| 【発明の名称】 |
環状部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】山科 勝美
【氏名】蓬田 通宣
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| 【要約】 |
【課題】シールリップを備えて圧力を受ける環状部材の剛性を高めること、及び環状部材に接合されるシールリップの内部破損を防止して耐圧性及び耐久性を向上させる。
【解決手段】キャンセルプレート1に本体1aの固定部1cから軸方向に延出する円筒部1dを一体的に形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相対回転するハウジングと軸の環状隙間に配置され、板状部材から形成された本体の外周側に前記ハウジングの周壁面に摺動当接するシールリップと、該本体の内周側に前記軸に支持されるための固定部と、を備えた環状部材において、前記本体の固定部から軸方向に延出する円筒部を一体的に形成してなることを特徴とする環状部材。 【請求項2】 前記シールリップが設けられる本体の外周側の縁にアールを備えることを特徴とする請求項1に記載の環状部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はシールリップを有する環状部材に関し、剛性UPとシールリップの内部破損を抑制する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車等に使用される自動変速機の変速切換部では、回転状態で、油圧がかけられて移動するピストン部材の押圧力により、多版クラッチの制御を行い、変速制御が行われているものがある。 【0003】この変速切換部の概略構成を図3に示し、簡単に説明する。図3は、回転軸R1の片側のみの断面構成を慣例に従い図示している(回転軸R1の反対側は対称構造となっている)。 図において、100は回転軸であるシャフト101が挿入されているハウジングで、そのハウジング100の内周面とシャフト101の外周面とで環状のピストン室102を形成している。 【0004】ハウジング100の内側には多板クラッチ103が備えられていると共に、ピストン室102には、有底円筒状のピストン部材104が軸方向にストローク可能に配置されている。 また、シャフト101の外周には軸方向の移動を規制した環状の規制部材としてのキャンセルプレート105を取付けている。このキャンセルプレート105は、内周寄りに突起105aを有しており、この突起105aの内周側にシャフト101に設けられたストッパ106が位置して軸方向の移動が規制されている。 【0005】また、キャンセルプレート105の外周面にはシール部材としてのシールリップ107を設けており、そのシールリップ107はピストン部材104の外周側円筒部104aの内周面に密封接触している。 【0006】キャンセルプレート105とピストン部材104との間には、ピストン部材104をキャンセルプレート105から離れる方向に付勢するコイルスプリング108が周方向に複数配置されている。 【0007】そして、スプリング108にて付勢されるピストン部材104は、ハウジング100の端面100aにゴム状弾性体110を介して接触して静止する。 【0008】尚、ピストン部材104の内、外周にはピストン室102を成すシャフト101の外周面とハウジング100の内周面間をシールすべくそれぞれの周面に密封接触するシール部材としてのシールリップ111,112を設けている。 【0009】このようにして、ハウジング100内に圧力室X、油室Y,Zを区分形成している。 【0010】上記構成において、圧力室Xに油圧(矢印P)が作用し、圧力が上昇すると、ピストン部材104がスプリング108の付勢力に抗してキャンセルプレート105側(図中下方向)にストロークし、ピストン部材104の外周側円筒部104aの端部にて多板クラッチ103を押圧して動力の接続を行う。 【0011】また、多板クラッチ103による動力の伝達を解除する時は、圧力室Xの圧力を低くすると共に、油室Yに油を供給することで、スプリング108の付勢力によりピストン部材104をハウジング100の端面100a側にストロークさせる。 【0012】このように、ピストン部材104やキャンセルプレート105は、回転すると共に、油圧を受けて軸方向に移動し、また、シールリップ107、シールリップ111,112等が、母材に一体成形されたいわゆるボンデッドピストンシール(BPS)として機能している。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】このような構成の変速切換部では、キャンセルプレート105に注目すると、キャンセルプレート105が受ける負荷応力は、コイルスプリング108のセット荷重と、油室Yに存在する油の油圧である。 【0014】尚、油圧は図4(a)に示されるように、実機の高速回転により内在する油が外周側に向かおうする遠心油圧となり、回転速度の増加に伴い外周側においてより大きな圧力がかかる。 【0015】キャンセルプレート105に過大な負荷応力が加えられると、図4(b)に示されるような撓み変形が発生し、シールリップ107の接触状態が変化することにより(面圧増加)摺動抵抗の増加による作動特性の変化が発生する懸念がある。また、シャフト101側の内周嵌合部105bにσmaxの内部応力過大によるキャンセルプレート105の破損が生じることも懸念される。 【0016】キャンセルプレート105の撓み変形の防止に対しては、■キャンセルプレート105の材料変更による強度UP、■キャンセルプレート105の肉厚増加による強度UP等の方法が考えられるが、■■共にコストアップとなってしまう。 【0017】また、図4(c)に示されるように、キャンセルプレート105の外周端面105cにエッジが存在することで、油圧(図における小さい矢印)がかかった時にシールリップ107の内部での応力集中が発生し易く、耐圧性や耐久性に影響を及ぼす懸念がある。シールリップ107の成形時においては、エッジへの接着剤の着きが悪く、キャンセルプレート105とシールリップ107成形部の接着性向上が望まれている。 【0018】本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、シールリップを備えて圧力を受ける環状部材の剛性を高めること、及び環状部材に接合されるシールリップの内部破損を防止して耐圧性及び耐久性を向上させることにある。 【0019】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明にあっては、相対回転するハウジングと軸の環状隙間に配置され、板状部材から形成された本体の外周側に前記ハウジングの周壁面に摺動当接するシールリップと、該本体の内周側に前記軸に支持されるための固定部と、を備えた環状部材において、前記本体の固定部から軸方向に延出する円筒部を一体的に形成してなることを特徴とする。 【0020】このように構成することにより、円筒部により板状部材から形成された本体の剛性を高めることができ、実質的に本体の厚みを増すことと同様の効果を得ることができる。従って内部応力の緩和により破損に対する耐久寿命の向上と、撓み変形の抑制によるシールリップの摺動抵抗の増加を抑えて良好なる作動特性を得ることが可能となる。 【0021】また、前記シールリップが設けられる本体の外周側の縁にアールを備えることも好適であり、シールリップの内部の応力集中を抑え、またシールリップの形成時の接着性向上にも寄与する。 【0022】 【発明の実施の形態】図1は実施の形態における環状部材としてのキャンセルプレート1の構成を説明する図である。 【0023】キャンセルプレート1は、図3で示した変速装置におけるキャンセルプレート105の代替え部品として利用可能なものである。図1においてキャンセルプレート1以外の構成は図3と同様であり、同一構成には同じ符号が付されている。 【0024】キャンセルプレート1は、相対回転するハウジング100と軸101の間の環状隙間に配置され、金属製の板材をプレス加工により形成した円盤状の部材である。本体1aの外周側にハウジング100の周壁面に摺動当接するシールリップ1bと、本体1aの内周側に軸101に支持されるための固定部1cとを備え、固定部1cから軸方向に延出する円筒部1dが一体的に形成されている。固定部1cは、軸101の溝に嵌合するストッパ106により軸方向の移動が規制されている。 【0025】このように構成することにより、円筒部1dにより板状部材から形成された本体1aの剛性を高めることができ、実質的に本体1aの厚みを増すことと同様の効果を得ることができる。従って特に固定部1c近傍の内部応力の緩和により破損に対する耐久寿命の向上と、撓み変形の抑制によるシールリップ1bの摺動抵抗の増加を抑えて良好なる作動特性を得ることが可能となる。 【0026】また、シールリップ1bが設けられる本体1aの外周側の縁1fにはアール1eが形成され、シールリップ1bの内部の応力集中を抑え、またシールリップ1bの形成時の接着性向上を図ることができる。 【0027】アール1eの詳細は、種々のものが適用可能であり、例えば図2に示されるように、通常のアール面取り形状(図2(a)のアール1eA)、プレス成形時によく見られるダレアール形状(図2(b)のアール1eB)、アール形成面側にアールを突出させた形状(図2(c)のアール1eC)等を適用することが可能である。 【0028】アールの大きさはR0.2〜R2.5が有効な範囲と考えられる。R0.2以下では応力緩和の効果が少なく、R2.5以上では油圧に対してシールリップの変形が大きくなり、シールリップの応力が逆に増す傾向となる。 【0029】 【発明の効果】上記に説明されたように、本発明を適用した環状部材では、円筒部により板状部材から形成された本体の剛性を高めることができ、実質的に本体の厚みを増すことと同様の効果を得ることができる。従って内部応力の緩和により破損に対する耐久寿命の向上と、撓み変形の抑制によるシールリップの摺動抵抗の増加を抑えて良好なる作動特性を得ることが可能となる。 【0030】また、シールリップが設けられる本体の外周側の縁にアールを備えることで、シールリップの内部の応力集中を抑え、またシールリップの形成時の接着性向上にも寄与する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004385 【氏名又は名称】エヌオーケー株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月11日(1999.5.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085006 【弁理士】 【氏名又は名称】世良 和信 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−320688(P2000−320688A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月24日(2000.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願平11−129907 |
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