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【発明の名称】 ダイヤフラムシリンダ
【発明者】 【氏名】南條 光範

【要約】 【課題】ダイヤフラムの撓みや傾斜を防止することによってダイヤフラムの耐久性を向上する。

【解決手段】このダイヤフラムシリンダは、ばね室17と加圧室19とを区画するダイヤフラム16が設けられたシリンダ本体13を有し、ダイヤフラム16にはばね室17を貫通する主軸22が固定され、この主軸22は軸方向に往復動自在にシリンダ本体13に設けられている。主軸22に形成されたガイド溝35には、ガイドピン36が係合して主軸22の往復動を案内する。ばね室17内に設けられた円錐形の圧縮コイルばね27により、主軸22には求心力が高められて後退方向のばね力が加えられている。主軸22は加圧室19に供給される圧縮空気によって前進方向に駆動され、前進限位置を規制するストッパ32が主軸22に加圧室19内に位置させて設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ばね室と加圧室とが形成され、かつ前記ばね室と前記加圧室とを区画するダイヤフラムが装着されたシリンダ本体と、前記ダイヤフラムに固定され前記ばね室を貫通して前記シリンダ本体の外部に突出する主軸と、前記主軸に形成されたガイド溝に係合し前記主軸の直線移動を案内するガイドピンと、前記主軸の外側に装着され、前記主軸に求心力を加えつつ後退方向のばね力を加える円錐形のコイルばねと、前記主軸に取り付けられ、前記加圧室に供給された流体による前記主軸の前進限位置を規制する前進側のストッパとを有することを特徴とするダイヤフラムシリンダ。
【請求項2】 請求項1記載のダイヤフラムシリンダにおいて、前記前進側のストッパを前記加圧室内に位置させて前記主軸に取り付け、前記前進側のストッパが接触するストッパ受けを前記加圧室内に設けたことを特徴とするダイヤフラムシリンダ。
【請求項3】 請求項1または2記載のダイヤフラムシリンダにおいて、前記主軸の後退限位置を規制する後退側のストッパを前記シリンダ本体の外部に位置させて前記主軸に取り付け、前記後退側のストッパを前記シリンダ本体の外面に接触させるようにしたことを特徴とするダイヤフラムシリンダ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧縮空気などの流体によって主軸を直線方向に往復動するようにしたダイヤフラムシリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】圧縮空気によって直線方向に主軸やロッドを往復動するようにした空気圧シリンダとしては、シリンダ本体内に往復動自在となったピストンにピストンロッドを設けるようにしたものがある。このタイプの空気圧シリンダにあっては、ピストンの両側に形成された空気圧室に圧縮空気を供給することによってピストンロッドを往復動するようにした復動型と一方側に形成された空気圧室内に圧縮空気を供給し、他方側にばねを組み込むようにした単動型とがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】いずれのタイプにあっても、ピストンはシリンダ本体内に形成されたシリンダ室の内周面に摺動接触することになるので、ピストンを駆動する際にはピストンに摺動抵抗が加わることになるとともに、ピストンの外周面に設けられたシール材が経年変化によって摩耗することになる。
【0004】そこで、シリンダ本体内に設けられたダイヤフラムに主軸つまりロッドを取り付けるようにして、ダイヤフラムで主軸を駆動するようにすると、摺動部が無くなるので、空気圧を低くしても主軸を駆動することができるとともに、シール材の摩耗発生を防止できるという利点がある。
【0005】しかしながら、ダイヤフラムを用いたシリンダにおいても、ダイヤフラムに回転方向の捩じれが加わったり、主軸が傾斜すると、ダイヤフラムの寿命が短くなり、その耐久性の向上に限度がある。
【0006】また、主軸の前進後退限位置を規制するためのストッパは、主軸の往復動に伴ってストッパ受けに衝突することになるので、ストッパとストッパ受けが摩耗すると、その部分から摩耗粉が発生することになり、その摩耗粉がシリンダ本体の内部に残留してダイヤフラムを損傷させ、ダイヤフラムの寿命が短くなり、その耐久性の向上を阻害することが判明した。
【0007】本発明の目的は、ダイヤフラムの撓みや傾斜を防止することによってダイヤフラムの耐久性を向上することにある。
【0008】本発明の他の目的は、シリンダ内における摩耗粉がダイヤフラムに付着しないようにしてダイヤフラムの耐久性を向上することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のダイヤフラムシリンダは、ばね室と加圧室とが形成され、かつ前記ばね室と前記加圧室とを区画するダイヤフラムが装着されたシリンダ本体と、前記ダイヤフラムに固定され前記ばね室を貫通して前記シリンダ本体の外部に突出する主軸と、前記主軸に形成されたガイド溝に係合し前記主軸の直線移動を案内するガイドピンと、前記主軸の外側に装着され、前記主軸に求心力を加えつつ後退方向のばね力を加える円錐形のコイルばねと、前記主軸に取り付けられ、前記加圧室に供給された流体による前記主軸の前進限位置を規制する前進側のストッパとを有することを特徴とする。
【0010】前記前進側のストッパを前記加圧室内に位置させて前記主軸に取り付け、前記前進側のストッパが接触するストッパ受けを前記加圧室内に設けるようにしても良く、前記主軸の後退限位置を規制する後退側のストッパを前記シリンダ本体の外部に位置させて前記主軸に取り付け、前記後退側のストッパを前記シリンダ本体の外面に接触させるようにしても良い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の一実施の形態であるダイヤフラムシリンダの断面図であり、図2は図1における矢印A方向から見た正面図であり、図3は矢印B方向から見た背面図である。
【0013】このダイヤフラムシリンダは、二点鎖線で示した支持部材10に取り付けられるベースプレート11と、これに固定されるケーシング12とからなるシリンダ本体13を有している。ベースプレート11とケーシング12は、図2に示した2本のボルト14により締結され、シリンダ本体13には支持部材10に取り付けるためのボルトが締結されるボルト取付孔15が形成されており、シリンダ本体13は、図2および図3に示されるように、平坦な両側面と円弧状の両端面とを有し、全体的にほぼ直方体形状となっている。
【0014】シリンダ本体13内には、ゴムなどの可撓性部材からなるダイヤフラム16が装着され、ケーシング12の中心部に形成された凹部とダイヤフラム16とによりシリンダ本体13内にはばね室17が形成され、ベースプレート11の円筒部18とダイヤフラム16とにより加圧室19が形成されている。このように、ダイヤフラム16によってばね室17と加圧室19とが区画されている。ダイヤフラム16は、ケーシング12に形成された凹部に入り込む環状部16aと、U字形状に折れ曲がった内外の円筒部16bと、中心のフラット部16cとを有し、これらは一体となっている。
【0015】ダイヤフラム16には、ばね室側に位置させて断面U字形状のダイヤフラムパッド21が配置されており、シリンダ本体13に摺動自在に装着されたロッドつまり主軸22の後端面はダイヤフラムパッド21に接触し、先端側はばね室17を貫通してシリンダ本体13の外部に突出している。
【0016】主軸22の先端部にはこれよりも外径が大きな作動部材23が取り付けられており、作動部材23を上向きとして主軸22を上下動する場合には、作動部材23の上に設けられる被駆動部材を上下動することができ、下向きとした場合にはこれの下側に設けられる被駆動部材を上下動することができる。また、主軸22を水平方向あるいは傾斜方向に往復動すると、作動部材23は水平方向あるいは傾斜した方向に往復動することになる。主軸22の摺動を案内するために、ケーシング12には軸受24が取り付けられている。
【0017】主軸22の後端部にはねじ孔が形成され、加圧室19内に位置するリテーナ25と主軸22とをボルト26によってダイヤフラム16を挟むようにして締結することにより、主軸22はダイヤフラム16に固定される。
【0018】ばね室17内には円錐形の圧縮コイルばね27が装着されており、この円錐形の圧縮コイルばね27の小径の端部はダイヤフラム16側となり、大径の端部はシリンダ本体13側となっている。このように、主軸22の外側に円錐形の圧縮コイルばね27を装着することによって、主軸22には後退方向にばね力が加えられるとともに、主軸22の中心をシリンダ本体13の中心に向けるばね力が加えられて、主軸22の調心機能が得られるようになっている。なお、小径の端部と大径の端部の位置を逆にしても同様に主軸22に対する求心力を高めることができる。
【0019】このように、主軸22は円錐形の圧縮コイルばね27によって調心機能が得られるので、主軸22には求心力が加えられてその芯ずれが防止され、ダイヤフラム16には不要な負荷が加わることを防止することができ、ダイヤフラム16の寿命を延ばすことができる。
【0020】円錐形の圧縮コイルばね27のばね力による主軸22の後退限位置を規制するために、主軸22が後退限位置になると作動部材23が接触するストッパ面28がシリンダ本体13の外面に形成されている。つまり、作動部材23は後退限位置を規制するための後退側のストッパとしての機能を有している。
【0021】主軸22は加圧室19に供給される圧縮空気によって前進駆動されるようになっており、前進限位置を規制するために、リテーナ25にはベースプレート11に形成されたストッパ受け31に接触する前進側のストッパ32が設けられている。このストッパ32には、支持部材10に形成された流路と加圧室19とを連通するための複数の連通孔33が形成されている。なお、ストッパ32としては、図示するようにリテーナ25と別体にすることなく、リテーナ25に一体にフランジ部を形成して、それをストッパとしても良い。
【0022】したがって、流路から圧縮空気を加圧室19内に供給すると、加圧室19内に流入した圧縮空気の圧力がダイヤフラム16に加わり、主軸22は前進方向に駆動される。このとき、ばね室17内の空気を外部に排出するために、ケーシング12にはばね室17と外部とを連通させるブリード孔34が形成されている。一方、加圧室19内の空気を排出すると、主軸22は円錐形の圧縮コイルばね27のばね力によって後退限位置まで駆動される。このときには、ばね室17内にはブリード孔34を介して外部から空気が流入することになる。
【0023】主軸22の前進限位置はストッパ32がストッパ受け31に接触することにより規制されることになる。ストッパ32とストッパ受け31との衝突によってこれらの部分から摩耗粉が発生しても、主軸22の前進時に供給される圧縮空気と後退時に排出される圧縮空気とによって加圧室19内には空気の循環流が発生しているので、その摩耗粉は外部に排出されることになり、ダイヤフラム16の表面に摩耗粉が付着することは防止される。
【0024】主軸22が後退限位置となると、作動部材23がシリンダ本体13の外面に設けられたストッパ面28に接触することになるので、これらの部分から摩耗粉が発生しても、その摩耗粉は加圧室19内に入り込むことなく、ダイヤフラム16の表面に摩耗粉が付着することは防止される。
【0025】このように、ダイヤフラム16の表面には摩耗粉が付着することを防止することができるので、その寿命を延ばしてダイヤフラム16の耐久性を向上することが可能となる。
【0026】主軸22には軸方向に沿ってガイド溝35が形成され、このガイド溝35に係合するガイドピン36がケーシング12に固定されている。これにより、主軸22が直線方向に往復動する際には、ガイドピン36によって主軸22が案内されることから、ダイヤフラム16には主軸22がダイヤフラム16とともに回転する方向の負荷が加わったり、主軸22が傾斜する方向の負荷が加わることが防止されることになり、ダイヤフラム16の寿命を延ばすことができ、その耐久性を向上することが可能となる。ガイド溝35としては底付きの溝であっても良く、主軸22の径方向に貫通した溝としても良い。また、ガイドピン36を複数本設けるようにしても良い。
【0027】このような構成を有するダイヤフラムシリンダにあっては、加圧室19内に圧縮空気を供給すると主軸22はダイヤフラム16により加圧されて前進移動し、圧縮空気を排出するとばね力で後退移動することになる。軸受24と主軸22との間にはシール材を設ける必要がないので、主軸22には大きな摺動抵抗が加わることなく、低い圧力でも主軸22を駆動することができる。
【0028】主軸22の往復動に際しては、主軸22はガイドピン36によって案内されるので、傾斜することなく、しかも、円錐形の圧縮コイルばね27によって調心されるので、主軸22の求心力が高められてその偏心移動が防止されて往復動することになる。これにより、ダイヤフラム16には不要な負荷が加わることを防止することができる。また、主軸22の前進限位置と後退限位置とを規制するストッパがダイヤフラムに付着することを防止することができるので、摩耗粉がダイヤフラム16に付着することに起因したダイヤフラム16の損傷発生を防止することができる。
【0029】本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する場合には圧縮空気によって主軸22の前進移動を行うようにしているが、油圧などの液体の圧力によって前進移動するようにしても良い。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、主軸を駆動するダイヤフラムの捩じれや撓みが防止され、主軸の求心性が高められることになる。これにより、ダイヤフラムの捩じれ、撓みや偏心が防止されて、ダイヤフラムの寿命を延ばしてその耐久性を向上することが可能となる。主軸の移動を規制するストッパにより発生する摩耗粉がダイヤフラムに付着することが防止され、ダイヤフラムの損傷を防止することができ、その耐久性を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
【出願日】 平成11年4月19日(1999.4.19)
【代理人】 【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和 (外2名)
【公開番号】 特開2000−304131(P2000−304131A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−110360