| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 正美
【氏名】後藤 伸夫
【氏名】小林 功久
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| 【要約】 |
【課題】枢軸5とラジアルニードル軸受23aとの間に加わるスラスト荷重に拘らず、抑え板39から枢軸5に衝撃荷重が加わるのを防止する。
【解決手段】この抑え板39を抑える為の止め輪44aの内周縁部と係止溝45aとをくさび係合させて、この抑え板39を上記枢軸5に対し、軸方向に亙るがたつきなく支持する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジングと、このハウジングの内側に互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された入力側、出力側両ディスクと、これら両ディスクを周囲から挟む状態で上記ハウジング内に配置された複数の支持板と、これら各支持板の互いに整合する部分に形成された円孔と、上記両ディスクの中心軸の方向に対し直角方向でこの中心軸とは交差しない捻れの位置にある、互いに同心の1対の枢軸を中心として揺動する複数個のトラニオンと、これら各枢軸の外周面と上記各円孔の内周面との間に設けた、外周面が球状凸面である外輪及びこの外輪の内径側に設けた複数本のニードルから成る複数組のラジアルニードル軸受と、少なくとも上記各トラニオンの一端側に設けた枢軸の先端部でこのラジアルニードル軸受から突出した部分に外嵌してこの枢軸からこのラジアルニードル軸受が抜け出る事を防止する抑え板と、上記各トラニオン毎に支持された変位軸と、これら各変位軸に回転自在に支持され、上記入力側、出力側両ディスクの内側面同士の間に挟持されたパワーローラとを備え、上記両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、上記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、これら各パワーローラの周面と上記各ディスクの内側面とを当接させて成るトロイダル型無段変速機に於いて、上記抑え板を、この抑え板を外嵌した枢軸に対し軸方向に亙るがたつきなく支持した事を特徴とするトロイダル型無段変速機。 【請求項2】 抑え板を、枢軸に対する軸方向に亙るがたつきなく支持するだけでなく、回転方向に亙る変位を阻止した状態で支持している、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車用の変速機として利用するトロイダル型無段変速機の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車用変速機として、図9〜10に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、ハーフトロイダル型と呼ばれるもので、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側で上記入力側、出力側両ディスク2、4の軸方向中間位置には、トラニオン6、6を設けている。これら各トラニオン6、6は、それぞれ上記入力軸1並びに出力軸3の軸方向(図9〜10の左右方向)に対し直角方向(図9〜10の表裏方向)でこの中心軸とは交差しない捻れの位置にある枢軸5、5を中心に揺動する。 【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。 【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム等の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け弾性的に押圧自在としている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記カム板10の片側面(図9〜10の右側面)には、円周方向に亙る凹凸であるカム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図9〜10の左側面)にも、同様の形状を有するカム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。 【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成したカム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。 【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図9に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図10に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図9と図10との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。 【0007】又、図11〜12は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して、回転自在に支持している。又、カム板10は上記入力軸15の端部(図11の左端部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる押圧装置9を構成している。上記出力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回転する様にしている。 【0008】1対のトラニオン6、6の両端部に設けた枢軸5、5はそれぞれ1対の支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図11の表裏方向、図12の左右方向)に亙る変位自在に支持している。即ち、トロイダル型無段変速機の本体部分を収納したハウジング21内に上記1対の支持板20、20を、入力側、出力側両ディスク2、4を両側から挟む状態で、互いにほぼ平行に、それぞれ支持ポスト54a、54bを中心とする若干の変位自在に配置している。そして、上記両支持板20、20の互いに整合する部分に形成した円孔22、22の内側に、上記各トラニオン6、6の両端部に設けた枢軸5、5を、ラジアルニードル軸受23、23により、揺動及び軸方向に亙る変位自在に支持している。上記各円孔22、22及び上記各枢軸5、5は、上記両ディスク2、4の中心軸の方向(図11の左右方向、図12の表裏方向)に対し直角方向(図11の表裏方向、図12の左右方向)でこの中心軸とは交差しない捻れの位置にある。又、上記各ラジアルニードル軸受23、23は、それぞれ1個の外輪24と複数本ずつのニードル25、25とから成る。このうちの外輪24は、外周面を球状凸面とし、内周面を円筒面状の外輪軌道としている。又、上記各ニードル25、25は、保持器26により、転動自在に保持している。尚、上記外輪24の外周面を球面とする理由は、上記各支持ポスト54a、54bを中心として上記各支持板20、20が変位し、上記各円孔22、22の中心軸と上記各枢軸5、5の中心軸とが不一致になった場合でも、上記各ニードル25、25の転動面と相手軌道面との間にエッジロードが加わるのを防止する為である。 【0009】この様にして、それぞれの両端部を上記各支持板20、20に支持した上記各トラニオン6、6の中間部には、それぞれ円孔27、27を形成している。そして、これら各円孔27、27部分に、変位軸7、7を支持している。これら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部28、28と枢支軸部29、29とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部28、28を上記各円孔27、27の内側に、別のラジアルニードル軸受30、30を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部29、29の周囲にパワーローラ8、8を、更に別のラジアルニードル軸受31、31を介して、回転自在に支持している。 【0010】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部29、29が各支持軸部28、28に対し偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向(図12で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の軸方向(図11の左右方向、図12の表裏方向)に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向に変位する傾向となった場合でも、上記構成各部品に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。 【0011】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受32、32とスラストニードル軸受33、33とを設けている。このうちのスラスト玉軸受32、32は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。又、上記各スラストニードル軸受33、33は、上記各パワーローラ8、8から上記各スラスト玉軸受32、32を構成する外輪34、34に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部29、29及び上記外輪34、34が、前記支持軸部28、28を中心に揺動する事を許容する。 【0012】更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図12の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド35、35を結合し、これら各駆動ロッド35、35の中間部外周面に駆動ピストン36、36を固設している。そして、これら各駆動ピストン36、36を、それぞれ駆動シリンダ37、37内に油密に嵌装している。これら各駆動ピストン36、36及び駆動シリンダ37、37が、変速動作時に上記各トラニオン6、6を、前記各枢軸5、5の軸方向に変位させる為のアクチュエータを構成する。 【0013】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸15の回転は、押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン36、36を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン36、36の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図12の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図9〜10に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。 【0014】尚、この様に上記入力軸15と出力歯車18との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が、前記各支持軸部28、28を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前記各スラスト玉軸受32、32の外輪34、34の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受33、33が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。 【0015】又、上述の様な構成各部材の弾性変形等に基づき、前記各枢軸5、5の中心軸と、前記各円孔22、22の中心軸とが若干ずれる場合がある。この様な場合でも、前記各ラジアルニードル軸受23、23を構成する外輪24、24が揺動変位する事により、これら各外輪24、24の中心軸と上記各枢軸5、5の中心軸とが不一致になる事を防止して、これら各枢軸5、5を中心とする上記各トラニオン6、6の揺動変位を円滑に行なわせる。又、上記各円孔22、22の中心軸と各枢軸5、5の中心軸とが不一致になった場合でも、上記各外輪24、24の外周面と上記各円孔22、22の内周面とが強く当接する事を防止して、上記各トラニオン6、6が上記各枢軸5、5の軸方向に変位する事も、円滑に行なわせる。 【0016】尚、上述の様に各枢軸5、5を支持板20、20に揺動及び軸方向に亙る変位自在に支持する為の構造として、図13〜14に示す様に、保持器26(図12)を設けずにニードル25、25の数を増やした、総ニードル型のラジアルニードル軸受23a、23aを使用する構造も、従来から知られている。尚、この図13〜14には、特願平10−333079号に記載された、未公開の発明構造を含んで記載している。この様な図13〜14により、上記ラジアルニードル軸受23aの構造、並びに本発明の要点である、ラジアルニードル軸受23aの抜け止め構造に就いて説明する。但し、ラジアルニードル軸受が保持器を含むか否かは、本発明との関係では本質的な差異とはならない。言い換えれば、保持器26を使用する構造も、本発明の対象となる。 【0017】トラニオン6の両端部に設けた枢軸5、5はそれぞれ1対の支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図13〜14の左右方向)に亙る変位自在に支持している。そして、これら両支持板20、20の互いに整合する部分に形成した円孔22、22の内側に、上記各トラニオン6、6の両端部に設けた枢軸5、5を、ラジアルニードル軸受23a、23aにより、揺動及び軸方向に亙る変位自在に支持している。これら各ラジアルニードル軸受23a、23aは、それぞれ1個の外輪24aと複数本ずつのニードル25、25とから成る。このうちの外輪24aは、外周面を球状凸面とし、内周面を円筒面状の外輪軌道としている。この外周面を構成する球状凸面の曲率の中心は、上記外輪24aの中心軸上に存在する。 【0018】上記各ラジアルニードル軸受23a、23aは、保持器を持たない総ニードル軸受である。又、上記外輪24aはその両端部内周面に、内向フランジ状の鍔部40、40を形成している。又、上記各ラジアルニードル軸受23a、23aを構成する外輪24aを、トラニオン6、6の端部外周面で上記各枢軸5、5の基端部に形成した段部38、38と、これら各枢軸5、5の先端部に係止した円輪状の抑え板39、39或はこれら各枢軸5、5の先端部に外嵌固定したプーリ41、41との間で挟持している。尚、上記各段部38、38と抑え板39、39或はプーリ41、41との間隔は、上記各外輪24a、24aの軸方向長さよりも僅かに大きくしている。又、図14の例では、上記各段部38、38と上記各外輪24a、24aの端面との間に、硬質金属製の摺り板46を挟持して、上記各段部38、38の摩耗防止を図っている。尚、上記各プーリ41、41は、上記各トラニオン6、6の傾斜角度を機械的に同期させる為のケーブル42を掛け渡す為に使用する。 【0019】上記各抑え板39、39は、上記各枢軸5、5の一端部に形成した小径部43、43に外嵌し、更に欠円環状の止め輪44、44により、上記各枢軸5、5からの抜け止めを図っている。この為に、上記各小径部43、43の中間部で上記各抑え板39、39の外側面(上記各ラジアルニードル軸受23a、23aと反対側の面で、図13〜14の右側面)から突出した部分には、係止溝45を形成している。上記各止め輪44、44は、それぞれの内周縁をこの係止溝45に係止する事により、上記各小径部43、43の中間部に支持している。 【0020】 【発明が解決しようとする課題】従来構造の場合、止め輪44、44の内周縁部が係止溝45に、各枢軸5、5の軸方向に亙る若干の変位自在に係合していた。即ち、上記各止め輪44、44の内周縁部を係止溝45に係止する作業を容易に行なえる様にする為に、この係止溝45の幅W45を、上記各止め輪44、44の厚さT44よりも大きく(W45>T44)していた。又、上記係止溝45の溝底部に応力集中が生じるのを防止する為に、この係止溝45の溝底隅部に隅Rを形成する面からも、上記幅W45を厚さT44よりも大きくしていた。この為、これら各止め輪44、44を上記係止溝45の一端部(図14の左端部)に片寄せた状態で、これら各止め輪44、44と係止溝45の内周縁部と上記係止溝45の端縁との間に、△L(=W45−T44)なる隙間が生じる。従って、上記各止め輪44、44は上記係止溝45の内側で、上記△L分だけ、上記各枢軸5、5の軸方向に亙り変位自在になる。 【0021】一方、上記各止め輪44、44には、変速動作時に前述のアクチュエータが上記各トラニオン6、6を上記各枢軸5、5の軸方向に変位させるのに伴って、或は上記各ラジアルニードル軸受23a、23aを構成するニードル25、25がスキューするのに伴って、スラスト荷重が加わる。そして、図14の右方向に、このスラスト荷重の方向が加わった場合には、上記止め輪44が同図の右方向に変位し、この止め輪44の内周縁部外側面が、上記係止溝45の内側面に突き当たる。従って、上記スラスト荷重が急激に加わり、上記止め輪44が勢い良く変位した場合には、上記止め輪44の内周縁部外側面と上記係止溝45の内側面とが勢い良く衝突し、図14の鎖線αで囲んだこの係止溝45の内側面部分に、衝撃荷重が加わる。 【0022】従って、従来構造の場合には、この衝撃荷重に拘らず、上記各枢軸5、5の一端部に亀裂等の損傷が発生するのを防止する為には、これら各枢軸5、5の一端部で上記係止溝45よりも端面寄り部分の軸方向寸法L5 を十分に確保しなければならなかった。この為、上記各枢軸5、5を含む、上記各トラニオン6、6の長さ寸法が大きくなり、トロイダル型無段変速機の小型・軽量化を図りにくかった。本発明のトロイダル型無段変速機は、この様な事情に鑑みて発明したものである。 【0023】 【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様に、ハウジングと、入力側、出力側両ディスクと、複数の支持板と、円孔と、複数個のトラニオンと、複数組のラジアルニードル軸受と、抑え板と、変位軸と、パワーローラとを備える。このうちの入力側、出力側両ディスクは、上記ハウジングの内側に互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持されている。又、上記各支持板は、上記両ディスクを周囲から挟む状態で上記ハウジング内に配置されている。又、上記円孔は、上記各支持板の互いに整合する部分に形成されている。又、上記複数個のトラニオンは、上記両ディスクの中心軸の方向に対し直角方向でこの中心軸とは交差しない捻れの位置にある、互いに同心の1対の枢軸を中心として揺動する。又、上記複数組のラジアルニードル軸受はそれぞれ、上記各枢軸の外周面と上記各円孔の内周面との間に設けた、外周面が球状凸面である外輪及びこの外輪の内径側に設けた複数本のニードルから成る。又、上記抑え板は、少なくとも上記各トラニオンの一端側に設けた枢軸の先端部でこのラジアルニードル軸受から突出した部分に外嵌して、この枢軸からこのラジアルニードル軸受が抜け出る事を防止する。又、上記変位軸は、上記各トラニオン毎に支持されている。更に、上記パワーローラは、上記各変位軸に回転自在に支持され、上記入力側、出力側両ディスクの内側面同士の間に挟持されている。そして、上記両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、上記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、これら各パワーローラの周面と上記各ディスクの内側面とを当接させて成る。 【0024】特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記抑え板を、この抑え板を外嵌した枢軸に対し軸方向に亙るがたつきなく支持している。更に、好ましくは、上記抑え板を、枢軸に対する軸方向に亙るがたつきなく支持するだけでなく、回転方向に亙る変位を阻止した状態で支持している。 【0025】 【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機により、入力側ディスクと出力側ディスクとの間で回転力の伝達を行なわせる作用、並びにこれら両ディスク同士の間の変速比を変化させる作用は、前述した様な従来から知られているトロイダル型無段変速機の場合と同様である。特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、抑え板を、この抑え板を外嵌した枢軸に対し軸方向に亙るがたつきなく支持している為、この抑え板から枢軸に対し衝撃荷重が加わるのを防止できる。更に、上記抑え板が回転方向に亙り変位するのを阻止すれば、長期間に亙る使用によってこの抑え板及びこの抑え板が当接している部材が摩耗するのを防止して、この抑え板が上記枢軸に対し軸方向に亙りがたつくのを防止する機能を、長期間に亙って維持できる。 【0026】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、枢軸5からラジアルニードル軸受23aが抜け出るのを防止する為の抑え板39を抑える為の止め輪44aを、枢軸5の一端部に係止する部分の構造にある。その他の部分の構造及び作用は、前述した従来構造或は先発明に係る構造と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。 【0027】上記抑え板39は、上記枢軸5の一端部に形成した小径部43に外嵌し、更に欠円環状の止め輪44aにより、上記枢軸5からの抜け止めを図っている。この為に、上記小径部43の中間部で上記抑え板39の外側面(図1の右側面)から突出した部分には、係止溝45aを形成している。上記止め輪44aは、その内周縁をこの係止溝45aに係止する事により、上記小径部43の中間部に係止している。 【0028】特に、本例の場合には、上記止め輪44a及び上記係止溝45aの断面形状を、それぞれ内径側に向かう程幅が狭くなる、くさび状に形成している。従って、上記止め輪44aを、その直径を弾性的に広げた状態で上記小径部43に外嵌して、この止め輪44aの内周縁と上記係止溝45aの開口部とを整合させれば、この止め輪44aがその直径を弾性的に縮めつつ、その内周縁部を上記係止溝45aにくさび状に食い込ませる。そして、上記止め輪44aが上記抑え板39を、上記枢軸5の先端部に形成した段部55に向けて抑え付ける。従って、この段部55から上記係止溝45aの開口縁までの距離L45a は、上記抑え板39の厚さT39以下(L45a ≦T39)としている。この様に、上記止め輪44aが上記抑え板39を段部55に抑え付ける結果、この抑え板39が上記小径部43の中間部に、軸方向に亙るがたつきなく係止される。 【0029】上述の様に構成する本例の構造の場合には、上記抑え板39を、この抑え板39を外嵌した枢軸5の小径部43に対し、上記止め輪44aと係止溝45aとのくさび係合に基づいて、軸方向に亙るがたつきなく支持している。この為、この抑え板39及び止め輪44aから上記枢軸5の小径部43に対し、衝撃荷重が加わるのを防止できる。即ち、この小径部43と前記ラジアルニードル軸受23aとの間にスラスト荷重が加わり、このラジアルニードル軸受23aを構成する外輪24aの端面が上記抑え板39を介して上記止め輪44aを押圧しても、この止め輪44aが軸方向に変位する事はない。この結果、この止め輪44aから上記枢軸5の一部に衝撃荷重が加わる事がなくなる。 【0030】次に、図2〜3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、抑え板39aの内周縁形状、並びに小径部43aの外周面形状を、互いに相似な非円形としている。これに合わせて、止め輪44bの内周縁形状及び係止溝45bの溝底形状も、相似な非円形としている。従って、本例の場合には、上記抑え板39aを、枢軸5に対する軸方向に亙るがたつきなく支持するだけでなく、回転方向に亙る変位を阻止した状態で支持している。 【0031】この様な本例の場合には、上記抑え板39aが回転方向に亙り変位するのを阻止しているので、長期間に亙る使用によって、この抑え板39a及びこの抑え板39aが当接している枢軸5の段部55が摩耗するのを防止できる。この結果、上記抑え板39aが上記枢軸5に対し軸方向に亙りがたつくのを防止する機能を、長期間に亙って維持できる。その他の構成及び作用は、上述した第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。 【0032】次に、図4は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、抑え板39bを枢軸5の端面に突き当て、この抑え板39bの中心部に設けた通孔47を挿通した止めねじ48を、上記枢軸5の中心部に形成したねじ孔49に螺合し、更に緊締している。抑え板39bの支持構造の変更に伴い、上記枢軸5には、前述した第1例及び上述した第2例の様な小径部43、43a(図1〜2参照)は設けてはいない。この様な本例の構造でも、上記枢軸5とラジアルニードル軸受23aとの間に加わるスラスト荷重に拘らず、この枢軸5の一部に衝撃荷重が加わる事を防止できる。 【0033】次に、図5〜6は、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、抑え板39b´を枢軸5の端面に突き当て、この抑え板39b´の2個所位置に設けた通孔47a、47aを挿通した止めねじ48a、48aを、それぞれ上記枢軸5の中心部に形成したねじ孔49a、49aに螺合し、更に緊締している。この様な本例の場合には、上記抑え板39b´が回転方向に亙り変位するのを阻止しているので、長期間に亙り使用によってこの抑え板39b´及びこの抑え板39b´が当接している枢軸5の端面が摩耗するのを防止できる。この結果、上記抑え板39b´が上記枢軸5に対し軸方向に亙りがたつくのを防止する機能を、長期間に亙って維持できる。その他の構成及び作用は、上述した第3例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。 【0034】次に、図7は、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、抑え板39cの内側面に形成した係止突起50と、枢軸5の端面に形成した係止凹孔51とを係合させる事により、この枢軸5に対して上記抑え板39cが回転する事を防止している。その他の構成及び作用は、図4に示した第3例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。 【0035】次に、図8は、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、枢軸5の端面に突設した係止ピン52を、抑え板39dに形成した係止孔53に係合させる事により、この枢軸5に対して上記抑え板39dが回転する事を防止している。その他の構成及び作用は、図4に示した第3例と同様であるから、重複する説明を省略する。 【0036】尚、上述の説明は、各キャビティ毎に2個のパワーローラを設ける、2ローラ型のトロイダル型無段変速機に本発明を適用する場合に就いて説明した。但し、本発明は、この様な2ローラ型のものに限らず、各キャビティ毎に3個のパワーローラを設ける、3ローラ型のトロイダル型無段変速機にも適用できる。 【0037】 【発明の効果】本発明は以上に述べた通り構成され作用するが、抑え板に加わるスラスト荷重に基づいてトラニオンを支持する枢軸に衝撃荷重が加わるのを防止する為、この枢軸の軸方向寸法の短縮により、トロイダル型無段変速機の小型・軽量化を図り易くなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月19日(1999.5.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087457 【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−329207(P2000−329207A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−138220 |
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