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【発明の名称】 ベルト張力調整装置
【発明者】 【氏名】井筒 智善

【要約】 【課題】ベルト張力調整装置を固定部材に取付ける際、オートテンショナが正規の取付け姿勢からずれることを簡単な手段により防止することである。

【解決手段】オートテンショナ1を固定部材6に取付ける際に、そのロッド11の飛び出し防止のためにオートテンショナ1のシリンダ3とロッド11に貫通されるセットピン18の先端部を、固定部材6に設けた位置決め用孔17に係合するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定部材に取付けられるオートテンショナと、そのオートテンショナにより押圧されるテンションプーリとからなり、上記テンションプーリによりベルトに所要の張力を付与するようにしたベルト張力調整装置において、上記オートテンショナのロッド飛び出し防止用のセットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め用孔に係合させたことを特徴とするベルト張力調整装置。
【請求項2】 上記のテンションプーリに設けた支持アームを上記の固定部材に揺動自在に取付け、上記オートテンショナのロッドを上記支持アームの一部に当接させて上記のテンションプーリを揺動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のベルト張力調整装置。
【請求項3】 固定部材に取付けられるオートテンショナと、該固定部材に偏心軸により回動自在に取付けられるテンションプーリと、これら両者の間において該固定部材に揺動自在に取付けられる作動レバーとからなり、上記のオートテンショナの押圧力を上記作動レバーを介して上記テンションプーリに作用させてベルトに所要の張力を付与するようにしたベルト張力調整装置において、上記オートテンショナのロッド飛び出し防止用のセットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め用孔に係合させたことを特徴とするベルト張力調整装置。
【請求項4】 上記のセットピンを、上記ロッドの先端部に設けたロッドピン孔と、上記シリンダの先端部に直径方向に設けたシリンダピン孔とに貫通させ、上記シリンダの周壁から突出した上記セットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め孔に係合したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のベルト張力調整装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は自動車エンジンのタイミングべルトなどに一定の張力を付与するためのベルト張力調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジンブロック等の固定部材に取付けられるオートテンショナと、そのオートテンショナにより作動されるテンションプーリとからなり、上記のオートテンショナのシリンダ内にロッドとこれにばね力を付与する張力調整用ばねとを収納し、上記オートテンショナのロッドにより上記テンションプーリに押圧力を付与させて、ベルトに所要の張力を付与するようにしたベルト張力調整装置が従来から知られている(例えば、特開平8−100851号公報参照)。
【0003】また、上記のようなベルト張力調整装置において、エンジンブロック等に組み付ける際の作業を容易にするために、オートテンショナのシリンダに収納したロッドをその内部の張力調整用ばねの弾性に抗してシリンダの内部に押込み、そのシリンダとロッドに該シリンダの外周面からロッド飛び出し防止用のセットピンを貫通させ、このセットピンによりロッドをテンションプーリから後退させた状態で組み付け作業を行い、組み付け作業の完了後にそのセットピンを外し、ロッドの押圧力をテンションプーリに付与してベルトに所要の張力を付与することも知られている(例えば、特開平8−4861号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなベルト張力調整装置においては、オートテンショナの取付けボルトとそのボルト穴との間の隙間の存在により、オートテンショナの取付け姿勢が正規の位置から傾いて取付けられることがあると、オートテンショナの取付け位置とロッドのテンションプーリに対する当接位置との間にある程度の距離があるため、ロッドのテンションプーリに対する当接位置が正規の位置からずれることになる。当接位置にずれが生じると、オートテンショナの内部に偏荷重が作用して張力調整に不具合が生じたり、オートテンショナの寿命を縮めたりする原因となる。
【0005】そこで、この発明は、前記のセットピンを有効に利用して、オートテンショナの取付け姿勢の傾きを防止することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は、固定部材に取付けられるオートテンショナと、そのオートテンショナにより押圧されるテンションプーリとからなり、上記テンションプーリによりベルトに所要の張力を付与するようにしたベルト張力調整装置において、上記オートテンショナのロッド飛び出し防止用のセットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め用孔に係合させる構成を採用した。
【0007】上記のテンションプーリに設けた支持アームを上記の固定部材に揺動自在に取付け、上記オートテンショナのロッドを上記支持アームの一部に当接させて上記のテンションプーリを揺動させるようにした構成をとることができる。
【0008】また、上記の課題を解決する他の手段として、この発明は、固定部材に取付けられるオートテンショナと、該固定部材に偏心軸により回動自在に取付けられるテンションプーリと、これら両者の間において該固定部材に揺動自在に取付けられる作動レバーとからなり、上記のオートテンショナの押圧力を上記作動レバーを介して上記テンションプーリに作用させてベルトに所要の張力を付与するようにしたベルト張力調整装置において、上記オートテンショナのロッド飛び出し防止用のセットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め用孔に係合させる構成を採用した。
【0009】上記のセットピンを、上記ロッドの先端部に設けたロッドピン孔と、上記シリンダの先端部に直径方向に設けたシリンダピン孔とに貫通させ、上記シリンダの周壁から突出した上記セットピンの先端部を、上記固定部材に設けた位置決め孔に係合した構成をとることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】図1及び図2に示した第1実施形態のベルト張力調整装置は、オートテンショナ1とテンションプーリ2とからなり、上記のオートテンショナ1はそのシリンダ3の側部に設けた取付け部4を2本の固定ボルト5によりエンジンブロック等の固定部材6に固定することにより取付けられる。また、テンションプーリ2はその軸受部10の固定側に一体に設けられた支持アーム7を有し、その支持アーム7が取付けボルト8により固定部材6に揺動自在に取付けられる。その支持アーム7にオートテンショナ1との当接用のピン9が水平方向に突設される。
【0012】上記のオートテンショナ1のシリンダ3の内部構造は、図2に示すように、ロッド11がウエアリング12により中心線方向に進退自在に収納され、また、内部に収納した張力調整ばね13を上記のウエアリング12に押し当て、ロッド11を突出方向に付勢している。また上記シンリダ3の開口端部にはシール部材14が装着され、水、ほこり等の侵入の防止を図るとともに、ロッド11の抜け出しを防止している。
【0013】なお、図示を省略しているが、シリンダ3の内部にはダンパー装置が設けられることがある。
【0014】上記シリンダ3のシール部14と開放端との間において、直径方向に貫通したシリンダピン孔15が設けられ、またロッド11の先端部にその直径方向に貫通したロッドピン孔16が設けられる。シリンダピン孔15とロッドピン孔16の位置関係は、ロッド11を前記の張力調整ばね13のばね力に抗して押し込んだ際に、一直線上に並ぶような位置関係に設定される。上記のシリンダピン孔15と同一線上の固定部材6の部分に位置決め用孔17が設けられる。
【0015】以上の構成でなるベルト張力調整装置を固定部材6に固定する場合は、予めロッド11を押し込んでそのロッドピン孔16を上記のシリンダピン孔15に合致させてロッド11の飛び出し防止用のセットピン18を差し込み、更に、シリンダ3の外周面から突出した該セットピン18の先端部を固定部材6の位置決め孔17に挿入して係合させる(図2の実線参照)。
【0016】セットピン18を固定部材6に係合することにより、ロッド11がピン9から離れテンションプーリ2に張力調整ばね13のばね力が及ばないため取付け作業が容易になると共に、オートテンショナ1が固定部材6に対して位置決めされるので、固定ボルト5とそのボルト孔に隙間があっても、オートテンショナ1の取付け姿勢が正規の状態に維持される。
【0017】取付け作業を完了すると、セットピン18を外す。そうすると、ロッド11が突き出されてピン9に当接し(図2の1点鎖線参照)、これにより、テンションプーリ2を取付けボルト8を中心に揺動せしめ、ベルト19に所定の張力を付与する。
【0018】図3及び図4に示した第2実施形態のベルト張力調整装置は、オートテンショナ1とテンションプーリ2及びこれらとは別体に構成された作動レバー20とにより構成される。オートテンショナ1は固定ボルト5、5により固定部材6に取付けられる。そのオートテンショナ1の内部構造は前記の場合と同じである。テンションプーリ2は偏心位置において取付けボルト21により固定部材6に回動自在に取付けられる。また、作動レバー20は上記のオートテンショナ1とテンションプーリ2との間において、取付けボルト22により固定部材6に揺動自在に取付けられる。
【0019】上記の作動レバー20の一端部は、テンションプーリ2の偏心位置に突設された偏心ピン23に当接され、また他端部にオートテンショナ1のロッド11が当接される。ロッド11が進出すると作動レバー20が揺動され、これにより偏心ピン23が押され、テンションプーリ2を揺動させる。
【0020】前記の第1実施形態の場合と同様に、オートテンショナ1のシリンダ3にシリンダピン孔15が設けられ、またロッド11にロッドピン孔16が設けられる。そして、組み付けの際にセットピン18をこれらのピン孔15、16に貫通させること、そのセットピン18の先端部を固定部材6の位置決め用孔17に係合させること、組み付け作業が完了するとセットピン18を外すことなども同様である。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明によると、ベルト張力調整装置を固定部材に取付ける際、オートテンショナのロッド飛び出し防止に用いられるセットピンの先端部を、固定部材の位置決め用孔に係合させることにより、オートテンショナを正規の姿勢に取付けることができる。そのため、オートテンショナのロッドがテンションプーリに当接する位置が正規の位置に維持され、精度の高いベルト張力の調整を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−304114(P2000−304114A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−109576