| 【発明の名称】 |
自動変速機の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 義和
【氏名】嶋田 貴通
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| 【要約】 |
【課題】簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、ドライバビリティを向上させる。
【解決手段】車速とスロットル開度に応じて予め設定された第1の自動変速特性(Dnマップ)とマニュアルモードの特性(Mnマップ)を運転者の指令に応じて切り換え可能とすると共に、マニュアルモードの特性(Mnマップ)が所定車速V0以上、かつ全開付近の所定高スロットル開度θTH2でキックダウンを生じるように設定する。また、最大変速比(1速)を除くと共に、切り換え手段をシフトレバーに設けて容易に切り換え自在とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車速とスロットル開度に応じて予め設定された自動変速特性に従って変速制御する自動変速機の制御装置において、a.前記自動変速特性に従って変速制御されるとき、運転者の操作に応じてマニュアルモードヘの切換を指令する切換指令手段、およびb.前記マニュアルモードへの切換が指令されたとき、前記自動変速特性から予め設定された所定のマニュアルモードに切り換え、前記マニュアルモードに従って変速制御する変速制御手段、を備えると共に、前記マニュアルモードの特性が、所定車速以上で、かつ全開付近の所定高スロットル開度でキックダウンを生じるように設定されることを特徴とする自動変速機の制御装置。 【請求項2】 前記自動変速特性がシフトレバーを介して選択可能な複数のレンジを備えると共に、前記切換手段が前記シフトレバー上に設けられ、よって前記マニュアルモードの特性が前記複数のレンジに対応して切り換え可能に構成されることを特徴とする請求項1項記載の自動変速機の制御装置。 【請求項3】 前記マニュアルモードの特性が、前記自動変速特性の最大変速比未満の変速比となるように設定されることを特徴とする請求項1項または2項記載の自動変速機の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は自動変速機の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動変速機の制御装置においては、従来、車速とスロットル開度に応じて予め設定された自動変速特性に従って複数の変速比のいずれかとなるように油圧機構を駆動して変速制御している。 【0003】そのような制御装置において、走行状況によっては頻繁に変速が繰り返されることから、例えば、特開平10−238624号あるいは特開平10−103496号公報で提案されるように、自動変速特性に加えてマニュアル(手動)変速特性を備え、両者の間での切り換え可能とした自動変速機の制御装置が提案されている。 【0004】また、特公平6−58150号公報などにおいて、運転席のシフトレバーにホールドスイッチ(変速段保持スイッチ)を設け、走行中にホードスイッチを押すと、自動変速モードの直前の変速段(変速比)をホールドするようにした自動変速機の制御装置も提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】車両の走行状況、例えば登坂路あるいは高速路走行などにおいて運転者がキックダウンして加速を要求する場合があり、そのような際には運転者のアクセルワークに応じた駆動力を走行状況に応じて適正に出力するように変速制御するのがドライバビリティ向上の点で望ましい。一般的な自動変速特性は市街地走行も含むあらゆる走行状況に対応するように設定されるため、万人向けの平均的な特性となっており、そのような要求に十分に応えることができない。 【0006】そのために上記した従来技術が提案されている訳であるが、例えば特公平6−58150号公報提案技術においてもマニュアルモードにあって変速段のホールド中に車速が所定車速以下になるとシフトダウンされるものの、運転者のキックダウン要求などに十分に応えることができなかった。 【0007】さらに、低速走行から加速したときなどの場合、変速段を高速段に保持しているために機関回転数が過度に低く、発進性能が低下する恐れがあり、そのような不都合を回避するためには一旦自動変速モードに戻す必要があった。この場合、保持モードから自動変速モードに切り替わることにより、予期しない変速ショックが起こる可能性があった。 【0008】また、特開平10−238624号あるいは特開平10−103496号公報で提案される自動変速特性に加えてマニュアル(手動)変速特性を備えて切り換え可能とした技術にあっては、切り換え時のショック低減などから構成が複雑となる憾みがあった。特に、後者にあっては、マニュアルレバーと変速パターン切り換えスイッチの双方を操作して変速マップを選択するように構成されているため、運転者に複雑な操作を要求する嫌いがあった。 【0009】従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、よってドライバビリティを向上させるようにした自動変速機の制御装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するために、この発明は請求項1項において、車速とスロットル開度に応じて予め設定された自動変速特性に従って変速制御する自動変速機の制御装置において、前記自動変速特性に従って変速制御されるとき、運転者の操作に応じてマニュアルモードヘの切換を指令する切換指令手段、および前記マニュアルモードへの切換が指令されたとき、前記自動変速特性から予め設定された所定のマニュアルモードに切り換え、前記マニュアルモードに従って変速制御する変速制御手段を備えると共に、前記マニュアルモードの特性が、所定車速以上で、かつ全開付近の所定高スロットル開度でキックダウンを生じるように設定される如く構成した。 【0011】マニュアルモードの特性が、所定車速以上で、かつ全開付近の所定高スロットル開度でキックダウンを生じるように設定される如く構成したので、簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、よってドライバビリティを向上させることができる。また、前記スロットル開度未満においてホールド機能も得られることから、不意のキックダウンなどによる変速ショックも発生することがないので、その点でも一層好ましい。 【0012】請求項2項にあっては、前記自動変速特性がシフトレバーを介して選択可能な複数のレンジを備えると共に、前記切換手段が前記シフトレバー上に設けられ、よって前記マニュアルモードの特性が前記複数のレンジに対応して切り換え可能に構成される如く構成した。 【0013】切換手段がシフトレバー上に設けられ、よって前記マニュアルモードの特性が複数のレンジに対応して切り換え可能に構成される如く構成したので、一層簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、よってドライバビリティを向上させることができる。また、自動変速特性の各レンジに対応したマニュアルモードの特性により、降坂走行などで勾配に応じて運転者が選択した特性によって安定した車速で走行することも可能となる。 【0014】請求項3項にあっては、前記マニュアルモードの特性が、前記自動変速特性の最大変速比未満の変速比となるように設定される如く構成した。 【0015】前記マニュアルモードの特性が前記自動変速特性の最大変速比未満の変速比となるように設定される如く構成したので、前記した作用、効果に加え、予期しない変速を確実に防止することができると共に、雪道走行時などのドライバビリティを一層向上させることができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、添付図面に即してこの発明の一つの実施の形態に係る自動変速機の制御装置を説明する。 【0017】図1はその装置を全体的に示す概略図である。 【0018】以下説明すると、符号Tは自動変速機(以下「トランスミッション」という)を示す。トランスミッションTは、内燃機関(以下「エンジン」という)Eのクランクシャフト1にロックアップ機構Lを有するトルクコンバータ2を介して接続されたメインシャフトMSと、このメインシャフトMSに複数のギヤ列を介して接続されたカウンタシャフトCSとを備える。 【0019】メインシャフトMSには、メイン1速ギヤ3、メイン2速ギヤ4、メイン3速ギヤ5、メイン4速ギヤ6、およびメインリバースギヤ7が支持される。また、カウンタシャフトCSには、メイン1速ギヤ3に噛合するカウンタ1速ギヤ8、メイン2速ギヤ4と噛合するカウンタ2速ギヤ9、メイン3速ギヤ5に噛合するカウンタ3速ギヤ10、メイン4速ギヤ6に噛合するカウンタ4速ギヤ11、およびメインリバースギヤ7にリバースアイドルギヤ13を介して接続されるカウンタリバースギヤ12が支持される。 【0020】上記において、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン1速ギヤ3を1速用油圧クラッチC1でメインシャフトMSに結合すると、1速(変速段)が確立する。1速用油圧クラッチC1は、2速〜4速(変速段)の確立時にも連結状態に保持されるため、カウンタ1速ギヤ8は、ワンウェイクラッチCOWを介して支持される。 【0021】メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン2速ギヤ4を2速用油圧クラッチC2でメインシャフトMSに結合すると、2速(変速段)が確立する。カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタ3速ギヤ10を3速用油圧クラッチC3でカウンタシャフトCSに結合すると、3速(変速段)が確立する。 【0022】カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタ4速ギヤ11をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメイン4速ギヤ6を4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMSに結合すると、4速(変速段)が確立する。 【0023】カウンタシャフトCSに相対回転自在に支持されたカウンタリバースギヤ12をセレクタギヤSGでカウンタシャフトCSに結合した状態で、メインシャフトMSに相対回転自在に支持されたメインリバースギヤ7を前記4速−リバース用油圧クラッチC4RでメインシャフトMSに結合すると、後進変速段が確立する。 【0024】そして、カウンタシャフトCSの回転は、ファイナルドライブギヤ14およびファイナルドリブンギヤ15を介してディファレンシャルDに伝達され、それから左右のドライブシャフト16,16を介し、内燃機関EおよびトランスミッションTが搭載される車両(図示せず)の駆動輪W,Wに伝達される。 【0025】車両運転席(図示せず)のフロア付近には、シフトレバー18が設けられる。シフトレバー18は、具体的には図2に示す如く、コンソールボックス20のスロット20a内に移動自在に収容される。シフトレバー18はその頂部にノブボタンからなるマニュアルモードスイッチ(前記した切換指令手段)18aを備える。 【0026】図2においてシフトレバー18がスロット中央の" D4" に位置されると、一般的な自動変速モードとなり、図3に示す自動変速特性(前記した自動変速特性。以下「D4マップ」という)に従って車速Vとスロットル開度θTHから変速段(変速比)が検索される。図示は省略するが、" D3" 位置にあるときも、類似する特性(「D3マップ」という)に従って変速段が検索される(これらDnマップに従って行われる変速制御を「自動変速モード」という。 【0027】Dnマップ、特にD4マップは、油温低温時の油圧作動遅れなどに対しても余裕を持った(全開)シフトマップ点を備えており、また万人向けの設定となっているため、速やかに1速、2速、3速、4速とシフトアップする特性に設定される。具体的には、1/8開度までは、10km/hで1速から2速に、25km/hで2速から3速に、44km/hで3速から4速にシフトアップするような特性に設定される。 【0028】シフトレバー18がD4,D3,2,1位置のいずれかにあるとき、マニュアルモードスイッチ18aが運転者によって押されると、それに対応する前記したマニュアルモードに移行し、対応する4,3,2,1が選択される。ここで、"4" はマニュアル4速モードを、" 3" はマニュアル3速モードを、" 2" はマニュアル2速モードを、" 1" はマニュアル1速モード" を意味する。 【0029】マニュアル4速モードにおいては図4に示すマニュアル変速特性(前記したマニュアルモードの特性。「M4マップ」という)に従って車速とスロットル開度から変速段(変速比)が検索される。 【0030】図4に示す如く、M4マップにあっては、図3に示すD4マップと比較すると、4速域がホールド域として拡大されると共に、3速域および2速域も拡大される。また、1速(最大変速比)域が削除される。 【0031】マニュアル3速モードにおいては図5に示すマニュアル変速特性(「M3マップ」という)に従って車速とスロットル開度から変速段(変速比)が検索される。図5に示す如く、M3マップにあっては3速域がホールド域として拡大されると共に、M4マップと同様に1速(最大変速比)域が削除される。 【0032】マニュアル2速モードにおいては図6に示すマニュアル変速特性(「M2マップ」という)に従って車速とスロットル開度から変速段(変速比)が検索される。また、マニュアル1速モードにおいては図7に示すマニュアル変速特性(「M1マップ」という)に従って車速とスロットル開度から変速段(変速比)が検索される。 【0033】MnマップについてM4マップを例にとってさらに詳細に説明すると、M4マップにあっては3速域および2速域も規定されていることから、例えば、図4のP1点からアクセルが踏み込まれてスロットル開度θTHが増加してθTH1を超えると、3速にシフトダウンされる。 【0034】次いで全開付近の値θTH2を超えると、2速にシフトダウンされ、よって所望のキックダウンを得ることができる。即ち、キックダウンのために自動変速モードに復帰する必要がないので、これによってドライバビリティを向上させることができる。 【0035】ここで、θTH1は6/8から7/8開度、θTH2は7.5/8開度付近に設定するのが望ましい。それは、運転者は、通常の運転時には、ほとんど5/8開度以下の領域を使用しているからである。即ち、日常の運転では、6/8開度以上の領域はほとんど使用することがない。 【0036】末尾に示す図11ないし図13は、100人を対象として一般路、高速道路および所定の登坂路を走行したときのθTH開度ごとの使用頻度を測定した実測図である。図において横軸はスロットル開度θTH(8/8を80度に換算して標記)、縦軸は使用頻度(%)を示す。図11は一般路を平均約40km/h、図12は高速道路を平均約80km/h、図13は所定の登坂路を平均約30km/hで走行したときのデータである。 【0037】図11ないし図13から明らかなように、スロットル開度は40/80(=4/8)開度が上限であって、6/8開度以上の使用頻度は登坂路を含む3種の走行路の全てにおいて見られない。 【0038】図4の説明に戻ると、さらに、P1点から車両が停止されるとき、車速Vの低下につれて3速、2速とシフトダウンされることから、エンジン回転数が過度に低下して振動を生じることがないと共に、エンジンストールなどを発生することがなく、これによってもドライバビリティを向上させることができる。M3マップあるいはM2マップも同様である。 【0039】このように、MnマップはDnマップに比して所定車速V0以上、および全開付近の所定高スロットル開度θTH2でキックダウンが生じるように設定されると共に、M1マップを除き、Dnマップの最大変速比未満の変速比となるように設定される。最大変速比未満の変速比となるように設定されることで、予期しない変速を確実に防止できると共に、雪道走行時などのドライバビリティを向上させることができる。 【0040】また、自動変速モードはシフトレバー18を介して選択可能な7種のレンジ、より詳しくはD4,D3,2,1の4種のレンジを備え、シフトレバー18がD4,D3,2,1位置のいずれかにあるとき、マニュアルモードスイッチ18aが運転者によって押されると、それに対応してマニュアルモードの4,3,2,1に切り換え可能に構成される。よって、キックダウンスイッチなどを設ける必要がなく、構成として簡易である。 【0041】尚、マニュアル変速特性(Mnマップ)は車速とスロットル開度から変速段が検索される点において、自動変速特性(Dnマップ)と同様に、本質的には一般的な自動変速特性のそれと異ならないが、この明細書においては「マニュアルモードの特性」あるいは「Mnマップ」といい、それに従って変速制御されるモードを「マニュアルモード」という。 【0042】図1の説明に戻ると、エンジンEの吸気路(図示せず)に配置されたスロットル弁(図示せず)の付近には、スロットル開度センサS1が設けられ、スロットル開度θTHを示す信号を出力する。またファイナルドリブンギヤ15の付近には車速センサS2が設けられ、ファイナルドリブンギヤ15が1回転するごとに車速Vを示す信号を出力する。 【0043】更に、カムシャフト(図示せず)の付近にはクランク角センサS3が設けられ、特定気筒の所定クランク角度でCYL信号を、各気筒の所定クランク角度でTDC信号を、所定クランク角度を細分したクランク角度(例えば15度)ごとにCRK信号を出力する。 【0044】また、メインシャフトMSの付近には入力軸回転数センサS4が設けられ、メインシャフトMSが1回転する度に信号を出力すると共に、カウンタシャフトCSの付近には出力軸回転数センサS5が設けられ、カウンタシャフトCSが1回転する度に信号を出力する。 【0045】さらに、車両運転席床面に装着されたシフトレバー18の付近にはシフトレバーポジションセンサS6が設けられ、P,R,N,D4,D3,2,1の7種のポジション(レンジ)の中、運転者が選択したポジションを示す信号を出力する。 【0046】さらに、トランスミッションTの適宜位置には温度センサ22が設けられ、油温(ATF温度)TATCに比例した信号を出力する。 【0047】これらセンサS1などの出力は、ECU(電子制御ユニット)に送られる。 【0048】ECUはCPU30,ROM32,RAM34、入力回路36、および出力回路38からなるマイクロコンピュータから構成される。マイクロコンピュータはA/D変換器40を備える。 【0049】前記したセンサS1などの出力は、入力回路36を介してマイクロコンピュータ内に入力され、アナログ出力はA/D変換器40を介してデジタル値に変換されると共に、デジタル出力は波形整形回路などの処理回路(図示せず)を経て処理され、前記RAM34に格納される。 【0050】前記した車速センサS2の出力およびクランク角センサS3のCRK信号出力はカウンタ(図示せず)でカウントされ、車速Vおよび機関回転数Neが検出される。入力軸回転数センサS4および出力軸回転数センサS5の出力もカウントされ、変速機の入力軸回転数NM および出力軸回転数NC が検出される。 【0051】マイクロコンピュータにおいてCPU30は変速段(変速比)を決定し、出力回路38および電圧供給回路(図示せず)を介してソレノイドSL1からSL6を励磁・非励磁して所望の変速段を確立すると共に、トルクコンバータ2のロックアップ機構Lの動作を制御する。 【0052】次いで、この発明に係る自動変速機の制御装置の動作を説明する。 【0053】図8はその動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、例えば40msecごとに実行される。 【0054】図8に示す処理は、より具体的には、シフトレバー18のマニュアルモードスイッチ18aが実際に運転者によってオンされてマニュアルモードが選択されたか否か、換言すればチャタリングによるものではないことを確定する作業である。 【0055】以下説明すると、S10において自動変速モードのD4レンジが選択されているか否か判断し、否定されるときはS12に進み、マニュアルモードフラグF.SUREMのビットを0にリセットし、S14に進み、マニュアルモード一次フラグF.SUREMOのビットを0にリセットする。 【0056】他方、S10で肯定されるときはS16に進み、マニュアルモード制御油温フラグF.TMiPのビット(初期値0)が1にセットされているか否か判断する。このフラグのビットは初期値0であることから、最初のプログラムループでは否定されてS18に進み、検出した油温(ATF温度)TATFを所定値YTATMiP(例えば40℃)と比較する。 【0057】S18で検出した油温TATFが所定値YTATMiP以上と判断されるときはS20に進んで前記フラグF.TMiPのビットを1にセットすると共に、それ未満と判断されるときはS20をスキップする。 【0058】次いでS22に進み、前記したマニュアルモード一次フラグF.SUREMOのビットがマニュアルモードスイッチ一次入力フラグF.MMODSWのビットと一致しているか否か判断する。 【0059】S22で肯定されるときはS24に進み、チャタリング防止タイマ(ダウンカウンタ)TMTONに所定値YTMTON(例えば20msec)をセットしてスタートさせ、S26に進み、前記したマニュアルモードフラグF.SUREMのビットを決定、即ち、マニュアルモードの選択を確定する。 【0060】図9はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。 【0061】S100において前記したマニュアルモード一次フラグF.SUREMOのビットを判断し、0のときはS102に進んでマニュアルモードフラグF.SUREMのビットを0にリセットする。このフラグのビットを0にリセットすることは、マニュアルモードの選択が確定せず、従ってマニュアルモード制御を行わないことを意味する。 【0062】一方、1と判断されるときはS104に進んで前記したマニュアルモード油温制御フラグF.TMiPのビットを判断し、0のときはS102に進んでマニュアルモード制御を行わないと共に、1のときはS106に進み、マニュアルモードフラグF.SUREMのビットを1にセットする。このフラグのビットを0にリセットすることは、マニュアルモードの選択が確定し、マニュアルモード制御を行うことを意味する。 【0063】図8フロー・チャートの説明に戻ると、S22で否定されて前記したマニュアルモード一次フラグF.SUREMOのビットとマニュアルモードスイッチ一次入力フラグF.MMODSWのビットが一致しないと判断されるときはS28に進み、前記したタイマTMTONを所定量デクリメントする。 【0064】次いでS30に進み、タイマTMTONの値が零に達したか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS32に進み、前記したフラグF.SUREMOのビットを1にセットする。 【0065】即ち、マニュアルモードは、自動変速モードにおいてD4(あるいはD3)が選択されており、油温が所定値YTATMiP以上にあるときに、所定時間YTMTONの経過を待ってマニュアルモードの選択を確定させることでマニュアルモードスイッチのチャタリングを防止するようにした。 【0066】次いで、上記の如くして確定したマニュアルモードで使用すべきマップ(特性)を選択する。 【0067】図10はその作業を示すサブルーチン・フロー・チャートである。 【0068】図示のプログラムは10msecごとに実行される。尚、簡略化のため、図示の処理でマニュアルモードのM2,M1マップの選択は、省略した。 【0069】以下説明すると、S200において現在選択されているレンジが自動変速モードのD4か否か判断し、肯定されるときはS202に進み、前記したフラグF.SUREMのビットが1にセットされているか、換言すればマニュアルモードの選択が確定しているか否か判断し、否定されるときはS204に進み、使用マップ(特性)SMAPは自動変速モードのD4レンジ用のD4マップ(図3に示す)とする。 【0070】従って、この場合には検出した車速Vとスロットル開度θTHからD4マップに従って変速段(変速比)が検索され、検索された変速段となるようにCPU30は油圧制御回路Oを介して対応するクラッチを係合・解放し、変速制御を行う。 【0071】他方、S202で肯定されるときはS206に進み、第2のタイマTMHOLDの値が所定値YTMHOLD4(例えば60ms)以上になったか否か、即ち、所定時間YTMHOLD4が経過したか否か判断する。これもチャタリング防止のためである。このタイマは図示しない別ルーチンにおいて、M.SWの作動を検出したときスタートさせられて時間計測が開始される。 【0072】S206で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS208に進み、使用マップ(特性)SMAPはマニュアル4速モード用のM4マップとする。 【0073】前記した如く、図4に示すM4マップにあっても車速Vとスロットル開度θTHから変速段が検索され、その変速段となるように変速制御がなされることはD4マップの場合と同様であるが、M4マップは4速がホールド域として拡大されている。従って、運転者は、頻繁に変速が繰り返される、いわゆるシフトビジーから解放される。 【0074】他方、3速域も2速域も規定されていることから、例えば図4のP1点からアクセルが踏み込まれてスロットル開度θTHが増加するに伴い、スロットル開度θTHがθTH1を超えると、3速にシフトダウンされる。さらにスロットル開度θTHがθTH2まで増加すると、2速にシフトダウンされ、所望のキックダウンを得ることができる。 【0075】具体的には、前記したように、スロットル開度θTH1を6/8から7/8開度付近に設定し、θTH2は7.5/8付近の開度、即ち、全開付近の開度に設定する。これによって、θTH1未満の通常のスロットル開度でホールド機能を生じるように設定することができ、これによって運転者は全開方向にアクセルペダルを踏み込むことで3速、さらにそれ以上に踏み込むことで2速を選択することができる。 【0076】車速に関しては、V0を20km/h程度、V1を30km/h程度とし、図3に示すD4マップよりも4速走行範囲を拡大するのが望ましい。 【0077】従って、運転者は、車速V0以上では、アクセルを踏込むのみで所望の変速段、即ち、4速から3速、あるいは4速から2速へのシフトダウンを得ることができ、運転者の加速要求時のドライバビリティを向上させることができる。 【0078】また、追い越しなどでさらに駆動力が要求される場合には、2速を選択することができ、運転者の駆動力要求に適正に応じることができてドライバビリティを向上させることができる。 【0079】さらに、P1点から車両が停止されるとき、車速Vの低下につれて3速、2速へとシフトダウンされることから、エンジン回転数の過度の低下による振動やエンジンストールなどが発生することがなく、この点でもドライバビリティを向上させることができる。 【0080】図10の説明に戻ると、S200で否定されるときはS210に進み、現在選択されているレンジが自動変速モードのD3か否か判断し、肯定されるときはS212に進み、前記したフラグF.SUREMのビットが1にセットされてマニュアルモードの選択が確定しているか否か判断し、否定されるときはS214に進み、使用マップ(特性)SMAPは自動変速モードのD3マップとする。 【0081】他方、S212で肯定されるときはS216に進み、第3のタイマTMHOLD3の値が所定値YTMHOLD3以上になったか否か、即ち、所定時間YTMHOLD3が経過したか否か判断し、否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS218に進み、検出した車速Vを所定車速YVNOT4(例えば120km/h)と比較する。 【0082】そしてS218で検出した車速Vが所定車速YVNOT4以下と判断されるときはS220に進み、使用マップ(特性)SMAPはマニュアル3速モード用のM3マップ(図5に示す)とする。 【0083】一方、S218で検出した車速Vが所定車速YVNOT4を超えると判断されるときはS208に進み、使用マップ(特性)SMAPはマニュアル4速モード用のM4マップとする。 【0084】即ち、マニュアルモードモードへの切り換えが指令されたとき、車速が所定値以下であれば、自動変速モードの4速(最小変速比)未満の変速比(3速)がホールド域であるマップ(特性)を使用して変速制御を行う。 【0085】M3マップはM4マップに類似する特性を備えることから、M4マップに関して述べたのと同様の効果を得ることができると共に、停止時あるいは低速走行時に2速を多用することで雪道などでの発進および走行が容易となり、ドライバビリティを向上させることができる。 【0086】この実施の形態は上記したように、簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力することができ、ドライバビリティを向上させることができる。 【0087】この実施の形態においては上記の如く、車速Vとスロットル開度θTHに応じて予め設定された自動変速特性(Dnマップ)に従って変速制御する自動変速機の制御装置において、前記自動変速特性に従って変速制御されるとき、運転者の操作に応じてマニュアルモードヘの切換を指令する切換指令手段(マニュアルモードスイッチ18a,CPU30,S10からS32,S100からS106)、および前記マニュアルモードへの切換が指令されたとき、前記自動変速特性から予め設定された所定のマニュアルモードに切り換え、前記マニュアルモードに従って変速制御する変速制御手段(CPU30,S200からS220)を備えると共に、前記マニュアルモードの特性(Mnマップ)が、所定車速V0以上で、かつ全開付近の所定高スロットル開度θTH2でキックダウンを生じるように設定される如く構成した。 【0088】また、前記自動変速特性がシフトレバー18を介して選択可能な複数のレンジ(D4,D3,2,1)を備えると共に、前記切換手段(マニュアルモードスイッチ18a)が前記シフトレバー上に設けられ、よって前記マニュアルモードの特性(Mnマップ)が前記複数のレンジに対応して切り換え可能に構成される如く構成した。 【0089】また、前記マニュアルモードの特性(Mnマップ)が、前記自動変速特性(Dnマップ)の最大変速比未満の変速比(1速)となるように設定される如く構成した。 【0090】尚、上記において、図4に示す特性において、破線aで示すように、4─3変速線の形を変えても良い。それによって登坂降坂路走行など所定車速V2以下のときにはスロットル操作による3速域が拡大され、登降坂路を可能な限り安定した車速で走行させることが可能となる。また、車速V0以上の領域では、θTH開度に応じて登坂路でも安定した走行を実現することができる。 【0091】また、上記において、M4マップ(あるいはM3マップ)が選択された後に車両が停止されたときは、一旦選択されたM4マップ(あるいはM3マップ)をキャンセルしても良い。 【0092】また、マニュアルモードのM4,M3モード(マップ)で走行しているとき、その旨を運転者に報知する表示装置を備えることが望ましい。 【0093】 【発明の効果】請求項1項にあっては、マニュアルモードの特性が所定車速以上で、かつ全開付近の所定高スロットル開度でキックダウンを生じるように設定される如く構成したので、簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、よってドライバビリティを向上させることができる。 【0094】また、これによって所定開度以下ではホールド機能を与えることも可能となり、その結果、不意のキックダウンによって変速ショックが生じることがない。従って、運転者が4速で走行するときも、アクセルペダル操作のみで追い越しなどを意図として急加速可能な車速域を大幅に拡大させることができ、クルーズ時の静粛性と加速性を最適に両立させることができる。さらに、キックダウンスイッチも不要とすることができる。 【0095】請求項2項にあっては、切換手段がシフトレバー上に設けられ、よってマニュアルモードの特性が複数のレンジに対応して切り換え可能に構成される如く構成したので、一層簡易な構成でありながら、運転者のアクセルワークに応じて迅速にキックダウンして要求される駆動力を適正に出力し、よってドライバビリティを向上させることができる。 【0096】さらに、降坂走行時などエンジンブレーキが必要な場合でも、前記複数のレンジからなる自動変速特性に対応した変速段のマニュアルモードを運転者が選択して安定した車速で走行させることができ、その意味でもドライバビリティを向上させることができる。 【0097】請求項3項にあっては、前記マニュアルモードの特性が前記自動変速特性の最大変速比未満の変速比となるように設定される如く構成したので、前記した作用、効果に加え、予期しない変速を確実に防止することができると共に、雪道走行時などのドライバビリティを一層向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月21日(1999.5.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081972 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 豊
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| 【公開番号】 |
特開2000−329226(P2000−329226A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−141577 |
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