トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段

【発明の名称】 直線動作装置
【発明者】 【氏名】金木 敏兼
【課題】ピニオンとラックギヤとの間のバックラッシを小さく調整して、高精度の位置決めに使用し、かつ往復動するラックの寿命を長くする。

【解決手段】電動機15などと、減速機12と、その出力軸16に刻設または配設されるピニオンギヤ21と棒体状ラック22とを有し、ケース23の両側壁に設けられた軸受24,25により支持される棒体状ラック22が、ラックギヤ22aを介して往復動される直線動作装置であって、棒体状ラック22と軸受24,25との間に隙間26を設け、棒体状ラック22のラックギヤ22aがある側面の反対側面に、ローラ外周面を接しながら回動するローラ27と、ローラ27が棒体状ラック22の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構31とからなり、位置調整機構31によりローラ27の位置を調整して、ラックギヤ22aとピニオンギヤ21とのバックラッシ量が調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機などからの回転動力が伝達される減速機を有し、該減速機の出力軸に刻設または配設されるピニオンギヤと、適宜の長さを有する棒体で、その長手側面に沿って刻設されるラックギヤとを、ケース内にて噛み合わせ、該ケースの両側に設けられた軸受により支持される該棒体が、該ラックギヤを介して往復動される装置において、該棒体と前記軸受との間に隙間を設け、該棒体の前記ラックギヤが刻設された側面の反対側面にローラ外周面が接しながら、前記棒体の往復動により回動するローラと、そのローラ軸を介して、前記ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整されることを特徴とする直線動作装置。
【請求項2】 電動機などからの回転動力が伝達される減速機を有し、該減速機の出力軸に刻設または配設されるピニオンギヤと、適宜の長さを有する棒体で、その長手側面に沿って刻設されるラックギヤとを、ケース内にて噛み合わせ、該ケースの両側に設けられた軸受により支持される該棒体が、該ラックギヤを介して往復動される装置において、前記軸受と前記ケースの軸受装着穴との間に隙間を設け、該棒体の前記ラックギヤが刻設された側面の反対側面にローラ外周面が接しながら、前記棒体の往復動により回動するローラと、そのローラ軸を介して、前記ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整されることを特徴とする直線動作装置。
【請求項3】 前記棒体の前記反対側面に、該側面に沿って平坦面を形成し、該平坦面に前記ローラ外周面が接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直線動作装置。
【請求項4】 前記位置調整機構は、前記ローラ軸を支持する板状部材と、該板状部材にその先端が当接して、前記ケースに螺合するねじ部材とからなり、該ねじ部材の回転量を調整して前記板状部材の位置を、前記棒体の方向へ移動可能にし、位置調整後、該板状部材を前記ケース側面に固着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直線動作装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動機などにより駆動される直線動作装置に関し、特に、ピニオンギヤとラックギヤとの間のバックラッシ量が調整可能な機構を備える直線動作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の直線動作装置については、例えば、図6および図7の断面構成図に示すような装置がある。図6および図7において、直線動作装置1は、図示しない正逆転可能な電動機からの回転動力が伝達され、内部にギヤ機構を備える減速機2を有し、該減速機2の出力軸3に配設されるピニオン(小歯車)4と、適宜の長さを有するラック5で、その長手側面に沿って刻設されるラックギヤ5aとを、ケース6内にて噛み合わされている。そして、該ラック5は、該ケース6の両側壁に設けられた軸受7,7により支持され、前記減速機2の出力軸3の回転動作を直線動作に変換し、該ラックギヤ5aを介して往復動されるるように構成されている。
【0003】さらに、前記ラック5には、前記ラックギヤ5aが刻設されている側面の反対側面に平坦面5bが形成されており、該平坦面5bに、前記ケース6に配接された回り止め部材8を当接させ、前記ラック5の回転を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の直線動作装置1にあっては、構成されるそれぞれの部品の加工精度、およびその組立精度から、前記ピニオン4とラックギヤ5aとの噛み合わせに際し、両者間に比較的大きなバックラッシを設けなければならず、このため、高精度の位置決めを必要とする用途に使用できなかった。また、前記ラック5が往復動するとき、該ラック5と前記回り止め部材8とが滑り接触になるため、該ラック5に摩耗が発生して、その寿命が短くなるという問題点があった。
【0005】本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、前記ピニオンとラックギヤとの間のバックラッシュを小さく調整して、高精度の位置決めに使用でき、かつ往復動するラックの寿命が長くなるような直線動作装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明の直線動作装置の構成は、電動機などからの回転動力が伝達される減速機を有し、該減速機の出力軸に刻設または配設されるピニオンギヤと、適宜の長さを有する棒体で、その長手側面に沿って刻設されるラックギヤとを、ケース内にて噛み合わせ、該ケースの両側に設けられた軸受により支持される該棒体が、該ラックギヤを介して往復動される装置において、次のとおりである。
【0007】該棒体と前記軸受との間に隙間を設け、該棒体の前記ラックギヤが刻設された側面の反対側面にローラ外周面が接しながら、前記棒体の往復動により回動するローラと、そのローラ軸を介して、前記ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整される。
【0008】また、前記軸受と前記ケースの軸受装着穴との間に隙間を設け、該棒体の前記ラックギヤが刻設された側面の反対側面にローラ外周面が接しながら、前記棒体の往復動により回動するローラと、そのローラ軸を介して、前記ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整される。
【0009】そして、前記において、前記棒体の前記反対側面に、該側面に沿って平坦面を形成し、該平坦面に前記ローラ外周面が接する。
【0010】また、前記において、前記位置調整機構は、前記ローラ軸を支持する板状部材と、該板状部材にその先端が当接して、前記ケースに螺合するねじ部材とからなり、該ねじ部材の回転量を調整して前記板状部材の位置を、前記棒体の方向へ移動可能にし、位置調整後、該板状部材を前記ケース側面に固着する。
【0011】本発明は、以上のように構成されているので、この直線動作装置の組立後、位置調整機構のねじ部材の回転量により、前記ローラを、前記ラックギヤとピニオンギヤの噛み合い中心方向に移動可能にし、両者間のバックラッシを可及的に小さくしてから、該位置調整機構をケースに固着することで、前記両者間のバックラッシ量を調整することができる。このため、その構成部材について、高い部品精度を必要とせずに、安価に、バックラッシの少ない直線動作装置を実現しできる。
【0012】また、回動する前記ローラを前記棒体の回り止めに使用することで、該棒体の摩耗が極めて少なくなり、その長寿命化を図ることができる。さらに、前記ラックギヤとピニオンギヤの噛み合い時に、前記棒体に働く力のうち、該ラックギヤとピニオンギヤとの中心距離方向の力(該棒体の移動方向に対して直角方向の力)を、前記ローラで受けるので、該棒体を支持する軸受としての、含油軸受(例えば、ボールスプライン軸受など)の寿命を延ばすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。図1および図2は、本発明の直線動作装置の第1の実施形態を示す図で、図1は、その縦断面図、図2は、図1のII-II線による横断面図、図3は、図2のラックギヤとピニオンギヤの噛み合い部分のバックラッシを説明するための拡大図である。
【0014】図1および図2において、直線動作装置11は、減速部12とラックピニオン部13とから構成され、正逆転可能なモータ15の、その外周が歯切り加工された回転出力軸14を、前記減速部12の入力軸とし、該減速部12の出力軸16の、その外周に歯切り加工されたピニオンギヤ21と、棒体状ラック22の長手側面に沿って刻設されたラックギヤ22aとを噛み合わせることにより、前記モータ15の出力軸14の正または逆方向の回転動作を、往または復動する直線動作に変換する。この場合、前記出力軸16のピニオンギヤ21の先端部は、前記ラックピニオン部13のケース23に端壁23aに配設された軸受20に圧入、支持されている。
【0015】前記減速部12は、前記モータ15に、図示しないねじにより取り付けられるとともに、該モータ15の、その外周が歯切り加工された出力軸14に噛み合うギヤ機構17を内蔵し、該モータ15の出力軸14の回転速度を所定回転速度に減速して、前記出力軸16から回転動力を出力する。
【0016】前記ラックピニオン部13のケース23は、前記減速部12に、着脱可能に図示しないねじにより、結合される。また、該減速部12の出力軸16のピニオンギヤ21と噛み合う、前記ラックギヤ22aが刻設された棒体状ラック22は、該ケース23の両側壁23b,23cに設けられた軸受24,25を介して、摺動自在に貫通し、支持されている。
【0017】このとき、該棒体状ラック22を支持するそれぞれの前記軸受24,25の内径と、前記ラックギヤ22aが刻設された前記棒体状ラック22(断面が円形状)の外径との間には、隙間26,26を設けておき、該ラックギヤ22aと前記ピニオンギヤ21との噛み合い方向に、該棒体状ラック22を移動可能にしている。なお、前記軸受24,25は、前記ケース23の両側壁23b,23cに形成された装着穴23d,23eに、それぞれ装着されている。
【0018】前記棒体状ラック22の前記ラックギヤ22aが刻設された側面の、長手方向に沿った反対側面に、フライス加工または研削加工などにより、平坦面22bが形成されている。なお、引き抜き加工により、断面形状がD型の棒体状ラックの製作も可能である。そこで、該ラックギヤ22aと前記ピニオンギヤ21とが噛み合っている状態の前記棒体状ラック22の前記平坦面22bに、ローラ軸27aにより回動自在に支持されたローラ(ローラフォロア、カムフォロア)27の外周面が当接されており、前記棒体状ラック22の往復動により、該ローラ27は、その外周面が前記平坦面22bに接しながら回動するようになっている。
【0019】前記ローラ27の位置調整機構31は、前記ローラ軸27aを支持する板状部材32と、該板状部材32にその先端が当接して、前記ケース23に螺合する位置調整ねじ部材33と、該板状部材32を前記ケース23に固着する固定ねじ部材34とからなる。そして、該位置調整ねじ部材33の回転量を調整し、前記板状部材32と前記ローラ27を介して、前記棒体状ラック22を、そのラックギヤ22aとピニオンギヤ21の噛み合い中心方向に移動させ、両者間のバックラッシ量を可及的に小さくした後、該板状部材32を前記固定ねじ部材34によりケース23の側壁に固着する。この場合、該ねじ部材34が挿入、調整できるように、前記ケース23には前記移動方向に長穴が形成されている。
【0020】この位置調整により、図3に示すように、中心距離方向バックラッシ2Crを狭くすることにより、ピッチ円方向バックラッシCpも狭くなり、前記棒体状ラック22の移動方向ガタを少なくすることができ、高精度の位置決めが実現できる。
【0021】前記棒体状ラック22のラックギヤ22aとピニオンギヤ21の噛み合い時に、該棒体状ラック22に働く力のうち、該ラックギヤ22aとピニオンギヤ21の中心距離方向の力(すなわち、該棒体状ラック22の移動方向に対して、直角方向の力)を、前記ローラ27で受けることができるので、該棒体状ラック22のたわみを防ぎ、かつ前記ケース23両側壁23b,23cに装着された軸受24,25への荷重を低減できる。
【0022】本実施形態においては、前記棒体状ラック22の前記平坦面22bと前記ローラ27の外周面との当接が、線接触であるので、前記棒体状ラック22の回転方向のガタを少なくすることができる。
【0023】図4および図5は、本発明の直線動作装置の第2の実施形態を示す図で、図4は、その縦断面図、図5は、図4のV-V線による横断面図で、図1および図2と同一部材には同一符号を付して、その説明を省略する。本実施形態では、第1の実施形態の棒体状ラック22と軸受24,25とに代えて、ボールスプールライン軸状ラック42とボールスプールライン軸受44,45とが使用されている。
【0024】図4および図5において、直線動作装置41のラックピニオン部13のケース23は、前記減速部12に、着脱可能に図示しないねじにより、結合される。また、該減速部12の出力軸16のピニオンギヤ21と噛み合う、前記ラックギヤ42aが刻設されたボールスプールライン軸状ラック42は、該ケース23の両側壁23b,23cに設けられたボールスプールライン軸受44,45を介して、軸方向に摺動自在に貫通し、支持されている。
【0025】このとき、該ボールスプールライン軸状ラック42を支持するそれぞれの前記ボールスプールライン軸受44,45の外筒44a,45aの外径と、該軸受44,45が装着される前記ケース23に形成された装着穴23f,23gとの間で、該ラックギヤ42aと前記ピニオンギヤ21との噛み合い方向に、隙間46,46を設けるように、図で縦方向に長穴の装着穴23f,23gを形成して、同方向に前記ボールスプールライン軸状ラック42を移動可能にしている。
【0026】なお、前記軸受44,45は、前記ケース23の両側面に形成された装着穴23f,23gを介して、前記ボールスプールライン軸状ラック00が位置調整された後、前記ケース23に螺合された固定ねじ47、47により、それぞれ装着される。この場合、前記軸受44,45の外筒44a,45aに形成される、前記固定ねじ47,47が挿入される貫通穴44b,45bの内径は、前記隙間46分だけ大きく開けられている。
【0027】前記ボールスプールライン軸状ラック42の前記ラックギヤ42aが刻設された側面の、長手方向に沿った反対側面に、平坦面42bが形成されている。そこで、該ラックギヤ42aと前記ピニオンギヤ21とが噛み合っている状態の前記軸状ラック42の前記平坦面42bに、ローラ軸27aにより回動自在に支持されたローラ27の外周面が当接されており、前記軸状ラック42の往復動により、該ローラ27は、その外周面が前記平坦面42bに接しながら回動するようになっている。
【0028】前記位置調整機構31の前記位置調整ねじ部材33の回転量を調整し、前記板状部材32と前記ローラ27を介して、前記ボールスプールライン軸状ラック42を、そのラックギヤ42aとピニオンギヤ21の噛み合い中心方向に移動させ、両者間のバックラッシュ量を可及的に小さくして、両者間のバックラッシ調整後、該板状部材32を前記固定ねじ部材34によりケース23の側面に固着する。と同時に、前記軸受44,45を、その外筒44a,45aに形成される前記貫通穴44b,45bを介して、前記固定ねじ47,47により、前記ケース23に固着する。
【0029】なお、本発明の技術は前記実施例における技術に限定されるものではなく、同様な機能を果たす他の態様の手段によってもよく、また本発明の技術は前記構成の範囲内において種々の変更、付加が可能である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の直線動作装置によれば、棒体とその軸受との間に隙間を設け、該棒体のラックギヤがある側面の反対側面にローラ外周面が接しながら回動するローラと、該ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整されるので、ピニオンとラックギヤとの間のバックラッシュを小さくして、高精度の位置決めなどの用途に使用できる。特に、高精度な部品を使用することなく、組立後に前記位置調整機構により、両者間のバックラッシュを調整することができ、ガタを少なく設定することにより、高精度な位置決めが可能になる。
【0031】また、本発明の直線動作装置によれば、棒体を支持する軸受と、ケースの軸受装着穴との間に隙間を設け、該棒体のラックギヤがある側面の反対側面にローラ外周面が接しながら、回動するローラと、該ローラが前記棒体の方向へ移動調整可能に配設される位置調整機構とからなり、該位置調整機構により該ローラ位置を調整し、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとのバックラッシ量が調整されるので、往復動する該棒体に摩耗が発生しなくなり、その寿命が長くすることができるという効果を奏する。特に、前記ラックギヤとピニオンギヤの噛み合い時に、前記棒体に働く力のうち、該ラックギヤとピニオンギヤとの中心距離方向の力(該棒体の移動方向に対して直角な力)を、前記ローラで受けるので、該棒体のたわみを防ぎ、かつ前記ケース両側に設けられている軸受への荷重が低減できる。このため、一層の長寿命化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
【出願日】 平成11年4月23日(1999.4.23)
【代理人】 【識別番号】100060069
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚男 (外3名)
【公開番号】 特開2000−304118(P2000−304118A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−115589