| 【発明の名称】 |
遊星歯車機構付き変速機及びその組立方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田島 繁
【氏名】今村 正広
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| 【要約】 |
【課題】変速機のケース3aに固定すべき要素9bを有する遊星歯車機構9を組込んだ変速機において、変速機の軸部材の回りに遊星歯車機構を含む複数の変速機用構成部材を組付けて内蔵物をサブアッセンブリし、この内蔵物をケース3a内に収納した後、前記要素9bをケース3aの周壁部外面からの作業でケース3aに固定できるようにする。
【解決手段】固定要素9bに、ケース3aに対し相対回転不能に係合する第1の係合部48を形成する。また、ケース3a内にケース3aの周壁部外面から挿入自在な固定部材51を設け、固定部材51を固定要素9bに形成した第2の係合部50に係合させて、ケース3aに対し固定要素9bを軸方向に相対移動不能とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速機ケースに固定すべき要素を有する遊星歯車機構を組込んだ遊星歯車機構付き変速機において、前記要素に、変速機ケースに対し相対回転不能に係合する第1の係合部を形成すると共に、変速機ケースの周壁部外面から変速機ケース内に挿入自在な固定部材を設け、前記要素に、前記固定部材に係合して、前記要素を変速機ケースに対し軸方向に相対移動不能とする第2の係合部を形成する、ことを特徴とする遊星歯車機構付き変速機。 【請求項2】 請求項1に記載の遊星歯車機構付き変速機の組立方法において、変速機の軸部材の回りに前記遊星歯車機構を含む複数の変速機用構成部材を軸方向に並べて順に組付けた後、これら変速機用構成部材を変速機ケースに収納し、次に、前記固定部材を変速機ケース内に挿入する、ことを特徴とする遊星歯車機構付き変速機の組立方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、変速機ケースに固定すべき要素を有する遊星歯車機構を組込んだ遊星歯車機構付き変速機及びその組立方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の変速機において、遊星歯車機構のリングギアやキャリアといった要素を変速機ケースに固定する場合は、変速機ケースに対し前記要素を相対回転不能にスプライン係合すると共に、スナップリングで軸方向に相対移動不能に係止している(特開平1−203740号公報等参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、変速機の組立作業を容易にするには、変速機ケース外のオープンスペースにおいて変速機の軸部材の回りに遊星歯車機構を含む変速機用構成部材を軸方向に並べて順に組付けた後、これら変速機用構成部材を変速機ケースに収納することが望まれる。 【0004】然し、上記従来の変速機のように、遊星歯車機構の固定すべき要素をスナップリングで軸方向に相対移動不能に係止するものでは、変速機ケースの開放端から見て遊星歯車機構より手前側に他の変速機用構成部材が存在すると、これら変速機用構成部材がスナップリングの装着作業の邪魔になるため、これら変速機用構成部材と共に遊星歯車機構を軸部材の回りにサブアッセンブリしておくことはできない。その結果、変速機ケース内に変速機用構成部材を奥側のものから順に組付けざるを得なくなり、変速機の組立作業が面倒になる。 【0005】本発明は、以上の点に鑑み、遊星歯車機構の固定すべき要素を変速機ケースの周壁部外面からの作業で軸方向に相対移動不能に係止できるようにして、組立作業性を向上させた変速機及びその組立方法を提供することを課題としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、本発明の変速機は、変速機ケースに固定すべき遊星歯車機構の要素に、変速機ケースに対し相対回転不能に係合する第1の係合部を形成すると共に、変速機ケースの周壁部外面から変速機ケース内に挿入自在な固定部材を設け、前記要素に、前記固定部材に係合して、前記要素を変速機ケースに対し軸方向に相対移動不能とする第2の係合部を形成している。 【0007】そして、かかる変速機を作業性良く組立てられるよう、本発明の組立方法は、変速機の軸部材の回りに前記遊星歯車機構を含む複数の変速機用構成部材を軸方向に並べて順に組付けた後、これら変速機用構成部材を変速機ケースに収納し、次に、前記固定部材を変速機ケース内に挿入している。 【0008】本発明の変速機によれば、変速機ケースの開放端から見て遊星歯車機構より手前側に他の変速機用構成部材が存在していても、変速機ケース内にその周壁部の外面から固定部材を挿入して、遊星歯車機構の固定すべき要素の第2の係合部に固定部材を係合させることにより該要素を軸方向に相対移動不能に係止できる。 【0009】従って、上記本発明の組立方法の如く変速機の軸部材に遊星歯車機構を含む変速機用構成部材をサブアッセンブリしておくことができ、変速機の組立作業性が向上する。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は車両用の自動変速機を示している。該変速機は、ロックアップクラッチ1a付きの流体トルクコンバータ1を内蔵するトルコンケース2に結合される変速機ケース3を備えており、該ケース3内に、流体トルクコンバータ1に連結される入力軸4と中間軸5と出力軸6とを同一軸線上に軸支している。そして、これら軸4,5,6の回りに、トルコンケース2側から順に、UDクラッチ7と、ODクラッチ8と、第1遊星歯車機構9と、35Rクラッチ10と、第2遊星歯車機構11と、第3遊星歯車機構12とを配置し、更に、第2遊星歯車機構11の周囲に26ブレーキ13を配置すると共に、第3遊星歯車機構12の軸方向先方にLRブレーキ14を配置している。 【0011】各遊星歯車機構9,11,12は、サンギア9a,11a,12aと、リングギア9b,11b,12bと、サンギアとリングギアとに噛合するピニオン9c,11c,12cと、ピニオンを軸支するキャリア9d,11d,12dとで構成されている。 【0012】第1遊星歯車機構9のサンギア9aは、UDとODの両クラッチ7,8のクラッチアウタ7a,8aにスプライン係合するアウタスリーブ15に連結されており、UDクラッチ7のクラッチアウタ7aを入力軸4に連結して、該クラッチアウタ7aと共にODクラッチ8のクラッチアウタ8aと第1遊星歯車機構9のサンギア9aとが入力軸4に連結されるようにしている。UDクラッチ7のクラッチインナ7bは中間軸5を介して第2と第3の両遊星歯車機構11,12のサンギア11a,12aに連結され、ODクラッチ8のクラッチインナ8bは中間軸5上に軸支したスリーブ16を介して第2遊星歯車機構11のキャリア11dに連結されている。 【0013】第1遊星歯車機構9のリングギア9bは後記詳述する如く変速機ケース3に固定され、キャリア9dは35Rクラッチ10のクラッチアウタ10aに連結されている。35Rクラッチ10のクラッチインナ10bは第2遊星歯車機構11のリングギア11bに連結され、該リングギア11bは26ブレーキ13によって変速機ケース3に対し制止可能とされている。 【0014】第2遊星歯車機構11のキャリア11dは第3遊星歯車機構12のリングギア12dに連結され、該リングギア12dはLRブレーキ14によって変速機ケース3に対し制止可能とされると共に、反力受けとしてのワンウェイクラッチ17を介して変速機ケース3に連結されている。また、第3遊星歯車機構12のキャリア12dは出力軸6に連結されている。 【0015】以上の構成によれば、UDクラッチ7とLRブレーキ14とを係合させたとき1速段が確立され、UDクラッチ7と26ブレーキ13とを係合させたとき2速段が確立され、UDクラッチ7と35Rクラッチ10とを係合させたとき3速段が確立され、UDクラッチ7とODクラッチ8とを係合させたとき4速段が確立され、ODクラッチ8と35Rクラッチ10とを係合させたとき5速段が確立され、ODクラッチ8と26ブレーキ13とを係合させたとき6速段が確立され、35Rクラッチ10とLRブレーキ14とを係合させたとき後進段が確立され、前進6段後進1段の変速が行われる。 【0016】変速機ケース3は、ケース本体3aと、ケース本体3aのトルコンケース2とは反対側の端部に装着するエンドピース3bと、エンドピース3bの外面に取付けるエンドカバー3cとで構成されており、エンドピース3bとエンドカバー3cとの間に出力軸6に連結されるパーキングギア18を配置し、エンドカバー3cの外方に突出する出力軸6の外端部に出力フランジ19を連結している。 【0017】エンドピース3bには、LRブレーキ14のブレーキアウタ14aと、LRブレーキ14のアクチュエータ部14bをブレーキアウタ14aとの間に収納するインナスリーブ14cとが一体成形されている。そして、第3遊星歯車機構12のリングギア12bに連結されるLRブレーキ14のブレーキインナ14dの内周にワンウェイクラッチ17を配置し、ワンウェイクラッチ17のインナレース17aをインナスリーブ14cに嵌合させてエンドピース3bに固定している。 【0018】また、ケース本体3a内に、第3遊星歯車機構12とLRブレーキ14との間に位置させて、26ブレーキ13用のアクチュエータ部13aを配置すると共に、第3遊星歯車機構12の外周空間に26ブレーキ13用のリターンスプリング13bと操作スリーブ13cとを配置し、第2遊星歯車機構11のリングギア11bとケース本体3aとの間に介設した26ブレーキ13用のディスク部13dをアクチュエータ部13aにより操作スリーブ13cを介して操作するようにしている。尚、リターンスプリング13bとディスク部13dは、夫々、スナップリング13e,13fによりケース本体3aに対し軸方向に係止されている。 【0019】ケース本体3aの外部下方には、ケース本体3aの外面に一体成形した下方にのびるスカート部3dを介してオイルパン20が設けられている。更に、トルコンケース2の変速機ケース3側の端部に、オイルパン20内のオイルをストレーナ21を介して吸い上げるポンプ22を設けると共に、ケース本体3a内のトルコンケース2側の端部とオイルパン20内とに、夫々、ポンプ22に接続される油圧回路内の各種バルブを組込んだバルブブロック23,24を設けている。 【0020】ケース本体3a内のバルブブロック23からは、入力軸4に形成した油孔25を介して流体トルクコンバータ1に内蔵するロックアップクラッチ1aのアクチュエータ部1bに給油されると共に、入力軸4に形成した油孔26を介してUDクラッチ7のアクチュエータ部7cに給油され、更に、入力軸4に形成した油孔27とパイプ28と中間軸5に形成した油孔29とを介してODクラッチ8のアクチュエータ部8cに給油される。 【0021】また、エンドピース3bの端壁部には、図2に示す如く、35Rクラッチ10用の油路30と、26ブレーキ13用の油路31と、LRブレーキ14用の油路32と、潤滑用の油路33とが形成されており、これら各油路30,31,32,33を、ケース本体3aに図3に示す如く配設した各配管部材30a,31a,32a,33aを介してオイルパン20内のバルブブロック24に接続している。そして、油路33から、インナスリーブ14cに形成した油孔34と、インナレース17aに形成した油孔35と、出力軸6に形成した油孔36と、孔付きパイプ37と、中間軸5に形成した油孔38とを介して軸回りの各潤滑箇所に給油されるようにしている。油路30は、インナスリーブ14cに形成した油孔39と、インナレース17aに形成した油孔40と、出力軸6に形成した油孔41と、前記油孔36,38内に設けたパイプ42と、パイプ42の端部を嵌合する中間軸5内のプラグ43とを介して35Rクラッチ10のアクチュエータ部10cに連通され、また、油路32はLRブレーキ14のアクチュエータ部14bに直接連通され、更に、油路31は、これに接続される配管部材31bを介して26ブレーキ13のアクチュエータ部13aに連通される。 【0022】ケース本体3aとエンドピース3bとエンドカバー3cとは複数のボルト44で共締めされるが、エンドピース3bには26ブレーキ13のアクチュエータ部13aを介して26ブレーキ13のリターンスプリング13cの付勢力が作用するため、エンドピース3bがケース本体3aから浮いてエンドカバー3cを取付けにくくなる。そこで、エンドカバー3cで覆われる部分の2箇所において、図4に示す如くエンドピース3bをケース本体3aに内部ボルト45で締結し、エンドカバー3cの取付けを行い易くしている。図中46はエンドピース3bに対しエンドカバー3cを位置決めするノックピンである。 【0023】第1遊星歯車機構9のリングギア9bの外周には、図5に示す如く、ケース本体3aに形成したスプライン形状の複数の溝部47に対応する第1の係合部たるスプライン形状の複数の歯部48が形成されており、歯部48を溝部47に軸方向から係合させること、即ち、ケース本体3aにリングギア9bをスプライン係合させることで変速機ケース3に対しリングギア9bが相対回転不能となる。また、歯部48間の谷部のうちリングギア9bの水平方向両側に位置する谷部49,49の深さを浅くし、リングギア9bの水平方向両側に、各谷部49の下側の歯部48から上側の歯部48に亘って鉛直の接線方向にのびる第2の係合部たる1対の係合溝50,50を形成している。そして、両係合溝50,50にケース本体3aに固定されるピン形状の1対の固定部材51,51を係合させ、変速機ケース3に対しリングギア9bを軸方向に相対移動不能としている。 【0024】ケース本体3aの周壁部の下部両側には、スカート部3dの内側に隣接させて、前記接線方向に貫通する1対の挿入孔52,52が形成されており、前記両固定部材51,51をケース本体3aの周壁部の外面下方から両挿入孔52,52を通してケース本体3a内に挿入自在としている。そして、各固定部材51の先端部をケース本体3aの周壁部の上部両側に形成した前記接線方向の各凹孔53に嵌合させ、この状態で各固定部材51の基端のねじ部51aを各挿入孔52に螺合させて、各固定部材51をケース本体3aに両端支持状態で固定している。 【0025】尚、固定部材を係合溝50にケース本体3aの径方向から係合させることも可能であるが、本実施形態によれば、固定部材51が係合溝50にその長手方向たる接線方向に沿って係合するため、固定部材51とリングギア9bとの接触長さが長くなり、リングギア9bの倒れが有効に防止される。また、係合溝50には変速機ケース3内のオイルミストが入り込むため、固定部材51とリングギア9bとの接触部が良好に潤滑され、耐摩耗性も向上する。更に、固定部材51の挿入部がスカート部3dの内側に配置されるため、変速機ケース3の外形の張り出し量を最小にすることができる。 【0026】変速機の組立てに際しては、トルコンケース2を下にして、入力軸4、中間軸5及び出力軸6から成る軸部材の回りに、変速機用構成部材たるUDクラッチ7、ODクラッチ8、第1遊星歯車機構9、35Rクラッチ10、第2遊星歯車機構11、第2遊星歯車機構12及びワンウェイクラッチ17を軸方向に並べて順に組付け、図6にAで示す内蔵物のサブアッセンブリを組立てる。次に、26ブレーキ13用のリターンスプリング13bと操作スリーブ13cとディスク部13dとを組付けたケース本体3aを内蔵物サブアッセンブリAに上方から被せて、ケース本体3aに内蔵物サブアッセンブリAを収納する。 【0027】次に、26ブレーキ13用のアクチュエータ部13aをケース本体3a内に上方から落し込んだ後、LRブレーキ14とインナレース17aとを組付けたエンドピース3bを内部ボルト45でケース本体3aに締結する。次に、出力軸6にパーキングギア18を組付け、次いでエンドカバー3cを取付けた後、出力軸6に出力フランジ19を組付ける。 【0028】また、ケース本体3aに内蔵物サブアッセンブリAを収納した後、固定部材51をケース本体3a内に上記の如く挿入して、第1遊星歯車機構9のリングギア9bをケース本体3aに固定し、その後でケース本体3aのスカート部3cにオイルパン20を取付ける。 【0029】尚、リングギア9bをケース本体3aに対し固定するには、リングギア9bをケース本体3aにスプライン係合させた状態でリングギア9bをケース本体3aにスナップリングで軸方向に係止することも考えられるが、これでは上記の如く内蔵物サブアッセンブリAを組立てると、ケース本体3のトルコンケース2側の開放端から見て第1遊星歯車機構9の手前側に位置するUDクラッチ7やODクラッチ8が邪魔になってケース本体3a内にスナップリングを装着することができなくなり、そのため、ケース本体3a内に奥側から順に複数の変速機用構成部材を組付け、第1遊星歯車機構9を組付けたところでスナップリングを装着せざるを得なくなる。これに対し、本実施形態では、ケース本体3a内にその周壁部の外面から固定部材51を挿入することで第1遊星歯車機構9のリングギア9bを固定できるため、UDクラッチ7やODクラッチ8に邪魔されることなくリングギア9bの固定作業を行うことができる。従って、ケース外のオープンスペースにおいて内蔵物サブアッセンブリAを組立てておくことができ、変速機の組立作業性が向上する。 【0030】以上、リングギア9bを変速機ケース3に対する固定要素とする遊星歯車機構9を組込んだ変速機について説明したが、リングギア以外の要素、例えば、キャリアを変速機ケースに対する固定要素とする遊星歯車機構を組込んだ変速機にも同様に本発明を適用できる。 【0031】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、変速機ケースに固定すべき遊星歯車機構の要素を変速機ケースの周壁部外面からの作業で変速機ケースに固定でき、そのため、ケース外のオープンスペースにおいて、軸部材に遊星歯車機構を含む変速機用構成部材をサブアッセンブリしておくことができ、変速機の組立作業性が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月21日(1999.5.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060025 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 欣一 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−329202(P2000−329202A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−142092 |
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