| 【発明の名称】 |
オイルシールの抜け止め装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】増田 英夫
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| 【要約】 |
【課題】オイルシールのゴム製のシール本体が取り付け開口から抜け出すのを防止するために、抜け止め効果が大きく、軽量で安価な手段を提供する。
【解決手段】ハウジング2の開口3と回転軸4の隙間をシールするゴム製のシール本体5の軸方向外側の側面に、多角形の形状に近いロックリング16が掛けられて、主として直線状部分18がシール本体5に係合すると共に、円弧状部分17が開口3の内面に形成された環状溝21に嵌まって係止される。ロックリング16の着脱は一対の屈曲端部19,20を摘んで弾性変形をさせることにより容易に行うことができる。シール本体5が開口3から抜け出そうとするとロックリング16に剪断力が作用するが、ロックリング16をバネ鋼線製とすることにより、軽量でも強い抜け止め作用が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口の内表面に装着されると共に前記開口を通過する軸体に嵌装されるゴム製のシール本体を備えているオイルシールに使用され、前記開口の内表面に形成された環状溝、及び、前記シール本体の軸方向外側の側面に係合する部分と弾性変形させた状態で前記環状溝に装着される部分と内方へ屈曲した一対の端部とを有する一部開放したリング状のロックリングから構成されていることを特徴とするオイルシールの抜け止め装置。 【請求項2】 請求項1において、前記軸体が回転軸であり、前記ゴム製のシール本体にはシールリップが形成されていて、前記シールリップが前記回転軸に摺動可能に接触していることを特徴とするオイルシールの抜け止め装置。 【請求項3】 請求項1又は2において、前記ロックリングがバネ鋼線から製作されていることを特徴とするオイルシールの抜け止め装置。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記ロックリングが前記開口の環状溝に装着される部分として複数個の実質的に円弧状の部分と、前記シール本体の軸方向外側の側面に係合する部分として複数個の実質的に直線状の部分とを具えていることを特徴とするオイルシールの抜け止め装置。 【請求項5】 請求項4において、前記ロックリングの実質的に直線状の複数個の部分が概ね多角形の形状を呈していることを特徴とするオイルシールの抜け止め装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、一般にオイルシールと呼ばれているシール装置に係り、特にシール本体がゴム製であって回転軸のような軸体の周りに嵌装され、潤滑油のようなオイルその他の流体が軸体の周りの隙間から漏れ出るのを阻止する軸封装置において、シール本体が隙間から抜け出すのを阻止する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、フォークリフトのような車両に用いられるディファレンシャルギヤ機構において、回転軸がケーシングに設けられた開口を通過する部分に用いられるオイルシールは図4に示すような構造を有する。即ち、一般的な構造のオイルシール1は、ハウジング2に形成された開口3と、その開口3を通過している回転軸4との隙間を閉塞するために、開口3側に取り付けられるシール本体5を備えている。シール本体5は耐油性及び耐摩耗性に優れた材質のゴムから成形され、回転軸4の表面に摺動接触する2条のシールリップ6,7と、開口3の内面に密着してハウジング2の内部8に向かって長く伸びている円筒形部分9と、全体の断面形が概ねY形となるようにシールリップ6,7と円筒形部分9との間を結合している円環状部分10とを備えている。 【0003】オイルシール1は、ハウジング2の内部8に充填された潤滑油が開口3と回転軸4との隙間から漏れ出るのを防止するために設けられるものであるから、シール本体5が開口3から抜け出すのを防止するために、シール本体5の円筒形部分9の外径は開口3の内径よりも若干大きく作られており、円筒形部分9を開口3内へ圧入することによって、円筒形部分9は開口3の内表面にゴムの弾力によって圧着して摩擦力としての緊縛力を生じる。しかし、このようなゴムの弾力による緊縛力だけでは、開口3の加工精度のばらつき等によって緊縛力の強さが一定にはならないし、ゴムが劣化して来ると緊縛力が弱くなるので、通常は環状のストッパープレート11をボルト12等によってハウジング2の外側面13に取り付けて、シール本体5が開口3から抜け出るのを防止している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前述のようにシール本体5を構成するゴムが劣化して緊縛力が低下すると、ストッパープレート11だけではシール本体5が開口3から抜け出すのを防止することができなくなり、図5に示すようにストッパープレート11を変形させてシール本体5が抜け出してしまう場合があるので、その対策としては、ストッパープレート11の板厚を増加させたり、ストッパープレート11をプレスによって絞って半径方向に補強のための襞を形成すること等により、ストッパープレート11の剛性を高める必要があった。しかしながら、ストッパープレート11の厚さを大きくすると重量が増加するし、プレス成形を加えて補強すると強度は多少増加するがコストが高くなるという問題がある。 【0005】従って、本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、オイルシールのゴム製のシール本体が、取り付けられた開口から抜け出すのを防止するために、シール本体のゴムの弾力による緊縛力や、ストッパープレートを使用した場合よりも大きな抜け止め効果を奏すると共に、それによって重量が増加するとか、コストが上昇することがない新規な抜け止め手段を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載されたオイルシールの抜け止め装置を提供する。 【0007】 【作用】本発明のオイルシールの抜け止め装置は、基本的に開口の内表面に装着されると共に開口を通過する軸体に嵌装されるゴム製のシール本体を備えているオイルシールにおいて、開口の内表面に形成された環状溝、及び、シール本体の軸方向外側の側面に係合する部分と弾性変形させた状態で環状溝に装着される部分と内方へ屈曲した一対の端部とを有する一部開放した環状のロックリングから構成されているので、ロックリングの一部分がシール本体の軸方向外側の側面に係合してシール本体の抜け止め作用をすると共に、他の一部分が、屈曲した一対の端部を摘んでロックリング全体を弾性変形させた状態で開口の内表面に形成された環状溝に簡単に装着される。シール本体は、強靱なロックリングを介して開口の環状溝によって支持される結果、小径のロックリングであっても大きな抜け止め効果を奏し、シール本体が開口から抜け出るのを確実に阻止することができる。しかも、ロックリングは軽量で、安価に製造することができる利点がある。 【0008】より具体的に、本発明は、開口に挿入される軸体が回転軸であり、ゴム製のシール本体にはシールリップが形成されていて、シールリップが回転軸に摺動可能に接触している、所謂リップシール装置として実施することができる。それによって、軸体がシールリップに対して摺動接触する場合でも、シール本体を開口の内部に保持して抜け出るのを防止すると共に、回転軸の周囲を確実に軸封することができる。 【0009】また、ロックリングは軽量、安価で、強靱なバネ鋼線から製作することができる。ロックリングを、開口の環状溝に装着される部分として複数個の実質的に円弧状の部分と、シール本体の軸方向外側の側面に係合する部分として複数個の実質的に直線状の部分とを具えている形状とすることにより、ロックリングは実質的に直線状の複数個の部分が概ね多角形の形状を呈するものとなる。それによって、従来から用いられているストッパープレートよりも軽量でありながら、より強靱なロックリングがシール本体を開口内に確実に保持して、シール本体の確実な抜け止め効果をもたらす。 【0010】 【発明の実施の形態】図1〜図3に本発明の抜け止め装置を備えたオイルシールの好適な実施形態を示す。図4及び図5に示した従来のオイルシール1と同様に、本発明の実施形態としてのオイルシール15も、ハウジング2の開口3を通過する回転軸4に嵌装される耐油性と耐摩耗性のあるゴム製のシール本体5を備えており、そのシールリップ6,7は回転軸4の表面に摺動接触している。シール本体5の円筒形部分9の外径も、開口3の内表面との間に緊縛力が作用するように、開口3の内径よりも多少大きくする方がよい。しかし、図4に示すストッパープレート11やそれを固定するボルト12は、ハウジング2の内部8と外部との圧力差がよほど大きくない限り設ける必要はない。 【0011】本発明の特徴に対応して、実施形態のオイルシール15は図3に示したような形状のロックリング16を備えている。ロックリング16は直径が例えば1.6mmのバネ鋼線から図示のような閉曲線に近い形状に成形される。ロックリング16の形状は必ずしも図3のようなものに限られないが、図示の場合は長短4個の円弧状部分17と、3個の直線状部分18と、両端において内方へ屈曲された一対の屈曲端部19,20とを有する形状となっている。そして、ロックリング16に力が作用していない状態では、屈曲端部19,20の相互間には若干の間隔が形成されている。 【0012】ハウジング2の開口3の内表面には環状溝21が形成されており、ロックリング16の円弧状部分17を受け入れることができる。また、環状溝21の底面の直径は、力が作用していない状態のロックリング16の円弧状部分17の外径よりも小さくなっている。従って、ロックリング16の屈曲端部19,20を指先で摘んで相互の間隔を狭めることにより、円弧状部分17の外径が小さくなっている状態で、ロックリング16を環状溝21内に装着すると、ロックリング16の複数個の円弧状部分17が環状溝21に係合して、ロックリング16が開口3内に確実に固定される。 【0013】そこで、回転軸4に嵌装されたゴム製のシール本体5を回転軸4上で軸方向に開口3内へ打ち込んだのち、シール本体5の軸方向外側の側面にロックリング16の直線状部分18が接触して係合するように、屈曲端部19,20の間隔を縮めることにより円弧状部分17の外径を縮小させながら、円弧状部分17を開口3の環状溝21内へ嵌め込む。それによって確実に抜け止めが施されて、シール本体5が軸方向に抜け出ることがなくなる。 【0014】直径1.6mmのバネ鋼線の剪断強さや曲げ強さは、厚さ2.3mmの鋼板のそれらよりも大きいから、図示のような形状のロックリング16の抜け止め効果は、図4や図5に示したストッパープレート11のそれよりも大きくなる。それ以外にもロックリング16は、細いバネ鋼線からなるリング状のものであるから軽量であることや、指先で摘んで縮めた状態で簡単に環状溝21に装着したり外したりすることができるので、工具やボルト12(図4及び図5参照)が不要であり、作業性が良いこと、個々のオイルシールにおいてシール保持力にバラツキが生じないので、均一な抜け止め効果が得られること、単価が安くてコストを低減させ得ること等の利点を有する。 【0015】なお、図示実施形態におけるロックリング16の形状は隅部の丸い四角形に近いものとなっているが、一般的には多角形の形状に近いものとすることができるし、環状溝21に係合する円弧状部分17を、直線状部分18の端部から半径方向外方へ僅かに突出させた形状とすること、或いはその反対の変形形状とすることもできる。また、ロックリング16及び環状溝21の断面形状は円形に限る訳ではなく、長方形その他の形状を使用し得る。 【0016】 【発明の効果】本発明を実施すれば、オイルシールのゴム製のシール本体が、それを取り付けている開口から抜け出すことが防止され、経年変化がなく、重量の増加やコストの上昇を伴うことなしに、シール本体の確実な抜け止め効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成10年7月29日(1998.7.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−46196(P2000−46196A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平10−214306 |
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