| 【発明の名称】 |
油圧機器部品 |
| 【発明者】 |
【氏名】山中 成昭
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| 【要約】 |
【課題】オイルシールを設置する相手部材との嵌合部の加工工程を少なくできてコストを低減でき、またこの部分の肉厚を薄くできて重量の軽減、及び鋳巣等の欠陥の防止を図る。
【解決手段】相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、この油圧機器部品11の嵌合部の軸方向端部に円筒部を段状に設け、この円筒部にオイルシール13,15を段部に当接する状態に挿入し、焼き付けにより固着した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、この油圧機器部品の嵌合部の軸方向端部に円筒部を段状に設け、この円筒部にオイルシールを段部に当接する状態に挿入し、焼き付けにより固着したことを特徴とする油圧機器部品。 【請求項2】 油圧機器部品の表面に樹脂溶液を塗布してからオイルシールを焼き付け固着することを特徴とする請求項1記載の油圧機器部品。 【請求項3】 相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、この油圧機器部品を耐熱耐油性を有するプラスチックにて構成し、この油圧機器部品に上記オイルシールを溶着したことを特徴とする油圧機器部品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチピストン等、液密状態で摺動する油圧機器部品に関するものである。 【0002】 【従来の技術】油圧機器部品で、特に自動車の自動変速機のクラッチピストンにあっては、油圧にて作動制御されるため、他の部品との嵌合部は液密性を保持しなければならず、従ってこの部分にはOリング、Dリング等のオイルシールを介装する。 【0003】図1、図2は従来の上記クラッチピストン1を示すもので、これのピストン部2は、嵌合相手部材であるシリンダ(図示せず)に摺動自在に嵌合する外周面と、軸に摺動自在に嵌合する内周面とを有しており、この外周面と内周面にオイルシールを嵌合するオイルシール溝3,4が設けてある。なお、このピストン部2の軸方向一側には、内側に油圧バルブ(逆止弁)を内装するために円弧状にした衝立部5と、油圧バルブを作動するためのばね部材を装備するためのピン6とが設けてある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来のクラッチピストン1では、相手部材との嵌合部相互間に介装するオイルシールは、ピストン部2の外周面、内周面のそれぞれに設けたオイルシール溝3,4に嵌合するようになっているため、ピストン部2の各周面には機械加工あるいは塑性加工のいずれかにしても、オイルシール溝3,4を加工しなければならず、このためのコストアップは避けられなかった。 【0005】また、上記オイルシール溝3,4を加工する関係上、この溝を加工する部分の肉厚を溝の深さより厚くしなければならず、このため、外周部、内周部の肉厚が厚くなってしまい。クラッチピストン全体の重量が大きくなってしまうという問題があった。また、この部分の肉厚が厚くなることにより、このクラッチピストンがダイキャストを含む鋳造にて成形するときに、この部分に鋳巣ができて液漏れしやすいという問題があった。 【0006】本発明は上記のことにかんがみなされたもので、相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、上記相手部材との嵌合部にオイルシール溝を設けることなしにオイルシールを取付けることにより、この相手部材との嵌合部の加工工程を少なくでき、またこの部分の肉厚を薄くできて、加工コストの低減、重量の軽減及び鋳巣等の欠陥の発生防止を図ることができ、さらに、鋳巣がある部品でも、この鋳巣部分を封止できて鋳巣による液漏れを防止できるようにした油圧機器部品を提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、第1の発明に係る油圧機器部品は、相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、この油圧機器部品の嵌合部の軸方向端部に円筒部を段状に設け、この円筒部にオイルシールを段部に当接する状態に挿入し、焼き付けにより固着した構成になっている。そしてこの発明に係る油圧機器部品において、これの表面に樹脂溶液を塗布してからオイルシールを焼き付け固着する。 【0008】また第2の発明に係る油圧機器部品は、相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、この油圧機器部品を耐熱耐油性を有するプラスチックにて構成し、この油圧機器部品に上記オイルシールを溶着した構成になっている。 【0009】 【作 用】第1の本発明に係る油圧機器部品ではオイルシールが円筒部に挿入されてから焼き付けにより固着され、また、第2の発明では油圧機器部品とオイルシールとは一体成形される。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図3以下に基づいて説明する。図中11は図1にて示したクラッチピストン1と同様のクラッチピストンであり、これのピストン部12には嵌合相手部品であるシリンダに嵌合する外周面と、軸に嵌合する内周面とを有している。またこのピストン部12の軸方向一側には上記従来のものと同様に衝立部5とピン6とが一体状に設けてある。 【0011】上記外周面の先端部には外周用オイルシール13を装着するための円筒状の外周用オイルシール装着部14が、ピストン部12の先端側が小径となるよう段状に形成されている。また内周面には内周用オイルシール15を装着するための円筒状の内周用オイルシール装着部16が、ピストン部12の先端側が大径となるよう段状に形成されている。 【0012】上記外周用オイルシール装着部14には外周用オイルシール13が、ピストン部12の先端側から段部につき当たるまで挿入し焼き付けにて固着されている。また内周用オイルシール装着部16には内周用オイルシール15が、ピストン部12の先端側から段部につき当たるまで挿入し焼き付けにて固着されている。 【0013】このときのクラッチピストン11はアルミニウム合金によるダイキャスト成形法により、または塑性加工法により成形されたものであり、ダイキャストに成形される場合の材料の成分は重量%で、Cu:3.0、Si:8.0、Mg:0.1、Zn:0.05、Fe:1.0、Mn:0.3、Al:残り(ADC−10相当)である。 【0014】また塑性加工法による場合の材料の成分は重量%で、Cu:0.01〜0.5、Si:0.01〜0.5、Mg:0.2〜0.8、Zn:0.01〜1.0、Fe:0.01〜0.5、Mn:0.1〜1.0、Al:残り、また上記成分で、Siが全く含有しない材質のものを用いる。この実施の形態では、Cu:0.02、Si:0.04、Mg:0.31、Zn:0.01、Fe:0.40、Mn:0.80、Al:残りよりなる材料をダイキャスト鋳造により粗成形し、ついで塑性加工(切削レス)で完全品とした。 【0015】上記各オイルシール13,15には、最高温度:165℃、通常温:120℃、最低温度:−40℃、使用するクラッチ圧が2.1Mpa(21kg/cm2)の使用条件に耐えるアクリル系ゴムが用いられる。 【0016】上記クラッチピストン11はプラスチック、例えば、ポリフタルアミド(商品名アモデル)を射出成形にて成形してもよい。この場合、射出成形機に2色成形型を用い、ポリフタルアミドにてクラッチピストン11を成形すると共に、このクラッチピストン11の各オイルシール装着部14,16にアクリル系ゴムを射出成形して各オイルシール13,15を同時成形するようにしてもよい。 【0017】上記実施の形態におけるクラッチピストン11を、表1に示した自動変速機の運転状況とクラッチピストンに対する使用条件にて用いる。そのとき要求されるシール性能は、油温120℃±10℃、回転数7500rpmで10時間運転後のリーク(漏)量1cc/分以下であるが、この実施の形態におけるクラッチピストン11ではいずれもこの目標をクリアすることができた。 【0018】 【表1】
【0019】この発明におけるオイルシールの断面形状は図4に示した形状(L字状、U字状)に限るものではなく適宜の断面形状のものが用いられる。また、クラッチピストン11がダイキャスト製の場合、上記オイルシールを焼き付ける円筒面にコイニング等の塑性加工による仕上げ加工を施してもよい。 【0020】また、上記実施の形態ではクラッチピストン11をアルミニウム合金を用いたダイキャスト成形や塑性成形の例を示したが、鋳鉄による鋳造成形でもよいことはもちろんである。 【0021】このクラッチピストン11をダイキャスト成形及び鋳造成形の場合、図4中に示すように、オイルシール装着部等に鋳巣17が発生することがある。クラッチピストン11には高圧の圧油が作用するため、部材内に鋳巣があると、その部分から圧油が漏れ出してしまうという問題がある。 【0022】従って、このような鋳巣17が発生している可能性があるダイキャスト及び鋳造にて成形されたクラッチピストン11は、オイルシール13,15を焼き付ける前に、クラッチピストン11の全周面に、あるいは必要とする部分の表面にフェノール樹脂系の接着剤等の樹脂溶液をドブ漬け、あるいはハケ塗り等にて塗布する。これにより内部に鋳巣17があっても、その部分の表面が樹脂溶液の固化膜で覆われ、及び、鋳巣17内に樹脂が浸透することにより、鋳巣17が封止されて液密性が向上され、この部分での油漏れがなくなる。 【0023】この場合、オイルシール13,15は樹脂溶液の固化後所定個所に挿入後焼き付け固着する。このとき、オイルシール13,15に接触する部分の樹脂膜は溶融して、この部分の液密性は一層よくなる。図4に示される外周用オイルシール13のように、外周用オイルシール装着14に装着する円筒部を長くすることにより、クラッチピストン11のオイルシール13にて覆われる面積が大きくなるので、この部分の鋳巣17からの油漏れをこのオイルシール13の円筒部でも阻止することができる。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、相手部材に対して軸方向に摺動自在に嵌合し、この嵌合部にオイルシールを設置する油圧機器部品において、上記オイルシールをオイルシール溝を設けることなしにオイルシールを取付けることができ、オイルシールを設置する相手部材との嵌合部の加工工程を少なくできて加工コストの低減することができる。またオイルシール溝が必要ないことにより、この部分の肉厚を薄くできて、この部分の重量を軽減できると共に、この部分での鋳巣等の欠陥の発生防止を図ることができる。 【0025】また、上記油圧機器部品の表面に樹脂溶液を塗布してからオイルシールを焼き付け固着するようにしたことにより、仮に内部に鋳巣があっても、これの表面側が樹脂溶液の固化膜にて封止され、この部分からの油漏れが防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】392008437 【氏名又は名称】株式会社久保田鉄工所
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| 【出願日】 |
平成10年9月10日(1998.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073818 【弁理士】 【氏名又は名称】浜本 忠 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−88107(P2000−88107A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−256208 |
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