| 【発明の名称】 |
ターボ回転機械の自動調整シール |
| 【発明者】 |
【氏名】田代 光
【氏名】宮脇 俊裕
【氏名】吉田 善一
【氏名】榎本 健次
【氏名】小西 哲
【氏名】渡辺 英一郎
【氏名】馬越 龍太郎
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| 【要約】 |
【課題】蒸気タービン等のターボ回転機械に用いられる自動調整シールにおいて、より素早く、より大きい力で確実に作動し得るようにしたものを提供することを課題とする。
【解決手段】シールリングを上流から下流に複数並設し、各シールリングは回転体の起動・停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定格運転時に半径方向内方に作動流体で押圧されるようにしたものにおいて、前記作動流体を供給する圧力作用空間を前記各シールリングの半径方向外側にそれぞれ形成し、各圧力作用空間を連通する連通孔を設けて構成し、最上流のシールリングに対応する圧力作用空間に供給された高圧の作動流体が、連通孔を経て次位以降の下流に位置する圧力作用空間にも等しく供給されることとなり、対応する各シールリングは大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動し得るようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転部とこれに対峙する固定部との間に、ラビリンスフィンを有するシールリングを上流から下流に複数並設し、各シールリングは回転体の起動・停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定格運転時に半径方向内方に作動流体で押圧されるターボ回転機械の自動調整シールにおいて、前記作動流体を供給する圧力作用空間を前記各シールリングの半径方向外側にそれぞれ形成し、各圧力作用空間を連通する連通孔を設けたことを特徴とするターボ回転機械の自動調整シール。 【請求項2】 前記各圧力作用空間を連通する連通孔に代えて、最上流のシールリングの上流側から同最上流のシールリングの圧力作用空間をバイパスして次位以降のシールリングの圧力作用空間を連通する連通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のターボ回転機械の自動調整シール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気タービン、ガスタービン、コンプレッサ等のターボ回転機械に用いられる自動調整シールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ターボ回転機械では、一般に、作動流体の漏洩を低減させて効率向上を目指すために、ダミー環シール、グランドシール、又は動翼チップシール等の様に、回転部分とこれに対峙する固定部分との間のシールについて種々の工夫、配慮が払われている。 【0003】これらのシールの内、例えば動翼チップシールを例にとってみると、動翼チップと称呼される動翼の先端とケーシングとの間にラビリンスブロックが設けられ、同ラビリンスブロックに植え込まれたラビリンスフィンと動翼先端との間隔を小さな隙間にしている。 【0004】この隙間は極力小さいことが望ましいが、一般の回転機械では定常速度にまで昇速する過程において、危険速度を通過し、動翼先端の半径方向振動が大きくなると、ラビリンスフィンの先端と動翼先端とが接触することがあるためあまり小さく設定することはできない。 【0005】また、運転時には熱膨張により隙間が小さくなるので、これも初期隙間をあまり小さくできない理由の一つとなっている。運転時におけるこれらの状況変化を織り込んで、前記隙間を限りなく小さくする設計が試みられると共に、多少の接触が起こっても大事故に至らないような配慮、工夫がなされている。 【0006】この様な開発努力の結果、ラビリンスシールはクリアランスの設定位置をばね等の弾性体による付勢で保持し、接触に対しては同弾性体で逃げるようにしたものから、前記ばね等の弾性体の付勢力の利用に加えてターボ機械自身の作動流体の圧力を利用し、両者の力バランスでクリアランスの調整を行う様にしたものへと技術が進展している状況にある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記した作動流体の圧力を利用するものにあっては、それでなくても狭隘な機械スペースに余裕はないところへ作動流体を供給するための通路の設置や、弾性体と調和を図るための諸構造を組込む都合上、前記作動流体通路等は必要最小限の広さしか得られず、関連する摺動接合部分を含めて各部位を保護し、正常機能の確保のために種々の工夫が待たれている。 【0008】例えば、起動・停止時に弾性体の付勢力で所定位置を保持されたシールリングは、定格運転に至って作動流体の圧力が発生した際には、より素早く、より大きい力を得ることが適切な動作を行うために必須不可欠となるが、従来の装置としては、この要件を満たすものが未だ実用に至っていないという不満がある。 【0009】本発明はこの様な背景下においてなされたもので、弾性体の付勢力に抗して、より素早く、より大きい作動流体の押圧を確実に得るようにしたターボ回転機械の自動調整シールを提供することを課題とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を解決すべくなされたもので、回転部とこれに対峙する固定部との間に、ラビリンスフィンを有するシールリングを上流から下流に複数並設し、各シールリングは回転体の起動・停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定格運転時に半径方向内方に作動流体で押圧されるターボ回転機械の自動調整シールにおいて、前記作動流体を供給する圧力作用空間を前記各シールリングの半径方向外側にそれぞれ形成し、各圧力作用空間を連通する連通孔を設けたターボ回転機械の自動調整シールを提供するものである。 【0011】すなわち、本発明によれば、各シールリングの半径方向外側に形成した圧力作用空間は、連通孔でそれぞれ連通されているので、最上流のシールリングに対応する圧力作用空間に供給された高圧の作動流体が、次位以降の下流に位置する圧力作用空間にも等しく供給されることとなり、対応する各シールリングは大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動し、シール効率の向上を図るようにしたものである。 【0012】また本発明は、前記各圧力作用空間を連通する連通孔に代えて、最上流のシールリングの上流側から同最上流のシールリングの圧力作用空間をバイパスして次位以降のシールリングの圧力作用空間を連通する連通孔を設けたターボ回転機械の自動調整シールを提供するものである。 【0013】すなわち、本発明によれば、各シールリングの半径方向外側に形成した圧力作用空間は、最上流のシールリングに対応するものを除き、最上流のシールリングの上流側から連通孔で連通されているので、次位以降の圧力作用空間には、最上流のシールリングに対応する圧力作用空間と実質的に等しい作動流体が、ほぼ同時に供給されることとなり、対応する各シールリングは大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動し、シール効率の向上を図るようにしたものである。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の実施の第1形態を図1により説明する。 【0015】1はロータ軸で、その周囲にはシールリング受2が配置され、また同シールリング受2には前記ロータ軸1の周面に向かって延びるシールフィン6をそれぞれ植え込んだシールリング3、4、5が上流の高圧側から下流の低圧側に順次並設されている。 【0016】各シールリング3、4、5はそれぞれ半径方向外側に圧力作用空間3a、4a、5aを設け、同圧力作用空間3a、4a、5aはシールリング受2に設けた共通の連通孔7で連通されている。 【0017】前記のように構成された本実施の形態によれば、回転機械が起動し、増速して定格運転に入り、作動流体の圧力が立つと、高圧側のシールリング3から次位のシールリング4、更に下流のシールリング5の順番に、それぞれのシールフィン6のシール作用による時間差と圧力差を持って順次作動流体が充満し、それぞれのシールリング3、4、5とシールリング受2との隙間を経て各圧力作用空間3a、4a、5aに作動流体が供給される態勢となる。 【0018】しかし、ここで各圧力作用空間3a、4a、5aは、連通孔7で連通されているので、最上流の圧力作用空間3aに真先に供給された作動流体が、同圧力作用空間3aと実質的に同時に他の圧力作用空間4a、5aにも供給され、各シールリング3、4、5は図示省略のばね等の弾性体の付勢力に抗して半径方向内方に押圧され、シールフィン6とロータ軸1とのクリアランスを小さくし、定格運転時のシール形態を得ることになる。 【0019】この様に本実施の形態によれば、各圧力作用空間3a、4a、5aを連通した連通孔7のために、最上流のシールリング3に対応する圧力作用空間3aに供給された高圧の作動流体が、次位以降の下流に位置する圧力作用空間4a、5aにも等しく供給されることとなり、対応する各シールリング3、4、5は高圧側に相当する大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動することとなり、シール効率が向上することとなる。 【0020】次に本発明の実施の第2形態について、図2に基づいて説明する。なお、前記した実施の第1形態と同一の部分については図中同一の符号を付して示し、重複する説明は省略して説明を簡潔にする。 【0021】本実施の形態は、前記実施の第1形態のものが各シールリング3、4、5に対応する圧力作用空間3a、4a、5aを連通孔7で連通していたのに対し、最上流のシールリング3に対応する圧力作用空間3aをバイパスし、次位以降の圧力作用空間4a、5aを前記最上流のシールリング3の上流位置から連通孔8で連通したものである。 【0022】この連通孔8が回転機械内に開口する位置は、図2の表示からも理解できる様に、最上流のシールリング3との間に圧損を生じる部材は格別介在しないので、同シールリング3と実質的に等しい圧力域となる。 【0023】作動流体の圧力が機能する各圧力作用空間3a、4a、5aにおいて圧力の大きさについて差違を求めれば、シールリング3とシールリング受2との隙間を経て圧力作用空間3aに至る経路と、連通孔8の内部を経て圧力作用空間4a、5aに至る経路の差であり、両者に大差はない。 【0024】しかし前記実施の第1形態のものと対比してみれば、前記実施の第1形態のものでは、圧力作用空間4a、5aに供給される作動流体は、圧力作用空間3aを経由していたのに対して本実施の形態では直接供給されるので、時間差がなくなり、圧力作用空間4a、5aの機能が向上することとなる。 【0025】すなわち、本実施の形態においては前記実施の第1形態より一層素早く反応し、作動流体の押圧力も甲乙つけがたく、共に十分な効果的なシール装置を得るものである。 【0026】以上、本発明を図示の実施の形態について説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもない。 【0027】例えば、前記各実施の形態は、シールリングを3個並設したものを具体的に図示しており、このような配列ではグランドシール、ダミーシールへの適用が適当に見えるが、各シールリングの配列位置をタービンにおける各段落に振り分ければ、そっくりそのまま動翼、静翼のチップシールとして適用され得るものであり、本発明がこれらの範囲を含むことは勿論である。 【0028】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回転部とこれに対峙する固定部との間に、ラビリンスフィンを有するシールリングを上流から下流に複数並設し、各シールリングは回転体の起動・停止時に半径方向外方に弾性体で付勢され、定格運転時に半径方向内方に作動流体で押圧されるターボ回転機械の自動調整シールにおいて、前記作動流体を供給する圧力作用空間を前記各シールリングの半径方向外側にそれぞれ形成し、各圧力作用空間を連通する連通孔を設けているので、各シールリングの半径方向外側に形成した圧力作用空間は、連通孔でそれぞれ連通されて、最上流のシールリングに対応する圧力作用空間に供給された高圧の作動流体が、次位以降の下流に位置する圧力作用空間にも等しく供給されることとなり、対応する各シールリングは大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動し、シール効率を向上した自動調整シールを得ることが出来たものである。 【0029】また請求項2の発明によれば、前記ターボ回転機械の自動調整シールにおいて、前記各圧力作用空間を連通する連通孔に代えて、最上流のシールリングの上流側から同最上流のシールリングの圧力作用空間をバイパスして次位以降のシールリングの圧力作用空間を連通する連通孔を設けているので、各シールリングの半径方向外側に形成した圧力作用空間は、最上流のシールリングに対応するものを除き、最上流のシールリングの上流側から連通孔で連通され、次位以降の圧力作用空間には、最上流のシールリングに対応する圧力作用空間と実質的に等しい作動流体が、ほぼ同時に供給されることとなり、対応する各シールリングは大きな力を得て、素早く、かつ、確実に作動し、シール効率を向上した自動調整シールを得ることが出来たものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月20日(1998.10.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069246 【弁理士】 【氏名又は名称】石川 新 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−120879(P2000−120879A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−298654 |
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