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【発明の名称】 密封装置の製造方法とその製造用治具
【発明者】 【氏名】豊田 真彦

【氏名】太田 高裕

【氏名】篠原 種宏

【氏名】亀井 博正

【氏名】名山 理介

【要約】 【課題】リーフ材の外周側にリングの内周と外周の周長差に相当する突起を設けることにより、あるいはかかる組立工程を簡略する製造用治具を用いることにより、密封装置を効率的に製造する方法とその製造用治具を提供する。

【解決手段】リーフ材1を帯状の固定具6の内側に固定具6に対し所定の傾斜角度をもたせてリング状に配置し、強固に挟持する。固定具6とリーフ材1を所定の取付角度で挟持する斜面12a、12bを備える一対の角度保持具11a、11bを対向させて配置する。固定具6と角度保持具11a、11b具の両側に一対のガイド部材15a、15を配置して、角度保持具11a、11bと関係を保持し、さらにガイド部材15a、15bと角度保持具11a、11bとを相互に固定して、角度保持具11a、11bが相対的に移動可能な製造用治具30を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周の周長差に相当する隙間を外周側にもたせると共に、所定の取付角度で複数枚のリーフ材をリング状に配置し、リーフ材の外周側を接合して半製品化し、該半製品を回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起をリーフ材の外周側に形成し、該リーフ材を帯状の固定具の内側に配置し、該リーフ材を固定具に対し所定の傾斜角度をもたせて強固に挟持し、さらに、該挟持された状態のリーフ材の外周側を固定具に接合して半製品化することを特徴とする密封装置の製造方法。
【請求項2】 前記リーフ材の外周側に相互に位相を異にして突起を形成した少なくとも2種類の突起パターンを有するリーフ材を用い、該リーフ材を交互に組み合わせたときに、突起と突起加工時に形成される凹部とが重なるのを防止したことを特徴とする請求項1記載の密封装置の製造方法。
【請求項3】 内周側で複数のリーフ材を保持する帯状の固定具と、前記リーフ材を所定の取付角度で挟持する斜面を備え、かつ該斜面同士が対向して配置される一対の角度保持具と、該角度保持具の両側に配置されて前記角度保持具と固定具の関係を保持する一対のガイド部材とを備え、前記ガイド部材と角度保持具とは相互に固定されると共に、角度保持具同士は相対的に移動可能に構成されていて、リーフ材を強固に所定の角度で挟持することを可能とすることを特徴とする密封装置製造用治具。
【請求項4】 前記一対の角度保持具の一方と前記ガイド部材とはネジ手段を介して固定され、他方の角度保持具は前記ガイド部材にネジ手段を介して固定可能に構成されるとともに、ガイド部材には長手方向に長孔が穿接されており、該長孔に挿通されたネジ手段を介して他方の角度保持具が長孔に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の密封装置の製造用治具。
【請求項5】 複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周との周長差に相当する隙間を外周側に持たせるとともに、所定の取付角度で前記複数枚のリーフ材をリング状に配置して回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起を前記リーフ材の外周側に形成し、リング状の固定用外枠に円周方向に沿って形成された嵌合溝内に前記リーフ材の突起部側を嵌合させ、該外枠の側面から電子ビーム、レーザ等の高エネルギビーム溶接を施して前記リーフ材を嵌合溝内に固定することを特徴とする密封装置の製造方法。
【請求項6】 複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周との周長差に相当する隙間を外周側に持たせるとともに、所定の取付角度で前記複数枚のリーフ材をリング状に配置して回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起を前記リーフ材の外周側に形成し、リング状の固定用外枠に円周方向に沿って形成された嵌合溝内に前記リーフ材の突起部側を嵌合させ、該外枠の側面から前記リーフ材をかしめて該リーフ材を前記嵌合溝内に固定し、該リーフ材の端部を前記外枠にスポット溶接することを特徴とする密封装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は密封装置の製造方法とその製造用治具に関し、さらに詳細に言えばガスタービンや蒸気タービンの回転軸受のシール機構として開発された、薄板状のリーフ材(以下、リーフ材という)をリング状に配置した密封装置の製造方法とその製造用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】図19に示すように多数のリーフ材1a〜1f‥1nを回転軸2の外周面に配置し、各リーフ材1a〜1nの外周側を溶接により接合(図面に溶接ビード5として示す)するとともに、回転軸2に対し所定の角度をもたせたリング状の密封装置10がガスタービンや、蒸気タービンの回転軸用の密封装置として開発されている。かかる密封装置を製造するには、密封装置10のリング内周と外周の周長差があるために、リングの外周側に周長差に相当する厚さの極薄板をスペーサ4としてリーフ材1の間に交互に挟持して溶接する(図19には溶接個所を溶接ビード5で示す)か、接着するか、あるいはカシメによるかいずれかの方法で固定して組み立てていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来の密封装置では、以下のような問題があった。すなわち、前述の従来のこの種の密封装置では、スペーサ4のみをリーフ材の外周側だけで挟むのは非常に手間のかかる作業であった。しかも外周側のみを固定しなければならないために、多数のリーフ材の位置合わせが厄介であり、密封装置を製造するのはきわめて効率の悪い作業であった。
【0004】例えば厚さが約100μm、幅が約10〜20mm、長さが15〜30mmのリーフ材をリング状に配列した場合、リングの内周と外周の周長差分として外周側に厚さ10μmの極薄板のスペーサ4をリーフ材の間に挟持して固定することはきわめて厄介な作業であった。
【0005】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、リーフ材の外周側にリングの内周と外周の周長差に相当する突起を設けることにより、あるいはかかる組立工程を簡略する製造用治具を用いることにより、密封装置を効率的に製造する方法とその製造用治具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】(1)請求項1〜4記載の発明本発明は密封装置の製造方法であり、前述した技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明の密封装置の製造方法は、複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周の周長差に相当する隙間を外周側にもたせると共に、所定の取付角度で複数枚のリーフ材をリング状に配置し、リーフ材の外周側を接合して半製品化し、該半製品を回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起をリーフ材の外周側に形成し、該リーフ材を帯状の固定具の内側に配置し、該リーフ材を固定具に対し所定の傾斜角度をもたせて強固に挟持し、さらに該挟持された状態のリーフ材の外周側を固定具に接合して半製品化することを含むことを特徴とする(請求項1に記載の発明)。以下、この発明の重要な構成要素について、さらに詳細に説明する。
【0007】(固定具)本発明における帯状の固定具は、多数のリーフ材の外周側を固定して半製品を構成するためのものであり、断面がコ字形をなすものを用いて、該コ字形部分にリーフ材を挿入して位置決めを行なわせることが好ましい。しかし、固定具の断面をL字形のものとしてリーフ材の片側を位置決めさせることも可能である。
【0008】(接合方法)本発明においてリーフ材を固定具に接合するには、溶接、特にエネルギ密度の高いレーザ溶接、集中YAGレーザ溶接、あるいは母材のごく狭い領域を溶融させる電子ビーム溶接を用いることが好ましい。その他に、もちろんその他の形式の溶接や、ろう接などを用いることができる。
【0009】(半製品)本発明により製造される半製品は、半割れリングとするのが好ましい。しかし、3つ割れ、4つ割れなど適宜のものに構成することもできる。さらに、本発明の密封装置の製造方法は、前記リーフ材の外周側に相互に位相を異にして突起を形成した少なくとも2種類の突起パターンを有するリーフ材を用い、該リーフ材を交互に組み合わせたときに、突起と突起加工時に形成される凹部とが重なるのを防止したことを特徴とする(請求項2記載の発明)。本発明では突起の成形に絞り加工等の適宜の塑性加工を行なうことが好ましい。
【0010】さらに、本発明は製造用治具に関し、内周側で複数のリーフ材を保持する帯状の固定具と、前記リーフ材を所定の取付角度で挟持する斜面を備え、かつ該斜面同士が対向して配置される一対の角度保持具と、該角度保持具の両側に配置されて前記角度保持具と固定具の関係を保持する一対のガイド部材とを備え、前記ガイド部材と角度保持具とは相互に固定されると共に、角度保持具同士は相対的に移動可能に構成されていて、リーフ材を強固に所定の角度で挟持することを可能とすることを特徴とする(請求項3記載の発明)。
【0011】なお、本発明の製造用治具は、治具内に組み込んだリーフ材の落下を防止するべく下方に蓋を設けることが好ましい。しかし、作業台上に製造用治具を載置して作業を行なう場合には蓋なしに実施可能であるから、この蓋部は本発明の必須の構成ではなく選択的構成である。
【0012】また、本発明の製造用治具は、前記一対の角度保持具の一方と前記ガイド部材とはネジ手段を介して固定され、他方の角度保持具は前記ガイド部材にネジ手段を介して固定可能に構成されるとともに、ガイド部材には長手方向に長孔が穿接されており、該長孔に挿通されたネジ手段を介して他方の角度保持具が長孔に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする(請求項4記載の発明)。
【0013】本発明の密封装置の製造方法によれば、密封装置のリングの内周と外周の周長差の隙間分に相当する高さの突起をリングの外周側に形成したリーフ材を、帯状の固定具の内側にリング状に配置する。次いでこのリーフ材を固定具に対し所定の傾斜角度をもたせて強固に挟持する。挟持された状態のリーフ材の外周側を固定具に溶接などで接合して半製品を構成する。この半製品を回転軸の外周面に組み込む(請求項1記載の発明の作用)。
【0014】また、外周側に相互に位相を異にして突起を塑性加工により形成した少なくとも2種類の突起パターンのリーフ材を用い、リーフ材を交互に組み合わせたときに、突起と突起加工時に形成される凹部とが重なるのを防止して、所定の隙間調整を可能にする(請求項2記載の発明の作用)。
【0015】さらに、帯状の固定具の内周側で複数のリーフ材を保持する。対向して配置される一対の角度保持具の斜面により所定の取付角度でリーフ材を保持する。角度保持具の両側に一対のガイド部材を取り付けて、固定具と角度保持具の関係を保持する。角度保持具同士は相対的に移動可能であり、リーフ材を所定の角度で強固に挟持し、かつ固定具とリーフ材とを接合出来る(請求項3記載の発明の作用)。
【0016】一方の角度保持具は、ネジ手段によりガイド部材に固定される。他方の角度保持具とガイド部材とはネジ手段によって固定可能であるが、ガイド部材には長孔を穿設してあり、この長孔にネジ手段を挿通することによって他方の角度保持具は長孔に沿って移動可能であり、リーフ材を強固に挟持出来る(請求項4記載の発明の作用)。
【0017】(2)請求項5,6記載の発明請求項5記載の発明は、前記密封装置の第2の製造方法(第2実施形態に係る製造方法)に係る発明であり、複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周との周長差に相当する隙間を外周側に持たせるとともに、所定の取付角度で前記複数枚のリーフ材をリング状に配置して回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起を前記リーフ材の外周側に形成し、リング状の固定用外枠に円周方向に沿って形成された嵌合溝内に前記リーフ材の突起部側を嵌合させ、該外枠の側面から電子ビーム、レーザ等の高エネルギビーム溶接を施して前記リーフ材を嵌合溝内に固定することを特徴とする。
【0018】また、請求項6記載の発明は、前記密封装置の第3の製造方法(第3実施形態に係る製造方法)に係る発明であり、複数のリーフ材をリング状に配列し、リング内周と外周との周長差に相当する隙間を外周側に持たせるとともに、所定の取付角度で前記複数枚のリーフ材をリング状に配置して回転軸の外周面上に組み込むようにした密封装置の製造方法であって、前記リングの周長差の隙間分に相当する高さの突起を前記リーフ材の外周側に形成し、リング状の固定用外枠に円周方向に沿って形成された嵌合溝内に前記リーフ材の突起部側を嵌合させ、該外枠の側面から前記リーフ材をかしめて該リーフ材を前記嵌合溝内に固定し、該リーフ材の端部を前記外枠にスポット溶接することを特徴とする。
【0019】請求項1〜4記載の発明のように、固定具にリーフ材の外周端部を溶接によって固着する手段にあっては、溶接後の修正加工が困難なため、溶接時における密封装置の内径、外径及び幅方向の変形を極力抑制することを要することから、溶接時に前記変形を小さくするための細かい工夫が必要となり、作業工数が多くなる傾向にある。
【0020】然るに請求項5記載の発明によれば、リーフ材を固定用外枠の嵌合溝内に積層し嵌合して、該外枠の側面から電子ビーム等の高エネルギビーム溶接を施すので、該固定用外枠及びリーフ材の半径方向の変形は皆無となり、リーフ材の幅方向に僅かな変形が発生するにとどまる。
【0021】また、請求項6記載の発明によれば、リーフ材を固定用外枠の嵌合部に積層、嵌合後、該外枠の両側面からリーフ材をかしめて該外枠に固定し、溶接時における歪の少ないスポット溶接法によって前記リーフ材と外枠とを安定的に固着するので、固定用外枠及びリーフ材の半径方向の変形は皆無となるとともに、リーフ材の幅方向の変形も皆無となる。
【0022】従って請求項5,6記載の発明によれば、溶接時における密封装置の半径方向の変形が皆無となるとともに、リーフ材の幅方向の変形も最小限に抑制でき、溶接時において変形防止の手段を構ずることを必要とせず、溶接作業工数が低減される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の密封装置の製造方法とその製造用治具を図面に示される実施形態についてさらに詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0024】図1には本発明の一実施形態に係る製造方法及びその製造用治具により製造された密封装置10の概略構成を示す斜視図であり、図2は製造用治具の側面を示し、図3は図2のIII−III線による断面を示し、図4は図2の矢印方向から視た側面を示す。
【0025】図5は製造用治具を構成する部材の斜視図であり、図6〜図10は製造用治具を用いて密封装置を製造する方法を示す斜視図であり、図11は製造用治具を用いて製造された半製品の斜視図である。図12(イ)はリーフ材の斜視図であり、同(ロ)は(イ)のA−A線による断面を示す。また、図13は(イ)は図12に示すリーフ材と組み合わされるリーフ材の斜視図であり、同(ロ)は(イ)のB−B線による断面を示す。図14(イ)及び(ロ)は他の組み合わせを示すリーフ材の斜視図である。
【0026】図15は本発明の方法により製造された密封装置の半製品の正面を示し、同図(ロ)は(イ)のC−C線による断面を示す。図16は本発明により製造された密封装置の正面図を示す。
【0027】まず、本発明にかかる密封装置の製造用治具30は、図2〜図4に示すようにリーフ材1を所定の角度で保持する一対の角度保持具11a,11bと、固定具6及び角度保持具11a,11bの両側に位置し、固定具6と角度保持具11a,11bとの関係を一定に保持するガイド部材15a,15bと、リーフ材1の落下防止用の蓋17から構成されている。
【0028】断面がコ字形をした帯状の固定具6に、一対の角度保持具11a,11bが取り付けられる。さらに、該角度保持具11a,11bは所定の取付角度(本実施の形態では45度の)斜面12a,12bを備え、該斜面同士が対向して配置されている。さらに、角度保持具11a,11bにはボルト孔24a,24bが穿設されている。
【0029】また、前記ガイド部材15a,15bには、角度保持具11a,11bの前記ボルト孔24aに対応してボルト14aを装着するようになっている。これと同時に、両ガイド部材15a,15bには長手方向に長孔16が穿設されており、該長孔16にネジ手段としてのボルト14bが挿通されている。かかる構造のために、一方の角度保持具11aに対し、他方の角度保持具11bが長孔16に沿って相互に移動可能に構成される。したがって、角度保持具11a,11bを相互に接近させることにより、リーフ材間には余分な隙間を設けないように組立・調整が可能になる。
【0030】次に、製造用治具30を用いて前記本発明にかかる密封装置の製造するには、図5に示すような断面コ字形の帯状の固定具6に、リーフ材1と同一の幅を有する一対の角度保持具11a,11bを図6に示すように固定具6の内側6aから長手方向に挿入する。角度保持具11a,11bの間隔13にリーフ材1を挟持可能に構成する。角度保持具11a,11bには、それぞれリーフ材1の取付角度(本実施の形態では45度)と同一角度の斜面12a,12bを有している。
【0031】次いで、図7に示すように、固定具6と一対の角度保持具11a,11bの両側にガイド板15a,15bを配置し、角度保持具11a,11bとガイド板15a,15bをボルト14a,14bで固定して空間23を形成する。次いで、図8に示すように、この空間23に多数のリーフ材1を挿入する。リーフ材1は、外周側に位相を異にして突起を形成した少なくとも2種類の突起パターンを有するものを用いる。
【0032】すなわち、リーフ材1aは、厚さが例えば100μm程度の極薄い金属材料である。そして、リーフ材1は、図12に例示されたように外周側に3点の突起7a、7b、7cが塑性加工、例えば金型絞り加工によって形成され、突起7a〜7cを逆三角形に配置した突起パターンを有する面と反対面には前記突起パターンに対応する凹部8a〜8cが形成されたものである。
【0033】このリーフ材1aと交互に組み合わされる他方のリーフ材には、図13に示すようなリーフ材1bを用いる。すなわち、リーフ材1aとは異なる突起パターンを有するものであり、リーフ材1aに形成した3点の突起7a〜7cに対し、それぞれ位相を異ならせた突起パターンとして3点の突起7d〜7fを三角形状に配置し、この突起パターンに対応する凹部8d〜8fが形成される。そして、このような2種類のリーフ材1a,1bを交互に固定具6に挿入する。
【0034】次いで、上記のようにリーフ材1a,1bを交互に多数配置してから、図9に示すように、角度保持具11a,11b及びガイド部材15a,15bの下部にリーフ材1の落下を防止するために蓋17を取り付け、ボルト18により固定する。
【0035】ガイド部材15a,15bの角度保持具11b側のボルト孔は長孔16になっていて、図9に矢印Dで示すように、一方の角度保持具11aの方向へ他方の角度保持具11bを移動させてリーフ材1a,1bを強く押し込んだ状態で、ボルト14bを締め付ける。このために、多数のリーフ材1a,1bは角度保持具11a,11bにより強固に挟持されて所定の傾斜角度をもち、同時にリーフ材1に形成された突起7による適当な隙間をもった状態で支持される。
【0036】次いで、図10に溶接ビード5として示すように、リーフ材1と固定具6とをYAGレーザ溶接あるいは電子ビーム溶接により接合する。溶接作業を終了した後、製造用治具30を構成する角度保持具11a,11bとガイド部材15a,15b、蓋17を取り外すと、図11に示すようなリーフ材1の外周側が固定具6に接合された半製品101が構成される。
【0037】また、角度保持具11a,11bの上部には長手方向に溝19が加工されていて、リーフ材1を固定具6に溶接する際に前記角度保持具11a,11bが溶接されることがないようにしてある。次いで、このように構成された半製品101を回転軸2の外周面に組み込んで、図1に示すように密封装置10を形成する。
【0038】半製品101は帯状の固定具6長さを十分にとった半割れ品に形成するのが好ましい。特に図15に示すように半周以上の位置に角度保持具11a,11bが位置するように構成したものを、半周位置で切断して、2個の半割れリングの固定具6にフランジ21a、21bを溶接22し、さらに、該フランジ21a、21bをボルト25により固定して図16に示すような密封装置10を製造する。
【0039】さらに、リーフ材には、図14に示すように図12及び図13に示すものと異なる突起パターンを有するリーフ材101a,101bを使用することもできる。このリーフ材にはリングの外周側にあたる側の左右に線状突起7g,7hを形成したものであり、他方のリーフ材101bには外周側中央に線状突起7iを設けたものであり、これを交互に配置する。なお、突起パターンは適宜設定することができることは、いうまでもない。
【0040】本実施形態によれば、密封装置のリングの周長差の隙間分に相当する高さの突起を外周側に形成した所要枚数のリーフ材を固定具に挿通し、さらに固定具の長手方向にリーフ材を押し込んで所定の角度に位置決めするので、従来のように、リーフ材を前記周長差をスペーサとしてリーフ材の間に挟んでから、リーフ材の外周側と固定具を固定するというような困難な作業が不要となり、密封装置の製造がきわめて簡単になる。しかも固定具とリーフ材を溶接で接合すればよく、密封装置の製造はきわめて容易になる。
【0041】また、突起パターンは位相を変えて設けてあるので、リーフ材の組込時にはリーフ材の突起と凹部同士が係合してして隙間調整ができなくなるという問題が生じることはなく、密封装置のリングの外周側と内周側の周長差が確実に確保されて、高精度の密封装置を製造することができる。さらに、帯状の固定具の断面をコ字形にしたため、リーフ材の固定具への組み込みと保持が固定具の両側面で確実に行なわれる。固定具とリーフ材を接合した後もリーフ材が密封装置内において回転軸上で強固に維持されることになり、密封装置が軸の回転中に破損するおそれはない。
【0042】また、本実施形態の製造用治具によれば、簡単な構造でありながら、密封装置の製造がきわめて容易に実施できる。
【0043】図17及び図18は本発明の第2及び第3実施形態に係る密封装置10の半周分を示す構造図である。
【0044】図17に示す第2実施形態に係る密封装置10は、前記第1実施形態における図12〜図13に示すような突起7a〜7cを有するリーフ材1aと突起7d〜7fを有するリーフ材1bとを交互に重ね合わせ、あるいは図14に示すような突起7g,7hを有するリーフ材101aと突起7iを有するリーフ材101bとを交互に重ね合わせ、該重ね合わせたリーフ材01を固定用外枠02のT字状の嵌合溝6b内に嵌着する。この場合において、前記リーフ材01は、その外郭形状を前記嵌合溝6bに隙間を生ずることなく、しっくりと嵌合されるように形成される。
【0045】そして、前記各リーフ材01同士を嵌合溝6b内で円周方向に接合させた状態で、該固定用外枠02の両側面6a,6aから電子ビーム溶接あるいはYAGレーザ溶接によって接合する。これによって、図17に示すように固定用外枠02の両側面6a,6aの円周方向に沿ってビーム溶接03,03がなされ、リーフ材01はその根元部が前記固定用外枠02の嵌合溝6b内に内周側を自由端とする片持ち状に固定される。
【0046】(実験例1)前記リーフ材として、厚さ100μmのJIS−SUS304薄板材に板面からの高さ10μmの微小突起(7a〜7c、7d〜7f等)を加工し、該リーフ材01を、嵌合溝6b部の外径が420mmの固定用外枠02の嵌合溝6b内に、図6に示すような角度保持具11a,11bにより径方向と45°の角度で以って配列した。
【0047】そして、かかる配列後、固定用外枠02の両側面から電子ビーム溶接を円周方向に沿って行ない、リーフ材を外枠02の嵌合溝6b内に固着した。前記電子ビーム溶接の溶け込み深さは、リーフ材01の幅1/2以下とした。
【0048】上記過程によって製作した密封装置について、その内周の変形量、及び外周の変形量を計測した結果、変形は全く無く、またリーフ材01の幅方向の変形は無視できる程度の量であった。
【0049】また、図18に示す第3実施形態に係る密封装置10は、前記第2実施形態と同様に、固定用外枠02のT字状の嵌合溝6b内にリーフ材01を、隙間を生ずることなく、しっくりと嵌合させる。そして、該固定用外枠02の側面6a,6aを円周方向に沿ってかしめ、該リーフ材01の上部両端面を前記嵌合溝6b内に強固に固定する。05はかしめ部である。次いで、前記リーフ材01の側端面の図18に示すような3箇所(2箇所以上であればよい)において、スポット溶接を行なう。04はスポット溶接部である。
【0050】(実験例2)前記リーフ材01として、厚さ100μmのJIS−SUS304薄板材に板面からの高さ10μmの微小突起(7a〜7c、7d〜7f等)を加工し、該リーフ材01を、嵌合溝6b部の外径が420mmの固定用外枠02の嵌合溝6b内に、図6に示すような角度保持具11a,11bにより径方向と45°の角度で以って配列した。
【0051】そしてかかる配列後、固定用外枠02の側面6a,6aから該リーフ材01をかしめて該リーフ材01を嵌合溝6b内に固定した。そして、該リーフ材01の端面において該リーフ材01と前記外枠02とを3箇所ずつTIG溶接を行なってリーフ材01を固定用外枠02に固定した。
【0052】かかる過程にて製作した密封装置10は、溶接歪が全く生じず、回転軸2に嵌合される内径部及び固定用外枠02の外径部の変形が無く、かつリーフ材も幅方向の変形も無い、高品質のものが得られた。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、リーフ材を、前記周長差をスペーサとしてリーフ材の間に挟んでから、リーフ材の外周側と固定具を固定するというような困難な作業が不要となり、密封装置の製造がきわめて簡単、かつ効率的に行なうことができる。
【0054】請求項2記載の発明によれば、突起パターンは位相を変えて設けてあるので、リーフ材の組込時にはリーフ材の突起と凹部同士が係合して隙間調整ができなくなるという問題が生じることはなく、密封装置のリングの外周側と内周側の周長差が確実に確保されて、高精度の密封装置を製造することができる。
【0055】更に請求項3、4記載の製造用治具は簡単な構造でありながら、密封装置の製造がきわめて効率的に実施できる。
【0056】また請求項5,6記載の発明によれば、リーフ材の溶接固着時における半径方向の変形が皆無となり、溶接時における変形防止の手段を講ずることを必要とせず、溶接作業工数が低減される。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成11年5月28日(1999.5.28)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−46194(P2000−46194A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平11−149685