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【発明の名称】 メカニカルシール
【発明者】 【氏名】ナカノ・ケンジ

【要約】 【課題】回転リングに対してスライドリング及び対向リングが回転不能であるような配置が保証されるメカニカルシールを提供する。

【解決手段】スライドリングが第1シールリングを介して第1回転リングと、及び/又は対向リングが第2シールリングを介して第2回転リングと、回転不能に密封を行うように結合されており、第1シールリング(5)の被密封媒質(9)に対面する表面が、第1回転リング(6)のフランジ(10)によって、及び/又は第2シールリング(7)の被密封媒質(9)に対面する表面が、第2回転リング(8)のフランジ(11)によって、被覆されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1つのスライドリング及び1つの対向リングを有するメカニカルシールであって、該スライドリング及び該対向リングが、相互に回転可能にかつ弾力的に当接して、軸方向の初期応力により密封を行うように接触しており、前記スライドリングが第1シールリングを介して第1回転リングと、及び/又は前記対向リングが第2シールリングを介して第2回転リングと、回転不能に密封結合されており、前記第1シールリング(5)の被密封媒質(9)に対面する表面が、前記第1回転リング(6)のフランジ(10)によって、及び/又は前記第2シールリング(7)の被密封媒質(9)に対面する表面が、前記第2回転リング(8)のフランジ(11)によって、完全に被覆されていることを特徴とするメカニカルシール。
【請求項2】 前記第1シールリング(5)及び/又は前記第2シールリング(7)が、ポリマー材料から製造されている、請求項1に記載のメカニカルシール。
【請求項3】 前記第1回転リング(6)及び/又は前記第2回転リング(8)が、金属材料から製造されている、請求項1又は2に記載のメカニカルシール。
【請求項4】 前記第1シールリング(5)及び前記第2シールリング(7)が、被密封媒質(9)に対面しかつ互いに対向する表面(22、23)を備え、この各表面(22、23)が、それぞれ対応する前記第1回転リング(6)のフランジ(10)及び前記第2回転リング(8)のフランジ(11)と弾性初期応力下で密封接触する、請求項1〜3のいずれか1つに記載のメカニカルシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スライドリング及び対向リングを含むメカニカルシールに関する。このときスライドリング及び対向リングは、相互に回転可能にかつ弾力的に当接して、軸方向の初期応力により密封を行うように接触しており、さらにスライドリングは第1シールリングを介して第1回転リングと、及び/又は対向リングは第2シールリングを介して第2回転リングと、互いに回転不能に密封結合されている。
【0002】
【従来の技術】上記のようなメカニカルシールは、DE 196 37 813A1から周知である。シールリングには、各々被密封媒質が衝突する、接触する自由表面がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、最初に述べた種類のメカニカルシールをさらに発展させることによって、以下のようなメカニカルシールを得ることを目的とする。すなわち、メカニカルシールを規定通りに使用している間に発生するシールリングの膨潤、及びその結果として生じるシールリングの自由表面の移動、ずれを著しく防止し、あるいは最小限に抑えることができるメカニカルシール得ること。またそれによって長期の使用において、被密封媒質の広範にわたる種類に依存せず、各々の回転リングに対してスライドリング及び対向リングの一定の防回転性をもって、すなわち各々の回転リングがスライドリング及び対向リングに対して回転不能に配置されることが保証されるメカニカルシールを得ること。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題は、1つのスライドリング及び1つの対向リングを有するメカニカルシールにおいて、スライドリング及び対向リングが、相互に回転可能にかつ弾力的に当接して、軸方向の初期応力により密封を行うように接触しており、スライドリングが第1シールリングを介して第1回転リングと、及び/又は対向リングが第2シールリングを介して第2回転リングと、回転不能に密封結合されており、第1シールリングの被密封媒質に対面する表面が、第1回転リングのフランジによって、及び/又は第2シールリングの被密封媒質に対面する表面が、第2回転リングのフランジによって、完全に被覆されていることを特徴とするメカニカルシールによって解決される。
【0005】上記課題を解決するために、第1及び/又は第2シールリングの被密封媒質すなわち密封されるべき媒質に対面する面が、各々対応する回転リングのフランジによって完全に被覆される。本発明において完全に被覆するとは、被密封媒質に対面する面が実質上全て覆われていることを意味する。つまりシールリングが通常の使用において移動しないように、ずれないようにフランジよって覆われているということを意味する。このようなメカニカルシールにおいて、フランジは各々のシールリングの表面に隣接して軽く接触していることが好ましい。フランジ及びシールリングの表面が相互に極めて僅かな間隔を置いて配置されることも可能である。本発明にしたがう一実施態様では、第1及び/又は第2シールリングには被密封媒質と接触する自由表面もしくは表面がほとんどないことが長所である。それによってシールリングの材料の膨潤は最小限に抑えられる。本発明にしたがう実施態様によれば、あらゆる場合において、スライドリングと第1回転リングとの間のシールリング及び/又は対向リングと第2回転リングとの間のシールリングの初期応力が、各々のシールリングの膨潤及び自由表面の移動、ずれによって減少し、それによってスライドリング及び/又は対向リングがそれぞれ対応するシールリングに対して回転するという危険性を確実に回避することができる。つまりそれぞれ対応するシールリングに対して、スライドリング及び/又は対向リングが確実に固定され、回転しない。したがってそれぞれの回転リングに対してスライドリング及び/又は対向リングの回転不能な配置が、被密封媒質には依存せずに常に確実に保証される。
【0006】シールリングは圧縮不能な材料から製造される。シールリングの材料がフランジの存在によって移動不能であることにより、シールリングの僅かな膨潤は、スライドリングと第1回転リングとの間及び/又は対向リングと第2回転リングとの間に強められた弾性初期応力を発生させる。
【0007】第1及び/又は第2シールリングは、好ましくはポリマー材料、例えばFKM(フッ素重合体)から製造される。スライドリング及び/又は対向リングは多くの場合、例えば炭素又は炭化ケイ素のような脆性材料から製造される。そしてこれらのスライドリング及び/又は対向リングは、好ましくはステンレス鋼材料から製造される対応する回転リングによって各々半径方向に間隔をあけて取り囲まれている。この半径方向の間隔を形成している間隙には、各々シールリングが配置される。使用期間を短縮させる、つまり寿命を短くする、スライドリング及び/又は対向リングに対する対応する回転リングによる望ましくない高い機械的負荷が、シールリングによって回避される。
【0008】第1シールリングには、ポリマー材料によって完全に取り囲まれている補強部材を設けることができる。この補強部材は、多くの場合に鋼製であり、完全にポリマーによって被覆されることによって、すなわちポリマー材料によりその周囲を完全に取り囲まれることによって、例えば被密封媒質による腐食から保護される。この補強部材は、第1シールリングにより大きな剛性をもたらし、それによって相互に向い合う密封されるべき面、密封面の間の密封性を向上させる。
【0009】第1及び第2シールリングは、被密封媒質に対面し、相互に対向する表面を備える。この第1及び第2シールリングに設けられる各表面は、対応する回転リングの各フランジと弾性初期応力の下で密封接触する。この場合には、被密封媒質と衝突するあるいは接触するときにシールリングの容積の増大が防止されることが長所として挙げられる。シールリングと被密封媒質との衝突、接触は、フランジによって回転リング内へシールリングをはめ込むことにより、スライドリング及び/又は対向リング上での初期応力の上昇を生じさせる。シールリングがフランジにより回転リング内に嵌め込まれているので、被密封媒質がシールリングに衝突、接触することにより、スライドリング及び/又は対向リングに向かう初期応力が上昇する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明にしたがうメカニカルシールの実施例を略図的に示した図1に基づいて、以下に詳細に説明する。
【0011】このメカニカルシールは基本的に、炭化ケイ素から製造されている対向リング2と、炭素から製造されているスライドリング1から構成されている。そしてこのシールは軸方向の初期応力下で、対向リング2とスライドリング1とが、それぞれの平らな密封面4と平らな密封面3で弾性的にかつ密封するように支持されている。
【0012】スライドリング1及び対向リング2は、どちらも外周側面と、各々密封面とは反対側の面12及び13の領域を、断面形状が角張ったシールリング5及び7によって各々取り囲まれている。スライドリング1上の面12及び対向リング2上の面13は、軸方向で互いに反対側を向く。これら2つのシールリング5、7は同一材料で形成されており、この実施態様ではFKMから製造されている。
【0013】メカニカルシールの金属製コンポーネントは、この実施例では各々特殊鋼から製造されており、被密封媒質9に対して耐性がある。すなわち被密封媒質9によって冒されない特殊鋼から、メカニカルシールの金属部分が形成されている。
【0014】メカニカルシールを機能させるために下記のようにメカニカルシールが構成される。
【0015】対向リング2、第2シールリング7及び第2回転リング8は、密封されるべきシャフト14に対して回転不能に結合されている。
【0016】同様にスライドリング1、第1シールリング5及び第1回転リング6は、相互に回転不能に配置されている。この実施例においては、特殊鋼から製造されているひだ状ベローズ15、ハウジング16、支持リング17及び圧縮ばね18もまたスライドリング1に対して回転不能に配置されている。
【0017】圧縮ばね18及びひだ状ベローズ15は、相互に工学的な並列回路で組み込まれており、スライドリング1の密封面3と、対向リング2の密封面4との軸方向の相互の弾性押し付けを生じさせる。
【0018】本実施例では、ひだ状ベローズ15の第1面19はスライドリング1に、またひだ状ベローズ15の第2面20はハウジング16に、非粘着性でもっぱら力の結果として組み込まれている。すなわち粘着、接着されることなく、機械的な力によって組み込まれている。ひだ状ベローズ15の第1面19及び第2面20が、それぞれ第1回転リング6及び支持リング17によって挟み込まれて固定されていることにより、メカニカルシールの組み立て及び分解はどちらも基本的に容易になる。
【0019】2つのシールリング5及び7の相互に向き合う面22及び23は、各々フランジ10及び11によって基本的に完全に被覆され、かつ密接して接触している。このような場合にはフランジ10及び11は各々半径方向フランジとして形成されている。フランジ10及び11は、それぞれ内周側で半径方向に間隔を置いてスライドリング1及び対向リング2を取り囲んでいるので、その結果メカニカルシールの規定通りの使用において、スライドリング1及び対向リング2を形成する衝撃に弱い材料が、半径方向フランジ10及び11により損傷を受けることが排除される。
【0020】2つのシールリング5、7は、間隙24、25に形成された間隔を介してのみ、被密封媒質9と衝突する。さらに第1及び第2シールリング5、7の設置スペースの各々の容積は基本的に一定であり、したがってシールリング5、7が膨潤したとしても空間的に移動することができない、つまり各々のシールリングは各設置スペースから、もしくは各対応する回転リングからはみ出すことができない。したがってシールリング5、7を形成するポリマー材料が被密封媒質9と衝突、接触して、シールリング5、7の膨潤が生じると、スライドリング1と第1回転リング6との間の、及び対向リング2と第2回転リング8との間の半径方向の初期応力が上昇する。
【0021】第1シールリング5は、面12に向いている側で、すなわち面12においてヒダ状ベローズ15の側面のひだ状壁、もしくはひだ状ベローズ15の軸に垂直な壁によって被覆されている。それによって第1シールリング5は面12において被密封媒質9と衝突、接触しない。もしくはぶつからない。
【0022】
【発明の効果】スライドリング(1)及び対向リング(2)を含むメカニカルシールである。このときスライドリング(1)及び対向リング(2)は、密封面(3、4)が相互に回転可能かつ弾力的に当接して、軸方向初期応力によって密封接触しており、スライドリング(1)は第1シールリング(5)を介して第1回転リング(6)と、及び/又は対向リング(2)は第2シールリング(7)を介して第2回転リング(8)と、回転不能に密封結合されている。第1シールリング(5)及び/又は第2シールリング(7)は、それぞれの被密封媒質(9)に対面する表面が各々対応する回転リング(6、8)のフランジ(10、11)によって基本的に完全に被覆されている。このような構成を備える本発明によるメカニカルシールは、規定通りに使用している間に発生するシールリングの膨潤、及びその結果として生じるシールリングの自由表面の移動を防止し、あるいは最小限に抑えることができ、それによって長期の使用において、媒質の種類によらず、各々の回転リングがスライドリング及び対向リングに対して回転不能である配置が保証される。
【出願人】 【識別番号】590002345
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク
【出願日】 平成12年3月29日(2000.3.29)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外2名)
【公開番号】 特開2000−291810(P2000−291810A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願2000−90953(P2000−90953)