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【発明の名称】 シリンダヘッドカバーのシール構造
【発明者】 【氏名】中西 博文

【要約】 【課題】エンジンの一部を構成するシリンダヘッドカバーにヘッドカバーガスケットを簡易に組み付け、シール性を向上させるシリンダヘッドカバーのシール構造を提供する。

【解決手段】シリンダヘッドカバー1の全周縁の合わせ面に設けた複数のガスケット取付用突起とヘッドカバーガスケット3に設けた複数の取付用孔を嵌合させてヘッドカバーガスケット3を装着し、ヘッドカバーガスケット3にこれより弾性硬度のあるボルト固定部ガスケット12を一体成形し、ボルト固定部ガスケット12に金属製のスぺーサ13を組み込んだ。ボルト8でシリンダヘッドカバー1をシリンダヘッド4に締結した時、必要以上にヘッド.カバーガスケット3が潰れずシール性が向上する。また、シリンダヘッドカバー1とシリンダヘッド4とがフローティング構造となり、振動騒音が低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットの弾性硬度を前記ヘッドカバーガスケットの弾性硬度より大きくしたことを特徴とするシリンダヘッドカバーのシール構造。
【請求項2】 シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットにボルト孔を囲繞したスぺーサを組み込んだことを特徴とするシリンダヘッドカバーのシール構造。
【請求項3】 シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットの弾性硬度を前記ヘッドカバーガスケットの弾性硬度より大きくし、かつ、前記ボルト固定部ガスケットにボルト孔を囲繞したスぺーサを組み込んだことを特徴とするシリンダヘッドカバーのシール構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用エンジンのシリンダヘッドにシリンダヘッドカバーを被冠させるときに合わせ面を液密となるようにしたシリンダヘッドカバーのシール構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用エンジンはシリンダヘッドにシリンダヘッドカバーを被冠させてシリンダヘッド上のオイルやブローバイガスを外部と遮断させている。このため、シリンダヘッドとシリンダヘッドカバーとの間にガスケットを介挿させシール性を高めている。図6に示すシリンダヘッドカバー1の内側には、周縁全周にガスケット挿入溝2が輪状に形成され、図7に示す輪状のヘッドカバーガスケット3がガスケット挿入溝2に装着されるようになっている。
【0003】ヘッドカバーガスケット3の断面形状は図8(a)に示すように、中央に長手方向に連続する突起3aが形成されて断面略凸形状にされ(特公平8-26940 号公報、実公平6-691 号公報参照)、この突起3aの幅L1に対し、図7及び、図8(b)、(c)に示すように、所定間隔で幅広の箇所a(幅L2)が設けられている。図9に示すように、シリンダヘッドカバー1をシリンダヘッド4に装着するときには、シリンダヘッドカバー1の周縁にヘッドカバーガスケット3を装着する。このとき、断面四角形状のガスケット挿入溝2にヘッドカバーガスケット3の突起3aを圧入する(実用新案登録公報第02526981号参照)。
【0004】図6に示すように、シリンダヘッドカバー1の周縁にはシリンダヘッド4に固定するためのボルト固定部5がガスケット挿入溝2の外側に適宜間隔で設けられ、固定用ボルト孔6の外側にヘッドカバー部リブ(ヘッド接触部)7を形成している。図10に示すように、ボルト8でシリンダヘッドカバー1を固定するとヘッドカバー部リブ7がシリンダヘッド4に圧接されるようになり、ヘッドカバーガスケット3はシリンダヘッドカバー1とシリンダヘッド4との間に密着される。図10に示す符号6’はヘッドカバーガスケット3のボルト孔である。
【0005】シリンダヘッドカバー1とシリンダヘッド4との組み付け作業においては、ヘッドカバーガスケット3の突起先端に接着剤を付けてガスケット挿入溝2に入れるのでヘッドカバーガスケット3の装着面を下に向けても接着効果により脱落を防止することが可能である。また、シリンダヘッド4にシリンダヘッドカバー1をボルト8で締結するとき、ヘッドカバー部リブ7がシリンダヘッド4に当接するのでヘッドカバーガスケット3が必要以上に潰れないという利点があった。また、この他にもボルト取付孔の周囲のヘッドカバーガスケットの厚さを変化させてヘッドカバーガスケットに生じる熱応力を低減するという手段もある(特開平6-265024号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図6、図10に示したようなシリンダヘッドカバー1のシール構造では、ヘッドカバーリブ部7がボルト8の締め付けによりシリンダヘッド4に接触するようになるため、ヘッド部動弁系振動騒音がシリンダヘッドカバー1に伝わり、エンジンとガスケットとの構造上、振動騒音が増加する虞がある。また、図7に示すa部のガスケット突起幅L2は他の突起幅L1より広く、ガスケット挿入溝2に押し込んで装着するが、溝方向に伸び縮みを生じ装着に手間が掛かることになる。また、ヘッドカバーガスケット3を接着剤を塗布してガスケット挿入溝2に固定するのでオイル漏れの防止にもなるが、コストアップや工数アップになり、作業の改善が望まれている。また、ヘッドカバーガスケット3の突起3aをガスケット挿入溝2に全周連続して押し込み取り付けるため、また、ガスケット挿入溝2が全周凹状なので、溝方向(矢印a,b方向)の位置ずれが生じ易く位置が定まりにくい。
【0007】本発明は、組付けを簡易にすると共に振動騒音を低減させ、シール性を向上させるようにしたシリンダヘッドカバーのシール構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットの弾性硬度を前記ヘッドカバーガスケットの弾性硬度より大きくしたことを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットにボルト孔を囲繞したスぺーサを組み込んだことを特徴とする。また、該スペーサは合成樹脂または金属部材で製作し、スぺーサがボルト固定部ガスケットに一体にされているので、ボルト固定部ガスケットの厚み方向全体のクッション性が硬くなる。
【0010】請求項3の発明は、シリンダヘッドカバーの周縁のシリンダヘッドへの合わせ面に適宜間隔でガスケット取付用突起を設け、ヘッドカバーガスケットに前記ガスケット取付用突起に対応して取付用孔を形成し、前記シリンダヘッドカバーの周縁に適宜間隔で設けたボルト固定部に対応して、前記ヘッドカバーガスケットに一体成形によりボルト固定部ガスケットを延設し、前記ボルト固定部ガスケットの弾性硬度を前記ヘッドカバーガスケットの弾性硬度より大きくし、かつ、前記ボルト固定部ガスケットにボルト孔を囲繞したスぺーサを組み込んだことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。まず、図5に示すように、エンジン上部のシリンダヘッドカバー1は弾性を有するヘッドカバーガスケット3を挟んでシリンダヘッド4に被冠され、ボルト8で締結されるようになっている。シリンダヘッドカバー1の内側は、図4に示すように、全周縁にシリンダヘッド4への合わせ面1aが形成され、合わせ面1aの周方向に適宜間隔でガスケット取付用突起9が形成されている。また、合わせ面1aにボルト固定部5の位置を設定し、固定用ボルト孔6が開けられている。なお、図4、図5の符号10はブリーザプレートである。
【0012】図3に示すヘッドカバーガスケット3はガスケット取付用突起9に対応する取付用孔11を設けている(図1(a)参照)。取付用孔11は有底であるが、貫通させても良い。また、シリンダヘッドカバー1のボルト固定部5は平らな合わせ面1aに設けられ、ヘッドカバーガスケット3はボルト固定部5位置に延出するボルト固定部ガスケット12を一体成形により設け、さらに、ボルト固定部ガスケット12内部には合成樹脂または金属で製作された環状のスぺーサ13が組み込まれている(図2(a)参照)。そして、ボルト固定部ガスケット12の弾性硬度をヘッドカバーガスケット3の弾性硬度より大きくさせている。
【0013】次に、ヘッドカバーガスケット3を装着したシリンダヘッドカバー1のシール構造の作用について説明する。図1及び図4に示すように、シリンダヘッドカバー1の合わせ面1aに形成したガスケット取付用突起9にヘッドカバーガスケット3に形成した取付用孔11を合わせて嵌合することで、シリンダヘッドカバー1の全周に輪状のヘッドカバーガスケット3を容易に取り付けることができ(図1(b)参照)、従来のように全周のガスケット挿入溝に挿入する構造に比べ取り付けが容易になり、適宜間隔に設けたガスケット取付用突起9でヘッドカバーガスケット3を位置決めさせているので周方向(図4矢印a、b方向)にずれることもない。また、従来のヘッドカバーガスケット3の装着(周方向の溝に突起を挿入)に対し、本発明ではガスケット取付用突起9を取付用孔11に挿入するので(従来の軟材料の自由変形に対し、閉回路変形であるため)、ヘッドカバーガスケット3が強く結合し、シリンダヘッドカバー1をシリンダヘッド4に取り付けるとき、シリンダヘッドカバー1の合わせ面1aを下向きにしてもヘッドカバーガスケット3が脱落しないようになる。
【0014】また、図2(a)に示すように、シリンダヘッドカバー1の合わせ面1a全体にヘッドカバーガスケット3とボルト固定部ガスケット12とが貼り付くので、シリンダヘッド4とシリンダヘッドカバー1はフローティング構造となり、シリンダヘッド4とシリンダヘッドカバー1は直接接触しないようになる。また、ボルト固定部ガスケット12の内部に環状のスぺーサ13が組み込まれ、かつ、ボルト固定部ガスケット12の弾性硬度はヘッドカバーガスケット3の弾性硬度より高いため、シリンダヘッドカバー1をボルト8で締め付け固定したとき(図2(b)参照)、ガスケットつぶれ性に対し十分な弾性硬度のある構造となっている。
【0015】
【発明の効果】本発明は以上述べた通りであり、請求項1に記載の発明では、シリンダヘッドカバーとシリンダヘッドはヘッドカバーガスケットとボルト固定部ガスケットにより直接接触する箇所がなくフローティング構造となるため、シリンダヘッド部動弁系の振動騒音がシリンダヘッドカバーに伝わりにくく、エンジンとガスケットとの構造上の振動騒音を低減することができる。また、従来のように接着剤を使用してヘッドカバーガスケットの脱落を防ぐのに対し、ガスケット取付用突起と取付用孔によって装着を確実にするのでコストダウン、工数低減を図ることができる。また、シリンダヘッドカバーの取り付け時、ヘッドカバーガスケットの剥れを防止し、オイル漏れ防止を良好にする。また、ガスケット取付用突起が全周縁に所定間隔で設けられているので、ヘッドカバーガスケットの取り付けの際の位置ずれを防ぐことができる。また、ボルト固定部ガスケットの弾性硬度がヘッドカバーガスケットの弾性硬度より高いので、ボルト締結時にヘッドカバーガスケットを必要以上に潰すことはなくシール性を向上させる。
【0016】請求項2の発明では、ボルト固定部ガスケットにスペーサを一体成形で設けたので、ボルトでシリンダヘッドカバーを締結したとき、ヘッドカバーガスケットを必要以上に潰すことはなく、シール性を向上させる。また、請求項3の発明では、ボルト固定部ガスケットの弾性硬度がヘッドカバーガスケットの弾性硬度より高く、ボルト固定部ガスケットにスペーサを一体成形で設けたので、ボルトの締結状態を向上させ、シール性を向上させる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成11年3月31日(1999.3.31)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2000−283294(P2000−283294A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−91589