| 【発明の名称】 |
密封装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山村 章
【氏名】石崎 博久
|
| 【要約】 |
【課題】磁性流体を用いた密封装置において、磁性流体の事前注入を容易にし、又、磁性流体の所定部への保持を容易にし耐圧を向上する。
【解決手段】メディア側の非磁性体外側遮蔽体5とベアリング2側の非磁性体外側遮蔽体6と環状磁性体10、11を介して挾まれた環状磁石4と、これらで構成される空間内に端部を挿入する内側遮蔽体7とよりなり、内側遮蔽体7の端部の周辺空間内に磁性流体9を保持し、内側遮蔽体7の前記空間外及び内径接着部以外の表面に撥油性材料を被覆してなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 メディア側とベアリング側との間にあって、同軸状に相対回転する部分を密封する装置であって、メディア側の非磁性体外側遮蔽体とベアリング側の非磁性体外側遮蔽体とで挾まれた環状磁石と、該メディア側の外側遮蔽体とベアリング側の外側遮蔽体と環状磁石とで形成される空間内に端部を挿入する非磁性体内側遮蔽体とよりなり、内側遮蔽体の端部の周辺空間内に磁性流体を保持し、かつ、内側遮蔽体の前記空間及び内径接着部外の表面に撥油性材料を被覆してなり、前記外側遮蔽体の環状磁石側に、環状磁石の内径と同じかあるいは同内径より小さい内径を有する環状磁性体を配置してなることを特徴とする密封装置。 【請求項2】 外側遮蔽体の環状磁石側の環状磁性体は外側遮蔽体に添着してなるものである請求項1記載の密封装置。 【請求項3】 外側遮蔽体の環状磁石側の環状磁性体は外側遮蔽体と一体成形したものである請求項1記載の密封装置。 【請求項4】 メディア側の外側遮蔽体の内径よりベアリング側の外側遮蔽体の内径の方が大である請求項1ないし3のいずれかに記載の密封装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、情報産業における磁気記録媒体を駆動するスピンドルモータやその他の分野に適用する磁性流体を用いた密封装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の密封装置は、図5に示すように、ハウジング21にボールベアリング22を介して回転自在に支持された回転軸23において、メディア側(図の上方)とボールベアリング22側との間に環状磁石24を介在させ、その両側に内径が回転軸23の直径よりやや大きいポールピース25、26を設け、そのポールピース25、26と回転軸23との間にできる間隙に磁性流体27を介在させ、これを環状磁石24の磁力によって同上間隙に保持し、両側の空間を遮断密封するようにしたのである。 【0003】しかしながら、このような構成の密封装置では、シャフトを磁性体にする必要がある。磁性流体のにじみを防止するため研磨が必要である、などの他、回転軸23とハウジング21との相対回転が始まると、磁性流体27に遠心力が働き、その遠心力が許容範囲を越えるとシールの破壊が起こることとなる。又、通常は注入されている磁性流体に、ハンドリング時手が触れないようにカバー29が装着されているが、その装着スペースの分装置を大きくしている。 【0004】そこで、図6に示すようにポールピース25、26の間に反対側から内側遮蔽板28を設けて、ハウジング21と回転軸23との間隙をコ字状に迂回させて、回転時には遠心力を利用して磁性流体27を環状磁石24側に移動させるようにして、磁力線と相俟って磁性流体27の保持を確実にする装置が開発されている(特公平7−54153号公報、USP4200296等参照)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の改良された従来技術においては、磁性流体をコ字形の迂回通路に注入することが困難で、実機に組立ててから磁性流体を注入することはかなりの作業量となり、また実機へ装着後は磁性流体の注入量の管理が困難であるなど、生産上の問題点である。そこで、予め磁性流体を注入した状態で納品することの提案(USP4252353参照)がなされている。しかしこのような提案は未だ実用機器に採用されてはいない。 【0006】この発明では、このような観点から、スピンドルモータ装着前に磁性流体を所定箇所に容易に注入できるようにし、又、移送中や取付作業中に磁性流体が漏れることがないような密封装置を提供する。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明は、下記(1)〜(4)よりなる。 【0008】(1)メディア側とベアリング側との間にあって、同軸状に相対回転する部分を密封する装置であって、メディア側の非磁性体外側遮蔽体とベアリング側の非磁性体外側遮蔽体とで挾まれた環状磁石と、該メディア側の外側遮蔽体とベアリング側の外側遮蔽体と環状磁石とで形成される空間内に端部を挿入する非磁性体内側遮蔽体とよりなり、内側遮蔽体の端部の周辺空間内に磁性流体を保持し、かつ、内側遮蔽体の前記空間及び内径接着部外の表面に撥油性材料を被覆してなり、前記外側遮蔽体の環状磁石側に、環状磁石の内径と同じかあるいは同内径より小さい内径を有する環状磁性体を配置してなることを特徴とする密封装置。 【0009】(2)外側遮蔽体の環状磁石側の環状磁性体は外側遮蔽体に添着してなるものである前記(1)記載の密封装置。 【0010】(3)外側遮蔽体の環状磁石側の環状磁性体は外側遮蔽体と一体成形したものである前記(1)記載の密封装置。 【0011】(4)メディア側の外側遮蔽体の内径よりベアリング側の外側遮蔽体の内径の方が大である前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の密封装置。 【0012】すなわち、メディア側の外側遮蔽体とベアリング側の外側遮蔽体と環状磁石として形成される空間内に、内側遮蔽体の端部を挿入してなる密封装置の主要構成単位の内側遮蔽体の前記空間外の表面に、例えばテフロンなどの撥油性材料を被覆することによって、空間内へ磁性流体を注入しやすくなり、移送中や取付作業時などにおいて磁性流体端部の表面張力が大きくなり、移送中や取り付け作業中などにおいて磁性流体がもれることがなくなる。また、磁性流体注入時に撥油性材料へ付着した磁性流体も磁力により内径部端部へ引き寄せることが可能となる。 【0013】そして、本発明では、前記非磁性体外側遮蔽体の環状磁石側に、環状磁性体を設けてなる。環状磁性体は、環状磁石の内径と同じかあるいは同内径より小さい内径を有するものであり、これは外側遮蔽体に添着してもよいし、外側遮蔽体を例えば合成樹脂で成形する場合にそれと一体成形してもよい。一体成形は、外側遮蔽体の厚さの一部としてもよいし、長さの一部としてもよい。 【0014】環状磁石に環状磁性体を隣設せしめると、環状磁石の内径側において、環状磁性体との間に局部的な磁束の流れが発生し、環状磁石単体のときよりも磁束密度を高める。したがって、磁性流体を空間内に注入する場合に、磁性流体を注入しやすくなり、また、静止状態における耐圧が高くなる。また、環状磁性体の内径を環状磁石の内径よりも小さくすると、局部的な磁束の流れが内側から外側に向くこととなり、それが磁性流体の注入時における注入方向となって、磁性流体の注入がより容易となる。 【0015】又、メディア側の外側遮蔽体の内径よりベアリング側の外側遮蔽体の内径の方を大きくすることにより、空間室を形成するメディア側の外側遮蔽体の長さがベアリング側の外側遮蔽体より長くなる。実機に装着した場合、メディア側の圧力の方がベアリング側の圧力より低くなるので、磁性流体はメディア側に移行する傾向がある。したがって、メディア側の外側遮蔽体を長くしておくと、磁性流体が圧力差によってメディア側に多少移動してもその外側遮蔽体の長さが長いので、磁性流体がメディア側外側遮蔽体内縁端部を乗り越える恐れがなくなる。逆にベアリング側の外側遮蔽体の内径を大きくすることは、磁性流体保持部に近づき磁性流体の注入入口を広く確保することとなり、磁性流体の注入が容易となる。 【0016】内側遮蔽体の端部を外側遮蔽体には接触しない程度の磁性体のT型、L型に形成することによって内径部の端部の磁場を強くすることができる。したがって、その保持が一層強固となり、磁力により磁性流体の注入も容易となる。また、静止時耐圧も高くなる効果がある。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。 【0018】図1は、この発明の基本的な実施例を示す。ハウジング1にボールベアリング2を介して相対回転自在に支持された回転軸3を有する装置において、メディア側(図の上方)とベアリング側との気密を保持するための密封装置を設けた例である。図1は回転中心軸Cを中心にして回転運動するものであるが、左側の部分は記述を省略している。4は環状磁石で、5はメディア側の非磁性体外側遮蔽体、6はベアリング側の非磁性体外側遮蔽体である。これらの外側遮蔽体をもって、前述の環状磁石を両面から挾む。これらはすべて環状で、その内径は環状磁石4、ベアリング側外側遮蔽体6、メディア側外側遮蔽体5の順で小さくなっている。したがって、三者によって断面コ字形の環状空間が形成されており、その空間を形成するメディア側外側遮蔽体5の方がベアリング側外側遮蔽体6よりも内側に長くなっている。本発明では、環状磁石4とそれぞれの外側磁性体5、6との間に環状磁性体10、11を挾着している。図1の例では環状磁石4と環状磁性体10、11のそれぞれの内径は同じとしてある。 【0019】このような空間の内部に内側遮蔽体7の端部をその先端が環状磁石4の内周面に接触しないように挿入し固定されている。内側遮蔽体7の前記空間及び内径接着部外の両面には撥油性材料よりなる被覆8を設ける。そして、空間内の奥に磁性流体9を保持する。この磁性流体9を空間内に予め注入するときは、ベアリング2側から注入すると開口部が比較的広いことと、内側には撥水性材料よりなる被覆8があるためにその方向への磁性流体9の移動が規制されて空間側へスムースに移行することとなる。同時に空間内の奥の環状磁石4の磁束に加えて、環状磁石4と環状磁性体10、11との間にも局部的な磁束の流れが生じて、全体として磁性流体9の空間側への移動を促進することとなり、磁性流体の注入が容易となる。さらに静止時における耐圧も高まる。 【0020】図2は環状磁性体10、11の内径を環状磁石4よりも小さくして、環状磁性体10、11の内側端部を環状磁石4の内側より突出させた形状とする。こうすることにより、環状磁性体10、11の内側端部から環状磁石4に向かう局部的な磁束の流れを生じさせ、磁性流体9の注入を容易にするとともに静止時における耐圧も高くする。 【0021】図3は外側遮蔽体5、6に環状磁性体10、11を同時成形により一体化した例である。すなわち、外側遮蔽体5、6の厚さの一部を環状磁性体10、11に置き換えて同時成形したものである。環状磁性体10、11の長さは図2の場合と同様である。もちろん、図1の場合と同様にしてもよい。 【0022】図4は外側遮蔽体5、6の外径側部分をそっくり環状磁性体10、11に替えて一体成形したものである。 【0023】図2〜4における符号は図1と同一名称部分を同一符号をもって示してある。 【0024】 【発明の効果】この発明は、内側遮蔽体における撥油性材料の被覆並びに環状磁石に添着した環状磁性体の局部的な磁束の発生により、磁性流体の注入が容易となるので、環状磁石、外側遮蔽材および内側遮蔽材端部で構成された断面コ字形空間の奥に、出荷や取付作業に先立って予め磁性流体を注入しておくことが可能となり、しかも、その注入された磁性流体は移送や取付作業の振動等によっても容易に脱落することがない。従来は、実機への組付後に磁性流体を所定部位に注入しており、これがかなり困難で工数を要する作業であったが、この発明により、密封装置の実機への組付けが極めて容易となる。このことは、組付後の磁性流体の注入を排除するものではなく、その場合でも注入が容易となることには変りがない。そして実機に組付後静止時における耐圧も高まる。 【0025】請求項2〜4は環状磁性体の配置の変形をそれぞれ示したもので、環状磁石との間に局部的な磁束を生じさせる点で同様の作用効果を示す。 【0026】請求項5は実操業中に圧力差によって磁性流体がメディア側に移動しても逸散しない効果があり、さらには磁性流体の注入を容易にする効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000229830 【氏名又は名称】株式会社フェローテック
|
| 【出願日】 |
平成11年2月18日(1999.2.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078994 【弁理士】 【氏名又は名称】小松 秀岳 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−240811(P2000−240811A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−40025 |
|