| 【発明の名称】 |
摺動部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】平木 秀樹
【氏名】木挽 一彦
【氏名】慶上 伸雄
【氏名】西村 泰幸
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| 【要約】 |
【課題】ゴム製摺動部材の物性を維持したまま、長期にわたる自己潤滑性を有する摺動部材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の摺動部材は、ベースゴムにブリード性潤滑剤を配合してなる内層と、該内層の外周に位置し、内層からのブリード性潤滑剤のブリードを防止し、かつ、潤滑性を有する表面層と、からなるものである。即ち本発明の摺動部材は、使用初期段階では表面層によって摺動面に対する潤滑性を有し、表面層が摩耗消滅して内層が露出した後は、該内層からブリードしたブリード性潤滑剤によって潤滑性を有するものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベースゴムにブリード性潤滑剤を配合してなる内層と、該内層の外周に位置し、内層からのブリード性潤滑剤のブリードを防止し、かつ潤滑性を有する表面層と、からなることを特徴とする摺動部材。 【請求項2】 上記摺動部材は、表面層によって摺動面に対する潤滑性を有するものであり、摺動面における表面層が摩耗消滅した後は、内層からブリードしたブリード性潤滑剤により摺動面に対する潤滑性を有するものである請求項1に記載の摺動部材。 【請求項3】 ブリード性潤滑剤が脂肪酸アミドである請求項1または請求項2に記載の摺動部材。 【請求項4】 表面層は、表面層形成材料を内層の外周に塗布した後、焼付することにより形成される請求項1〜3いずれかに記載の摺動部材。 【請求項5】 ベースゴムにさらに非ブリード性潤滑剤も配合してなる請求項1〜4いずれかに記載の摺動部材。 【請求項6】 空気圧機器の摺動面のシールに用いられる請求項1〜5いずれかに記載の摺動部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、長期にわたって自己潤滑性に優れる摺動部材に関するものである。 【0002】 【従来技術および発明が解決しようとする課題】油圧機器の摺動面のシール、空気圧機器の摺動面のシールなど、摺動面に用いられる摺動部材には、その特性の一つとして摺動面に接する部分の摩擦抵抗が小さいこと、つまり、摺動が始まる時の抵抗(始動抵抗)及び摺動時の抵抗(摺動抵抗)が小さいことが求められ、特に空気圧機器では10kgf/cm2以下の低圧で使用されることが多いためこの要求が強い。上記摺動部材にはゴム材料を主体とするものもあるが、このようなゴム製摺動部材は反発力に富み、密封性が良いという利点がある反面、摩擦抵抗が大きいという問題があった。 【0003】そこで従来、ゴム製摺動部材の摩擦抵抗を小さくするため、ゴム製摺動部材に自己潤滑性を付与することが行われており、自己潤滑性を付与する方法として以下に記載する様々な方法がとられてきた。 ■ベースゴムに対し、黒鉛粉末やPTFE粉末、二硫化モリブデン粉末などの固体潤滑剤を多量配合する方法。 ■ベースゴムに対し、オイルやワックス類などの液体潤滑剤を配合し、表面にブリードさせる方法。 ■ゴム製摺動部材の表面に、化学的処理による表面改質やコーティングなどによって、潤滑性を有する表面層を設ける方法。 【0004】しかし、■の方法では、固体潤滑剤の多量配合によりゴム製摺動部材の引張強さや伸びなどの物性が低下するという問題があり、また■の方法では、ブリード量が調整できないため自己潤滑性が長期にわたり維持できないという問題があった。また■の方法では、ゴム製摺動部材の物性を生かすため表面層の厚さは薄く設定される場合が多く、その場合、摺動面に接する部分の表面層はすぐ摩耗消滅してしまい、自己潤滑性が長期にわたり維持できないという問題があった。 【0005】結局、従来とられてきた■〜■のいずれの方法においても、ゴム製摺動部材の物性を維持したまま、ゴム製摺動部材に長期にわたる自己潤滑性を付与することはできなかった。本発明はこの問題を解消することを課題とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、ベースゴムにブリード性潤滑剤を配合してなる内層と、該内層の外周に位置し、内層からのブリード性潤滑剤のブリードを防止し、かつ、潤滑性を有する表面層と、からなることを特徴とする摺動部材によって、上記課題を解決するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】即ち、本発明の摺動部材は、使用初期段階では表面層によって摺動面に対する潤滑性を有するものであり、摺動面における表面層が摩耗消滅した後は、表面層が摩耗消滅した部分では内層が露出して該露出部分からブリード性潤滑剤がブリードするため、このブリード性潤滑剤によって摺動面に対する潤滑性を有するものである。 【0008】上記のように、本発明においては使用初期段階とそれ以降で潤滑性を付与する方法が異なるので、いずれか一方の方法を採用した場合に比べて長期にわたり自己潤滑性が維持できる。また本発明においては、ブリード性潤滑剤は上記露出部分からのみブリードするので、表面層がない場合(この場合摺動部材の全面からブリードする)に比べて長期にわたり自己潤滑性を維持することができる。また、固体潤滑剤を多量配合することがないため、ゴム製摺動部材の引張強さや伸びなどの物性を維持したまま、長期の自己潤滑性を維持することができる。 【0009】以下に本発明に用いられる材料などについて詳細に説明する。本発明の摺動部材に用いられるベースゴムとしては、通常この用途に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、各種フッ素ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元重合体ゴム、アクリルゴムなどが挙げられ、なかでも耐油性の点から特にアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好適に用いられる。 【0010】また、本発明の摺動部材に用いられるブリード性潤滑剤としては、ベースゴムからブリードし、かつ、潤滑性を有するものであれば特に制限はなく、通常滑剤等として用いられているものを用いることができ、例えば、シリコーンオイルや変性シリコーンオイルなどの各種オイル類、パラフィンワックスなどのワックス類、また、脂肪酸や脂肪酸塩、脂肪酸アミドなどの脂肪酸類が挙げられる。本発明においては上記ブリード性潤滑剤のなかでも適度のブリード性という点から特に脂肪酸類が好適に用いられ、そのなかでもコンスタントなブリードが得られるという点から脂肪酸アミドがより好適に用いられる。 【0011】上記の脂肪酸類を例示すると、脂肪酸としては、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられ、また脂肪酸塩としては、ステアリン酸亜鉛などが挙げられ、また脂肪酸アミドとしては、ベヘン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−ステアリルアテアリン酸アミドなどが挙げられる。 【0012】また本発明において、上記ブリード性潤滑剤の配合量はベースゴム100重量部に対し1〜10重量部程度とするのが好ましい。配合量が1重量部未満であると十分なブリード量が得られない傾向にあり、10重量部を超えるとブリード量が過大となる傾向にあり、また、加工性が低下する傾向にある。またベースゴムがアクリロニトリル−ブタジエンゴムや水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムである場合には、ブリード性潤滑剤の配合量はベースゴムとの相溶性の点からベースゴム100重量部に対し1〜5重量部程度とするのが好ましい。 【0013】また、本発明においては、ベースゴムに対し上記ブリード性潤滑剤に加えて非ブリード性潤滑剤を配合してもよい。本発明に用いられる非ブリード性潤滑剤としては、通常固体潤滑剤として用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、黒鉛粉末、PTFE粉末、二硫化モリブデン粉末、シリコン樹脂粉末などが挙げられる。その配合量は本発明に目的に合う程度、即ち摺動部材の引張強さや伸びなどの物性を低下させない程度であれば特に制限はなく、ベースゴム100重量部に対し5〜80重量部程度、引張り強さなどのゴムの物性維持の点から特に5〜50重量部程度とすることが好ましい。 【0014】また本発明においては、さらに、硫黄、ジベンゾチアジル−ジスルフィド、テトラメチルチウラム−ジスルフィドなどの硫黄系加硫剤、ジクミルパーオキサイドや2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物系架橋剤、マレイミド系やメタアクリレート系、アリル系などの架橋助剤、酸化マグネシウムや水酸化カルシウム、酸化亜鉛などの受酸剤、カーボンブラックやタルク、クレーなどの補強剤等、各種添加剤を必要に応じて添加することができる。 【0015】本発明においては、ベースゴムにブリード性潤滑剤を配合し、必要に応じて上記固体潤滑剤や各種添加剤をさらに添加し、これらを混合してなる組成物を、圧縮成型、射出成型、押出成形などの適宜の方法により、リング、シート、ガスケットなどの所望の形状に成型し、本発明の摺動部材における内層とする。 【0016】本発明の摺動部材は上記内層の外周に表面層を有する。表面層は、内層からの液体潤滑剤のブリードを防止し、かつ、潤滑性を有するものであれば、その材料及び形成方法に制限はなく、以下の■〜■のような表面層が例示される。 ■上記内層の外表面にカップリング剤を塗布、焼付して、カップリング剤の層を形成させ、これを表面層とするもの。 ■上記内層の外表面にフッ素樹脂系コーティング剤を塗布、焼付して、フッ素樹脂を主体とする層を形成させ、これを表面層とするもの。 ■上記内層の外表面に珪素化合物を塗布、焼付して、珪素化合物の層を形成させ、これを表面層とするもの。 【0017】上記表面層■に用いられるカップリング剤としては、本発明の目的に合うものであれば特に制限はなく、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などが挙げられる。本発明においては上記カップリング剤の中でもシランカップリング剤が好適に用いられ、このシランカップリング剤としては例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセテートキシシランなどが挙げられる。 【0018】また、上記表面層■に用いられるフッ素樹脂系コーティング剤としては、本発明の目的に合うものであれば特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などのフッ素樹脂を溶剤等に分散させたコーティング剤、またこのコーティング剤に、ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体ゴム、ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン三元重合体ゴムなどのフッ素ゴムや、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂などの樹脂類などを添加したものなどが挙げられる。 【0019】また、上記表面層■に用いられる珪素化合物としては、本発明の目的に合うものであれば特に制限はなく、例えば、信越化学社製のKS774、KS700、KM722、ダイキン工業社製のダイフリーME413、ダイフリーME810、ダイフリーME443、などが挙げられる。 【0020】表面層の形成方法に特に制限はないが、本発明においては、上記した各種表面層形成材料を内層の外表面に塗布、焼付して表面層を形成する方法が好ましい。上記のように塗布焼付することにより、表面層が強固なものとなり、表面層が外部のグリースや潤滑剤、または内層のブリード性潤滑剤などで溶解し難いという効果がある。塗布方法としては特に制限はなく、例えば、刷毛などによる塗布、スプレーなどによる噴霧塗布、漬浸塗布などが挙げられる。また、焼付方法についても特に制限はなく、100〜160℃程度で0.5〜8時間程度加熱して焼付することが挙げられる。 【0021】上記のように形成した表面層の厚さは、本発明の目的に合う程度、即ち摺動部材のゴム弾性を低下させない程度であれば特に制限はなく、表面層を形成する材料などによって適宜設定すればよい。例えば上記■、■の表面層とする場合には柔軟性の点からその厚さは0.1〜5μm程度と比較的薄くすることが好ましく、また、例えば上記■の表面層とする場合には均一性の点からその厚さは10〜40μm程度と比較的厚くすることが好ましい。表面層の厚さは、厚すぎると柔軟性に乏しくなって圧縮などによる内層の変形に追随し難くなる傾向にあり、薄すぎると十分な潤滑効果及び長期の潤滑性が得難い傾向にある。 【0022】本発明の摺動部材は、各種用途、例えば、油圧機器の摺動面のシール、空気圧機器の摺動面のシール、自動車等のワイパーブレード、プリンター機やコピー機などのトナーブレード、切替バルブ用シールなどに用いられる。本発明の摺動部材は上記各種用途のなかでも、10kgf/cm2以下の低圧で作動することが要求される空気圧機器の摺動面のシールに特に好適に用いられる。 【0023】 【実施例】(実施例1〜2、比較例1〜3)表1に示す組成の組成物を160℃で20分間圧縮成型し、さらに150℃で4時間オーブン中にて架橋を行い断面D形状のDリングを作製した。そして、実施例1、2、比較例2においては上記Dリングを内層とし、該内層上に表面層を形成した。なお表面層の材料及び形成方法については以下の通りである。 【0024】表面層■:上記Dリングの外表面にフッ素樹脂系コーティング剤をスプレー塗布し、その後170℃で50分間加熱して焼付を行い、フッ素樹脂を主体とする表面層を形成させた。なお表面層の厚さは約30μmであった。 表面層■:上記Dリングの外表面に珪素化合物をスプレー塗布し、150℃で1時間加熱して焼付を行い、珪素化合物の表面層を形成させた。なお表面層の厚さは約5μmであった。 【0025】上記実施例、比較例のDリングの自己潤滑性の評価を行った。なお、評価結果は表1に示す。 (潤滑性)自己潤滑性は、上記Dリングを空気圧ピストンの摺動面のシールとして使用し、所定サイクル時の摺動抵抗を測定することにより行う。なおピストンの速度は20mm/min、ストロークは20mmである。 【0026】 【表1】
【0027】 【発明の効果】本発明の摺動部材は、ベースゴムにブリード性潤滑剤を配合してなる内層と、該内層の外周に位置し、内層からのブリード性潤滑剤のブリードを防止し、かつ潤滑性を有する表面層と、からなることによって、ゴム製摺動部材の物性を維持したまま、長期にわたる自己潤滑性を有することができる。また、上記摺動部材は、表面層によって摺動面に対する潤滑性を有するものであり、摺動面における表面層が摩耗消滅した後は、内層からブリードしたブリード性潤滑剤により摺動面に対する潤滑性を有するものであることによって、ゴム製摺動部材の物性を維持したまま、長期にわたる自己潤滑性を有することができる。また、ブリード性潤滑剤が脂肪酸アミドであることにより、コンスタントなブリードが得られるため、より長期にわたる自己潤滑性を有することができる。また、表面層は、表面層形成材料を内層の外周に塗布した後、焼付することにより形成されることにより、表面層が強固なものとなり、より長期にわたる自己潤滑性を有することができる。また、ベースゴムにさらに非ブリード性潤滑剤も配合してなることにより、より長期にわたる自己潤滑性を有することができる。また、本発明の摺動部材は空気圧機器の摺動面のシールに特に好適に用いられる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月25日(1999.2.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−240805(P2000−240805A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−47521 |
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