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【発明の名称】 防振ガスケット
【発明者】 【氏名】平松 亨洋

【要約】 【課題】一方の取付板側にシール性と共に耐熱性と耐サワー性を有し、かつ全体で適正な防振特性を有する防振ガスケットを提供する。

【解決手段】第1取付板10は、長尺板であって複数の貫通穴11a〜11dが長手方向に並設され、一表面側にて各貫通穴を囲むシール溝部15a〜15dと、各シール溝部間を連結する連結溝部16a〜16cとを設ける。第2取付板20は、長尺板であって複数の貫通穴との対向位置に貫通穴を有する。防振ゴム弾性体30は、第1及び第2取付板間に設けられて両者間を弾性的に連結し、各貫通穴間を連通させる通気孔31a〜31dを設ける。ゴムシール部材40は、シール溝部に挿着されるシールリング41a〜41d部と、その間を連結すると共に連結溝部に挿着される連結ロッド部42a〜42cとによって一体的に形成され耐熱性及び耐サワー性を有する。第1取付板が高温のエンジン側に密着固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属または樹脂製の板であって、複数の貫通穴が並設されると共に、一表面側にて各貫通穴の近傍周囲を囲むシール溝部と、各シール溝部間を連結する連結溝部とを設けた第1取付板と、該第1取付板の他表面側に間隔を隔てて相対向する金属または樹脂製の板であって、前記複数の貫通穴との対向位置にそれぞれ貫通穴を有する第2取付板と、前記第1取付板と第2取付板間を弾性的に連結すると共にそれぞれの貫通穴間を連通させる通気孔を設けた防振ゴム弾性体と、前記第2取付板の外側面の各貫通穴の周囲に固設された薄肉のゴム弾性体シール部と、前記シール溝部に挿着されるシールリング部と、該シールリング部間を連結すると共に前記連結溝部に挿着される連結ロッド部とによって形成されて前記防振ゴム弾性体及びゴム弾性体シール部よりも耐熱性及び耐サワー性を有するゴムシール部材とを備え、該ゴムシール部材の挿着された第1取付板が熱源側部材の合わせ面に密着固定されると共に、前記第2取付板が非熱源側部材の合わせ面に密着固定されることを特徴とする防振ガスケット。
【請求項2】 前記請求項1に記載の防振ガスケットにおいて、前記連結溝部の幅を部分的に前記連結ロッド部の幅より小さくするか、または前記連結ロッド部の幅を部分的に前記連結溝部の幅より大きくすることを特徴とする防振ガスケット。
【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の防振ガスケットにおいて、前記第1取付板の周縁部寄りのシール溝部から周縁端部に延びた突出溝部を設けると共に、該突出溝部に挿着されかつ該突出溝部長さより長い突出ゴム部を前記ゴムシール部材に設けたことを特徴とする防振ガスケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用の防振ガスケットに係り、特にエンジンの吸気ポート等の熱源側部材と、インテークマニホールド等の非熱源側部材との間を連結するのに適した防振ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の防振ガスケットは、例えば図6及び図7に示すように、金属または樹脂製の長尺板であって、複数の貫通穴2が長手方向に並設された第1取付板1と、第1取付板1に所定間隔を隔てて相対向する金属または樹脂製の長尺板であって、複数の貫通穴2との対向位置にそれぞれ貫通穴4を有する第2取付板3と、第1及び第2取付板1,3間に設けられて両者間を弾性的に連結すると共にそれぞれの貫通穴2,4間を連通させる通気穴6を設けた防振ゴム弾性体5と、第1及び第2取付板1,3の外表面側に設けられた薄肉のゴム弾性体シール部7とを設けている。この防振ガスケットは、第1取付板1が、自動車のエンジンのシリンダに設けた吸気ポートから延出された吸気管の先端のフランジ部に固定され、第2取付板2が吸気ダクト等が接続されるインテークマニホールドのフランジ部に固定して用いられる。これにより、防振ガスケットは、吸気管側から伝達されるエンジン振動を低減させ、インテークマニホールドから発生する放射音を抑えると共に、スロットルボデー等の吸気系部品の信頼性を高める機能を果たしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記防振ガスケットは、防振機能を果たす防振ゴム弾性体5と、相手部材とのシール機能を果たすためのゴム弾性体シール部7とがゴム加硫成形により一体で形成されるため、両者のゴム材料を同一にしなければならない。しかし、防振機能を発揮するのに適したゴム材料と、シール性の優れたゴム材料とでは材質が異なるものであり、同一材質のゴム材料では両機能を同時に適正に発揮することはできない。特に、エンジン合わせ面側は高温になるため、シール部のゴム材料は耐熱性と耐サワー性(耐ガソリン性)を兼ね備える必要があり、そのため防振特性が制約を受けるという問題がある。本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、熱源側部材に取り付けられる取付板側がシール性と共に耐熱性と耐サワー性を有し、かつ全体で適正な防振特性を備えた防振ガスケットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、金属または樹脂製の板であって、複数の貫通穴が並設されると共に、一表面側にて各貫通穴の近傍周囲を囲むシール溝部と、各シール溝部間を連結する連結溝部とを設けた第1取付板と、第1取付板の他表面側に間隔を隔てて相対向する金属または樹脂製の板であって、複数の貫通穴との対向位置にそれぞれ貫通穴を有する第2取付板と、第1取付板と第2取付板間を弾性的に連結すると共にそれぞれの貫通穴間を連通させる通気孔を設けた防振ゴム弾性体と、第2取付板の外側面の各貫通穴の周囲に固設された薄肉のゴム弾性体シール部と、シール溝部に挿着されるシールリング部と、シールリング部間を連結すると共に連結溝部に挿着される連結ロッド部とによって形成されて防振ゴム弾性体及びゴム弾性体シール部よりも耐熱性及び耐サワー性を有するゴムシール部材とを備え、ゴムシール部材の挿着された第1取付板が熱源側部材の合わせ面に密着固定されると共に、第2取付板が非熱源側部材の合わせ面に密着固定されることにある。
【0005】上記のように請求項1の発明を構成したことにより、エンジン側吸気管のような熱源側部材の合わせ面に固定される第1取付板には、貫通穴を囲んだシール溝部に耐熱性と耐サワー性を有するゴムシール部材のシールリング部が挿着されているため、熱源側部材の合わせ面との間のシール性が長期にわたって確実に確保される。また、ゴムシール部材は、シールリング部と連結ロッド部とが一体で連結されているため、第1取付板への取り付けを容易に行うことができると共に、部分的なシールリング部の取り付け忘れや脱落を避けることができる。一方、防振ガスケットの防振機能については、第1及び第2取付板間を連結するゴム弾性体を、ゴムシール部材とは別個に適正な防振特性を有する材料を用いて形成することにより、適正な防振機能を発揮することができる。
【0006】また、上記請求項2に係る発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載の防振ガスケットにおいて、連結溝部の幅を部分的に連結ロッド部の幅より小さくするか、または連結ロッド部の幅を部分的に連結溝部の幅より大きくしたことにある。
【0007】上記のように構成した請求項2の発明においては、上記請求項1の発明の効果に加え、ゴムシール部材の連結ロッド部と、第1取付板の連結溝部との係合が緊密に行われることにより、防振ガスケットを相手部材に取り付けるまでの、ゴムシール部材の仮止めを確実に行うことができ、防振ガスケットの組付けを容易に行うことができると共に、シールリング部の脱落を避けることができる。また、仮止めを連結ロッド部で行うことにより、シールリング部には無用の圧力が加えられることはなく、シールの信頼性を損なうことはない。
【0008】また、上記請求項3に係る発明の構成上の特徴は、前記請求項1または請求項2に記載の防振ガスケットにおいて、第1取付板の周縁部寄りのシール溝部から周縁端部に延びた突出溝部を設けると共に、突出溝部に挿着されかつ突出溝部長さより長い突出ゴム部を前記ゴムシール部材に設けたことにある。
【0009】上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1、請求項2の発明の効果に加えて、突出ゴム部の有無を視ることにより、防振ガスケットを相手部材に取り付けた後に、ゴムシール部材が取り付けられているか否かを容易に確認することができ、ゴムシール部材の取り付け忘れを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明すると、図1及び図2は、同実施形態に係る自動車のエンジンのシリンダ側吸気管(熱源側部材)と、インテークマニホールド(非熱源側部材)間に介装される防振ガスケットを、正面図及び断面図により示したものである。防振ガスケットは、金属製または樹脂製の長尺板状の第1取付板10及び第2取付板20と、所定間隔で対向して配置された両取付板10,20間を弾性的に連結する防振ゴム弾性体30と、第1取付板10に挿着されるゴムシール部材40とを設けている。
【0011】第1取付板10は、図3に示すように(図1でゴムシール部材を取り外した状態)、長手方向両端間に略筒間隔で同一径の4個の円形貫通穴11a〜11d(左側から順に)を設けている。第1取付板10の長手方向一端側(図示左端)は、貫通穴11a位置にて幅方向両側から外方に突出して軸線に対して対称な略三角形に形成されかつ先端が丸められた第1端部12になっている。長手方向他端側(図示右端)は、貫通穴11d位置にて幅方向両側から外方に突出して、幅方向一端側(図示上端)が他端側(図示下端)方向に軸線に対して略80゜程度傾斜した方向を向き、他端側がさらに外方向に軸線に対してわずかに傾斜した方向を向いて略三角形に形成され先端が丸められた第2端部13になっている。第1端部12の先端には取付孔12aが設けられ、第2端部13の先端には取付孔13aが設けられている。
【0012】貫通穴11a,11b間の連結部14aは、第1取付板10の幅方向の他端側から一端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が軸線をわずかに越えた位置になっており、連結部14aには取付孔14a1 が設けられている。貫通穴11b,11c間の連結部14bは、幅方向の一端側から他端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が軸線のわずかに手前位置になっており、連結部14bには取付孔14b1 が設けられている。また、貫通穴11c,11d間の連結部14cは、幅方向の他端側から一端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が軸線をわずかに越えた位置になっており、連結部14cには取付孔14c1 が設けられている。
【0013】第1取付板10は、図3に示すように、一表面側にて上記4個の貫通穴11a〜11dからわずかに外側の同軸位置に、それぞれ同一幅のリング状のシール溝部15a〜15dを設けている。連結部14aの幅方向内端近傍位置には、シール溝部15a,15bを連結する連結溝部16aが、軸線に平行に設けられている。連結部14bの略軸線上位置には、シール溝部15b,15cを連結する連結溝部16bが、軸線方向に平行に設けられている。さらに、連結部14cには幅方向内端近傍位置に、シール溝部15c,15dを連結する連結溝部16cが、軸線方向に平行に設けられている。各連結溝部16a〜16cは、シール溝部15a〜15dと同一幅であるが、それぞれの長手方向中間部にわずかに幅の狭い絞り部16a1 〜16c1 を設けている。
【0014】そして、第1取付板10には、シール溝部15aの長手方向一端側の軸線から幅方向他端側にわずかにずれた位置から、軸線に対して少し傾斜してわずかに突出した溝部15eが設けられている。溝部15eの幅は、シール溝部15aの幅よりわずかに小さくされている。また、第1取付板10には、シール溝部15dの軸線位置から長手方向他端側(長手方向の一端部側)に向けて軸線上に延びた突出溝部15fが設けられている。突出溝部15fの幅は、シール溝部15dの幅よりわずかに小さくされている。
【0015】第2取付板20は、第1取付板10と略同一形状であり、4個の円形の貫通穴11a〜11dに合わせた位置に、貫通穴11a〜11dよりわずかに径の大きい4個の円形の貫通穴21a〜21d(21b〜21dは図示しない)を設けている。第2取付板20の長手方向一端側(図示左端)は、幅方向一端側の所定範囲にて外方に略半円形に突出した第3端部22になっている。長手方向他端側(図示右端)は、貫通穴11d位置にて幅方向両側から外方に突出して、幅方向他端側(図示下端)が一端側(図示上端)方向に軸線に対して略45゜程度傾斜した方向を向き、幅方向一端側が他端側方向にわずかに傾斜した方向を向いた略三角形に形成され先端が丸められた第4端部23になっている。第3端部22の先端には取付孔22aが設けられ、第4端部23の先端には取付孔23aが設けられている。
【0016】貫通穴21a,21b間の連結部24aは、第2取付板20の幅方向の一端側から他端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれてそのピーク位置が軸線をわずかに越えた位置になっており、連結部24aには取付孔24a1 が設けられている。貫通穴21b,21c間の連結部24bは、幅方向の他端側から一端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれておりそのピーク位置が軸線のわずか手前位置になっており、連結部24bには取付孔24b1 が設けられている。また、貫通穴21c,21d間の連結部24cは、幅方向の一端側から他端側に向けて略正弦波形状に切り欠かれておりそのピーク位置が軸線をわずかに越えた位置になっており、連結部24cには取付孔24c1 が設けられている。
【0017】防振ゴム弾性体30は、防振特性の優れたゴム材料によって形成されており、図4に示すように、第1取付板10及び第2取付板20の間に加硫成形されて両者間を弾性的に連結している。この防振ゴム弾性体30は、貫通穴11a〜11dと貫通穴21a〜21dの内周側をわずかに覆うと共に、第1取付板10及び第2取付板20の外周側を覆ってその間に同心の略円筒状に形成され、貫通穴11a〜11dと貫通穴21a〜21dとをつなぐ通気孔31a〜31dを設けている。また、第2取付板20の外側表面には、取付孔22a,23a、24a1〜24c1 の周囲を除いて、薄肉ゴム層であるシール層32が形成されている。
【0018】そして、第1取付板10のリング状のシール溝部15a〜15dと、連結溝部16a〜16cと、溝部15eと、突出溝部15fには、図1に示すように、ゴムシール部材40が装着される。ゴムシール部材40は、良好なシール性を有すると共に耐熱性及び耐サワー性を有するゴム材料により形成されており、図5に示すように、各溝部に合わせた環状のシールリング部41a〜41dと、線状の連結ロッド部42a〜42cと、線状の突出部41e及び突出ゴム部41fとが同一平面に配列されて一体的に形成されており、その断面は同一外径の円形にされている。
【0019】このゴムシール部材40を第1取付板10の各溝部に挿着するとき、その断面は同一外径にされているのに対し、各連結溝部16a〜16cは、それぞれの長手方向中間部にわずかに幅の狭い絞り部16a1 〜16c1 を設けており、溝部15e及び突出溝部15fも幅が狭くなっている。したがって、ゴムシール部材40は、これら幅の狭い溝部分で係合するため、防振ガスケットを相手部材へ取り付けるまでの仮止めが確実に行われ、取付作業が容易にされる。また、ゴムシール部材40の一部を絞ることになる仮止めを連結ロッド部42a〜42cと突出部41eと突出ゴム部41fで行うことにより、シールが行われるシールリング部41a〜41dに影響を与えることがないので、シールリング部41a〜41dにおけるシール性の信頼性を損なうこともない。
【0020】上記構成の防振ガスケットは、例えば第1取付板10が、自動車のエンジンのシリンダに設けた吸気ポートから延出された吸気管の先端のフランジ部(図示しない)に固定され、第2取付板20が吸気ダクト等が接続されるインテークマニホールドのフランジ部(図示しない)に固定して用いられる。
【0021】ここで、高温のエンジン側の吸気管フランジ部に固定される第1取付板10には、貫通穴11a〜11dを囲んだシール溝部15a〜15dに、耐熱性と耐サワー性を有するゴムシール部材40のシールリング部41a〜41dが挿着されているため、吸気管フランジ部の合わせ面との間のシール性が長期にわたって確実に確保される。一方、防振ガスケットの防振機能については、第1取付板10及び第2取付板20間を連結する防振ゴム弾性体30が、ゴムシール部材40とは別個に防振特性の適正な材料を用いて形成されているので、適正な防振機能を発揮することができる。また、ゴムシール部材40は、シールリング部41a〜41dと連結ロッド部42a〜42cとが一体で連結されているため、第1取付板10の溝部への取り付けを容易に行うことができると共に、部分的な付け忘れや脱落を防止できる。そのため、第1取付板10の相手部材への取付作業が容易に行われる。
【0022】また、第1取付板10の長手方向他端側のシール溝部15dから側縁に延びた突出溝部15fを設けると共に、ゴムシール部材40の対応するシールリング部41dから延出して突出溝部15fに挿着される突出溝部長さより長い突出ゴム部41fを設けたことにより、突出ゴム部41fの有無を簡単に見ることができる。そのため、防振ガスケットを相手部材に取り付けた後に、ゴムシール部材40の取り付けが行われているか否かを容易に確認することができ、ゴムシール部材40の付け忘れを防止できる。
【0023】なお、防振ガスケットの外形、材質等については、上記実施形態に示したものに限らない。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成10年7月30日(1998.7.30)
【代理人】 【識別番号】100097353
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 功二
【公開番号】 特開2000−46193(P2000−46193A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−215053