| 【発明の名称】 |
多段ローラ変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】川瀬 達夫
【氏名】牧野 智昭
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| 【要約】 |
【課題】各ローラの軸方向位置のばらつきを抑制して、動作の安定性を向上させることを目的とする。
【解決手段】アウターリング2と第2ローラ3bとの接触端部付近に、第2ローラ3bのアウターリング2に対する軸方向の相対移動を規制する外径側規制手段4aを設ける。外径側規制手段4aは、アウターリング2に設けた一対の規制面により構成され、第2ローラ3bの両端面を規制面に接触干渉させることにより、第2ローラ3bをそれぞれ軸方向両側から拘束する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせた摩擦式の多段ローラ変速機であって、アウターリングと接触するローラのアウターリングに対する軸方向の相対移動を規制する外径側規制手段を有する多段ローラ変速機。【請求項2】 外径側規制手段が、アウターリングに設けられ、アウターリングと接触するローラの両端面をそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面である請求項1記載の多段ローラ変速機。 【請求項3】 アウターリングに固定した側板で、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項2記載の多段ローラ変速機。 【請求項4】 アウターリングの内周に一体に設けた突出部で、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項2記載の多段ローラ変速機。 【請求項5】 サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせた摩擦式の多段ローラ変速機であって、サンローラと接触するローラのサンローラに対する軸方向の相対移動を規制する内径側規制手段を有する多段ローラ変速機。 【請求項6】 内径側規制手段が、サンローラに設けられ、サンローラと接触するローラをそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面である請求項5記載の多段ローラ変速機。 【請求項7】 サンローラの外周に設けた突出部で、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項6記載の多段ローラ変速機。 【請求項8】 サンローラに外挿したスラストワッシャで、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項6記載の多段ローラ変速機。 【請求項9】 サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせると共に、何れかの段の各ローラを軸受を介して支持軸で回転可能に支持した摩擦式の多段ローラ変速機であって、支持軸に支持されたローラの軸方向移動を規制する中間規制手段を有する多段ローラ変速機。【請求項10】 中間規制手段が、支持軸に設けられ、支持軸に支持されたローラをそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面である請求項9記載の多段ローラ変速機。 【請求項11】 支持軸の外周に設けた突出部で、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項10記載の多段ローラ変速機。 【請求項12】 支持軸に外挿したスラストワッシャで、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成した請求項10記載の多段ローラ変速機。 【請求項13】 軸受をアキシャル荷重を負荷できる転がり軸受で構成し、軸受外輪を支持軸に支持されたローラに、軸受内輪を支持軸にそれぞれ軸方向両側から拘束して固定した請求項9記載の多段ローラ変速機。 【請求項14】 少なくとも上記規制面に熱処理または表面処理を施して耐摩耗性を向上させた請求項1乃至13何れか記載の多段ローラ変速機。 【請求項15】 上記スラストワッシャを、含油部材または樹脂で形成した請求項8または12記載の多段ローラ変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サンローラとアウターリングとの間に多段ローラを配置した多段ローラ変速機に関する。 【0002】 【従来の技術】歯車による動力伝達では、歯の噛み合いに起因する振動・騒音が生じやすい。これに対して、トラクションドライブでは転がりまたは滑り接触する滑らかな回転体間に形成される油膜を介して動力が伝達されるため、歯車よりも低振動・低騒音であるという特徴を有する。 【0003】一定の変速比を持つトラクションドライブの代表的なものに、図14に示すような遊星ローラ式動力伝達装置がある。これは、遊星歯車を構成する各歯車をローラまたはリング状部材に置き換えたもので、軸心を一致させて配置されたサンローラ31およびリング32と、このサンローラ31とリング32の間の空間に配置される複数の遊星ローラ33と、この遊星ローラ33を円周方向に等間隔かつ回転自在に保持するキャリア34とで構成される。この装置においては、例えば、リング32の円周方向の回転を規制することで、サンローラ31とキャリア34間での動力伝達が行われる。この遊星ローラ式動力伝達装置は、遊星ローラ33の内周面にキャリア34が接触するタイプであるが、この他に、図15に示すように遊星ローラ33の外周面にキャリア34が接触するタイプも存在する。何れのタイプでも変速比を10以上にすることも可能であるが、サンローラ31と遊星ローラ33の接触面圧と、リング32と遊星ローラ33の接触面圧のバランスから、変速比としては3〜6が適当である。 【0004】さらに大きな変速比がとれる動力伝達装置として、摩擦式多段ローラ変速機がある。これは図12及び図13に示すように、軸心が一致するように配置されたサンローラ1およびアウタ−リング2と、サンローラ1とアウターリング2の間に形成される空間に配置された多段ローラ3とで構成される。多段ローラ3は、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなり、各段のローラ群におけるローラの個数は3個以上とされる。そして、何れかのローラ群の各ローラに、異なる回転半径を有する複数の外周面(転走面)を持たせることで、遊星ローラ式動力伝達装置よりも大きな変速比を達成することができる。 【0005】図12は、多段ローラ3として2段のローラ群(第1ローラ3aおよび第2ローラ3b)を配置し、第1ローラ3aにのみ2種類の回転半径を有する転走面を与えた例である。第1ローラ3aおよび第2ローラ3bのサンローラ1周りの回転(公転)が規制される場合、変速比eは、e=(RO R1L)/(RS R1S)で示される。 【0006】一方、第1ローラ3aおよび第2ローラ3bのサンローラ1周りの回転(公転)を規制する代わりにアウターリング2の回転を規制する場合には、変速比eは、e=(RO R1L)/(RS R1S)−1で示される図13は、多段ローラ3として3段のローラ群(第1ローラ3a、第2ローラ3b、および第3ローラ3c)を配置し、そのうち第1および第2ローラ3a、3bに2種類の回転半径を有する転走面を与えた例である。各ローラ3a〜3cのサンローラ1周りの回転(公転)が規制される場合、変速比eは、e=(RO R1LR2L)/(RS R1SR2S)で示される。 【0007】各ローラ3a〜3cのサンローラ1周りの回転(公転)を規制する代わりに、アウターリング2の回転を規制する場合には、変速比eは、e=(RO R1LR2L)/(RS R1SR2S)+1となる。 【0008】このように半径方向に多段化させることで軸方向のサイズが大きくなることを避けつつ大きな減速比を得ることができる。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】図12および図13に示す摩擦式多段ローラ変速機では、サンローラ1とアウターリング2の転走面間に各段ローラを圧接状態で配置することで、動力伝達に必要な法線力を各接触部にそれぞれ生じさせる。 【0010】ところで、この種の摩擦式多段ローラ変速機において、多段ローラの各段ローラに軸方向への相対移動が許容されていると、各ローラの軸方向位置のばらつきにより、各接触部の幅に差を生じて上記法線力がばらつくおそれがある。この場合、入力軸および出力軸に半径方向の偏荷重が作用するため、伝達効率が低下するおそれがある。 【0011】そこで、本発明は、各ローラの軸方向位置のばらつきを抑制して、動作の安定性を向上させることを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】上記目的の達成のため、本発明にかかる多段ローラ変速機は、サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに、異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせた摩擦式の多段ローラ変速機であって、アウターリングと接触するローラのアウターリングに対する軸方向の相対移動を規制する外径側規制手段を有するものである。 【0013】外径側規制手段は、アウターリングに設けた、アウターリングと接触するローラの両端面をそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面で構成することができる。 【0014】アウターリングに固定した側板、あるいはアウターリングの内周に一体に設けた突出部で、上記一対の規制面のうちの少なくとも一方を構成するのがよい。 【0015】また、本発明にかかる多段ローラ変速機は、サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに、異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせた摩擦式の多段ローラ変速機であって、サンローラと接触するローラのサンローラに対する軸方向の相対移動を規制する内径側規制手段を有するものである。 【0016】内径側規制手段は、サンローラに設けた、サンローラと接触するローラをそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面で構成することができる。 【0017】上記一対の規制面のうちの少なくとも一方は、サンローラの外周に設けた突出部で構成することができる。この突出部はサンローラと一体に設けても、また別部材で設けてもよい。さらには、サンローラに外挿したスラストワッシャで構成してもよい。 【0018】また、本発明にかかる多段ローラ変速機は、サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、サンローラとアウターリングの間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置してなる多段ローラとを有し、サンローラ、各段ローラおよびアウターリングを相互に圧接させ、かつ多段ローラのうち、少なくとも何れかの段の各ローラに異なる回転半径を有する複数の外周面を持たせると共に、何れかの段の各ローラを軸受を介して支持軸で回転可能に支持した摩擦式の多段ローラ変速機であって、支持軸に支持されたローラの軸方向移動を規制する中間規制手段を有するものである。この場合、支持軸はハウジングあるいは低速軸の何れに固定されていてもよい。 【0019】中間規制手段は、支持軸に設けた、支持軸に支持されたローラをそれぞれ軸方向両側から拘束する一対の規制面で構成することができる。 【0020】上記一対の規制面のうちの少なくとも一方は、支持軸の外周に設けた突出部で構成することができる。突出部は支持軸と一体でも別体でもよく、また、支持軸に外挿したスラストワッシャで構成してもよい。 【0021】軸受をアキシャル荷重を負荷できる転がり軸受で構成し、軸受外輪を支持軸に支持されたローラに、軸受内輪を支持軸にそれぞれ軸方向両側から拘束しつつ固定してもよい。 【0022】少なくとも規制面は、熱処理、あるいは表面処理を施すことにより、耐摩耗性を向上させておくのが望ましい。 【0023】また、スラストワッシャは、含油部材または樹脂で形成することもできる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1乃至図13に基いて説明する。 【0025】図1(a)(b)は本発明にかかる多段ローラ式変速機の一実施形態を示すものである。図示のように、この多段ローラ式変速機は、サンローラ1、サンローラ1の外周側にこれと同心配置されたアウターリング2、サンローラ1の外周面とアウターリング2の内周面間に、円周等間隔に配されたローラ群を径方向に亘って多段に圧接配置した多段ローラ3、を主要な構成要素として構成される。多段ローラ3は複数段に配置されていれば足り、その段数は問わないが(図12の2段、図13の3段、あるいはそれ以上の段数でもよい)、本実施形態では、第1ローラ3aと第2ローラ3bとで2段に構成した場合を例示する。各段のローラ群の個数も問わないが、3個以上が望ましく、本実施形態では、各段のローラ3a、3bをそれぞれ4個ずつ配置した場合を例示する。 【0026】第1ローラ3aは2つの回転半径を持つ軸方向断面H型に形成される。第1ローラ3aの外周面のうち、大径側の外周面がサンローラ1に、小径側の外周面が第2ローラ3bにそれぞれ圧接している。第2ローラ3bは、第1ローラ3aの大径部間の凹部3a1に嵌合されており、これにより両ローラ3a、3bは互いに相手側のローラの軸方向移動を規制し合う構造になっている。サンローラ1と第1ローラ3aとの接触部は軸方向に離隔した2箇所にあり、これら2つの接触部の軸方向幅をLX1、LX2とし、かつ第1ローラ3aと第2ローラ3bとの接触部、およびアウターリング2と第2ローラ3bの接触部の軸方向幅をそれぞれLY 、LZ とすると、(LX1+LX2)≒LY ≒LZ の関係が成り立つ。 【0027】サンローラ1は、2個の軸受5で一方のハウジング6に回転自在に支持された高速回転軸7の一端に装着される。ハウジング6には第2ローラ3bの個数分の第2ローラ支持軸9が植設されており、第2ローラ3bが軸受10を介して第2ローラ支持軸9に支持されることで第2ローラ3b、さらには第1ローラ3aの高速軸7まわりの回転(公転)が規制される。他方のハウジング12には低速回転軸13が2個の軸受14を介して回転自在に支持されており、高速軸7と低速軸13が同軸に配置されるよう、ハウジング6とハウジング12はボルト15等によって結合される。図面では、アウターリング2と低速軸13は別部材(アウターリングホルダ16)によって結合されているが、低速軸13とアウターリング2を一体に成形して低速軸13の一端内周面を第2ローラ3bの外周面に接触させてもよい。 【0028】第1ローラ3aおよび第2ローラ3bのサンローラ1まわり回転(公転)を規制する代わりに、アウターリング2の回転を規制する場合の全体構造図を図2に示す。図1と同様に、アウターリング2とサンローラ1の間に、それぞれ4個の第1ローラ3aと第2ローラ3bがそれぞれ円周等間隔に圧接状態で配置される。アウターリング2は、高速軸7と同軸になるようにハウジング6にボルト17で固定される。また、低速軸13の軸端大径部には第2ローラ3bの個数分だけ第2ローラ支持軸9が植設されており、第2ローラ3bは軸受10を介して第2ローラ支持軸9に回転自在に支持される。 【0029】アウターリング2と第2ローラ3bとの接触端部付近には、第2ローラ3bのアウターリング2に対する軸方向の相対移動を規制する外径側規制手段4aが設けられる。外径側規制手段4aは、第2ローラ3bの両端面をアウターリング2に設けた一対の規制面40に接触干渉させることにより、第2ローラ3bをそれぞれ軸方向両側から拘束するもので、図1に示す多段ローラ変速機に適用した場合の具体的構造を図3(a)〜(c)および図4(a)(b)に示す。 【0030】図3(a)は、穴空き円板状に形成された2枚の鋼板製側板8をアウターリング2の軸方向両側に配置し、アウターリング2、側板8およびアウターリングホルダ16(もしくは低速軸13)を一体にボルト15止めしたものである。この場合、2枚の側板8の相対向する面が規制面40となって第2ローラ3bを軸方向両側挟み込むため、第2ローラ3bの軸方向移動が規制される。図1に示す外径側規制手段4aはこの構造がとられている。側板8としては、鋼材に浸炭、窒化またはめっき等の熱処理、あるいは表面処理を施してその表面(少なくとも規制面40)の硬度を上げることにより、十分な耐摩耗性を持たせたものが使用される。 【0031】図3(b)は、アウターリング2の内周面の軸方向両端に環状の突出部である鍔部2aを一体に設け、この鍔部2aを第2ローラ3bの両端面に係合させることで第2ローラ3bを軸方向両側より拘束するものである。この場合、2つの鍔部2aの相対向する面がそれぞれ規制面40となる。 【0032】図3(c)は、第2ローラ3bの軸方向一方側(アウターリングホルダ16側)を上記鍔部2aで拘束するとともに、他方側を上記側板8で拘束したものである。鍔部2aと側板8の相対向する面がそれぞれ規制面40となる。 【0033】図4(a)は、第2ローラ3bの軸方向一方側をアウターリングホルダ16(もしくは低速軸13)で拘束するとともに、他方側を上記側板8で拘束したものである。アウターリングホルダ16と側板8の相対向する面がそれぞれ規制面40となる。 【0034】図4(b)は、第2ローラ3bの軸方向一方側をアウターリングホルダ16(もしくは低速軸13)で拘束するとともに、他方側を上記鍔部2aで拘束したものである。アウターリングホルダ16と鍔部2aの相対向する面がそれぞれ規制面40となる。 【0035】図5(a)〜(c)は、図2に示す多段ローラ変速機(アウターリングの回転を規制するタイプ)に設けられた外径側規制手段4aの具体例である。このうち、図5(a)は、穴空き円板状の2枚の鋼板製側板8をアウターリング2の軸方向両側に配置し、アウターリング2、側板8をハウジング6に一体にボルト15止めしたもので、図2に示す外径側規制手段4aはこの構造がとられている。この場合、2枚の側板8の相対向する面が規制面40となって第2ローラ3bを軸方向両側挟み込むため、第2ローラ3bの軸方向移動が規制される。 【0036】図5(b)は、アウターリング2の内周面の軸方向両端に鍔部2aを一体に設け、この鍔部2aで第2ローラ3bを軸方向両側より拘束するものである。図5(c)は、第2ローラ3bの軸方向一方側(アウターリングホルダ16側)を鍔部2aで拘束するとともに、他方側を上記側板8で拘束したものである。 【0037】以上は、第2ローラ3bの軸方向移動の規制をアウターリング2側で行った例であるが、以下では、この規制をサンローラ1側で行った例を示す。 【0038】サンローラ1と第1ローラ3aとの接触部付近には、第1ローラ3aのサンローラ1に対する軸方向の相対移動を規制する内径側規制手段4bが設けられる。内径側規制手段4bは、第1ローラ3aをサンローラ1に設けた一対の規制面41に接触干渉させることにより、第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するもので、その具体的構造を図6(a)〜(c)および図7(a)〜(c)に示す。なお、図6および図7の何れの構造も、図1および図2の何れのタイプの多段ローラ変速機でも、すなわち各ローラ3a、3bがサンローラ1回りの回転(公転)を規制されるか否かにかかわらず、適用することができる。 【0039】図6(a)は、断面H型の第1ローラ3aの外側に一対の規制面41を配置した例である。規制面41は、サンローラ1の外周部に軸方向に離隔させて形成した環状の突出部である鍔部1aの相対向する面で形成される。 【0040】図6(b)は、断面H型の第1ローラ3aの内側(凹部3a1内)に一対の規制面41を配置した例である。規制面41は、サンローラ1の外周部に離隔形成した2つの鍔部1aの相離反した面で形成される。 【0041】図6(c)は、(b)図と同様に断面H型の第1ローラ3aの内側(凹部3a1内)に一対の規制面41を配置した例で、規制面41は、サンローラ1の外周部に第1ローラ3aの凹部3a1の全長にわたって形成した環状の突出部1aの相離反した面で形成される。 【0042】図7(a)〜(c)は、図6(a)〜(c)の各図において、突出部1a(鍔部)と第1ローラ3aとの間にスラストワッシャ21を介在させたもので、第1ローラ3aと対向するスラストワッシャ21の端面がそれぞれ規制面41となる。スラストワッシャ21は鋼製とされるが、含油部材または樹脂で形成して摩擦損失の低減を図ってもよい。含油部材としては、■焼結材より成形した多孔質部材に潤滑油を含浸させたもの、■ポリエチレンなどの発泡性樹脂を多孔質に成形し、これに潤滑油を含浸させたもの、あるいは■ポリエチレンなどの樹脂と潤滑油の混合物を加熱・冷却により固形化したもの、等が使用可能である。上記突出部1a(鍔部も含む)は、サンローラ1に一体に設ける他、別部材で構成してもよく、また高速軸7の外周部に突出部1aを設けてもよい。 【0043】第2ローラ3bの軸方向移動の規制を第2ローラ3b側で行った例を以下に示す。 【0044】第2ローラ3bの内径部付近には、第2ローラ3bの軸方向移動を規制する中間規制手段4cが設けられる。中間部規制手段4cは、第2ローラ3bを第2ローラ支持軸9に設けた一対の規制面42に接触干渉させることにより、第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するものである。図8(a)(b)および図9(a)(b)は、第1および第2ローラ3a、3bの公転を規制した変速機(図1)に適用される中間規制手段4cを示す。 【0045】図8(a)は、第2ローラ支持軸9に一体成形された鍔部9aと、止め輪22によって軸方向の移動を規制されたスラストワッシャ21とで第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するものである。この場合、相対向する鍔部9aおよびスラストワッシャ21の端面がそれぞれ規制面42となる。なお、スラストワッシャ21は上記含油部材または樹脂で形成することもできる。図8(b)は、止め輪22および第2ローラ支持軸9の肩部9bによって軸方向の移動を規制された2つのスラストワッシャ21で第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するもので、2つのスラストワッシャ21の相対向する端面がそれぞれ規制面42となる。図9(a)は第2ローラ支持軸受10としてアキシャル荷重を負荷できるころがり軸受、例えば深溝玉軸受を使用したものである。支持軸9に圧入固定された軸受内輪10aは、第2ローラ支持軸9の肩部9bと止め輪22とによって軸方向両側から拘束され、第2ローラ3bの内周部に圧入固定された軸受外輪10bは、止め輪22と第2ローラ3bの一端内周面に設けた鍔部3b1とで軸方向両側から拘束される。図9(b)は、軸受内輪10aを第2ローラ支持軸9の肩部9bと軸端に螺着したナット23とで軸方向両側から拘束し、軸受外輪10bを止め輪22と第2ローラ3bの一端内周面に設けた鍔部3b1とで軸方向両側から拘束したものである。 【0046】図10(a)(b)および図11(a)(b)は、図8および図9と同様の構成の中間規制手段4cをアウターリング2の回転を規制した変速機(図2)に適用したものである。図10(a)は、図8(a)に対応し、第2ローラ支持軸9に一体成形された鍔部9aと、止め輪22によって軸方向の移動を規制されたスラストワッシャ21とで第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するものである。図10(b)は、図8(b)に対応し、止め輪22および第2ローラ支持軸9の肩部9bによって軸方向の移動を規制された2つのスラストワッシャ21で第2ローラ3bを軸方向両側から拘束するものである。図11(a)は、図9(a)に対応し、深溝玉軸受10の軸受内輪10aを第2ローラ支持軸9の肩部9bと止め輪22とで、軸受外輪10bを止め輪22と第2ローラ3bの一端内周面に設けた鍔部3b1とでそれぞれ軸方向両側から拘束したものである。図11(b)は、図9(b)に対応し、軸受内輪10aを第2ローラ支持軸9の肩部9bと軸端に螺着したナット23とで、軸受外輪10bを止め輪22と第2ローラ3bの一端内周面に設けた鍔部3b1とでそれぞれ軸方向両側から拘束したものである。 【0047】なお、上記のように第2ローラ3bを第1ローラ3aの凹部3a1に嵌合して両ローラ3a、3bの軸方向移動を互いに相手側のローラで規制し合う構造とした場合、外径側規制手段4a、内径側規制手段4b、あるいは中間規制手段4cの何れか一つで両ローラ3a、3bの軸方向の位置決めが行われる。従って、規制手段4a、4b、4cはそのうちの何れか一つを設ければ機能上十分である。但し、何れか2つを選択してもよく、あるいは全ての規制手段を設置しても構わない。 【0048】上記規制面40、41、42を構成する部材、例えば側板8、鍔部1a、2a、スラストワッシャ21等を鋼製とした場合は、上記熱処理あるいは表面処理を施して十分な耐摩耗性を持たせておくのが望ましい。 【0049】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、多段ローラを構成する各ローラの軸方向位置のばらつきを防止することができるので、各接触部での法線力の均一化を図り、もって伝達効率の向上を図ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月14日(1998.10.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064584 【弁理士】 【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−120821(P2000−120821A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−292542 |
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