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【発明の名称】 オイルシールの潤滑装置
【発明者】 【氏名】高松 伸好

【氏名】辻 義仁

【氏名】田中 征一

【要約】 【課題】内燃機関の、クランクシャフトの、トランスミッション接続側の軸端と、このクランクシャフトを支持する端壁を油密にシールするオイルシールの潤滑装置であって、前記オイルシールに充分な潤滑オイルを供給して、そのオイルシールのシール効果を高めると共にその耐久性を向上させる。

【解決手段】クランクシャフト5の、トランスミッション接続側のジヤーナル軸部5jを軸受部1u,3lを介して回転自在に支持し、この軸受部1u,3lの近傍で、クランクシャフト5の軸端の外周面をシールするオイルシール15を設けたものにおいて、軸受部1u,3lとオイルシール15との間に、その軸受部1u,3lを潤滑した潤滑オイルのオイル戻し通路23を設け、さらにオイル戻し通路23とオイルシール15との間にオイル保持壁20を設け、オイル戻し通路23からオイルシール15に流れたオイルを、オイル保持壁20でオイルシール15内に保持させるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング(1,3;1,4,30)内で回転軸(5)が軸受部(1u,3l;1u,6′)を介して回転自在に支持され、この軸受部と対向して、前記ハウジング(1,3;1,4,30)の端壁に開口したオイルシール取付孔(13)と、前記回転軸(5)の軸端(5f)との間に、オイルシール(15)を設け、このオイルシール(15)と前記軸受部(1u,3l;1u,6′)との間に、その軸受部に供給された潤滑オイルのオイル戻し通路(23)を形成し、このオイル戻し通路(23)を流れる潤滑オイルを、前記オイルシール(15)に供給するようにした、オイルシールの潤滑装置において、前記軸受部(1u,3l;1u,6′)とオイルシール(15)との間に、オイル戻し通路(23)よりオイルシール(15)に供給された潤滑オイルを、オイルシール(15)内に保持させるための、オイル保持壁(20)を設けたことを特徴とする、オイルシールの潤滑装置。
【請求項2】 前記オイル保持壁(20)に、前記オイル戻し通路(23)を流れる潤滑オイルを、オイルシール(15)のリップ部(172 )に指向させるための傾斜案内部(203 ;204 )を形成したことを特徴とする、前記請求項1記載のオイルシールの潤滑装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハウジングに軸受部材を介して回転軸を回転自在に支持し、この軸受部の近くで前記ハウジングの端壁のオイルシール孔と、前記回転軸の軸端との間に設けたオイルシールの潤滑装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用の内燃機関において、回転軸であるクランクシャフトをハウジング(シリンダブロックとクランクキヤップ)に軸受部を介して回転自在に支承し、この軸受部の近くで、クランクシャフトの軸端と、ハウジングの端壁のオイルシール孔間を、オイルシールにより油密にシールすることが一般に行なわれる(実公平6−34565号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで回転軸(クランクシャフト)が高速で回転され、特に、前記公知例のように、その回転軸の軸端(トランスミッション取付側)が軸受部の軸径よりも径大に形成されているものでは、回転軸の高速回転で、オイルシールによりシールされている、その回転軸の軸端の周速度が高くなり、これに起因してオイルシール周りに滞留している潤滑オイルが、前記回転による遠心力を受けてミスト状になって外部に飛散してしまい、潤滑オイルが不足がちとなり、その結果、オイルシールの劣化、昇温を招き、シール効果が充分でなくなるばかりでなく、オイルシールの耐久性が損なわれるという問題がある。
【0004】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、回転軸が高速で回転され、特にに、オイルシールによりシールされるその回転軸の軸端が、その軸受部の軸径よりも径大であっても、そのオイルシールの周りに充分な潤滑オイルを保持させて良好なシール効果が得られるとともにその耐久性を向上させるようにした、新規な、オイルシールの潤滑装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本請求項1記載の発明は、ハウジング内で、回転軸が軸受部を介して回転自在に支持され、この軸受部と対向して、前記ハウジングの端壁に開口したオイルシール取付孔と、前記回転軸の軸端との間に、オイルシールを設け、このオイルシールと前記軸受部との間に、その軸受部に供給された潤滑オイルのオイル戻し通路を形成し、このオイル戻し通路を流れる潤滑オイルを、前記オイルシールに供給するようにした、オイルシールの潤滑装置において、前記軸受部とオイルシールとの間に、オイル戻し通路よりオイルシールに供給された潤滑オイルを、オイルシール内に保持させるための、オイル保持壁を設けたことを特徴としており、かかる特徴によれば、軸受部を潤滑したのち、オイルシールに供給された潤滑オイルは、オイル保持壁によりそのオイルシール内に保持させることができて潤沢な潤滑オイルをオイルシール、特にそのリップ部に供給して、そのオイルシールの潤滑不足による劣化を抑制し、オイルシールの耐久性を向上させることができ、その良好なシールを長期にわたり確保することができる。
【0006】また、前記目的を達成するため、本請求項2記載の発明によれば、前記請求項1記載のものにおいて、前記オイル保持壁に、前記オイル戻し通路を流れる潤滑オイルを、オイルシールのリップ部に指向させるための傾斜案内部を形成したことを特徴としており、かかる特徴によれば、軸受部を潤滑後の潤滑オイルを、オイルシールのリップ部に積極的に導くことができ、オイルシールの潤滑性を一層高めることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】本実施例は、本発明を、四サイクル四気筒内燃機関のクランクシャフトの軸端をシールするオイルシールに実施した場合である。
【0009】まず、図1〜4を参照して、第1実施例について説明するに、図1は、本発明オイルシールの潤滑装置を備えた四気筒内燃機関のクランクシャフトの軸端部周りの縦断面図、図2は、図1の2線矢視の仮想線囲い部分の拡大図、図3は、図2の3−3線に沿う断面図、図4は、図2の4線矢視の仮想線囲い部分の拡大図である。
【0010】以下の説明において、内燃機関のクランクシャフトの補機類の取付側を「前側」といい、またそのトランスミッション取付側を「後側」という。
【0011】図1〜3において、四気筒内燃機関の、四つのシリンダボア2を並列形成したシリンダブロック1のクランクケース部11 の下面には、ロアブロック3が連結ボルト9をもって締結接合され、さらにこのロアブロック3の下面にパッキンを介してオイルパン4が固着されて、前記クランクケース部11 とオイルパン4とによりクランク室Cが形成されており、そのオイルパン4内に、この機関の被潤滑部を潤滑するための潤滑オイルが貯留される。
【0012】前記シリンダブロック1のクランクケース部11 と、ロアブロック3との接合面間には、本発明における回転軸としての、クランクシャフト5が回転自在に支承される。すなわちクランクケース部11 には、その長手方向に間隔をあけて複数の軸受上半部1uが形成され、またロアブロック3には、前記複数の軸受上半部1uに対応して軸受下半部3lが形成され、これらの軸受下半部3lに半円状部を有する軸受キヤップ6が、ロアブロック3の鋳造成型時に一体に鋳込み成型される。そして前記クランクケース部11 の軸受上半部1uと、ロアブロック3の軸受キヤップ6との間には、軸受メタル7を介してクランクシャフト5の複数のジヤーナル軸部5jが回転自在に支承される。前記クランクシャフト5の複数のクランク軸部5cには、コンロッド8の大端部がそれぞれ回転自在に連接されており、これらのコンロッド8の小端部は、前記シリンダボア2に摺動自在に嵌合されているピストン(図示せず)に回動自在に連接されている。
【0013】而して前記シリンダブロック1およびロアブロック3は、本発明における「ハウジング」を構成し、また前記クランクシャフト5は、本発明における「回転軸」を構成し、さらに前記軸受上半部1uと軸受下半部3lは、本発明における「軸受部」を構成している。
【0014】クランクシャフト5の前側の軸端(図1、左側軸端)には、図示しない補機類を駆動するための補機駆動プーリ10が固着される。一方クランクシャフト5の後側の軸端(図1、右側軸端)には、クランクシャフト5の最も後側のジヤーナル軸部5jの近傍で、そのジヤーナル軸部5jよりも径大なフランジ部5fが一体に形成され、このフランジ部5fには、図示しないトランスミッションを接続するためのフライホイール11が取り付けられる。
【0015】クランクケース部11 の後側の端壁の軸受上半部1uと、ロアブロック3の後側の端壁の軸受下半部3lの接合面間には、それぞれ半円状のオイルシール保持部が形成されており、それらのオイルシール保持部には、それぞれオイルシール取付孔13が開口され、このオイルシール取付孔13と、クランクシャフト5の軸端のフランジ部5fとの間に環状のシール空間14が形成され、このシール空間14に、前記オイルシール取付孔13に圧入嵌合される、環状のオイルシール15が装着され、このオイルシール15により、前記シール空間14が油密にシールされる。
【0016】図4に示すように、前記オイルシール15は、金属板製の芯体16を埋入される、環状の合成ゴム製のシール本体17を備え、このシール本体17は、環状の固定部171 の外端側から径方向内方にリップ部172 が一体に延長されており、そのリップ部172 の外周面にリング状のバネ部材18が嵌着される。リップ部172 は、それ自体の弾性およびバネ部材18の弾発力によりクランクシャフト5のフランジ部5f外周面に圧接されて、このフランジ部5fとリップ部172 間の回転摺動面を油密にシールする。
【0017】図4に最も明瞭に示すように、前記オイルシール15の環状の固定部171 の内周面には、このオイルシール15内に潤滑オイルを積極的に保持させるための、本実施例の特徴であるオイル保持壁20が設けられる。このオイル保持壁20は、金属板、合成樹脂板あるいは合成ゴム板により形成され、オイルシール15のシール本体17の固定部171 の内周面に固着される環状の基部201 と、この基部の一側端より径方向内方に向かって一体に起立延長される起立部202 とより、断面L字状に形成されている。そして、その起立部202 は、シール本体17から離れる方向すなわち後述するオイル戻し通路23側に向けて若干傾斜していて、かつ、その先端がフランジ部5fの外周面の近くまで延びており、その径方向の高さは、オイルシール15のリップ部172 の高さと略同じにしてある。そして、オイル保持壁20は、オイルシール15と協働して、そのオイルシール15内にオイル溜室22を形成しており、後に述べるように、オイルシール15内に充分な潤滑オイルを保持できるようにしてある。
【0018】クランクシャフト5の最も後側のジヤーナル軸部5jを支承する、「軸受部」としての軸受上、下半部1u,3lの一側面と、これに対向する前記フランジ部5fおよびオイルシール15の側面との隣接境界部には、クランクシャフト5の軸方向に所定の幅をもち、かつ前記ジヤーナル軸部5jからオイルシール15の外周面近くまで達する環状の第1オイル戻し通路231 が形成されており、前記オイル保持壁20の起立部202 は、この第1オイル戻し通路231 に臨んでいる。また軸受上、下半部1u,3lの他側面と、クランクシャフト5の、前記ジヤーナル軸部5jに続くクランクウエブ部5wの側面間には、オイルパン4内に連通する第2オイル戻し通路232 が形成されており、さらに前記軸受下半部3lの軸受キヤップ6には、クランク軸方向の連通路233 が形成されており、この連通路233 の両端は、前記第1および第1オイル戻し通路231 ,232 に連通されている。そして前記第1オイル戻し通路231 、連通路233 および第2オイル戻し通路232 は、オイル戻し通路23を形成しており、前記ジヤーナル軸部5jを潤滑した潤滑オイルは、このオイル戻し通路23を通ってオイルパン4に還流される。またこのオイル戻し通路23を流れるオイルの一部は、オイルシール15内に導かれ、前記オイルシール15内のオイル溜室22に貯留されるようになっている。
【0019】前記軸受上半部1uには、その前後に開口する軸方向のエア通路25が形成されており、このエア通路25は前記オイル戻し通路23に連通されており、オイル戻し通路13を流れる潤滑オイルの、オイルパン4へ流れを促進するように作用する。
【0020】図1に示すように、前記オイルパン4内には、オイルポンプ26が配設され、このオイルポンプ26の吐出口に接続されるオイル送給通路27は、クランクシャフト5に形成したオイル通路28を通ってクランクシャフト5の、ジヤーナル軸部5j、クランク軸部5c等の複数の軸受部に強制給油される。
【0021】なお、このオイルポンプ26からクランクシャフト5の各軸受部へオイルを強制供給する、オイル供給系は従来公知のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0022】次にこの第1実施例の作用について説明する。
【0023】いま、内燃機関が運転されると、通常のように、オイルポンプ26の駆動によりオイルパン4内のオイルは、クランクシャフト5に形成したオイル通路28を通り、そのクランクシャフト5の複数のジヤーナル軸部5j、クランク軸部5c等に強制的に給油されて、それらの軸受部を潤滑する。
【0024】ところでクランクシャフト5の最も後側のジヤーナル軸部5jを潤滑したオイルは、図2に矢印aで示すように、オイル戻し通路23、すなわち前記第1オイル戻し通路231 、連通路233 および第2オイル戻し通路232 を通ってオイルパン4に還流される。このとき、このオイル戻し通路23を流れるオイルの一部は、この通路23と隣接する、オイルシール15内のオイル溜室22に流れる。そして前記オイル保持壁20の起立壁202 は、オイル戻し通路23側に向かって若干傾斜しており、その先端がそのオイル戻し通路23に臨んでいることにより、潤滑オイルをオイル溜室22に導くように作用する。またオイル溜室22に流れたオイルは、そのオイル戻し通路23とオイル溜室22とを仕切るようにそれらの境界部に設けたオイル保持壁20により、オイル戻し通路23側への流出が抑えられてそのオイル溜室22に貯留され、この貯留潤滑オイルは、クランクシャフト5の回転により攪拌され、クランクシャフト5のフランジ部5fの外周面とオイルシールのリップ部172 との間に飛沫となって潤沢に供給されて、このフランジ部5fの外周面と、オイルシール15のリップ部172 との接触部を良好に潤滑して、その接触部の、摩耗、昇温を抑制し、オイルシール15の、特にリップ部172 の劣化を抑えてその耐久性を向上させ、その結果長期にわたりオイルシール15の潤滑性を高めることができる。そしてこのオイルシールの潤滑構造は、クランクシャフト5が高速回転され、またフランジ部5fが径大で、その外周面の周速度が大きい場合に、特に有効である。
【0025】つぎに、図5,6を参照して本発明の第2実施例について説明するに、図5はオイルシールの潤滑装置の要部断面図、図6はオイル保持壁およびオイルシールの斜視図である。この第2実施例は、オイル保持壁20の構造が、前記第1実施例のものと若干相違しており、すなわちオイル保持壁20は、オイルシール15の固定部171 に固定される基部201 より起立する起立部202 の先端部からその全周にわたって、内方に向かって軸方向内側すなわちオイル戻し通路23側に向かって傾斜する傾斜案内部203 が一体に折り返し形成されている。
【0026】而してこの傾斜案内部203 は、オイル戻し通路23を流れる潤滑オイルを、オイルシール15側に誘導し、かつ、図5矢印bで示すように、クランクシャフト5のフランジ部5fの回転により撥ね飛ばされたオイル飛沫を、オイルシール15のリップ部172 に指向させることができて、前記フランジ部5fと、リップ部172 との接触部に、より潤沢に潤滑オイルを供給することができ、該接触部の潤滑をより良好なものとすることができる。
【0027】なお、この第2実施例において、オイル保持壁20の起立部202 は、その基部201 に対して略直角に起立し、あるいは前記第1実施例のようにオイル戻し通路23側に傾斜させてもよい。
【0028】つぎに、図7を参照して本発明の第3実施例について説明するに、図7は、オイル保持壁およびオイルシールの斜視図である。この第3実施例は、オイル保持壁20の構造が、前記第2実施例のものとさらに若干相違しており、すなわちオイル保持壁20は、オイルシール15の固定部171 に固定される基部201 より起立する起立部202 の先端部に、その周方向に間隔をあけて内方に向かって軸方向外側すなわちオイル戻し通路23側に向かって傾斜する複数の傾斜案内部204 が一体に折り返し形成されている。
【0029】而して複数の傾斜案内部204 も、前記第2実施例と同じく、クランクシャフト5のフランジ部5fの回転により撥ね飛ばされたオイル飛沫を、オイルシール15のリップ部172 に指向させることができて、前記フランジ部5fと、リップ部172 との接触部に、より潤沢に潤滑オイルを供給することができ、該接触部の潤滑をより良好なものとすることができる。
【0030】なお、この第3実施例では、前記複数の傾斜案内部204 は、その数を調整することによりオイル案内量を調整できると共に起立部202 の自由端を補強することができる。また、オイル保持壁20の起立部202 は、その基部201 に対して略直角に起立し、あるいは前記第1実施例のようにオイル戻し通路23側に傾斜させてもよい。
【0031】つぎに、図8を参照して本発明の第4実施例について説明するに、図8は、オイル保持壁およびオイルシールの断面図である。この第4実施例は、オイル保持壁20を、オイルシール15のシール本体17と一体に形成した場合で、その他の構成は前記第1実施例のものと同じである。
【0032】図8において、合成ゴム製のシール本体17の、固定部171 の外側端には、オイル保持壁20がその内方すなわちその中心側に向けて一体に起立形成されている。そしてこのオイル保持壁20は、オイルシール15のシール本体17と協働してオイルシール15内に、オイル溜室22を形成している。そしてその貯留オイルは、そのリップ部172 と、クランクシャフト5のフランジ部5fの外周面との接触面に飛沫となって供給され、前記第1実施例のものと同等の作用効果を奏する。
【0033】なお、この第4実施例によれば、オイル保持壁20がオイルシール15と一体に形成されることにより、部品点数を削減して一層のコストダウンが達成される。
【0034】つぎに、図9を参照して、本発明の第5実施例について説明するに、図9は、オイルシールの潤滑装置を備えたクランクシャフトの軸端部周りの縦断面図である。この第5実施例は、クランクシャフト5の支持構造が、前記第1〜4実施例のものと相違しており、すなわちこの第5実施例では、クランクシャフト5の複数のジヤーナル軸部5jを支持するのに、前記ロアブロック3を用いる代わりに、各ジヤーナル軸部5jを、各単独で支持する複数の軸受キヤップ6′を用いた場合であって、すなわちシリンダブロック1のクランクケース部11 に形成した複数の軸受上半部1uと、そこに締結接合される軸受キヤップ6′とで、クランクシャフト5の複数のジヤーナル軸部5jが回転自在に支持される。そして軸受キヤップ6′は、本発明における「軸受部」を構成している。
【0035】前記クランクケース部11 の後側の端壁と、オイルパン4の後側の端壁との合わせ部には、軸受上半部1uと軸受キヤップ6′よりなる軸受部の軸受孔と同心状に円環状のシールホルダ30がボルト32により固着されており、オイルパン4とシールホルダ30間には、パッキン33が介在される。シールホルダ30の内周面のオイルシール取付孔13には、オイルシール15が圧入嵌合され、このオイルシール15のリップ部172 は、クランクシャフト5のフランジ部5fの外周面を油密にシールする。そしてこの第5実施例では、クランクケース1、オイルパン4およびシールホルダ30が、本発明における「ハウジング」を構成している。
【0036】前記シールホルダ30の、内周面の内端には、その径方向内方に延びる、鍔状のオイル保持壁20が一体に形成されており、このオイル保持壁20は、オイル戻し通路23に臨んでおり、このオイルシール15のシール本体17と協働して前記オイル溜室22を画成している。またオイル戻し通路23は、軸受キヤップ6′とシールホルダ30との間に形成されている通路(図示せず)を介してオイルパン4内に連通している。
【0037】而してこの第5実施例もオイル保持壁20は、オイル戻し通路23を流れるオイルを、オイル溜室22へ誘導することができ、前記第1〜4実施例と同じ作用効果を奏する。
【0038】以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば前記実施例では、本発明を多気筒内燃機関のクランクシャフトの軸受部に実施した場合を説明したが、これを回転軸の軸端と、これを回転自在に支持するハウジングの端壁との間のオイルシール装置に実施することができることは勿論である。
【0039】
【発明の効果】以上のように本請求項1項記載の発明によれば、回転軸の軸受部を潤滑したのち、オイルシールに供給された潤滑オイルは、オイル保持壁によりそのオイルシール内に保持させることができて潤沢な潤滑オイルをオイルシール、特にそのリップ部に供給して、そのオイルシールの潤滑不足による劣化を抑制して、オイルシールの耐久性を高めることができ、その良好なシールを長期にわたり確保することができる。
【0040】また、本請求項2記載の発明によれば、回転軸の軸受部を潤滑したのちの潤滑オイルを、オイルシールのリップ部に積極的に導くことができ、オイルシールの潤滑性を一層高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年4月13日(1999.4.13)
【代理人】 【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開2000−291808(P2000−291808A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−104895