| 【発明の名称】 |
作業車両の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 哲
【氏名】植松 弘治
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| 【要約】 |
【課題】車体負荷の大小に拘らず、変速ショックが小さく、変速時間が略一定の操作感覚のよい変速操作性をもつ作業車両の変速制御装置を提供する。
【解決手段】車体負荷の大きさに応じて変速後クラッチのクラッチ油圧が立ち上がって係合が完了するまでの係合時間が略一定となるように、クラッチ油圧立ち上げ勾配を設定し、設定した勾配に基づいて電磁比例制御弁に指令を出力するモジュレーション制御部を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の油圧クラッチの係合と離脱、及び複数ギアの組み合わせにより速度段に応じて変速するトランスミッションと、オペレータのアクセルの操作量をアクセル開度として検出するアクセル開度検出器と、トランスミッションの出力軸回転速度を検出するトランスミッション出力軸回転速度検出器と、トランスミッションの速度段に応じて各油圧クラッチに所定の油圧を供給する電磁比例制御弁と、アクセル開度とトランスミッション出力軸回転速度に基づいて設定されている変速線図に基づいて速度段を決定し、決定した速度段に対応する一定勾配値のクラッチ油圧立ち上げ勾配の指令信号を出力する速度段判断部、及び指令信号を入力して電磁比例制御弁を駆動する電磁弁信号出力部を有するトランスミッションコントローラとを備えた作業車両の変速制御装置において、アクセル開度に基づいてエンジン出力トルクを演算するエンジン出力トルク演算部を設け、トランスミッションコントローラは、車体負荷を検出し、速度段判断部の変速線図に基づいて決定された変速後クラッチのクラッチ油圧が立ち上がって係合が完了するまでの係合時間が略一定となるように、検出した車体負荷の大きさに応じて、電磁比例制御弁に出力する指令信号のクラッチ油圧立ち上げ勾配を設定し、設定した勾配に基づく指令信号を、電磁弁信号出力部を介して電磁比例制御弁に出力するモジュレーション制御部を備えたことを特徴とする作業車両の変速制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の作業車両の変速制御装置において、トランスミッションの入力軸回転速度を検出するトランスミッション入力軸回転速度検出器を付設し、モジュレーション制御部はさらに、変速後速度段に対応するクラッチの油圧を立ち上げ中に、トランスミッション入力軸回転速度とトランスミッション出力軸回転速度の変速後速度段における入力軸換算回転速度との差の絶対値が所定の閾値より小さくなったとき、クラッチ油圧の立ち上げ勾配を、変速開始時に設定していた立ち上げ勾配より大きい所定の勾配に変更する指令を電磁比例制御弁に電磁弁信号出力部を介して出力することを特徴とする作業車両の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作業車両の変速制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】作業車両としてのダンプトラックは、重負荷を積載し、発進、停止、登坂及び降坂を繰り返すため多段の変速段をもつトランスミッションが使用され、多段であるためオペレータの操作性を考慮して自動変速制御装置を有している。トランスミッションの内部には複数の油圧式のクラッチが設けられていて、それぞれのクラッチへの油圧を入り切りし、油圧がかけられているクラッチとかけられていないクラッチの組み合わせで速度段が設定されている。変速の開始を判断するトランスミッション出力軸回転速度と変速後の速度段は、アクセル開度とトランスミッション出力軸回転速度に基づいて予め設定されている変速線図により決定され、対応する速度段のクラッチの油圧を制御する電磁比例制御弁に指令を出力して変速する。以上説明した作業車両の自動変速制御装置におけるクラッチ油圧Pcの典型的な時間的な変化の例を図5に示す。最大積載時と空荷時の場合のクラッチ係合時間を説明する。変速開始時の時間tをゼロとすると、時間tがゼロのとき、変速が決定されると、変速前の速度段に対応する変速前クラッチの油圧(図示せず)をゼロにする。また、時間tのゼロ時点から変速後の速度段に対応する変速後クラッチに油が供給され始め、クラッチ室に油が充満するまでにフィリングタイムTfがかかる。油が充満した後、クラッチ油圧は所定の勾配で立ち上がり、所定の最大油圧Pmまで大きくなる。ここで、上記所定の勾配は、最大積載時、急勾配路走行時又は泥濘時走行時等の重負荷時を考慮して、変速後クラッチが係合するまでの時間、即ち変速後クラッチが滑っている時間Ttがクラッチの耐久性の確保できる範囲内にあり、かつ小さい変速ショックが得られるように決定されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように決定されたクラッチ油圧の所定の勾配では、以下のような問題がある。通常、クラッチへの負荷を表す車体負荷が空荷時のように小さいときは、小さい油圧でクラッチが係合する。このため、車体負荷が小さいときにはクラッチ油圧の立ち上げ勾配が大き過ぎるので、変速後クラッチの滑っている時間Tkが最大積載時の変速後クラッチの滑っている時間Ttより小さく、短時間で係合してしまう。したがって、トランスミッションの出力軸の時間当たりの回転変化が大きくなり、変速ショックが大きいという問題がある。また、積荷の重量及び走行路の勾配等の負荷変動により、変速の完了する時間が一定しないため変速操作性がよくないという問題もある。 【0004】本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、車体負荷の大小に拘らず、変速ショックが小さく、変速時間が略一定の操作感覚のよい変速操作性をもつ作業車両の変速制御装置を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目的を達成するために、第1発明に記載の発明は、複数の油圧クラッチの係合と離脱、及び複数ギアの組み合わせにより速度段に応じて変速するトランスミッションと、オペレータのアクセルの操作量をアクセル開度として検出するアクセル開度検出器と、トランスミッションの出力軸回転速度を検出するトランスミッション出力軸回転速度検出器と、トランスミッションの速度段に応じて各油圧クラッチに所定の油圧を供給する電磁比例制御弁と、アクセル開度とトランスミッション出力軸回転速度に基づいて設定されている変速線図に基づいて速度段を決定し、決定した速度段に対応する一定勾配値のクラッチ油圧立ち上げ勾配の指令信号を出力する速度段判断部、及び指令信号を入力して電磁比例制御弁を駆動する電磁弁信号出力部を有するトランスミッションコントローラとを備えた作業車両の変速制御装置において、アクセル開度に基づいてエンジン出力トルクを演算するエンジン出力トルク演算部を設け、トランスミッションコントローラは、車体負荷を検出し、変速線図に基づいて決定された変速後クラッチのクラッチ油圧が立ち上がって係合が完了するまでの係合時間が略一定となるように、検出した車体負荷の大きさに応じて、電磁比例制御弁に出力する指令信号のクラッチ油圧立ち上げ勾配を設定し、設定した勾配に基づく指令信号を、電磁弁信号出力部を介して電磁比例制御弁に出力するモジュレーション制御部を備えた構成としている。 【0006】第1発明に記載の発明によると、車体負荷の変動があっても、車体負荷の大きさに応じて係合時間が略一定となるように設定されたクラッチ油圧の立ち上げ勾配によって油圧が立ち上がるので、常に等しい係合時間でクラッチが係合する。これにより、車体負荷が小さいときでも、短時間でクラッチが係合することがないため、車体負荷の大小に拘らず変速ショックの小さい変速制御装置を得ることができる。 【0007】第2発明に記載の発明は、第1発明に基づいて、トランスミッションの入力軸回転速度を検出するトランスミッション入力軸回転速度検出器を付設し、モジュレーション制御部はさらに、変速後速度段に対応するクラッチの油圧を立ち上げ中に、トランスミッション入力軸回転速度とトランスミッション出力軸回転速度の変速後速度段における入力軸換算回転速度との差の絶対値が所定の閾値より小さくなったとき、クラッチ油圧の立ち上げ勾配を、変速開始時に設定していた立ち上げ勾配より大きい所定の勾配に変更する指令を電磁比例制御弁に電磁弁信号出力部を介して出力する構成としている。 【0008】第2発明に記載の発明によると、トランスミッション入力軸回転速度とトランスミッション出力軸回転速度の変速後速度段における入力軸換算回転速度との差の絶対値が所定の入力軸換算相対速度閾値より小さいと判断されると、クラッチの係合が完了したと見做し、それまで設定していた勾配から、より勾配の大きい所定の勾配に変更し、クラッチ油圧を急激に増加させ、クラッチ油圧が所定の最大油圧に到達して変速が完全に完了する。クラッチが係合完了した後から所定の最大油圧に到達するまでの時間は、所定の油圧立ち上げ勾配が十分大きいため、車体負荷の大小に拘らず略等しい。通常、変速が開始されてクラッチ油圧が立ち上がり始めるまでのクラッチ室への油の充満に必要な時間は各クラッチで略等しい。また第1発明により、クラッチ油圧が立ち上がり始めてからクラッチが係合完了までの時間は略等しいので、変速開始時から完全に変速が完了するまでの時間が略等しくなり、よって車体負荷の大小に拘らず常に略一定の変速時間が得られる。このため、操作感覚のよい変速制御装置を得ることができる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。図1にハード構成ブロック図を示す。エンジン11の出力軸23には、クラッチ油圧の入り切りにより複数の図示しないクラッチを連結または開放して速度段を選ぶトランスミッション12がトルクコンバータ13を介して装着されている。トランスミッション12の出力軸には、駆動輪である後輪22がトランスミッション以降の減速機(図示せず)を介して装着されている。トランスミッション12の所定の箇所には各速度段を選ぶ前記複数のクラッチに所定の油圧をそれぞれ供給する複数の電磁比例制御弁16(以下、各クラッチ毎の電磁比例制御弁を総称して電磁弁16と呼ぶ)が取着されている。オペレータの足元には、オペレータが操作するアクセルペダル20が設けられている。 【0010】検出器としては、トランスミッション出力軸回転速度No(以下、出力速度Noと呼ぶ)を計測するトランスミッション出力軸回転速度検出器18(以下、出力速度検出器18と呼ぶ)がトランスミッション出力軸の周囲近傍に取着されている。また、トランスミッション入力軸回転速度Ni(以下、入力速度Niと呼ぶ)を計測するトランスミッション入力軸回転速度検出器17(以下、入力速度検出器17と呼ぶ)がトランスミッション入力軸の周囲近傍に取着されている。アクセルペダル20の下方にはアクセルペダル操作量(以後、アクセル開度Acと呼ぶ)を検出するアクセル開度検出器21が設けられている。 【0011】コントローラとして、トランスミッションコントローラ40と、燃料噴射量を制御するエンジンコントローラ60とを有している。トランスミッションコントローラ40は、速度段判断部41と、電磁弁信号出力部42と、モジュレーション制御部50とを有している。ここで、速度段判断部41はアクセル開度Ac及び出力速度Noに基づいた変速線図により速度段を決定する。電磁弁信号出力部42は、設定された速度段に対応するクラッチの油圧勾配を、クラッチへの負荷を表す車体負荷が変化しても一定の勾配値に設定する電磁弁信号Spを電磁弁16へ出力する。モジュレーション制御部50はクラッチ油圧の立ち上げ勾配と立ち上げ時期を車体負荷に応じて制御する。速度段判断部41に、アクセル開度Acと出力速度Noとの信号が入力回路(図示せず)を介して入力されている。速度段判断部41からは、速度段が決定されたときに「1」に、決定されていないときには「0」に設定される変速開始信号Siと、変速前速度段減速比ρデータとがモジュレーション制御部50に出力されている。電磁弁信号出力部42には、モジュレーション制御部50から、クラッチ油圧の時間的な勾配を表すクラッチ油圧勾配Mと、変速前の開放されるべきクラッチに対応した変速前クラッチ油圧Pnをゼロ値にする指令と、変速後の係合されるべきクラッチに対応した変速後クラッチ油圧Paを立ち上がらせる指令とを包括した油圧指令Cpが入力されている。また、電磁弁信号出力部42からは、各クラッチ油圧を制御する電磁弁信号Spが電磁弁16へ出力駆動部(図示せず)を介して出力されている。 【0012】モジュレーション制御部50は、車体負荷を検出する車体負荷検出手段51と、クラッチ油圧勾配Mの複数のデータを記憶している勾配記憶手段52とを有している。勾配記憶手段52には、クラッチ係合開始時に設定する小勾配Ms及び大勾配Mbの各データと、クラッチ係合完了後からクラッチ油圧が所定の最大油圧Pmに到達するまでの間に設定する係合確定勾配Mmのデータとが予め記憶されている。ここで、小勾配Msは車体負荷が小さいときに設定され、車体負荷が大きいときに設定される大勾配Mbよりも小さい勾配値に設定されている。また、クラッチの係合を堅固なものとする油圧を得る係合確定勾配Mmは大勾配Mbよりも大きい値をもつ勾配である。モジュレーション制御部50には、入力速度Ni、出力速度No、変速開始信号Si及び変速前速度段減速比ρデータがそれぞれ入力回路(図示せず)を介して入力されている。また、モジュレーション制御部50には、エンジンコントローラ60からエンジン出力トルクTo値が入力されている。モジュレーション制御部50は、油圧指令Cpを電磁弁信号出力部42へ出力している。 【0013】エンジンコントローラ60は、アクセル開度Acに基づいてエンジン出力トルクを演算するエンジン出力トルク演算部61と、燃料噴射装置19への燃料噴射量指令値を演算する燃料噴射量演算部62とを有している。エンジン出力トルク演算部61にはアクセル開度Acが入力されている。またエンジン出力トルク演算部61から、演算されたエンジン出力トルクTo値がモジュレーション制御部50へ出力されている。燃料噴射量演算部62には、アクセル開度Acが入力されていて、燃料噴射量演算部62から、燃料噴射量信号Fiが燃料噴射装置19へ出力駆動部(図示せず)を介して出力されている。 【0014】図2にモジュレーション制御部50の制御フローチャートを示す。図3に車体負荷が小さいときの、変速前クラッチ油圧Pn、変速後クラッチ油圧Pa、及びトランスミッション入力軸回転速度とトランスミッション出力軸回転速度の変速後速度段における入力軸換算回転速度との差である変速後速度段トランスミッション入出力相対回転速度Nr(以下、入力軸換算相対速度Nrと呼ぶ)のそれぞれの時間的変化を示す。図4に車体負荷が大きいときの図3と同一の状態量の時間的な変化を示す。これらの図により本実施形態の制御処理手順を説明する。なお、図2における説明では各処理ステップ番号にSを付して表す。変速前は、変速前クラッチ油圧Pnは所定の最大油圧Pmに、変速後クラッチ油圧Paはゼロ値に設定されている(S21)。次に、速度段判断部41で決定して出力される変速決定信号Siが「1」か「0」かを判断する(S22)。変速決定信号Siが「0」ならば、再びS21の処理に戻る。「1」であれば、この時の時間tをゼロとし、車体負荷検出手段51において出力速度Noとエンジン出力トルクToに基づき数式(1)により車体負荷を表す走行抵抗包含負荷Wを演算する(S23)。ここで、走行抵抗包含負荷Wは、積載荷重を含めた車体重量の他に、走行路の勾配による車体重量の牽引力方向の分力及び走行路面の摩擦抵抗力などの走行抵抗力が包含されている値である。 W=K×g×To/(d(No)/dt)……………………(1) ただし、d(No)/dt:出力速度Noの時間的な微分値K:変換係数g:重力加速度上記変換係数Kは、トランスミッションの変速前変速段の減速比、トランスミッション以降の減速比及びタイヤ半径を包含している。 【0015】走行抵抗包含負荷Wが、空荷時の車体重量Wkの所定倍(例えば1.5倍)の値をもつ負荷閾値Wjより小さいか否かを判断する(S24)。負荷閾値Wj以上のときは、クラッチ油圧の立ち上げ時の時間的な勾配を表すクラッチ油圧勾配Mとして、図4に示すように大勾配Mbを設定し、小さいときは図3に示すように小勾配Msを勾配記憶手段52からそれぞれ選定して設定する(S25,S26)。ここで、大勾配Mbの値は車体負荷が大きいとき、即ち車体慣性が大きいときにクラッチ発熱量が所定の発熱量以上になってもクラッチ耐久性が損なわれることがなく、かつ小さい変速ショックが得られる値に予め設定されている。また、小勾配Msの値は、車体負荷が小さいときのクラッチ油圧が立ち上がり始めて係合が完了するまでの時間Tsが、車体負荷が大きいときのクラッチ油圧が立ち上がり始めて係合が完了するまでの時間Tbと略等しく、かつ小さい変速ショックが得られる値に予め設定されている。上記設定されたクラッチ油圧勾配Mと、変速前クラッチ油圧Pnをゼロ値にする指令と、変速後クラッチ油圧Paを立ち上がらせる指令とを包括した油圧指令Cpは、一定の勾配値であったクラッチ油圧指令に置き換えられて電磁弁信号出力部42を介して各電磁弁16へ出力される(S27)。これにより、変速前クラッチ油圧Pnがゼロ値になり、変速後クラッチのクラッチ室に油が供給され始める。変速後クラッチのクラッチ室に油が供給され、充満に必要な時間のフィリングタイム(図3のTfs,図4のTfb)が経過した後に、油圧が所定の勾配Ms,Mbで立ち上がる。なお、それぞれの変速後クラッチのフィリングタイムは略等しいので、車体負荷が小さいときのフィリングタイムTfsと車体負荷が大きいときのフィリングタイムTfbは略等しい。 【0016】次に、以下の数式(2)で示す入力軸換算相対速度Nrを演算し(S28)、その絶対値が所定の変速後変速段トランスミッション入出力相対回転速度閾値dNr(以下、閾値dNrと呼ぶ)より小さいか否かを判断する(S29)。 Nr=Ni−ρ×No……………………(2) 閾値dNr以上のときは、S28に戻り再び入力軸換算相対速度Nrを演算し、以上の処理を繰り返す。小さいときは、クラッチが係合を完了したと判断し、次にクラッチ油圧勾配Mは勾配記憶手段52から選定した係合確定勾配Mmに設定される(S30)。クラッチが係合を完了したと判断した時刻を車体負荷が小さいときは小負荷時係合完了時刻Ts、車体負荷が大きいときは大負荷時係合完了時刻Tbとする。クラッチ室への油の充満が完了した後のクラッチ油圧の立ち上がりから小負荷時係合完了時刻Tsまで、又は大負荷時係合完了時刻Tbまでの時間を係合時間と呼ぶ。係合確定勾配Mmに変更されたクラッチ油圧勾配Mは油圧指令Cpとして、一定の勾配値であったクラッチ油圧指令に置き換えられて電磁弁信号出力部42を介して各電磁弁16へ出力され、クラッチ油圧は係合確定勾配Mmで所定の最大油圧Pmに到達して変速は完了する。変速が完全に完了した時刻を小負荷時及び大負荷時に対応してそれぞれ小負荷時変速完了時刻Tes及び大負荷時変速完了時刻Tebとする。クラッチ油圧勾配Mが係合確定勾配Mmになってから小負荷時変速完了時刻Tesまで又は大負荷時変速完了時刻Tebまでの時間を、クラッチ油圧を大きくして係合を確固たるものにする係合確定時間と呼ぶ。 【0017】本実施形態によると、走行抵抗包含負荷Wが負荷閾値Wjより小さいときは小勾配Msに、負荷閾値Wj以上のときは大勾配Mbに、クラッチ油圧勾配Mを設定してクラッチ油圧を立ち上げる。小勾配Msは車体負荷が小さいときのクラッチ油圧が立ち上がり始めて係合が完了するまでの係合時間が、車体負荷が大きいときの大勾配Mbによる係合時間と略等しくなるようにすると共に、小さい変速ショックが得られるように予め設定されている。これにより、車体負荷の大小に拘らず常に小さい変速ショックでクラッチが係合する。 【0018】クラッチ油圧が立ち上がって係合するまでの時間即ち、係合時間(Tfs−Ts間、又はTfb−Tb間)は車体負荷の大小に拘らず略等しい。また、クラッチ油圧が立ち上がる前までの、変速後クラッチのクラッチ室に油が充満するまでに必要なフィリングタイムTfs又はTfbは、各変速後クラッチにおいて略等しい。したがって、車体負荷の大小に拘らずフィリングタイムと係合時間の合計時間は略等しい。入力軸換算相対速度Nrの絶対値が閾値dNrより小さくなった時以降の勾配として設定される係合確定勾配Mmは十分大きい勾配のため、車体負荷の大小に拘らず係合確定時間は略等しくなる。このように、車体負荷の大小に拘らず、変速が開始されて係合が完了するまでの係合時間を略等しく制御できると共に、係合完了後から所定の最大油圧Pmまで到達する係合確定時間も略等しいため、全体として常に略一定の変速時間が得られる。 【0019】なお、本実施形態では、車体負荷の大と小の二つに分類してそれぞれにクラッチ油圧の立ち上げ勾配を設定しているが、例えば大と中と小のように三つ以上に分類してそれぞれにクラッチ立ち上げ勾配を設定してもよい。あるいは、車体負荷の大きさに応じた油圧勾配Mを求める演算式を実験データから設定し、この演算式により演算するようにしてもよい。本実施形態では、車体の加速度はトランスミッション出力軸回転速度を時間的に微分して演算しているが、車体の前後方向の所定の位置に取着した加速度計による検出値を使ってもよい。また、エンジン出力軸トルクと車体加速度から走行抵抗包含負荷を演算しているが、例えばハイドロニューマチック懸架装置の流体圧のように重量を計測できる他の手段によって車体重量を直接計測しても差し支えない。さらに、本実施形態では、車体負荷を大小の二つに大別するために負荷閾値Wjを数式「1.5×空荷時車体重量Wk」と設定しているが、積載時と空荷時との区別容易な負荷閾値Wjに設定してもよい。 【0020】以上、本発明によると、車体負荷の大きさに応じたクラッチ油圧勾配によりクラッチを係合させる。これにより、車体負荷の大小に拘らずクラッチ係合時間をほぼ等しくでき、さらに変速ショックを小さくできる。また、係合が完了すると同時に所定の大きな勾配値を有する係合確定勾配でクラッチ油圧を立ち上げる。これにより、係合完了から変速完了までの時間を最短にかつ車体負荷の大小に拘らず略等しく設定できる。これらにより、車体負荷の大小に拘らず変速ショックが小さく、最短で略一定の変速所要時間を得ることができ、操作性のよい変速制御装置が得られる。 【0021】なお、本発明によると以下の効果を併せ持つ。クラッチ係合が略完了すると同時にクラッチ油圧を係合確定勾配に設定し所定のクラッチ最大圧に到達させるため、エンジン最大トルクが係合クラッチを通過しても滑ることのない堅固な係合が迅速に得られる。このため、エンジンアクセル開度に応じたレスポンスのよい加速感覚をもつ変速制御装置を得ることができる。さらに、走行抵抗包含負荷を利用して車体負荷の大小を簡便に判別できるので、安価で実用的な変速制御装置を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所
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| 【出願日】 |
平成11年4月22日(1999.4.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−304124(P2000−304124A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−115570 |
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