| 【発明の名称】 |
シ−ル構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】加島 光博
【氏名】原 定昭
【氏名】神田 政秀
【氏名】満嶋 弘二
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| 【要約】 |
【課題】シールリングがピストンロッドと接触し、フリクションの増大、摩擦熱による異常摩耗、耐久性の低下を防止する。
【解決手段】ピストンロッド2と、ピストンロッド2を摺動可能に支持するシリンダヘッド1と、ピストンロッド2とシリンダヘッド1との間に介装されたシールリング5とを備えたシール構造において、前記シールリング5はシリンダヘッド1の摺動面に設けられた収納凹部25に収装され、外周部が収納凹部25と密着し、内周部がピストンロッドと密着するリップ部10と、作動油の圧力が上昇し、シールリング5に作用する圧力を収納凹部25の壁面で支持するヒール部11と、ヒール側の内周とピストンロッドとの間の隙間40aとを有し、前記リップ部10の受圧面積を前記ヒール部11の支持面積よりも小さく形成し、ヒール部11の外周と収納凹部25の内周との間に所定のシールリング変形吸収用の隙間40を画成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピストンロッドと、ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングはシリンダヘッドの摺動面に設けられた収納凹部に収装され、外周部が収納凹部と密着し、内周部がピストンロッドと密着するリップ部と、作動油の圧力が上昇し、シールリングに作用する圧力を収納凹部の壁面で支持するヒール部と、ヒール部側の内周とピストンロッドとの間の隙間とを有し、前記リップ部の受圧面積を前記ヒール部の支持面積よりも小さく形成し、ヒール部の外周と収納凹部の内周との間に所定のシールリング変形吸収用の隙間を画成したことを特徴とするシ−ル構造。 【請求項2】 ピストンロッドと、ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングはシリンダヘッドの摺動面に設けられた収納凹部に収装され、外周部が収納凹部と密着し、内周部がピストンロッドと密着するリップ部と、作動油の圧力が上昇し、シールリングに作用する圧力を収納凹部の壁面で支持するヒール部と、ヒール部側の内周とピストンロッドとの間に隙間とを有し、前記リップ部の受圧面積とヒール部の支持面積が略同一に形成される一方、ヒール部の外周と収納凹部の内周との間に所定のシールリング変形吸収用の隙間を画成したことを特徴とするシ−ル構造。 【請求項3】 前記ヒール部の内外周隙間の合計容積は、リップ部の受圧面積投影下の環状円柱体の体積の10〜35%の容積であり、かつ外周部に設けた隙間の容積は内周部の隙間の容積の0.6倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のシール構造。 【請求項4】 前記ヒール部の内外周隙間の合計容積は、シールリングの体積の20〜45%の容積であり、かつ外周部に設けた隙間の容積は内周部の隙間の容積の1.0倍以上であることを特徴とする請求項2に記載のシール構造。 【請求項5】 前記ヒール部の外周隙間をシリンダヘッドの収納凹部に凹状に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項6】 前記ヒール部の外周隙間をシールリングに凹状に設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項7】 前記シールリングのヒール部外周はテーパ形状を有することを特徴する請求項1から4、6のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項8】 前記シールリングのヒール部外周に収納凹部との間で複数の環状隙間を形成する環状溝を形成することを特徴とする請求項1から4、6のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項9】 前記シールリングのリップ部とヒール部の間をテーパ状の中間部で形成し、シールリングの中間部と対面する収納凹部の内周との間に隙間を設けたことを特徴とする請求項1または3に記載のシール構造。 【請求項10】 前記シールリングの中間部とそれに接する収納凹部の内周を円弧状に形成したことを特徴とする請求項1または3に記載のシール構造。 【請求項11】 前記シールリングのヒール部外周を径の異なる複数の段差部にて形成したことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項12】 前記シールリングの外周とシールリングを介装する収納凹部の内周との間の圧力を排出する圧力抜き穴を、シリンダヘッドを貫通するように設けたことを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のシール構造。 【請求項13】 前記シールリングの外周とシールリングを介装する収納凹部の内周との間の圧力をヒール側へ導く圧力抜き溝を設けたことを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載のシール構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油圧シリンダなどのシ−ル構造の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術とその課題】従来、油圧シリンダなどの軸受部のシ−ル構造としては、実開平4−138160号に記載されたものがある。これはシールリングの嵌め込み溝が内外径とも平行で、シールリングの軸方向の受圧面積は内外リップ径全面であり、よってヒール部の支持面積は前記受圧面積とほぼ同じとなっている。 【0003】このため高圧がリップ部に作用すると、これを受けてヒール部の面圧が高くなり、摺動面へのはみ出し変形及び摺動面に対する面圧勾配が大きいため、作動油膜の掻き取り性が大きく、作動条件によっては掻き出しによる油漏れが生じるという問題があった。 【0004】さらに、高圧になるほど、作動油膜の掻き取り性が強くなる構成となっているため、摺動部が無潤滑状態となりフリクションが増大し、摩擦熱が発生し、長時間の連続作動時に、摺動部の熱変質を引き起こし、異常摩耗するという問題も考えられる。 【0005】また特表平9‐504081号には、背面に隙間を有するシ−ルリングにおいて、内外周に隙間を設けた特殊形状シールに関する技術が開示されている。 【0006】これは圧力によるヒール部へのはみ出し防止の目的で、内外径の隙間を可能な限り(材料の変形応力の許容限界まで)大きく取り、特殊形状リングを追求したものと考えられ、単純なテーパ面に依る大容積隙間の付与では、変形応力的に適用圧力に限界があり、特にヒール部内径には高応力が集中し、耐久疲労上から、その適用条件が制限されると考えられる。 【0007】さらに特公平6−100202号に記載のバッファリングとシールリングとを組み合わせた構成では、バッファリングは作動油膜を確保するため完全に密閉する構造となってはおらず、たとえば油圧シリンダの伸縮作動のいずれの場合でもロッド側油室が高圧となる流量再生回路においては、シールリングとバッファリング間の圧力が畜圧され、長時間にわたり負荷圧力が作動する状態では、シールリングへの高圧作用を防止できない。 【0008】本発明は、これらの問題を解決するシ−ル構造を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、ピストンロッドと、ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングはシリンダヘッドの摺動面に設けられた収納凹部に収装され、外周部が収納凹部と密着し、内周部がピストンロッドと密着するリップ部と、作動油の圧力が上昇し、シールリングに作用する圧力を収納凹部の壁面で支持するヒール部と、ヒール部側の内周とピストンロッドとの間の隙間とを有し、前記リップ部の受圧面積を前記ヒール部の支持面積よりも小さく形成し、ヒール部の外周と収納凹部の内周との間に所定のシールリング変形吸収用の隙間を画成した。 【0010】第2の発明は、ピストンロッドと、ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間に介装されたシールリングとを備えたシール構造において、前記シールリングはシリンダヘッドの摺動面に設けられた収納凹部に収装され、外周部が収納凹部と密着し、内周部がピストンロッドと密着するリップ部と、作動油の圧力が上昇し、シールリングに作用する圧力を収納凹部の壁面で支持するヒール部と、ヒール部側の内周とピストンロッドとの間に隙間とを有し、前記リップ部の受圧面積とヒール部の支持面積が略同一に形成される一方、ヒール部の外周と収納凹部の内周との間に所定のシールリング変形吸収用の隙間を画成した。 【0011】第3の発明は、第1の発明において、前記ヒール部の内外周隙間の合計容積は、リップ部の受圧面積投影下の環状円柱体の体積の10〜35%の容積であり、かつ外周部に設けた隙間の容積は内周部の隙間の容積の0.6倍以上である構成とした。 【0012】第4の発明は、第2の発明において、前記ヒール部の内外周隙間の合計容積は、シールリングの体積の20〜45%の容積であり、かつ外周部に設けた隙間の容積は内周部の隙間の容積の1.0倍以上である構成とした。 【0013】第5の発明は、第1から4のいずれか一つの発明において、前記ヒール部の外周隙間をシリンダヘッドの収納凹部に凹状に設けた。 【0014】第6の発明は、第1から4のいずれか一つの発明において、前記ヒール部の外周隙間をシールリングに凹状に設けた。 【0015】第7の発明は、第1から4、6のいずれか一つの発明において、前記シールリングのヒール部外周はテーパ形状を有する。 【0016】第8の発明は、第1から4、6のいずれか一つの発明において、前記シールリングのヒール部外周に収納凹部との間で複数の環状隙間を形成する環状溝を形成する。 【0017】第9の発明は、第1または3の発明において、前記シールリングのリップ部とヒール部の間をテーパ状の中間部で形成し、シールリングの中間部と対面する収納凹部の内周との間に隙間を設けた。 【0018】第10の発明は、第1または3の発明において、前記シールリングの中間部とそれに接する収納凹部の内周を円弧状に形成した。 【0019】第11の発明は、第1から6のいずれか一つの発明において、前記シールリングのヒール部外周を径の異なる複数の段差部にて形成した。 【0020】第12の発明は、第1から11のいずれか一つの発明において、前記シールリングの外周とシールリングを介装する収納凹部の内周との間の圧力を排出する圧力抜き穴を、シリンダヘッドを貫通するように設けた。 【0021】第13の発明は、第1から11のいずれか一つの発明において、前記シールリングの外周とシールリングを介装する収納凹部の内周との間の圧力をヒール側へ導く圧力抜き溝を設けた。 【0022】 【発明の作用および効果】本発明、特に第1から11の発明では、リップ部に作用する圧力によってシールリングが変形する体積に相当する容積を有する隙間をヒール部の外周側に設けたので、このような隙間を設けたことによって、作用圧力によるシールリングの変形をこの隙間に導き、シールリング内周側への変形をほとんど無視できるほどに小さくでき、ヒール部のピストンロッドとの干渉を防止し、フリクションの増大や摩擦熱によるシールリングの異常摩耗や耐久性能の低下といった不具合を解消することが可能となる。 【0023】さらにヒール部のピストンロッド側への変形を抑止することができるので、耐圧性能を向上することもでき、従来以上の高圧条件下でもシール性、耐久性を確保することができる。 【0024】第12、13の発明では、支持部材に圧力抜き穴もしくはシールリングに圧力抜き溝を設けたので、圧力抜き穴または溝を用いて隙間内の圧力を大気圧側へ排出することができ、隙間に残留した流体がシールリングの変形を阻止することを防止できる。 【0025】 【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0026】図1から図3に示すように、液圧シリンダ20のピストンロッド2がシリンダヘッド1の摺動孔21を摺動自由に貫通し、この貫通部には軸受部30が形成される。この軸受部30には軸受4と、シールリング5が配置され、さらに最も外側に位置してダストシール9が備えられる。軸受4とダストシール9はそれぞれ溝24と29に圧入され、シールリング5は摺動孔21に形成した収納凹部25に収装される。 【0027】このシールリング5は、後で詳しく述べるように、液圧シリンダ20のロッド側油室3に直接的に開口する収納凹部25に装着され、作動油の圧力を直接的に受けるリップ部10と、リップ部10に作用する圧力をシリンダヘッド1の収納凹部25で受けるヒール部11と、これらリップ部10とヒール部11を結ぶ中間部12から構成される。 【0028】リップ部10は内周リップ10aと外周リップ10bとに大別され、リップ部10の外周リップ10bの外径がヒール部11の外径よりも小さく形成されるとともに、中間部12の外径はリップ部側からヒール部側に向けて徐々に拡大するテーパ面12aで形成されている。 【0029】このシールリング5を収納するシリンダヘッド1の収納凹部25も、シールリング5の外形に基本的には対応した溝断面を持ち、リップ部10の外周リップ10bの外周に接するロッド軸心と平行なリップ底壁25a、中間部12の外周のテーパ面12aに接する傾斜壁部25b、ヒール部11の支持面11aに接するロッド軸心と直交するヒール壁25c及びヒール部11の外周部11bと所定の隙間40を画成するヒール底壁25dの壁からなり、リップ部10に作用する油圧力が直接的にヒール部11および中間部12に作用しないように(すなわち作動油がヒール部11および中間部12に漏れないように)、リップ部10の外周リップ10bの外周が収納凹部25のリップ底壁25aの内面に、また内周リップ10aがピストン2の外周に一定の締代を持って密着するようになっている。 【0030】換言するとリップ部10の受圧面積Amは、シールリング組み付け時のリップ部10の外周とピストンロッド2と摺動する内周との間の環状域となり、これに対してヒール部11の外周と内周との間の環状域がヒール部11の支持面積Asとなり、これらの関係は、Am<Asとなる。 【0031】なお、図3に示すように、シールリング5の自由状態では、リップ部10の内周側のリップ10aがピストンロッド2に所定の圧力で接触するように内径側に締代分縮径して形成され、外周側の外周リップ10bの外周は外径側に締代分拡径して形成され、収納凹部25に内面密着する。 【0032】そして本発明では、ヒール部11の外周部11bと収納凹部25のヒール底壁25dとの間に高圧作用時のシールリング5の圧縮変形分を吸収する環状の隙間40を形成するようにしており、その必要容積など詳細については下記の作用とともに説明する。 【0033】また収納凹部25のリップ底壁25aは連通穴15を介してロッド側油室3に直接連通しており、リップ底壁25aと連通穴15はほぼ同じ径を有している。 【0034】以上のように構成され、次に作用につき説明する。 【0035】図4に示す従来のものはシールリング50の嵌め込み溝が内外径とも平行であり、シールリング50のリップ部55の受圧面積Apが大きく、ヒール部56の支持面積Asとほぼ同じとなっている。よってリップ部55に作用する圧力に起因する推力は大きくなり、ヒール部56の面圧も大きくなる。従ってヒール部56はつぶされて変形しようとするが、外径側はシリンダヘッド1によって拘束されており、変形はピストンロッド2側へ集中することになる。これによって、ヒール部56の一部がピストンロッド2に強く接触し、フリクション増加等の問題を引き起こすことになる。 【0036】これに対して、図5に示す本発明の形状のものは、リップ部10の受圧面積Amを小さくしたので、シールリング5に作用する推力を抑え、ヒール部11の面圧を低下することができる。これにより、シールリング5の変形を小さくすることが可能であり、ヒール部11のヒール部角部11iがピストンロッド2に向けてのはみ出しを極力防止することができ、フリクションの低減による異常摩耗や作動油の掻き出しによる油漏れを防止することができる。よって低フリクション化により液圧シリンダー等の制御の精度を向上させることができる。 【0037】また一方で、リップ部10に作用する圧力を増大することも可能であり、これによって従来、シールリング5への圧力を制限するために設けられていたバッファリング等の減圧部材を廃止することも可能である。 【0038】さらに、中間部12の外形をリップ部10からヒール部11に向けて徐々に拡大するテーパ面12aで形成したので、リップ部10の圧力分布がそのままヒール部11の支持面11aに作用することなく、テーパ面12aに沿うように圧力分布も分散し、ヒール部11ではヒール部11の支持面11a全面にわたり圧力を分散分布とすることができる。よって、ヒール部11に作用する圧力はリップ部10の作用圧力に対して、その面積比で小さくすることができる。 【0039】次に本発明の最も特徴のある部分であるヒール部11の外周部11bに設けられた環状の隙間40について説明する。 【0040】シールリング5のヒール部11外周部11bと環状凹部25のヒール底壁25dとによって画成される環状の隙間40の容積は、リップ部10の受圧面積投影下の体積を受圧面積で除することによって定まる環状円柱の高さHが、リップ部10に作用する圧力によって変形する体積に相当するように環状の隙間40の容積は設定されており、このように設定することにより、圧力が作用することによるシールリング5の変形、すなわち環状円柱の高さHの減少分に相当する体積はそのほとんどが隙間40に入り込むことによって吸収され、シールリング5の内径の変形はほとんどなく、摺動部のフリクションの増加や油漏れといったシールリング5の内径側の寸法変化によって引き起こされると考えられる不具合を確実に防止することができる。 【0041】したがってシールリング5に作用する圧力の広範な領域で、シールリング5の内径側寸法変化を抑えることができ、高圧域まで安定したシール機能を発揮することが可能である。 【0042】ところで、発明者らはシールリングの変形を環状円柱体の変形と見做し、下面を支持し、上面に一定の分布荷重を負荷した環状円柱状のモデルを作成し、内外周の支持条件を変化させて、モデルの変形を確認する解析を行った。 【0043】その結果、表1に示すように内外周をフリー状態にするとモデルは内外周ともに拡径し、内周をフリー状態、外周を拘束状態にすると、内周が縮径することがわかった。 【0044】 【表1】
【0045】この結果より、本発明のように外径の拡径を制御することによって、内径の変形をゼロとすることができることを確認した。 【0046】発明者がさらに詳細に内径変形をゼロにする条件を検討した結果では、隙間40と隙間40以外に存在する隙間、例えばシールリング5の内径部とピストンロッド2との摺動面に存在する隙間40a等の総容積は、シールリング5の体積の10〜35%に相当する容積であることが望ましく、かつシールリング5の外周側に存在する環状の隙間40を含む外周側隙間の総容積は、内周側隙間の総容積の0.6倍以上の容積を確保することが望ましいことがわかった。 【0047】図6に第2の実施形態を示し、これは収納凹部25のヒール底壁25dに対面するシールリング5のヒール部11近傍の外周部11bをテーパ形状とし、収納凹部25とヒール部25との間に三角形断面の環状隙間41を形成したものである。つまりシールリング5の変形吸収隙間40は、シールリング5側に設けてもよいのである。 【0048】図7に第3の実施形態を示す。これは収納凹部25のヒール底壁25dとシールリング5のヒール部11外周部11bを接するようにした上で、ヒール部25外周部11bに複数の環状隙間42を設けたものである。 【0049】図8に第4の実施形態を示す。これはヒール部11の外周部11bと収納凹部25のヒール底壁25dとの間の隙間40に加えて、シールリング5の中間部12のテーパ面12aと収納凹部25の傾斜壁部25bとの間にも隙間43を設けたものである。 【0050】図9に第5の実施形態を示す。これはシールリング5の中間部12のテーパ面12aとそれに接する収納凹部25の傾斜壁部25bを円弧状に形成したものであるが、ヒール部11の外周部には、上記と同様に隙間40が形成される。 【0051】なお本実施形態ではシールリング5の形状が、リップ部10の受圧面積とヒール部11の支持面積とが異なるシール形状で説明したが、この形状に特定されるものではない。 【0052】すなわち従来の受圧面積と支持面積とがほぼ同じシール構造にも適用可能であり、この場合について次に説明する。 【0053】図10に第6の実施形態として本発明を従来の環状円柱形状を有するシールリングに適用したものを示す。第1の実施形態と相違する部分は、シールリングが受圧面積と支持面積とがほぼ同じシールリング5に変更になっていること、シールリング5のリップ部10は油室3への移動を制限する環状の壁41が設けられることがあげられる。 【0054】すなわち収納凹部25は、シールリング5のリップ部10の密着するリップ底壁25aの径と、ヒール部11との間に隙間40を画成するヒール底壁25eの径とは異なり、ヒール底壁25eの径が大きい構成となる。この場合にも、リップ部10に高圧が作用したときに、ヒール部11の圧縮変形部分は隙間40に吸収され、ロッド摺動面側への変形が阻止される。 【0055】この場合のシールリング5の隙間40の容積について説明する。 【0056】隙間の必要容積については第1の実施形態と同様に考え、発明者の検討によれば、隙間の総容積は、シールリング5の体積の20〜45%に相当する容積であることが望ましく、かつシールリング5の外周側に存在する隙間40を含む外周側隙間の総容積は、内周側隙間40aの総容積の1.0倍以上の容積を確保することが望ましい。 【0057】図11に第7の実施形態を示し、シールリング5のヒール部11外周部11bを径の異なる段差部にて形成し、段差部と収納凹部25との間で隙間44を設けたものである。 【0058】これら第2から7の実施形態は、第1の実施形態で説明したシールリング5が圧力によって変形したときの逃げ部としての隙間の他の形状を示しており、隙間の必要容積に基づいて隙間の容積を決定することは言うまでもない。 【0059】さらに図12に第8の実施形態を示し、これは前記シールリング5の外周部と収納凹部25の内周部との間の圧力を大気圧のヒール部11へ排出する圧力抜き溝14を設けたものである。なおリップ部10は油室3の高圧が直接作用するが、ヒール部11は圧力が遮断され、通常は大気圧に近い圧力に維持されている。 【0060】このような構成とすることで、シールリング5の中間部12と収納凹部25の傾斜壁部25bとの間に残留した流体及び隙間45の封入流体が圧力抜き溝14より大気圧のヒール部11側へと排出されるので、封入流体がシールリング5の変形を阻止するのを防止できる。 【0061】図13に第9の実施形態を示す。これはシールリング5の中間部12の外周部とシールリング5を介装する収納凹部25の内周部(傾斜壁25b、ヒール底壁25d)との間の封入流体を排出する圧力抜き穴13をシリンダヘッド1を貫通し、シールリング5の外周部に臨むように設けたものである。 【0062】このような構成とすることで、圧力作用時に隙間46に存在する封入流体が圧縮され、シールリング5の変形を阻止する恐れがあるが、圧縮される封入流体の逃げ道としての圧力抜き穴13を設けることによって防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000929 【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月7日(1999.4.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−291805(P2000−291805A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月20日(2000.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−99703 |
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