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【発明の名称】 非接触形メカニカルシール
【発明者】 【氏名】奥町 英二

【氏名】岩本 康孝

【要約】 【課題】機内ガスに含まれる異物の密封端面間への侵入を可及的に阻止して、液状異物や固形異物を含有するガスを扱う回転機器にあっても、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持させる。

【解決手段】回転軸12には、静止密封環3より機内領域A側に配して、回転密封環4が固定されている。両密封環3,4の対向端面たる密封端面31,41間は、シールガス62を静圧発生溝61に供給させることにより、非接触状態に保持される。回転密封環4の外周面は、その周速が密封端面41側から機内領域A側へと漸次大きくなるようなテーパ面42とされている。機内ガスが油分,スラッジ等の異物を含有する場合において、回転密封環41の外周面に付着した異物は、上記した周速差によって、テーパ面42上を機内領域A方向へと強制移動されることになり、密封端面31,41間に侵入することがない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧又は動圧を発生させる非接触状態保持機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、回転密封環の外周面を、密封端面側から機内領域側へと漸次拡径するテーパ面に形成してあることを特徴とする非接触形メカニカルシール。
【請求項2】 回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧又は動圧を発生させる非接触状態保持機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、回転密封環の外周面に、回転密封環の回転に伴って当該外周面上に密封端面側から機内領域側へと流れるガス流を生ぜしめる、複数条の凹溝を形成してあることを特徴とする非接触形メカニカルシール。
【請求項3】 回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧又は動圧を発生させる非接触状態保持機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、回転密封環の外周面を、密封端面側から機内領域側へと漸次拡径するテーパ面に形成すると共に、当該外周面に、回転密封環の回転に伴って当該外周面上に密封端面側から機内領域側へと流れるガス流を生ぜしめる、複数条の凹溝を形成してあることを特徴とする非接触形メカニカルシール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状又は固形の異物(油分,水分,スラッジ等)を含有するガスを扱う湿式コンプレッサ,ミキサ,ポンプ等の回転機器に軸封装置として装備される非接触形メカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】非接触形メカニカルシールは、回転軸側の回転密封環とシールケース側の静止密封環とを、両密封環の対向端面たる密封端面間に静圧又は動圧を発生させることにより、非接触状態に保持させつつ、回転機器の内部領域たる機内領域と外部領域たる大気領域とをシールするものである。したがって、密封端面が相対回転摺接する端面接触形のメカニカルシールと異なって、ドライな条件下においても密封端面が焼き付く等の問題を生じることがなく、ガスを扱う回転機器の軸封装置として好適に使用できるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シールすべきガスが油分等の液状異物やスラッジ等の固形異物を含有する場合には、かかる異物が非接触状態にある密封端面間に侵入したり、密封端面に付着,堆積したりする虞れがある。そして、このような事態が発生すると、密封端面間の静圧,動圧を適正にコントロールすることができなくなり、シール機能が低下,喪失する。
【0004】本発明は、このような異物含有ガスを扱う回転機器においても、上記した問題を生じることなく、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持しうる非接触形メカニカルシールを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転機器に、その機内領域に一端部を開口させた状態で取着された筒状のシールケースと、シールケースの他端部に相対回転不能に且つ軸線方向に移動自在に保持された静止密封環と、静止密封環より機内領域側に配して、シールケース及び静止密封環を洞貫する回転軸に固定された回転密封環と、静止密封環を回転密封環へと押圧附勢する附勢部材と、両密封環の対向端面たる密封端面間に、これを非接触状態に保持すべく静圧又は動圧を発生させる非接触状態保持機構とを具備する非接触形メカニカルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、回転密封環の外周面を次のような形状に形成しておくことを提案するものである。
【0006】すなわち、第1に、回転密封環の外周面を、密封端面側から機内領域側へと漸次拡径するテーパ面に形成しておくことを提案する。また、第2に、回転密封環の外周面に、回転密封環の回転に伴って当該外周面上に密封端面側から機内領域側へと流れるガス流を生ぜしめる、複数条の凹溝を形成しておくことを提案する。さらに、第3に、回転密封環の外周面を、密封端面側から機内領域側へと漸次拡径するテーパ面に形成すると共に、当該外周面に、回転密封環の回転に伴って当該外周面上に密封端面側から機内領域側へと流れるガス流を生ぜしめる、複数条の凹溝を形成しておくことを提案する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて具体的に説明する。
【0008】図1〜図3に示した非接触形メカニカルシールは、液状異物(水分,油分等)又は固形異物(スラッジ等)を含有するガス(以下「機内ガス」という)を扱う湿式コンプレッサ等の回転機器1の軸封部11に装着されて、回転機器1の内部領域たる機内領域Aと回転機器1の外部たる機外領域(大気領域)Bとを遮蔽シールする静圧形のガスシールであり、シールケース2と静止密封環3と回転密封環4と附勢部材5と非接触状態保持機構6とパージガス供給機構9と異物回収機構10とを具備する。回転機器1の回転軸12は、機外領域Bに設置された駆動装置(図示せず)から軸封部11を洞貫して機内領域Aへと水平に延びるものである。なお、以下の説明において、前,後というときは図1又は図2における左,右を意味する。
【0009】シールケース2は、回転機器1の軸封部11に水平に取り付けられた筒状のものである。すなわち、シールケース2は、図1及び図2に示す如く、軸封部11の前端面に衝合取着された円筒状の本体部21と、その後端部に一体形成されており、軸封部11の内周面にOリング26を介して嵌合取着された円筒状の取付部22と、本体部21の前端部に固着された円筒状の第一保持部23と、その前端部に固着された環状の第二保持部24と、その内周部から後方に突出形成された円筒状の第三保持部25とからなる。シールケース2の内部は、その一端部(後端部)を構成する取付部22において機内領域Aに開口している。なお、回転軸12はシールケース2を同心状に洞貫しており、シールケース2内に位置する回転軸部分の外周部12aは円筒状の別部材(スリーブ)によって構成されている。
【0010】静止密封環3は、回転軸12に同心状に遊嵌された状態で、シールケース2の他端部(前端部)を構成する保持部23,24,25に相対回転不能且つ軸線方向に移動自在に保持されている。すなわち、静止密封環3は、図1及び図2に示す如く、その外周面を所定間隔を隔てて並列する前後一対の第一Oリング27,27を介在させた二次シール状態で、第一保持部23の内周面に保持させると共に、その内周面を第二Oリング28を介在させた二次シール状態で第三保持部25の外周面に保持させることにより、シールケース2に軸線方向に移動自在に保持されている。また静止密封環3は、図2に示す如く、その前端部に穿設した係合凹部32に第二保持部24に植設した回り止めピン29を係合させることによって、一定範囲での前後移動が許容された状態で、シールケース2に対する相対回転が阻止されている。なお、静止密封環3の第一保持部23による保持形態は、図1及び図2に示す如く、当該静止密封環3の外周面における密封端面側(後端縁部側)の極く僅かな部分のみが後述するパージガス領域Cに露出するように工夫されている。
【0011】回転密封環4は、図1及び図2に示す如く、静止密封環3より機内領域A側(後方側)に配して、回転軸12に固定されている。すなわち、回転密封環4は、シールケース2の本体部21内に配して、静止密封環3と直対向した状態で回転軸12の外周部12aに嵌合固定されている。両密封環3,4の対向端面たる密封端面31,41(以下、静止密封環3の密封端面31を「静止密封端面」といい、回転密封環4の密封端面41を「回転密封端面」という)は、軸線に直交する平滑面とされている。而して、回転密封環4の外周面は、図1及び図2に示す如く、回転密封端面41側から機内領域A側へと(前端縁部側から後端縁部側へと)漸次直線状に拡径するテーパ面42に形成してある。なお、回転密封端面41の外径は静止密封端面31の外径より所定量大きく設定されている。
【0012】附勢部材5は、図1に示す如く、静止密封環3と第二保持部24との間に介挿された一又は複数のコイルスプリングで構成されていて、静止密封環3を回転密封環4へと押圧附勢するものであり、密封端面31,41を閉じる方向に作用する閉力を発生させるものである。
【0013】非接触状態保持機構6は、図1に示す如く、静止密封端面31に形成された静圧発生溝61と、静圧発生溝61にシールガス62を供給する一連のシールガス供給路63,64,65と、シールガス供給路63,64,65の適所に設けた絞り器66とを具備して、シールガス62を静圧発生溝61に供給させることにより、密封端面31,41間にこれを開く方向に作用する静圧(開力)を発生させるようになっている。
【0014】静圧発生溝61は、静止密封端面31と同心状の環状をなして連続又は断続する浅い凹溝であり、この例では後者を採用している。すなわち、静圧発生溝61は、図3に示す如く、静止密封端面31と同心環状をなして並列する複数の円弧状凹溝61a…で構成されている。
【0015】シールガス供給路は、図1及び図2に示す如く、シールケース2及び静止密封環3に形成された一連のものであり、静止密封環3の外周面と第一保持部23の内周面との間に形成される環状空間であって第一Oリング27,27によってシールされた連通空間64と、シールケース2の第一保持部23を貫通して連通空間64に至るケース側通路63と、静止密封環3を貫通して連通空間64から静圧発生溝61に至る密封環側通路65とからなる。密封環側通路65の下流端部は分岐されていて、その各分岐部を、図3に示す如く、静圧発生溝61を構成する各円弧状凹溝61aに開口65aさせてある。ケース側通路63には、所定のシールガス供給源(図示せず)から導かれたシールガス供給管が接続されていて、シールガス62をシールガス供給路63,64,65から静圧発生溝61に供給するようになっている。シールガス62としては、各領域A,Bに流出しても無害であり且つ機内ガスに悪影響を及ぼさない性状のものを、シール条件に応じて適宜に選定する。この例では、各種物質に対して不活性であり且つ人体に無害である清浄な窒素ガスが使用されている。なお、シールガス62は、回転機器1の運転中(回転軸12の駆動中)においてのみ供給され、運転停止後には供給を停止される。回転機器1の運転は、シールガス62の供給が開始された後であって、密封端面31,41間が適正な非接触状態に保持された後において開始され、シールガス62の供給停止は、当該回転機器1の運転停止後であって回転軸12が完全に停止した後に行なわれる。
【0016】絞り器66は、オリフィス,毛細管,多孔質部材等の絞り機能を有するものであり、図1に示す如く、密封環側通路65の適所(各円弧状凹溝61aへの分岐部分より上流側の部分)に配設されている。
【0017】而して、シールガス62をシールガス供給路63,64,65から静圧発生溝61に供給すると、静圧発生溝61に導入されたシールガス62により、密封端面31,41間にこれを開く方向に作用する開力が発生する。この開力は、密封端面31,41間に導入されたシールガス62によって発生する静圧によるものである。したがって、密封端面31,41は、この開力と密封端面31,41間を閉じる方向に作用するスプリング荷重による閉力とがバランスする非接触状態に保持される。すなわち、静圧発生溝61に導入されたシールガス62は密封端面31,41間に静圧の流体膜を形成し、この流体膜の存在によって、密封端面31,41の内外径側領域間が遮蔽シールされる。シールガス62の圧力及びスプリング5のバネ力(スプリング荷重)は、密封端面31,41間の隙間が適正(一般に、5〜15μmである)となるように、シール条件に応じて適宜に設定される。ところで、シールガス62は絞り器66で絞られた上で静圧発生溝61に導入されることから、密封端面31,41の隙間が変動した場合にも、その隙間が自動的に調整されて適正に保持される。すなわち、回転機器1の振動等により密封端面31,41の隙間が大きくなったときは、静圧発生溝61から密封端面31,41間に流出するシールガス量と絞り器66を通って静圧発生溝61に供給されるシールガス量とが不均衡となり、静圧発生溝61内の圧力が低下して、開力が閉力より小さくなるため、密封端面31,41間の隙間が小さくなるように変化して、その隙間が適正なものに調整される。逆に、密封端面31,41間の隙間が小さくなったときは、上記したと同様の絞り器66による絞り機能により静圧発生溝61内の圧力が上昇して、開力が閉力より大きくなり、密封端面31,41間の隙間が大きくなるように変化して、その隙間が適正なものに調整される。なお、機内領域Aとパージガス領域Cとの境界部分にはラビリンスシール又はネジシールが設けられていて、機内ガスに含まれる異物のパージガス領域Cへの侵入を可及的に阻止しうるようになっている。この例では、シールケース2の一端部である取付部22に、回転軸12の外周部12aとの間に微小な蛇行状通路を形成する周知のラビリンスシール7を設けてある。
【0018】パージガス供給機構9は、図1に示す如く、シールケース2の本体部21を貫通してパ−ジガス領域Cに開口するパージガス供給路91と、その適所に設けたオリフィス92とを具備して、パージガス供給路91から機内領域Aより高圧のパージガス93をパージガス領域Cに供給,充満させるように構成されている。パージガス93は、オリフィス92を通過することにより、パージガス領域Cに噴出することなく緩慢に供給され、パージガス領域Cを機内領域Aより高圧のパージガス雰囲気に保持する。パージガス93の圧力は、一般に、機内領域Aの圧力つまり機内ガスの圧力より2bar程度高く設定され、シールガス62と同一又は略同一に設定されている。また、パージガス93の性状は、前記したシールガス62の選定基準と同一の基準で選定され、この例では、シールガス62と同一性状の窒素ガスを使用している。
【0019】異物排出機構10は、シールケース2にパージガス領域Cに開口する異物回収路101を設けてなる。この例では、図2に示す如く、異物回収路101を回転密封環4の直下位においてパージガス領域Cに開口103させると共に、シールケース2外に設置した異物回収タンク102に導いてある。また、シールケース2の本体部21の内周面には、ラビリンスシール7側から異物回収路101の開口部103へと拡径する(本体部21の内周面における下部側部分については開口部103へと下り傾斜することになる)テーパ面104が形成されている。
【0020】以上のように構成された非接触形メカニカルシールにあっては、回転密封環4の外周面をテーパ面42として、その周速が密封端面41側から機内領域A側へと漸次大きくなるように工夫したことによって、機内ガスが油分,スラッジ等の異物を含有する場合にも、当該異物の密封端面31,41への侵入を可及的に阻止することができる。
【0021】すなわち、回転密封環4が静止密封環3の機内領域A側(後側)に配置された構成の非接触形メカニカルシールにあっては、回転密封環41の外周面に付着した異物が当該外周面を伝って密封端面31,41間に侵入する虞れがあり、かかる異物の侵入態様が密封端面31,41に侵入する場合の典型例である。しかし、回転密封環4の外周面を機内領域A方向へと漸次拡径するテーパ面42に形成しておくと、上記した周速差によって、回転密封環41の外周面に付着した異物はテーパ面42上を機内領域A方向へと強制移動されることになる。したがって、機内ガスに含まれる異物がその性状のまま或いは凝縮,凝固して回転密封環41の外周面に付着するような事態が発生したときにも、当該異物が回転密封環41の回転に伴って速やかに密封端面31,41から遠ざかる方向に排除されて、回転密封環41の外周面に堆積したり、密封端面31,41間に侵入することがない。また、上記した如く、パージガス領域Cに露出する静止密封環3の外周面部分が極く僅かになるように工夫しておくことにより、異物が静止密封環3の外周面に付着する虞れも殆どなく、密封端面31,41間への異物侵入が更に防止されることになる。
【0022】さらに、上記した非接触形メカニカルシールにあっては、密封端面31,41の外径側領域であるパージガス領域Cに機内領域Aより高圧のパージガス93が充満されていることから、機内ガスのパージガス領域Cへの侵入が可及的に阻止されることになる。また、異物が、機内領域Aとパージガス領域Cとの境界部分に設けられたラビリンスシール7を通過してパージガス領域Cに侵入した場合にも、その異物は、テーパ面104による開口部103への流下作用とも相俟って、異物回収路101からパージガス領域C外に速やかに排出され、異物回収タンク102に回収されることになる。
【0023】これらのことから、機内ガスに含まれる異物の密封端面31,41間への侵入が極めて効果的に防止され、冒頭で述べた如き問題を生じることなく、長期に亘って良好なシール機能が発揮,維持される。
【0024】なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更することができる。
【0025】例えば、回転密封環4の外周面は、上記した周速差を生じるようなテーパ面であればよく、図1及び図2に示す如き直線状のテーパ面42とする他、図4に示す如き凸状に湾曲するテーパ面43や図5に示す如き凹状に湾曲するテーパ面44となしておいてもよい。更には、図6に示す如く、階段状をなすテーパ面45であってもよい。これらのテーパ面42,43,44,45におけるテーパ量(軸線に対する傾斜角)は、回転密封環4の回転速度や機内ガスに含有される異物の性状等のシール条件に応じて適宜に設定される。
【0026】また、回転密封環4の外周面に付着した異物を密封端面31,41から機内領域A方向へと排除する手段として、当該外周面に、図7及び図8に示す如く、回転密封環4のD方向への回転に伴って当該外周面上に密封端面41側から機内領域A側へと流れるガス流を生ぜしめる、複数条の凹溝46…を形成するようにしてもよい。このような凹溝46…を形成しておけば、図7に示す如く、回転密封環4の外周面をテーパ面でなく軸線に平行な面とした場合にも、凹溝46…による回転翼作用により、回転密封環4の回転に伴って当該外周面上に密封端面31,41から遠ざかる方向へのガス流が生じる。したがって、回転密封環4の外周面に異物が付着した場合にも、その異物は当該ガス流によって機内領域A側へと移送排除され、外周面を上記した如きテーパ面42,43,44,45とした場合と同様に、密封端面31,41間への異物侵入が可及的に防止される。凹溝46は極く浅いものでよく、上記したガス流を生ぜしめる限りにおいて、その形状は任意である。勿論、図9に示す如く、回転密封環4の外周面を上記したテーパ面42,43,44,45と同様のテーパ面(図示の例では直線状のテーパ面)47とすると共に、このテーパ面47に上記した凹溝46…と同様の凹溝48…に形成して、当該外周面に付着した異物をテーパ面47上の周速差による異物移送作用と凹溝48…によるガス流作用とによって、異物を密封端面31,41から遠ざかる方向に排除させるようにしてもよい。
【0027】また、本発明は上記した静圧型のガスシールに適用される他、図10に示す如く、非接触状態保持機構6を動圧発生溝67により密封端面31,41間に動圧を発生させるものに構成した動圧形のガスシールにも適用することができる。すなわち、図10に示す非接触形メカニカルシールにあっては、シールケース2の他端部を構成する保持部20に相対回転不能且つ軸線方向に移動自在に保持した静止密封環3と回転軸12の外周部(スリーブ)12aに固定した回転密封環4とを、回転密封端面41に形成した動圧発生溝67により発生させた動圧により、非接触状態に保持するように構成されており、回転密封環4の外周面を上記したテーパ面42に形成してある。このような動圧形のガスシールにあっても、上記した場合と同様に、テーパ面42により密封端面31,41間への異物侵入を有効に防止し得て、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持することができる。勿論、かかる動圧形のガスシールにあっても、回転密封環4の外周面を、図4〜図9に示す如き形状のテーパ面となしておくことができる。
【0028】また、本発明は、ラビリンスシール7やパージガス供給機構9等を具備せず、機内ガスが密封端面31,41の外径側領域に充満するような構造の非接触形メカニカルシールにおいても、好適に適用することができ、回転密封環4の外周面形状(テーパ面42,43,44,45,47又はガス流発生用の凹溝46,48)による異物侵入阻止効果を上記同様に発揮させることができる。
【0029】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明の非接触形メカニカルシールは、回転密封環の外周面形状を工夫することにより、機内ガスに含まれる異物の密封端面間への侵入を可及的に阻止することができるものであり、液状異物や固形異物を含有するガスを扱う回転機器にあっても、長期に亘って良好なシール機能を発揮,維持しうるものである。
【出願人】 【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
【出願日】 平成10年10月16日(1998.10.16)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
【公開番号】 特開2000−120880(P2000−120880A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−294849