| 【発明の名称】 |
無段変速機の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田端 淳
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| 【要約】 |
【課題】無段変速機のマニュアル変速モード時に運転者が望む任意の変速比に変速することのできる無断変速機を提供すること、また、マニュアル変速モード時にエンジンオーバランを防止することを目的とする。
【解決手段】マニュアル変速モードを備えた無段変速機であって、マニュアル変速のそれぞれの変速段に対する変速比をマルチディスプレイ90を使って、任意に設定できるよう構成し、運転者の意志を反映した変速を可能とし、運転フィーリングを向上させる。また、マニュアル変速モードの際に変速によってエンジンオーバランが発生しそうなときは、暫定的に変速段の変速比を変更し、エンジンオーバランを未然に防止するとともに、運転状態がエンジンオーバラン発生領域から抜け出たとき、暫定的に設定した変速段のギヤ比を予め設定したギヤ比に戻す。よって、運転者に違和感を与えることを好適に防ぐことができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、前記変速段の変速比を任意の値に設定できる変速比設定機構を備えたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。 【請求項2】 請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置において、前記変速段の変速比の設定は運転者が車載装置に対する指示を入力することができる車載モニタを利用して行なうことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。 【請求項3】 変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、手動変速司令によってエンジンオーバランが発生するか否かを推定するエンジンオーバラン推定手段と、前記エンジンオーバーラン推定手段によってエンジンオーバラン発生を推定したとき、手動変速司令によって選択される変速段を暫定的にエンジンオーバランが発生しない暫定変速比に前記変速段の変速比を変更する暫定変速比変更手段を備えたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。 【請求項4】請求項3に記載の無段変速機の変速制御装置において、運転条件がエンジンオーバラン発生領域から抜け出たと判断されたとき前記暫定変速比を予め設定した元の変速比に変更する変速比帰還手段を設けたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。 【請求項5】請求項1乃至4いずれかに記載の無段変速機の変速制御装置において、無段変速機の変速比に関わる変速制御量を運転状態に応じて定まる目標値に制御する無段自動変速モードと、変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えたマニュアル変速モードとを備え、前記無段自動変速モードと前記マニュアル変速モードの一方を手動により選択可能とするモード選択手段を備えたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、マニュアル変速モードを備えた無段変速機の変速制御装置に関する。 【0002】 【従来技術】従来、エンジンの回転を無段階に変速して駆動輪へ伝達する無段変速機の変速制御装置であって、無段自動変速モードとマニュアル変速モードを手動により切り換えるスイッチを有するものが知られている。例えば、特開平9−196165号公報においては、無段自動変速モード及びマニュアル変速モードの一方を手動により選択可能とするモード選択手段を有する無段変速機が開示されている。無段自動変速モードでは、そのときのアクセル開度や車速等によって定まる要求駆動力が最も効率良く取出されるようなエンジン回転速度となるように変速比が無段階に制御される。すなわち、アクセル開度に基づいて目標回転速度を決定すると共に、エンジン回転速度が目標回転速度と一致するように無段変速機の変速比が制御される。従って所望の動力性能を最も良い燃費で実現できる。一方、前記モード選択手段によりマニュアル変速モードを選択した場合、運転者の手動操作により特定の変速比を選択できるようになる。このようなマニュアル変速モードを備えた無段変速機では、例えば、無段自動変速モードでトップギヤ比相当の変速比で走行中に、手動操作で特定の低速段を指定すると、変速の結果として当該低速段の変速比へと変速が行われるなど、予め定められた無段自動変速のパターン以外に運転者の意図に応じた車両の運転も可能となり、したがってより幅広い運転条件において車両の走行性能を発揮させることができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のこのような無段変速機によると、手動変速する際、予め定めた変速比に設定されているいくつかの変速段を運転者が選択するものであったので、変速できるギヤ比が限られ、運転者が望む運転フィーリングを必ずしも達成しえないという問題があった。また、上記のようなマニュアル変速モードを備えた無段変速機では、運転者の意図によって車速等エンジン運転状態を考慮しないダウンシフトが実行されると、エンジンオーバランが発生するという問題が生じることもあった。本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、無段変速機のマニュアル変速モード時に運転者が望む任意の変速比に変速することのできる無段変速機の変速制御装置を提供すること、また、マニュアル変速モード時にエンジンオーバランを防止することを目的とする。 【0004】 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、前記変速段の変速比を任意の値に設定できる変速比設定機構を備えたことを特徴とする。上記構成によれば、運転者自ら変速段の変速比を設定できるため、運転者の意志を反映した変速が可能となり、運転フィーリングを向上させることができる。請求項2に記載の発明は、変速段の変速比の設定は運転者が車載装置に対する指示を入力することができる車載モニタを利用して行なうことを特徴とする。上記構成によれば、車載モニタを利用することにより、変速段の変速比の設定を極めて容易に行なうことができる。請求項3及び4に記載の発明は、変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、手動変速司令によってエンジンオーバランが発生するか否かを推定するエンジンオーバラン推定手段と、前記エンジンオーバーラン推定手段によってエンジンオーバラン発生を推定したとき、手動変速司令によって選択される変速段を暫定的にエンジンオーバランが発生しない暫定変速比に前記変速段の変速比を変更する暫定変速比変更手段を備え、運転条件がエンジンオーバラン発生領域から抜け出たと判断されたとき前記暫定変速比を予め設定した元の変速比に変更する変速比帰還手段を設けたことを特徴とする。上記構成によれば、エンジンオーバランが発生する虞がある場合に手動変速司令手段によって現在の変速段より変速比が大きい変速段を司令した際、暫定的にエンジンオーバランが発生しない暫定変速比に前記変速段の変速比を設定するため、変速段変更によるエンジンオーバランを未然に防止することができるとともに、運転状態がエンジンオーバラン発生領域から抜け出た時、暫定的に設定した変速段のギヤ比を予め設定した元のギヤ比にもどすため、エンジンオーバランが発生しない通常領域に運転状態が入った場合、即座に通常の変速制御を実行でき運転者に違和感を与えることを好適に防ぐことができる。請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4いずれかに記載の無段変速機の変速制御装置において、無段変速機の変速比に関わる変速制御量を運転状態に応じて定まる目標値に制御する無段自動変速モードと、変速比が異なる複数の変速段に運転者の手動操作に基づき選択的に司令する手動変速司令手段を備えたマニュアル変速モードとを備え、前記無段自動変速モードと前記マニュアル変速モードの一方を手動により選択可能とするモード選択手段を備えたことを特徴とする。上記構成によれば、無段自動変速モードとマニュアル変速モードを運転者の意志で任意に変更することができるため、運転に対する楽しさの幅を広げることができる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明のより具体的な実施の形態の例を詳細に説明する。図1は、本実施の形態に適用される無段変速機の変速制御装置の概略を表わす構成図である。本実施の形態では、マルチディスプレイシステムが本発明の車載モニタとして機能する。マルチディスプレイシステムは、一つの画面を利用して各種車載装置の操作や出力表示(テレビ、ナビゲーションなど)を可能とする。そのため、マルチディスプレイシステムを制御するマルチディスプレイコンピュータ80には、各種の車載装置が通信回路を介して接続されている。マルチディスプレイコンピュータ80はマルチディスプレイ90と接続されている。マルチディスプレイ90は、液晶パネルとパネル周囲の操作スイッチを有する。液晶パネル上には、適宜、スイッチ枠が表示され、枠内にタッチスイッチが設定される。従って、液晶パネルは、テレビ画像等の出力装置として機能する他、運転者に操作される入力装置としても機能する。マルチディスプレイコンピュータ80からマルチディスプレイ90に対しては映像信号が送られ、マルチディスプレイ90からマルチディスプレイコンピュータ80には、各種スイッチ操作に対応する信号が入力される。図1において、エンジン10のクランク軸12は電磁クラッチ14を介してベルト式無段変速装置(CVT)16の入力軸18と連結されている。CVT16の出力軸20は図示しない差動歯車装置等を介して車両の駆動輪と連結されている。これにより、エンジン10の回転力が駆動輪へ伝達される。上記CVT16の入力軸18及び出力軸20には有効径が可変な可変プーリ22及び24が設けられている。これら可変プーリ22及び24の間には伝動ベルト26が巻き掛けられている。可変プーリ22及び24は、入力軸18及び出力軸20に固定された固定回転体28及び30と、入力軸18及び出力軸22に軸方向には移動可能で且つ回転方向には相対回転不能に設けられた可動回転体32及び34とを備えている。油圧シリンダ36及び38から上記可動回転体32及び34に加えられる推力を変更することにより、上記固定回転体28及び30と可動回転体32及び34との間に形成されたV溝幅、即ちベルトの掛り径が変更される。油タンク40の作動油は、油ポンプ42により圧送され、電子制御装置(ECU)50により制御される調圧弁44によりライン油圧に調圧される。このライン油圧は2次側の可変プーリ24へ推力を付与する2次側の油圧シリンダ38へライン油路46を介して供給される。ECU50は、流量制御弁48を制御することにより上記ライン油路46内の作動油を1次側の油圧シリンダ36へ供給して変速比を小さくしたり、あるいは油圧リシンダ36内の作動油をドレンへ排出して変速比を大きくしたりして、CVT16の変速比を制御する。 【0007】エンジン10の吸気配管には、アクセルペダル52によって開閉操作されるスロット弁54とこのスロット弁54の開度を検出するスロットルセンサ56が設けられている。エンジン10には、点火回路等の信号に基づいてエンジン回転速度を検出するためのエンジン回転センサ58が設けられている。CVT16の1次側の固定回転体28及び2次側の固定回転体30の近傍には、入力軸18及び出力軸20の回転速度を検出するための第1回転センサ60及び第2回転センサ62が設けられている。ECU50は、第2回転センサ62によって検出される出力軸20の回転速度より車速を算出する。運転席の近傍に設けられたシフトレバー64には、その操作位置を検出するためのシフトセンサ66が設けられている。また、無段自動変速モードとマニュアル変速モードに対応するため、シフトレバー64は図2に示すように、無段自動変速モードである「D」、すなわちドライブポジションに加え、「H溝」型のゲートを備えている。ここで、H溝の夫々の溝が変速段に対応する。そしてマニュアル変速モードでは、シフトレバー64をH溝に移動し、夫々の溝にシフトすることによって変速段を変更する。尚、図中「P」ポジション、「R」ポジション、「N」ポジションはそれぞれ、パーキング、後進、ニュートラルを示す。無段自動変速モードは、エンジン10を最小燃費率曲線上で作動させるように決定した目標入力軸回転速度と実際の入力軸回転速度とを一致させるようにCVT16の変速比を無段階に制御するためのモードである。これに対し、マニュアル変速モードとは、従来の有段マニュアルトランスミッションにおけるシフト制御と同様に、運転者が指定した特定変速比ないし変速パターンに固定的に制御される状態、またはECU50によって運転状態に応じて決定された変速比に自動的に変速制御される状態に油圧制御部の回路が切り換えられる。マルチディスプレイコンピュータ80は不揮発性メモリ(図示しない)が接続されており、ここにユーザ入力が記憶され、各種の車載機器を制御するコンピュータに通信回線を利用して伝達し、エンジンを制御する。 【0008】以下、無段変速モード及びマニュアル変速モードにおけるCVT16の制御について説明する。このCVT16の制御は図3に示すフローチャートにそって10ms毎に実行される。図3のステップ100において、シフトレバー64がH溝内にあるか、または「D」ポジションにあるかで、マニュアル変速モード及び無段自動変速モードのいずれのモードが選択されているかを判断する。このステップ100において、無段自動変速モードが選択されていると判断された場合、即ちステップ100で否定判断された場合には、ステップ110において、無段自動変速制御がなされる。無段自動変速制御は周知のように、実際のスロットル弁開度に基づいて無段自動変速モード用マップから目標入力軸回転速度が決定され、変速比が連続的無段階に変速される制御である。また、前記ステップ100においてマニュアル変速モードが選択されていると判断された場合には、ステップ120において、後述するように夫々のH溝に対する変速比が個別設定されているか判断する。このステップ120において個別設定がなされていると判断された場合、ステップ130に処理を移行しECU50において、通信回線を利用してマルチディスプレイコンピュータ80に入力された設定ギヤ比の読み込みが行われ、処理をステップ150に移行してマニュアル変速制御を実行する。また、ステップ120において夫々のH溝に対する変速比が個別に設定されていないと判断されると、ステップ140に処理を移行し、夫々のH溝に対するギヤ比をユーザがまだ各項目を指定する前の初期状態の設定値であるノミナルギヤ比に設定し、処理をステップ150に移行してマニュアル変速制御を実行する。ここで、H溝に対する変速比の個別設定について詳細に説明する。図4に示したマルチディスプレイ90の画面上で夫々のH溝に対する変速比を個別設定する。最初にマルチディスプレイ90上の設定画面呼び出しボタン(図示しない)をタッチし、ギヤ比を個別設定する設定画面を呼び出す。そして、マルチディスプレイ90にH形状201を表示し、夫々の溝A,B,C,D,E,Fに対応するギヤ比を運転者自ら設定していく。個別設定する溝を決定するために、設定ギヤパネル202に表示されている設定したい溝をタッチする。例えばA溝のギヤ比を設定したい場合、設定ギヤパネル202のA溝表示をタッチする。その後A溝表示が点滅したら、オリジナルボタン204をタッチし、画面をオリジナルギヤ比設定画面に移行する。各溝の設定ギヤ比は最初は推奨値であるノミナル値が入力されている。そして、設定パネル203Aに表示されている数字をタッチし、A溝に対応するギヤ比を入力する。また、設定パネル203Bを使用してギヤ比を設定する場合、現在点滅表示中のギヤ比に対し、相対的な値が設定可能となる。即ち、設定パネル203Bの+(プラス)を一度タッチすると、例えばギヤ比が0.1増加する。―(マイナス)を一度タッチすればギヤ比が0.1小さくなる。ここで、一度のタッチによるギヤ比の増減は0.1に限るものではなく、運転者が意図する任意のギヤ比が設定できる範囲であればよい。また、運転者の意志を全て設定ギヤ比に反映させると、ギヤ比の急激な変化に伴う車両の失速等の極端なドラビリ悪化が生じる虞がある。例えば、A溝のギヤ比を3.500と設定し、B溝のギヤ比を0.600と設定した場合、A溝からB溝にシフトチェンジしたとき失速による極度のドラビリ悪化が生じる。そこで、本実施の形態では以下のように各溝に設定できるギヤ比の範囲を制限している。 【0009】 2.600≦A溝≦3.500 1.800≦B溝≦2.600 1.200≦C溝≦1.800 0.900≦D溝≦1.200 0.700≦E溝≦0.900 0.600≦F溝≦0.700また、ユーザの不注意により入力ミスがあった場合はキャンセルボタン207をタッチすれば、設定中の溝のギヤ比が前回入力したギヤ比に戻り、再度ギヤ比の設定を再開できる。このようにして各溝に対応するギヤ比を設定し終ったら、セットボタン206をタッチし各溝に対応するギヤ比をセットする。さらに、このギヤ比を記憶しておきたい場合はメモリインボタン208をタッチし、マルチディスプレイコンピュータ80の不揮発性メモリに記憶させる。また、メモリアウトボタン209をタッチすれば以前記憶したギヤ比列を即座に再度セットすることができる。また、通常運転者は潜在的にA→B→C→D→E→Fの順でUPシフトするため、例えば、BからCへシフトチェンジしたとき、運転者は高速ギヤにシフトしたつもりでも、ギヤ比の設定値がC溝よりB溝の方が高速ギヤ比に設定されている場合、運転者の意図しないドラビリ悪化をまねく虞が生じる。そこで、上記の様に各溝のギヤ比の範囲を制限することにより、A〜Fまでの溝でこの順でギヤ比は低速ギヤ順に並ぶ規則を設定し、前記のような問題を解消する。この規則に反してマニュアル設定された場合、設定は受け付けられない。この時、ギヤ比列は強制的にノミナルギヤ比に設定される。以上のようなH溝に対する変速比の個別設定制御を図5のフローを参照して説明する。この変速比の個別設定制御は10ms毎に実行される。マルチディスプレイ90上の設定画面呼び出しボタン(図示しない)をタッチし、ギヤ比を個別設定する設定画面を呼び出す。ここで、シフトレバー64が「P」又は「N」の位置に有り、且つ車速が0の時のみ設定画面を呼び出しを許可する。最初にステップ300でキャンセルボタン207が押されたかを判断する。押されてない場合は、ステップ320に処理を移行し、キャンセルボタンが押されたと判断されたときは、ステップ310で現在操作している入力値を前回の値に戻す処理が行われる。ここで前回の値に戻す処理とは、例えば、ギヤ比入力を実行しているときに入力ミス等で入力値を消去したいとき、キャンセルボタン207が押すことによって、現在入力されているギヤ比を消去して、その直前まで入力されていたギヤ比に帰還させる処理である。ステップ320では、設定ギヤパネル202で設定したい溝をタッチし、設定溝を選択しているかを判断する。YESの場合は処理をステップ330に移行し、NOの場合は処理を一旦ステップ300に戻す。ステップ330では、オリジナルボタン204をタッチし、オリジナルギヤ比設定画面に移行し、選択した設定溝のギヤ比を設定パネル203Aまたは203Bを利用して入力処理が終了したかを判断する。その判断がYES、すなわち入力処理が終了し、設定ギヤパネル202の溝表示の点滅が消えた場合は処理を340に移行し、NOの場合は処理をステップ300に戻す。次に、ステップ340でセットボタン206がONされたかを判断し、YESの場合は処理をステップ350に移行し、NOの場合は処理を一旦ステップ300に戻す。すなわち、A溝のギヤ比の入力が終了しても、セットボタン206をONしない限り、ギヤ比を入力するステップに移行されないため、次にB溝を選択して、ギヤ比の入力を実行できる。このように、任意の溝のギヤ比を入力し終った後、セットボタン206をONして、ギヤ比の設定を行なう処理に移行する。次にステップ340でセットボタンがONされた場合、ステップ350でギヤ比規則を違反していないかを判断する。すなわち、ギヤ比の設定が予め定められた範囲内で行われているかを判断する。ここで、YESならば、すなわちギヤ比規則を違反していないと判断された場合はステップ370に処理を移行し、入力されたギヤ比の設定を行ない本ルーチンを終了する。また、ギヤ比規則に違反しステップ350でNOと判断された場合は、処理をステップ360に移行し、各溝のギヤ比を強制的にノミナルギヤ比に設定し本ルーチンを終了する。なお、ステップ340のセットボタン206をタッチした後、メモリインボタン208をタッチすることによって、今回セットしたギヤ比を記憶させるようにしても良い。さらに、ステップ330でメモリアウトボタン209をタッチすることによって、以前記憶したギヤ比列を即座に呼び出すようにしても良い。以上のようにマニュアル変速モード時の各溝のギヤ比をマルチディスプレイ90上で設定し、マルチディスプレイコンピュータ80に入力した各溝のギヤ比を通信回線を通してECU50に伝達し、マニュアル変速制御を実行する。よって、マニュアル変速モード時に運転者が自らの意志で設定したギヤ比を選択できるようになるため、運転フィーリングが向上し、さらに快適なドライビングを達成することができる。尚、上記実施の形態ではマニュアル変速モード時に「H溝」型のゲートを使用して変速段を変更するものを使用したが、それに限らずシフトレバーの前後方向の操作に応じて順次相対的に変速段を変速するUPスイッチとDOWNスイッチを備えた無段変速機であってもよい。上記のようなマニュアル変速モード選択時は無段変速機の変速比に関わる変速制御量を運転状態に応じて定まる目標値に制御するものではなく、運転者の意志によって、無段変速機の変速比を変更するものであるため、車速等のエンジン運転状態を考慮に入れないダウンシフト司令を出すことによってエンジンオーバランが発生する可能性がある。以下、上記のような問題に鑑みエンジンオーバランを好適に防止するCVT16の制御について図6のフローを参照して説明する。このCVT16の制御ルーチンは図3に示すフローチャートにおけるステップ150のマニュアル変速制御の中で行われる。図6のステップ401においてダウンシフト指示がなされたかどうかを判断する。すなわち、シフトレバー64がH溝内を移動し、ダウンシフトし現在の変速比より大きい変速比の溝に変速されたかをシフトセンサ66によって判断する。このステップ401でダウンシフト指示がなされていないと判断された場合は処理を後述するステップ409に移行する。また、ステップ401において、ダウンシフト指示がなされたと判断された場合はステップ402でオーバラン発生の有無を判断する。ここで、オーバラン発生の有無とは現在の車速で走行して、運転者の指示通りダウンシフトした場合エンジンがオーバランするかどうかの判断である。この判断は、エンジンオーバラン変速比Raよりダウンシフト後の変速段に設定されている設定変速比Roが大きいかどうかで判断する。ここで、エンジンオーバラン変速比Raとは、予めECU50内のROMに格納した、現在の車速とエンジン回転数に基づいて2次元マップより求めたエンジンオーバランが発生する最小変速比である。ステップ402で否定判定、すなわちオーバラン発生領域には無いと判断されたときは、ステップ403に処理を移行し、目標ギヤ比Rsを設定変速比Roに設定する。そして、ステップ404でダウンシフトを実行し、その後、処理をステップ409に移行する。また、ステップ402でオーバラン発生領域にあると判断された場合は処理を405に移行し、ダウンシフトした後のH溝に対応する目標ギヤ比Rsを設定ギヤ比Roから暫定ギヤ比Rcへ変更し、ステップ406で暫定設定フラグPを立てる。ここで、目標ギヤ比の変更はエンジンオーバランを防ぐ意味において、現在の車速を基にオーバランしない範囲にギヤ比を変更し、そのギヤ比を暫定ギヤ比Rcとする。例えば、変速後の設定ギヤ比Roが3.357であって、エンジンオーバランする虞がある場合は、エンジンオーバランが発生しない最大のギヤ比3.100を暫定的にダウンシフト後のH溝に対応する暫定ギヤ比Rcとして変更する。そして、ステップ407に処理を移行して、暫定ギヤ比への変速制御を実行する。その後、ステップ408に処理を移し、実際のギヤ比と設定ギヤ比Roが不一致であることを警告し、処理をステップ409に移行する。ここで、警告とは音で知らせたり、例えば表示でギヤ比の暫定値を表示しながら点滅させる手段である。これによって、現在の運転状態がエンジンオーバラン発生領域にあることを運転者に認識させ、運転フィーリングの低下を防止する。ステップ409では、暫定設定フラグPが立っているかどうかを判断する。ステップ409で否定判定された場合は、ギヤ比が暫定設定されていないため、このままマニュアル変速制御を実行する。また、ステップ409で肯定判断された場合は、処理を410に移行し、ギヤ段に予め設定された設定ギヤ比Roと、現在の車速とエンジン回転数を基に算出したエンジンオーバラン変速比Raとを比較する。このステップでRa≦Roと判断された場合、すなわち、ステップ410で否定判断されたときは、現在、エンジンオーバラン発生領域にあると判断でき、このまま目標ギヤ比Rsを暫定ギヤ比Rcに設定してマニュアル変速制御を実行する。ステップ410でRa>Roと判断された場合は、エンジンオーバラン発生領域を脱したと判断できるため、ステップ411で目標ギヤ比Rsを暫定ギヤ比Rcから設定ギヤ比Roに変更し、通常運転状態に戻す。その後、ステップ412に処理を移行し、暫定設定フラグPを降ろして、ステップ413で設定ギヤ比への変速制御を実行する。このようにエンジンオーバラン発生領域を脱したと判断されたら、直ちに暫定ギヤ比を設定ギヤ比に変更して通常運転に帰還するため、運転フィーリングの低下を最小限に抑えることができる。以上のように、ダウンシフトする際に、エンジンオーバラン発生を防ぐために、ダウンシフト後のH溝に対応する設定目標ギヤ比を暫定的にエンジンオーバランが発生しないギヤ比に変更するため、好適にエンジンオーバランを防止することができ、また、車速が低下して通常走行状態に戻った場合、すなわちエンジンオーバラン発生領域を脱した場合は暫定的に設定したギヤ比を、通常走行時の設定ギヤ比に戻すよう制御するため、通常運転時の運転フィーリングを阻害することがなくなる。 【0010】 【発明の効果】マニュアル変速モードの際、変速段に設定する変速比を運転者自ら設定できる構成にしたため、運転者の意志を反映した変速が可能となり、運転フィーリングを画期的に向上させることができる。また、変速段の変速比の設定を車載モニタにて行なう構成としたため、極めて簡便に変速比の設定を実行することができる。さらに、マニュアル変速モードの際、ダウンシフトによってエンジンオーバランが生じる虞がある場合、ダウンシフト後の変速段に設定されている変速比を暫定的にエンジンオーバランが生じないギヤ比に設定することによって、未然にエンジンオーバランを防止することができ、また、エンジンオーバランが発生しない通常領域に運転状態が入った場合、即座に通常の変速制御を実行でき運転者に違和感を与えることを好適に防ぐことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月20日(1999.5.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−329227(P2000−329227A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−140750 |
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