トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 変位吸収装置
【発明者】 【氏名】渋鍬 賢一

【要約】 【課題】ベローズの自重によるたわみを防止できる変位吸収装置を提供する。

【解決手段】相対的に変位する2つの建築物から延びる配管の間に設けら、この配管に伝わる建築物の相対変位を吸収する変位吸収装置において、各建築物から延びる第一配管2と第二配管3とにその両端が接続され、かつ、内部に収容部7を有するパイプガイド4が上記相対変位により分割可能に構成され、このパイプガイド4の収容部7に両配管に連通するベローズ8が設けられ、ベローズ8の内部にこのベローズ8を支持するサポートパイプ9がパイプガイド4に支持された状態でパイプガイド4と同心状に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相対的に変位する2つの建築物から延びる両配管の間に設けられ、この配管に伝わる両建築物の相対変位を吸収する変位吸収装置において、各建築物から延びる両配管にその両端が接続され、かつ、内部に収容部を有するパイプガイドが前記相対変位により分割可能に構成され、このパイプガイドの収容部に、両配管に連通するベローズと、このベローズを支持するサポートパイプとが同心状に設けられていることを特徴とする変位吸収装置。
【請求項2】 上記パイプガイドがベローズの内側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の変位吸収装置。
【請求項3】 上記パイプガイドが半割状の2つのパイプガイド部材で構成され、両パイプガイド部材は前記相対変位によって破断するピンを介してブラケットにより連結固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変位吸収装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、免震建築物と非免震建築物との間に配置される配管に作用する地震時の建屋間相対変位を吸収する変位吸収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、地震の振動による悪影響をできるだけ少なくするために免震構造を採用した建築物が知られている。このような建築物に周辺の建築物から例えば、給水等を行う場合には、両建築物間に配管を取り付け、この配管を使って給水をするようにしている。ところが、地震時等においては免震構造の建築物の振動と非免震構造の建築物とでは振れの大きさがマッチングせず異なるため、両建築物には相対変位が発生し、上記配管に無理な力が作用してしまう。そのため、従来はこの変位を吸収する必要からゴムを素材としたベローズを用いて両配管を接続し、2つの建築物間に相対変位が生ずる地震等の際に、この相対的な変位を吸収するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のゴムを素材としたベローズを用いて変位を吸収するものにあっては、ベローズが大きなフレキシビリティーを有しているため大きな地震相対変位を吸収することが可能である反面、ゴム製のベローズの変位のスパンも同時に大きくなるため、免震建築物と非免震建築物との間の地震相対変位を吸収するためには長尺なベローズが必要となる。したがって、長尺なベローズの自重によるたわみを防止するためハンガーが不可欠となるという問題がある。そこで、この発明は、ベローズの自重によるたわみを防止できる変位吸収装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、相対的に変位する2つの建築物から延びる両配管(例えば、実施形態における第一配管2と第二配管3)の間に設けられ、この配管に伝わる両建築物の相対変位を吸収する変位吸収装置(例えば、実施形態における変位吸収装置1)において、各建築物から延びる配管にその両端が接続され、かつ、内部に収容部(例えば、実施形態における収容部7)を有するパイプガイド(例えば、実施形態におけるパイプガイド4)が前記相対変位により分割可能に構成され、このパイプガイドの収容部に、両配管に連通するベローズ(例えば、実施形態におけるベローズ8)と、このベローズを支持するサポートパイプ(例えば、実施形態におけるサポートパイプ9)とが同心状に設けられていることを特徴とする。
【0005】2つの建築物が地震等により振動した場合に、一方の建築物だけが免震構造となっていると、変位吸収装置には相対的な変位が生ずる。この変位がある程度の大きさを越えると相対的な変位によってパイプガイドが破断して分割し、両配管はベローズにより接続された状態となる。したがって、可撓性を有するベローズにより配管の相対変位は吸収され、2つの建築物間の配管による連絡経路は維持される。ここで、ベローズは自重によりたわもうとするが、このたわみはサポートパイプによって阻止される。尚、2つの建築物が同じモードで振動を起こすような場合には、各配管はパイプガイドを介して接続されているため、ベローズにはいかなる荷重も作用しない。
【0006】請求項2に記載した発明は、上記パイプガイドがベローズの内側に配置されていることを特徴とする。このように構成することで、上記ベローズが脈動を抑制する部材として機能する。請求項3に記載した発明は、上記パイプガイドが半割状の2つのパイプガイド部材(例えば、実施形態におけるパイプガイド部材4a,4b)で構成され、両パイプガイド部材は前記相対変位によって破断するピン(例えば、実施形態におけるラプチャーピン6)を介してブラケット(例えば、実施形態におけるブラケット5)により連結固定されていることを特徴とする。ピンを変更するだけの簡単な操作で、パイプガイドが破断して2つのパイプガイド部材に分割される荷重の設定が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、この発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。図1において1は変位吸収装置を示し、この変位吸収装置1は、例えば、図中左側に設けられた免震構造の建築物(図示せず)と、図中右側に設けられた非免震構造の建築物(同じく図示せず)との間を接続する配管に介装されている。
【0008】具体的には、免震構造の建築物側の第一配管2と非免震構造の建築物側の第二配管3との間に取り付けられている。すなわち、上記第一配管2にはパイプガイド部材4aが、一方、第二配管3にはパイプガイド部材4bが各々溶接により接合され、これらパイプガイド部材4a,4bは、その継ぎ目部Sを周囲から覆うようにして装着されたリング状のブラケット5を介して互いに連結され、ブラケット5に取り付けられたラプチャーピン6により一体化されている。これら2つのパイプガイド部材4a,4bが連結された状態で円筒状のパイプガイド4が構成されるようになっている。尚、パイプガイド4の両端部は、一般部より小径の接続部4cが設けられこの接続部4cに第一配管2と第二配管3が接合されている。
【0009】ここで、ラプチャーピン6はピン直径等を自由に選択することにより、パイプガイド4が破断して2つのパイプガイド部材4a,4bに分割される破断荷重を自由に設定できるようになっている。そして、パイプガイド4内は収容部7として形成され、ここに後述するベローズ8、サポートパイプ9が収容されている。
【0010】パイプガイド4の第一配管2側の内側壁4dには第一配管2、及び、接続部4cと同径のサポートパイプ9が、その基部フランジ部9aによって取り付けられている。このサポートパイプ9はポリカーボネイトで成形され、その先端はパイプガイド4の第二配管3側の内測壁4eの手前まで延出されている(第二配管3内にスライド可能に挿入してもよい)。そして、このサポートパイプ9には、このサポートパイプ9の外周を被覆するようにゴムを素材とした蛇腹形状のベローズ8が同心状に配置されている。このベローズ8の第一配管2側の開口部周縁8aはサポートパイプ9の基部フランジ9aに取り付けられ、ベローズ8の第二配管3側の開口部周縁8bはパイプガイド4の第二配管3側の内側壁4eに取り付けられている。したがって、ベローズ8はパイプガイド4に支持され第一配管2と第二配管3を連通した状態で取り付けられていることとなる。
【0011】上記実施形態によれば、2つの建築物が地震等により振動した場合に、免震構造の建築物と非免震構造の建築物とでは振動モードが異なるため、変位吸収装置1には相対的な変位が生ずる。この変位がある程度の大きさとなり、変位吸収装置1に作用する荷重が許容荷重を越えるとラプチャーピン6が破断しブラケット5による保持が解除されて、パイプガイド4が2つのパイプガイド部材4a,4bに分割する。これによって第一配管2と第二配管3とはベローズ8によって接続された状態となる。したがって、可撓性を有するベローズ8により第一配管2と第二配管3との相対変位は吸収され、2つの建築物間の第一配管2と第二配管3とによる連絡経路は維持される。
【0012】ここで、ベローズ8は可撓性を有するため自重によりたもうとするが、このたわみは、ベローズ8を内側で保持しているサポートパイプ9によって阻止されるので、ベローズ8が湾曲するのを防止し偏った力を作用させることはない。一方、建築物内部の振動に起因して2つの建築物が同じモードで振動を起こすような場合には、第一配管2と第二配管3とはパイプガイド4を介して接続されているため、ベローズ8にはいかなる荷重も作用しない点で有利である。
【0013】したがって、上記実施形態によれば、地震等により2つの建築物間に相対変位が生じ、ラプチャーピン6が破断してパイプガイド4が分割した後においては第一配管2と第二配管3とはベローズ8により接続された状態となる。その結果、可撓性を有するベローズ8により第一配管2と第二配管3の相対変位は十分に吸収され、2つの建築物間の連絡経路は確実に維持される効果がある。
【0014】そして、このときベローズ8は自重によりたもうとするが、このたわみはサポートパイプ9によって阻止されるため、たわみによる偏った荷重がベローズ8に作用するのを防止し、ベローズ8の耐久性を向上することができる効果がある。したがって、ベローズ8に対しては地震相対変位以外の荷重が作用しないため、ベローズ8を小型化できると共に強度的な余裕度を増大することができる。そして、上記パイプガイド4が半割状の2つのパイプガイド部材4a,4bで構成され、パイプガイド部材4a,4bは一定の荷重が作用すると破断するラプチャーピン6を介してブラケット5により連結固定されているため、ラプチャーピン6を変更するだけの簡単な操作で、パイプガイド4の破断荷重の設定が変更でき、したがって、汎用性を高めることができる効果がある。また、上記ベローズはゴムを素材としたのものである関係上、脈動等の流体振動を押さえる働きをする点で有利である。更に、サポートパイプ9を第二配管3内に挿入する構造を採用すれば、このサポートパイプ9が耐圧バウンダリーを構成する点で有利なものとなる。尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、ベローズをサポートパイプ内に配置することも可能である。
【0015】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、2つの建築物のうちの一方に免震構造が採用され地震時において建築物間に相対変位が生じ、パイプガイドが相対変位により分割した後においては、両配管はベローズにより接続された状態となる。その結果、可撓性を有するベローズにより配管の相対変位は吸収され、2つの建築物間の配管による連絡経路は確実に維持されるという効果がある。
【0016】そして、このときベローズは自重によりたもうとするが、このたわみはサポートパイプによって阻止されるため、たわみによる偏った荷重がベローズに作用するのを防止することができる効果がある。また、ベローズに対して地震相対変位以外の荷重が作用しないため、ベローズを小型化できると共に強度的な余裕度を増大することができる効果がある。
【0017】請求項2に記載した発明によれば、上記パイプガイドがベローズの内側に配置されているため、上記ベローズが脈動を抑制する部材として機能し、したがって、流体振動を抑制できる点で有利となる。請求項3に記載した発明によれば、ピンを変更するだけの簡単な操作で、パイプガイドが破断して2つのパイプガイド部材に分割される荷重の設定が可能となるため、汎用性を高めることができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2000−193088(P2000−193088A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−371663