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【発明の名称】 ジャケットシール
【発明者】 【氏名】東 吉夫

【氏名】三ツ井 孝禎

【氏名】假屋 隆広

【要約】 【課題】高度な加工精度を要求せずとも、常に安定した高いシール性能が得られ、また、再利用することも可能としたジャケットシールを提供する。

【解決手段】金属製ジャケット2の被シール部材のシール面32に対向する部分に突起25を設け、金属製ジャケット2内の弾性部材1に鍔部22の内面に面接触する平坦部12を設ける。また、その突起25の頂部26を平坦に形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットの鍔部内面に当接する平坦部を備えていることを特徴とするジャケットシール。
【請求項2】 前記平坦部は、前記金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に面接触していることを特徴とする請求項1記載のジャケットシール。
【請求項3】 前記突起は、断面略三角形状で、その頂角は50°以上であることを特徴とする請求項1記載のジャケットシール。
【請求項4】 環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられた突起を備え、該突起の頂部が被シール部材のシール面に当接するように全周にわたって平坦に形成されていることを特徴とするジャケットシール。
【請求項5】 前記弾性部材は、前記金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に当接する平坦部を備えていることを特徴とする請求項4記載のジャケットシール。
【請求項6】 前記弾性部材の断面形状は、略D字状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のジャケットシール。
【請求項7】 環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている環状の弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が作用していない自由状態において該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に該突起幅よりも広い幅で且つ略均等な圧力で接触する接触部を備えていることを特徴とするジャケットシール。
【請求項8】 環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容された環状の弾性部材とを備え、被シール部材のシール面間に締付けられ且つ前記弾性部材の成分が内部空間及び外部空間のうちの一方に放出されないように前記腹部が当該一方の空間に向けられて両側の鍔部が他方の空間に向かって張出すように設けられて、前記内部空間と外部空間との間での流体の流通を阻止するジャケットシールであって、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ前記シール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が加わらない自由状態において、該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に該突起幅よりも広い幅で面接触していることを特徴とするジャケットシール。
【請求項9】 環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている環状の弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が作用していない自由状態において該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に略均等な圧力で接触する接触部を備え、前記突起の先端部が前記接触部の幅に対応する範囲に位置することを特徴とするジャケットシール。
【請求項10】 環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容された環状の弾性部材とを備え、被シール部材のシール面間に締付けられ且つ前記弾性部材の成分が内部空間及び外部空間のうちの一方に放出されないように前記腹部が当該一方の空間に向けられて両側の鍔部が他方の空間に向かって張出すように設けられて、前記内部空間と外部空間との間での流体の流通を阻止するジャケットシールであって、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ前記シール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が加わらない自由状態において、該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に面接触し、前記突起の先端部が前記面接触の幅に対応する範囲に位置することを特徴とするジャケットシール。
【請求項11】 環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、前記金属製ジャケット内に未加硫ゴムをジャケット全周にわたって詰め、該未加硫ゴムを加硫させることによって金属製ジャケットの腹部及びその両側の鍔部の各々の内面に固着させた弾性部材とを備えていることを特徴とするジャケットシール。
【請求項12】 前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備えていることを特徴とする請求項11記載のジャケットシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はジャケットシールに関し、特に内部が真空になる管や容器に適したシール(ガスケット)に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体の分野では、高度な技術力を発揮することができる性能の高い製品を製造するために、製品内部の異物の存在を皆無にすることが望まれ、さらに真空度の向上も求められ、真空引き用管内のクリーン化が求められている。そのため、真空引き用の管等の継手に用いられるシールにあっても、そのシール自体からガスや粒子が管内に放出されることがないものを採用することが要求される。
【0003】すなわち、シールとしてのゴム製Oリングは、真空引きによって管内に該リングの成分がガスや粒子となって放出されるため、また、管外のガスがリングのゴム内を透過して管内に侵入することがあるため、真空用シールとしては不向きであり、また、管内にゴムを侵す流体が流れる場合にも不向きである。一方、メタル製Oリングは、かかる異物を放出しないが、シール機能を十分に発揮させるためには、Oリングの締付を強くする必要がある。そのため、真空装置の継手部分に大きな締付力を発揮する機構が不可欠となるため、装置自体が大型化してしまうという問題があった。例えば、締付力を高めるために締付ボルトの本数を増やす必要があり、ボルトの配設スペースを確保することができない、被シール部材が締付力に耐えることができない、というような構造上の制約を受ける場合があり、装置を大型にせざるを得なくなる。
【0004】そこで、図13、図14に示すように、被シール空間30に異物を放出することなく、また、ガスの透過の問題がなく、且つ大きなシール締付力を必要としないジャケットシールが用いられている。これは、断面円形の弾性部材1を、外周面に開口部23を有する金属製ジャケット2に収容し、該金属製ジャケット2の被シール部材のシール面に対向する被挟圧面(鍔部の外面)21、21に、その断面が三角形の突起25、25を環状に設けたものである。
【0005】前記ジャケットシールであれば、内周面24および被挟圧面21、21は金属で形成されているため、被シール空間30内に異物が混入する恐れがない。また、被挟圧面21の突起25の頂点は被シール部材のシール面に当接しシール締付力によって押しつぶされるため、被シール部材のシール面に密に接することになる。一方、金属製ジャケット2はシール締付力によって開口部23が狭くなるように撓み、同時に金属製のジャケット2内にある弾性部材1も圧縮変形するから、この金属製ジャケット2及び弾性部材1からシール締付力に対する反力が得られることになる。従って、このようなジャケットシールであれば、大きな締付力を必要とせずとも十分なシール効果を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のジャケットシールは、小さな締付力で高いシール性能を得るために、突起25は押しつぶれやすく、さらに小さな締付力が頂点に集中してシール性が向上するように、断面が三角形の突起25の頂点は、比較的鋭利に仕上げられていた。また、金属製ジャケット内部に収容される弾性部材1にもコストを抑えるために汎用性に優れるゴム製のOリングを用いられている。
【0007】しかしながら、金属製ジャケット2の加工精度の善し悪しでジャケットシールの性能にばらつきが生じることがあった。例えば、図16(a)に示すように、被シール部材のシール面32に対向する金属製ジャケット2の被挟圧面21に設ける突起25の頂点Tの位置が、金属製ジャケット2内に収容した弾性部材1の断面における中心線mからずれると、締付力を付加した場合に、弾性部材1から適正な反力が得られず、金属製ジャケット2の鍔部22そのものが、図16(b)に示すように、歪んで塑性変形を起こしてしまうこともあり、目標とするシール性能が得られない場合があった。また、一度塑性変形したジャケットシールは、再利用が不可能となるため、保守点検等のために管継手を分解する際には、新しいジャケットシールを用意しなければならないといった不経済な問題もあった。
【0008】また、金属製ジャケット2の被挟圧面21に設けた突起25は、シール性を向上させるために鋭利に仕上げられる。しかしながら、突起25を鋭利に仕上げる際に先端にバリやカエリが発生するなどして、加工精度が悪くなると、締付た際に突起25が全長にわたって一様に押しつぶされず、図15に示すように、突起25の先端Tが、押しつぶされる前の当初の位置T’から、シールの内側(中心側)Pに倒れこむ部分(実線で示す)と、外側Rに倒れこむ部分(破線で示す)が混在し、突起25の倒れ方向がP側からR側に変わる偏曲点において、目標とするシール性能が得られず、シール性能が低下する現象がみられた。
【0009】本発明は、これらの問題を解決するものであり、高い加工精度を要求せずとも、常に高いシール性能が得られ、また、再利用することも可能な品質の安定したジャケットシールを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決する手段】即ち、本発明は、上記課題を解決するために、環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材(シールされるべき管又は容器)のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットの鍔部内面に当接する平坦部を備えていることを特徴とする。
【0011】また、本発明は、上述の如きジャケットシールにおいて、前記平坦部は、前記金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に面接触していることを特徴とする。
【0012】また、本発明は、上述の如きジャケットシールにおいて、前記突起が、断面略三角形状で、その頂角は50°以上であることを特徴とする。
【0013】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられた突起を備え、該突起の頂部が被シール部材のシール面に当接するように全周にわたって平坦に形成されていることを特徴とする。
【0014】また、本発明は、前記突起頂部が平坦に形成されているジャケットシールにおいて、弾性部材は、前記金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に当接する平坦部を備えていることを特徴とする。
【0015】また、本発明は、以上の各ジャケットシールにおいて、前記弾性部材の断面形状は、略D字状であることを特徴とする。
【0016】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている環状の弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が作用していない自由状態において該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に該突起幅よりも広い幅で且つ略均等な圧力で接触する接触部を備えていることを特徴とする。
【0017】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容された環状の弾性部材とを備え、被シール部材のシール面間に締付けられ且つ前記弾性部材の成分が内部空間及び外部空間のうちの一方に放出されないように前記腹部が当該一方の空間に向けられて両側の鍔部が他方の空間に向かって張出すように設けられて、前記内部空間と外部空間との間での流体の流通を阻止するジャケットシールであって、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられた、前記シール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が加わらない自由状態において、該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に該突起幅よりも広い幅で面接触していることを特徴とする。
【0018】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容されている環状の弾性部材とを備えているジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が作用していない自由状態において該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に略均等な圧力で接触する接触部を備え、前記突起の先端部が前記接触部の幅に対応する範囲に位置することを特徴とする。
【0019】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、該金属製ジャケット内に収容された環状の弾性部材とを備え、被シール部材のシール面間に締付けられ且つ前記弾性部材の成分が内部空間及び外部空間のうちの一方に放出されないように前記腹部が当該一方の空間に向けられて両側の鍔部が他方の空間に向かって張出すように設けられて、前記内部空間と外部空間との間での流体の流通を阻止するジャケットシールであって、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ前記シール面に当接する突起を備え、前記弾性部材は、前記金属製ジャケットに締付力が加わらない自由状態において、該金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に面接触し、前記突起の先端部が前記面接触の幅に対応する範囲に位置することを特徴とする。
【0020】また、本発明は、環状の腹部とその両側の各々より内側又は外側へ張り出した一対の鍔部とを有する金属製ジャケットと、前記金属製ジャケット内に未加硫ゴムをジャケット全周にわたって詰め、該未加硫ゴムを加硫させることによって金属製ジャケットの腹部及びその両側の鍔部の各々の内面に固着させた弾性部材とを備えていることを特徴とする。
【0021】また、本発明は、上述の未加硫ゴムを利用したジャケットシールにおいて、前記金属製ジャケットは、前記鍔部の外面に環状に設けられ被シール部材のシール面に当接する突起を備えていることを特徴とする。
【0022】
【作用】図1乃至図3に示す本発明に係るジャケットシールでは、弾性部材1は金属製ジャケット2の鍔部22の内面に当接する平坦部12を備えているから、この弾性部材1の金属製ジャケット2の鍔部22に対する接触面積が増加し、接触面がある程度の幅を持つため、一方の鍔部22の突起25の頂点Tと他方の鍔部22の突起の頂点Tとを締付方向に厳密に相対応させずとも、締付力に対する反力が安定して得られる。また、弾性部材1として断面形状が略円形のゴム製Oリングを用いる場合であっても、前記鍔部の内面に接触する平坦部を設ければ、突起25の頂点Tは、必ずしも弾性部材1の断面中心線上に限定して配置することを要しなくなり、突起25を形成する位置において高度な加工精度は要求されない。また金属製ジャケット2の鍔部22を弾性部材1が平面で保持するため鍔部の塑性変形を防止できる。
【0023】特に、前記平坦部12を、前記金属製ジャケットの鍔部内面の前記突起に対応する部位に当接するように設けると、締付力に対する反力を安定して得る上で有利になり、突起25の頂点Tは、当該面接触幅(F1−F2内)内に設ければよいことになる。また、平坦部12は弾性部材1の全周にわたって設けることが締付反力を安定して得る上で好ましい。
【0024】また、弾性部材1に、前記金属製ジャケット2に締付力が作用していない自由状態において該金属製ジャケット2の鍔部22の内面の前記突起25に対応する部位に該突起25の幅よりも広い幅で且つ略均等な圧力で接触する接触部12を設けた場合にも、上述の平坦部12を設けた場合と同様の作用効果が得られる。この場合も、接触部12は弾性部材1の全周にわたって設けることが締付反力を安定して得る上で好ましい。
【0025】また、前記接触部12の幅が前記突起25の幅より狭い場合でも、前記突起25の先端部を前記接触部12の幅に対応する範囲に配置すれば、上述の平坦部を設けた場合と同様の作用効果が得られる。
【0026】また、前記弾性部材1を、前記金属製ジャケット2に締付力が加わらない自由状態において、該金属製ジャケット2の鍔部22の内面の前記突起25に対応する部位に該突起25の幅よりも広い幅で面接触させた場合にも、上述の平坦部12を設けた場合と同様の作用効果が得られる。弾性部材1は全周にわたって鍔部22の内周面に面接触させることが好ましい。
【0027】また、前記面接触の幅が前記突起25の幅より狭い場合でも、前記突起25の先端部を前記面接触の幅に対応する範囲に配置すれば、上述の平坦部を設けた場合と同様の作用効果が得られる。
【0028】前記弾性部材1は、金属製ジャケット2の腹部24の内面には必ずしも接触させることを要しないが、この腹部24の内面にも接触させるようにすると、特に鍔部22及び腹部24の全内周面に接触させるようにすると、上述の締付反力を安定して得る上で有利になる。金属製ジャケット2の断面形状がその腹部24と一対の鍔部22とによって横に倒れたU字状に形成されている場合は、換言すれば、D字における縦の画がない形状に形成されている場合は、弾性部材1の断面形状をD字形状にすれば、すなわち、弾性部材1にDリングを採用すれば、弾性部材1を金属製ジャケット2の実質的に全内周面に面接触させることができる。
【0029】さらに、突起25を断面略三角形状とし、その頂角を50°以上とすることで、頂角が50°以下の場合に比べて突起25の先端部の成形が容易に行なえるようになり、シール性能を損なわずに先端部における加工精度のバラツキも少なくなる。
【0030】また、突起25の頂部26を被シール部材のシール面32と当接するように全周にわたって平坦に形成すると、高度な加工精度を要求せずとも、締付後の突起25のつぶれる方向が安定したものになる。すなわち、図5に示すように突起25の頂部全体が被挟圧面21によって一様に押しつぶされ、上述の如き先端Tの倒れこむ方向の混在がなくなり、期するシール性能が得られ、製品ごとのシール性のバラツキがなくなり、シールの生産性が向上する。
【0031】また、突起25の頂部26を平坦に形成し、さらに、弾性部材1に金属製ジャケット2の鍔部22の内周面に当接する平坦部12を設けると、上述の如く突起25の頂部の潰れが安定したものになり、且つ締付力に対する反力が安定して得られることから、突起25の位置および先端形状について高度な加工精度を要求しなくても目標のシール性能が容易に得られる。その結果、加工精度によるジャケットシールの性能のバラツキを押さえることができ、金属製ジャケット2の鍔部22が塑性変形する問題も解消できる。
【0032】さらに、鍔部22の塑性変形を押さえることができるため、使用条件によっては、ジャケットシールの再利用が可能となり、点検保守などで、当該ジャケットシールを適用した管継手等の機器を分解する際には、新しいジャケットシールを用意する必要がなくなり、経済的にも有利になる。
【0033】また、上述の断面形状が横倒れU字状の金属製ジャケット2に断面形状がD字状の弾性部材1が詰められているジャケットシールを得るには、金属製ジャケット2内に未加硫ゴムをジャケット全周にわたって詰め、該未加硫ゴムを加硫させることによって金属製ジャケットの腹部及びその両側の鍔部の各々の内面に固着させるようにすればよい。これにより、Dリング作る金型が不要になり、コスト的に有利になる。
【0034】金属製ジャケット2内に収納する弾性部材1の材料としては、天然ゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレンプロピレン・ジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、フッ化シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴムなどのゴム類、またはその架橋ゴム類、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー類、発泡プラスチックスなどを採用することができ、特にDSC(示差走査熱量計)における示差熱量曲線上で結晶融点を示さないものが好適である。
【0035】弾性部材1は、必要に応じて酸化防止剤、老化防止剤、カーボンブラックなどの補強剤、タルク、クレーなどの充填剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、加工助剤など、弾性部材1の製造に通常用いられる薬剤を通常量配合し、得られた組成物をプレス成形、射出成形などの方法で製造することができる。架橋ゴム製の弾性部材2は、プレス成形や、射出成形などの成形工程において加熱架橋される。
【0036】金属製ジャケット2の形成材たる金属としては、シール使用環境下において、熱的に、化学的にあるいは、機械的に不安定なものは論外として、各種の金属が用いられる。とりわけ、金属製ジャケット2に設ける開口部23が比較的小さな締付力でも狭くなる硬質または軟質の金属、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、マグネシウム合金などの比較的加工性のよい金属類、金属−セラミック複合材などが好ましい。また、金属製ジャケット2は、突起25が被シール部材のシール面32に圧接された際につぶれるように、被シール部材よりも軟質の材料、ないしは塑性変形し易い材料で成形することが好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0038】<実施形態1>本実施形態については、図1乃至図6に示されている。図1乃至図4に示した環状ジャケットシール10において、1は環状の弾性部材、2は金属製ジャケットである。
【0039】金属製ジャケット2は、環状の腹部24と、該腹部24の両側の各々より環の外側(半径方向外方)へ張り出した一対の鍔部22とを有し、外側に向かって開口した開口部23が全周にわたって形成されている。腹部24は中央部が環の内側(半径方向内方)へ凸になった円弧状に形成されていて、金属製ジャケット2は全体としては開口部外側へ向けた横倒しのU字型の断面形状を有し、その内部(ジャケット部)に環状の弾性部材1を収容している。
【0040】ジャケットシール10は、図4に示すように、被シール部材間に、被シール部材のシール面(開口周りの端面)32と被挟圧面21(ジャケットシール10が相対するシール面32によって締付られるとき、即ち、締付されるときに圧力を受ける鍔部22の外面)が対向するように介在させ、軸方向にシール締付力が与えられて継目をシールする。そのシール締付力に大きな力が必要であれば、被シール部材に大きなシール締付力を発生する器具が必要となるため、例えば、締付ボルトの本数を増やす必要があり、ボルトの配設スペースを確保できない、被シール部材が締付力に耐えることができないため肉厚を厚くする必要がある、というような理由から、被シール部材が大型化してしまう。そこで、小さなシール締付力でも高シール性能が発揮できるように、被挟圧面21に断面形状が台形の突起25を設けている。
【0041】また、本実施形態のジャケットシール10では、突起25の頂部(先端部)26は、被シール部材のシール面32と面接触して密着するよう平坦に形成されている。すなわち、頂部26はシール面32と向かい合うときに該シール面32と平行になる平面に形成されている。
【0042】従って、シール締付力発生時には、図4に示すように、突起25の先端部が、P側(内側)やR側(外側)に倒れこんだりせず、ほぼシール締付力発生方向(矢印の方向)に押しつぶされて変形するため、突起25と被シール部材のシール面32の密着性が安定し、腹部24の内側に存在するシール空間30は密閉空間に保たれる。
【0043】突起25および突起25の平坦な頂部26に関しては、設ける突起25があまりにも過小であると、シール性能が乏しくなり、頂部26の幅があまりにも過大であると、シールに必要な面圧を確保するためにシール締付力を大きくしなければならない。従って、図3に示すように、金属ジャケット2内に設ける弾性部材1の厚さをtとすると、突起25の高さhは、0.01tから1.5t程度であり、特に0.05tから0.7t程度が好ましく、頂部26の幅wについては、0.01tから1.0t程度であり、特に0.02tから0.5t程度が好ましい。また、突起25の両側面のなす角度(両側面を延長したときにできる三角形の頂点T’における頂角)は、50°から130°程度が好ましい。また加工の容易さ、加工による製品のバラツキを防ぐためには、頂角を90°以上の鈍角とすることが好ましい。
【0044】また、弾性部材1の金属製ジャケット2の鍔部22によって締付力を受ける面11には鍔部22の内面に接触する平坦部12が形成されている。この平坦部12は、ジャケットシール10が締付力を受けない自由状態においても、鍔部22の内面に対して、少なくとも突起25に対応する部位で該突起25の頂部幅wよりも広い幅で且つ略均等な圧力で全周にわたって面接触している。本実施形態では、弾性部材1は、その両側面及び内周面が金属製ジャケット2の鍔部22の内面及び腹部24の内周面に隙間なく面接触している。
【0045】シール締付力発生時において、開口部23は、シール締付力によって開口幅が狭くなるように変形する。開口部23を設けたことにより、たとえシール締付力が小さな場合であっても、金属ジャケットは敏感に反応することができ、弾性部材1からシール締付力に対抗する反力が発生する。その弾性部材1からの反力により、十分なシール性能を発揮するようになっている。
【0046】さらに、弾性部材1には鍔部22と当接する弾性部材1の接触面が平面形状となるように平坦部12が設けられているため、突起25を図15に示すような弾性部材1の断面における中心線m上に形成させる必要はない。すなわち、突起25は、平坦部12の領域内(F1−F2内)にあればよいため、突起25の形成位置に関して高度な加工精度は要求されない。
【0047】また、金属製ジャケット2は、腹部24が例えば真空引きの力を受ける内側に配置されているから、弾性部材1の成分が被シール空間30に放出されることがない。
【0048】ここで、弾性部材1の断面形状は、図5に示すように金属ジャケット2の形状と合わせてD型となることが好ましいが、金属ジャケット2の内部を充填できる形状であれば良い。なお、弾性部材1の腹部24の内周面形状を、円弧状ではなく、直線状としてもよいが、弾性部材1が金属製ジャケット2内部まで挿入しきれない問題が生じやすく、突起25の設置領域が狭くなる可能性がある。
【0049】また、弾性部材1の外周面の断面形状は中央部が突出した円弧状にしてもよいが、鍔部22の異常変形を抑制するために、金属ジャケット2の鍔部22を内側から効果的に支えることができるよう直線状の方がより好ましい。
【0050】さらに弾性部材1の厚さtにおいては、本発明ジャケットシールの使用目的や、シールを必要とする装置の大きさなどによりさまざまではあるが、本発明シールを通常の真空装置に適用する場合を例に取れば、0.05mmから10mm程度である。
【0051】前記ジャケットシール10は、予め加硫成形した環状の弾性部材1をその口径が大きくなるように強制的に広げて金属製ジャケット2の内部に弾性的に嵌め込むことによって製作することができる。また、以下の方法によっても製作することができる。
A.金属製ジャケット2を形成する。
B.図6に示すように、金属製ジャケット2の内部に、紐状の未加硫ゴム41を、その一端から詰めていって最後に他端を当該一端に接続することにより、ジャケット全周にわたって詰める。
C.金属製ジャケット2内の未加硫ゴムを周りから加圧するとともに、加熱することによって加硫させ、金属製ジャケット2の腹部24及びその両側の鍔部22の各々の内面に固着した弾性部材1を形成する。
【0052】この方法によれば、金属製ジャケット2が弾性部材1を加硫成形するための金型になるため、弾性部材1を成形するための専用金型は不要になる。
【0053】<実施形態2>本実施形態は図7乃至図9に示されている。実施形態1との違いは、金属製ジャケット2の突起25の頂部が平坦でなく、三角形状に尖っている点である。実施形態1の要素と対応する要素には同じ符号を採用している。突起25の先端部をバリやカエリ等が発生しないように精度よく製作すれば、先端部の倒れ込み方向がばらつくことはない。そうして、突起25の先端が三角形状に尖っているから、ジャケットシール10が被シール部材のシール面32によって締付けられたときに、突起25がつぶれ易く、シール面に対する密着性の確保に有利である。
【0054】<他の実施形態>本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。例えば、突起25の断面形状は、上記のように三角形状又は頂部26を平坦にした台形状以外にも、半円形、半楕円形など、その他の形状にすることができ、被シール部材のシール面32に当接する頂部26は平坦にすることが好ましい。なお、かかる平坦な頂部26を形成する場合、その頂部26は適宜の幅にすることができる。
【0055】また、金属製ジャケット2の形状に関しても、その断面形状が、U字型に限定するわけではなく、V字型、コの字型などでもよいが、V字型や、コの字型のように、金属ジャケット2に角部を設けると、シール締付力を与えた場合に角部で応力集中が発生しやすく、金属製ジャケット2が塑性変形しやすくなる恐れがある。
【0056】<ジャケットシールの使用形態>ジャケットシール10は、被シール部材間に介在させてシールする。図10はジャケットシール10を真空装置の管50と管50との継目に介在させた例を示す。すなわち、ジャケットシール10は、一方の管50の接続フランジ51の端面に形成された環状のシール溝52に設けられ、このシール溝52の底面(シール面)と他方の管50の端面(シール面)との間にボルト53とナット54とによって締付られている。
【0057】図11はジャケットシール10を真空装置のL型バルブに使用した例を示す。同図において、55は内部にL型真空通路が形成されたバルブ容器、56はL型通路を開閉する弁体、57は弁体56を駆動するアクチュエータ、58はベローズである。ジャケットシール10は、バルブ容器55のアクチュエータ取付口周りの端面(シール面)とアクチュエータ57のシール板59との間に締付られている。このジャケットシール10によれば、大きな締付力を必要としないから、例えばバルブ容器55の取付口周りの壁60の厚さを大きくする必要がない。
【0058】図12はジャケットシール10を真空容器61の覗き窓ガラス62のシールに使用した例を示す。ジャケットシール10は窓ガラス62と真空容器61のシール面との間、並びに窓ガラス62と押え板63のシール面との間の各々に設けられている。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、弾性部材には金属製ジャケットの鍔部内面に当接する平坦部が形成されているから、あるいは弾性部材を鍔部内面に面接触させているから、突起の位置及び形の精度を高くしなくとも、締付力に対する反力が安定して得られ、ジャケットシールを締付た際の鍔部の異常変形を防止して、高いシール性能を発揮させることができるとともに、ジャケットシールのシール性能のバラツキが少なくなり、さらには再利用が可能になり、また、コスト的にも有利になる。
【0060】また、金属製ジャケットの突起の頂部を平坦に形成したものによれば、ジャケットシールを締付けた際に、突起の倒れ方向にバラツキを生ずることがなくなり、突起の位置及び形の精度を高くしなくとも、高いシール性能を発揮させることができるとともに、ジャケットシールのシール性能のバラツキが少なくなり、さらには使用条件によっては再利用が可能になり、また、コスト的にも有利になる。
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【出願日】 平成12年2月8日(2000.2.8)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外1名)
【公開番号】 特開2000−304132(P2000−304132A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願2000−30059(P2000−30059)