トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 メカニカルシール部材
【発明者】 【氏名】松本 喬

【氏名】福田 利臣

【氏名】尾崎 伸一

【氏名】瀧本 裕治

【要約】 【課題】摺動封止特性、耐摩耗性、機械的強度を同時に兼ね備え、且つ安価に、簡単な手法で作製可能な、冷蔵庫用、自動車ウォーターポンプ用等の汎用ポンプ用の炭素ー炭化ケイ素複合材による量産型小形メカニカルシール部材を提供する。

【解決手段】小型メカニカルシール用に加工した高強度炭素基材の表面に、ケイ素粉末、炭化ホウ素粉末、残炭率の低い樹脂からなるスラリーを塗布し、非酸化雰囲気で1500℃以上、10Torr以下で熱処理を行い、炭素基材の表面から内部へとケイ素と炭化ホウ素を浸透させ、前記ケイ素と前記炭素基材の炭素を反応させて炭化ケイ素(SiC)にすることで形成され、前記炭素基材全体を炭素ー炭化ケイ素複合材とし、その摺動面のケイ化率を30〜55%とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素基材のメカニカルシール部材であって、製品形状に加工された炭素基材の全部の表面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材になっており、その表面には被覆膜が形成されており、前記被覆膜は炭化ケイ素と炭化ホウ素を主成分とする薄膜であるメカニカルシール部材。
【請求項2】 中心軸に平行な断面が7×7mm以下の小型であって、表面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材が深さ2mm以上で全面にわたって形成され、前記断面のほぼ中心部まで炭素ー炭化ケイ素複合材であるメカニカルシール部材。
【請求項3】 前記炭素ー炭化ケイ素複合材の表面のケイ化率が面積比率で30〜55%である請求項1又は2記載のメカニカルシール部材。
【請求項4】 前記炭素基材密度が1.7g/cm3 以上であり、ケイ化後の嵩密度が2.0〜2.5g/cm3 である請求項1〜3記載のメカニカルシール部材。
【請求項5】 前記炭化ケイ素と炭化ホウ素を主成分とする被覆膜の厚みが3〜20μmの範囲である請求項1〜4記載のメカニカルシール部材。
【請求項6】 前記炭素ー炭化ケイ素複合材の気孔に金属又は樹脂を含浸させてなる請求項1〜5いずれか記載のメカニカルシール部材。
【請求項7】 平均細孔半径が1.0μm以上であって、製品形状に加工された炭素材の全面に、炭化ホウ素粉末とケイ素粉末を混合分散したスラリーを塗布し、焼成することにより、前記製品形状の表面の全面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材が形成されてなるメカニカルシール部材。
【請求項8】 製品形状に加工された前記炭素材は、中空円筒状または円筒状の炭素材を機械加工で切り出して製作される請求項7記載のメカニカルシール部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性及び不浸透性に優れ、長時間安定して摺動封止効果を保持することを可能とする、冷蔵庫用、自動車ウォーターポンプ等の汎用ポンプ用のメカニカルシール部材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、冷蔵庫用、自動車ウォーターポンプ等の汎用ポンプ用の量産型小型メカニカルシール部材として黒鉛質炭素材が広く使用されている一方で、さらなる耐スラリー性、高周速、長寿命、耐ブリスター性等の特性向上が望まれている。
【0003】そこで、これらの要求に則した材料として、炭素基材の摺動面を含む表面層にシリコンペーストを塗布し、炭化ケイ素質に転化しメカニカルシール部材とする技術(特開平10−53480号公報)が開示されている。
【0004】しかしながら、シリコンは炭素に対して、気孔半径が1μm以下であると、内部に浸透しにくく、そのため、毛細管現象によって浸透していくにも限度があり、深くても表面から1〜2mm程度しか浸透せず、熱処理後形成されうる炭素ー炭化ケイ素複合層の厚みも2mm程度が限度であった。さらに、内部への浸透も均一でなく、形成される炭素ー炭化ケイ素複合層の厚みにバラツキが生じるという問題があった。
【0005】このため、形成される複合層の厚みが部分的に異なるために、炭素基材との熱膨張係数の違いなどから、製品が歪むこともあり、炭素ー炭化ケイ素複合層形成後、製品寸法への機械加工が必要であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は製品全面に、表面から深く、略均一に炭素ー炭化ケイ素複合層を形成させ、摺動封止特性、耐ブリスター特性等に優れ、摺動面の最終研磨加工を除き、製品寸法への機械加工が不要となる小型汎用ポンプ用のメカニカルシール部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明に係るメカニカルシール部材は、炭化ホウ素を加えることにより、何らかの触媒作用が付与され、全面を炭素ー炭化ケイ素複合層に転化したものである。すなわち本発明の請求項1の発明は、炭素基材のメカニカルシール部材であって、製品形状に加工された炭素基材の全部の表面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材になっており、その表面には被覆膜が形成されており、前記被覆膜は炭化ケイ素と炭化ホウ素を主成分とする薄膜であるメカニカルシール部材である。
【0008】請求項2の発明は、中心軸に平行な断面が7×7mm以下の小型であって、表面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材が深さ2mm以上で全面にわたって形成され、前記断面のほぼ中心部まで炭素ー炭化ケイ素複合材であるメカニカルシール部材である。
【0009】請求項3の発明は、前記炭素ー炭化ケイ素複合材の表面のケイ化率が面積比率で30〜55%である請求項1又は2記載のメカニカルシール部材である。
【0010】請求項4の発明は、前記炭素基材密度が1.7g/cm3 以上であり、ケイ化後の嵩密度が2.0〜2.5g/cm3 である請求項1〜3記載のメカニカルシール部材である。
【0011】請求項5の発明は、前記炭化ケイ素と炭化ホウ素を主成分とする被覆膜の厚みが3〜20μmの範囲である請求項1〜4記載のメカニカルシール部材である。
【0012】請求項6の発明は、前記炭素ー炭化ケイ素複合材の気孔に金属又は樹脂を含浸させてなる請求項1〜5いずれか記載のメカニカルシール部材である。
【0013】請求項7の発明は、平均細孔半径が1.0μm以上であって、製品形状に加工された炭素材の全面に、炭化ホウ素粉末とケイ素粉末を混合分散したスラリーを塗布し、焼成することにより、前記製品形状の表面の全面から内部に向かって炭素ー炭化ケイ素複合材が形成されてなるメカニカルシール部材である。
【0014】請求項8の発明は、製品形状に加工された前記炭素材は、中空円筒状または円筒状の炭素材を機械加工で切り出して製作される請求項7記載のメカニカルシール部材である。
【0015】炭化ホウ素を加えることで、何らかの触媒作用が付与され、シリコンが炭素基材の内部深くまで浸透していき、表面から内部深くに至り、汎用形小型メカニカルシール部材程度の断面積であれば、十分に内部まで、略均一に炭素ー炭化ケイ素複合材が形成できる。炭化ケイ素が形成されている部分の硬度、即ち、耐摩耗度は炭素基材に比較すると高くなり、炭化ケイ素部分が僅かではあるが、凸状となり、摺動面粗さが大きくなり、摺動時に密封対象流体を巻き込み流体潤滑状態を維持する。また、凸状であり面積比率が30〜55%の耐摩耗度の高い炭化ケイ素が相手材と密着し、封止特性を維持する事が可能であり、従来の黒鉛製のメカニカルシール材の使用されていた条件下全てでの使用が可能となる。
【0016】また、表面から内部に至る前記炭化ケイ素化率が略均一であるため、最終形状に加工後、炭化ケイ素化しても全面に炭化ケイ素が形成されているため、歪むことなく、寸法、形状が確保される。また、機械的強度も向上する。元々、嵩密度が1.7g/cm3 以上の一般的に高密度、高強度炭素材と呼ばれる炭素基材を用いており、これによりメカニカルシール部材として十分な強度となる。
【0017】ケイ化処理後、表面には厚さ3〜20μmの硬質な被覆膜が残るが、これは容易に取り除くことが可能である。また、3〜20μmと非常に薄いため、製品寸法に影響がほとんど無く、そのため、特に取り除く必要もない。また、表面にこの炭化ケイ素、炭化ホウ素を主成分とする薄膜が形成された状態のままであるということは、すなわち、ケイ化処理後、最終製品寸法への機械加工が不要であるということにもなる。このことから、炭化ケイ素化処理を行なう前に、あらかじめ、炭素基材の段階で、所定製品寸法形状に全自動で加工する。これは従来の黒鉛質炭素材のメカニカルシール材の加工と同様であり、NC旋盤等の24時間操業が可能な全自動の工作機械を使用することができるため、従来の炭素ー炭化ケイ素複合材に比較すると機械加工に要する時間及びコストが大幅に低減できる。ここでいう、最終機械加工とは、摺動面の鏡面研磨加工を除いた機械加工のことである。
【0018】また、金属若しくは樹脂を含浸する事により、不浸透特性をより一層確実なものとし、高圧下、低粘性またガス化しやすい流体の場合にもメカニカルシール部材としての適用が可能となる。
【0019】水銀圧入法によって求められる平均細孔半径は1.0μm以上好ましくは2.0μm以下のときに、30〜55%の所定の炭化ケイ素化率が形成できる。このケイ素化される面は、この平均細孔半径に影響を受けるとともに、炭素基材の表面の細孔分布、すなわち炭素基材の嵩密度にも影響を受けることから、炭素基材の嵩密度は少なくとも、1.7g/cm3 以上であることが望まれる。更には、平均細孔径半径が1.0μm以下の場合、金属シリコンが内部にまで浸透しきれず、30%〜55%という所定の炭化ケイ素化率を形成させることができなくなる。また、ケイ化処理後の嵩密度が2.0〜2.5g/cm3 の範囲、特に好ましくは2.1g/cm3 以上であることによって、内部の炭化ケイ素化率が30〜55%であることが確認できる。
【0020】本発明におけるメカニカルシール部材は、まず、炭素基材をメカニカルシールの最終形状に加工する。加工には従来の量産型炭素質メカニカルシール材と同様のNC旋盤等の全自動工作機械により加工を行い、炭化ケイ素層の基となるスラリーを全面に塗布する。該スラリーは、平均粒径が約30〜50μmのケイ素粉末と平均粒径が約4〜20μmの炭化ホウ素粉末と樹脂とを混合分散して作製する。使用する樹脂は、一般に造膜性が高く、かつ残炭率が低い樹脂を使用し、例えばポリアミドイミド、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂の内より選ばれたものが特に好ましい。中でもポリアミドイミドが更に望ましく、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、Nメチル−2ピロリドン等の溶媒に溶解させて使用する。
【0021】ケイ素粉末と炭化ホウ素粉末を樹脂で混合する場合、ケイ素粉末95〜50重量%に対して炭化ホウ素粉末が5〜50重量%が望ましい。さらにいえば、ケイ素粉末80重量%に対して炭化ホウ素粉末20重量%が好ましい。炭化ホウ素粉末が5重量%未満では、炭化ホウ素粉末の混合による効果が少ないからである。具体的には、高温下の真空炉内で処理した場合、溶融Siが黒鉛の気孔中に完全には浸透せず、冷却後黒鉛の表面に金属Siとなって固着した状態で残ってしまい、しかもこの固着物は取り除くことが非常に困難となるからである。一方、炭化ホウ素粉末を少なくとも5重量%以上含有させた場合は、触媒としての効果を発揮する。すなわち、シリコンと炭素の反応が促進され、炭化ケイ素化が進み、シリコンとの濡れ性が改善され、シリコンが炭素の気孔中に深くまで浸透し、炭素との反応が進み炭化ケイ素化され、炭化ケイ素層が形成されると推測される。即ち、炭化ホウ素が何らかの触媒作用を付与することにより、シリコンと炭素の反応が促進されたものであり、炭化ホウ素粉末を少なくとも5重量%以上含有させておくことで、初めてかかる機能を有効に発揮させ、表面から内部にかけて均等に炭化ケイ素層を形成することが可能となる。
【0022】上記のように調製されたスラリー中に小型メカニカルシール用に加工した炭素基材を浸すか、または、その全面に該スラリーを塗布する。この後約300℃で2時間乾燥することにより、溶媒は揮散し、樹脂は完全に硬化する。その後、10Torr以下の不活性ガス雰囲気中で高温熱処理する。昇温速度は約400℃/時間とし、約1550〜1600℃に達した後30分間保持する。加熱手段は特に限定されるものではなく、適当な手段で行えばよい。この操作によって、ケイ素成分は溶融し、樹脂の炭化層を通って炭素基材の細孔を塞ぐ様に深く侵入し、炭素と反応して炭化ケイ素化する。そのため、細孔中に炭化ケイ素が形成され、炭素基材の細孔は、炭化ケイ素によって塞がれたような状態となり、炭素基材の30〜55%がケイ化され、ガス、液体等の流体の不浸透性が向上する。
【0023】このあと、表面に残留する炭化ホウ素、炭化ケイ素、金属シリコン等を除去するために、砂等とともに混練する。その後、不浸透性を確実なものとするために、金属や熱硬化性樹脂を含浸し、最終製品とする。
【0024】このように、製品全体に炭化ケイ素層が形成されるため、製品形状に炭素基材を加工したあとで、炭化ケイ素を形成させる処理を施しても、炭化ケイ素に転化した際に発生する残留応力による歪みもほどんどなく、処理後の機械加工を不要とすることができる。また、黒鉛の表面には金属Siとしての残留物は存在せず、使用した樹脂の炭化物、炭化ケイ素、炭化ホウ素の成分の残留物が残るが、容易に取り除くことができるため、特に問題となることはない。また、添加した炭化ホウ素は、炭化ケイ素の共有結合度を高める働きをし、表面の硬度、即ち耐摩耗度を向上させていると推測できる。また、機械加工が、炭化ケイ素化処理前の炭素基材の段階で、全自動で行なうことができ、摺動面の研磨処理等の精密加工を除く最終機械加工が不要になることで、従来の炭素ー炭化ケイ素複合材に比較すると、製造コストの大幅な低減、製造時間の短縮の効果が得られる。
【0025】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)炭素基材として、嵩密度が1.77g/cm3 、平均細孔半径が1.5μm、曲げ強度が400kgf/cm2 の等方性黒鉛(東洋炭素(株)製)を断面積が0.3cm2 の試験用小型メカニカルシールの製品形状に加工した。なお、平均細孔半径は、水銀圧入法による測定値(水銀と試料との接触角141.3°、最大圧力1000kg/cm3 のときの累積気孔容積の半分の値)を採用した。ケイ素粉末(和光純薬工業製、平均粒度40μm)と炭化ホウ素粉末(電気化学工業製、品種AFI平均粒度5μm)を重量比で80:20の比率に混合し、分散媒としてポリビニールアルコール8%溶液を加え、混合分散させてスラリーとした。このスラリー中に試験品を浸し、1時間程度常温下で放置後、乾燥機の中で80℃から200℃で溶媒を蒸発させ、さらに10Torrの窒素ガス雰囲気下、誘導加熱炉において1800℃まで5時間で昇温し、30分間保持した後、冷却して取り出した。冷却後、表面の残留物を除去した。次に、密度、表面のケイ化率を測定した。摺動面表面のケイ化率は走査電子顕微鏡(日立製S−2400)を用いて、二次電子像を撮影した。次に画像解析装置(カールツァイス社製IBAS)にて2点のSiC/黒鉛(C)の面積比率を求め、これらを平均して面積比率とした。さらに、摺動面部表面の構成元素をESCA(SSX−100Model 206, Surface Science Instruments製)を使用し、ワイドスキャン測定を行い定性分析を行った。
【0026】(比較例1)実施例1と同質の炭素基材を使用して、ケイ素粉末のみを用いて、実施例1と同様にして、ポリビニールアルコール8%溶液を加え、混合分散させてスラリーとした。このスラリー中に試験品を浸し、1時間程度常温下で放置後、乾燥機の中で80℃から200℃で溶媒を蒸発させ、さらに10Torrの窒素ガス雰囲気下、誘導加熱炉において1800℃まで5時間で昇温し、30分間保持した後、冷却して取り出した。冷却後、表面の残留物を除去した。次に、製品の断面を観察した。
【0027】図1に炭化ホウ素を添加して作製した本発明に係るメカニカルシール部材の断面全体図を示す。図中の白い部分はケイ素部、黒い部分は炭素部を示す。内部にまで均一にケイ化されているのが判る。ケイ化率は38%、嵩密度は2.18g/cm3 であった。
【0028】図2にはシリコンのみを使用して炭化ケイ素を形成させたメカニカルシール部材の断面全体図を示す。図中の白い部分はケイ素部、黒い部分は炭素部を示す。図1と異なり、内部にまで均等にケイ素が浸透せず、ケイ素化されているところにバラツキがあることが観察できる。
【0029】表1には、摺動面表面の構成成分の概略比率を示す。この結果によるとケイ化率は38%であり、図1に示す面積比率とほぼ同等であることがわかる。
【0030】
【表1】

【0031】(耐摩耗試験)耐摩耗試験としてケイ化率が30%、35%、55%の供試体を作製し、摺動試験を行った。摺動試験は、試験片をステンレス金具に固定し、摺動試験面を鏡面仕上げを行い以下の条件でメカニカルシール材としての耐摩耗試験を行なった。
面圧力 0.196MPa平均周速 7000rpm流体 水(80℃)
試験時間 100時間【0032】(試験例1)炭素基材として、嵩密度が1.85g/cm3 、平均細孔半径が1.0μm、曲げ強度が800kgf/cm2 の等方性黒鉛(東洋炭素(株)製)を実施例1同様に断面積が0.3cm2 の試験用小型メカニカルシールの製品形状に加工した。その後、実施例1と同手順でケイ素粉末(和光純薬工業製、平均粒度40μm)と炭化ホウ素粉末(電気化学工業製、品種AFI平均粒度5μm)を重量比で80:20の比率に混合し、分散媒としてポリビニールアルコール8%溶液を加え、混合分散させてスラリーとした。このスラリー中に試験品を浸し、1時間程度常温下で放置後、乾燥機の中で80℃から200℃で溶媒を蒸発させ、さらに10Torrの窒素ガス雰囲気下、誘導加熱炉において1800℃まで5時間で昇温し、30分間保持した後、冷却して取り出した。冷却後、表面の残留物を除去した。さらに実施例1同様にケイ素化率と嵩密度を測定した。ケイ素比率は30%、嵩密度は2.15g/cm3 であった。
【0033】次に不浸透化処理を目的として常温にて試験品を含浸装置に入れて、真空下にてフェノール樹脂を注入し、続けて20kg/cm2 の圧力で2時間加圧した。含浸処理後、乾燥機に入れて常温から200℃まで昇温し樹脂を硬化した。
【0034】(試験例2)炭素基材として、嵩密度が1.82g/cm3 、平均細孔半径が1.2μm、曲げ強度が780kgf/cm2 の等方性黒鉛(東洋炭素(株)製)を使用し、実施例1と同様の手法にて炭素─炭化ケイ素複合材の試験用小型メカニカルシールを作製した。ケイ素比率は38%、嵩密度は2.18g/cm3 であった。その後、試験例2と同様、フェノール樹脂を含浸し、供試体とした。
【0035】(試験例3)炭素基材として、嵩密度が1.70g/cm3 、平均細孔半径が2.0μm、曲げ強度が370kgf/cm2 の等方性黒鉛(東洋炭素(株)製)を使用し、試験例1と同様の手法にて炭素─炭化ケイ素複合材の試験用小型メカニカルシールを作製した。ケイ素比率は55%、嵩密度は2.40g/cm3 であった。その後、アンチモン(Sb)を含浸し、供試体とした。
【0036】表2に耐摩耗試験結果を示す。
【0037】
【表2】

【0038】表1の結果から、内部まで略均等に炭素ー炭化ケイ素複合材がケイ化率30〜55%の比率で形成された本発明に係る炭素ー炭化ケイ素複合材は十分にメカニカルシール部材としての機能を備えていると言える。
【0039】
【発明の効果】本発明にかかるメカニカルシール部材によると、低速回転、高圧力下の条件でも、これまで使用されていた黒鉛製のメカニカルシール材以上の摺動封止効果が得られ、あわせて、予め基材の段階で最終製品寸法への機械加工が可能となることから、製造コストの低減が可能となり、大量生産した場合は、従来の黒鉛製のメカニカルシール材と比較してもそれほど差がなくなり、非常に経済的にかつ容易に小型汎用形ポンプ用メカニカルシール部材が提供できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000222842
【氏名又は名称】東洋炭素株式会社
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
【公開番号】 特開2000−88111(P2000−88111A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−276664