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【発明の名称】 作業車
【発明者】 【氏名】森田 佐一郎

【氏名】辻田 正文

【氏名】藤木 勝美

【氏名】鬼木 隆夫

【氏名】広重 好一

【要約】 【課題】車速にあったハンドルの旋回性能が得られる作業車を提供すること。

【解決手段】運転部に、直進動力伝達系の回転速度を主・副変速操作する変速レバーと、旋回動力伝達系の回転速度を操作するハンドルとを設け、旋回動力伝達系には高低速切替機構を設けて、同高低速切替機構の高速切替動作を変速レバーの副変速操作に連動させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右一対のクローラ式の走行部(1,1) 間に車体フレーム(2)を介設し、同車体フレーム(2) 上に運転部(3) と原動機部(4) とミッション部(5) とを設けると共に、原動機部(4) に上記走行部(1,1) をミッション部(5) を介して連動連結して、同ミッション部(5) にて直進動力伝達系(M) と旋回動力伝達系(H) との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部(1,1) を個別に駆動すべく構成した作業車において、運転部(3) に、直進動力伝達系(M) の回転速度を主・副変速操作する変速レバー(49)と、旋回動力伝達系(H) の回転速度を操作するハンドル(42)とを設け、旋回動力伝達系(H) には高低速切替機構(121) を設けて、同高低速切替機構(121) の高速切替動作を変速レバー(49)の副変速操作に連動させたことを特徴とする作業車。
【請求項2】 左右一対のクローラ式の走行部(1,1) 間に車体フレーム(2)を介設し、同車体フレーム(2) 上に運転部(3) と原動機部(4) とミッション部(5) とを設けると共に、原動機部(4) に上記走行部(1,1) をミッション部(5) を介して連動連結して、同ミッション部(5) にて直進動力伝達系(M) と旋回動力伝達系(H) との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部(1,1) を個別に駆動すべく構成し、かつ、車体フレーム(2) の後端部には後装作業機を作業機昇降機構を介して昇降自在に連結した作業車において、旋回動力伝達系(H) の回転速度を増減速させる静油圧式無段変速装置(74)に圧油を供給するための作動油タンクと、作動機昇降機構(39)の昇降用シリンダ(36)に圧油を供給するための作動油タンクとを、ミッション部(5) のミッションケース(80)により共用し、かつ、昇降用シリンダ(36)の余剰油を静油圧式無段変速装置(74)の油圧回路に導入する閉回路(185) を形成したことを特徴とする請求項1記載の作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、作業車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、作業車の一形態として、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けると共に、原動機部に上記走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成し、かつ、車体フレームの後端部には後装作業機を作業機昇降機構を介して昇降自在に連結したものがある。
【0003】そして、直進動力伝達系の回転速度は、変速レバーにより操作可能とすると共に、旋回動力伝達系の回転速度は、ハンドルにより操作可能としている。
【0004】また、車体フレーム上には、旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる静油圧式無段変速装置に圧油を供給する作動油タンクと、作業機昇降機構の昇降用シリンダに圧油を供給するための作動油タンクとをそれぞれ別個に設けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した作業車では、ハンドルを回動させて旋回操作すると、旋回方向側の走行部が減速されることにより、本体が旋回操作方向に移動するが、高速(例えば、40km/h)で直進している状態で旋回操作した場合に、直進速度に比して旋回速度が低下するために、オペレータの操作フィーリングに違和感を与えることがあり、そのために、車速にあったハンドルの旋回性能(急な旋回)が求められている。
【0006】また、静油圧式無段変速装置と昇降用シリンダとにそれぞれ圧油を供給するための作動油タンクを別個に設けているために、これら作動油タンクを配置するためのスペースを必要として、本体のコンパクト化に支障となっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けると共に、原動機部に上記走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成した作業車において、運転部に、直進動力伝達系の回転速度を主・副変速操作する変速レバーと、旋回動力伝達系の回転速度を操作するハンドルとを設け、旋回動力伝達系には高低速切替機構を設けて、同高低速切替機構の高速切替動作を変速レバーの副変速操作に連動させたことを特徴とする作業車を提供せんとするものである。
【0008】また、本発明は、上記作業車において、旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる静油圧式無段変速装置に圧油を供給するための作動油タンクと、作動機昇降機構の昇降用シリンダに圧油を供給するための作動油タンクとを、ミッション部のミッションケースにより共用し、かつ、昇降用シリンダの余剰油を静油圧式無段変速装置の油圧回路に導入する閉回路を形成したことにも特徴を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0010】すなわち、本発明に係る作業車は、基本的構造として、左右一対のクローラ式の走行部間に車体フレームを介設し、同車体フレーム上に運転部と原動機部とミッション部とを設けると共に、原動機部に上記走行部をミッション部を介して連動連結して、同ミッション部にて直進動力伝達系と旋回動力伝達系との回転速度を合成して、この合成回転速度により左右の走行部を個別に駆動すべく構成している。
【0011】そして、特徴的構造として、運転部に、直進動力伝達系の回転速度を主・副変速操作する変速レバーと、旋回動力伝達系の回転速度を操作するハンドルとを設け、旋回動力伝達系には高低速切替機構を設けて、同高低速切替機構の高速切替動作を変速レバーの副変速操作に連動させている。
【0012】このようにして、高速走行状態において旋回した際には、旋回動力伝達系が増速されていることから、車体が急速に旋回して、車速にあった旋回性が得られ、オペレータの操作フィーリングを向上させることができる。
【0013】また、旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる静油圧式無段変速装置に圧油を供給するための作動油タンクと、作動機昇降機構の昇降用シリンダに圧油を供給するための作動油タンクとを、ミッション部のミッションケースにより共用し、かつ、昇降用シリンダの余剰油を静油圧式無段変速装置の油圧回路に導入する閉回路を形成している。
【0014】このようにして、作動油タンクを不要とすることができると共に、車体の旋回時(作業機の昇降は行わない)に静油圧式無段変速装置に供給するための作動油と、昇降用シリンダに供給するための作動油とを共用させて、適量の作動油を効率的に使用することができて、作動油タンクとして使用するミッションケースをコンパクトに形成することができる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0016】図1及び図2に示すAは、本発明に係る作業車であり、同作業車Aは、左右一対のクローラ式の走行部1,1間に車体フレーム2を介設し、同車体フレーム2上において、前部に運転部3を配設し、後部に原動機部4とミッション部5とを上下に重ねて配設すると共に、原動機部4に走行部1,1をミッション部5を介して連動連結している。
【0017】走行部1は、図3及び図4にも示すように、前後方向に伸延する走行フレーム10の前端部に前側従動輪11をアイドラホーク12を介して取付ける一方、後端部に後側従動輪13を支持ブラケット14を介して取付け、さらに、後述するミッション部5に駆動輪15を連動連結して、これら動輪11,13,15の廻りに履帯16を巻回しており、走行フレーム10の下側には、前後方向に間隔を開けて三個の転動輪18をそれぞれ転動輪支持ブラケット17を介して取付けている。11a は前側従動輪支軸、12a は前側従動輪進退位置調節具、13a は後側従動輪支軸、15a は駆動軸である。
【0018】ここで、前側従動輪11の回動支点である前側従動輪支軸11a は、前後方向に直状に伸延する走行フレーム10の下面よりも間隔H1だけ低位置に配置すると共に、後側従動輪13の回動支点である後側従動輪支軸13a は、走行フレーム10の下面よりも間隔H2だけ低位置に配置している。
【0019】このようにして、走行フレーム10の下面と履帯16の下側回動側部16d との間の間隔H3を大きく確保することができて、泥土等の堆積による詰まりを防止することができる。
【0020】従って、泥土等の詰まりにより履帯16の回動抵抗が大きくなるという不具合の発生や、履帯外れの原因となるという不具合の発生を防止することができる。
【0021】そして、駆動輪15は、図3に示すように、前・後側従動輪11,13 間の中心位置Cよりも後方位置に配設して、後側従動輪13寄りに配置している。
【0022】このようにして、前側従動輪11と駆動輪15との間に位置する履帯16の上側回動側部16c の前後幅が長尺となり、その結果、かかる上側回動側部16c が車体の振動により適度に振動して、同上側回動側部16c に付着した泥土等を振り落すことができ、泥土等が履帯に堆積するのを防止することができる。
【0023】従って、堆積泥土による履帯外れを防止することができる。
【0024】しかも、側面視にて三角形状に巻回される履帯16の前部側を鋭角に形成することができる。
【0025】従って、軟弱地において、最低地上高と略同じ高さまで盛上がった土がある場合にも、この盛上った土に対してもスムーズに突入さらには突進することができて、走行性能、作業性能の向上が図れる。
【0026】また、駆動輪15の中心を通る仮想垂直線V1と、後側従動輪13の中心を通る仮想垂直線V2との間に、少くとも一個の転動輪18を配置している。
【0027】このようにして、作業車Aの後方に作業機を連結した際に、作業車Aの全体の重心位置が後方へ移動して、走行部1の後部に大きな荷重が作用することになった場合にも、駆動輪15と後側従動輪13との間に配置した転動輪18を介して履帯16により接地荷重が確実に支持されて、走行部1の後部が大きく地面に沈み込むのを防止することができ、その結果、作業時の走行性能を良好に確保することができる。
【0028】また、履帯16は、各動輪11,13,15の内側方に位置する内側履帯形成部16a の左右幅W1よりも、各動輪11,13,15の外側方に位置する外側履帯形成部16b の左右幅W2を広幅に形成している。
【0029】このようにして、左右一対の履帯16,16 の内側端縁間の間隔W3を、左右一対の走行フレーム10,10 の間隔を変更することなく、可及的に広幅に設定することができて、畝U等をくずすことなく跨いで走行することができる。
【0030】しかも、履帯16の接地幅を大きく確保することができるために、湿田走行性能を向上させることができる。
【0031】また、履帯16の上側回動側部16c は、前側従動輪11と駆動輪15との間では前下方へ向けて傾斜状となして、同上側回動側部16c の上方位置に、後述する運転部3に設けた各種操作レバーと、同各種操作レバーとミッション部5との間に介設する連動連結機構( 図示せず)とを配設するための配設空間Sを形成している。
【0032】このようにして、左右一対の走行部1,1の間隔を可及的に小さくして車体を小型化する一方、配設空間S,S内において、各種操作レバーをオペレータの操作し易い位置に配置すると共に、同各種操作レバーとミッション部5との間に介設した連動連結機構を自由に配置することができて、車体のコンパクト化と操作性の良好な確保とを同時に図ることができる。
【0033】さらに、前側従動輪11は、後側従動輪13よりも地上高が高くなるように配置して、前側従動輪11の下側を回動する履帯16の下側回動側部16d の前部に一定角度の離床角θを形成している。
【0034】このようにして、硬質地においては、履帯16の接地長が小さくなり、旋回抵抗が小さくなって、車体を旋回させ易くなる。従って、作業性能の向上が図れる。
【0035】また、走行フレーム10の下方に設けた転動輪18は、同転動輪18の上端面と走行フレーム10の下面との間の間隔H4よりも、駆動輪15の下端面と走行フレーム10の上面との間の間隔H5を大きくしている。
【0036】このようにして、走行フレーム10の上面に泥土等がある程度堆積したとしても、その堆積土を駆動輪15が噛み込むことがなく、その結果、堆積土が走行負荷として作用することがない。従って、走行部1の走行性を良好に確保することができる。
【0037】車体フレーム2は、図1、図2及び図4に示すように、前後方向に伸延する左右一対の走行フレーム10,10 の前・後部間に、それぞれ左右方向に伸延する前後一対の左右連結フレーム20,21 を横架し、前側の左右連結フレーム20の前壁に左右一対のフロントフレーム22,22 の下端部を取付けて、両フロントフレーム22,22 を前上方へ向けて立上げ、両フロントフレーム22,22 の上端間に、左右方向に伸延する横フレーム23を横架し、同横フレーム23の中央部に左右一対の座席枢支用ブラケット24,24 を上方へ向けて突設する一方、後側の左右連結フレーム21に左右一対のリヤフレーム25,25 の下端部を前後方向に貫通させて固設して、両リヤフレーム25,25 の上端と上記横フレーム23の左右側端部との間に、前・後側横フレーム形成体26a,26c と左右側横フレーム形成体26b,26b とにより平面視にて矩形枠状に形成したガードフレーム26を横架して形成している。27はガードフレームステーである。
【0038】そして、前側の左右連結フレーム20の前壁中央部より載置台28を前方に張出し状に突設して、同載置台28上にバッテリー29と燃料タンク30を載置しており、これらバッテリー29と燃料タンク30とこれらの後方に配置したミッション部5とを、左右一対の走行フレーム10,10 間において、前後方向に伸延する略同仮想直線X上に配置している。
【0039】このようにして、ミッション部5の側方に操作部材や連動連結機構等を配設する配設空間Sを確保することができると共に、車体の左右幅を可及的に小さくして、車体のコンパクト化が図れる。
【0040】また、前側の左右連結フレーム20の後側中央部にはミッション部5の前端部を支持する前側支柱31を立設している。
【0041】後側の左右連結フレーム21の中央部には、原動機部4を支持する左右一対の原動機部支柱32,32 を立設している。
【0042】左右一対のリヤフレーム25,25 の中途部間には、左右方向に伸延するPTO軸ケース33を横架し、同PTO軸ケース33中にはPTO軸34を回動自在に挿通する一方、PTO軸ケース33の中央部外周面には昇降リンク35の前端部を枢支して、同昇降リンク35をPTO軸34の軸芯廻りに上下回動自在となし、同昇降リンク35の中途部と、前記ガードフレーム26の後側横フレーム形成体26c の中央部との間には、昇降用シリンダ36を介設して、同昇降用シリンダ36により昇降リンク35の後端部を昇降可能となし、同昇降リンク35の後端部には、各種作業機を連結するためのヒッチ体37を取付けて、作業機昇降機構39を構成している。38はサイドカバー体である。
【0043】このようにして、構造簡易にして、確実にPTO軸ケース33を支持することができる。
【0044】しかも、車体機枠の構造の簡易化により車体の軽量化も図れる。
【0045】さらに、PTO軸ケース33にヒッチ体37を取付けているために、同ヒッチ体37を介して作業機を取付けることができる。
【0046】そして、作業機の荷重は、ヒッチ体37→PTO軸ケース33→リヤフレーム25,25 →左右連結フレーム20→左右側走行フレーム10,10 に均等に分散されて、作業機を昇降させた場合にも、車体の前部と後部の上下方向の揺れを少なくすることができる。
【0047】運転部3は、図1に示すように、ガードフレーム26の前半部に床部180 を張設して、同床部180 の前部にハンドルコラム40を立設し、同ハンドルコラム40中に上下方向に伸延するハンドル支軸41を挿通して、同ハンドル支軸41の上端に、回動式のハンドル(ステアリングホイール)42を取付けると共に、ハンドル支軸41の下端部と後述するミッション部5とをカム機構43を介して連動連結し、また、ハンドルコラム40の左側壁下部には、前後進切替レバー44を取付けて、同前後進切替レバー44と、後述するミッション部5に設けた前後進切替アーム162 とを、連結ロッド機構45を介して連動連結し、また、床部の前部にブレーキペダル46を取付け、同ブレーキペダル46と、後述するミッション部5に設けたブレーキ操作用アーム166 とを、連動ワイヤ47を介して連動連結している。
【0048】そして、ハンドル42の後方位置に、座席48を前記座席枢支用ブラケット24,24を介して取付け、同座席48の左右側方に各種操作レバーを配設している。
【0049】すなわち、座席48の左側方に変速レバー49を配設して同変速レバー49を、後述するミッション部5内に設けた主変速部97と副変速部104 とに連動連結機構を介して連動連結すると共に、右側方に作業機昇降レバー50と油圧ロックレバー51と耕深調節レバー52とを前後方向に間隔を開けて配設して、これらレバー50,51,52を、前記昇降用シリンダ36を制御するバルブ機構( 図示せず)に連動連結機構を介して連動連結し、さらに、作業機昇降レバー50の外側方にPTO軸クラッチレバー53を配設して、同PTO軸クラッチレバー53を後述する第2伝動ベルト機構145 のテンションアーム150 に連動連結している。
【0050】ここで、運転部3の座席48は、側面視において、駆動輪15と前側従動輪11との間で、かつ、これら駆動輪15と前側従動輪11との間に位置する履帯16の上側回動側部16c よりも上方位置に配置している。
【0051】このようにして、座席48に着座したオペレータの目の地上高を高くすることができて、同オペレータの前方視界性を良好に確保することができ、作業能率や安全性を向上させることができる。
【0052】原動機部4は、エンジン76と、同エンジン76の近傍に配設したラジエータやエアクリーナ等(図示せず)を具備している。
【0053】ミッション部5は、図1及び図2に示すように、前側の左右連結フレーム20の後側中央部に立設した前側支柱31と、左右側の走行フレーム10,10 の後部に立設した左右一対の後側支柱77,77 との間に架設しており、同ミッション部5の左側にはチェンケース78を連動連結する一方、右側には旋回用の静油圧式無段変速装置(以下「HST」という)74を連動連設している。
【0054】ここで、左右一対の後側支柱77,77 は、図3及び図5に示すように、駆動輪15,15 を支持する支持部材としても機能しており、同後側支柱77,77 は、後側の左右連結フレーム21の前面に当接する前面当接部77a,77a と、同左右連結フレーム21の上面に当接する上面当接部77b,77b とを具備して、同左右連結フレーム21と一体的に形成している。
【0055】このようにして、ミッション部5、さらには、駆動輪15,15 の支持構造を強固にすることができて、走行部1,1の走行性を良好に確保することができる。
【0056】そして、ミッション部5は、図6〜図9に示すように、ミッションケース80の内部に第1〜第9軸81〜89を平行に軸支し、第1軸81の中途部に前進用クラッチ90a の入力側を嵌着し、同第1軸81の端部を第1噛合歯車91を介して、第2軸82の中途部に遊嵌した後進用クラッチ90b の入力側と、作業機昇降用油圧ポンプPとに連動連結し、第2噛合歯車93を介して上記前進用クラッチ90a の出力側と、後進用クラッチ90b の出力側たる第2軸82とを第3軸83に連動連結して、前・後進用クラッチ90a,90b の動力伝達を排他的に選択可能に構成して、駆動方向の前後進切換を可能としている。80a は駆動軸ケース、92は油圧ポンプ入力軸である。
【0057】ここで、前・後進用クラッチ90a,90b は、ミッションケース80内の前部に横架したシフタ支軸160 に、クラッチ入切用シフタ161 を取付けると共に、同クラッチ入切用シフタ161 は、シフタ支軸160 の一方向の回動に連動して前進用クラッチ90a が接続すると共に後進用クラッチ90b が切断し、また他方向の回動に連動して前進用クラッチ90a が切断すると共に後進用クラッチ90b が接続して、前・後進の切替えが行なえるようにしている。
【0058】そして、シフタ支軸160 の左側端部には前・後進切替アーム162 を取付けて、同前・後進切替アーム162 に前後進切替レバー44を連結ロッド機構45を介して連動連結している。
【0059】また、上記第3軸83は、HST74の入力軸74a に連動連結すると共に、第3噛合歯車96を介して主変速部97の入力軸たる第4軸84に連動連結しており、同第4軸84に、両端のドッグ98,98 と中央部の第2速原動歯車99とを一体に形成したスライダ100 を軸方向摺動自在・回動不可に嵌合する一方、同第4軸84と主変速部97の出力軸たる第5軸85との間に、常時噛合式の第1・第3速噛合歯車101,102を介設し、第5軸85に摺動噛合式の第2速受動歯車103 を嵌着して、スライダ100 の摺動により主変速部97の出力回転速度を3段階に切換可能としている。
【0060】上記主変速部97には副変速部104 が直列的に連動連結しており、同副変速部104 は、上記第5軸85と副変速部104 の出力軸たる第6軸86との間に高低速噛合歯車105,106 を介設し、第6軸86に軸方向摺動自在・回動不可に嵌合したスライダ107 の摺動により、副変速部104 の出力回転速度を中立を挟んで高低速2段階に変速可能としている。
【0061】このように、前・後進用クラッチ90a,90b と、3段変速の主変速部97と、2段変速の副変速部104 とを直列的に連動連結しているので、最終的には、前後進各6段階の変速操作が可能である。
【0062】上記第6軸86は、チエン連動機構108 を介して第7軸87に連動連結しており、同第7軸87の左右端部にそれぞれ嵌着した左右サンギヤ110,111 と、第7軸87と軸線を同一にして配置した左右駆動軸15a,15a に連結した左右ケージ112,113 と、同左右ケージ112,113 にそれぞれ軸着した複数の左右遊星ギヤ114,115 と、前記HST74の出力軸74b に連動連結した左右リングギヤ116,117 とで左右遊星歯車機構118,119 を構成し、同左右遊星歯車機構118,119 にて、前記した歯車式変速機や噛合歯車等で構成したメカニカルな直進動力伝達系Mにより、左右サンギヤ110,111 に伝達された回転動力と、後述する旋回動力伝達系HのHST74から左右リングギヤ116,117 に伝達された回転動力とをそれぞれ合成し、これらの合成回転動力を左右遊星ギヤ114,115 と左右ケージ112,113 とを介して、左右駆動軸15a,15a に嵌着した左右側駆動輪15,15 に個別に伝達するようにしている。
【0063】ここで、第6軸86の左側端部には停車用ブレーキ部165 を設けて、同停車用ブレーキ部165 に取付けたブレーキ操作用アーム166 に前記ブレーキペダル46を連動ワイヤ47を介して連動連結している。
【0064】上記HST74の出力軸74b には、同出力軸74b の回転速度を左右リングギヤ116,117 に相補的に伝達する正逆回転分割機構120 を、旋回用ブレーキ部72の下流側に位置させて連動連結しており、同正逆回転分割機構120 は、HST74の出力軸74b に高低速切替機構121 を介して第8軸88を連動連結し、同第8軸88を第1中間出力ギヤ171 と、同第1中間出力ギヤ171 に噛合した第2中間入力軸122 とを介して第9軸89に連動連結し、第9軸89の左右端部にそれぞれ左右出力ギヤ123,124 を嵌着し、左出力ギヤ123 と左リングギヤ116 とを、直列的に配置した2個のアイドルギヤ(図示せず)を介して連動連結し、右出力ギヤ124 と右リングギヤ117 とを、1個のアイドルギヤ79を介して連動連結して、回転速度の絶対値は等しいが、左リングギヤ116 には第9軸89と同一方向の回転を伝達する一方、右リングギヤ117 には第9軸89とは反対方向の回転を伝達するようにしている。
【0065】そして、ミッション部5の入力軸たる第1軸81の一端を上記ミッションケース80の左側壁から突出させ、同突出端に前記チェンケース78の下端部を連動連結し、同チェンケース78を上方へ伸延させて、同チェンケース78の上端部とエンジン76の駆動軸76a とを第1伝動ベルト機構125 を介して連動連結する一方、前記ハンドル42をHST74のトラニオンアーム75にカム機構43を介して連動連結して、同ハンドル42の回動操作角に応じて、HST74の変速比を正逆無段階に変更することができるようにしている。126 は主変速部97のシフタ、127 は副変速部104のシフタ、128 は外部前方に動力を取出すためのフロントPTO軸ケースである。
【0066】ここで、旋回用ブレーキ部72について説明すると、同旋回用ブレーキ部72は、図8に示すように、HST74の出力軸74b に、高低速切替機構121 の一部を形成する筒状入力軸130 をスプライン嵌合し、同筒状入力軸130 とミッションケース80との間に湿式多板式ブレーキ131 を介設し、同湿式多板式ブレーキ131 の近傍に軸状の作用片132 を配設して、同作用片132 をその軸線廻りに回動させることにより、湿式多板式ブレーキ131 を筒状入力軸130 の軸線方向に摺動させてブレーキ制動作用させることができるようにしており、同作用片132 の下端は、ミッションケース80の下部より外方へ突出させて、同突出端に前記ブレーキ操作アーム73を取付けて、同ブレーキ操作アーム73にハンドル42を、ハンドル支軸41とカム機構43とを介して連動連結している。
【0067】また、高低速切替機構121 は、筒状入力軸130 に低速側出力ギヤ133 と高速側出力ギヤ134 とを取付ける一方、筒状入力軸130 に近接させて高低速切替軸135を横架し、同高低速切替軸135 に、前記低速側出力ギヤ133 と噛合する低速側入力ギヤ136 と、前記高速側出力ギヤ134 と噛合する高速側入力ギヤ137 とを遊嵌し、かつ、両入力ギヤ136,137 の間にスライダ138 を軸方向摺動自在・回動不可に嵌合して、同スライダ138 により高低速切替機構121 の出力回転速度を中立位置を挾んで高低速2段階に変速可能としている。
【0068】そして、高低速切替軸135 には、出力ギヤ139 を取付け、同出力ギヤ139 を第8軸88に取付けた入力軸170 に噛合させている。
【0069】しかも、高低速切替機構121 は、変速レバー49の副変速操作に連動して、高速側に切替えがなされるようにしている。
【0070】このようにして、ハンドル42を左右操向中立位置にしておくだけで、旋回用ブレーキ部72によりHST74の出力軸74b をブレーキ制動させて、旋回動力伝達系Hを停止状態となすことができる。その結果、直進動力伝達系Mだけが作動可能となって、同直進動力伝達系Mにより車体の直進性を良好に確保することができる。
【0071】そして、旋回用ブレーキ部72を、旋回動力伝達系Hの上流側に設けたHST74の出力軸74b に設けているために、小さなトルクで直接的に出力軸74b をブレーキ制動させることができ、旋回用ブレーキ部72の容量を小さくしても、旋回動力伝達系Hの動力伝達を確実に停止させることができる。
【0072】また、ハンドル42を左右操向中立位置から左右いずれか一方向に回転させることにより、旋回用ブレーキ部72のブレーキ制動が解除されて、車体をその回転方向側に旋回させることができる。
【0073】従って、車体の操向操作性、特に直進操作性を向上させることができる。
【0074】しかも、旋回用ブレーキ部72は、湿式多板式ブレーキ131 を使用しているために、旋回用ブレーキ部72の軸線方向の幅をコンパクト化することができて、ミッションケース80内に何の支障もなく配設することができる。
【0075】上記のような構成により、エンジン76からの動力を前後6段階に変速して左右側走行部1,1に伝達すると共に、ハンドル42の操作角度に応じてHST74の出力回転速度を変更し、左右側走行部1,1の駆動速度を異ならせて、駆動速度が遅くなった方向に作業車Aを旋回させることができる。
【0076】この際、変速レバー49を副変速操作されていると、高低速切替機構121 が、それに連動して高速側に切替わっているために、かかる高速走行状態において、ハンドル42を旋回操作した場合には、旋回動力伝達系Hが増速されて、車体が急速に旋回して、車速にあった旋回性が得られ、オペレータの操作フィーリングを向上させることができる。
【0077】また、本実施例では、上記HST74の入力軸74a を後進用クラッチ90b の出力側に連動連結しているので、ハンドル42を操作しなくても、前後進用クラッチ90a,90b の切換と同時にHST74の出力回転方向が切り換わり、ハンドル42の操作方向と作業車Aの旋回方向とが一定の関係を保持し、ホイルタイプの車両の操向操作と略同様の感覚で、旋回操作を行うことができる。
【0078】チェンケース78は、図1及び図7〜図9に示すように、ケース本体78a を上下方向に伸延させて形成し、同ケース本体78a の上部に伝動入力軸78b を設け、同伝動入力軸78b と前記ミッション部5の第1軸81の一端との間に伝動チェン78cをスプロケット78d,78e を介して巻回している。
【0079】そして、チェンケース78は、図1及び図2に示すように、左側走行部1の履帯16の内側方において、伝動入力軸78b が履帯16の上側回動側部16c 、さらには、駆動輪15よりも上方に位置すべく形成しており、同伝動入力軸78b は、一端をケース本体78a より右側方へ突出させて、同一端とエンジン76の駆動軸76a との間に第1伝動ベルト機構125 を介設している。
【0080】すなわち、第1伝動ベルト機構125 は、図1及び図7〜図9に示すように、エンジン76の駆動軸76a と伝動入力軸78b との間に、第1伝動ベルト140 をプーリ141,142 を介し巻回しており、同第1伝動ベルト140 にはテンションローラ143をテンションアーム144 を介して圧接させて、同第1伝動ベルト140 をテンションローラ143 により緊張させるテンション部材としてのテンション体153 を形成している。
【0081】そして、テンション体153 は、テンションローラ143 を第1伝動ベルト140 の前側回動部140a(緩み側)に圧接させている。
【0082】このようにして、履帯16の上側回動側部16c より離隔する前側回動部140aにテンションローラ143 を当てることにより、テンション体153 への泥土等の飛散・付着を防止している。
【0083】また、エンジン76の駆動軸76a と前記PTO軸34の左側端部との間には、第2伝動ベルト機構145 を介設している。
【0084】すなわち、第2伝動ベルト機構145 は、図1に示すように、エンジン76の駆動軸76a とPTO軸34の左側端部との間に、第2伝動ベルト146 をプーリ147,148を介して巻回しており、同第2伝動ベルト146 にはテンションローラ149 をテンションアーム150 を介して進退自在となして、同第2伝動ベルト146 をテンションローラ149 により緊張・弛緩させるテンション部材としてのテンションクラッチ154 を形成している。
【0085】そして、テンションクラッチ154 の前方に配設した運転部3に、クラッチ操作手段としてのPTO軸クラッチレバー53を配設して、同PTO軸クラッチレバー53にテンションアーム150 を連結リンク機構(図示せず)を介して連動連結して、同テンションアーム150 に取付けたテンションローラ149 を第2伝動ベルト146 の前側回動部146a(弛み側)に対して進退させるべく構成している。
【0086】このようにして、PTO軸クラッチレバー53に近い方の前側回動部146aにテンションローラ149 を当てることにより、連結リンク機構の構造を簡易にすると共に、同連結リンク機構の伝動精度を良好に確保することができる。
【0087】しかも、履帯16の上側回動側部16c よりも上方位置にテンションクラッチ154を配設しているために、同テンションクラッチ154 への泥土等の飛散・付着を防止することができる。
【0088】ここで、エンジン76の駆動軸76a は、図1に示す側面視にて、左側駆動輪15の上方に配置して、上記駆動軸76a に第1・第2伝動ベルト機構125,145 の入力端側を同軸的に連動連結し、かつ、両伝動ベルト機構125,145 の出力端側は、履帯16の上側回動側部16c の上方位置にて、両伝動ベルト機構125,145 を駆動軸76aを中心にそれぞれ前後方向に振り分け状に配置している。
【0089】しかも、両伝動ベルト機構125,145 の両伝動ベルト140,146 は、平面視にて、履帯16よりも内側方に配置している。
【0090】このようにして、第1・第2伝動ベルト機構125,145 の各伝動ベルト140,146の着脱やメンテナンスを行なう際に、履帯16が支障とならず、これらの作業を円滑かつ確実に行なうことができる。
【0091】しかも、第1・第2伝動ベルト機構125,145 は、それぞれ履帯16の上側回動側部16c よりも上方に配設しているために、同上側回動側部16c に付着した泥土等が飛散状態にて落下しても、この泥土等が付着することがなく、この点からもメンテナンスが楽になる。
【0092】図9中、Bは後装作業機としての耕耘機、190 は伝動機構、191 は連動機構、192 は耕耘機、193 は耕耘爪である。
【0093】また、本実施例では、図10に示すように、旋回動力伝達系Hの回転速度を増減速させるHST74に圧油を供給するための作動油タンクと、作動機昇降機構39の昇降用シリンダ36に圧油を供給するための作動油タンクとを、ミッション部5のミッションケース80により共用し、かつ、昇降用シリンダ36の余剰油をHST74の油圧回路184 に導入する閉回路185 を形成している。
【0094】ここで、186 は昇降制御用バルブであり、同昇降制御用バルブ186 は、急上昇切替位置(a) と緩上昇切替位置(b) と中立位置(c) を緩下降切替位置(d) と急下降切替位置(e) とを具備している。187 は油圧ロックバルブ、188 はチェックバルブ、189 はリリーフバルブである。
【0095】このようにして、作動油タンクを不要とすることができると共に、車体の旋回時(作業機の昇降は行わない)にHST74に供給するための作動油と、昇降用シリンダ36に供給するための作動油とを共用させて、適量の作動油を効率的に使用することができて、作動油タンクとして使用するミッションケース80をコンパクトに形成することができる。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0097】■ 請求項1記載の本発明では、運転部に、直進動力伝達系の回転速度を主・副変速操作する変速レバーと、旋回動力伝達系の回転速度を操作するハンドルとを設け、旋回動力伝達系には高低速切替機構を設けて、同高低速切替機構の高速切替動作を変速レバーの副変速操作に連動させているために、高速走行状態において旋回した際には、旋回動力伝達系が増速されていることから、車体が急速に旋回して、車速にあった旋回性が得られ、オペレータの操作フィーリングを向上させることができる。
【0098】■ 請求項2記載の本発明では、旋回動力伝達系の回転速度を増減速させる静油圧式無段変速装置に圧油を供給するための作動油タンクと、作動機昇降機構の昇降用シリンダに圧油を供給するための作動油タンクとを、ミッション部のミッションケースにより共用し、かつ、昇降用シリンダの余剰油を静油圧式無段変速装置の油圧回路に導入する閉回路を形成しているために、作動油タンクを不要とすることができると共に、車体の旋回時(作業機の昇降は行わない)に静油圧式無段変速装置に供給するための作動油と、昇降用シリンダに供給するための作動油とを共用させて、適量の作動油を効率的に使用することができて、作動油タンクとして使用するミッションケースをコンパクトに形成することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成11年4月19日(1999.4.19)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2000−304129(P2000−304129A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−111413