リップ103は潤滑不足となってしまって摺動抵抗が増加し、最終的には、図9(b)に示すように背圧リップ103が破損する虞があった。
【0013】背圧リップ103が破損すると、シールリップ102が背圧の影響を受けることになり、シールリップ102の油の漏れ量コントロールが不安定となってしまい、バルブステム101とガイド部材106の軸孔106Aの摺動部にて焼き付けが起こってしまう。
【0014】本発明は上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、背圧リップの性能向上を図るバルブステムシールを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、上記構成の往復動用密封装置にあっては、往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記シールリップ及び前記背圧リップと前記往復動軸との間の環状隙間に、該環状隙間に合わせた形状の樹脂製バックアップリングを備え、該樹脂製バックアップリングの内周面に、外径方向への深さが反密封対象流体側へ向かう程浅くなる、断面楔状の軸方向溝を設けたことを特徴とする。
【0016】したがって、極度に高い背圧に対しても背圧リップが樹脂製バックアップリングで支持され、背圧リップの変形が防止される。
【0017】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を有するシール本体と、内径方向に延びて、前記シール本体を取付けた内向きフランジ部を有する、前記往復同軸と同心的な筒状の補強環と、を備えたバルブステムシールにおいて、前記補強環の内向きフランジ部を、前記背圧リップの根元近傍までさらに曲げ延ばして設けたことも好適である。
【0018】これにより、従来の背圧リップが破損する要因であった補強環の内向きフランジ部の内径端部にかかる応力集中を、内径端部位置が変更されることで回避すると共に、背圧リップの根元近傍までさらに曲げ延びた内向きフランジ部が背圧リップの剛性を高める。
【0019】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップを、フッ素樹脂弾性体で設けたことも好適である。
【0020】これにより、背圧リップの剛性及び硬度が高まる。
【0021】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップの摺動面に、複数平行に並んだ環状突起を設け、該環状突起間に、漏れた密封対象流体で膜を形成させることも好適である。
【0022】これにより、複数の環状突起によって背圧リップのベタ当たりが防止されると共に、環状突起間の密封流体の膜によって背圧リップの摺動抵抗を低減させる。
【0023】往復動軸の外周面に対して摺動自在に接触して、反密封対象流体側へ漏れる密封対象流体の漏れ量を調整するシールリップと、該シールリップの反密封対象流体側に配置され、前記シールリップへ反密封対象流体側から圧力が加わることを防止すべく圧力を受ける、前記往復動軸の外周面に摺動自在な背圧リップと、を備えたバルブステムシールにおいて、前記背圧リップの密封対象流体側面に、潤滑剤を溜めた溜め部を設け、前記背圧リップにかかる応力によって、前記溜め部から潤滑剤を前記背圧リップの摺動面に徐々に送り出すことも好適である。
【0024】これにより、溜め部から送り出された潤滑剤によって背圧リップの摺動抵抗を低減させる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】(第1実施形態)本発明の第1実施形態に係るバルブステムシールを示す図1において、1はバルブステムシール全体を示しており、例えばこの第1実施形態では従来と同様、図3に示すようなエンジン機構等の往復動軸の軸封部に用いられる構成となっている。
【0027】バルブステムシール1は、往復動軸としてのバルブステム2を有し、そのバルブステム2が往復動自在に挿入される軸孔3を有するガイド部材4の外周に、補強環5を介して取付けられる。
【0028】このバルブステムシール1は、補強環5にバルブステム2の外周面に摺動自在に接触するシールリップ6と、このシールリップ6へ反密封対象流体側(反油側A)から背圧が加わるのを防止すべく背圧を受ける、バルブステム2の外周面に摺動自在な背圧リップ7と、を有する環状のシール本体8を備えたものである。
【0029】補強環5は、ガイド部材4の外周に取付け可能な長さを有する、金属製のバルブステム2と同心の筒状部材で、その先端は内径方向(バルブステム2側)に延びる内向きフランジ部51を有している。その内向きフランジ部51に環状のシール本体8を一体的に焼き付け固定してある。
【0030】シール本体8は、ゴム状弾性体製で、補強環5の内向きフランジ部51から軸方向密封対象流体側(油側O)に延びる断面楔状のシールリップ6と、内向きフランジ部51から軸方向反油側Aに延びる断面略板状の背圧リップ7と、を有している。
【0031】また、補強環5の内向きフランジ部51の油側O端面にはシールリップ6の根元と連続してゴム状弾性体81を、反油側A端面には背圧リップ7の根元と連続してゴム状弾性体82を、さらにこのゴム状弾性体82と連続して補強環5の筒状部52の内周面にもゴム状弾性体83を一体的に焼き付け固定してある。
【0032】一方、ガイド部材4は、筒状部材で、その図中上側端面は平面で、その上部外周面は上側端面に向って縮径となるテーパ状となっており、このテーパ面より図中下側の外周面に補強環5はゴム状弾性体83を介して嵌合される。
【0033】上記シールリップ6の外周部には、バルブステム2に対して緊迫力を付与するためのスプリング9を設けている。
【0034】そして、上記構成の密封装置1は、バルブステム2の外周面側に設けられているガイド部材4に取付けられているが、そのバルブステム2とガイド部材4の軸孔3との摺動部にて焼き付けを起こすことがある。その焼き付け防止のためには、シールリップ6によって密封対象流体である油側の油を擦り抜けるように漏らして、摺動部へ適度に供給する必要がある。 そのため、摺動部へ適度の油を供給するように、シールリップ6の油側O面とバルブステム2の外周面との油面角やシールリップ6の反油側A面とバルブステム2の外周面との反油面角、或いはスプリング9の緊迫力などを設定して、シールリップ6の油の漏れ量が調整(コントロール)されている。
【0035】また、油の漏れ量をコントロールするシールリップ6に直接背圧が加わらないように、シールリップ6の反油側Aで、バルブステム2とガイド部材4の軸孔3との間から背圧を受けて背圧を遮断する、バルブステム2の外周面に摺動自在な背圧リップ7を設けている。
【0036】一方、シールリップ6及び背圧リップ7とバルブステム2との間の環状隙間には、環状隙間に合わせた形状の樹脂製のバックアップリング10が備えられている。
【0037】このバックアップリング10は、図2(a)に拡大して示すように、背圧リップ7のバルブステム2に対する傾きと同様に傾けたテーパ面を反油側A端面に有する環状隙間に合わせた筒形状である。
【0038】また、バックアップリング10の内周面には、図2(b)に示すように、軸方向に延びる軸方向溝10Aが複数設けられている。軸方向溝10Aは、外径方向への溝深さが反油側Aへ向かう程浅くなる断面楔状の溝である。
【0039】この軸方向溝10Aには、シールリップ6によって漏れた油が流れ込み、バックアップリング10とバルブステム2との間に油膜が形成される。
【0040】上記構成のバルブステムシール1にあっては、シールリップ6及び背圧リップ7とバルブステム2の外周面との間の環状隙間に、バックアップリング10を設けたので、極度に高い背圧が加わった場合でも、背圧リップ7はバックアップリング10に支持されて変形が防止されるので、背圧リップ7はベタ当たりすることがなく、破損し難くなる。
【0041】また、バックアップリング10の内周面に設けられた断面楔状の軸方向溝10Aには、シールリップ6が漏らした油が流れ込み、バルブステム2との間に油膜が形成されて、バックアップリング10の低摩擦化を図ることができる。
【0042】軸方向溝10Aは断面楔状に設けられているので、バルブステム2の往復動によって、軸方向溝10Aに流れ込んだ油は、一部を除き、油側Oにかき出される。
【0043】これにより、かき出されなかった一部の背圧リップ7摺動面を良好に潤滑する量の油を背圧リップ7へ供給することができ、背圧リップ7の潤滑を安定して行い、背圧リップ7の低摩擦化を図ることができる。
【0044】以上のように、背圧リップ7の性能が向上でき、バルブステム2の摺動時に背圧リップ7が挙動することがなく、背圧リップ7で背圧が受け止められるので、シールリップ6は安定となり、ガイド部材4とバルブステム2との摺動部の焼き付け防止機能である油の漏れ量コントロールの安定化を図ることができる。
【0045】なお、本実施形態では、バックアップリング10は連続的に繋がった形状をしていたが、装着時に組み込み変形し易いように、一部切断した形状であってもよい。
【0046】また、上記実施形態では、ゴム状弾性体83を介して補強環5を嵌合するゴム嵌合を例にとって説明したが、ガイド部材4に直接嵌合するいわゆる金属嵌合であっても同様に適用することができる。
【0047】さらに、ガイド部材4に嵌合するタイプのものでなく、その他の部材に取付けられるタイプのものであっても良い。
【0048】(第2実施形態)図4には、第2実施形態が示されている。上記第1実施形態では、バックアップリング10を設けて背圧リップ7のベタ当たりを防止していたが、本実施形態では、従来の背圧リップ7が破損する要因となっている補強環5の内向きフランジ部53の内径端部に応力集中が起こらなくし、かつ背圧リップ7を強化したものである。
【0049】本実施形態では、特徴部分だけを説明し、その他の構成および作用については第1実施形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0050】補強環5の内向きフランジ部53は、従来のものに比べて背圧リップ7の根元近傍まで曲げ延ばされている。
【0051】上記構成のバルブステムシール1にあっては、内向きフランジ部53が背圧リップ7の根元近傍まで曲げ延びているので、内向きフランジ部53の内径端部の位置が従来と異なり、従来の内径端部位置で起こる応力集中を回避させて、応力集中を緩和することができる。また、内向きフランジ部53が背圧リップ7の根元近傍にまで達して、背圧リップ7の剛性も上がるので、背圧リップ7は破損し難くなる。
【0052】以上のように、背圧リップ7の耐破損性を向上することができ、背圧リップ7で極度に高い背圧も受け止められるので、シールリップ6は安定となり、ガイド部材4とバルブステム2との摺動部の焼き付け防止機能である油の漏れ量コントロールの安定化を図ることができる。
【0053】(第3実施形態)図5には、第3実施形態が示されている。上記第2実施形態では、補強環5の内向きフランジ部51の内径端部に応力集中が起こらなくすると共に背圧リップ7を強化したが、本実施形態では、背圧リップ11自身をフッ素樹脂弾性体で設けて背圧リップ11を強化させるものである。
【0054】本実施形態では、特徴部分だけを説明し、その他の構成および作用については第1実施形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0055】背圧リップ11は、シールリップ6が設けられたシール本体8とは別にフッ素樹脂弾性体で設けられている。また背圧リップ11は、シール本体8に貼りつけ固定されている。
【0056】ここで、背圧リップ11のシール本体8への固定は、貼りつけ固定だけに限られず、背圧リップ7の根元をゴム状弾性体で覆って焼付け固定するなどしてもよい。
【0057】上記構成のバルブステムシール1にあっては、フッ素樹脂弾性体で設けられた背圧リップ11が従来のゴム状弾性体製のものよりも剛性が上がるため背圧リップ11は破損し難くなり、また、硬質であるため耐摩耗性も向上する。
【0058】以上のように、背圧リップ11の耐破損性、耐摩耗性が向上でき、背圧リップ11で極度に高い背圧も受け止められるので、シールリップ6は安定となり、ガイド部材4とバルブステム2との摺動部の焼き付け防止機能である油の漏れ量コントロールの安定化を図ることができる。
【0059】(第4実施形態)図6には、第4実施形態が示されている。上記第1実施形態では、バックアップリング10を設けて背圧リップ7のベタ当たりを防止していたが、本実施形態では、背圧リップ7の摺動面に複数の環状突起12を設け、環状突起12間に油膜を形成させて背圧リップ7の摺動面の潤滑状態を維持させるものである。
【0060】本実施形態では、特徴部分だけを説明し、その他の構成および作用については第1実施形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0061】図6はバルブステムシール1単体を示しており、背圧リップ7の摺動面には、複数並列された環状突起12が設けられている。この環状突起12間には、シールリップ6から漏れた油によって、油膜が形成される。
【0062】形成された油膜は、背圧リップ7の摺動面を潤滑させるので、潤滑不足によって起こる背圧リップ7の破損が防止される。
【0063】上記構成のバルブステムシール1にあっては、背圧リップ7の摺動面に設けられた複数の環状突起12によって、背圧リップ7はベタ当たりすることがなく、背圧リップ7の破損が防止される。
【0064】また、背圧リップ7の摺動面の環状突起12間に油膜が形成されるので、背圧リップ7は、バルブステム2に対する潤滑状態を維持でき、潤滑不足によって破損せず、背圧リップ7の低摩擦化を図ることができる。
【0065】以上のように、背圧リップ7の性能が向上でき、バルブステム2の摺動時に背圧リップ7が挙動することがなく、背圧リップ7で背圧が受け止められるので、シールリップ6は安定となり、ガイド部材4とバルブステム2との摺動部の焼き付け防止機能である油の漏れ量コントロールの安定化を図ることができる。
【0066】(第5実施形態)図7には、第5実施形態が示されている。上記第1実施形態では、バックアップリング10を設けて背圧リップ7のベタ当たりを防止していたが、本実施形態では、背圧リップ13に潤滑剤としてのグリースの溜め部14を設け、背圧リップ13の摺動面の潤滑状態を維持させるものである。
【0067】本実施形態では、特徴部分だけを説明し、その他の構成および作用については第1実施形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】図7はバルブステムシール1単体を示しており、背圧リップ13の油側O面にグリースの溜め部14を設けている。また背圧リップ13の形状は、溜め部14による背圧リップ13の剛性の悪化を防止するため、厚肉となっている。
【0069】上記構成のバルブステムシール1にあっては、背圧リップ13の油側O面の溜め部14にグリースが溜められており、バルブステム2の往復動に対する背圧リップ13の追従、或いは極度に高い背圧の発生によって、背圧リップ13に所定以上の応力がかかり、溜め部14が圧縮される。
【0070】すると、圧縮された溜め部14のグリースが背圧リップ13の摺動面に送り出されるので、送り出されたグリースによって背圧リップ13の潤滑状態が維持される。
【0071】以上のように、背圧リップ13が潤滑維持でき、背圧リップ13の破損が防止されるので、シールリップ6は安定となり、ガイド部材4とバルブステム2との摺動部の焼き付け防止機能である油の漏れ量コントロールの安定化を図ることができる。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、シールリップ及び背圧リップと往復動軸との間の環状隙間に、環状隙間に合わせた形状の樹脂製バックアップリングを備えたことで、極度に高い背圧に対しても背圧リップが樹脂製バックアップリングで支持され、背圧リップの変形が防止される。
【0073】また、樹脂製バックアップリングの内周面に、外径方向への深さが反密封対象流体側へ向かう程浅くなる、断面楔状の軸方向溝を設けたことで、往復動軸の往復動によって軸方向溝内の密封対象流体を密封対象流体側へかき出して、背圧リップ摺動面を潤滑するのに好適な量の密封対象流体だけを背圧リップへ供給することができる。
【0074】補強環の内向きフランジ部を、背圧リップの根元近傍までさらに曲げ延ばして設けたことで、背圧リップが破損する要因であった補強環の内向きフランジ部の内径端部にかかる応力集中を、内径端部位置が変更されることで回避すると共に、背圧リップの根元近傍までさらに曲げ延びた内向きフランジ部が背圧リップの剛性を高めるので、背圧リップの変形が防止される。
【0075】背圧リップを、フッ素樹脂弾性体で設けたことで、背圧リップの剛性及び硬度が高まるので、背圧リップの変形が防止される。
【0076】背圧リップの摺動面に、複数平行に並んだ環状突起を設け、環状突起間に、漏れた密封対象流体で膜を形成させることで、複数の環状突起によって背圧リップのベタ当たりが防止されると共に、環状突起間の密封流体の膜によって背圧リップの摺動抵抗を低減させる。
【0077】背圧リップの密封対象流体側面に、潤滑剤を溜めた溜め部を設け、背圧リップにかかる応力によって、溜め部から潤滑剤を前記背圧リップの摺動面に徐々に送り出すことで、溜め部から送り出された潤滑剤によって背圧リップの摺動抵抗を低減させる。
【出願人】 【識別番号】000004385
【氏名又は名称】エヌオーケー株式会社
【出願日】 平成11年5月18日(1999.5.18)
【代理人】 【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
【公開番号】 特開2000−329234(P2000−329234A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−137064