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【発明の名称】 オートテンショナ
【発明者】 【氏名】黒田 正幸

【氏名】川島 一貴

【要約】 【課題】ベルトの張力を一定に保つオートテンショナのシリンダの主要構成部分の標準化および組立工程での作業性の向上を図ることである。

【解決手段】シリンダ1を外筒1aと内筒1bの二重構造とする。内筒1b内に充填された作動油をオイルシール3の取付けによって外部への漏洩を防止する。内筒1b内にベルト押圧用のロッド6、このロッド6に外方向への突出性を付与する張力調整ばね8およびロッド6に付与される押し込み方向の荷重を緩衝する油圧ダンパ機構10を組込んで、組立体Aを完成し、この組立体Aを外筒1a内に挿入して抜け止めすることによりオートテンショナが形成されるようにして組立体Aの標準化および組立工程での作業性の向上を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作動油が充填されたシリンダ内に、ロッドと、ベルトからの押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構と、ベルトに張力を付与する張力調整ばねとを組込んだオートテンショナにおいて、前記シリンダを外筒と内筒の二重構造とし、前記内筒内にロッドと、油圧ダンパ機構および張力調整ばねを組込んで密封された組立体を完成し、この組立体を前記外筒内に組込んだことを特徴とするオートテンショナ。
【請求項2】 作動油が充填されたシリンダ内に、ベルト押圧用のロッドと、ベルトからそのロッドに付与される押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構と、前記ロッドに外方向への突出性を付与する張力調整ばねとを組込んだオートテンショナにおいて、前記シリンダを外筒と内筒の二重構造とし、前記外筒に取付け対象に対する取付手段を設け、前記内筒内に前記ロッド、油圧ダンパ機構および張力調整ばねを組込んで密封された組立体を完成し、この組立体を前記外筒内に挿入して抜け止めしたことを特徴とするオートテンショナ。
【請求項3】 前記油圧ダンパ機構が、前記内筒内にピストンをスライド自在に組込んで、内筒の内部に圧力室とリザーバ室を形成し、前記ピストンに前記圧力室とリザーバ室を連通する通路を設け、この通路に圧力室内の作動油がリザーバ室に流れるのを防止するチェックバルブを設けた構成から成る請求項1又は2に記載のオートテンショナ。
【請求項4】 前記内筒の開口を、前記ロッドが挿通されるシール部材で密封したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のオートテンショナ。
【請求項5】 前記シール部材が、オイルシールから成り、そのオイルシールに前記ロッドがスライド自在に貫通された請求項4に記載のオートテンショナ。
【請求項6】 前記シール部材が、可撓性を有するダイヤフラムから成る請求項4に記載のオートテンショナ。
【請求項7】 前記オイルシールと作動油との間に空気層を設けた請求項5に記載のオートテンショナ。
【請求項8】 前記外筒が軽金属から成る請求項1乃至7のいずれかに記載のオートテンショナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のカム軸駆動用ベルト等のベルトの張力を常に適正な張力に保持するオートテンショナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】カム軸駆動用ベルトの張力を一定に保持するオートテンショナとして、図3に示したものが従来から知られている。
【0003】このオートテンショナは、シリンダ30の開口部にシール31を取付けてシリンダ30内に充填された作動油の漏洩を防止している。また、シリンダ30内に、ロッド32と、そのロッド32に外方向への突出性を付与する張力調整ばね33と、ベルトからロッド32に付与される軸方向の押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構34とを組込んでいる。
【0004】ここで、油圧ダンパ機構34は、シリンダ30の内部に圧力室35とリザーバ室36を形成するピストン37をスライド自在に組込み、そのピストン37に圧力室35とリザーバ室36を連通する通路38を形成し、この通路38に圧力室35内の作動油がリザーバ室36内に流れるのを防止するチェックバルブ39を設けている。
【0005】上記の構成から成るオートテンショナは、エンジンブロックにシリンダ30を取付け、張力調整ばね33のばね力によって外方向に突出性が付与されたロッド32で図示省略した揺動自在のローラアームを押圧し、そのローラアームに支持されたテンションローラをベルトに押し付け、このベルトの張力変化を張力調整ばね33と油圧ダンパ機構34とで吸収してベルトの張力を一定に保つようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記オートテンショナにおいては、取付面の仕様に応じてシリンダ30の外周形状や、その外周に設けられた取付手段40の位置を変更する必要があるため、シリンダ30を標準化することが困難である。
【0007】また、シリンダ30内にダンパ機構34の構成部品や、張力調整ばね33、ロッド32等の多くの部品を組立てる工程において、取付手段40を一体に形成したシリンダ30の搬送やハンドリングの際の作業性など改善すべき点が残されている。
【0008】この課題は、シリンダの主要構成部分の標準化および組立工程での作業性向上を図ることができるようにしたオートテンショナを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明においては、作動油が充填されたシリンダ内に、ロッドと、ベルトからの押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構と、ベルトに張力を付与する張力調整ばねとを組込んだオートテンショナにおいて、前記シリンダを外筒と内筒の二重構造とし、前記内筒内にロッドと、油圧ダンパ機構および張力調整ばねを組込んで密封された組立体を完成し、この組立体を前記外筒内に組込んだ構成を採用している。
【0010】また、この発明においては、作動油が充填されたシリンダ内に、ベルト押圧用のロッドと、ベルトからそのロッドに付与される押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構と、前記ロッドに外方向への突出性を付与する張力調整ばねとを組込んだオートテンショナにおいて、前記シリンダを外筒と内筒の二重構造とし、前記外筒に取付け対象に対する取付手段を設け、前記内筒内に前記ロッド、油圧ダンパ機構および張力調整ばねを組込んで密封された組立体を完成し、この組立体を前記外筒内に挿入して抜け止めした構成を採用している。
【0011】ここで、油圧ダンパ機構として、前記内筒内にピストンをスライド自在に組込んで、内筒の内部に圧力室とリザーバ室を形成し、前記ピストンに前記圧力室とリザーバ室を連通する通路を設け、この通路に圧力室内の作動油がリザーバ室に流れるのを防止するチェックバルブを設けた構成から成るものを採用することができる。
【0012】また、内筒は、その開口をオイルシールやダイヤフラム等のシール部材で密封することにより、作動油の外部への漏洩を防止し、作動油の付着によるベルトの劣化を防止することができる。
【0013】上記のように、シリンダを外筒と内筒で形成し、内筒内にロッドや油圧ダンパ機構、張力調整ばねを組込んで密封された組立体を完成することにより、その組立体を標準化することができる。また、内筒は取付手段などを含まないシンプルな形状であるので、この内筒内にロッド、油圧ダンパ機構、張力調整ばね等の部品を組立てる工程において、前記内筒の搬送やハンドリングの際の作業性が良好となる。その後、内筒組立体を外筒内に組込めばオートテンショナの完成品が得られる。
【0014】ここで、外筒をアルミ合金等の軽金属とすることによってオートテンショナの軽量化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。図1に示すように、シリンダ1は、外筒1aと内筒1bの二重構造から成り、外筒1aはアルミ合金等の軽金属から成り、外周にはエンジンブロック等の取付け対象にボルトの締付け等による手段を介して取付けられる取付片2が形成されている。
【0016】内筒1bは鋼等の硬質の金属から成り、その内部には作動油が充填され、開口部にはオイルシール3が圧入されている。また、内筒1bの開口部内周には環状溝4が設けられ、その環状溝4に取付けた止め輪5によってオイルシール3が抜け止めている。
【0017】前記オイルシール3と作動油の表面間には空気層が設けられている。また、オイルシール3にはベルト押圧用のロッド6がスライド自在に挿通されている。ロッド6には内筒1bの内周面に沿ってスライド自在のウェアリング7が嵌合され、このウェアリング7は内筒1b内に組込まれた張力調整ばね8によってロッド6の外周中途に設けられた段部6aに押し付けられ、前記張力調整ばね8によってロッド6は外方向への突出性が付与されている。
【0018】内筒1bの内部には、ベルトからロッド6に付与される軸方向の押し込み荷重を緩衝する油圧ダンパ機構10が組込まれている。
【0019】油圧ダンパ機構10は、内筒1bの内部に、その内部を圧力室11とリザーバ室12とに仕切るピストン13をスライド自在に組込み、ピストン13には圧力室11とリザーバ室12を連通する通路14を形成し、この通路14に圧力室11内の作動油がその通路14を通ってリザーバ室12内に流れるのを防止するチェックバルブ15を設け、このチェックバルブ15の開閉量をピストン13の下面突出部13aに取付けたリテーナ16によって制限している。
【0020】ここで、ピストン13は、その上面にロッド6の下端部が圧入されるロッド挿入孔13bを形成してロッド6に結合一体化してもよく、上記ロッド挿入孔13bにロッド6の下端部を挿入して非結合としてもよい。非結合の場合は、圧力室11にスプリング17を組込んでピストン13をロッド6に押し付けるようにする。
【0021】以上が組立完了状態の実施形態の説明である。
【0022】前記内筒1bと、その内側に組込まれたロッド6や張力調整ばね8、油圧ダンパ機構10等の各部品は、内筒1bの開口部に取付けたオイルシール3により抜け止めされて密封された組立体Aを完成している。取付手段を含まない組立体Aを標準化することができる。また、内筒1bは取付手段などを含まないシンプルな形状であるので、この内筒1b内に作動ロッド6、張力調整ばね8、油圧ダンパ機構10等の部品を組立てる工程において、内筒1bの搬送やハンドリングの際の作業性が良好となる。この組立体Aは外筒1a内に挿入されて抜け止めされる。このようにシリンダ1を外筒1aと内筒1bの二重構造としたため、外筒1aのみを変更することによって、種々の取付面の仕様に適用できる。
【0023】組立体Aの抜け止めとして、ここでは、外筒1aの開口端を加締めるようにしており、18はその加締め片を示している。
【0024】上記の構成から成るオートテンショナは、自動車のエンジン等への取付前の段階では、シリンダ1およびロッド6の双方を半径方向に貫通するセットピン19の挿入によってロッド6を押し込み状態に保持しておく。そして、エンジンブロック等の取付け対象にシリンダ1の取付片2を固定したのち、セットピン19を引き抜き、張力調整ばね8によって外方向に突出性が付与されるロッド6で図示省略した揺動自在のローラアームを押圧し、そのローラアームに支持されたテンションローラをベルトに押し付けて、ベルトを緊張させる。
【0025】上記のようなオートテンショナの使用状態において、ベルトに弛みが生じると、張力調整ばね8の押圧によりロッド6が外方向に移動してベルトの弛みを吸収し、ベルトがロッド6を押し込む押し込み力と張力調整ばね8のばね力とが釣り合う位置でロッド6が停止する。
【0026】ロッド6の外方向への移動時、ピストン13もそのロッド6と共に移動し、その移動によって圧力室11の容積が増大して圧力が低下するため、チェックバルブ15が通路14を開放し、リザーバ室12内の作動油が圧力室11内に流入する。
【0027】一方、ベルトの張力が増大してロッド6が押圧されると、圧力室11内の圧力は上昇するため、チェックバルブ15は通路14を閉じ、圧力室11内の作動油は内筒1bとピストン13の接触部間からリザーバ室12内にリークし、ピストン13およびロッド6がゆっくりと後退してベルトの張力変化を吸収し、ベルトがロッド6を押圧する押圧力と張力調整ばね8のばね力とが釣り合うとロッド6およびピストン13が停止する。このため、ベルトの張力は常に一定に保持される。
【0028】図2は、この発明に係るオートテンショナの他の例を示す。この例で示すオートテンショナにおいては、内筒1bの開口端部内にロッドカバー20を圧入し、このロッドカバー20に形成された挿入孔21にロッド6をスライド自在に挿入している。
【0029】また、ロッドカバー20の下方に設けた可撓性を有するダイヤフラム22により内筒1bの開口部を密封して、内筒1b内に充填された作動油の漏洩を防止している。
【0030】さらに、ピストン13の通路14を板体から成るチェックバルブ15により開閉し、そのチェックバルブ15をばね力の弱いスプリング23によって開放方向に押圧し、前記ピストン13の下方に張力調整ばね8を組込んでロッド6に外方向への突出性を付与している。
【0031】上記オートテンショナにおいては、内筒1b内に、張力調整ばね8、油圧ダンパ機構10、ダイヤフラム22およびロッド6を順に組込み、内筒1bの開口部内にロッドカバー20を圧入して組立体Aを形成し、この組立体Aを取付片2を有する外筒1a内に挿入し、その外筒1aの開口端の加締めによって完成品としている。
【0032】図2に示すオートテンショナにおいても、外筒1a内に組立体Aを挿入する構成であるため、図1に示すものと同様、組立体Aを標準化することができ、また、組立工程での作業性向上を図ることができる。
【0033】このため、外筒1aのみを変更することによって種々の取付面の仕様に適用可能なオートテンショナを得ることができる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、この発明においては、外筒内に挿入される組立体を標準化することができる。また、組立工程における作業性の向上を図ることができると共に、外筒を変更することによって種々の取付面の仕様に適切可能なオートテンショナを得ることができる。
【0035】また、外筒をアルミ合金等の軽金属により形成することによってオートテンショナの軽量化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成11年5月17日(1999.5.17)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−329204(P2000−329204A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−135690