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【発明の名称】 パッキンおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】南 吉夫

【要約】 【課題】長期間シール性を保持して使用することができるパッキンおよびその製造方法を提供する。

【解決手段】繊維構造に樹脂を含浸したひも状のパッキン素材10からなる環状のパッキンであって、前記パッキン素材は、その両端に等しい所定の角度で傾斜する傾斜端部10aを有し、少なくとも2層のスパイラル状に巻き付けられて環状体を構成し、前記傾斜端部が周方向の対応する位置に来るようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 繊維構造に樹脂を含浸したひも状のパッキン素材からなる環状のパッキンであって、前記パッキン素材は、その両端に等しい所定の角度で傾斜する傾斜端部を有し、少なくとも2層のスパイラル状に巻き付けられて環状体を構成し、前記傾斜端部が周方向の対応する位置に来るようになっていることを特徴とするパッキン。
【請求項2】 繊維構造に樹脂を含浸したひも状のパッキン素材を用意し、その両端に等しい所定の角度で傾斜する傾斜端部を形成し、少なくとも2層のスパイラル状に巻き付けて、前記傾斜端部が周方向の対応する位置に来るような環状体を構成し、この環状体を圧縮成形することを特徴とするパッキンの製造方法。
【請求項3】 前記所定の角度が25〜50度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッキン又はその製造方法。
【請求項4】 前記パッキン素材を事前に所定の厚さに圧縮成形することを特徴とする請求項1又は2に記載のパッキン又はその製造方法。
【請求項5】 プランジャのシール部に請求項1ないし4に記載のパッキン又はその製造方法により製造されたパッキンを用いたことを特徴とするプランジャポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プランジャポンプのプランジャシール等に使用されるパッキンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、プランジャポンプ30を示すもので、往復動するプランジャ32とシリンダ34との間に、シリンダ34内部の高圧の液体が外部に漏れないようにするプランジャシール36が形成されている。プランジャシール36は、複数のパッキン38とバックアップリング40とが交互に配置されて構成されており、これらが両側に配設されたアダプタ42,44を介して圧縮コイルばね46の付勢力によって両側から押圧された状態で用いられる。
【0003】パッキン38は、図5に示すようなリング状に構成されている。これは、例えば、ラミー繊維で編んだ繊維体にPTFE(四フッ化エチレン樹脂)などの樹脂と潤滑油を含浸させた断面が正方形の長尺のひも状のパッキン素材50を、図6に示すように、その両端を例えば45°の角度で切断して所定の長さにし、両端をつきあわせてリング状にして圧縮成形することにより作製する。
【0004】このパッキン38の合わせ部Tからの液漏れを防ぐために、通常、このようなパッキン38を複数個セットにして用い、合わせ部Tの円周方向の位置を互いにずらして装着している。また、液漏れを最小限とする工夫として、上記のように、パッキン38とパッキン38の間に潤滑性に優れた樹脂製やカーボン製のエンドレスのバックアップリング40を入れたりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成のパッキン38においては、プランジャの往復動により吐出し工程時にパッキン38が大気側に押され、これが間欠的に繰り返されるために、繊維が切断されて露出する傾斜端部においてほぐれが起こり、繊維とこれに結合されていた樹脂が徐々に失われて侵食され、合わせ部Tが開口する。ついには、バックアップリング40がその間に食い込むようになり、シール性が損なわれて液漏れが発生する。
【0006】バックアップリング40はパッキン38の内部を通る漏れや合わせ面からの漏れを最小限に抑えたり、潤滑性を高めたりするために役立つが、切断部のほぐれやちぎれを防止する訳ではない。
【0007】本発明は、上記の課題に鑑み為されたもので、長期間シール性を保持して使用することができるパッキンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、繊維構造に樹脂を含浸したひも状のパッキン素材からなる環状のパッキンであって、前記パッキン素材は、その両端に等しい所定の角度で傾斜する傾斜端部を有し、少なくとも2層のスパイラル状に巻き付けられて環状体を構成し、前記傾斜端部が周方向の対応する位置に来るようになっていることを特徴とするパッキンである。
【0009】これにより、繊維の切断端が露出する傾斜端部どうしが突き合わされていないので、傾斜端部が侵食されてもパッキン素材の側面がバックアップしており、その部分が開口してしまうことがなく、シール性を長期に保持して耐用期間を延長することができる。繊維構造は、例えば、ラミー繊維、炭素繊維、フッ素樹脂繊維、アラミド繊維などの繊維を編むことによって構成される。含浸材である樹脂には、例えば、潤滑油を含めてもよい。
【0010】請求項2に記載の発明は、繊維構造に樹脂を含浸したひも状のパッキン素材を用意し、その両端に等しい所定の角度で傾斜する傾斜端部を形成し、少なくとも2層のスパイラル状に巻き付けて、前記傾斜端部が周方向の対応する位置に来るような環状体を構成し、この環状体を圧縮成形することを特徴とするパッキンの製造方法である。
【0011】請求項3に記載の発明は、前記所定の角度が25〜50度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパッキン又はその製造方法である。このような角度に設定することにより、傾斜端部の面積を大きくすることなく、環状体の均一な厚さを維持することができる。所定の角度は30〜45度であることがより好ましい。
【0012】請求項4に記載の発明は、前記パッキン素材を事前に所定の厚さに圧縮成形することを特徴とする請求項1又は2に記載のパッキン又はその製造方法である。
【0013】請求項5に記載の発明は、プランジャのシール部に請求項1ないし4に記載のパッキン又はその製造方法により製造されたパッキンを用いたことを特徴とするプランジャポンプである。これにより、取扱液が高圧である場合にも長期間シール性を保持することができ、交換の回数を減らして部品コストの削減と稼働率の向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のパッキンPを示す(a)斜視図、(b)側面図であり、このパッキンPは、ラミー繊維等を編んで作製した繊維構造に、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)などの樹脂あるいは潤滑油などを含浸させた断面が矩形のひも状のパッキン素材10を素材とし、その両端の傾斜端部10a,10aが周方向において対応する位置に来るようにした2層のスパイラル構造となっている。繊維材料としては、炭素繊維、フッ素樹脂繊維、アラミド繊維等を適宜に用いることができる。
【0015】このパッキンPの製造方法を図2を参照しつつ説明する。まず、製造すべきパッキンの厚さの1/2の厚さのパッキン素材10を用意する(図2(a))。これは、最初からこの寸法に形成してもよく、厚さがこれより大きい素材を適当な圧縮成形法を用いて減厚して用いてもよい。これを、両端面が厚さ方向に所定の角度θで傾斜するように、かつ所定の長さに切断する(図2(b))。なお、角度θとしては、25〜50度の範囲が好ましい。
【0016】これを、両傾斜端部10a,10aが周方向において対応する位置に来るように巻いて2層のスパイラル構造にし(図2(c))、成形すべき環状のキャビティを有する型(図示略)に装入して加圧してパッキンPを作製する(図2(d))。これにより、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)などの樹脂あるいは潤滑油などの含浸成分の余分な部分が絞り出されて硬く成形され、耐圧性が向上する。
【0017】このように製造されたパッキンPにおいては、パッキンPの1つの側の合わせ部Tには、傾斜端部10aが一つしかない。従って、1つの端部における繊維の切断端の数は、図5に示す従来の場合に比較して半分しかないので、繊維の「ほぐれ」も従来の場合に比べて半分の速度で進行する。また、素材が失われても、そこで露出する面がパッキン素材10の側面であり、繊維の切断端もないので侵食されにくい。従って、従来の構造に比較して耐用期限が長くなる。
【0018】なお、このようなパッキンを図4に示すプランジャポンプに用いる場合、本発明のパッキンを、大気側のアダプタ44に接触している1個にのみに採用し、他のパッキンは従来のものを使用するようにしても、シール保持の効果を発揮することができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例を、図3及び図4を参照しつつ説明する。プランジャ径18mmφ、シリンダ内径30mmφのプランジャポンプのプランジャシールに使用する幅6mmのパッキンPを作製した。従来は、断面が正方形のパッキンを用いるので、厚さも6mmである。
【0020】まず、ラミー繊維で編んで構成した繊維にPTFE(四フッ化エチレン樹脂)を含浸させて製造された、断面の一辺が4.763mm(3/16inch)である正方形の長尺のひも状のパッキン素材を用意した。これを、所定の長さに切断し(図3(a))、このパッキン素材10を図示しない型に装入して、幅が6mm、厚さが概略3.5mmの偏平に圧縮成形した(図3(b))。これにより、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)などの樹脂あるいは潤滑油などの含浸成分の余分な部分が絞り出されて硬く成形され、耐圧性が向上する。
【0021】次に、長さを再度調整し、両端をθ=30°で傾斜させて切断し(図3(c))、スパイラル状に巻き付けて、両傾斜端部10a,10aが周方向において対応する位置に来るようにした(図3(d))。このように作製した、内径が18mmφ、外径が30mmφの2層のスパイラル構造を、図示しない型に装入し、厚さ方向に圧縮して、図1に示すような、内径が18mmφ、外径が30mmφのリング状のパッキンを作製した。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、高圧のプランジャポンプのプランジャシールに使用されるパッキンとしてもちいても、長期間シール性を保持して安定に使用することができるパッキンおよびその製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成11年5月21日(1999.5.21)
【代理人】 【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇 (外2名)
【公開番号】 特開2000−329233(P2000−329233A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−141741