| 【発明の名称】 |
キャップ構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】中川 道久
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| 【要約】 |
【課題】O-リングを使用して開口部を密閉状に閉塞するキャップの鋳造品質改善による歩留まり向上を図り、また、エンジンのブリーザ装置に利用するのに有利なキャップ構造を提供する。
【解決手段】開口部2に嵌合する円輪状突起3をキャップ面に設け、キャップ1に固着した当板4の周縁部4aを、突起先端から水平に突出させて突起回りに断面コ字状のO-リング嵌挿溝7を形成する。突起内側の当板で覆われた空間をブリーザ装置のブリーザ室20に形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】キャップ面に、キャップで閉塞される開口部に嵌合する円輪状突起を設け、キャップに円盤状の当板を固着し、該当板周縁部を、突起先端から水平に突出させて突起回りに、突起外周面を底面とする断面コ字状のO-リング嵌挿溝を形成したことを特徴とするキャップ構造。 【請求項2】突起外周面に連接してキャップ面に、段差付きで僅かにキャップ面より高くしたO-リング嵌挿溝壁面を形成し、該O-リング嵌挿溝壁面と、これに対向する当板周縁部をほぼ同径にしたことを特徴とする請求項1記載のキャップ構造。 【請求項3】当板をプレス加工して当板周縁部と当板主部との間に円輪状段差部を設け、該段差部に突起先端に当接させ、当板主部を固定ねじでキャップに固着したことを特徴とする請求項1記載のキャップ構造。 【請求項4】当板で覆われた突起内側空間をブリーザ室にしたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のキャップ構造。 【請求項5】キャップ面に、突起内側空間にガス通路を画成する隔壁と、当板を固着する固定ねじ取着座を設けたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のキャップ構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、開口部内壁面にO-リングを圧着させて開口部を密閉状に閉塞するキャップ構造に関するものであり、更に詳しくは、車両用エンジン等において、シリンダヘッドの側面に開口させたカムシャフト設置空間の開口部等を密閉状に閉塞するキャップに好適するキャップ構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、キャップで開口部を密閉状に閉塞するのに、キャップと開口部間にO-リングを介装して閉塞することが多い。例えば、車両等に搭載されるオーバヘッド・カムシャフト式のエンジンでは、シリンダヘッドに吸気弁及び排気弁を装着し、これらの弁をカムシャフトに形成したカムにより所定のタイミングで開閉するようにし、シリンダヘッドの側面に設けたカムシャフト設置空間の開口部をキャップで密閉状に閉塞し、キャップを取り外すことによってカムシャフト設置空間内の各部品等の保守点検を行い得るようにしている。 【0003】ここで、使用されるキャップは、一般に、キャップ面に、開口部に嵌合する円輪状突起を設け、この突起回りに設けた断面コ字状のO-リング嵌挿溝にO-リングを嵌挿し、このO-リングを相対する開口部内壁面に圧着させて開口部を密閉状に閉塞するようにしている。 【0004】また、4ストロークエンジンは、燃焼室内のガスがピストンの摺動面を通してクランク室へ吹き抜ける現象、すなわち、ブローバイガスを生じることがあり、クランク室内の圧力が上昇するので、ブローバイガスをクランク室から排出するブリーザ装置を設備することが一般的に行われている。この場合、ブローバイガスには、エンジンオイルがミスト状(油滴に近い)になって混在するので、ガス中に含まれるオイル分を分離するために、シリンダヘッドの側面に取着したキャップの内部空間をブリーザ室とした構成のものも提案されている。先行技術としては、例えば、特開昭61−138811号公報がある。 【0005】この公報に記載のものは、キャップの内部空間を内壁部材で覆い、この内壁部材面を内壁とし、キャップ面を外壁とし、両壁面から互い違いにリブを突出させて対向する内壁及び外壁間でブローバイガスを蛇行流動させるガス通路を画成し、内壁部材中央部に設けたガス導入口からブローバイガスを導入してガス通路を流動する間にガス中に含まれるオイル分を分離し、分離されたオイル分(ブリーザドレン)をブリーザ室下部に設けたオイル戻し孔からクランクケースのオイルパンに戻し、オイル分が分離された後のガス分だけをブリーザ室上部に設けたガス導出口からブリーザチューブ等を介してエアクリーナに送出するようにしている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記するように、エンジンのシリンダヘッドに設けたカムシャフト設置空間の開口部を密閉状に閉塞するような従来のダイカスト製のキャップでは、キャップを鋳造する段階で素材形状として突起回りにO-リング嵌挿溝を設けることが一般に行われているが、キャップ形状によっては突起回りに直接にO-リング嵌挿溝を鋳抜くことができないことがある。このような場合、ダイカスト材の肉厚部分にO-リング嵌挿溝を加工することになって加工代が増えるので、鋳巣が仕上げ面に露出して不良品とされる可能性が高くなる。これでは歩留まりが悪くなるし、加工した後に鋳巣が発見されるのでそこまでの加工工数が無駄になる。 【0007】また、エンジンのブリーザ装置としてキャップの内部空間をブリーザ室に利用する上記公報に記載のものは、キャップ面(外壁)及び内壁部材面(内壁)から互い違いにリブを突出させる構成のために、キャップと、これに組み合わせる内壁部材はともにダイカスト製のものとなる。 【0008】そこで、本発明の課題は、ダイカスト製のキャップと板材からなる当板とを組み合わせ、鋳造品質改善による歩留まり向上を図り、また、4ストロークエンジンのブリーザ装置に利用するのにも有利なキャップ構造を提供することを目的としたものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、キャップ面に、キャップで閉塞される開口部に嵌合する円輪状突起を設け、キャップに円盤状の当板を固着し、該当板周縁部を、突起先端から水平に突出させて突起回りに、突起外周面を底面とする断面コ字状のO-リング嵌挿溝を形成したことを特徴とする。 【0010】本発明においては、O-リング嵌挿溝を、キャップの突起と、キャップに固着した当板の周縁部で形成するので、素材形状を最適化してO-リング嵌挿溝の加工代を減らすことができ、その結果、仕上げ面への鋳巣露出による歩留まり悪化を防ぐことができる。 【0011】また、開口部にキャップを取着してO-リングを開口部内壁面に圧着させて気密性を保持する上で、請求項2記載の発明のように、突起外周面に連接してキャップ面に、段差付きで僅かにキャップ面より高くしたO-リング嵌挿溝壁面を形成し、該O-リング嵌挿溝壁面と、これに対向する当板周縁部をほぼ同径にするのが好ましい。 【0012】このように構成すると、O-リングと、シリンダヘッドの開口部端面に当接するキャップ面との間に若干の位置的なずれができ、開口部に突起とともにO-リングが出入りする際に、開口部内壁面に対するO-リングの弾力的な当接摺動をし易くする。また、開口部をキャップで閉塞する際には、O-リングは、キャップ面とO-リング嵌挿溝壁面との段差分だけ開口部端縁より奥まった位置、つまり、シリンダヘッドの開口部端縁に対する面取り等の影響のないところの開口部内壁面に圧着するようになるので、長期間に亘り安定した気密性を保持できる。 【0013】また、当板は、請求項3記載の発明のように、当板をプレス加工して当板周縁部と当板主部との間に円輪状段差部を設け、該段差部に突起先端に当接させ、当板主部を固定ねじでキャップに固着した構成とするのが好ましい。 【0014】このように構成すると、キャップに当板を固着するのに、突起の内側空間に当板主部を入れるだけで段差部外側に突起先端が当接して自然に位置決めされ、そのままキャップは定位置にしっかり固着できる。また、当板面には円輪状の段差部が存在するので、当板の剛性が高まり、O-リング嵌挿溝の一方の壁面とされる当板周縁部の平面性を維持し、O-リング嵌挿溝の形態的精度を安定させる。 【0015】4ストロークエンジンにおいて、カムシャフト設置空間の開口部に取着されるキャップの場合は、請求項4記載の発明のように、当板で覆われた突起内側空間をブリーザ室にすることができる。 【0016】この場合に、ブリーザ室におけるオイル分の分離性をよくするために、請求項5記載の発明のように、キャップ面に、突起内側空間にガス通路を画成する円弧状隔壁と、当板を固着する固定ねじ取着座を設けた構成とするのが好ましい。 【0017】ここで、分割構成で径の異なる複数の円弧状隔壁と複数個の固定ねじ取着座を適切に配置し、当板をこれら隔壁先端及び固定ねじ取着座先端に当接させて周方向に蛇行するガス通路を画成する。 【0018】このように構成すると、ガス通路の始端に連通するガス導入口と、ブリーザ室からオイルを排出するオイル戻し孔は、当板に打ち抜き加工で簡単に設けることができる。また、当板に対してはガス通路を画成する上から特別な加工を必要としないので、当板は、板材からの打ち抜き加工及び簡単なプレス加工で作ることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0020】図1は本発明の実施の形態を示すキャップ構造の縦断面図、図2は本発明の実施の形態を示すキャップの一部拡大断面図、図3は本発明の実施の形態を示す当板の一部拡大断面図である。 【0021】図1において、キャップ1は、ダイカスト製のもので、キャップ面1aに、キャップ1で閉塞される開口部2に嵌合する円輪状突起3を設け、板材から打ち抜き加工で得られた円盤状の当板4を、キャップ1に設けた固定ねじ取着座5に固定ねじ6を使用して固着し、当板周縁部4aを突起先端から水平に突出させて突起回りに、突起外周面7aを底面とする断面コ字状のO-リング嵌挿溝7を形成し、このO-リング嵌挿溝7にO-リング8を嵌挿している。 【0022】キャップ1は仕上げる段階で、突起外周面7aやシリンダヘッドの開口部端面2bに当接するキャップ面1aを仕上げるとともに、図2に示すように、突起外周面7aに連接するO-リング嵌挿溝壁面1bを、段差tを付けて僅かにキャップ面1aより高くし、このO-リング嵌挿溝壁面1bと、これに対向する当板周縁部4aをほぼ同径にしている。こうして、キャップ面1aとO-リング8間に若干の位置的ずれを生じさせ、開口部2に突起3とともにO-リング8が出入りする際に、開口部内壁面2aに対するO-リング8の弾力的な当接摺動をし易くし、また、段差t分だけO-リング8が開口部端縁より奥まった位置で開口部内壁面2a(図1参照)に圧着して気密性を安定させるようにしている。 【0023】当板4はプレス加工により、図3に示すように、その当板周縁部4aと当板主部4bとの間に円輪状段差部4cを設けている。これにより、キャップ1に当板4を固着するのに、突起3の内側に当板主部4bを入れると、段差部4c外側に突起先端が当接して自然に当板4が位置決めされ、そのまま定位置にしっかり固着できる。また、当板4には段差部4cが存在するので当板4の剛性を高め、当板周縁部4aの全周的な平面性を維持し、O-リング嵌挿溝7の形態的精度を安定させる。 【0024】図4は本発明をエンジンに適用したエンジンの概略要部の断面図、図5は本発明をエンジンに適用した実施の形態を示すキャップの正面図、図6は本発明をエンジンに適用した実施の形態を示す当板の正面図である。 【0025】図4において、本発明を適用した4ストロークエンジンが示されている。同エンジンは、クランクケース9上にシリンダ10が結合され、このシリンダ10内に摺嵌したピストン11をコンロッド12を介してクランクケース9のクランク室9aに軸支したクランクシャフト13と連結している。なお、図中9bはクランクケース9の底部に形成したオイルパンである。 【0026】シリンダ10に結合したシリンダヘッド14には、カムシャフト設置空間15を形成し、この空間15にカムシャフト16を軸支し、このカムシャフト16をチェーンスプロケット伝導機構17を介してクランクシャフト13と連結している。このチェーンスプロケット伝導機構17を構成するチェーン17aは、シリンダ10及びシリンダヘッド14内に形成されたチェーントンネル18に通されている。また、このチェーントンネル18によって前記カムシャフト設置空間15とクランク室9aは連通されている。 【0027】シリンダヘッド14の一方の側面にカムシャフト設置空間15の開口部15aを設け、この開口部15aにキャップ19を取着して密閉状に閉塞している。本実施の形態では、このキャップ19にブリーザ装置のブリーザ室20を形成している。このブリーザ室20は、キャップ19のキャップ面に設けた円輪状突起21の内側空間を当板22で覆って形成される。 【0028】なお、本実施の形態、すなわち、本発明をエンジンに適用した実施の形態のものも、前述の図1〜3に示す実施の形態において、ダイカスト製のキャップ1に板材からなる当板4を組み合わせ、キャップ1に当板4を固定ねじ6を使用して固着し、突起回りにO-リング嵌挿溝7を形成し、このO-リング嵌挿溝7に嵌挿したO-リング8を開口部内壁面に圧着させて開口部を密閉状に閉塞するようにしたキャップの基本構成では共通する。 【0029】本実施の形態では、図5に示すように、突起21の内側のキャップ面に、適切に配置された分割構成で径の異なる複数の円弧状隔壁23を突設する他に、当板22を固着するための複数の固定ねじ取着座24等を一体に設け、当板22をこれら円弧状隔壁23及び固定ねじ取着座24の上端に気密的に当接(図4参照)させて周方向に蛇行するガス通路25を画成し、このガス通路25の終端に連通してキャップ上部を貫通してオイル分の分離されたガス分を外部に排出するガス導出口26を設けている。 【0030】また、ブローバイガスをブリーザ室20に導入するガス導入口27は、図6に示すように、当板22の上部に設け、ブリーザ室20で分離されたオイル分を外部に排出するオイル戻し孔28を当板22の下部に設けている。 【0031】上記構成において、図4におけるクランク室9aからのブローバイガスがチェーントンネル18を経て当板上部のガス導入口27(図6参照)からブリーザ室20に導入されると、ガス通路25(図5参照)を蛇行流動する間にオイル分が分離され、このオイル分は、ブリーザ室20を構成する各面に付着して自然流下して当板下部に達してオイル戻し孔28(図6参照)から排出されてオイルパン9aに戻される。オイル分が分離されたガス分は、ガス通路終端に達してガス導出口26(図5参照)からブリーザチューブ等を介してエアクリーナ(図示せず)などへ送給される。 【0032】 【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、本発明によれば、開口部内壁面にO-リングを圧着させて開口部を密閉状に閉塞するキャップ構造として、そのO-リング嵌挿溝を、ダイカスト製のキャップと板材から打ち抜き加工した当板とを組み合わせて形成するから、従来のように、製品形態により素材にO-リング嵌挿溝を形成することができず、そのため止むを得ずダイカスト材の厚肉部分にO-リング嵌挿溝を加工する形式のキャップに比べ、素材形状を最適化してO-リング嵌挿溝の加工代を減らすことができ、その結果、仕上げ面への鋳巣露出による歩留まり悪化を防ぐことができる。また、車両用エンジン等において、シリンダヘッドのカムシャフト設置空間の開口部を閉塞するキャップとしては、O-リング嵌挿溝を構成する突起の内部空間を有効利用してブリーザ室を形成するので、ブリーザ装置をコンパクト化できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000974 【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月16日(1998.9.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065868 【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外5名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−88106(P2000−88106A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−261800 |
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