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【発明の名称】 モータ組み込み減速機
【発明者】 【氏名】柴田 徹

【要約】 【課題】従来は、遊星減速機のアセンブリと電動モータのアセンブリとを別個に形成して組み立てているため、前後長が長くなってコンパクト性に欠け、他の装置との干渉など取付け部位にも制約があり騒音発生や効率低下の問題があった。

【解決手段】遊星減速機の遊星歯車(又は遊星ローラ)(22)を偏心回転させるキャリア(24)と、電動回転する回転ロータ(31)とを回転力伝達可能に連結し、かつ前記遊星減速機の出力軸(20)と一体化させた軸受けロッド(30)に前記回転ロータ(31)を回転自在にして環装保持する。上記遊星減速機構は、ハイポサイクロイド減速機、又はサイクロ減速機とすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】遊星減速機の遊星歯車(又は遊星ローラ)(22)を偏心回転させるキャリア(24)と、電動回転する回転ロータ(31)とを回転力伝達可能に連結し、かつ前記遊星減速機の出力軸(20)と一体化させた軸受けロッド(30)に前記回転ロータ(31)を回転自在にして環装保持したことを特徴とするモータ組み込み減速機。
【請求項2】遊星減速機構を、ハイポサイクロイド減速機、又はサイクロ減速機としたことを特徴とする請求項1、又は2記載のモータ組み込み減速機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、電動モータと遊星減速機とを同軸上に組み込んで一体化させたモータ組み込み減速機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から低速度で高トルクを得る目的で電動モータに減速機を取付けた構成のものは種々存在していた。これらの多くは、遊星減速機のアセンブリと電動モータのアセンブリとをそれぞれ別個に製造した後、これらを連結させて一体的に組み立てたものがほとんどであった。例えば、(イ)図3に示したように、遊星減速機5のキャリア(入力ギア)51とモータ6の出力シャフト60とをピニオンギア61を介して連結した構成のものや、(ロ)図4に示したように、遊星減速機7の出力軸70と同軸上のキャリア71にモータ8の出力シャフト80を嵌合させて取付けた構成のものなどであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成は、遊星減速機5、7のアセンブリと電動モータ6、8のアセンブリとを別個に形成して組み立てているため、前後長が長くなってコンパクト性に欠け、他の装置との干渉など取付け部位にも制約があった。
【0004】加えて、(イ)の図3の構成においては、遊星減速機5の出力軸50の支持のために出力側と対向側のハウジング52に軸受け53を設ける必要があるため、アセンブリの前後長が長くなってしまう欠点があるばかりか、キャリア51やピニオンギア61との噛合によって伝達効率が数%低下したり、またこれらの噛み合い反力がモータ軸受け部に架かり、この摩擦損失による効率低下も招いていた。さらに、歯車の噛み合いによる振動がモータの出力シャフト60に伝わり、騒音発生の大きな原因ともなっていた。
【0005】また、(ロ)の構成においては、1軸上配列であるキャリア71とモータ8の出力シャフト80を連繋する歯車列を省くことはできるが、遊星減速機7の出力トルクの一部がモータ軸受けに架かり、モータ出力トルク以上の耐力強度をもった軸受けを必要とするほか、かかるモータ軸受けの損失が、出力側には減速比倍の損失となって影響し、極端に効率を低下させる欠点があった。
【0006】
【目的】そこで、本願発明は上記の種々課題を契機として為されたもので、遊星減速機のキャリヤにモータの回転ロータを直結させて、減速機構部と電動駆動部とを一個のハウジング内に収納することにより、伝達効率の向上を図ると共にコンパクトにして取付け自由度を高め、さらには、部品点数を減らしかつ組立を容易にすることにより製造コストを安価にすることを目的としたモータ組み込み減速機を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本願発明にかかるモータ組み込み減速機は、遊星減速機の遊星歯車(又は遊星ローラ)(22)を偏心回転させるキャリア(24)と、電動回転する回転ロータ(31)とを回転力伝達可能に連結し、かつ前記遊星減速機の出力軸(20)と一体化させた軸受けロッド(30)に前記回転ロータ(31)を回転自在にして環装保持したことを特徴とする。
【0008】上記遊星減速機構は、ハイポサイクロイド減速機、又はサイクロ減速機とすることが好ましい。
【0009】
【作用】上記構成により、電動起動された回転ローラの回転力は、歯車列を介することなく伝達されて直接キャリアを回転させる。駆動されたキャリアは通常の遊星減速機の原理にしたがって減速され、出力軸に低回転・高トルクの回転駆動力を出力させることになる。
【0010】このとき、出力軸と他の機器とを連結した場合、出力軸に作用する伝達時の反力は回転ロータにかかることはない。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、上記発明構成の具体的実施形態例について、図面にもとづき詳細に説明する。図1は、本実施形態の構成を示す縦断面図であり、図2は本実施形態の機構を示す概念図である。
【0012】本実施形態の減速出力装置は、2個体の型合わせから成るハウジング1の内部に減速機構部2と電動駆動部3とを収納したものである。減速機構部2は、いわゆるハイポサイクロイド減速機(S−C−P型遊星減速装置)から成り、ハウジング1の片側を貫通して延びる出力軸20を配置し、該出力軸20は、後述の電動駆動部3の軸受けとなる軸受けロッド30と同軸一体に形成しており、対向側のハウジング1まで架け渡し状に延設させ、外側を臨むようにして回転自在に軸支させている。
【0013】該出力軸20のハウジング1内には円盤状の出力盤21を、ピン21pによって取付け固定している。この出力盤21の側面には、周回状に複数個の円形の調整孔21hが開設されている。
【0014】外周囲に歯車22gが形成された遊星外歯車22が前記出力盤21に隣接して配設されており、偏心回転により歯車22gがハウジング1の内側面に形成された固定太陽内歯車10と噛合しながら内接転動するように構成されている。
【0015】該遊星外歯車22の側面には、前記出力盤21の各調整孔21hに遊びをもって内接嵌合する円柱状の内ピン22pを一体的に凸設形成している。この内ピン22pと調整孔21hとは、遊星外歯車22の偏心回転にしたがって、内ピン22pの外周面が調整孔21hの内周面に当接しながら周回移動し得るように構成している。具体的には、遊星外歯車22の偏心量eの2倍の偏心量2eをもって、内ピン22pは調整孔21h内を内接転動する。
【0016】かかる遊星外歯車22は、キャリアとなる偏心体24にベアリング23を介して回転自在に環装しており、この偏心体24はベアリング25を介して軸受けロッド30(出力軸20)に回転自在に環装させている。
【0017】該偏心体24は、その輪郭円の中心Cが軸受けロッド30の回転軸Oから偏心量eだけ偏った状態で偏心回転するように構成している。そして、その側面からは係合ピン24pを凸設形成している。
【0018】次に、電動駆動部3の基本構成は、電動モータの回転部構成と同様であり、回転駆動力を発生する回転ロータ31と、この回転ロータ31を回転させる固定子32とから構成している。回転ロータ31は、コイルが巻回された電機子や磁石であり、ベアリング33を介して軸受けロッド30に回転自在に環装保持されている。該回転ロータ31の側面には、係合孔31hを形成し、前記偏心体24の係合ピン24pを遊びをもった状態で嵌合させている。
【0019】固定子32は、コイル群や磁石群で構成され、前記回転ロータ31の外周囲に近接させた状態でハウジング1の内側面に配置固定している。なお、この回転ロータ31と固定子32は、電動駆動手段を直流電動にするか、または誘導電動にするかによって決まるもので、その構造自体は電動機の分野では公知であるので詳細は省略する。
【0020】
【実施形態の作用】上記のように構成された本実施形態は、次のように作動する。外部からの電源の供給により電動駆動部3の回転ロータ31を、軸受けロッド30を軸受けとして回転駆動させると、この回転は係合ピン24pを介して偏心体24に伝達される。偏心体24は、偏心回転(自転)し、ベアリング23を介して、遊星外歯車22を固定太陽内歯車10に内接転動(公転)させる。これに伴って固定太陽内歯車10の歯数Sと遊星外歯車22の歯数Pの歯数差(S−P)から(S−P)/Pの減速比で遊星外歯車22が回転(自転)する。この回転が内ピン22pと調整孔21hとから構成されるいわゆるW機構により出力盤21を1:1で回転させ、出力軸20に伝達されて低回転・高トルクの出力が得られる。
【0021】
【変更の可能性】上記実施例では、軸受けロッド30の滑動手段にベアリング25、33を用いているが、他の滑動手段る、例えば含油メタルなどを用いるようにしてもよい。
【0022】また、偏心体24に係合ピン24pを凸設して回転ロータ31の係合孔31hと係合する構成としているが、これとは逆に、回転ロータ31の方に係合ピンを形成して偏心体24に凹部を形成して係合させるようにしても良い。
【0023】なお、上記実施形態では、減速機構部にサイクロイド歯形の内接式遊星歯車機構を用いたが、このほかインボリュート方式を用いてもよい。
【0024】
【効果】本願発明は上記のように構成することにより、次のような効果を奏する。
■ 出力軸と軸受けロッドとの一体化、及び減速機側の軸受けと電動機側の軸受けとを兼用することにより、組み付け部品点数の削減と製造工程の簡易化が図れ、製造コストを低減することができる。
■ 出力軸荷重又は歯車伝達による分力荷重をモータ軸受けが負担しない構造であるため、従来例に比べて高い効率を得ることができる。
■ 従来例のように歯車の噛み合いによる振動がモータシャフトに作用しないため、振動による騒音の発生や電動機への悪影響を回避することができる。
■ 貫通した1本の軸上に減速機構と電動駆動機構を環装配置しているため、前後長を短くしてコンパクトに構成することができ、機器への取付け自由度が増す利点がある他に、出力軸の回転を電動機側のハウジング外側からも検知することができる利点もある。そのため、機器への装着後も出力軸の回転を外側から監視するセンサーなどを容易に取付けることができることになる。
【出願人】 【識別番号】390004363
【氏名又は名称】ツオイス株式会社
【出願日】 平成10年10月14日(1998.10.14)
【代理人】 【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
【公開番号】 特開2000−120810(P2000−120810A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−292487